小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生 (32)サクリファイス・卒業編 」感想・ネタバレ

小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生 (32)サクリファイス・卒業編 」感想・ネタバレ

どんな本?

魔法科高校の劣等生』は、佐島勤 氏による日本のライトノベル。
略称は「魔法科」。

物語は西暦2097年、3月。
魔法が現実の技術として確立し、魔法師の育成が国策となった時代を舞台にしている。

主人公は、国立魔法大学付属第一高校(通称「魔法科高校」)に通う兄妹、司波達也と司波深雪。

この作品は、原作小説の累計が1,400万部、シリーズ累計が2,500万部を突破し、大人気のスクールマギクスとなっている。
また、2024年には3期目のTVアニメが放送されることが決定している。

さらに、この作品は様々なメディアで展開されており、ライトノベルだけでなく、漫画やアニメでも楽しむことができる。

読んだ本のタイトル

魔法科高校の劣等生(32) サクリファイス編/卒業編(The Irregular at Magic High School)
著者:佐島勤 氏
イラスト: 石田可奈 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生 (32)サクリファイス・卒業編 」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890224942 小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生 (32)サクリファイス・卒業編 」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

劣等生の兄と優等生の妹の波乱に満ちた『高校生編』堂々完結!

 達也の元に届いた九島光宜からの挑戦状。パラサイトを制御下に置くだけにとどまらず、かつて達也を苦しめた周公瑾の知識も獲得した光宜は、病身という唯一の欠点すら克服し、日本へ戻ってきた。
 彼の狙いはただ一つ。愛する少女・水波の救済。
 一方、水波を救いたいと願う達也と深雪の気持ちもまた光宜と同じだった。しかし、両者の信念の違いから、激突は避けられそうになかった。
 名実ともに『最強の魔法師』となった達也と、人外と亡霊の力を宿した『最強の敵』となった光宜。
 二人は、決戦の地、東富士演習場で激突する!
 魔法科高校入学から三年。達也と深雪が過ごした波乱の高校生活に、ついに幕が下りる。
 そして、二人の恋の行方は――。

魔法科高校の劣等生(32) サクリファイス編/卒業編

感想

当初は「小説家になろう」で読んでました。
横浜編まで読んだら、、
書籍化により消された苦い経験があり。
文庫化されてましたが、電子化するまで我慢して一冊目を手に入れた時の喜びは今でも思い出せる。

そこまで思い込んでたこの作品が遂に完結。

よくレビューで見かける「説明が長い」。
いや、説明してもらわないと判らないじゃん。
そもそも、説明の要らないストーリーって何よ?
「説明要らないの読みたいならコレを読むなよww」と内心で思っていた「魔法科高校の劣等生」。

サクリファイス編はあらすじの通り。
ただ水波はパラサイトにならないと近いうちに確実に死ぬ状態だったらしい。
それの原因は、アメリカからの襲撃に光宜を庇っての事だった。

卒業編は普通に卒業式をして、その打ち上げパーティーで達也と将輝が拳で語るのは、、、
達也らしく無い。
熱いぞ?

そして、ラストエピソード。。
あれから2年後という話。
そして、続編の発表。

まだまだ続くぞ!!

良かった。

卒業後の進路

司波達也

第一高校卒業後、魔法大学に入学したがほとんど出席せず巳焼島にて研究に明け暮れる。

司波 深雪

第一高校卒業後、魔法大学に入学。リーナとキャンパスライフを満喫するも兄が居ないことに不満。


桜井 水波

光宣により自我を保ったままパラサイトとなり、光宣と共に巳焼島の地下監獄で精神の時間を止めて死ぬまで眠りにつく。


九島 光宣

水波と共に巳焼島の地下監獄で精神の時間を止めて死ぬまで眠りにつく。


西城 レオンハルト

第一高校卒業後、克災救難大学校に入学。レスキュー隊になるための訓練に明け暮れてるため高校の同級生とは疎遠になる。


千葉 エリカ

第一高校卒業後、魔法大学に入学。長期休暇を利用して日本各地を武者修行中?


吉田 幹比古

第一高校卒業後、魔法大学に入学。大学生活の傍ら実家にて古式魔法師としての訓練も行う。


柴田 美月

第一高校卒業後、デザインの専門学校(CG専攻)に入学。さらに、吉田家に住み込みとなって吉田家の手伝いをするが、そのうち住み込んでしまう。美月の両親からは「責任さえ取ってもらえれば」と公認状態。


光井 ほのか

第一高校卒業後、魔法大学に入学。北山家がスポンサーを務める恒星炉プロジェクトのお手伝いとして巳焼島に積極的に行く。

北山 雫

第一高校卒業後、魔法大学に入学。北山家がスポンサーを務める恒星炉プロジェクトの責任者の代理として参加中。

一条 将輝

第三高校卒業後、魔法大学に入学。達也が巳焼島に引きこもっているのを好機と見て深雪にアタックを仕掛けてはリーナに冷たく追い払われている。さらに家には妹の茜と劉麗蕾の訪問を受けており国防軍からはほぼ公認状態。

吉祥寺 真紅郎

第三高校卒業後、魔法大学に入学。彼の能力を大学で遊ばせるのは国難だとして引き続き金沢の研究所にて研究を続けさせるべきだという声が挙がったが一条が大学に行くと決めたら付いて行った。

備忘録

サクリファイス編

1

2097年8月、伊豆諸島の新しい島「巳焼島」が外国の武装集団に襲撃される事件が発生。この襲撃は表向き、新ソ連のエージェントに騙されたUSNA海軍部隊と破壊工作員の混成部隊によるものとされている。この事件により、USNAは日本を含む国際社会での評価を著しく損ねる可能性に直面していた。対応策として、USNAは国防長官を日本に派遣するが、表面上の和解は主目的ではなく、真の目的は達也との会談にあった。

達也はUSNAからの和解の申し出を受け入れ、USNA陣営に引き込まれることに同意する。この申し出は達也をUSNAと友好的な関係にするためのもので、達也自身もUSNAとの関係構築にメリットを見出していた。達也はUSNA国防長官付き秘書官ジェフリー・ジェームズ(JJ)と会談し、フレンドリーな雰囲気の中で対話する。JJは達也にアメリカへの訪問を提案するが、達也は巳焼島のプロジェクトが終わるまで日本を離れられないと答える。代わりに技術者派遣の受け入れを提案され、達也はこの案を検討することに同意する。

この事件とその後の会談は、USNAと日本、特に達也との間での緊張関係の緩和と新たな協力関係の築き直しを目指していることを示している。達也とJJの会談は、お互いの立場と利害を認識しつつも、友好的な関係を模索する過程を描いている。

達也はジェフリー・ジェームズとの会話を終え、調布の自宅に戻る。深雪と水波が既に帰宅し、家を掃除してくれていた。彼らはランチを共にした後、達也、深雪、水波、リーナの四人で九重寺に訪れる。寺では八雲が彼らを迎え、僧坊での会話が行われる。八雲は水波に憑依しているパラサイトが無害化され、彼女の魔法能力を抑制していると説明する。このパラサイトは特定の命令で縛られており、支配従属関係が続く限り安全だが、その効果がいつまで続くかは不明である。八雲は、封印が弱まれば術者が再び行動するだろうと推測する。達也と深雪は水波の将来に関する不安を感じつつも、光宣(九島光宣)の真の目的や水波の真意についても疑問を抱く。

八雲の寺から帰宅した達也たちは、水波の中にいるパラサイトの問題を話し合う。水波は皆を心配させまいとするが、リーナは四葉家にパラサイトを扱える魔法師がいないか尋ね、深雪は津久葉家でも無理だろうと返答する。八雲によると、水波に憑依しているパラサイトは封印されていて、これを除去するには従魔の術が必要だという。結局、達也たちはパラサイトの封印を解除できる光宣を探し出すことを決める。達也は光宣の逃亡先がUSNA西海岸である可能性が高いと推理し、リーナにUSNA政府へ光宣の捜索を依領するよう頼む。リーナはペンタゴンのバランス大佐に連絡を取り、光宣の捜索依頼を行う。

光宣とレイモンドがロサンゼルスの港に近い隠れ家で過ごしているとき、連邦政府が光宣の捜索を開始するという情報が入る。この捜索にはFBIやCIAも関与する可能性があるとレイモンドは指摘する。光宣は、これを機に日本に戻る決意を固め、レイモンドも彼に同行することを申し出る。光宣は自分の事情で日本に戻る必要があるが、レイモンドには危険を冒してまで同行する必要はないと反対する。しかし、レイモンドは光宣と水波の物語を最後まで見届けたいという願いから、どんな危険も受け入れる覚悟を示す。

2

達也は、研究室でレリックの製法確立に取り組んでいた時、深雪から国防軍がモノリス・コードの交流戦に協力するというニュースを受ける。この支援は達也がUSNA政府の高官と接触したことに反応してのもので、達也は国防軍の動機に疑問を持つが、表面上は喜んで対応する。深雪が学校に行くと言い出し、達也は彼女に同行しようとするが、深雪はリーナと行くと言って達也を家に留める。達也は深雪が安全に学校に通えるよう手配し、彼女の決断を支持する。達也は自分が公に出ることのリスクを認識しており、深雪の判断が合理的であることを理解しつつ、自分が行動を制限されている現状を複雑な気持ちで受け入れる。

リーナが日本に再来日した時には九校戦の中止が決まっており、彼女は九校戦とその中止の事情について詳しく知らなかった。深雪は、九校戦が毎年開催されていた魔法競技大会であること、そして今年は中止になったことを説明する。中止の理由は、大亜連合軍基地が武装ゲリラに襲われ、その際に達也が開発した『能動空中機雷』が使用されたことが影響している。この事件を受け、魔法技術の拡散を懸念する声が高まり、九校戦が中止となった。代わりにモノリス・コードの交流戦の開催が決まったが、準備が進んでいなかった。しかし、達也がUSNA国防長官付き秘書官と面会した翌日、国防軍が交流戦への協力を急に申し出てきた。リーナと深雪は、この国防軍の態度変化が達也の面会が影響していると推測している。

九校戦の代わりに開催されるモノリス・コード交流戦の準備のために、生徒たちが活動している様子が描かれています。深雪とリーナが一高に到着し、生徒たちの憧憬と称賛の中、部活連本部へ向かいます。そこで、交流戦の選手選考会議が行われ、十師族血縁者の辞退が決定されます。選手候補として幹比古、五十嵐、森崎の名前が挙がりますが、森崎は自分よりレオが相応しいと提案します。レオはエリカを推薦し、交流戦で女子選手の参加が認められることになります。深雪は全員が試合ごとに入れ替え可能な選手として選ばれる方式を提案し、全会一致で承認されます。エリカはデバイスに関して要望を述べ、隅守健人がその準備を責任を持って行うことを約束します。

3

魔法協会関東支部の百目鬼支部長から達也に出頭を命じる連絡があったが、達也はこれを拒否し、電話での直接対応を提案する。その後、達也の家に本家の葉山から連絡があり、臨時の師族会議への出席を求められる。達也はこれを受け入れ、金沢の加賀大門ホテルで行われる会議に出席することを決める。達也は魔法協会の要求に対して堂々と対応し、自分の立場を守りつつ、家族の要請には応じる様子を見せる。

達也は深雪とリーナからエリカが一高のモノリス・コード選手に選ばれたことを聞いて、一高の変化を肯定的に捉える。彼は、女子選手が出場することの意義を理解しており、エリカの実力を高く評価しているが、モノリス・コードのルールがエリカのスタイルに合わないことを懸念する。リーナはアメリカのルールと比較して、日本のモノリス・コードがスポーツ競技であることに驚く。達也は女子選手の安全を考慮し、防御用武装デバイスの使用を提案する。彼らは女子生徒にも活躍の機会を与えるべきだと考えている。

達也は金沢で開催される師族会議に出発し、深雪は珍しく一緒に行かないことを選択した。深雪の理由は、一条家の当主と顔を合わせたくないことにあった。今年の正月に一条家の当主が達也との婚約を邪魔しようとした経緯があり、深雪は直接対面することでその問題が蒸し返されることを避けたいと感じている。特に、会議が一条家の地元であることが深雪の決断に影響を与えた。リーナは深雪の気持ちを理解し、深雪と水波はリーナの反応に苦笑いを交わした。

臨時師族会議が加賀大門ホテルで開催され、達也が参加する。会議では達也の最近の行動に対する質問が主で、特に彼が個人として米国政府と交渉し、技術提供と引き換えに戦略級魔法師アンジェリーナ・シールズ中佐の支援を受けることになった件が議論される。達也は自身の行動を正当化し、彼が個人としても大きな軍事力を有していることを世界に示したことで、魔法師の権利を守るためには政府に全面的に依存しない方が良いと主張する。また、シールズ中佐が一高に通うことに関しても説明し、彼女の正体が露見した場合の日米関係の悪化を懸念し、情報管理の徹底を師族会議の参加者に求める。達也の強い立場と説得力ある説明により、会議は彼に対する疑問や批判を解消する方向で終了する。

達也は臨時師族会議を出ると、一条将輝と大亜連合の国家公認戦略級魔法師、劉麗蕾(レイラ)に会う。将輝は達也に、彼らが戦略級魔法師管理条約の件で会議に呼ばれたことを明かし、レイラが日本に亡命した事情を説明する。将輝は達也と進路について話をし、自身が国家公認戦略級魔法師として軍と深く関わるか、それとも防衛大を目指すか迷っていることを打ち明ける。達也は自分は魔法大学に進学する意向であり、将輝にも自分のやりたいことを優先するよう助言する。達也は戦略級魔法師という肩書は政府や軍の都合に過ぎず、将輝自身にはそれを背負う必然性がないと説く。会話の後、達也は立ち去る。

達也が将輝と話している頃、リーナにはボストンからアビゲイル・ステューアット博士からの国際電話がかかってきた。アビゲイルはスターズの技術顧問で、リーナの魔法兵器『ブリオネイク』を作成した人物であり、リーナとは仕事上の関係で年に数回会っていた。アビゲイルからの予期せぬ連絡は、彼女が恒星炉プロジェクトの一環として半年間日本に滞在することになったという知らせだった。アビゲイルは派遣技術団の一員として巳焼島に行く予定で、リーナにはその事実を知らされていなかった。アビゲイルの日本訪問は、USNAが恒星炉技術をどれだけ重視しているかを示している。

4

8月11日の夕方、巳焼島事変についてのニュース番組にエリカ、レオ、幹比古が出演し、事件の目撃談を語った。彼らはケーブルテレビの『カル・ネット』で、偶然事件現場に居合わせた一般の高校生として、その時の状況を証言した。番組は大きな反響を呼び、彼らが魔法科高校生であること、達也の友人であることを公表した上で話をしたため、多くの視聴者が彼らの証言を重視した。特にエリカが主に話をしたが、彼らがテレビに出演することになったのは、事実を歪曲されるリスクを避けるためだった。彼らの目的は達也に不利なフェイクニュースを防ぐことであり、生放送を条件にニュース出演を決意した。この出来事により、エリカは注目を集め、真実の証人としてのミッションをクリアした。

8月12日に達也は、深雪とリーナを乗せてエアカーで学校に登校した。夏休み中であり、彼が公共交通機関を使うと混乱が生じる懸念から特別に許可が出されていた。達也の目的は、昨日テレビ出演をしてくれた友人、特にエリカに感謝を伝えることだった。カフェでエリカに会い、彼女のテレビ出演に対する感謝の言葉を述べた。エリカは精神的に疲れている様子だったが、交流戦への準備のため、今日も学校に来ていた。エリカの真面目な態度にリーナは意外な印象を持った。

京都の魔法協会本部で、会長や支部長、部門長が集まって臨時の会議が開かれた。議題は達也に対する懲罰の実施だったが、百目鬼関東支部長以外の参加者は達也を懲罰する実効性に疑問を呈していた。達也は四葉家の一員であり、魔法協会のライセンスに頼る必要がないため、懲罰は効果がないと考えられていた。会議は懲罰の具体的な内容を決める前に、防衛大臣からの緊急連絡によって中断された。大臣は達也の行動に問題がなかったとし、魔法協会にもこの認識に沿った行動を求めた。この発言により、会議は閉会され、百目鬼の提案は受け入れられなかった。

真夜が防衛大臣からの電話を受け、達也に対する政府の評価を魔法協会に伝える内容であったことを葉山に伝えた。政府は達也が米国との接触を通じて結んだ協定の内容は詳しくは分からないものの、彼が日本を離れ米国につく可能性に警戒していると考えられる。真夜は、政府が魔法協会に達也への余計な介入をしないよう警告したことを指摘し、葉山は達也がまだ十八歳であり、年長者として彼をサポートする必要があると述べた。真夜は葉山に、達也の至らぬところを見つけたらフォローするよう頼んだ。

深雪とリーナは部活連本部にて、エリカの交流戦出場について問題がないことを確認し、他校も女子選手を出場させることになったと知らされる。五校が女子選手を出場させることになり、これには過半数の学校が含まれる。五十嵐が、九校戦が達也のせいで中止になったという中傷に触れ、謝罪するが、深雪はそれを気にしていない。深雪は女子選手出場に伴うルール変更について達也からのアドバイスをもとに問い合わせ、五十嵐は大学での対物シールド魔法をプログラムした防御用武装デバイスが認められているルールを参考に他校と協議することにする。深雪とリーナは五十嵐が対応を進めるのを見守りつつ、部活連本部を後にする。

達也は校舎裏の演習林で、エリカのモノリス・コードの練習を見守っている。エリカは高い身体操作能力を見せ、達也は彼女の技術を高く評価している。練習の結果、エリカは模擬戦で相討ちに終わるが、その実力は認められている。達也はエリカに対抗魔法の使用を提案し、二時間後には自作のCADを用いて「想子ブレード創出の魔法」をエリカに提供する。この新しい技術により、エリカは直接攻撃魔法に対抗できるようになる。エリカはこの新しい挑戦に前向きで、練習を続ける決意を固める。その後、エリカは「魔法式斬壊」の技術を身につけ、夕方にはその技術を使いこなしていた。

5

達也たちは、USNAからの技術者団が恒星炉技術を習得する目的で巳焼島を訪れることに備え、巳焼島に戻ってきた。技術者名簿にアビゲイル・ステューアットの名前が記載されていたことに対し、達也は驚きを隠せない。リーナはアビゲイルとの知り合いであり、彼女が荷電粒子魔法兵器の専門家であること、そしてリーナの武器を開発した人物であることを説明する。深雪はアビゲイルが来日することの背景に疑問を持つが、達也はアビゲイルが重要人物過ぎるため、何か裏があるとは考えにくいと語る。また、アビゲイルが恒星炉技術への純粋な興味から来日すると推測している。アビゲイルの来日に関する話は、彼女の特異な性格や趣味によってやや有耶無耶になるが、達也たちは彼女の訪問を前向きに捉えている。

2097年8月15日、達也とアビゲイル・ステューアット博士の出会いは歴史に大きな足跡を残すことはなかったが、両者にとっては重要な意味を持つ出会いだった。達也はアビゲイルをFAE理論を実用化した天才として、アビゲイルは達也を加重系魔法の技術的課題を解決した鬼才として互いに敬意を表した。達也はアビゲイルに恒星炉プラントを案内し、その後立食パーティーで歓迎した。パーティーではリーナも参加し、アビゲイルはリーナのフィアンセである達也と深雪を紹介された。アビゲイルは達也に、彼が探していた人物がロサンゼルスにいたが、既に出国したことを伝えた。達也はその情報に感謝し、アビゲイルは達也が探していた相手について詳細を訊ねなかった。

歓迎パーティー後、達也が午後五時過ぎに巳焼島の別宅に戻ると、深雪と水波が出迎えた。達也はUSNAの技術者たちのタフさに言及し、リーナは光宣の追跡が難しい現状を指摘した。光宣が隠れ家から逃げたが、その後の行方は不明。達也は光宣が日本に戻ってくると断言し、その理由として光宣が水波を見捨てないと信じているからだと語った。深雪は光宣の行動を肯定し、その言葉が水波に深く響いた。達也たちはまだ高校生であり、未熟さがあることを物語の文脈は示している。

6

光宣とレイモンドは、平均速度50ノットで太平洋を西進し、日本を目指していた。船内では、光宣が『仮装行列』を使用して船を隠しながら、古式魔法の発動媒体である特殊な令牌を作成していた。この令牌は、辰砂を用いた呪符であり、光宣は達也との戦いに備えていた。

レイモンドからの報告により、航路は正常であり、オートパイロットも正常に機能していることが確認された。西太平洋の台風リスクにもかかわらず、二人はそのリスクを気にしておらず、これは魔法師としての自信から来ている。

二人はパラサイト化しており、自然災害などのリスクを軽視していた。日本時間の8月19日までに日本の領海に入る予定であったが、光宣の最大の懸念は、水波の治療の最終処置が間に合うかどうかだった。光宣は、達也に追われている状況下で、水波の容態が急変したと誤解しており、日本に戻らなければならないと感じていた。

日本に戻るための選択肢として、空路が望ましかったが、米軍の協力が得られず、入国審査を誤魔化すことができなかったため、小型クルーザーでの帰国を選択した。光宣は、水波の容態が致命的に悪化しないことを祈りながら、焦りに耐えていた。

8月16日の朝、達也は巳焼島の別宅があるビルの屋上ヘリポートで兵庫と共にいた。達也は恒星炉の技術指導のため巳焼島に残る一方、深雪は東京にある一高へ九校間交流戦のために戻る必要があったため、別行動を取ることになった。兵庫が操縦するVTOLで深雪、リーナ、水波は東京へと向かった。

兵庫が巳焼島に戻ってきたのは正午前で、その後、達也の指示でピクシーと呼ばれるパラサイトを宿した3H(Humanoid Home Helper)を連れ帰った。達也はピクシーに家事の手伝いと、パラサイトの侵入を感知したら報告するよう命じた。ピクシーは、達也の命令を固く守り、彼からの新しい仕事を喜んで受け入れた。ピクシーは達也に全てを捧げたいという強い想いを持っており、達也の身の回りの世話をすることを本望としていた。また、達也は消耗した想子をピクシーに分け与えることを約束し、ピクシーはこれに深く感謝した。

8月19日午前10時、光宣とレイモンドが乗る小型クルーザーが日本の領海に入る際、レイモンドが光宣に警告した。密入国が日本にいるパラサイトに感知される可能性があり、光宣はパラサイトの状態を確認するために一瞬だけパラサイト同士の交信を可能にすることを決めた。これにより、水波の容態が急変したかどうかを知ることができる。

光宣はレイモンドに領海線越えのカウントダウンをさせ、ゼロの瞬間に一瞬だけ魔法的知覚力を全開にして水波に埋め込んだパラサイトの状態を確認した。水波に埋め込んだパラサイトは完全に不活性化したままであり、水波の容態が急変したというのは考えすぎだったことが分かった。その後、光宣は予定どおり『仮装行列』を発動して自分たちの所在を隠した。

達也はアメリカ技術団との恒星炉見学中にピクシーからの緊急テレパシーを受け取り、外へ出て通信を確認する。ピクシーは西方海上、志摩半島南東沖でパラサイトの波動を一瞬感知したと報告。達也は光宣が密入国した可能性を考えるが、具体的な行動には移さず、光宣が接触してくるのを待つことに決める。彼はピクシーにパッシブモードでの監視を続けるよう指示し、過剰な行動は避けることを選んだ。

光宣とレイモンドは8月20日に神戸の南京町にある屋敷に上陸し、密入国した。レイモンドが以前の密入国時に使用したこの屋敷に戻ることに対して不安を示すも、光宣は懸念を払拭し、屋敷に入る。以前と同様に、光宣を覚えている使用人が彼らを迎え入れる。光宣は「戦場で最も安全な場所は最後に砲弾が落ちた所」という考えを示し、既にバレてしまった隠れ家への再使用が予想外であることを利用する作戦を説明する。しかし、彼はそこに長居するつもりはなく、次の行動を考えている様子を見せる。

7

8月23日の朝、制服に着替えた深雪が自室から出ると、水波がダイニングテーブルで座っていたが突然力なく椅子に逆戻りした。深雪は水波をリビングのソファに座らせ、メディカルコールを使って医療スタッフを呼んだ。水波は軽い貧血で、お医者様は夏バテではないかと診断した。達也は深雪からの連絡を受け、水波の状態に安堵し、巳焼島から調布に戻ることを決めた。水波の不調は光宣にも伝わり、彼はレイモンドとともに日本に戻ってきて、神戸の南京町にある屋敷に上陸し、水波の容態が気になっていた。光宣は達也に挑戦状を送る決意を固めた。達也が調布に戻ると、午後には水波が起きてきて、彼女の無事に安堵する家族の様子が描かれる。

達也が巳焼島から調布に戻った主な理由は水波の心配だったが、それだけではなかった。彼の予測通り、翌日の夕方、光宣からメールが届く。メールは8月25日22時、東富士演習場での待ち合わせを告げる内容だった。この「果たし状」を受け取った達也は、深雪、水波、リーナを連れて対決に臨むことを決める。

一方、光宣とレイモンドは東富士演習場内のホテルに堂々と宿泊していた。光宣は明日の決戦に向けて、最後に一度泊まってみたかったホテルに滞在することを選んだ。

達也はこの挑戦を秘密にせず、真夜に報告。達也は深雪、水波と共に対決に臨む計画を立て、真夜は遠巻きに囲む伏兵包囲戦法を提案し、達也の邪魔にならないように支援することに同意する。達也は八雲にも光宣との対決の意志を伝え、八雲は達也の決意を尊重し、介入しないことを約束する。

真夜は計画に基づき、津久葉家以外の四葉家分家には手を出させず、夕歌にのみ協力を求めるよう指示を出し、葉山がそれを手配することになる。

8

8月25日の夜、達也たちは光宣によって呼び出された九校戦の旧モノリス・コード草原ステージに集まった。光宣の魔法により、達也たちは無事に演習場内に入り、人目を避けながら指定された場所に到着する。光宣とレイモンドは達也たちの到着後すぐに現れ、達也と光宣は対峙する。

達也は光宣を人間に戻そうとする計画を実行に移すが、光宣はパラサイトの本能により自殺を避け、達也に殺されることで自らの精神を水波の精神に吸収させ、彼女の魔法演算領域の安全装置になることを選択する。達也は光宣の心臓を破壊し、パラサイトを抜き出そうとするが、光宣はパラサイトの力で即座に心臓を再生し、達也の計画を阻止する。

光宣は自らの行動が水波の病状を悪化させたことを認め、達也に自分を殺して水波を救うよう懇願する。達也は光宣の願いに応え、彼を殺そうとするが、最終的に光宣は達也の手を止め、自らの命を犠牲にして水波を救うことを選ぶ。達也は光宣の意志を尊重し、彼の計画を支持することに決める。

水波が達也と光宣の間に割って入り、光宣に自分をパラサイトにするよう求める。彼女は自分の命が長くないことを受け入れ、光宣と共にパラサイトとして生きることを選択する。光宣は最初戸惑うが、水波の決意を受け入れる。達也は二人の願いを受け入れ、巳焼島の地下牢獄で二人が共に眠る場所を提供することを約束する。レイモンドも達也に捕らえられ、USNA当局に引き渡されることを選ぶ。達也は深雪に光宣がおかしな動きをしたら、コキュートスを使うように命じる。全員が巳焼島に向かうことになり、光宣と水波の未来は、彼らが選んだ通りに決定される。

9

達也は光宣と水波の寝所として巳焼島の地下深くにある厳重な牢獄を選んだ。三日間の準備の後、光宣はパラサイト化の儀式を行い、水波もそれを受け入れる。水波は目覚めると自分がパラサイトになっていることを理解し、光宣と心の中で会話する。彼女の自我は損なわれておらず、二人は成功を確認する。達也は二人を新居に残し、良い夢を願いながら去る。光宣と水波はそれぞれの決意を持ち、現世での彼らの居場所がないことを理解しており、この地下牢獄で共に過ごすことを選択した。

達也が地下牢から戻った後、光宣と水波が深い眠りについたことを係員から報告される。二人はほぼ仮死状態で安定しており、達也はこれが光宣が提供した人工冬眠魔法であることを感じ取っていた。レイモンドはすでにUSNA軍に引き渡されているが、達也はその後の彼の運命には関与していない。達也はこれで一区切りと考え、今後の計画の準備に向けて動き出すが、それには少なくとも二年かかる見込みである。その後、達也は深雪に一時の別れを伝えるために四葉家関係者用マンションビルに向かった。

卒業編

1

国立魔法大学付属第一高校では、卒業式を一週間後に控え、特に傑出した現在の三年生たちの卒業に対する落ち着かない空気が漂っていた。この世代には、四葉家直系である前生徒会長の司波深雪や「トーラス・シルバー」の正体であり魔法工学技術に長けた前生徒会書記の司波達也など、極めて高い実力を持つ学生が多数在籍している。また、留学生のアンジェリーナ・クドウ・シールズや風紀委員長の吉田幹比古、モノリス・コード交流戦で活躍した千葉エリカなど、特定の分野で高い評価を受けている生徒が多数おり、この三年間が一高の黄金期だったと称賛されている。教職員と在校生は、これらの生徒の卒業を惜しみながらも、新たな不安とともに彼らに祝福を送ろうとしている。

達也が久しぶりに一高に登校すると、エリカに声をかけられる。彼女は魔法大学への進学を決めており、その決定について達也たちと話し合う。エリカは以前、高校卒業後に武者修行の旅に出ることを真剣に考慮していたが、モノリス・コードの交流戦での活躍により、警察や国防軍から注目されるようになり、最終的には魔法大学への進学を選択する。達也とエリカは進学後の計画について話し合い、レオが「克災救難大学校」への進学を決めていることも明らかになる。生徒たちは新学期の準備や将来の計画について話し合い、友情と将来に対する期待を共有する。

2

2098年3月15日、土曜日に魔法大学付属第一高校を含むほとんどの付属高校で卒業式が行われた。新ソ連軍の撤退により、日本海沿岸の厳戒態勢は解除される予定であるが、金沢市の三高と出雲市の六高は状況が許さず卒業式が延期された。今年の卒業生は170名で、魔法大学へ進学する者が128名、防衛大へ進学する者が15名である。魔法工学科からは一人の退学者も出さず全員が卒業した。卒業証書の授与は成績優秀者から始まり、最優秀卒業生として深雪が最初に名前が呼ばれ、最後に特別な感謝の言葉と共に達也が卒業証書を受け取った。これは前代未聞の出来事であり、達也が規格外の成果を残した生徒として卒業したことを示している。

今年の魔法大学付属第一高校の卒業パーティーは、一科生、二科生、魔工科生の区別なく一つの会場で開催され、中庭でのガーデンパーティーとして行われた。天気が良かったため、計画されていた巨大天幕を張る必要はなかった。卒業生として特別な扱いを受けた達也について、レオは驚きを示すが、達也は自分の特別措置がディオーネー計画参加のためだったと説明する。しかし、周りの人々は達也の貢献を認め、学校からの感謝はそれだけではないと考えている。

パーティーでは、達也たちのグループがいつものように集まるが、途中で分かれて各々の知り合いやクラスメイトのもとへ向かう。その後、深雪に現生徒会長の泉美が近づき、赤い制服を着た男子生徒を伴っている。その生徒は三高の一条将輝で、彼は東京にいるので泉美によってパーティーに招待された。将輝は深雪に挨拶し、リーナ(アンジェリーナ・クドウ・シールズ)を紹介され、彼女の祖父が九島閣下の弟であることに驚く。パーティーでの会話から、達也が持つ人脈や影響力の深さを将輝は感じ取り、自分と達也との間にある種の敗北感を覚える。将輝は達也に後で話があると言い、開会セレモニー後に時間を求める。

卒業式後のパーティーで、開会の挨拶と深雪の謝辞の後、達也と一条将輝は人目を避けて話をするために小体育館裏の空き地へ移動する。将輝は達也に対して深雪への愛情を告白し、達也もまた深雪を愛していると答える。二人は深雪への愛をめぐって言い争い、最終的には拳で感情をぶつけ合う。この争いは達也が勝利し、彼は深雪を誰にも渡さないと宣言する。

この間、卒業パーティーの参加者たちは二人のやり取りを見守っており、深雪が達也に対して同じく誰にも渡さないと宣言した後、周りからは喝采が上がる。その後、達也と深雪は手を取り合って、桜吹雪の中を駆け抜ける。この瞬間は、二人の愛が確かなものであると周囲に認められ、彼らの未来への第一歩となる。【完】

[エピローグ/プロローグ]

劣等生として入学した達也と完璧な優等生の深雪は、兄妹から婚約者同士へと関係を変えながら卒業した。達也は魔法大学に進学するも、出席は最低限に留め、巳焼島の研究室で時間を過ごしている。成績は劣等生の水準であるが、深雪は大学でも優等生を続け、達也とは異なる活動が増えている。リーナは深雪の護衛として、常に彼女と共にいる。ほのかと雫は平凡な大学生活を送りつつ、外で活動を続けている。エリカは魔法大学に通いながら日本を旅しているが、レオは友人たちと疎遠になり、レスキュー隊員としての訓練に専念している。美月と幹比古は関係が進展し、一緒に生活を始めている。一方で、将輝は達也との殴り合い後、魔法大学に入学し深雪へのアプローチを続けているが、リーナに阻まれている。劉麗蕾という元国家公認戦略級魔法師の美少女が、将輝の部屋に頻繁に出入りしている。この二人の関係は国防軍の監視下にあり、問題視されていない。『戦略級魔法師管理条約』は結局締結されず、ドイツやフランスなどは魔法師への締め付けを強めている。佐伯少将の影響力は低下し、独立魔装大隊は連隊に拡張された。藤林は四葉家に身を寄せ、達也との協力関係を深めている。これらの出来事は平和な日々の中で続いているが、物語は二十一世紀最後の年に新たな展開を迎えようとしている。

西暦2100年、達也、深雪、リーナは大規模魔法の最終段階に取り組んでいた。達也は過去に大きな実績を残し、今回は重犯罪魔法師を安眠させる特殊監獄で、光宣と水波を目覚めさせる魔法を行使する。彼らを起こす理由は、新たな選択肢が準備されたからである。その選択肢とは、改造された大型潜水艦「高千穂」を宇宙住宅として利用する計画である。達也たちは、「高千穂」を衛星軌道に打ち上げ、宇宙での生活を提案する。光宣と水波はこの新たな生活を受け入れ、魔法によって「高千穂」と共に宇宙へと移動する。達也の固有魔法により、「高千穂」は宇宙で再組立され、光宣と水波からの通信で全てが正常に機能していることが確認される。これにより、達也、深雪、リーナによる世界と宇宙を股にかけた新しい時代が始まる。この計画は、地上に安心して暮らせる場所がない光宣と水波に、宇宙での新たな生活を提供するものであり、彼らが自由に地上と行き来できるように設計されている。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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