小説【魔法科】「魔法科高校の劣等生(5) 夏休み編+1 」感想・ネタバレ

　今度の『魔法科』は特別編！　ウェブ未公開の最新書き下ろし短編を収録！　魔法科高校生徒たちの意外なエピソードが紐解かれる！
『夏の休日』――雫の別荘に遊びに来た、達也とその友人たち。豪華なリゾート地でバカンスを堪能する中、達也に恋心を抱くほのかが気合いの一大決心を!?
『友情と信頼とロリコン疑惑』――十師族・一条家の次期当主、一条将輝。彼の友人である吉祥寺と共に過ごすプライベートとは……？
『メモリーズ・オブ・ザ・サマー』――達也と深雪が町にショッピングへと繰り出した。深雪は、デートのようなシチュエーションに心躍らせていたが……。
『会長選挙と女王さま』――三年生である真由美が、もうすぐ生徒会会長を引退するという。その後継者に、とある人物を名指しするが……。
魔法科高校の劣等生（５）　夏休み編＋１

感想

上記の他に、森崎が主人公になる「優等生の課外授業」
森崎って結構強いのね。。

エイミィの御家騒動に十三束が巻き込まれる「アメリア・イン・ワンダーランド」
エイミィの迂闊さと十三束の不幸体質が炸裂する。

そして、CADマニアのアーちゃんが物欲に負けて生徒会長に立候補する「会長選挙と女王さま」
何気に達也と深雪の裏ボス感がこの時から・・
いや、アーちゃんを生徒会長にさせたのが達也だから、、
あながち間違いじゃまないか。

最後までお読み頂きありがとうございます。

魔法科高校の劣等生（5）　夏休み編＋1

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佐島　勤/石田　可奈 KADOKAWA 2012年04月

備忘録

夏の休日

『海に行かない？』という雫の一言から始まる話は、雫の家族が所有する小笠原のプライベートビーチ付き別荘への招待である。深雪はこの提案に興味を示し、雫は自分の父親も深雪と達也に会いたがっていると説明する。計画は、雫、ほのか、深雪、達也を含む親しい友人たちを招待することに決定した。達也と深雪は、友人たちと共に雫の別荘へ行くための準備を進め、全員がその日程で参加できることが確認された。

旅行の当日、彼らは葉山のマリーナに集合し、そこから雫の父親、北山潮に会う。彼は彼らを温かく迎え、すぐに別の用事で去った。彼らはクルーザーで小笠原の別荘がある島へ向かい、船旅を楽しむ。

ビーチに到着した後、少女たちは水着姿で楽しみ、達也は彼女たちの姿に目を奪われる。しかし、深雪とほのかは達也の身体の特徴を気にしないと表明し、二人は彼に対する強い絆を示す。エリカも達也に対して理解を示し、雰囲気は和やかになる。最終的に達也は彼ら全員を引き連れて海で泳ぐことを決意する。

達也は海で漂いながら、友人たちとの時間を楽しんでいる。一方、ほのかは泳ぎが苦手で、ボートが転覆する事故に遭遇する。事故後、達也はほのかを助け出し、彼女の水着が乱れていることに気づく。その夜、ほのかは達也に対して自分の感情を告白し、達也は彼女に自分は恋愛感情を理解できないと説明する。彼は幼少期の事故で精神的な機能の一部を失っており、恋愛感情を持つことができないという。しかし、ほのかは達也に対する自分の気持ちを変えることはないと決意する。

翌日、深雪とほのかは達也の注意を引くために競い合い、達也はこの状況を楽しむように見える。物語は、友情、愛情、そして自己受容についての探求を通じて、登場人物たちの成長と変化を示している。

優等生の課外授業

夏休み後半の第一高校では、九校戦が終了し、スポーツ系各部が自主トレモードに入っていた。一年生の森崎は、閉所戦闘練習場でタイムトライアルに挑むが、失敗する。その後、滝川和実との交流を経て、自身の焦りと向き合うことになる。

森崎は、クイック・ドロウ技術を持つ森崎家の一員で、ボディガード業務も手伝っていたが、最近はその手伝いもなく、自己の技能が後退していると感じていた。ある日、外出中に美少女を見かけ、彼女が不審な男たちに囲まれているのを目撃し、彼らを魔法で無力化する。しかし、最後の一人が実弾銃を持っていたことに気づくが、少女が彼の手を取って銃を撃たせない間に、森崎が反撃し、事態を収拾する。

少女は落ち着いており、森崎の提案に従って駅へ向かい、手をつないで走る。この一連の出来事を通じて、森崎は自分の心境に変化を感じ、少女への感謝と護るべき対象への責任感を強く意識するようになる。

駅に到着した後、リン・リチャードソンは、自分が待ち合わせをしていると説明し、森崎駿に自分の護衛を申し出る。リンは魔法師ではないが、人目を引かなくするマジックアイテムを持っており、森崎はリンの護衛を引き受ける。レインボーブリッジの真下でリンの待ち合わせ相手に会う予定であるが、途中で「ウォリアーズ」と名乗る少年集団に遭遇し、森崎は彼らと対峙する。リンを守るために、森崎は魔法を用いて少年たちを無力化し、リンとの信頼関係を深める。

待ち合わせの船が着く場所へと向かう途中、リンと森崎は手をつなぎながら走った。彼らは、途中で邪魔をされることなく、多くのカップルがいる公園の水辺の広場に到着した。リンは魔法師についての疑問を森崎に投げかけ、彼らが戦いを好むのか、または特別な力を見せつけることを好むのかと尋ねた。森崎は、魔法師が戦うことを好むわけではなく、少なくとも自分は相手を傷つけることを好まないと答えた。しかし、リンは戦う以外の方法もあったはずだと反論し、森崎はその場を切り抜けるための最適な行動を取ったと主張した。

その後、彼らは情報管理局の者たちに遭遇し、リンの護衛を引き継ぐと言われるが、リンはこれを拒否し、森崎と共に逃走する。森崎は水中で移動魔法を使用し、追跡者たちを撃退する。リンは森崎が人間であること、魔法師だからと言って危険なことをしなくても良いと彼に伝える。最終的に、リンはクルーザーで去り、森崎は彼女を見送る。

アメリア・イン・ワンダーランド

西暦2095年の夏、国立魔法大学付属第一高校の一年生、明智英美（アメリア＝ゴールディ）は、遊園地で友達と遊ぶ予定であった。彼女はイギリスの祖母からの国際電話を受け、スイスの山荘で過ごすことを提案されるが、学校の都合で断る。この電話が原因で、彼女は予定より早く遊園地に到着する。

遊園地では、クラスメイトの桜小路紅葉（あかは）と九校戦で親しくなった里美スバルと合流する。しかし、英美は二人とはぐれてしまい、通信機器が使えないために迷子になる。スバルと紅葉は、英美が方向音痴ではないことから、彼女の迷子状態に疑問を持つ。ワンダーランドが子供も安心して遊べるアミューズメント施設であるにもかかわらず、案内板やガイドが見つからないのはおかしいと話し合う。

三人は「賢者の塔」で再会する計画を立てる。英美は塔を目指し、スバルと紅葉は英美の安全について心配しながら塔へと向かう。

魔法科高校に通う明智英美は、友人との集合場所へ向かう途中で不自然な生け垣に阻まれ、その場を抜け出そうと魔法を使おうとする。しかし、クラスメイトである十三束鋼に止められ、二人は遊園地「ワンダーランド」の非公開エリアに迷い込んでいることに気付く。英美の方向感覚により、彼女たちは生け垣が通常と異なる魔法で作られていることを見抜く。鋼は英美に生け垣を破壊することを許可し、その後、黒服の男たちに襲われる。

黒服の男たちは英美からゴールディ家の秘術「魔弾タスラム」の術式を得ることを目的としていたが、英美と鋼は彼らを撃退する。英美はトランプを使った魔法で黒服たちを負傷させ、鋼はマーシャル・マジック・アーツを駆使して彼らを圧倒する。最終的に黒服たちは撃退され、英美は証拠隠滅として黒服の身体に刺さったカードを焼き払う。

この一連の出来事を通じて、英美と鋼は互いの秘密を知ることになり、その秘密を守る約束をする。事件解決後、英美は鋼に怪我人の救護と警察への通報を任せ、友人のもとへ急ぐ。

英美はスバル、紅葉と合流し、ベンチでクレープを食べながら、ワンダーランドのスタッフの服装について話をする。彼女は、不思議の国をテーマにした遊園地のスタッフならもっと特徴的な服装が良いのではないかと提案し、ヴェネチア仮面のマジシャンのような格好を例に挙げる。このアイデアはスバルと紅葉にも好評で、彼らはスタッフの想像上の衣装について話しながら、鋼がバニーボーイの格好をすることについて冗談を言い合う。

友情と信頼とロリコン疑惑

国立魔法大学付属第三高校に通う吉祥寺真紅郎は、資料室で論文コンペの発表用原稿を作成していた。彼は、九校戦で出会った司波達也に対する対抗心から、論文コンペでの勝利を目指している。吉祥寺は、理論だけではなく実践も伴う魔法研究の重要性を認識しており、司波達也に完全に上回られたと感じていた。このことが彼の動機となり、九校戦後、原稿作成に没頭している。また、吉祥寺は一条将輝が恋の病にかかっていることを知っており、その相手が司波深雪であることに複雑な感情を抱いている。夕方、学校を出る際に一条将輝に声をかけられ、彼の家に招かれる。一条家は国立大学付属の高等学校とは無関係で、吉祥寺と将輝は親友の関係である。将輝の家では、彼の妹茜が吉祥寺を歓迎する。将輝の部屋で二人はお茶を飲みながら、各々の進捗状況やトレーニングについて話し合う。

電子音と共にリアルタイム・シミュレーションゲームの画面が停止し、将輝と吉祥寺は戦術について議論する。ゲームはただの遊びではなく、魔法大学軍事学部戦術研究室が作成したもので、市街戦における魔法師運用の訓練に利用できる。吉祥寺は将輝に王道の戦術が適していると助言し、奇策を使うことより、奇策に対処する方法を学ぶべきだと提案する。将輝は吉祥寺の提案を前向きに受け入れ、二人は一緒に九校戦の雪辱を果たすことを誓う。その後、将輝の妹・茜が部屋に入って来て、吉祥寺と交流する。将輝は、司波深雪に対する自身の感情について語り、彼女が司波達也の妹であることから、雪辱を果たすまでは交際を申し込む気になれないと吉祥寺に打ち明ける。吉祥寺は将輝への全面的な支援を申し出る。

将輝の父親、剛毅が急な会食で帰宅が遅くなるため、一条家の夕食は将輝、その母美登里、妹たちの茜と瑠璃、そして吉祥寺の五人で囲むことになった。食卓では茜が賑やかに話し掛け、家族間の暖かい雰囲気が流れる中、美登里と茜は吉祥寺に家に下宿しないかと提案する。しかし、吉祥寺は遠慮し、現在の寮生活の便利さを理由に断る。過去にも同様の提案があったが、吉祥寺は一条家の深い恩義を感じつつも、自身が一条家の一員になることは畏れ多く感じ、断っている。その後、茜の家庭教師をすることで、吉祥寺は週一回一条家を訪れることになり、夕食後は将輝と模擬戦術ゲームを行ったり、戦術について議論する。吉祥寺は将輝にとって最高の参謀になることを内心で誓う。

メモリーズ・オブ・ザ・サマー

西暦2095年8月31日、魔法科高校の生徒たちにとって夏休み最後の日である。この日、国立魔法大学付属第一高校に在籍する兄妹は、のんびりと家で過ごしている。兄は妹のためにアイスコーヒーを作り、妹はその準備を手伝う。二人は元ゲストルームを使った部屋でオープンテラス風にコーヒータイムを楽しむ。妹は特に兄からの褒め言葉に喜びを感じている。
8月14日、兄妹はショッピングタワーを訪れている。兄は妹にミラージ・バット優勝のご褒美として、好きなものを買ってやろうと考えていた。妹はいくつかのワンピースを試着し、兄の意見を聞きながら最終的に一番似合うと思われるドレスを選ぶ。兄はその選択を支持し、妹が着ていた服と一緒に購入したドレスを送ってもらうことにする。

8月31日、達也と深雪はショッピングを楽しんだ後、ランチを取ることになる。ランチ中、芸能プロの青年社長が深雪に映画の出演を持ちかけるが、達也はこれを断り、不快な雰囲気になる。その後、青年社長とその取り巻きによる暴力的な対立が発生するが、達也は彼らを制圧する。警察が現場に到着し、青年社長とその取り巻きを連行する。

8月14日、深雪と達也は衣服の購入後も街を散策する。ファッションビルでのショッピングを楽しんだ後、ランチを取る。その際、達也と深雪は、不愉快な出来事に遭遇するが、それを乗り越える。ランチ後、エスカレーターで再び青年社長に遭遇し、緊張が走るが、事件は平和的に解決する。最後に、一高のOBである警察官から深雪にサインを求められる場面で締めくくられる。

8月31日、達也と深雪は、ある銀行でIDの更新を目的に来店していた。その際、銀行強盗に遭遇するが、二人は特に動揺することなく、その場の状況を静観していた。強盗たちは改造拳銃を振り回し、銀行員と来店客を脅迫するが、銀行の防犯システムによって迅速に制圧される。この一連の出来事に、達也と深雪は深刻に捉えることなく、むしろその後、笑い話として振り返っていた。

達也は、セキュリティ強化のために、三ヶ月ごとにIDを更新する習慣がある。今回の訪問もその一環であり、銀行強盗との遭遇は予期せぬ出来事だった。深雪は達也と身を寄せ合いながら、ナンパ除けとして恋人のふりをすることが目的で外出を楽しんでいたようだ。この出来事を通して、二人の間の強い絆と互いへの信頼が垣間見える。

結局、銀行強盗は特に問題なく銀行の防犯システムによって制圧され、達也と深雪はIDの更新を無事に終える。銀行の支店長は、達也と深雪に対して、危ない目に遭わせたお詫びとして手数料免除の特典を提供する。この一件は、達也と深雪にとって単なる夏の日の一コマとして記憶されることになる。

生徒会長と女王様

生徒会の引退と新しい会長選挙の話題で、生徒たちの間にはさまざまな思惑が交錯している。選挙には、これまで主席入学生が生徒会長を務めてきたが、次期会長候補として名前が挙がっていた二人が別の理由で立候補しないことになり、誰が新しい生徒会長になるのか不透明な状況となっている。一方で、風紀委員会では、新しく女子委員が加わり、達也が彼女の指導を任されることになる。また、達也と生徒たちは、生徒会長選挙や風紀委員会の今後について話し合い、さまざまな意見が出される中で、達也や深雪が生徒会長になる可能性も浮上するが、それぞれが異なる理由で消極的な態度を示す。

新学期が始まり、生徒会長選挙の公示が間近に迫っている中で、一年生の間でも選挙の話題が盛り上がっていた。達也は生徒会長選挙に立候補するという噂が流れていることを知り、その噂の真相を探る。噂は、服部が部活連の次期会頭に推され、立候補しないという情報と、中条も立候補しないという情報が混ざり合い、達也が生徒会長に立候補するという話に変化していた。達也は真由美と鈴音から生徒会長選挙の現状と、深雪を立候補させたいという提案を受けるが、達也は深雪にはまだ早いと拒否し、代わりに中条を説得することを提案する。

真由美と鈴音は達也に感謝し、達也は中条に生徒会長選挙への立候補を直接説得することになる。中条は当初、生徒会長という役職には自分は不向きだと拒否するが、達也と深雪の説得により、最終的には立候補を決意する。達也は中条に対して、生徒会長に就任した際のお祝いとして、FLTの最新飛行デバイスを贈ることを提案し、これが中条の立候補を決意させる決定打となった。

新学期が始まり、生徒会長選挙が公示される。一年生の間でも立候補者についての話題が盛り上がる中、達也は幹比古と話す。幹比古は朝の勤行を再開したことを達也に話し、達也はそれを聞いて友人の回復を喜ぶ。その後、生徒会長選挙に立候補するという噂が流れるが、達也は立候補する意思がないことを強調する。噂の出所を探る中で、達也は教師や生徒たちからの好意的な反応や、自分への支持を感じ取る。達也はこの噂が自分に関わるものと確信し、その真偽を探ることを決意する。
達也は幹比古、レオ、エリカと共に帰宅し、途中で生徒会長選挙の話題で盛り上がる。生徒会長の立候補について、達也は自分には関心がないと再び明かすが、友人たちは達也が生徒会長になることを支持する。その夜、達也は生徒会長選挙に立候補するかどうかを家族と話し合うが、結論は出ない。
翌日、達也は教室で幹比古と再び話し、生徒会長選挙についての噂が広がっていることを知る。達也はこの噂を止めようとするが、既に学校中に広まってしまっていた。達也は教師や生徒からのさらなる支持を受け、生徒会長選挙への立候補を真剣に考え始める。
達也は生徒会長選挙に立候補することを決意し、その準備を始める。達也の立候補は多くの生徒や教師からの支持を受け、選挙キャンペーンは成功裏に進む。選挙当日、達也は圧倒的な支持を受けて生徒会長に選ばれ、その結果は学校全体に喜びをもたらす。達也の生徒会長就任は、彼のリーダーシップと決断力を示す重要な瞬間となる。

校内は生徒総会・立会演説会・投票が行われる日で、生徒自治制度の大転換が提案される予定である。風紀委員は生徒総会の警備を担当し、全員が総動員される。生徒会長の七草真由美の提案には賛成派が多いが、反対派の頑なな態度が緊張を高めていた。

立会演説会では、賛成派と反対派の間で激しい議論が交わされる。真由美は生徒会役員の選任資格に関する制限の撤廃を提案し、その理由を堂々と説明する。しかし、反対派からは真由美が特定の生徒を生徒会に入れたいために制度を変更しようとしているとの中傷が飛び出し、会場は一時騒然となる。

深雪は強い威厳で反対派の中傷を封じ、その後の投票では賛成多数で議案が可決される。しかし、立候補者が一人しかいない生徒会長選挙では、あずさが当選する一方で、深雪に対する不適切な投票が多数見られた。これに深雪は激しく動揺し、達也は妹を慰める。

生徒会室では、達也が特別な才能を持つことや、彼と深雪の特異な関係について議論されるが、血統を詮索することは避けるべきだと真由美が提案する。真由美は意図せずに達也の身元隠蔽の協力者となった。