どんな本?
『負けヒロインが多すぎる!』は、雨森たきび 氏による日本のライトノベル。
この作品は、第15回小学館ライトノベル大賞のガガガ賞受賞作『俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか』を改題・改稿し、ガガガ文庫(小学館)にて2021年7月から刊行されている。
イラストはいみぎむる 氏が担当。
また、『マンガワン』(小学館)にて、いたち 氏によるコミカライズ版が2022年4月29日から連載中。『裏サンデー』(小学館)でも同年5月6日より連載されており。
2024年7月からテレビアニメが始まる。
物語は、自称「背景キャラ」の主人公・温水和彦が、ある日偶然クラスの人気女子・八奈見杏菜が同級生で幼馴染の男子生徒に振られている現場を目撃してしまうところから始まる。
それ以降、和彦は杏菜を含めた複数の負けヒロインたちと関わっていくこととなる。
この作品は、そうした「負けヒロイン」たちと、彼女たちを友人として見守る主人公による、青春ラブコメディ。
読んだ本のタイトル
負けヒロインが多すぎる! 1巻
著者:雨森たきび 氏
イラスト:いみぎむる 氏
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あらすじ・内容
「え? マケインって誰のこと?」
負けヒロインが多すぎる!
クラスの背景である俺――温水和彦は、あるとき人気女子・八奈見杏菜が男子に振られるのを目撃する。
「私をお嫁さんにするって言ったのに、ひどくないかな?」
「それ、いくつの頃の話?」
「4、5歳だけど」
それはノーカンだろ。
これをきっかけに、陸上部の焼塩檸檬、文芸部の小鞠知花など、負け感あふれる女子たちが現れて――?
「温水君。女の子は2種類に分けられるの。幼馴染か、泥棒猫か」
「なるほど、大胆な分類だ」
負けてこそ輝く彼女たちに、幸いあれ。
負けヒロイン――マケインたちに絡まれる謎の青春が、ここに幕を開ける!
感想
この作品は、青春ラブコメディとして展開される。
出始めは、夏休み前の学校での出来事から始まる。
主人公である温水和彦は、クラスで目立たない存在だが、ある日、クラスの人気者である八奈見杏菜が幼馴染の袴田草介に振られる場面を目撃してしまう。
これがきっかけで、温水は次々と「負けヒロイン」と呼ばれる女子生徒たちと関わることになる。
八奈見杏菜、焼塩檸檬、小鞠知花といった女子たちは、それぞれが恋愛で挫折を味わっており。
これがタイトルとなってる「負けヒロイン」とこの作品では呼んでいる。
温水は彼女たちとの交流を通じて、自分自身も成長していく。
物語は、八奈見やその他のヒロインたちが抱える悩みや葛藤を描きながら、温水が彼女たちのサポートをする様子を中心に進行。
感想としては、負けヒロインに焦点を当てた新しい試みが面白いと感じている。
ヒロインたちはそれぞれ魅力的でありながら、どこか残念な部分もあり、それが物語にリアリティとユーモリーを加えている。
一方で、主人公の温水があまりにも傍観者的な立場に留まっていることに対して、もっと積極的に物語に関与してほしいとも思ってしまうが、彼のキャラクターを考えると仕方ないのかもしれない。
終盤には、八奈見が袴田に真剣に想いをぶつける場面があり、彼女の成長が感じられたが、、
物語全体としては、ラブコメとしての没入感が少し薄いと感じる面もあった。
それでも、新人賞受賞作としてのクオリティは高く、特に合間にあるイラストが秀逸。
全体を通して、この作品は青春の甘酸っぱさや葛藤を描きながら、主人公とヒロインたちが互いに影響を与え合う様子を描いている。
次巻でどのように物語が展開するのか楽しみでもある。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
ED
備忘録
一学期の期末試験が終了し、夏休みを目前に控えた金曜日の昼下がり、彼は学校から離れた隣町のファミレスで、ドリンクバーとポテトを注文した。
彼は店内を見回しながら、焦らずゆったりと過ごすことを心掛けている。
周囲に同じ学校の制服を着た生徒がいないことを確認してから、カバンから文庫本『年上の妹に甘えちゃってもいいですか?』の最新刊を取り出す。
彼にとって、コーラ、ポテト、そしてライトノベルを楽しむ時間は、パーティータイムの始まりである。
~ 1敗目 ~ プロ幼馴染 八奈見杏菜の負けっぷり
一学期の期末試験が終わり、夏休みが近づいた金曜日の昼下がり、主人公は学校から離れた隣町のファミレスでドリンクバーとポテトを注文する。
彼は新しく買ったライトノベル『年上の妹に甘えちゃってもいいですか?』の最新刊を楽しみ、周囲に同じ学校の制服がないか確認した後、読書を開始する。
隣のテーブルで、クラスメートであるカップルが痴話喧嘩をしているのを耳にする。
八奈見杏菜は、恋人である袴田草介が転校生に心変わりしたことに傷ついており、その現場に主人公が居合わせてしまう。
八奈見は主人公に話しかけ、彼に悩みを打ち明ける。
二人はこの予期せぬ出会いを通じて、互いの心情を少し理解し合うことになる。
三日後の月曜日、温水和彦は学校で水を飲む。
彼は特定の水道の水が美味しいと認識している。
教室に戻る途中、先週の八奈見杏菜との出来事を思い返す。
彼女とは偶然話すことになり、彼女の複雑な感情を目の当たりにした。
学校に戻った温水は、彼の席に誰かが座っているかもしれないと心配するが、教室に入ると既に彼の席に人がいる。
その人物は焼塩檸檬、彼が中学から知る陸上部の女子である。
教室では授業が遅れることが告知され、温水はその余剰時間をどう過ごすかを考える。
その間、彼は八奈見が姫宮華恋と袴田と親しげに話しているのを目撃し、八奈見が姫宮に抱きつかれる様子を見る。
八奈見の複雑な感情が顔に表れ、温水は彼女の心の動きを感じ取る。
最終的に温水は八奈見に声をかけ、彼女の状況を少しでも楽にしようとする。
温水和彦は八奈見杏菜と共に廊下を歩いている。
彼女のかわいらしさに気がつくが、彼女の恋愛については混乱している。
ある事件を受けて、二人は印刷室で資料を印刷する手伝いをすることになる。
そこで、甘夏古奈美先生が資料の印刷を忘れており、印刷室は散らかっている。
八奈見は華恋との関係について疑念を抱き、感情が高ぶっている。
甘夏先生は準備ができていないにも関わらず、授業を行うことを決意し、温水は彼女を励ますが、彼女は授業の準備が全くできていないことを認める。
最終的に、温水は教科書を取りに行くことを提案し、先生はその提案に同意する。温水は先生のクラスの生徒であるにもかかわらず、先生はそれを忘れていることに困惑している。
昼休みに温水和彦は非常階段で八奈見杏菜と待ち合わせしている。
彼女は昼食を持って現れ、二人は一緒に食事をとる。
この際、八奈見は温水に対して彼女の恋愛状況について話し、二人は親しい関係になるきっかけを持つ。
八奈見は温水に彼女が作った弁当を返済の一環として提供することを提案し、温水はそれを受け入れる。
二人は互いの存在を認め合いながら、昼食を共にする。
昼休みの終了間際、温水和彦は疲れ果てている。
彼は八奈見杏菜から借金を返してもらう代わりに彼女が手作り弁当を作るという話に疲れを感じている。
7月中盤になり、彼は学期の残りを静かに過ごすことを決意するが、突然文芸部から話しかけられる。
彼が入学時に名前を書いた文芸部についての会話が始まり、小鞠知花という文芸部の1年生から放課後に部活動への参加を求められる。
放課後、文芸部の部室を訪れる温水。部室が閉まっているが、小鞠が現れて鍵を開ける。
部室の本棚は本でいっぱいだが、太宰治と三島由紀夫の本に触れるなと言われる。
月之木古都という副部長に再会し、文芸部の部活動について話が進むが、その中で温水は部の活動内容に疑問を感じている。
文芸部での交流とは別に、温水は自分が比較的まともな方であることを自覚する。
彼の周りで起こる小さな混乱や文芸部の部員たちとの奇妙なやり取りを通じて、彼の日常が少しずつ変わり始めていることが示されている。
昼休みが終わると、温水和彦は疲れていた。
彼は八奈見杏菜から借金の代わりに手作り弁当を受け取ることになっており、この事態に頭を悩ませている。
その日の放課後、彼は文芸部の部室を訪れる。
部室は閉まっており、小鞠知花という女子が鍵を開け、彼を部屋に招く。
部室には太宰治と三島由紀夫の本があり、触れないように言われる。その後、月之木古都という副部長が現れて、温水に文芸部への参加を求める。
温水は部活動に関して疑問を感じつつも、その場の流れに身を任せることにする。
後半、温水の妹である温水佳樹が彼の部屋を訪れる。
佳樹は生徒会に参加しており、温水に対して過保護な態度をとる。
彼女は温水の計画を変更し、彼に影響を与える。
温水は妹とのやりとりを通じて、自分自身が社交的でないことを自覚し、その事実に対する感情を抱きながらも、その日の出来事を反芻する。
昼休みに非常階段で八奈見杏菜から弁当を受け取る温水和彦に対し、八奈見はカラオケでの苦い経験を共感を求めて話す。彼女は温水にデュエットの話をするが、温水は特に興味を示さず、代わりに受け取った弁当の内容について質問する。弁当は手作りの外観を持ちつつ、中身はコンビニのサンドイッチであり、八奈見はこの事実について説明する。
会話は続き、八奈見は温水が文芸部に参加していることに興味を持ち、一緒に部活を見学することを提案する。
温水は文芸部とのつながりについて考えながら、彼女の提案に同意する。
温水和彦は八奈見杏菜を文芸部の部室に連れて行く。
部室に入ると、彼女は環境の変化に適応しようとするが、すでに部室のメンバーとの間には微妙な空気が流れる。
部長の玉木慎太郎と副部長の月之木古都は親しい雰囲気を演出し、八奈見と温水の関係に興味を示す。
このやり取りに八奈見は無反応で、ただ環境を観察する。
部長と副部長はイチャつきながら部室を去り、部室には小鞠と新しい訪問者である八奈見が残される。
八奈見は小鞠がスマホを使ってコミュニケーションを取る様子に困惑し、部活動の実態について疑問を持つ。
小鞠は音楽を聞いているふりをして部の会話を盗み聞きしていたことが明らかになり、彼女は戸惑いながらも部室を急いで去る。
最後に、温水は部活動について何をするのかという八奈見の質問に対し、具体的な答えを持たずに終わる。
部室の雰囲気は静かで、八奈見は新たに見学者名簿に名前を記入し、部の活動についてさらに知ることを望む。
翌水曜日の昼休み、八奈見杏菜は弁当を持って約束通り非常階段に現れる。彼女は放課後にクラスメイトの家で勉強することに誘われており、その提案に戸惑っている。八奈見はこの状況を、彼女の不在が彼女の友人たちにとって都合が良いと感じ、不快感を抱いている。
八奈見は、彼女の友人が意図的に彼女を排除しようとしていると疑い、温水にその状況をシミュレートするよう要求する。このシミュレーションは、温水が不本意ながらも参加することになる。
その後、八奈見は弁当箱を取り出し、一つの弁当箱に二人分の料理を詰め込んだものを温水に提供する。
この弁当は非常に密度が高く、食べるのが困難な状態であることが示される。
八奈見は弁当の評価を求め、温水はそれに対処しながら返答する。
最終的に、二人は食事を終え、八奈見は更なる時間を共に過ごすことを提案する。
これにより、二人の関係は一定の進展を見せるが、八奈見の心情には依然として不安定さが残る。
彼女は個人的な感情の動揺を温水に打ち明け、彼との交流を深める。
翌水曜日の昼休み、八奈見杏菜は弁当を持って約束通り非常階段に現れる。彼女は放課後にクラスメイトの家で勉強することに誘われており、その提案に戸惑っている。八奈見はこの状況を、彼女の不在が彼女の友人たちにとって都合が良いと感じ、不快感を抱いている。八奈見は、彼女の友人が意図的に彼女を排除しようとしていると疑い、温水にその状況をシミュレートするよう要求する。このシミュレーションは、温水が不本意ながらも参加することになる。
その後、八奈見は弁当箱を取り出し、一つの弁当箱に二人分の料理を詰め込んだものを温水に提供する。この弁当は非常に密度が高く、食べるのが困難な状態であることが示される。八奈見は弁当の評価を求め、温水はそれに対処しながら返答する。
最終的に、二人は食事を終え、八奈見は更なる時間を共に過ごすことを提案する。これにより、二人の関係は一定の進展を見せるが、八奈見の心情には依然として不安定さが残る。
彼女は個人的な感情の動揺を温水に打ち明け、彼との交流を深める。
~ 2敗目 ~ 約束された敗北を君に 焼塩檸檬
降りしきる蝉時雨の中、翌日の体育の授業が終わり、彼は体育倉庫で汗をぬぐう。
彼は出席番号に基づく片付けのルールに不満を抱いている。
急いで着替えようとする中、体育倉庫の扉が閉まり、暗闇が彼を包む。
彼は焼塩檸檬が倉庫にいることに気づき、彼女から話があると告げられる。
話の内容は、ある生徒が文芸部から本を借りる件についてであった。彼は焼塩にその生徒に直接部室に来るよう伝えるよう依頼する。
話を進めるうちに、彼は焼塩に文芸部に見学に来ることを提案する。
その提案を受け、焼塩は明るく応じる。しかし、彼らが出ようとすると、扉が外から閉められており、二人は体育倉庫に閉じ込められてしまう。
二人は暑さに苦しみながら助けを呼び、やがて救出される。この一件で、彼らの間にはある種の誤解が晴れ、新たな理解が生まれる。
経口補水液を飲む生徒たちに甘夏先生が辟易しつつも、保健室で休むよう指示する。
保健の小抜先生は、熱中症の危険性について説明し、生徒たちを気遣う。
また、小抜先生は甘夏先生との学生時代の思い出を語り、その当時の面影を天井の染みから感じ取る。
生徒たちは小抜先生に導かれて保健室で休むことになり、彼らの健康管理には万全を期す。
放課後、月之木先輩は重大な発表があるとして文芸部の活動方針を語り始める。
部活動を単なる読書から創作活動へと進展させる方針を示し、「文豪になろう」というオンラインプラットフォームへの投稿を提案する。
同時に、直近の週末に合宿を行い、創作活動を本格化させる計画も発表される。
合宿は田原の青年の家で実施される予定であり、部員たちは創作のプロットを事前に準備するよう指示される。
一方で、生徒会の志喜屋さんが部活の状況を確認しており、部活動に関しては学校側の監視が厳しくなっていることも示唆される。
部内では、合宿を通じて新たな文芸作品の創出を目指す構えである。
豊橋駅前の精文館書店本店で新刊チェックをしていた主人公は、「文豪になろう」への投稿準備として最新の書籍動向を調査する。
異世界モノの書籍が多いことを確認し、その中でも異世界転生やチートなどの要素が人気であることを理解する。
そこに小鞠が現れ、一緒にライトノベルを研究する。
二人は現代の流行を理解しようと努力するが、既に市場に出回っている類似のタイトルに驚く。
小鞠は異世界転生よりも一般書の文庫に関心があり、すでに書き進めているプロジェクトがあることを明かす。
最終的には小鞠が主人公を文芸部に誘い続けるが、その過程で二人の関係はややこしい展開になる。
帰宅が遅くなった。夏至が過ぎたとはいえ、まだ陽が街を薄赤く照らしている。
空に青みがかかるまで、夕暮れが長く続いている。
心細さを感じつつ、急いで家路をたどる。
その道で妹の佳樹を見かける。彼女は買い物帰りで、重いレジ袋を持っている。
兄はレジ袋を手伝う。佳樹は兄が週末に家を空けることを心配しており、兄も部活の合宿で不在になることを告げる。その後、乾物屋で佳樹が赤飯の準備をしていると、友達ができたと勘違いされる。
しかし、実際には友達ができたわけではなく、部活の仲間がいるだけである。店主はそれを聞いて少し残念そうな反応を示す。
そのままの雰囲気で家に帰ると、妹が兄を慰める。最後には二人が協力しながら家路を歩む。
文芸部の活動報告による、ある物語の一幕が描かれている。
“軍服姿の三島と木綿の蚊絣を着た太宰が登場し、将棋をしながら会話を交わしている。
三島は異世界に来たことに慣れずにいるが、太宰はその場に馴染んでいるようだ。
太宰はエルフの女性の世話を受けつつ、森先生に会ったと語る。
会話の中で、太宰は三島が自らの腹を捌いたことに触れ、三島は太宰のことを好きになれないと冷たく答える。
最後に太宰は三島を畳の上に組み敷くが、その詳細は検閲されている。”(ってBLかい!)
次の場面では、朝の教室の様子が描かれている。
俺は友人と週末の予定について話しつつ、対面でのコミュニケーションの重要性を感じている。
独り言で自由と孤独について考える一幕もある。昨晩は部活の合宿のために交通機関の時間を調べていたことが明かされる。
焼塩檸檬との対話を通じて、俺が彼女とどのように関わっているかが描かれ、クラスメイトの視線が俺に集まる様子が示されている。
最後に、八奈見との会話があり、部活のグループについての話や、週末の予定について話し合われる。
5限の授業が終了し、俺は人目を避けて廊下を歩いていた。
次の授業が終われば部室で明日の合宿の準備をする必要があり、綾野と焼塩も参加することになっている。
校舎から外へ出て、普段は体育の生徒でごった返している水道で水を飲む。この場所はプール期間中には人がいなくなるため、静かに水を飲むことができる。
しかし、向かい側で水を飲んでいた小鞠と遭遇し、彼女は迷惑そうな顔をする。
小鞠は教室に居づらくて水を飲み歩いていると疑い、俺は自分もこの学校の水について研究していると説明する。
昼飯前の水の質について熱く語り合うが、小鞠は昼飯前に水を飲む理由としてトイレの匂いが気にならなくなると説明する。
その後、互いに食べる場所を提案し合い、小鞠は俺の提案を考えてみると言って立ち去る。
学校から歩いて20分の隣町にあるファミレスに、三人は訪れた。八奈見と焼塩はソファ席に座り、デザートメニューを眺める。
この店は八奈見が過去に失恋した場所であり、その事実にもかかわらず、八奈見は焼塩をこの場所に招待する。
彼女は「傷心の女の子を前にお金の話はデリカシーがない」と言い、焼塩の食事を奢ると宣言する。
一方、温水は焼塩の食事代を自ら負担し、入部祝いとして奢ることを提案する。
食事が進む中、八奈見はデザートとしてブラックサンダーパフェを注文し、温水はハンバーグとライスを頼む。
食後、八奈見が意外そうに温水を見て、「割と気が利く」と評する。
しかし、焼塩は外で待つように言われ、二人は会計を済ませる。
レジでの八奈見は、支払いが足りないかもしれないと焦るが、温水は静かに千円札を差し出す。
最終的に、彼らはデザートを楽しみながら過去のことを振り返り、次の集まりを前向きに計画する。
~ 3敗目 ~ 戦う前から負けている 小鞠知花の撤退戦
翌日の合宿初日、文芸部の一行は海水浴場に到着し、活動を開始した。
玉木部長は温水を大手柄だと褒め、特に八奈見と焼塩が加わったことに感謝した。
部長は、プライベートでの水着姿が見られることに大きな期待を寄せていた。
その一方で、温水はその熱意に少し困惑していた。
温水と部長は、水着という服装がどのように日常と異なる行動を引き出すかについて議論を交わす。
部長は水着を着ることの意味について熱く語り、普段見せない肌の露出が許される状況に感激していた。
その後、八奈見と焼塩は海で楽しく遊び、温水は荷物を見守る役割を担うことになった。
小鞠は積極的に参加せず、ひとりで時間を過ごす選択をした。
彼女は温水に、八奈見のことを好きかどうか尋ね、温水は友人関係について考えを巡らせた。
海水浴の状況を通じて、温水は八奈見との関係を改めて見つめ直し、友情以上の感情がないことを確認した。
合宿ではそれぞれが楽しむ姿勢が見られたが、同時に個々の葛藤や誤解も浮き彫りになった。
最終的に、温水は活動に参加することを選び、小鞠には友達として接することを選んだ。
翌日の合宿初日に、文芸部一行は海水浴場に到着し、活動を開始した。八奈見がジュースを配りながら、昼食の計画を立てていた。
焼きそばを食べながら、八奈見は一番美味しいと感じる店を直感で選び、さらに焼きそばを買いに行くことにした。
一方、部長は女子部員だけでの買い物がナンパを引き起こすと懸念し、温水に焼塩の同行を頼んだ。
焼塩と温水は砂浜を歩きながら、昨日の出来事について話し合った。
焼塩は、自分の気持ちをコントロールできることを強調し、一緒に楽しむことの大切さを説いた。
彼らは焼きそばを買いに行きながら、友情と対人関係について学んだ。
その後、一行は海水浴と昼食を楽しんだ。部長は小鞠の書いた小説を読み、その投稿計画を立てた。
また、彼らは小説のタイトルや副題の付け方について話し合った。部長の提案は月之木先輩によって即座に止められた。
最終的に、一行は焼きそばを食べながら楽しい時間を過ごし、八奈見と焼塩は焼きそばの具材についても話し合った。
昼食後の休憩時間に、焼塩がビーチの向こう側で開催されているイベントへの参加を提案する。
八奈見も焼きもろこしを食べながら、興味を示す。
彼女たちは活発に動いているが、温水は八奈見のお腹が少し出ていることに気付き、彼女に上着を渡そうとする。
しかし、八奈見はこれを拒否し、自前のパーカーを羽織って急いで去る。
その後、小鞠と月之木も含めてイベントに向かうことになる。
部長は、小鞠には小説の取材としての参加を勧める。
温水と部長は女性たちを見送りつつ、それぞれのプライベートな活動にも言及する。
部長はその晩の投稿の準備に着手し、温水は自身の執筆活動について考える。
この間、部長は小鞠の書いた小説のファイルを温水に見せる。
小説はあやかし喫茶に関する内容で、主人公の百合が異界のカフェで起こる事件に巻き込まれる物語である。
文芸部の活動としては創造的で楽しい一時を過ごしていることがうかがえる。
部長自身も「なろう」で連載を持っており、その作品について温水と共有する。
バスの時間が近づいている中で、一行は撤収の準備を始める。
焼塩はまだ遊びたい様子で小鞠を無理やり海へ連れて行く。
この行動に周囲は手を振って送り出す。
その後、焼塩と小鞠はびしょ濡れで戻り、焼塩は海の塩味を楽しんでいる様子を示すが、小鞠はそれを不快に感じている。
月之木先輩は一同に早急に着替えて宿に向かうよう指示する。
陽が落ち始め、一行はキャンプ場で夕食の準備を進める。
八奈見と温水が調理を手伝い、他の部員たちは食事の準備に忙しい。
焼塩は活動的に肉を食べ、月之木先輩は来年も部活に関わることを示唆している。
小鞠は久しぶりに食べる牛肉に感動している。
夕食のバーベキューでは、焼塩がイベントで勝ち取った花火を持ち帰り、夜はさらに賑やかになる。
夕暮れが夜に変わり、虫の音や蛙の声が響く中で花火が上がる。
月之木先輩と玉木部長が花火を選ぶ最中、八奈見は残りの食材を食べつつデザートの準備をする。
花火の光と音が夜空を彩り、焼塩と小鞠が楽しげに遊ぶ。
しかし、部長と月之木先輩は、いつも通り互いにからかい合い、小鞠は意外な告白を部長に向けてしまう。
部長は告白に対し、考える時間を求める。一方で、月之木先輩は部長の煤を心配し、絆を感じさせる会話が交わされる。
最終的に月之木先輩は部長を叩いて去っていく。
残された他の部員たちは、花火を楽しむ中、キャンプ場の職員が夜の片付けを促す。
焼塩は洗い場で乙女チックに星を眺め、小鞠の告白に触れながら、女性も積極的であるべきだと語る。
一方、温水は焼塩と八奈見の会話を聞きながら、自分の位置づけに疑問を感じている。突然、部長が温水に声をかけ、恋愛相談を持ちかける。
部長は自身がモテないと語り、小鞠からの告白に動揺していることを明かす。
温水は部長の相談に乗りながら、部長と月之木の間の誤解を解く助言を試みる。
その過程で、部長が以前月之木に告白し振られていたことが判明する。
しかし、部長はその告白が真剣であったことを自覚していない。
最終的に、部長と月之木は話し合い、月之木が部長に長年の感情をぶつける場面で、二人はお互いの本音を語り合う。
八奈見は、二人の様子を見ていたが、温水に制止され、場を去ることになる。
その後、八奈見は温水にからかわれるが、温水はその場を立ち去る。
その間、小鞠は焼塩と一緒にいたが、焼塩が退屈して部屋に戻った後、一人でいるところを温水に発見される。
小鞠は温水と一緒に線香花火を楽しむが、その間に部長から振られたことを告げる。
小鞠は、部長が自分と付き合うことを真剣に考えてくれたことに感謝し、一時的にでも月之木先輩に勝ったと喜ぶ。
しかし、その喜びも束の間、彼女は涙を堪えることができず、一人になりたいと温水に告げる。温水はロビーに戻り、缶コーヒーを手にしながら一連の出来事を反芻する。
翌朝、宿泊施設の集会室で、部長は温水の初投稿作『初恋通りの半端モノ』の第1話を公開する。
この作品は元々異世界のスローライフもののプロットであったが、急遽地方の商店街を舞台にしたラブコメに変更された。
八奈見の作品には既に感想がついており、温水も驚くほどの反響があった。
小鞠は新たに自分の小説を投稿するため部長に協力を求め、部長はそれを受け入れる。
その後、小鞠は月之木先輩に自分の小説を読んで感想を書いてほしいと頼む。
月之木先輩は自分の作品が大幅に短くなってしまったことを明かし、二人は今後も部室で会うことを約束する。
その様子を温水が遠くから見守る中、焼塩は自分の描いた絵日記を部長に見せる。この絵日記はTwitterにアップロードすることになり、部長と焼塩がその準備をする。
一方、温水は自分の小説について最低の評価と辛辣な感想がついたことにショックを受けるが、それが小鞠の仕業だと知る。
小鞠は温水に続きをちゃんと書けば評価を付け直すと言い、温水はそれに挑むことを誓う。
Intermission ふりかえらなくてもそこに居る
宿泊施設の食堂で、『豊橋市生徒会連盟 高等部中等部合同合宿』の看板が掲げられている。
中でも活発に動き回る一人の少女、桃園中学の生徒会庶務の温水佳樹が目を引く。
彼女はカレーの配膳を一手に受け持ち、男子には多め、女子には少なめに見える配分をしているが、実際には量に違いはなく、女子向けの皿は見た目の工夫が施されている。
ツワブキ高校2年生で生徒会書記の志喜屋夢子は温水の働きぶりを観察し、彼女が発した「えっちぃ」という発言に一瞬戸惑う。
しかし、その後温水は志喜屋との会話を楽しみ、彼女が自分の高校を志望していることを知る。
夕食の準備が滞りなく進む中、志喜屋は温水を同じテーブルに招き、さらなる会話を望む。温水は喜んで応じ、さらに彼女が昼に挨拶用に赤飯を炊いていたことが話題になる。
この交流は、二人の関係性の始まりを示唆している。
~ 4敗目 ~ 負けヒロインを覗く時、負けヒロインもまたあなたを覗いているのだ
合宿の翌日、月曜日の朝、教室で騒がしい中、焼塩檸檬が明るく挨拶をして、八奈見に絵日記の新作を渡す。
その絵は電車を走って追いかける場面を描いており、夜にアップすることが決まる。
八奈見は最近、別のグループと過ごすことが多く、彼女の周りの噂に耳を傾けると、誤解を招くような内容が飛び交っている。
昼休み、八奈見は温水に対して無視されたことを指摘し、二人はその件で話し合う。合宿の思い出を振り返りながら、八奈見は温水に手作りのサンドイッチを提供する。
しかし、周りの噂話により、温水は八奈見との関係が周囲に誤解されることに耐えられず、距離を置くことを決意する。八奈見はそれを受け入れ、二人の間のある種の関係はそこで終わる。
昼休みのやり取りを思い返しながら、温水はベッドに寝転がる。
八奈見との関係が周囲からの悪口を引き起こしているため、それが原因で二人の関係が終わるのは避けられないと考えている。
弟の佳樹が現れ、八奈見との関係を問い詰める。
温水は八奈見がただの部活の同級生で、別に好きな人がいると説明する。
しかし、佳樹はその説明に納得せず、他の可能性を追求するが、温水は八奈見以外に興味がないと結論付ける。
その後、自己反省の中で温水は混乱と疲労を感じている。
温水は昼休みに非常階段でカレーパンを食べながら時間を過ごしている。
彼の前に小鞠知花が現れ、温水が八奈見に振られたと話す。
小鞠は温水に対して挑発的な言動を続けるが、温水はそれに動じず、自分たちの関係が一時的なものだったことを認める。
その後、小鞠は温水が持っていた牛乳を受け取り、飲む。
二人のやり取りは大した会話もなく、温水は早めにその場を去ることにする。
一学期の最終日に終業式が行われ、温水は通知表を受け取る。
彼は所見欄に書かれた内容に疑問を感じながらも、クラスメイトと楽しげに通知表を見せ合っている。
焼塩は自身の成績に悩む一方で、袴田との会話から互いの夏休みの過ごし方について話が及ぶ。
甘夏先生は熱意を持って夏休みの心得を語り、その後皆に夏休みの開始を告げる。
学期の終了と共に、温水は旧校舎の非常階段で小鞠と偶然再会し、彼女に牛乳を提供する。
その場に焼塩も加わり、三人でのんびりとした時間を過ごす。
この日の出来事は、温水にとって心地よい夏の始まりとなった。
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