どんな本?
『負けヒロインが多すぎる!』は、雨森たきび 氏による日本のライトノベル。
この作品は、第15回小学館ライトノベル大賞のガガガ賞受賞作『俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか』を改題・改稿し、ガガガ文庫(小学館)にて2021年7月から刊行されている。
イラストはいみぎむる 氏が担当。
また、『マンガワン』(小学館)にて、いたち 氏によるコミカライズ版が2022年4月29日から連載中。『裏サンデー』(小学館)でも同年5月6日より連載されており。
2024年7月からテレビアニメが始まる。
物語は、自称「背景キャラ」の主人公・温水和彦が、ある日偶然クラスの人気女子・八奈見杏菜が同級生で幼馴染の男子生徒に振られている現場を目撃してしまうところから始まる。
それ以降、和彦は杏菜を含めた複数の負けヒロインたちと関わっていくこととなる。
この作品は、そうした「負けヒロイン」たちと、彼女たちを友人として見守る主人公による、青春ラブコメディ。
読んだ本のタイトル
負けヒロインが多すぎる! 2巻
著者:雨森たきび 氏
イラスト:いみぎむる 氏
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あらすじ・内容
焼塩檸檬、まさかの略奪愛……!?
負けヒロインが多すぎる! 2
夏休み後半。
たまたま喫茶店でだべっていた俺と八奈見は、驚くべき光景を目にする。
焼塩と、その思い人である綾野が2人きりで会っていたのだ。
さらには、2人を尾行する綾野のカノジョ――“勝ちヒロイン”朝雲千早ともニアミスしてしまう。
「私は光希さんと焼塩さんの浮気を疑っています」
あれよあれよと巻きこまれた俺たちは、朝雲とともに真相を探ることに。
焼塩にかぎってそんなことはと思う。
でも、2人きりのときの、あの想いがにじんだ顔は――。
はやくも人気沸騰の負け確ラブコメ、待望の第2弾!
感想
今巻は、焼塩檸檬とその恋の悩みを中心に描かれおり。
彼女の恋愛とその複雑な感情が焦点となっている。
「焼塩檸檬、まさかの略奪愛……!?」とあらすじに書いてあるが、表紙の彼女を見るに、、、
似合わないw
物語は、温水和彦と八奈見杏菜がたまたま喫茶店で話しているところから始まる。
彼らは偶然、焼塩と彼女の好きな人である綾野光希が2人きりで会っているのを目撃し、その様子を尾行する綾野の彼女、朝雲千早とニアミスする。
この出来事が物語の発端となり、綾野と焼塩の関係を疑う朝雲、そして温水と八奈見が彼女と共に真相を追求する展開へと進む。
温水と八奈見は、朝雲の疑念を解消するために、綾野と焼塩がただの友人であることを確かめることになる。
朝雲のややストーカー気味な行動や綾野の鈍感さが物語にコミカルな要素を加えつつ、彼らがそれぞれの関係性をどう扱っていくかが描かれる。
焼塩は綾野への恋心を克服しようと努力するが、その過程で温水の支えが大きな役割を果たす。
物語のクライマックスでは、焼塩がついに綾野に自分の気持ちを告げる。
綾野は焼塩の気持ちに応えることはできないが、彼らの友情は変わらず続くことを確認する。
その後、焼塩は自分自身の感情と向き合い、新たな一歩を踏み出す決意を固める。
最後に、温水と八奈見がどう関わっていくか、そして焼塩がどのように自己を再発見するかが描かれる。
全体を通して、失恋を経験したヒロインたちがどう前進していくかの模様が、青春の複雑さとともに繊細に描かれている。
各キャラクターの成長と変化が感じられる終盤が感慨深い。
この物語は、恋愛の失敗を通じて人は成長するというメッセージを持った作品である。
登場人物たちがそれぞれの感情とどう向き合っていくかが魅力的に描かれており、読後には彼らの未来に対する期待と少しの不安がふくらむ。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
ED
備忘録
温水和彦は、精文館書店で待ちに待った小説の最新刊を手に入れた後、家に帰っていた。夏の強い日差しの中、彼は書籍の触感に安堵の表情を見せる。しかし、家に帰ると妹の佳樹から緊急事態があると告げられる。佳樹は面接の日程について焦り、和彦に落ち着くように言われるが、落ち着かないまま客が来ていることを伝える。和彦は不思議に思いつつも、客のもてなしをすることになる。
~ 1敗目 ~ 八奈見杏菜は匂わせたい
温水君が家に帰ると、ダイニングとリビングが一緒になった18畳の部屋で、女子がテレビを見ながらカレーを食べていた。その女子、八奈見杏菜は最近失恋したばかりのヒロインで、家に遊びに来ていた。彼女は温水君にメッセージを送っていたが、彼は通知を見ていなかった。八奈見は、父親が仕事の給料として大量の素麵を受け取ったため、それを配っている途中だった。部屋に入ってきた妹の佳樹は、八奈見にインタビューを試みるが、温水君に遮られる。その後、二人は季節の変わり目を感じながら会話を続ける。
翌日の午後、ツワブキ高校の文芸部部室にて、温水と小鞠知花が会話をしていた。部室には本棚が天井まであり、小鞠は文庫本を読んでいた。温水は小鞠との会話を試みるが、小鞠はスマホを使用して緊張を隠している様子だった。その後、八奈見杏菜が段ボール箱を持って登場し、箱の中には素麵がたくさん入っていたことが判明する。部室には後に部長と副部長も到着し、部活動の夏休みの活動報告について話し合いが行われた。報告書の準備のため、部員たちは自身の小説を印刷して部誌のサンプルを作成することになった。その過程で、部員たちはそれぞれどの小説を選ぶかを決め、八奈見は新しい小説を書くことを決めた。小鞠は新しい短編を書くことを計画していると述べた。また、部活動以外にも図書室の手伝いが話題となり、小鞠と温水が参加することになった。
温水が文芸部の部室を後にして中庭の自販機へ向かう。そこで幻聴を感じながらジュースを買おうとすると、突然白い手が現れる。その主はツワブキ高校生徒会の2年生、志喜屋夢子であった。志喜屋は疲労しており、飲み物を購入する力もなく、温水に助けを求める。温水は彼女の指示に従い、桃の味の「いろはす」を買って蓋も開け、さらに彼女に水を飲ませる。この状況に戸惑いながらも、温水は彼女の要望に応じている。志喜屋が体力を回復し、自分で歩けるようになると、温水はほっと一息つく。この一連の出来事は、温水にとって奇妙で困惑する体験であった。最後に、彼女が去った後でハンカチを返すのを忘れたことに気づき、追いかける気力もなく、その場を離れることを決める。
温水はツワブキ高校図書室で図書委員の手伝いをするために訪れる。彼が声をかけた図書委員の女生徒は、蔵書整理の手伝いを要請する。彼女は2年生で、彼とともに蔵書整理を進めることになる。その後、図書室で同じ文芸部の小鞠と合流し、彼女が担当するリストの半分を温水が引き受ける。仕事の途中、小鞠が「なろう」で異世界転生ものの恋愛ジャンルの小説を書いたと聞き、それが日間ランキングに載ったことが判明する。この事実に温水は驚き、小鞠の成功に感心する。
温水が図書室で図書委員の女生徒と蔵書整理を行っていると、小鞠が連絡を受けていることを知り、彼女が焼塩と走るようになった経緯を話す。小鞠は焼塩との走りについて気が進まないが、彼女を支えてくれる焼塩に対して否定的ではない様子を見せる。その後、図書室での作業を続ける中で、小鞠が「なろう」で高ランキングに載ったことを知り、彼女が喜んでいる様子が描かれる。作業終了後、温水は綾野光希と会い、綾野から朝雲千早にもらったブレスレットの話を聞く。温水はその場で綾野のノロケ話を聞き続ける。
温水は部室の前に到着し、開けられた扉から部室に入る。部室内で着替え中だった焼塩檸檬と遭遇し、彼女が部室で着替える理由を尋ねる。焼塩は陸上部の部室が狭いため、急いでいる時に文芸部の部室を利用していると説明する。その後、夏休みの活動として部誌の制作について話し合い、焼塩は自分の投稿内容について考えている。部室を後にする焼塩は、靴下を落とし忘れるが、温水がそれを拾い上げる。温水は読みかけの文庫本を取り出して読むが、集中できずに考え事にふける。翌朝、温水は妹の佳樹と朝食をとりながら、最近の忙しさと友達関係について話す。その途中で八奈見からのお茶の誘いがあり、温水はそれを断る。佳樹は温水が友達を大切にするべきだと助言する。
約束の時間に市役所近くの喫茶店で八奈見と会うことになった。喫茶店はレトロな雰囲気で、特にホットケーキが美味しいと評判の店である。夏休みに女子と二人で訪れることに少し緊張しながら、彼は待ち合わせの場所で八奈見を待つ。八奈見が到着すると、彼女は明らかに落ち込んでおり、突然「世界なんて滅べばいい」と発言する。昨日の同窓会で何かあったことを察し、彼は八奈見の話を聞く。彼女は同窓会での出来事について語り、自然体で互いを支え合う同級生のカップルを見て落ち込む。最終的に、彼は八奈見と共にそのカップルを追うことになるが、内心では全く興味がないことを示す。
喫茶店を出た二人は焼塩と綾野の姿が見えないことを確認し、八奈見は解散を急ぐが、途端に不審者と思しき小柄な女の子が喫茶店の建物の陰から顔を出す。彼女はマスクとサングラスをつけ、チョコレートを食べながら古い型の携帯電話を操作している。八奈見はその子が不審者であると言い、彼女が温水をじっと見つめる。女の子は温水に近づいて名乗り、自己紹介をする。彼女の正体は朝雲千早、綾野光希の彼女である。朝雲千早は綾野と焼塩を探していると言い、彼女が持つアンテナ付きの機械が信号を捉えていることを示唆する。彼女は二人を連れて別の場所で話をすることを提案し、その場を引き取る。
場所を変える提案を受けたが、なぜか八奈見と朝雲千早は自宅の部屋に入り込んでいる。八奈見は部屋を歩き回り、趣味のアイテムに興味を示している。朝雲千早はその行動に礼儀を求め、自身は手帳に何かを書き記している。突然、妹の佳樹が登場し、飲み物を持ってくる。その後、朝雲千早が光希と焼塩を見ていないか尋ねるが、本当の目的は光希が焼塩と浮気しているかどうかを確かめるためだった。彼女は自分と光希の関係に疑念を抱き、真実を確かめたいと話す。八奈見は彼女の助けを申し出るが、焼塩を探ることに反対する。最終的に朝雲千早は自分の疑問を解消するために独自に行動することを決める。
Intermission いざとなると違うんですよ
市立桃園中学2年3組の教室で、生徒たちが再会を喜ぶ中、温水佳樹は一人窓の外を眺めている。彼女は兄が遠くに行ってしまうことを悲しんでおり、クラスで一番の友人、権藤アサミに心配されている。佳樹は兄に女友達ができたことを嬉しく思いつつも、その女性が美しく、さらには二人いることに動揺している。アサミとの会話で、佳樹は兄のことを誇らしげに語るが、同時にアサミとの友情を確認している。佳樹はアサミを「お姉さん」と呼ぶことを拒否し、アサミはそれを冗談にしている。佳樹は兄が女性と部屋で変な雰囲気になることを心配しており、アサミはその心配を和らげようとしている。
~ 2敗目 ~ 朝雲千早は惑わせる
朝雲千早からの急な連絡を受けて、豊橋駅ビルのカルミアに向かう温水と八奈見。温水は居心地の悪さを感じつつ、なぜ自分が協力を申し出たのか疑問に思う。その間、八奈見は変装をして尾行準備をしていることを説明する。彼女は中学の制服を着用し、眼鏡をかけるが、それは伊達眼鏡であると明かす。二人は綾野と焼塩の関係について話し合い、綾野が焼塩の気持ちに気付いているかもしれないと考える。八奈見は、いざという時に檸檬を守るのは自分たちだけだと強調する。
朝雲千早からLINEで連絡を受け、温水と八奈見は南口広場へと向かう。広場ではイベントが行われており、多くの屋台が出店していた。八奈見は鮎の塩焼きを食べながら、朝雲の変装を眺めている。朝雲はライトオレンジのワンピースと大きな帽子、ミラーサングラスを身に着けており、冷えピタも変装の一部として使用していた。
朝雲は機械を用いた計算により、綾野と焼塩が広場にいることを予測しており、二人を見つける。綾野と焼塩はイタリアンジェラートの店の前でジェラートを食べながら楽しげに話している。その様子を遠くから見守る朝雲は、綾野が焼塩に対して見せる表情や態度に、彼の感情を計算し尽くしていたことを明かす。綾野と焼塩の姿を見て、朝雲は自分の感情を抑えきれずに屋台の陰で姿を隠す。温水と八奈見は朝雲の様子に気を使いつつ、状況を見守る。
西口近辺、通称「西駅」と呼ばれる豊橋駅の一部で、温水と綾野が二人で話をすることになる。このエリアは駅から直接アクセスできるため、人通りが少なく、プライベートな会話に適している。そこで綾野は温水に対し、朝雲と試着室に二人で入った理由を尋ねる。温水は内心で焦りつつも、綾野に対しても焼塩と二人で会っている理由を問いただす。
二人はお互いに相手に対して不審がるが、綾野はただ焼塩と恋愛相談をしていたことを明かす。綾野は初めての恋愛であるため、女性とどのように接するか、具体的なアドバイスを焼塩に求めていたと説明する。この会話を通じて、綾野が焼塩と浮気をしているわけではなく、恋愛における不安を相談しているだけであることが明らかになる。
最終的に温水も、朝雲に対して恋愛相談をしていたことを綾野に認める。これにより、お互いに誤解が解け、二人の関係は改善される。このエピソードは、誤解と直接対話の重要性を示している。
その晩、温水は八奈見と電話で話していた。彼は自身が恋愛相談をしていたことで事態を収めたと話すが、八奈見はそれを笑って受け止める。彼女は自分もその計画に参加することを申し出る。
二日後、豊橋駅から近い二川駅の地下資源館で、温水、綾野、朝雲、焼塩、八奈見の5人が集まる。この集まりの公表されていない目的は、温水を八奈見とくっつけることだが、その計画の真意を知っているのは綾野だけである。実際には、温水と八奈見の間に何もなく、綾野の誤解に基づくものだ。
地下資源館での活動が始まると、朝雲や焼塩は展示に興味津々で、特に朝雲は科学的な展示に熱心に参加している。一方で八奈見は、より観光的な活動を望んでおり、彼女は今回の行事がもっと「映える」べきだったと不満を漏らす。
最終的に、温水は綾野の誤解を解く必要があることに気付き、綾野と朝雲、焼塩がいかにお互いを支えているかを理解する。彼はこの複雑な人間関係の中で、各人が自分の役割と感情をどう扱っているかを見て、より成熟した見方を学ぶ。
地下資源館を堪能した後、一行は併設されている視聴覚教育センターに移動した。八奈見がプラネタリウムの存在を知り、一行はそこへ行くことを決めた。プラネタリウムでは戦隊もののプログラムが待ち受けていたが、八奈見はロマンティックな体験を期待していたため、少々ガッカリする。焼塩はそのプログラムを楽しみにしている。
焼塩が綾野のことを「惚れた男」と口にしてしまい、その場にいた他の人々も驚く。綾野は初めて焼塩の気持ちに気づき、彼女が去るのをただ見送ることしかできなかった。朝雲は綾野に焼塩を追わないように頼むが、綾野は彼女の気持ちに応えて彼女の側に留まることを選ぶ。温水は焼塩を追いかける決心をし、ホールから駆け出すが、焼塩の姿はすでに見えなくなっていた。
焼塩はバス停でしゃがんでおり、泣いた後だった。温水は焼塩に近づき、一緒に帰ることを提案するが、焼塩は一人で帰ることを選ぶ。二人は会話を交わし、焼塩は童話風の物語を語り始めるが、話は王子様との幸せな結末で締めくくられる。バスが到着し、焼塩は温水に別れを告げてバスに乗り込む。温水は焼塩の姿が見えなくなるまで見送る。
三日後、温水は家で問題集に手をつけずにいる。焼塩からの返事はなく、陸上部も休んでいるとの情報がある。突然、朝雲からのメッセージが届く。外に出ると、朝雲が立っており、焼塩との連絡が取れているか尋ねる。温水は連絡が取れていないことを伝える。朝雲は自分の責任感から疲れを感じており、別れるべきかと悩んでいるが、温水はそれに反対する。朝雲を送りながら、温水は焼塩のことを任せてほしいと伝える。その後、文芸部副部長の月之木から連絡があり、焼塩の状況について話すことになる。
~ 3敗目 ~ 振られたことのない者だけが負けヒロインに石を投げなさい
温水は新城市の道の駅にいる。彼は豊橋から約50分北にあるこの場所に、月之木先輩と一緒に来ていた。彼らの目的は、新城に滞在中の焼塩を訪ねることだった。温水は道の駅でコーヒーを飲みながら、月之木から送られてきた小説の添付ファイルを開く。
小説は「眠れる森の文士たち」というタイトルで、和服を着た男が小人に導かれて洋館にたどり着く物語だ。洋館に住む川端は、転生者たちの顔役として、太宰と名乗る人物と会う。二人は茶を飲みながら会話をするが、太宰は川端から不気味な話を聞かされる。太宰は茶に何かが入っていることを察知し、カップを叩き割る。太宰が体調を崩し始めると、川端に近づいて彼の服の紐を解く。最後に、太宰は川端を新しい部屋に連れて行く。
温水は新城市にある道の駅「もっくる新城」にいる。月之木先輩と八奈見、小鞠が同行しており、焼塩を訪ねるために来ている。温水は五平餅を目の前にして糖質について考える八奈見の話を聞いている。その後、彼は月之木先輩が送った小説の添付ファイルを読む。物語は和服を着た男が小人に導かれ、洋館に着くという内容だ。
道の駅では、月之木先輩と小鞠が商品の配置で話し込んでいる。彼らは文芸部員としての「思考実験」を行っていると説明し、温水にも参加を求める。温水は適当に商品を配置し、二人は納得する。
最終的には温水が出発を促すが、月之木先輩と小鞠は漬物の売り場で新たなディスカッションを始め、再び商品の配置について熱心に話し込む。温水は焦りながらも彼らの間で起きていることに戸惑いを隠せず、早く焼塩に会いに行きたいと思っている。
温水は月之木先輩、小鞠、八奈見と一緒にミニバンで移動しているが、月之木先輩の寄り道のせいで焼塩の祖母の家になかなか到着しない。先輩の運転は初心者らしく、車はしばしば揺れ、ナビ操作も不安定である。温水は月之木先輩に何度も目的地に向かうよう促すが、先輩は観光や温泉、食事を楽しむことに夢中である。
結局、一行は目的地の近くに到着し、温水は焼塩の家が予想以上に近かったことを知る。しかし、具体的な場所が分からず、焼塩の家族に連絡を取ろうとするが、連絡はつかない。月之木先輩は、この際自分たちで焼塩の様子を見に行くと提案する。
一方、八奈見は観光スポットへ行きたいと提案し、温水たちは八奈見の案内で目的地に移動する。八奈見は撮影のためにポーズを取り、温水は写真を撮る。撮影中、突然現れた焼塩は八奈見に忍び寄り、驚かせる。その結果、八奈見と焼塩は川に落ちてしまう。
全体を通して、予定が大きく変更され、計画通りに進まないが、温水たちはそれなりに楽しんでおり、最終的に焼塩との再会を果たす。
温水とその仲間たちは、焼塩に連れられて彼女の祖母の家に上がり込む。祖母の家は改築された別荘で、二階建ての洋風建築である。祖母は買い物に出ており、室内には英語の書籍が多数置かれていることから、学問的な背景を持つ家庭であることが伺える。焼塩と八奈見は風呂に入り、その間温水は月之木先輩と会話を交わす。
月之木先輩は、焼塩が元気に見えることを良しとし、問題がないかのように振る舞っているが、温水は焼塩の真の気持ちを読み取ろうとする。会話からは、表向きの元気さとは裏腹に、彼女が何かを抱えている可能性が示唆されている。
やがて、祖母が帰宅し、温水たちを歓迎する。祖母は昔大学の教授だったということが判明し、家族の教育水準の高さが改めて強調される。焼塩と祖母は親しげにキッチンへ向かい、温水たちは夕食のお誘いを受ける。
山の日暮れは早い。傾いた太陽が隠れると、夜が空を覆う。彼らはテーブルを囲みながら、天窓から星空を眺める。その中で、八奈見が寿司を食べ、美味しさに身を震わせながら温水に食事を促す。彼女は糖質カットを止め、寿司を楽しんでいる。温水は寿司の食べ方について話し、食べるペースについて考えている。他方、小鞠は初めてのイクラを前に戸惑っている。焼塩の祖母と月之木は料理について話しており、月之木は運転で帰宅する予定であることが語られる。彼らは夕食を楽しみながら、互いに気遣いを示す。外は暗くなり、八奈見の助六の桶は空になる。小鞠は初めてのウニを楽しむ。夜は焼塩の家で過ごすことになり、彼らは心配や困惑を共有しながら夜を迎える。
焼塩の祖母に案内されたのは、二階の書棚が天井まで伸びる一室である。その部屋には工学系の日本語の本が多く並び、祖母は畳まれたパジャマと新品の下着を渡す。祖母は歯ブラシを後で出すと告げ、他に必要なものがないか尋ねる。彼はこれだけの親切に心を痛め、祖母は無理に泊まらせていることを詫びる。彼はみんなが焼塩を心配して訪れていると返すが、祖母は家族だからこそ言えないことがあると感謝を示す。彼が焼塩との関係を説明し、祖母は支持を表明する。祖母は彼が知人から聞いていた人とは違うと認識し、彼に応援すると伝える。夕食後、皆は疲れて早々に寝支度を始める。八奈見は食べ過ぎてソファに転がり、その後寝室に引き上げる。部屋が静まり返った後、彼はベッドに横たわり、やがて眠りにつく。
月明かりの下、砂利道を下りながら、彼は昼間の服装に再び着替える。焼塩が近くにいるか不安に思いながら、外灯のない山道を進む。スマホの地図を確認し、神社へ向かう途中、大きなヒノキが立ち並ぶ空間で焼塩を見つける。焼塩は走り練習をしており、彼にタイムを計らせる。疲れを見せる焼塩と共に、彼は神社の社殿に向かい、ベンチに座る。焼塩と距離を取ろうとするが、彼女の抗議を受けて隣に座り直す。焼塩は、彼が心配していることに感謝し、自身の逃げ癖を認める。彼は焼塩の感情に共感し、彼女が友達としての役割を評価するが、焼塩は自分が感じたことを打ち明ける。彼はその場で焼塩を慰めることに専念し、彼女の涙を忘れないと決意する。
時間が経過した後、焼塩は涙を拭いながら話をする。彼女は恥ずかしい部分を見せてしまったことを謝り、彼はそれを気にする必要がないと返答する。彼は焼塩の話に耳を傾け、彼女の悩みに共感し、支持する。焼塩は友人たちが心配してきてくれたことに感謝し、彼もまた焼塩を支えようとする。夜更けの会話は彼女に安心感を与え、お互いの理解が深まる。最終的に、焼塩は彼とともに帰り、朝雲に謝ることを決意する。彼は焼塩の支持者として彼女の側にいることを受け入れ、焼塩もその支持に感謝する。
Intermission 東海旅客鉄道 飯田線本長篠駅
飯田線本長篠駅にて、日焼けした少女、焼塩檸檬がSUVから降りる。彼女は祖母に感謝の言葉を述べ、家に着いたら電話すると約束する。檸檬は独りで考え事をしたいと祖母に告げ、駅舎へと向かう。四日前に祖母のもとを訪れたときの彼女は笑顔を貼りつけていたが、今は少し大人びて見える。檸檬は祖母の好意を受け入れ、ハグを交わして別れる。
檸檬は駅を通り、ホームで豊橋行きの電車を待つ。その時、オレンジ色のワンピースを着た朝雲が現れる。二人は初めて二人きりで会話し、朝雲は檸檬に話を持ちかける。朝雲はこの場所を知り、少しでも早く話がしたいと語る。檸檬は警戒を解き、朝雲の提案に感謝する。二人はホームに止まった電車に乗ることを決める。朝雲は何かをゴミ箱に捨て、電車に駆け込む。彼女はそれが温水との秘密の約束を破る行為だったと明かす。檸檬は朝雲との新しい友情を感じ始める。
~ 4敗目 ~ 焼塩檸檬は口を開いた
翌日の夜、主人公は精文館書店のコミック館でライトノベルの棚を眺めている。彼は家の前での月之木先輩の話に夢中になり、全てが終わったような気分になっていたが、まだ焼塩と綾野の会話という未解決の約束が残っていた。その約束に従い、焼塩をその場所まで送ることになっている。主人公は夕食後に家を抜け出し、書店でライトノベルを選ぶ中、焼塩と再会する。彼女はランニングの服装であり、主人公はその格好に驚くが、焼塩はそれが自分の普段の格好であると返す。二人は書店でライトノベルについて話し、一緒に市電で待ち合わせ場所へ向かうことを決める。目的地は小学校のグラウンドであり、主人公はそこに不法侵入することを懸念するが、焼塩はそれに慣れていると答える。最終的に、二人はその場所で分かれ、焼塩は一人で綾野との待ち合わせに向かう。主人公は焼塩の帰りを待つことにし、夜の住宅街での一人立ちが不安であることを感じる。
月明かりに照らされた小学校のグラウンドで、檸檬はかつての遊び場を懐かしく思いながら歩いている。彼女はかつての友達、光希がすでに到着しているかと期待している。光希はグラウンドの隅に緊張して立っており、二人は久しぶりに再会する。檸檬は微妙な笑顔で光希に挨拶し、二人は少し歩きながら昔の思い出に花を咲かせる。特に小学生の頃からの思い出や、檸檬が怪我をしたときのエピソードなどが語られる。檸檬はその後、自分が光希のことをどれほど好きだったかを明かし、光希もまた、檸檬が際立っていた学校生活の中で、彼女と一緒に学ぶことへの自分の願望を語る。二人はその後、現在の生活や将来の夢について話し合い、互いに支え合う関係の大切さを再確認する。最後に、檸檬は一人でいたいと言い、光希は彼女の決断を尊重してその場を後にする。
焼塩が小学校の裏門から不法侵入してから20分が経過している。綾野が現れ、二人は会話を交わす。綾野は焼塩と話を終えたばかりであり、温水に焼塩を送るよう頼む。温水は当初、綾野と焼塩の関係を友達以上だと勘違いし、その場を緊張して見守るが、綾野からの説明を受けて理解する。綾野は温水に焼塩を送ることを頼み、温水は綾野と焼塩が夜道を一緒に歩くことを認める。最終的には温水が自分の思い過ごしを認め、二人の間にある秘密を認めながら家路につく。
エピローグ ハッピーエンドの向こう側
ある学生が新学期の朝に家を出る様子が描かれている。夏休みが終わり、日常の学校生活が始まることに対して心の準備を整えながら、制服に身を包み玄関を出る。その際、妹の佳樹がネクタイを直すなどして兄を世話する。学校に向かう途中、朝雲さんと出会い、以前の出来事について話し、二人の関係が良好であることが示される。しかし、通学途中には様々な人物との予期せぬ交流があり、学生はそれに疲れを感じつつも、新学期を迎えている。
旧校舎の非常階段で、主人公と八奈見が放課後に会話をしている。八奈見は自身が最近の出来事について知らされていなかったことに不満を示しながら、おぐらサンドを食べている。主人公は八奈見に、関係者であることを認めながらも、無闇に情報を共有しない理由を説明する。二人はグラウンドを眺めながら、陸上部の活動を見ている。
八奈見は最近ダイエットに成功したことを自慢するが、主人公はその結果の有効性に疑問を持っている。八奈見は自分の食生活を維持しながら体重を増やす必要があるという謎の理論を展開し、これが将来的に書籍になるかもしれないと述べている。
その後、八奈見はインスタグラムで彼氏ができたと匂わせたため、友達にその彼氏を紹介するよう求められているが、実際には彼氏がいない。彼女はその噂を否定することなく、代役として綾野を彼氏として立てることを提案し、主人公にその交渉を頼む。
会話は夏の終わりと共に平穏を願いつつも、次のトラブルに巻き込まれそうな予感を含んでいる。
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