どんな本?
『負けヒロインが多すぎる!』は、雨森たきび 氏による日本のライトノベル。
この作品は、第15回小学館ライトノベル大賞のガガガ賞受賞作『俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか』を改題・改稿し、ガガガ文庫(小学館)にて2021年7月から刊行されている。
イラストはいみぎむる 氏が担当。
また、『マンガワン』(小学館)にて、いたち 氏によるコミカライズ版が2022年4月29日から連載中。『裏サンデー』(小学館)でも同年5月6日より連載されており。
2024年7月からテレビアニメが始まる。
物語は、自称「背景キャラ」の主人公・温水和彦が、ある日偶然クラスの人気女子・八奈見杏菜が同級生で幼馴染の男子生徒に振られている現場を目撃してしまうところから始まる。
それ以降、和彦は杏菜を含めた複数の負けヒロインたちと関わっていくこととなる。
この作品は、そうした「負けヒロイン」たちと、彼女たちを友人として見守る主人公による、青春ラブコメディ。
読んだ本のタイトル
負けヒロインが多すぎる!3巻
著者:雨森たきび 氏
イラスト:いみぎむる 氏
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あらすじ・内容
ツワブキ祭、恋の華は咲くや散るや――?
負けヒロインが多すぎる! 3
10月、俺たち1年にとって初めての学園祭――ツワブキ祭が近づいていた。
3年生はここで引退し、残された俺たちが部を引き継ぐ。
文芸部の展示や部誌、クラスの出し物もあって準備に追われるなか、次期部長に指名された小鞠の様子はどこかおかしくて……?
生徒会メンバーや姫宮華恋にまで絡まれて、気ままな背景キャラだった俺の高校生活はどうなってしまうのか――。
あ、八奈見は今日も元気です。モリモリ食べてます。なんか安心するな。
大人気負け確ラブコメ、第3弾。――それは、感謝とさよならのラブレター。
第1章:ツワブキ祭の準備
10月、1年生の主人公・温水たちは初めての学園祭、ツワブキ祭の準備に追われていた。
文芸部では展示や部誌の制作、クラスの出し物などで忙しい日々が続いている。
3年生はここで引退し、残された1年生たちが部を引き継ぐことになる。
次期部長に指名された小鞠は、重圧を感じながらも準備に奮闘していた。
生徒会メンバーや姫宮華恋に絡まれる温水の高校生活は、次第に波乱に満ちたものとなっていく。
第2章:小鞠の苦悩
文芸部の展示内容は「食べる読書」というテーマで、文学作品に登場する食べ物をモチーフにしたお菓子を提供することに決まった。
次期部長に任命された小鞠は、恋愛を終わらせるための決意を持ちながらも、重圧に押しつぶされそうになっている。
温水や友人たちの助けを借りながら、少しずつ自分を取り戻していく過程が描かれる。
第3章:八奈見と佳樹のキャラクター
相変わらず食いしん坊な八奈見は意外な人気を誇り、温水の妹・佳樹は兄への愛情が過剰であり、その様子に笑いがこぼれる。
しかし、佳樹の存在が温水の行動や思考に影響を与えていることが明らかになる。
八奈見の食いしん坊キャラと佳樹のブラコンぶりが、物語にユーモアと温かさをもたらしている。
第4章:温水と小鞠の衝突
学園祭の準備が進む中で、温水と小鞠の間に衝突が起きる。
小鞠は一人で全てを背負おうとするが、その姿勢が逆に孤立を招いてしまう。
温水はそんな小鞠を支えようとするが、思わぬ誤解から二人の関係はぎくしゃくしてしまう。
本音でぶつかり合うことで、二人の絆は深まり始める。
第5章:文芸部の結束
学園祭当日、文芸部の展示が無事に始まる。
多くの来場者が訪れ、展示は成功を収める。
小鞠を中心に、部員たちの結束が強まり、彼らの努力が実を結ぶ。
展示を通じて、文芸部のメンバーは互いの絆を再確認し、今後の活動に対する意欲を新たにする。
第6章:新たな始まり
ツワブキ祭が終わり、3年生の引退が正式に発表される。
新部長としての小鞠の奮闘が描かれ、温水もまた成長を見せる。
彼らの新しい日々が始まることが示唆され、物語は次巻への期待を高めつつ幕を閉じる。
温水と小鞠、そして文芸部のメンバーたちのこれからの成長と挑戦が楽しみである。
感想
学園祭の準備と小鞠の苦悩
温水たちにとって初めての学園祭、ツワブキ祭が近づく10月。
文芸部の展示や部誌、クラスの出し物もあり、準備に追われる日々が続く。
小鞠は次期部長に指名されるが、その重圧に押しつぶされそうになっていた。
特に三年生二人の引退が近づく中、小鞠は部の未来を背負う責任を感じ、余裕がなくなってゆく。
八奈見の食いしん坊キャラと妹の佳樹
相変わらず食いしん坊な八奈見は意外な人気を誇り、温水の妹・佳樹のブラコンぶりには笑いがこぼれた。
しかし、苦労する小鞠を温水や友達が協力して助ける展開には、彼らが積み重ねてきた絆を感じさせてくれた。
恋と友情の絡み合い
今巻では、文化祭での展示が中心となり、「食べる読書」として本に登場する食べ物をモチーフにしたお菓子を提供する。
小鞠は新たに部長に任命され、その理由は自分の恋を終わらせるためであった。
切ない理由で奮闘する小鞠を皆で支える中、温水との衝突もあるが、最終的には本音でぶつかり合い、絆を深める展開が心に響く。
ええのぅ・・・若いって素敵!
主人公の成長と変化
温水も徐々に変わってきている様子が描かれていた。
彼の優しさが周囲のキャラクターたちに影響を与え、物語が進む中で彼自身も成長していった。
彼の行動は妹の佳樹によって影響(誘導?)されている部分もあり、彼の優しさが際立っていた。
終わりのない恋と新たな始まり
知花が重圧に襲われながらも、彼女の終われぬ恋を終わらせるために学園祭での出来事が描かれていた。
温水はその中で彼女を助けるために動き、新たな恋の終わりと未来への願いが織り交ぜられていた。
物語は彼らの新しい日々を期待させる終わり方をしており、次巻への期待が高まる。
文芸部の活躍と次なる展開
学園祭編では、文芸部が一丸となって展示を成功させる姿が描かれていた。
特に新部長としての小鞠の奮闘が光り、彼らの絆が強まる様子が印象的であった。
温水を中心にして、文芸部の今後の展開が楽しみになる巻であった。
軽快なラブコメ
【マケイン】は、妙に癖になるラブコメであり、軽い雰囲気で進む中で失恋が挟まることで物語が締まる。
キャラクターたちの掛け合いが絶妙であり、読者を引き込み。
次巻も温水とその仲間たちの動きが楽しみであり、続きが気になる作品である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
ED
備忘録
10月半ばの放課後、中庭食堂の入口で待機していた主人公は、食堂入口の水道の全面改修が完了するのを見守っていた。
その時、校内新聞「ほのかの便り」秋号を手に取り、特に改修に関する連絡事項に目を通していた。
作業完了後、彼は新しい水道を試すことに決めたが、その瞬間、小鞠知花という文芸部の1年生が駆け寄ってきた。
小鞠も新しい水道の試用に興味があったが、実際には休み時間にすでに水を飲んでおり、主人公を部室へと引っ張っていった。
1敗目 志喜屋夢子はお世話します
西校舎の文芸部部室前で、主人公は小鞠に促されながら部屋に入る。
部屋の中は薄暗く、ナース服を着た志喜屋が椅子に座っているのを発見する。
主人公は反射的に部屋を飛び出し、小鞠を部屋に置き忘れてしまう。
小鞠が部屋から出てくると、二人は志喜屋に腕を捉えられる。
志喜屋は力尽きて崩れ落ちるため、主人公は彼女を支えることになる。
西校舎の文芸部部室で、主人公は志喜屋を椅子に座らせ、お茶を淹れる。
志喜屋はナース服を着ており、部活動の展示申請書を持っていることが分かる。
文芸部の展示はまだ具体的なテーマが決まっておらず、申請書も小鞠が何度も書き直し、締め切りギリギリに提出したものである。
志喜屋は展示の詳細と配置図が足りないと指摘し、小鞠がその場から逃げ出したことに言及する。
展示の申請を手伝うために志喜屋が部室に来たのであるが、状況は複雑である。
申請書の書き方講座が行われている。
志喜屋は申請書に修正点を赤鉛筆で書き込み、小鞠はその指導に熱心に従っている。
小鞠は、志喜屋の説明を聞きながら申請書を凝視し、指示された通りに修正を加えている。
この過程で、申請書に関する重要なポイントが示され、小鞠はそれを実行に移している。
講座が終了後、志喜屋は部屋を去り、小鞠は改めて申請書を見直すことを決意する。
その間、顧問の存在が重要であることが話題に上がり、部室には顧問が必要であることが確認される。
この事実に直面し、小鞠は顧問の不在について心配し、部室の今後について考えを巡らせている。
その晩、主人公は自室の勉強机で学習に励んでいた。
学校の先生たちは二学期から宿題を増やしてきたため、彼は数学の後に英語の問題集に取り組んでいた。
この間、文芸部での部長たちとの話や、小鞠が次期部長となることが決まったことを思い出し、彼女を支えなければと決意していた。
そのとき、主人公の妹の佳樹が彼の膝の上で本を読んでおり、彼に話しかけた。
佳樹は、学校の手洗い場の水道が変更されたことを話題に出し、その水の味の違いについて語ったが、会話は盛り上がらなかった。その後、佳樹は八奈見杏菜のことを尋ねた。
八奈見は友人であり、最近は教室で明るく振る舞っており、部活にも顔を出しているが、恋愛の進展はなかった。
佳樹は、八奈見が主人公に惹かれつつあると考えていたが、主人公はそうではないと否定し、佳樹に膝から降りるよう促した。
すると、佳樹が主人公のスマートフォンを勝手に操作していることが発覚し、八奈見からのランチの誘いを受けたメッセージを見つけた。
このメッセージに対して佳樹が勝手に返信してしまい、主人公は困惑する。
最終的に、主人公は妹に対してスマートフォンを勝手にいじらないよう注意するが、佳樹はそれを気に留めず、彼女のスマートフォンの情報が主人公と共有されていることを明かす。
主人公は自分のプライバシーが侵されている可能性に気付き、慌てる一幕があった。
翌日の昼休み、主人公は非常階段に先に座り、妹に作られた弁当を開ける。
内容は豊富で、デザートには手作りゼリーが含まれていた。
そこへ八奈見が現れ、自分で作った素麺チャンプルーの弁当を見せる。
八奈見は彼の弁当に興味を示し、会話が始まる。
八奈見は特に用事がなく、単に食事を共にしながら話をすることを望んでいた。
彼女は、クラスのハロウィン企画「辻ハロウィン」について言及し、その準備が始まったことを告げる。
この企画では、仮装して校内を練り歩き、寸劇やお菓子配りを行う。
さらに、衣装の採寸が保健室で行われたエピソードを語る。
会話は食事を楽しみながら続き、八奈見は主人公のおにぎりに手を伸ばす。
彼女は、文芸部の企画についてのアイデアを主人公に提案し、展示を食に関連づけることを勧める。
八奈見の提案は、文芸部の展示をより魅力的にし、観客を引きつけることを目的としていた。
主人公は、文芸部の展示が成功することを望みつつ、放課後の取材についても八奈見と話し合う。
展示についての具体的なアイデアを探すため、八奈見は友人たちを招くことも検討しているが、主人公はそのアプローチに少し疑問を抱いている。
放課後、豊橋駅から歩いてきた主人公は、自転車通学の八奈見と小鞠と待ち合わせをしていた。
水上ビルで二人を待つ間、レトロなビル群とその周辺の光景について考えていた。
商店のシャッター前で、古いポスターに見入る小鞠を見つけ、彼女と共にそのポスターについて話をする。
八奈見が現れ、主人公が過去のアニメイベントに想いを馳せていることを指摘する。
彼女は取材を自覚するよう促し、彼らは古いものと新しいものが融合した地域を探索する。
このエリアがアートの発信基地としての潜在性について議論する。
カフェでパフェを食べながら、小鞠は自分の金銭状況を懸念し、主人公は彼女を安心させるために食べ物を分け与える。
この行動に八奈見は反応し、主人公の対応が自分に対してと異なることを指摘する。
主人公たちは地域の探索を続け、ツワブキ祭の企画についてのアイデアを探る。
彼らはこの地域の古い魅力と新しい文化が混在する特性からインスピレーションを得ようとする。
この過程で、主人公と小鞠の間で深い関係性が示唆されるが、それは八奈見の観察によって更に明確にされる。
精文館書店本店を訪れた主人公は、八奈見の誕生日のための本を探していた。
そこで、朝雲千早と再会し、彼女からの突然の提案に圧倒される。
朝雲は綾野光希と共におり、彼女は主人公にテーマに沿った本を30冊ほど選んでくれることを申し出るが、主人公はもっと軽い展示を望んでいた。
綾野が現れ、学術的なアプローチではなく、より広く楽しんでもらえるような展示を提案する。
彼は主人公に無理せず、時には何も考えない時間の大切さを教える。
最終的に、朝雲と綾野は主人公に対する深い友情を示し、いつでも助けを申し出る。
二人は、主人公の問題を解決しようと情熱を示しつつも、自分たちの関係性を通じて楽しんでいる。
翌日の放課後、八奈見、小鞠、温水の三人は部室で会合を持っていた。
八奈見は昨晩小鞠とオンラインで議論し、その結果を温水に示すが、八奈見はこの話し合いに参加していなかったことに気付く。
温水は八奈見に特別な役割を与える意向を示すが、実際には八奈見からの視点が求められていた。
八奈見はこれを受け入れ、文化祭での展示に関する自身のアイデアを提案する。
八奈見は展示を食に関連付けた文豪のイメージで構想しており、現実的な調理や出店の可能性については考慮していなかった。
一方、小鞠は規則に基づいて焼き菓子の提供が可能であると指摘する。
最終的に、八奈見は温水に対して具体的な解決策を見つけるよう促し、自身は友人との約束があるかのように振舞いつつ、温水と小鞠を引っ張って行く。
八奈見に連れられた新校舎の家庭科室では、料理部の友人の許可を得て、自由に使用することができた。
八奈見は小麦粉と砂糖を調理台に置き、これらが材料の全てであることを自信満々に告げる。温水はお菓子作りに不慣れであり、戸惑いを隠せない。
八奈見が提案する小麦粉焼きに対し、小鞠はクッキーの作成を提案し、必要な追加材料を探る。八奈見はサラダ油を見つけ出し、小鞠はそれで済むと応じる。
小鞠は紅茶を加えたクッキー生地を作り、冷蔵庫で休ませた後、オーブンで焼く予定である。
その間、小鞠は日常的におやつを作る習慣があることを明かし、その経験が活かされている。
紅茶の湯気が上がる中、焼きたてのクッキーが皿に並べられている。
食事の挨拶の後、小鞠は柔らかいクッキーを好むと話し、紅茶の香りも感じられると述べる。
八奈見は紅茶を飲みながら満足そうにクッキーを食べる。
八奈見と小鞠は展示テーマにどう関連付けるかを考え、部誌も作成する計画を立てる。
その際、八奈見は完璧を求める必要はなく、無理なく作れる量で良いと提案する。一方、窓から焼塩檸檬が登場し、クッキーに参加する。
焼塩は陸上部の練習後であり、文化祭の準備には参加できないことを謝罪する。
しかし、焼塩はクラスの企画でも活動的であり、顧問教師を探す話になる。
甘夏古奈美教師が顧問候補として挙がるが、小鞠が促し、焼塩と一緒に教師のもとへ向かうことになる。
甘夏先生が社会科資料室にいると聞いて、焼塩とともに向かっていた。
焼塩は部活をさぼることがあると話し、教室に着くと資料の山が崩れ、甘夏先生が叫ぶ。
焼塩が先生を助け出し、状況が落ち着くと、文芸部の顧問になってほしいと頼む。
最初は戸惑うものの、甘夏先生は卓球部の顧問だが、生徒からの相談が初めてと知り、積極的に関わることを決める。
文芸部の顧問探しを任されるが、甘夏先生は依然として生徒の名前を覚えておらず、最終的に温水の名前を思い出す。
翌日の土曜日、彼は家族で「道の駅とよはし」に訪れた。
そこで彼はレモネードを手に取りつつ、焼塩の大人びた笑顔やレモンの苦みを想起し、レモネードを棚に戻した。
ツワブキ祭での文芸部展示に絡めたお菓子のアイデアを考えるため、親に頼んで車を出してもらったのだ。
彼の弟、佳樹はジェラートを食べながら彼の隣に立っていた。
佳樹は、彼の提案に協力的で、文化祭での展示に絡めたお菓子づくりや休憩スペースの提案をしていた。
特に、畳を敷くことで休憩スペースを作る提案があり、柔道部から畳を借りることを考えている。
佳樹は、彼のためなら何でもするという意気込みを示していた。
週が明けた月曜日、一限目の休み時間に、彼は教室貸し出しの申請書に必要な小鞠のサインを得るために行動を開始した。
申請書の締め切りはその日の昼であった。
彼は小鞠を見つけるために、普段彼女がいそうな場所を想定して新校舎の四階に向かい、小鞠が手洗い場で水を見つめているところを発見した。
彼は小鞠に近づき、教室貸し出しの申請書にサインをもらうことを依頼した。小鞠は代表者であることに驚きつつもサインを行い、彼に返した。
その後、彼は小鞠が何かに困っている様子を察し、少し話を聞いたが、具体的な問題は明らかにならなかった。
休み時間の終了が近づくと、彼は教室に戻ることを告げたが、小鞠は彼の裾を引っ張りながら少し動揺していた。最終的に、二人は一緒に教室に戻ることにした。
文芸部活動報告の秋報として、小鞠知花による「婚約破棄は高らかに! 第4話」が紹介されている。
物語の主人公、シルヴィア・ルクゼードは元公爵令嬢で、乙女ゲームの世界に転生した元女子高生である。
彼女は悪役令嬢として幸せな外伝ルートに突入するが、思い通りには事が進まない。
フィリップ王子とのやり取りを中心に展開され、彼女はフィリップがろくに食べていないことを知り、彼の執務室に乗り込む。
フィリップは公爵領の食料不足と王太子としての責任を背負い、中央官僚を領内に招くことを拒む。シルヴィアは新たな食事を提供し、彼の健康を気遣う。
彼女は幻影魔法を使って効率的な管理システムを提案し、フィリップを支援する。
フィリップは彼女の能力に感心し、最終的に彼女を妻として認めさせると誓う。
この話はシルヴィアとフィリップの関係が深まるとともに、彼らが直面する問題への解決策を見つける過程を描いている。
週が明け、昼休みに生徒会室へ申請書を提出しに行った。
申請書を印刷し、小鞠のサインを受け取るために彼女の居場所を探したが、見つけられず、生徒会室へ直行した。
生徒会室には、シリアルバーを食べていた副会長の馬剃天愛星がおり、彼女に申請書を渡そうとしたが、ツワブキ祭関連の受付が終了していると告げられた。
しかし、馬剃が文芸部の悪い噂を聞いていることを知り、誤解を解こうとしたが、彼女は文芸部に対する偏見を持っていた。
最終的に生徒会長の放虎原ひばりが現れ、彼の書類を受理した。
会長は親しみを持って接し、問題なく申請を受け付けたが、その後の態度で文芸部に対する厳しい見解を示唆した。
放課後、文芸部の1年生である八奈見、焼塩、小鞠、そして話者は部室で集まり、ツワブキ祭の展示内容を話し合った。
テーマは「食べる読書」とし、有名な作家や本を食べ物に焦点を当てて紹介する計画である。
また、展示に関連したお菓子を販売および配布することになった。特に小さな子供には、スタンプカードを使用して展示を全て見た後にお菓子を配るシステムを導入することにした。
さらに休憩スペースとして畳を並べる予定である。
最後に、部誌の作成は先輩たちが手伝い、研究展示の内容や会場設営、お菓子の担当はそれぞれ小鞠、話者、焼塩が担当することになった。
会議の終わりには、新顧問の小抜小夜が登場し、これからの部活動を共にすることを宣言した。
Intermission 秘密の並木道
ツワブキ高校の東門から伸びるユリノキの並木道で、一年生と三年生の女子二人が背中合わせに立っていた。
一年生は髪がウェーブしており、三年生は眼鏡をかけ、後ろで髪を二つに縛っている。
ツワブキ祭の準備が順調であること、文芸部の企画が決まったこと、教室の貸し出し許可が出たことが一年生から報告された。
一年生はフライドチキン味のポテトフライを食べつつ、同級生の最近の様子を説明した。
眼鏡をかけた女子は、友人の状況についてカルビ焼き味とじゃが塩バター味のスナックを差し出しながら聞いた。
一年生は変化として、昼休みの行動に少し楽しそうな様子があることを伝えた。
情報を受け取った眼鏡の女子は報酬を約束し、一年生はその場を離れた。
眼鏡の女子は落ちたユリノキの葉を拾い、青空を見上げながら「あの子」の強さを信じようと思った。ツワブキ祭まで残り十日である。
2敗目 お待たせしました姫宮華恋
文芸部の顧問に小抜が任命されてから一週間が経過した。
小抜は意外にも部員の世話をよくしていたが、学生二人を保健室に二人きりにさせたり、話を聞いている際にオシベとメシベに例えたりするなど、些細な問題も存在した。
ツワブキ祭の直前の月曜日、学校は慌ただしさを増しており、仮装した生徒たちが校内を行き交っていた。
主人公はこれからクラス企画の打ち合わせがあると説明していた。
その途中、階段から落ちてくる荷物と共に女子生徒も落ちてきた。
一瞬のうちに荷物に押しつぶされ、目が暗くなった主人公は、意識を取り戻すと、知り合いの姫宮華恋が自分に馬乗りになっており、顔を真っ赤にしていた。
驚く主人公の前で、彼女はさらに恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
姫宮が深く頭を下げながら謝罪する場面から始まり、主人公と姫宮の間でハプニングが発生したことが語られる。
主人公は姫宮と共に落ちた布を拾うが、その途中で光が輝く描写がある。その後、二人は教室への道を共にし、途中で会話が交わされる。
姫宮は主人公との新たな友情を提案し、彼が驚く様子が描かれる。
八奈見もその場に現れ、主人公を小道具係の打ち合わせに呼び出す。
打ち合わせの後、主人公はクラスの小道具作成に取り組む。
この一連の流れは、学校での日常と友情、突発的な出来事が組み合わさったものである。
部室で小鞠と一緒にいる主人公が、試作したお菓子を小鞠に試食してもらう。
お菓子は主人公の妹が作ったもので、主人公は主に補助的な作業を担当していた。
彼らはお菓子の種類について話し合い、特に夏目漱石のエピソードにちなんだ落花生の砂糖がけや太宰治の小説『桜桃』をテーマにしたさくらんぼのパウンドケーキなどが紹介される。
小鞠は試食し、それぞれのお菓子を評価する。
さらに、お菓子の包装や準備についても話し合われる。
最終的に、小鞠が図書館に本を返しに行く際に、主人公が半分の荷物を運ぶことになる。
この対話は、お菓子作りという共通のタスクを通じて、二人の協力と友情が深まる過程を示している。
綾野は教室から出てきて、自転車の鍵を主人公に渡した。
綾野は自転車通学をしており、今回は千早と一緒に電車で帰る予定だったため、自転車を主人公に貸すことにした。
主人公は綾野に礼を言い、自転車置き場に向かう。
そこで小鞠が待っており、二人は一緒に帰路につく。
しかし、小鞠は主人公の態度に戸惑い、距離を置くように言った。
主人公はそれを受け入れ、小鞠の後を追って自転車をこぐ。
この出来事は、通常の下校シーンが異性との特別な瞬間へと変わる重要な場面である。
豊橋市中央図書館は市内最大の図書館である。
小鞠はここで本を返した後、絵本を借りるため児童室に向かった。
研究展示の準備が迫っており、小鞠はそれに関連する絵本を探している。また、自宅で子供に読むための絵本も選んでいた。
図書館で小鞠は学校の先輩である玉木部長と月之木先輩を見かけ、気まずく感じて隠れた。
その後、国道近くのファミリーレストランに寄ることを提案された小鞠は、当初戸惑いながらも最終的には誘いを受け入れた。
主人公は小鞠を一人で帰らせたくないという気持ちからこの提案をした。
ツワブキ生の少ない行きつけのファミレスにて、主人公は小鞠と共に食事をしている。
小鞠は戸惑いながらもホットいちごオレを飲み、プリンを食べていた。
主人公は経済的な食事の選択肢について冗談めかして話しているが、小鞠はそれについていけない様子である。
二人は図書館で出会った玉木部長と月之木先輩の話題に触れ、学校外の関係の違いを感じている。
小鞠は過去に部長に振られた経験を持ち、それについて淡々と語っている。
最終的に、小鞠は一人で活動を行う決意を新たにし、自立心を見せている。
食事が終わり、二人はお互いに感謝を述べながら別れ、主人公は自転車の鍵を開ける小鞠を見送る。
小鞠は体調がすぐれない様子で自転車に乗り、主人公は小鞠の後ろ姿を見つめながら、彼女の孤独な気持ちを感じ取る。
ツワブキ祭の前日、準備は最終段階に入っている。
主人公は教室の一角で黙々とカボチャの飾りやコウモリの切り抜きを作業しており、他のクラスメイトはそれぞれの役割に追われている。
特に八奈見、姫宮華恋、袴田草介は仮装をしており、彼らの衣装は目立っている。
また、小鞠は図書館での出来事が気にかかりつつも、展示の準備に取り組んでいる。
教室では文芸部の展示以外にも、様々な活動が進行中で、各班がそれぞれのタスクに忙しい様子が描かれている。
八奈見は主人公に特別なお願いをしているが、その具体的な内容は示されていない。
全体として、ツワブキ祭の前日は学生たちにとって忙しくもエキサイティングな一日である。
放課後の木曜日、ツワブキ祭を二日後に控え、部誌の印刷作業が行われていた。
玉木部長と一緒に学校の印刷室で作業している主人公は、月之木先輩が提出した最後の原稿を含め、すべての原稿が集まったことにより部誌を印刷していた。
部長は印刷機の操作をしながら、印刷終了後の手続きについて説明している。
その間、主人公は月之木先輩の新しい小説「沈黙の蟹」を試し読みしており、その内容に思いを馳せている。
小説は異世界の港町を舞台に、和服姿の男と軍服姿の三島というキャラクターが中心で、彼らが繰り広げる会話や出来事が描かれている。
特に、異世界の料理や日本酒、エルフの魔法といった要素が組み込まれており、太宰と三島の間で進む風変わりなやり取りが特徴的である。
木曜日の放課後、ツワブキ祭まで二日前、部誌の印刷が行われている。
全ての原稿が集まったため、部長と主人公は学校の印刷室で印刷作業を進めている。
部長は検閲が不要であると述べ、印刷機の操作を説明する。
展示準備について不安そうに尋ねる部長に、主人公はお菓子の準備と会場設営は問題ないが、研究展示の原稿が未完成であることを告げる。
印刷が半分終わった後、部誌を折りたたんでいるとき、部長とアニメの話題に花が咲く。
その時、月之木先輩が急に印刷室に飛び込んで来て、小鞠が教室で倒れたと告げる。
混乱する中、部長は冷静に対応し、小鞠の側にいるべきだと語り、主人公に先に保健室に行くよう指示する。部長と月之木先輩は補習の問題を解決した後に後を追うことになる。
保健室で小抜先生と出会った主人公は、小鞠の容態を尋ねる。
小抜先生は小鞠が過労と寝不足であることを告げ、心配はないと伝える。
主人公は安心し、ツワブキ祭の準備で疲れがたまっていたことを説明する。
小抜先生は主人公と共に若さと限界に挑む経験について語ろうとするが、主人公は話を聞かない。
その後、小鞠が目を覚まし、保育園に迎えに行かなければならないと言い出す。
足がおぼつかない小鞠を小抜先生が支え、自分の車で送ることを提案する。
小鞠の妹の保育園には先生が電話をかけると言い、主人公も一緒に行くことになる。
ツワブキ高校から15分の距離にある、昔ながらの住宅街の一角に小鞠の家が位置する。
家には誰もおらず、小鞠の弟が家にいた。
小鞠と学校が同じであることを告げようとした主人公は、弟によって遮られる。
その間に小抜先生は小鞠を車から下ろし、弟が支える形で家の中へと入っていく。
主人公は何をすべきかわからず立ち尽くし、最終的に弟に場所を移動するよう促される。
居間と子供部屋がフスマで仕切られた家で、畳の上に正座している主人公の前で、小鞠が布団に寝かされている。
小抜先生と小鞠の弟、進君が保育園に妹を迎えに行ったため、主人公と小鞠の二人きりである。
出かける前に小抜先生は主人公に小鞠から目を離さないよう耳打ちする。
部屋は6畳の和室で、小鞠の勉強机にはツワブキ祭の展示企画の資料が積まれている。
その後、小鞠の口から寝言で主人公の名前が聞こえる。
主人公が困惑している間に、小鞠の妹が現れ、小鞠の弟妹を連れて小抜先生が部屋を出ていく。
夕方5時半になり、小鞠は突然目を覚まし、トイレに行きたいと言う。
その後、小鞠は主人公に展示の原稿の続きを書かせてほしいと頼む。主人公は小鞠に部活の他のメンバーに任せ、学校を休んで休むよう約束させる。
最後に、小鞠はフスマの向こう側から動こうとせず、トイレに行きたいと言って枕を主人公に投げつける。
学校に戻ると、中庭沿いの外廊下はツワブキ祭の準備で生徒でごった返している。
主人公は照明の届かない中庭を突っ切りながら校舎を見上げる。
西校舎の奥の部室に入ると、部長が静かに座っている。
テーブルの上には完成した部誌が積み重なっている。
部長は小鞠の様子を尋ね、主人公は小鞠が眠った後元気になったことを伝える。
月之木先輩は部屋の隅で静かに座っており、小鞠が怪我がなかったことを安堵する。
月之木先輩は、小鞠が自分たちに突き放されたと思っていないか心配する。
部長はそれは自分が言い出したことだとし、月之木先輩には責任がないと語る。
小鞠についての話が進む中、主人公は小鞠が二人が思っているよりも強いと述べ、小鞠の勤勉さが目に焼き付いていると感じる。
部長と月之木先輩は小鞠の負担を心配し、彼女がこれ以上無理をしないようにすることを決意する。
しかし、小鞠は続けたいという意思を示し、主人公は小鞠に最後までやらせてあげるよう提案する。
部長と月之木先輩は沈黙し、最終的には主人公の意見に同意する。
部長は明日の準備をどう進めるか尋ね、主人公は明日の朝に会場の教室に集まるように言う。
部長はそれに同意し、それまで各自ができることをするように言う。
主人公は明日授業がないことを思い出し、ツワブキ祭の準備に全員が参加することを確認する。
金曜日の朝7時、ツワブキ祭の前日、主人公は西校舎二階の空き教室で「抜け駆け」を行い、会場設営の準備を始めている。
焼塩が予期せず現れ、彼に力を貸すことになる。
その後、八奈見が加わり、文芸部の他のメンバーも次々に集まる。
綾野と朝雲は、小鞠から送られた5万字を超える大作の展示原稿に基づいて、模造紙8枚にまとめるレイアウト案を作成し、これを新聞のようにデザインする。
大判プリンターでの出力を業者に依頼する計画も立てられる。
八奈見はLINEグループを作り、部員間で連絡を取り合う体制を整えていたが、主人公はそのグループに含まれていなかった。
部長は、展示の実施計画を確認し、綾野と朝雲に展示準備を任せ、八奈見と焼塩にはクラスの準備が空いた時間に文芸部の支援を求める。
最終的には全員が協力してツワブキ祭の前日を迎える準備を整える。
机を廊下に出し、教室のレイアウトが整えられた後、八奈見と焼塩は黒板に説明を書き込んでいる。
月之木先輩は展示物の設置とお菓子、部誌の配置を提案するが、看板やメニューの不足について指摘を受ける。
月之木先輩は装飾の重要性を説き、布と立て札を用いて展示の見栄えを良くする。
展示の詳細を検討する中で、温水が準備不足を認め、月之木先輩が会場設営の指揮を取ることになる。
必要な材料のリストが作成され、焼塩が買い出しに志願する。
月之木先輩は八奈見にも買い出しの同行を依頼し、買い物の詳細を手帳に記入して計画を進める。
その後、八奈見たちはクラスの準備を続けつつ、買い物を済ませる予定だ。
最後に月之木先輩は、温水の母校から畳を借りる手配をしており、昼前に出発することを告げる。
手を止めて壁の時計を見上げると、午後2時を回っていた。
展示の原稿は締め切り直前に入稿され、部長が取りに行っている。
朝からチラシや貼り紙を作り、借りた畳を教室に敷き終えた。
畳運びを手伝った綾野が背中を叩くと、彼はクラスの手伝いに向かう。
朝雲さんが礼を言って去り、教室には一人残る。
月之木先輩は畳を運んだ車を戻しに行っており、八奈見と焼塩は午後からのリハーサルに出ている。
月之木先輩が教室に戻ってくると、トラックでの運転は規則違反であるが、事前に制服を着替えて対策を取っていたことが明かされる。
また、妹に関する話題が出ると、温水は彼女が異性に入れ込むのは早すぎると断言する。
その後、部室でのラノベの話題が出るが、月之木先輩はそれを受け入れる姿勢を示す。
最後に、温水は妹が中学に入学した時のエピソードを語る。
夕方4時前、1-C教室の様子は朝と一変していた。
壁には暗幕や飾りが張られ、黒板には「HAPPY HALLOWEEN」の飾り文字が描かれており、完全にハロウィンパーティーの会場になっていた。
姫宮華恋が登場し、温水にトリック・オア・トリートのリアクションを求めるが、温水はお菓子がなく、後で渡すことを提案する。
姫宮はブラックサンダーを受け取り、八奈見に渡すよう頼む。
その後、温水はクラスの飾りつけに手伝い、辻ハロウィンの計画についても説明を受ける。
そこに妹の佳樹が現れ、温水は彼女と共に学校を出ることにする。
佳樹は温水に稲荷寿司を差し入れたことも明かされ、温水はそれを楽しみにする。
文芸部のツワブキ祭研究展示「食べる読書」の準備が完了し、参加者たちはその完璧さに感慨深く会場を眺めている。
月之木が満足そうに親指を立てる一方で、焼塩は温水にもっと明るい表情を求める。
部長はこれからの本番に備えて早めの休息を促す。
その後、二人は帰路につき、焼塩も帰宅を告げる。
温水は会場の写真を撮るために残ることにし、残りの参加者も帰宅する。
部屋に一人残った温水は、すべての準備がうまく行ったことに少しの虚無感を覚えつつ、部活の成果に自負を感じている。
八奈見が遅れて到着し、二人で部屋の展示を確認する。
太宰治の「桜桃」に基づく展示を見た後、八奈見は感心するが、その内容については少し戸惑う。
その夜、二人は教室で畳の上に座り、展示について語り合いながら、小鞠の作品がどれだけ多くの人に読まれるかを話し合う。
温水は展示がただの作品以上の意味を持つと感じ、それを八奈見と共有する。
最終的に、二人は学校を後にし、静かな夜の帰路につく。
Intermission ご近所迷惑はほどほどに
日の出前、小鞠知花はブレザーを羽織りながら弟の寝顔を見送る。
今日はツワブキ祭の当日であり、彼女が文芸部に所属する最後の日でもある。
昨晩、古都先輩から準備が完璧であるとの連絡を受けて安心すると同時に、自分がその場にいなかったことに対して悔しさを感じていた。
朝早く家を出る小鞠は、見覚えのあるミニバンが家の前に停まっているのを発見する。
車の中から月之木古都が声をかけ、彼女を学校まで連れて行くことになる。
車内ではプロポーズのシーンが収録されたボイスCDが流れるが、小鞠の指摘により音量を下げる。
この日は文芸部としての最後の活動となり、彼女はその責任と重みを感じつつも、古都先輩とともに学校へと向かう。
3敗目 さようならには早すぎる
ツワブキ祭当日の朝、一人の生徒が生徒会室に急いでいた。
その理由は、設営後の会場写真を提出する必要があったからである。
生徒会室に入ると、そこには猫耳メイド服を着た女子生徒が驚いた表情で固まっていた。
その女子生徒は、1年生の副会長、馬剃天愛星だった。
彼女は突然の訪問者に戸惑い、背後からはミニスカナース姿の先輩が登場し、彼女を抱きしめるようにした。
この先輩は天愛星に会長の発案に従うよう促し、天愛星はやや戸惑いながらも、会長の仮装計画に賛同することに決めた。
その後、生徒は用事を済ませて部屋を出ようとしたが、ナース姿の先輩に呼び止められる。
彼女はやや弱々しい声で後で会うことを約束した。
この朝の出来事は、学園祭の始まりにふさわしいユーモラスでやや混乱した一幕であった。
西校舎二階の教室は文芸部の展示会場である。生徒会室から戻った生徒が小鞠を見つけると、彼女は開始10分前に壁際に立っていた。
小鞠は、月之木が送ってくれたと述べ、3年生は朝から学年集会に参加しているため不在だと説明した。
それにより、準備は終わっており、二人でも展示を進行できる状況だった。
小鞠は展示を作成したことに対して謝意を表し、さらに教室の飾りつけについても賞賛を求めたが、彼女の表現はややぎこちなかった。
会場には沈黙が流れる中、壁のスピーカーから生徒会長の声が流れ、「自立自存」というモットーを強調し、生徒一人一人が学校の代表であると自覚するよう呼びかけた。
しかし、生徒会長の発言が少し威張ったように聞こえ、再調整の必要があると感じたところでマイクがオンのままであることが発覚し、小さな混乱があった。
それでも、第98回ツワブキ祭は開始され、遠くから歓声と拍手が聞こえてきた。
小鞠と生徒は遠慮がちに手を叩きながら、祭の開始を迎えた。
開場から15分後、ツワブキ生が廊下を通り過ぎる以外、人通りはほとんどなかった。
小鞠は不安げにうつむき、爪をいじっている。
展示の横にはお菓子の籠とスタンプ台が置かれ、入口近くには部誌が積まれていた。
太宰と三島のポスターも展示されていたが、小鞠は最初は人が来ないだろうと語った。
やがて5歳の男の子が入り口から現れ、スタンプカードを受け取って教室の奥へ駆け込んだ。
その母親が後に続いた。
少し後、教室には学校の文学作品と食のコラボレーションを評価する高い生徒が訪れた。
会長は展示を眺め、クッキーを購入しようとした際、会長が文芸部に対して過去に問題があったことを示唆し、「仮廃部」の可能性について言及した。
その後、会長は猫耳メイドの天愛星さんと共に教室を去り、天愛星さんは次の視察地である天文部へと会長を連れて行った。
その間、志喜屋さんがナース姿で現れ、展示されているミニパンケーキを購入し、小鞠は突然の現れ方に怯えた。
会長が仮装をしなかったことについて疑問を呈すると、志喜屋さんは副会長をだましたことが明らかになった。
最終的に、小鞠は部屋の片隅で安心している様子であった。
開場から15分後、人通りのない西校舎の廊下を通って、落ち着かない様子の小鞠が爪をいじっていた。
部室ではお菓子とスタンプカードが用意されており、初来場者は5歳の男の子で、スタンプを集めてお菓子を受け取っていった。
その後、生徒会長の放虎原ひばりが文学作品と食のコラボレーションを評価し、文芸部への意外な寛容さを見せるが、過去の問題を指摘して警告する。
その間、猫耳メイドの天愛星さんが視察の予定について焦る。
ナース姿の志喜屋さんが現れてお菓子を求め、小鞠は驚いて逃げる。
イベントは静かに進行し、文芸部の過去の問題について疑問が残る。
開場から1時間が過ぎ、見学者が増え始めていた。正の字が5個を超えた頃、飲み物を買うために会場を離れた。
帰ってくると、甘夏先生と小抜先生が展示を眺めていたが、甘夏先生は無銭飲食をしていた。
小鞠は甘夏先生に怯えているようだった。甘夏先生は俺を呼び、昨日のお稲荷と今日のお菓子について話をした。
このお菓子は俺の妹が作ったもので、それも百円だった。
甘夏先生は30歳前後で定職についている男性の話を持ち出し、小抜先生も会話に加わったが、彼女たちの態度はふさわしくない。
昼近くになると、スタンプカードを配り、お菓子を渡す作業がスムーズになってきた。
コツは、用意したセリフを機械のように繰り返し、中高生を避けることである。
教室には特定の生徒が3名いるが、対象外とされていた。
ある生徒が八奈見が着た白装束の仮装について話していると、八奈見がみたらし団子を食べながら、ダイエットをしていると説明した。
この後、八奈見は他の生徒にツワブキ祭を楽しむよう促し、部室への入室を禁止した。
東門から続く並木道には屋台のテントが並び、ツワブキ生と外部からの来場客で混雑している。
主人公と小鞠は人ごみを避けて歩き、教室に戻ることを決める。
空手部が出店するうどん屋で茶帯うどんを頼むことにし、ベンチで食事を楽しむ。
食事中に小鞠が展示をじっくり読みたいと言ったことを話し、食べ終わった後、どこに行くかを考える。
学園祭のデートとしての誤解を避けるために、小鞠にお兄ちゃんと呼ばせようとするが、その提案はうまくいかない。
F組の教室は新校舎の三階にあり、縁日らしい出し物が並ぶ中で、客であふれかえっている。
ハッピ姿の小柄な女生徒、朝雲が主人公たちを出迎える。
主人公は小鞠がビニールプールの前でスーパーボールを見つめているのを見つけ、朝雲に紹介する。
朝雲は小鞠の展示原稿を褒め、共通の興味について話を進めるが、小鞠は圧倒されてしまう。
射的コーナーで朝雲は主人公に特製のゴム鉄砲で撃ってみることを勧める。
主人公は景品を巻き上げる強風で当てるが、その力強さに驚く。
小鞠が復活し、文芸部に戻ると提案する。
主人公は景品を一つ持って教室を出る。
その後、陸上部の焼塩からの連絡により、主人公はグラウンドに向かうことを決め、小鞠には文芸部に戻るように告げる。
グラウンドでは運動部などが出し物を行っており、陸上部のブースでは「陸上仮面との勝負で豪華賞品を獲得」というイベントが開催されている。
焼塩はラメ入りのマスクをつけ、「陸上仮面」として登場し、高校生男子にはハンデなしの100m走を挑むように勧めるが、主人公は参加を拒否する。
突然、他校の制服を着た高橋が現れ、焼塩に映画デートを賭けた勝負を申し込む。
当初は100m走の予定が、焼塩の提案で1500mに変更され、デートを賭けたレースが始まる。
数分後、主人公は一つの恋の終わりを見届ける。
西校舎に向かいながら、主人公はタカ坊の運命を思い返す。
タカ坊が公開告白に失敗したことを反省し、文化祭の不思議な魔力について考える。
その時、校内の寸劇が始まる声が聞こえてくる。
八奈見とクラスメイトが演じる幽霊の悲恋物語を見守り、彼は物語の筋について批評する。
その後、文芸部の展示場に急ぎ、月之木先輩と小鞠の助けを借りて、多くの来場者に対応する。
展示会場では、小鞠が活躍し、部長と月之木先輩のやり取りが続く。
部長は文芸部の活動に感謝の気持ちを表しつつ、小鞠の努力を称賛する。
主人公は、この文化祭での出来事が記憶に残る一日となることを確信し、さらなる助力を志す。
ツワブキ祭の最終日、閉場が近づきながら、文芸部の部員たちは売れ残ったクッキーと部誌の数を確認している。
部誌が多くの手に渡ったことに喜びを感じている。
小鞠と月之木先輩は漱石のエピソードについて激論を交わしており、一方で、スピーカーから流れる曲が祭りの終わりを告げる。
部長は感謝の意を表し、最後に部員たちと共に拍手を交わす。
来場者数は117名、焼き菓子の販売数は40個、部誌の頒布は14冊であり、文芸部の活動は自己満足であるかもしれないが、部員たちはこの体験を通じて成長している。
ツワブキ高校の南門で、温水と月之木先輩は車を待っている。
月之木先輩の親が運転する車で畳を運ぶ予定で、部長は教室に彼のカバンを取りに行っている。
彼らの会話は社交辞令がちりばめられ、お互いの寂しさを感じさせるものだった。
温水は、小鞠が新しい部長としてのプレッシャーを感じていることを心配していて、月之木先輩に小鞠を支えるよう頼む。
月之木先輩は、彼の役目が恋愛的な意味ではなく、小鞠のそばにいられる唯一の人であると語る。
また、月之木先輩は小鞠の告白を知っていたが、小鞠が動かないと思っていた。
彼女は自分が小鞠を踏み台にして幸せになったように感じており、罪悪感を抱いている。
最後に、部長が遅くなっていることに気づき、温水に様子を見に行くよう提案する。
Intermission あにいもうと
昼下がりのツワブキ高校校舎裏で、市立桃園中学2年3組の権藤アサミ、通称ゴンちゃんは、友人の佳樹と一緒にいる。
佳樹はデジタルカメラで兄、温水和彦の盗撮画像を楽しんでいて、ゴンちゃんは佳樹にレインボー綿菓子を食べさせながら会話を進める。
佳樹は兄の自然な表情を捉えることを重視しており、その中で兄がうどんを食べながら咳き込む様子を「レアリティSSR」と評価する。
佳樹は兄を非常に尊敬しており、その愛情は友人の間でも明らかである。
彼女は兄と八奈見さんの関係や、小鞠さんの進展について話し、兄がメイド服に猫耳を好むことから、72枚の画像を持っていることを明かす。
その後、ゴンちゃんは話題を逸らし、柔道部のブースで開催される女装コンテストへの参加を提案する。
佳樹は友人の趣味を受け入れながら、ゴンちゃんの提案に同意する。
4敗目 結果責任についての話をしようか
ツワブキ祭が終わって三日後、冬の気配が漂う放課後、主人公は部室で小鞠と向かい合っていた。
小鞠はスマホのメモを読み上げながら自己紹介の練習をしているが、話すことに自信が持てない様子だ。
主人公は小鞠の小さな成功を褒め、週末の部長会での発表に向けて励ますが、小鞠は人前で話すことに強い不安を感じている。
部長会の準備を巡って、主人公が代理出席を申し出るも、小鞠は自らが出席すべきだと主張する。
その時、八奈見が部室に入り、練習の重要性を強調し、小鞠を励ます。
八奈見は明るく提案し、翌日の代休を利用してみんなで出かけることになるが、小鞠はその提案に戸惑いを隠せない。
ツワブキ祭の代休を利用して、豊橋市の動植物園に訪れた三人組は、動物との交流を通じて人に慣れる練習をすることにしていた。
特にえさやりコーナーでのヒツジとの交流が中心である。
ヒツジはエサを巡って小鞠に集まり、彼女を囲む。小鞠はヒツジに圧倒されつつも、その場でうまく対応しようとする。
一方、八奈見は小鞠のリラックスを促し、動物とのふれあいを楽しむことで気分転換を図る。
しかし、本来の目的である練習がおろそかになっていると感じる主人公は、小鞠がもっと小さな動物と触れ合いたかったのではないかと気づき、状況を修正しようとする。
最終的に、ヒツジから小鞠を救出する場面で締めくくられる。
ヒツジの群れから助け出されたものの、小鞠の機嫌はなかなか直らなかった。
小鞠の慰労を兼ねた動物園訪問では、八奈見が小鞠のために次の訪問先を検討していた。
その後、植物園へ移動し、ふたりは八奈見を見失う。
小鞠は植物園で部長としての挨拶の練習をするが、途中で自信を失い、涙を流してしまう。
その後、小鞠が一人で立ち去り、八奈見が戻ってきたところで、主人公は彼女に事情を話そうとするが、うまく言葉にできず、八奈見が隣に座る。
時間が経つにつれて、主人公は心が落ち着き、八奈見の存在に救われた気持ちになる。
のんほいパーク訪問の翌日、授業とホームルームが終了し、学生たちは放課後の自由時間に解放される。
しかしながら、主人公は部室に行くべきか迷っていた。
その時、同級生の姫宮華恋が声をかける。姫宮は主人公と八奈見の関係について興味を持っていたが、主人公はその話題について行く気力がなかった。
突然、八奈見が教室に現れ、姫宮に今日の予定をキャンセルして主人公と話があると告げる。
姫宮は去り、八奈見は主人公に少し話があると言う。
文芸部活動報告の秋報において、八奈見杏菜は彼に挨拶する計画を立てる。
早朝、通学路のセブンイレブンのイートインコーナーで焼つくねおにぎりを購入し、ホットカフェラテを注文する。
その場で彼の姿を見つけ、追いかけようとするが、コーヒーマシンのトラブルに遭遇する。一度店を出るが、砂糖を入れるのを忘れて戻る。
その際、クラスメイトから砂糖が投げられ、それをキャッチするが、返答せずにカフェオレに砂糖を入れる。
学校近くのうどん屋で、主人公は八奈見と並んで座り、焼うどんを注文する。
八奈見はダイエット成功を告げ、彼の食生活の変化について語る。
主人公は自分の感情を一方的に押し付けがちな態度を反省し、小鞠との関係を考える。
八奈見は主人公に対して、もっと心を開いて行動することを勧め、困難に直面した時は支援すると約束する。
二人は焼うどんを食べながら、今後の対応を話し合う。
市電の車窓から外を眺める主人公は、自分の行動を振り返る。
八奈見の指摘を思い返しながら、自己中心的な行動が相手を傷つけることに気づく。
突然の雨に降り立つ主人公は、佳樹と遭遇し、一緒に傘を共有しながら帰路につく。
佳樹は過去の思い出を語り、常に主人公のことを思って行動していることを明かす。
主人公は自分の心情を素直に表現し、佳樹の支援に感謝する。
二人は雨が止んだ後も会話を続けながら、月が綺麗な夜に帰宅する。
翌日の放課後、ツワブキ祭後の初めての部長会が開催されることになる。
主人公は八奈見とともに会議室前の廊下にいて、小鞠の姿が見えないことを心配している。
小鞠に話す機会を見つけられず、八奈見からは困惑されている。
その中で、志喜屋が現れて小鞠の支援を要請するが、主人公と八奈見にはやや誤解が生じている。
会議が始まる直前に、小鞠が現れたため、主人公は彼女に謝ろうとするが、小鞠は会議へ急ぐためにその場を去る。
八奈見は、主人公の菓子折りを勝手に開けて食べてしまう。
主人公は小鞠の反応について考え込みながら、八奈見とのやり取りを続けるが、最終的には部長会が始まり、二人はその場を離れる。
会議が始まって15分が経過し、主人公と八奈見は会議室の外で聞き耳を立てている。
八奈見が菓子折りを食べつつ、文芸部の報告が始まるのを待っている。
その中で、小鞠が報告を試みるものの、緊張で上手く話せず、原稿を落としてしまう。
主人公は小鞠のサポートをしようとして部屋に飛び入り、自己紹介をするが、名簿に名前がないため副会長から問いただされる。
生徒会長が進行を許可するも、小鞠は主人公に怒りをぶつけて部屋を飛び出す。
最終的に主人公が代わりに報告を始める場面で話は終わる。
部長会が終わり、会議室に残った主人公は、八奈見とのやり取りを通じて自分が間違えたことを受け入れる。
八奈見は主人公を慰めるように、お菓子を半分にして与える。
主人公は状況に迷いながらも、小鞠を探す決意を固める。玉木先輩が現れ、心配を和らげ、さらに捜索を続けるよう励ます。
主人公は西校舎の外で一人、夕暮れの中、旧校舎に向かい、小鞠を探すことに専念する。
最初は八奈見の手作り弁当を食べるために非常階段に呼び出されたことがきっかけで、主人公は小鞠も顔を出すようになった非常階段を訪れることが多くなった。
二人は非常階段で再会し、小鞠が感情を爆発させる。
彼女は一人で活動を続けなければならないプレッシャーを感じており、その思いを文字で伝えようとしていた。
主人公は自分の考えを改め、小鞠に対する支援を申し出るが、その場に現れた焼塩によって一悶着ある。
最終的に、主人公は小鞠との間に誤解があったことを認識し、彼女のサポートを改めて約束する。
エピローグ
ツワブキ高校旧校舎 非常階段四階 踊り場にて
月之木古都と玉木慎太郎が階段の踊り場に立ち、後輩たちの会話を聞いている。
古都は感情に泣きそうになりながら、小鞠が自力で仲間を見つけたことに感動している。
二人は小鞠と温水の関係について話し合い、玉木は温水を信頼していることを示す。
古都は当初、温水をほとんど関わらない部員だと思っていたが、彼が部活に貢献していることを認め、彼を「面白い男」と評する。
話し声が近づいてきたことに気づくと、古都は玉木と情熱的な行動に出る。
この一連の騒動を背景に、彼らは後輩たちの成長を見守りながら、自らの関係も深めていく。
頼むよ ☆ティーチャー
駅前にある地元の練り物メーカー直営の居酒屋で、県立ツワブキ高校の社会科教諭である甘夏古奈美と養護教諭の小抜小夜が飲酒を楽しんでいる。
ツワブキ祭の終了を祝い、生ビールを飲みながら会話が進む中、二人は学生時代のエピソードや合コンの話で盛り上がる。
特に、甘夏は生徒である温水に関心があることを表明し、小抜も彼に対する興味を持っているが、教師としての立場から距離を保っている。
さらに、ちくわ焼きを楽しみながら、それぞれの恋愛観や人生観について語り合う。
二人の夜は、共に料理を楽しみながら深まる友情と共に進行している。
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