どんな本？
12月の寒い季節。
この物語は、文芸部の活動と個々の部員の葛藤(?)を中心に描かれる。
文芸部の部長である温水は、月之木先輩のナマモノBL本が生徒会に没収される事態に直面する。
文芸部の存続が危ぶまれる中、志喜屋先輩が協力を申し出てくれるが、生徒会副会長の天愛星はその本を職員会議にかけようとしていた。
温水は、天愛星に接近し、月之木先輩と志喜屋の過去の確執の真相に迫りながら、問題の解決を目指す。
一方で、八奈見や小鞠など、他の部員たちもこの問題に巻き込まれ、それぞれが複雑な感情を抱えながらも、共に困難に立ち向かっていく。
読んだ本のタイトル
負けヒロインが多すぎる！ ４
著者:雨森たきび 氏
イラスト:いみぎむる 氏
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あらすじ・内容
夢子のヒミツ……のぞいてみる？
負けヒロインが多すぎる！ ４
クリスマス間近の12月。
月之木先輩のナマモノBL本が、生徒会に没収されてしまった！
天愛星さんは職員会議にかけると息まいていて、このままでは文芸部もただでは済まない。
そんなとき、志喜屋さんが協力を申し出てくれて――？
「天愛星ちゃん……落として……みる？」「はっ！？」
やり方はさておき、新部長の俺が取り返すしかないみたいだ。
八奈見には抜け駆け禁止と釘を刺されるし、志喜屋さんにはなにか違う目的もあるような気がするのだけど――。
ますます絶好調な大人気負け確ラブコメ、第４弾！
冬の訪れを告げる澄み切った青空の下： 12月、温水和彦は学校へ向かいながら、自身が文芸部に所属していることを実感する。校門に近づくと、生徒会副会長の天愛星が持ち物検査を実施していた。天愛星に止められた温水は、彼女に自分のカバンを調べさせるが、彼が読んでいた文庫本を没収されてしまう。この事件が、彼の日常に変化をもたらす兆しとなる。
1敗目 私、こう見えても○○なんです： 放課後、温水は文芸部の部室で八奈見杏菜と過ごす。八奈見は温水に文芸部活動への更なる参加を促すが、温水は消極的である。二人は月之木先輩が引き起こした問題について話し合い、その解決のために動くことを決意する。この会話から、二人の間にある信頼関係が浮かび上がる。
Intermission 今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます： 佳樹が学校で告白を受けるが、兄の温水の幸福を最優先に考えて断る。その後、権藤アサミと共に帰路につく佳樹は、理想の相手について語る。二人の会話から、佳樹が温水に対して抱く複雑な感情が明らかになる。
2敗目 優しさを少しだけ： HRの時間、温水は天愛星からの「私の味方になってください」という頼みを重く受け止める。授業後、姫宮華恋にクリスマス計画に誘われるが、すでに他の予定があるため断る。彼は自分の立場と期待との間で葛藤しながら、周囲との関係をどう保つかを考える。
3敗目 私の心に名前をつけて： 温水はクリスマスイブの計画を立てていたが、志喜屋を誘う勇気が持てずにいる。一方、小鞠との交流を通じて彼女との関係が深まる。結局、温水はクリスマスイブを一人で過ごすことになり、その選択が彼に新たな自己認識をもたらす。
エピローグ カクシゴト： 冬休みの始まりと共に、温水は八奈見とランチを共にする。二人は互いに誤解を解いて友情を深め、新たな年への期待を胸に秘める。この日、温水は自分の周りで起こるさまざまな出来事から多くを学び、成長する。
感想
本巻も、青春の一コマとして非常に魅力的であった。
主人公の温水が直面する多くの困難を通じて、彼がどのようにして他のキャラクターたちとの関係を深め、問題を解決していくのかが面白く描かれていた。
また、ナマモノBL本(実在の人物をネタにしたモノ)を巡る騒動は一見すると軽いトピックのように思えるが、その背後には友情、信条、そして個々の成長が絡み合っていた。
この作品はキャラクターたちの個性が際立っており、特に志喜屋先輩と天愛星の微妙な関係の変化は読み応えがあった。
温水のリーダーシップ(?)と、困難に立ち向かう彼の姿勢は共感を呼ぶだろう。
全体として、このシリーズ4巻目は、軽快ながらも心温まる展開で、文芸部のメンバーたちと共に成長していく過程を楽しむことができる作品であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
備忘録
冬の訪れを告げる澄み切った青空の下、温水は学校へと向かう。
12月も半ばに差し掛かり、校門近くの横断歩道で信号を待つ間、周りには同じ学校の生徒たちが溢れている。
その中の一人であることに、彼は不思議な感覚を覚えている。
期末テストが終わり、文芸部は1年生だけのグループになり、温水もそれになんとなく馴染んでいた。
信号が変わり、温水は周りの生徒たちに少し遅れながら歩き出す。
学校の塀越しに葉を落としたユリノキの木を見つめると、彼の心は季節の変わり目と共に流れる時間を感じ取っていた。
校門に近づくと、人の流れが渋滞しているのを目にする。
その原因は、生徒会副会長の天愛星が持ち物検査を行っているからだ。
彼女は登校する生徒たちに声を掛け、かばんの中を確認していた。
温水は他の生徒がスルーされる中、天愛星に呼び止められる。
彼女は温水のカバンを調べ、問題がないかを確かめたいと言う。
天愛星はカバンから文庫本を取り出し、その表紙をチェックする。
その表紙には二人の少女が描かれており、彼女はその内容について質問を投げかける。
温水は、その場を去ることを選び、彼女に本を没収するように頼む。
最終的に温水はその場を離れ、天愛星の行動に疑問を抱きつつも、彼女の指摘した「二人目」という言葉に思いを馳せながら、校舎へと急ぐ。
１敗目
私、こう見えても ○ ○なんです
放課後の部室で、温水は文庫本を手に取り、一日の出来事を忘れようとする。
しかし、文芸部の同級生、八奈見杏菜が話しかけてくる。彼女は食べ物を楽しんでいるが、温水にとっては気になる存在ではない。
八奈見は温水に文芸部の活動を楽しむ義務があると主張し、彼にもっと活動に参加するよう求めるが、温水は彼女に原稿の執筆を勧める。
クラス会の話が持ち上がり、八奈見は温水に参加する意向を確かめる。
クリスマスと重なるクラス会への参加に悩む八奈見は、温水が同行すれば参加しやすいと考えている。
しかし、温水は自身の誕生日と重なるため、参加を辞退する。
それを聞いた八奈見は、温水の誕生日を理由にクラス会への不参加を決め、代わりに温水の誕生日を祝う女子会の開催を提案する。
この会話は、部室で繰り広げられ、他の部員や顧問の参加も見込まれる中、日常の一コマとして、温水と八奈見の関係性が描かれている。
文芸部としての義務や個人の感情が交錯する中で、温水の冷静な対応が光る。
温水と八奈見が外廊下を歩いていると、自販機で飲み物を買いながら、最近の月之木先輩の行動について話し合う。
月之木先輩が文芸部の名前で問題を起こし、彼女の卒業を控えたナーバスな時期と進学先の違いが影響していることを話題にする。
八奈見は、お世話になった先輩への助けが必要だと強調し、文芸部として関わらないわけにはいかないと述べる。
玉木先輩に頼むべきだが、月之木先輩は彼には知られたくないと言っていた。
二人は、これが文芸部にとって大きな問題になる可能性を懸念し、先日活動停止になった別の部活の例を挙げて議論を深める。
その後、志喜屋先輩が中庭のベンチでひとりでいるのを見つけ、温水は彼女の行動を観察していた手帳に基づいて解説する。
寒さで動けなくなっている可能性があると考え、温水は温かい飲み物を買い、彼女のもとへ向かう。
温水と八奈見は志喜屋に招待され、あるボドゲカフェで対面している。
コーヒーとケーキを楽しみながら、彼らはボードゲームをプレイする。
ゲームの合間に、八奈見は志喜屋が生徒会の一員であることから、月之木先輩の問題について話し合い、彼女の助けを求めることを提案する。
志喜屋はこの問題に関心を持ち、天愛星との間にある月之木先輩への敵意を理解しながらも、協力を申し出る。
会話は、馬剃天愛星を「落とす」という方向に進むが、これは彼女と良好な関係を築き、問題の解決を図ることを意味している。
温水はこれに戸惑いつつも、八奈見からの支持も受けて、志喜屋の助けを借りて問題に対処することに同意する。
彼らの対話はゲームの進行と交錯し、最終的に温水が助けを受け入れることを決意する。
温水和彦は疲れ果てて帰宅し、リビングのソファに腰を下ろす。目に入ったのは、妹の佳樹が作った「生誕祭まであと8日」とカウントダウンされる横断幕だ。
佳樹が食材を抱えて帰宅し、和彦にお菓子の材料だと説明する。
生誕祭の前夜祭を含む毎日ケーキを焼く計画を持ちかけられるが、和彦はそれを断り、代わりに夕飯を作ることを提案する。
喫茶店での出来事から、佳樹は和彦の服についた香りと化粧を指摘し、八奈見が一緒だったことを知る。
結局、佳樹は和彦の服から化粧を落とすことを申し出る。
温水は放課後、志喜屋の計画に従い、八奈見と共に生徒会室を監視していた。
志喜屋が生徒会副会長の馬剃天愛星を連れ出した隙に、二人は生徒会室に侵入し、天愛星のロッカーを調査することにした。
ロッカーからは何の遊び道具も見つからず、答案用紙が詰まった紙袋を除いては重要な情報は発見できなかった。
調査中、八奈見が床に落ちた紙片を拾い、その時、生徒会室に学生が現れた。
その生徒は桜井弘人と名乗り、会計を担当しているが、人前が苦手で会議には出席しないと説明した。
生徒会長の放虎原ひばりも現れ、茶を淹れようとするが、うまくいかず、状況はさらに混乱した。最終的に、温水と八奈見はこの場を離れることにした。
温水と八奈見は放課後、生徒会室を見張りながら、志喜屋が生徒会副会長の馬剃天愛星を連れ出すのを待っていた。
二人が去ったのを確認すると、彼らは生徒会室に侵入した。
計画は、天愛星のロッカーを調査し、彼女の嗜好や秘密を探ることだったが、ロッカー内は整理されており、遊びに関する物は見つからなかった。
ただし、試験の答案用紙が入った紙袋が見つかり、温水はそれを元の場所に戻した。
調査中に生徒が部屋に入ってきたため、彼らはその場をしらばっくれることにした。
その生徒は桜井弘人と名乗り、会計担当であること、人前が苦手で会議に出ないことを説明した。
さらに、会長の放虎原ひばりも現れたが、お茶を淹れようとするも失敗し続けた。
最終的に、温水と八奈見は生徒会室を後にした。
温水と八奈見は部室での出来事を振り返り、その危険性について語る。
彼らは小鞠を事件に巻き込むことを目指し、以前の持ち物検査で月之木先輩から没収された同人誌について説明する。
小鞠はこの状況に困惑し、関連性を否定するが、温水と八奈見は彼女を作戦に参加させることを決定する。
次の日、温水は学食で席を探すが満席であることに直面し、結局一人で食事をすることになる。彼は志喜屋と会い、最近の事件について話し合う。
志喜屋は天愛星の成績について知っており、それを秘密にするよう助言する。温水は彼女の真意を探るが、その場は二人のギャル学生に中断される。
彼女たちは温水をからかうが、志喜屋は関係を否定する。
この状況で温水はギャルたちとの会話に苦労し、状況を乗り切るのに苦慮する。
放課後、温水は生徒会室へ向かう途中で計画した成績票の返却シミュレーションを考えていたが、突然の展開に遭遇する。
成績票の持ち主である天愛星が深刻な表情で廊下を歩いており、温水に気づいて接触する。
温水が偶然拾ったふりをして成績票を返そうとするが、天愛星はその場に引き留め、成績票を見たかどうかを強く問い詰める。
天愛星は、生徒会役員としての模範を示す立場上、成績が悪いことを他人に知られたくないと焦りを隠せないでいる。
温水は成績票の事実を認めつつも、誰も他人の成績にはそれほど気を留めていないと説得し、天愛星をなだめようとする。
また、温水は天愛星に勉強の相談に乗ることを申し出る。
この一件から、二人は互いに信頼関係を築くきっかけを持ち、天愛星は成績改善の支援を求めることになる。
温水は綾野たちと別れた後、ときわ通りの入り口に立っていた。
佳樹からコーヒー豆を買うよう頼まれている。
天愛星さんは、温水の隣で手帳を睨みつつブツブツ呟いており、校則により喫茶店に立ち寄ることが制限されていたが、緊急時の水分補給でお茶を飲んだため、規則違反ではないと説明する。
温水は天愛星さんをクレープ屋に誘い、彼女はクレープを美味しいと評価する。
その後、天愛星さんは温水に対して学業の相談を続けたいと告げる。
一方、小鞠は温水に追いついてくるが、温水とは別行動を取り、彼女はクレープを食べながら温水にクリスマスが誕生日であることを尋ねる。
温水はクレープを食べ終え、今後の展開について考えながら帰路につく。
文芸部活動報告 冬報 小鞠知花
『婚約破棄は高らかに！ 第 ６話』
公爵領に冬が訪れ、初めての雪が積もっている中、シルヴィア・ルクゼードは公爵領の財政担当官としての業務に追われている。彼女は、フィリップに地代免除による税収の減少とその対策について報告している。フィリップは、短期の商業契約により問題を解決しようと提案するが、シルヴィアはその提案に不安を抱いている。その契約相手はフィリップの元学友で、南の交易都市国家ナザルトのエリサ・ボルタである。シルヴィアはフィリップの身の回りの事を気に掛けつつ、彼との関係が友人以上恋人未満であることに心を痛めている。彼女は公爵領での仕事をこなしながら、フィリップに身内の茶会を開く許可を求める。フィリップは最初は渋るが、最終的には承諾する。その後、エリサが訪れ、シルヴィアは彼女を迎え入れ、フィリップの近況について話している。エリサはフィリップとの古い付き合いから、事業での協力を期待しており、シルヴィアは二人の関係をどこか遠くから見守る立場にいる。
温水と八奈見が部室に向かっていた翌日の放課後、彼らは志喜屋に呼び出された。
八奈見は消しゴムではなく寒天ゼリーを食べており、ダイエットの一環としていると説明する。
部室に着くと、小鞠が志喜屋の膝の上で固まっていたが、元気そうだった。
志喜屋は温水に馬剃との放課後の出来事を確認し、温水はそれがデートではなかったと説明する。
八奈見は温水に馬剃との仲の良さについて問い詰める。
会話の中で、天愛星（馬剃）さんが文芸部を気にしていることや、彼女が生徒会の物品検査に熱心であることが明らかになる。
桜井が部室に来て、生徒会の打ち合わせのために志喜屋を呼び出す。
部屋を出た後、八奈見と桜井は天愛星の行動や馬剃さんが持ち物検査で同人誌を取り上げた件について話し合う。
最終的に温水は天愛星と直接話をすることを決意し、彼女が一人で生徒会室にいることを知り、話をしに行くことにする。
ツワブキ高校の生徒会室の前で、温水は心の準備を整えていた。
彼は正直に謝罪し、同人誌の返還を求めることを決めた。
生徒会室に入ると、天愛星が資料を調べていた。
温水が話を切り出すと、天愛星はすでに問題を把握しており、彼が成績票を拾った件も知っていた。
温水は同人誌について話を進めるが、天愛星はそれが不適切だと考え、厳しい処分を主張した。
温水は天愛星を説得しようとし、彼女が前年度の生徒会副会長である月之木と仲違いして生徒会を去ったことを知る。
彼女は月之木と志喜屋について否定的な感情を持っていたが、問題の本の内容に動揺する。
温水は天愛星にこの問題を内密に処理するよう説得し、彼女はそれに同意しながらも、彼に何か取引を申し出る。
天愛星は温水に彼女の味方になることを求め、そうすることで問題の本を返すと提案した。
温水は彼女の提案に応じ、生徒会の過去の問題に決着をつけるための努力をすることに同意した。
Intermission
今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます
市立桃園中学校の校舎裏で、一組の男女が向かい合っていた。
黒髪の小柄な少女である佳樹は、男子生徒の告白を断り、兄の幸福が確定するまで他の誰かと付き合うことはできないと説明した。
男子生徒はその決意を理解し、尊重する姿勢を見せたが、未練が残る発言もあった。
その後、佳樹は親友の権藤アサミに連れ去られた。
権藤アサミは佳樹を連れ出し、過度なまでの断り方について軽く注意した。
佳樹は自分の理想の相手像を語り、それが実質的に兄に非常に似ていると述べた。
この理想像には、誠実さ、優しさ、そしてさまざまな個人的特徴が含まれていた。
権藤アサミは佳樹の幻想に対して軽く答えるが、その理想が現実的でないことを暗に示した。二人は空を見上げながら、その日の交流を終える。
２敗目
優しさを少しだけ
金曜日のHR時間、温水は天愛星からの頼み、「私の味方になってください」という言葉を思い返していた。その言葉は時間が経つにつれて彼にとって重くなっていった。天愛星の側に立ち、志喜屋と月之木先輩の問題に決着をつける役割を担うことに対し、彼は抵抗を感じていた。
授業中、冬休みの注意を述べていた甘夏先生は、温水がぼそっと呟いたことに気づき、授業を一時中断した。
その後、彼女は友人の結婚式について話し始め、生徒たちに人生の厳しさを説いた。
HRが終了し、温水は他の生徒たちと同じく週末への不安を抱えながら教室を出た。
その後、温水は姫宮華恋からクリスマスの計画について声をかけられた。
彼女は彼をクラスのクリスマス会に誘ったが、温水は既に他の予定があると断った。
その場には、彼の同級生である袴田草介もおり、状況に戸惑いつつも会話に参加した。
この一連の出来事は、温水が学校内での人間関係や期待にどのように対処しているかを示している。
彼は自分の立場と周囲の期待との間で葛藤しながらも、個人的な義務と対人関係をバランスよく管理しようと努力している。
温水は授業後、志喜屋との約束を確認していた。
その日曜日にボードゲームカフェで作戦会議を行う予定で、前回のように奢ってもらうことに気が引けるため、菓子折りを持参することを考えていた。
その最中、天愛星からのメールを受け取り、豊橋駅前のカラオケでの会合を提案された。
温水はこの計画を考慮し、天愛星との会合を先に済ませた後、志喜屋との約束に間に合わせる策を練った。
温水が部室に到着すると、八奈見と小鞠が既に到着しており、二人は週末の予定について話していた。
温水は天愛星とカラオケに行く予定を明かすと、八奈見からは皮肉なコメントが返された。
彼らは温水の私生活と公の活動の区別が混同していると指摘した。
温水は説明を試みたが、天愛星との約束の詳細は伏せた。
さらに温水は日曜日に志喜屋とのボードゲームカフェでの会議を優先し、その後天愛星とのカラオケ会合に参加する計画を立てた。
これには小鞠も関与し、計画を整理していた。
この一連のやり取りから、温水は自分の社交的な義務と個人的な関係をうまく調整しようとしているが、同時に彼の友人や同級生からはその動向が注視されており、彼の意図とは異なる解釈を受ける場面もあることが窺える。
彼は多くの社会的な期待と個人的な関心事との間でバランスを取りながら、週末の計画を進めている。
温水はカラオケデビューの準備のため、約束の時間より1時間早くカラオケボックスに到着した。
カラオケボックスの利用が初めてだったため、飲み物の注文や機械の操作に戸惑い、緊張していた。
そこに、思いがけず八奈見が現れた。
八奈見は温水がオシャレしていたことから、カラオケデートの下見をしているのではないかと推測し、合流した。
二人で部屋に入ると、八奈見はカラオケの操作方法を温水に教えた。
教え終えた後、八奈見はまだ時間があるために一緒に歌おうと提案したが、温水は天愛星さんが早めに来るかもしれないと考え、八奈見には帰ってもらうことを選んだ。
感謝の意を表して八奈見を送り出した後、温水は天愛星さんのために部屋を整え、彼女の到着を待った。
温水はカラオケボックスで天愛星と会い、彼女が運び込んだ塾のパンフレットについての相談を始めた。天愛星は塾の選択について温水の意見を求めていたが、温水自身は最近塾に通っておらず、具体的な助言はできなかった。天愛星が受話器で勉強する姿勢を見せた一方で、温水はリモコンを操作し、カラオケを始めようとした。天愛星の真剣な態度とカラオケボックスの非日常的な空間が、微妙な雰囲気を作り出していた。
天愛星は温水に志喜屋と月之木の間の問題について決着をつけるように命じ、その条件としてある本を返す約束をしていた。
温水はこの命令に対し、彼らが本当に分かり合うか疑問を持っていた。
天愛星は彼らが互いを嫌っているわけではないと感じていたが、向き合うことで完全に関係が壊れる可能性もあると語った。
また、天愛星は自身の動機として、二人の過去に振り回されたくないと述べ、温水との間に少し緊張が生じた。
その後、温水と天愛星はカラオケで勉強を続けたが、予定時間が迫り、焼塩檸檬が突然部屋に入ってきたため、状況が一変した。
焼塩の登場により、勉強会の雰囲気は一時的に和らいだが、彼女の存在が二人の間に新たな誤解を生じさせることになった。
焼塩はカラオケで歌うことを提案し、天愛星はそれに同意した。
最終的に温水は天愛星との約束を思い出し、焼塩と一緒に歌うことにしたが、その過程で天愛星は温水の行動に対して冷たい態度を示した。
ツワブキ高校最寄りの愛知大学前駅で天愛星と解散した後、温水と焼塩はカラオケから出たが、約束の時間から1時間が経過していた。
小鞠からの連絡が何通も来ていることを温水は気にしつつも、二人はボドゲカフェへと向かっていた。
その道中、焼塩は気づいたかのように月之木先輩を指摘し、温水はその存在に驚いた。
カフェに着くと、月之木先輩と志喜屋は緊張感ある空気の中で睨み合っていた。
月之木先輩は志喜屋を問い詰め、彼女が生徒たちに過度に関わっていることを指摘していた。
温水は介入し、その場の緊張を和らげようとしたが、月之木先輩は自らの責任を認め、二人に謝罪しカフェを去った。
焼塩は温水に対し、志喜屋のもとへ行くよう促した。
温水は志喜屋のそばにいる意味を自問しながらも、焼塩の励ましを受けて彼女のもとへと向かった。
カフェからの帰り道、雨が降り始め、温水は孤独と共感の感情に心を動かされていた。
冬の夕暮れ時、志喜屋さんがツワブキ高校方面に向かって歩いていた。
冷たい雨が降る中、彼女の足元を車のヘッドライトが照らしていた。
温水は彼女に追いつき、一緒に近くのマンションの軒下に避難した。
志喜屋さんはどこか元気がなく、温水は彼女に気遣い、雨が止むのを一緒に待った。
その間、彼女は時々温水の手に触れ、最終的には手を握り返した。
彼女は無表情ながら、深い孤独を感じているようだった。
Intermission
彼氏彼女じゃない事情
日曜日のカラオケボックスで温水がトイレに行った後、焼塩と天愛星だけが残された。
焼塩は天愛星に近づき、彼女が温水と付き合っているか尋ねた。
驚いた天愛星は、二人がただ勉強していただけだと反論した。
その後、二人は温水の無神経さや鈍感さについて冗談を交わし、笑い合った。
温水が戻ってくると、二人の様子に困惑し、彼女たちの笑いの理由を理解できないままでいた。
３敗目
私の心に名前をつけて
放課後、焼塩が補習に行き、部室には温水と小鞠が残された。
温水はスマホでカレンダーを見て、クリスマスイブの計画を確認していた。
彼はその日に志喜屋を誘うことをためらっていたが、たまたまその日になったと自分を納得させていた。
この間、小鞠は温水の行動を不思議に思いつつ見ていた。
八奈見が部室に現れ、昨日の行動を謝罪した。温水は八奈見に24日の夜の予定を尋ね、イルミネーションを見に行くことを提案した。
これに八奈見は驚き、温水が次に小鞠に同じことを尋ねると、小鞠も拒否した。温水は彼らの反応に困惑し、説明不足だったことを理解した。
八奈見と小鞠は24日にそれぞれ家族と過ごす予定だと言い、温水は一人で行動することになった。
彼は志喜屋さんに声をかけることを決意し、床に座ったまま次の行動を考えていた。
その日の夜、温水は自室の鍵を確認し、制服に着替えて鏡の前で練習を始めた。
彼はイブに女性をデートに誘うための言葉を考えていたが、自然体のアプローチが最適だと判断した。
その時、弟の佳樹が部屋に入ってきて、温水がデートの練習をしていることに驚き、感動する。
佳樹は、温水が女性とのデートを計画していると知り、支援を申し出るが、温水はこれがただの友人との出かける約束だと説明する。
しかし、佳樹はこれをデートと捉え、温水の成功を祈る。
翌日、温水はクリスマスイブの準備を進めていたが、志喜屋さんをまだ誘えていなかった。
彼はこれがタイミングの問題であり、自分が臆病であるわけではないと自分に言い聞かせていた。
その後、小鞠に会い、小鞠からクリスマスプレゼントとして栞を受け取る。
この出来事により、温水は小鞠との距離が縮まったと感じ、クリスマスイブのデートを成功させる決意を新たにした。
放課後、温水は生徒会室への廊下で気合を入れ、自らを奮い立たせていた。
彼は志喜屋をイブのデートに誘う計画を立てていたが、緊張からLINEで誘うことを考えつつ、スルーされる可能性に心を痛めていた。
そのとき、小抜先生が突然現れ、彼に保健室への訪問を促す。
しかし、彼は忙しさを理由に断り、小抜先生との会話から逃れようとした。
その際、生徒会長の放虎原が登場し、小抜先生に文書を渡した後、温水を連れ去るという口実を作り、彼を救出した。
彼女は温水が志喜屋と良く一緒にいることについて言及し、彼の人間関係について軽く触れた。
温水は最終的に自分の意志を固め、志喜屋に正面からクリスマスイブに一緒に過ごすことを誘った。
彼がその勇気を出すと、周囲の生徒たちからのどよめきが聞こえた。
志喜屋は彼の提案を受け入れ、快く同意し、体育倉庫を去った後、周囲の生徒たちが道を開けた。この一連の出来事は、温水にとって大きな一歩であった。
温水は愛知大学前駅で列車に乗り込み、がら空きのシートに座る。
イブのデートの提案が志喜屋に受け入れられたことに安堵するが、その目的は彼女をただ呼び出すことであった。
列車には焼塩も乗り込み、彼女は温水の隣に座る。
焼塩は補習が終わり、部活に復帰することを話す。彼女は温水が志喜屋をデートに誘ったことに驚き、その行動をからかう。
焼塩は温水に、志喜屋と月之木を仲直りさせる計画について感心しながら話を聞く。
彼女は陸上部のエースでありながら、部活と文芸部の活動を両立しており、そのプレッシャーについても語る。
温水は彼女の努力を評価し、いつでも文芸部を利用するよう励ます。
列車が停車する際、焼塩は走りたいと言って降りていくが、温水にプロテインバーを投げ渡し、彼にクリスマスに「バシッと決める」よう激励する。
焼塩が降りた後、温水は志喜屋さんとの出来事を思い返しながら、自分の誕生日を知っていた焼塩の行動について考える。
文芸部活動報告 冬報 八奈見杏菜
『勝負はこれから？』
クリスマスソングが流れるセブンイレブンで、私は朝食をとっていた。
店内はクリスマス一色だが、朝の忙しさでそれを気にする人は少ない。
同じクラスの男子が話しかけてきたが、私は朝食に集中したい一心で返答した。
外では、よく一緒にいる男子と女子が信号待ちをしており、私はそれを見ていた。
そのとき、男子が邪魔だがホットカフェラテを差し入れてくれた。クリスマスの日であるため、おそらくプレゼントのつもりだろう。
私はそのカフェラテを飲みながら、彼らが横断歩道を渡るのを見た。カフェオレはいつもよりほろ苦い味がした。
温水はクリスマスイブの夕方、豊橋駅前のイルミネーションが輝く場所で玉木先輩と待ち合わせをしていた。
駅前のデッキで二人は会話を交わし、玉木先輩が古都の到着を知らせる。
そこに、志喜屋も現れ、互いに少し動揺しながらも会話を始める。
玉木先輩は温水にこれまで語られなかった過去の出来事について説明し、温水は玉木先輩と古都が過去に何があったのかを理解し始める。
一方で、古都と志喜屋は、互いに過去の出来事を振り返りながら、現在の感情を確かめ合う。
古都は、志喜屋の行動の真意を理解しようと試みるが、志喜屋は自分の感情がはっきりとは分からないと語る。
二人はやがて、現在を大切にすることを選び、共に時間を過ごすことを決める。
この過程で、彼らの間の誤解が解け、新たな理解と和解が生まれる。
温水と玉木先輩はクリスマスにカフェで食事をしていた。周りがカップルで埋まる中、二人はテーブルで向かい合っていた。
予定していたクリスマスディナーがドタキャンになった玉木先輩は、温水を誘ってこの日を楽しもうとしていたが、玉木先輩自身は少し落ち込んでいた。
それでも二人はジュースを共に飲みながら、少しずつ元気を取り戻していく。
途中で玉木先輩が月之木先輩との電話で外に出ると、偶然にも志喜屋が現れて温水と食事を共にすることになった。
温水は、玉木先輩や月之木先輩との関係が改善していることを知り、何とか穏やかな時間を過ごすことができた。
Intermission
天愛星さんとイブの夜
天愛星はクリスマスイブの夜、自室の勉強机で一冊の同人誌を見ていた。
この本は月之木古都が作成したもので、個人の趣味の範囲内であることは認識しているものの、内容には自分的に問題があると感じていた。
そのため、何かしらの表現に気になる箇所があり、メモをしていた。
そのとき、突然弟が部屋に入ってきて、ケーキを切ると言って天愛星を下へ呼びに来た。弟との会話の中で、天愛星は少し取り乱し、冷静さを失ってしまう。
その後、志喜屋夢子からの電話があり、天愛星は落ち着いて応答する。
この夜、天愛星は自分の感情を整理し直す必要があることを感じていた。
４敗目
１６歳のプロローグ
温水の12月25日の朝は、妹の佳樹によって誕生日とクリスマスを祝われ、家では通常禁じられているクリスマスを特別に許された。
佳樹は、温水の誕生日とクリスマスを同時に祝うためにサンタの衣装を着用し、丸焼きの料理を準備すると張り切る。
また、温水は妹との添い寝を特例で許し、共に寝ることになった。
その後、学校の終業式で校長の長話を聞いたり、放送部の後片付けを手伝う場面がある。
さらに、クリスマスイブの夜にカフェで過ごしたことが話題になり、八奈見とのやり取りが続く。
しかし、その中でスピーカーを持っている志喜屋さんがケーブルで転びそうになり、温水が彼女を支える場面がある。
これが周りの生徒たちから誤解を招き、温水が志喜屋さんや天愛星さんと三角関係に見えるような状況になってしまう。
最終的には、小抜先生から人間関係についてのアドバイスを受ける。
そして、放課後天愛星さんとの待ち合わせのメッセージがスマホに届くという内容である。
二学期最後のHRで、温水は体育館での出来事に思いを馳せる。
彼は志喜屋に関しての誤解を解くためにクラスメートと会話し、噂が広まるのを避けようとする。
通知表配布後、甘夏先生は閉店間際のスーパーで見つけた半額シールのクリスマスケーキについて話し、その後、生徒たちに冬休みの注意を呼びかける。
その日の午後、温水は天愛星と向山大池で待ち合わせ、天愛星からクリスマスプレゼントとしてマフラーを受け取る。
この贈り物により、温水は天愛星との友情を確認し、感謝の気持ちを表す。
その後、彼はクリスマス会に向かうためにその場を去る。
温水は問題のある同人誌を無事に取り戻し、冬休みを心置きなく過ごす準備が整った。
同人誌には月之木先輩の感想がたくさんの付箋に書かれており、温水はその挿絵のクオリティに驚く。
彼はすぐに月之木先輩にLINEで報告し、佳樹の誕生日準備の様子を確認するために家に急ぐことに決める。
電話で月之木先輩と話し、先輩は前日の事件を軽く笑い飛ばすが、問題の小説については再び書き直すと言って、温水を驚かせる。
先輩が受験勉強に集中するよう温水に勧められると、最終的に先輩は納得し、勉強に専念することを約束する。温水はこれに満足して、次の予定へと移る。
文芸部活動報告 裏報 月之木古都
『教師と生徒は蜜の味』
ザーヴィット王立魔法学園で、和装の男・三島と軍服姿の男・太宰が歩いていた。
太宰はエルフの里を追放されたため、行くあてがなく、三島に付いてきたのである。
二人はこの学園で教師となる予定であった。
学園には男子生徒しかおらず、太宰はその事実に驚く。
学園の生徒会室では、生徒会長の放虎原ひばりと生徒会書記の志喜屋夢路が新しい教師たちを見下ろしていた。
放虎原は冷たい美貌を持つが、志喜屋には過去の影があり、彼女の術式によって放虎原が動けなくなる場面があった。
その時、温水という学生が部屋に現れ、志喜屋の術を解いた。
温水は放虎原に近づき、過去の出来事をほのめかしながら彼女をからかう。
この場面は、学園の教師たちの歓迎というよりも、温水と志喜屋による放虎原への個人的な対峙となっていた。
エピローグ
カクシゴト
冬休みの初日、温水は豊橋市役所東館の展望ロビーで八奈見と待ち合わせた。
終業式後のクリスマス会での疲れが抜けずにいる八奈見は、元気がなかった。
八奈見は温水が生徒会の人々と過ごしていることから、根も葉もない噂が立ってしまったと語る。
噂では、八奈見が温水に振られたとされていたが、実際は逆でもなければ、そもそもそのような事実はなかった。
市役所での待ち合わせは、実は八奈見が温水をランチに招待するためであり、彼女は温水に誕生日プレゼントとしてボールペンを贈るつもりだった。
しかし、ボールペンに誤って八奈見自身の名前が刻まれてしまうというミスが発生した。
その後、二人はランチの場所である市役所のレストランに向かい、八奈見は温水に間違いについて謝罪した。
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