どんな本?
本書は、温水とその妹・佳樹の物語が中心である。
バレンタインデーを前に、佳樹が誰かにチョコを贈ろうとする計画が明らかになる。
心配した兄の温水は、真相を突き止めるために、友人たちと共にさまざまな調査を行う。
結果、佳樹の計画の真意が次第に明らかになり、温水は妹の真の思いを理解する。
兄妹の絆はさらに強まり、学校の日常と部活動を通じて、温水は自己の成長と家族の絆の大切さを再認識する。
読んだ本のタイトル
負けヒロインが多すぎる! 5
著者:雨森たきび 氏
イラスト:いみぎむる 氏
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あらすじ・内容
ちょっぴりビターな、バレンタイン狂想曲。
負けヒロインが多すぎる! 5
迫るバレンタインデー。
佳樹が手作りチョコを贈るのはーーまさかの兄以外!?
そんな、佳樹にかぎって……。動揺する俺に、文芸部の連中は冷たい。
「妹ちゃん、好きな人でもできたんでしょ」「お、男だな」
……こいつら、コトの重大さが分かっていないな。佳樹はまだ中二なのだ。本命チョコなんて早すぎる。
焼塩の案で、桃園中学に潜入調査することになるがーーえ、俺、中学生に変装するの?
こんなところ佳樹に見つかったら……いや、普通に喜びそうだな……。
大人気負け確ラブコメ第5弾。ブラコン妹×シスコン兄の明日はどっちだ!?
感想
本巻は、バレンタインを軸に展開されるブラコン妹×シスコン兄のコメディである。
こんな兄、妹はいないと言ってはいけない。
温水が妹の佳樹が兄以外の誰かに本命チョコを渡す可能性に動揺するところから始まる。
温水は、佳樹がまだ中学生であり、本命チョコを渡すには早すぎると考え、思い悩むw
彼は真実を探るため、友人の八奈見とともに潜入調査を行うことを決意する。
(デバガメとは言ってはいけない。)
調査を進めるうちに、橘君という佳樹のクラスメイトがチョコを渡される相手ではないかと疑い始める。
温水と八奈見は、桃園中学校に潜入し、橘君や他のクラスメートたちと接触する。
この過程で、佳樹と橘君の間に特別な関係はないことが明らかになる。
実際には、佳樹が高校の文化祭に参加し、そこで温水とその友人たちと再会し真相を知る。
文化祭の日、佳樹は温水に特別なチョコを渡す。
これが彼女の本命チョコであり、温水は妹の深い愛情を改めて認識する。
しかし、物語はそこで終わらない。
佳樹は、自身も高校の生徒会に参加することを決め、新たな挑戦を始める。
一方で、温水は妹の成長を支えながら、自分自身も成長していくことを誓う。
最終的に、物語は佳樹と温水、そして彼らの友人たちが互いに支え合い、成長していく過程を描く。
バレンタインデーを通じて、兄妹の絆がより一層深まり、温水が佳樹を妹ではなく、一人の個として尊重するようになる。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
ED
備忘録
温水が家で勉強をしていたある日、リビングの窓に雨が叩きつける音が聞こえた。彼は学年末テストが近づいており、集中していたが、間もなくバレンタインデーが近いことに気がつく。昨年、文芸部の女性から誕生日プレゼントをもらったことを思い出し、今年も何かもらえるかもしれないと期待を持つ。しかし、彼は自分がモテたいわけではないと考え、あくまで義理チョコがもらえるかもしれないと気楽に捉えている。その後、キッチンから流れてくる甘い匂いに誘われて妹の佳樹のところへ行き、彼女がバレンタインのための新作チョコの試作をしているのを発見する。佳樹は温水にピスタチオとカシスのチョコを試させ、二人はその味を楽しむ。さらに、佳樹がチョコをあげたい人がいることをほのめかし、温水はそれが誰なのか興味を持つ。佳樹が電話でバレンタインデーの約束をしているのを聞いた温水は、彼女が男友達と何か計画しているのではないかと心配する。
1敗目 化かしあいにもなってない
学年末テストの最終日が近づいていたが、温水の関心はテストよりも他のことにあった。彼は妹の佳樹が中学2年生にもかかわらず、本命チョコを男子に渡そうとしていることに気をもんでいた。一方、放課後温水は学校で生徒会副会長の馬剃天愛星に呼び出され、壁に押し付けられながら問い詰められる。彼女は温水が自分を避けていると感じており、勉強を教えてもらうことを望んでいたが、温水は彼女の提案を断り、その場を離れようとした。その時、生徒会書記の志喜屋夢子が現れ、天愛星の背中をなで回し、天愛星が着用しているフロントホックのブラについて話し出す。温水はこの場面に困惑しながらも、志喜屋と天愛星のやり取りを目撃する。最終的に温水はその場を後にし、天愛星と志喜屋に「ごゆっくり」と言い残して去った。
西校舎の文芸部部室で、温水は部員の八奈見杏菜と小鞠知花が大きな巻き寿司を食べている場面に遭遇する。彼は巻き寿司を食べるように促され、恵方巻として食べることになる。その日は節分の翌日で、八奈見が持ち寄った恵方巻だった。温水は桜でんぶが苦手だが、小鞠からは「死ぬ気で食え」と強く言われる。その後、部室で開かれた臨時部会で、佳樹が男友達とバレンタインデーに会う予定があることが話題になる。温水は、佳樹が「本命チョコ」を渡す可能性があることについて、部員たちに相談を持ちかける。部員たちは、佳樹が恋愛関係にあることを示唆するが、温水はそれを信じられずにいる。最終的に、部員たちはテスト勉強に戻り、温水は佳樹の動向を見守ることに決める。
学年末テストが終わり、土曜日の朝、温水の妹である佳樹は、オシャレな格好で家を出発する。彼女は白いコートに花飾りをつけており、学習会というには準備が行き届いている。温水は佳樹に見送られるが、彼女が小さなハンドバッグしか持っていないことから、実際には学習会ではなく、他の何かの予定であることを疑う。この事実を友人の八奈見に報告すると、彼女はさらに詳細を尋ね、佳樹の出かける様子が普段の学習会には見合わないことを指摘する。八奈見は温水を説得し、一緒に出かける準備を促す。温水は渋々ながらも八奈見の提案に従うことになる。
温水は八奈見と共に豊川駅を出て、冷たい風に震えながら豊川いなり表参道に向かう。二人は勝負を始め、佳樹がデートをしているかどうかを確かめるために商店街を歩く。途中、八奈見は浮かれた様子で写真を撮ったり、食べ歩きを楽しむ。温水は八奈見の態度に戸惑いつつも、彼女の提案に従いつつある。八奈見は豊川稲荷の別院が「縁切り」のパワースポットとして知られていることを話し、これが彼女がこの場所を楽しみにしていた理由であることが明かされる。途中で食べ物を購入し、二人は食べながら商店街を進むが、佳樹の姿を探すのが難しいことに気づく。食べ歩きの最中、温水は八奈見との交流を楽しんでいるようにも感じるが、彼女の奇妙な行動に翻弄されている。
八奈見と温水は豊川稲荷の本殿に向かい、石畳の参道を歩く。八奈見は豊川稲荷がお寺だと勘違いしていることが明かされ、彼女の知識の不足が露呈する。本殿でお賽銭を捧げて祈りを捧げる中、温水は家内安全を願い、八奈見が何を願っているのかは不明のままである。参道を下りながら、デートについての話をするが、八奈見は温水にデートの本質を教えようとする。その後、二人は霊狐塚へと向かい、無数のキツネの像に囲まれた祠を訪れる。八奈見はその場で冗談を言いながら、温水がキツネに似ていると指摘するが、温水はその話題に乗り気ではない。最終的に、温水はデートの意味や相手との歩幅の合わせ方について考えさせられるが、八奈見の軽い振る舞いに振り回される形となる。
温水と八奈見は表参道に戻り、一息つくためにまんじゅう屋の店内で休憩する。八奈見は活発に行動しており、温水はそれに付き合わされる形となる。八奈見は温水にまんじゅうを与え、食べることを勧めるが、温水はそこまで食欲がない。彼らは佳樹の姿を探していたが、結局見つからず、その事実に気付くと、八奈見は温水の支えとなろうとする姿勢を見せる。
八奈見は自分の感情について語り、温水も佳樹が他の人にとっての一番になる可能性について考える。彼らは佳樹がいないことを受け入れ、その事実を共有することでお互いの気持ちを確認し合う。
その後、温水のスマホには彼らが写っている複数の写真がアップロードされており、温水はそれが誰によって撮られたかを理解する。写真は彼らの行動を追っていたことを示しており、最終的には温水と八奈見が現在座っている姿の写真もアップロードされる。この事実に驚いた温水は、何が起こっているのか混乱する。
温水は家の湯船に浸かりながら、その日の出来事を振り返る。彼と八奈見が急いで店を出たものの、佳樹の姿は見つからず、予定されていた「橘君と豊川稲荷にお出かけ ♡」の真相も明らかにならなかった。そのため、彼らは食事代を割り勘にするという引き分けの結果に落ち着く。しかし、温水は自分が八奈見にだまされていないか疑心暗鬼に陥る。
そんな時、扉のすりガラスに影が浮かび、温水は佳樹の声を聞く。佳樹は温水のためにシャンプーを持ってきてくれて、短い会話を交わした後、部屋を出ていく。その後、佳樹は「今日の昼間、どこかにお出かけしてたんですか?」と質問する。これに対し温水は友達と出かけたことを答えるが、佳樹がその場にいなかった可能性に思いを馳せる。佳樹は「お友達と勉強会をしてました」と答え、夕食には温水の好きなお稲荷さんを甘めにしていることを伝える。
Intermission 生徒会役員共
放課後、ツワブキ高校の生徒会室で副会長の馬剃天愛星が問題を報告する。彼女は生徒会長の放虎原ひばりに、志喜屋夢子が不適切な行為を繰り返していると訴える。しかし、志喜屋はその場に現れて事態をさらにややこしくする。放虎原はこの問題に深入りすることを避け、生徒会の仲間内で解決するよう提案する。
一方、生徒会の会計である桜井弘人は、その日のティータイムを準備していた。彼はピーチティーを用意し、文芸部の温水からもらった手作りのチョコレートも提供する。この事実が明らかになると、天愛星はさらに興奮してしまい、その結果鼻血を出してしまう。
生徒会室では、他の事故も発生していた。放虎原がティーポットを壊してしまい、桜井がその片付けをすることになる。これらの一連の騒動を通して、ツワブキ高校生徒会の日常が垣間見える。
2敗目 全速力で後ろ向き
週明けの月曜日、温水は学校での持久走に参加していた。冷たい朝の空気が彼を疲れさせる中、同級生の焼塩檸欪が彼を押し、持久走を続けさせた。焼塩は男子コースも走るほどの余裕を見せつけ、彼女は温水の妹についてのゴシップに興味を示す。彼女は温水を彼の妹が活動する桃園中学校の生徒会への観察に誘う。
その晩、温水は自宅で夕食を準備していたが、妹の佳樹が帰宅し、彼女の進級した生徒会の話をした。翌日、温水は焼塩と共に桃園中学校を訪れ、そこで女子陸上部の部員たちに囲まれる。焼塩は場を和ませるために温水を彼氏だとからかうが、実際はそうではないことを明かす。その後、彼は焼塩の服を持ち、彼女が陸上の練習を開始するのを見守ることになった。
二階の男子トイレから廊下を確認し、人影がないのを見て温水は一安心する。彼が身に着けているのは市立桃園中学の男子制服である。これは焼塩の発案による潜入調査のための変装だ。少し袖が短くなっていることを確認し、彼は女子トイレの方向を見る。そこから朝雲が桃園中学の女子制服を着て登場する。朝雲さんは照れ笑いを浮かべながら制服が少し大きいことを指摘するが、温水は中学生に見えると答える。二人は旧知の場所を訪れ、温水はかつて自分が通っていた教室に足を運び、懐かしむ。
温水は中学の教室で追憶にひたり、卒業までの学生生活を振り返る。彼は学校での居場所を思い出し、現在の高校生活が以前よりもにぎやかであることに気づく。窓外には女子陸上部の姿が見えず、温水は焼塩が外で走っているのかと心配する。焼塩は現れ、汗をかきながら教室に入り、彼女が鬼ごっこをしていることを温水に話す。二人は昔のクラスメイトとしての記憶を共有し、焼塩は温水が本を読む姿を覚えていたと述べる。やがて、陸上部のメンバーが教室に入り、焼塩は急いで立ち去る。温水は教室での静かな時間を楽しむが、すぐに朝雲さんが現れて次の行動に移るため彼を引き連れていく。朝雲さんは図書室で情報を収集し、彼らが探していた生徒についての詳細を温水に伝える。
温水と朝雲は園芸部の部室に向かう。園芸部の橘君に出会い、二人は中学生の兄妹を装って園芸部の活動を見学することになる。朝雲さんは意気揚々と部活動に参加し、温水も手伝うことになる。橘君との交流を通じて、温水は彼が温厚で親しみやすい性格であることを知る。一方で、朝雲はこの訪問を楽しんでおり、何か企んでいるようにも見える。活動を終えた後、二人は校舎を出ようとするが、佳樹が現れる。焼塩が突然登場し、佳樹をお姫様抱っこで連れ去り、その様子を陸上部のメンバーが追いかける。最終的に、温水と朝雲はその場を後にすることに決める。
温水は幼少期の記憶を振り返りながら、妹・佳樹が生まれた時のことを思い出す。彼が中心だった家庭で、主役を奪われた感じを受け、新たな家族の登場に苛立ちを感じていた。佳樹の誕生日に、自分が再び注目を浴びた瞬間も、泣き始めた妹に注意が向けられ、拗ねてしまった温水は、母親によって慰められる。それを通じて、彼は自分が兄であること、そして兄としての役割を意識するようになった。日が沈み、温水が歩いていた道で朝雲によって車の接近を警告される。彼が知らない間に家から遠く離れた場所へと歩いていたことに気付かされる。朝雲の提案で、二人は喫茶店で休憩することになる。そこで焼塩も合流し、焼塩は佳樹が周りとうまくやっていると温水に伝える。最後に、朝雲のスマートウォッチの話で終わる。
Intermission 居残りさんがつれづれと
放課後の部室で八奈見と小鞠はそれぞれの時間を過ごしていた。八奈見は雑誌を見ながら、小鞠に話しかける。二人は、学校見学会の準備の話をし、温水が妹に過保護であることを指摘し合う。バレンタインの友チョコ交換の話も浮上するが、実際には計画されていなかった。八奈見は温水が焼塩と一緒に桃園中学校に行ったと言い、小鞠はその話に驚く。焼塩と温水が中学校に行ったのは、温水の妹のためだと話す。八奈見は駄菓子の「チョコケーキ」を食べ、それを小鞠にも勧めるが、自分で二枚を重ねて食べる。二人は学校見学会の準備を進める必要があると認識し、八奈見は高校生としての自己表現を強調する。
3敗目 将を射んとしたけど馬が強い
翌日の放課後、温水は近くの図書館にいた。彼は昨日の桃園中学での潜入調査を思い返しつつ、週末の学校見学会の準備と部誌の原稿を進めていた。その時、小鞠からのメッセージが届くが、温水は図書館で原稿を進めていると返信する。彼はヒロインが登場する短編の構想を練っており、ヒロインのキャラクター作りに苦心していた。
その後、小鞠が突然図書館に現れ、隣に座る。彼女は、日曜日の見学会の準備について心配を表し、また、温水が妹の学校に潜入調査に行ったことについて言及する。彼女は、潜入調査がストーキングでなく正義の一環だと説明し、温水はそれを否定する。小鞠は、「気になる相手の本音を引き出すための攻略術」という本を温水に渡し、この本を使って温水の妹、佳樹に関する情報を探る計画を持ちかける。
温水は、小鞠が妹のチョコ作りを教わる口実で接近し、情報を得ようとする提案に乗る。そして、温水の家でチョコ作りをすることになる。温水はこの計画に合意し、小鞠には何も持たずに来るように言う。小鞠は緊張しつつも、この提案に興奮しているようだ。最後に、温水は小鞠に落ち着くように促し、自分は原稿に戻ることを決意する。
文芸部活動報告 ~増刊号 小鞠知花『汚れつちまつた異世界で』
世界の理から外れた力を持つイレギュラー、またの名を転生者という存在がいる。深夜のザービット王立魔法学園で、和装の太宰は孤独に歩いており、突如、転生者として知られる中也と遭遇する。中也は太宰をギルドへ連れ戻そうとするが、太宰は拒否する。中也の技倆「狂酔」によって、場所が突如変わり、酒瓶をめぐる小競り合いが発生する。
その場に軍服姿の三島が現れ、太宰を助けようと中也と対峙する。三島の剣技「遠当て」は、中也の技倆によって効果が無くなり、状況は一進一退に。最終的に三島は太宰に戻るが、中也は撤退する。この一件を通じて、太宰と三島はそれぞれの能力や信念について深く理解し、再び飲み直すことを約束する。
建国記念の日である木曜日、温水はチョコ作りの材料を買いに行く。帰り道、地元の豊橋鬼祭が開催されていることに気づく。この祭は白い粉をまく風習があり、温水もかつて佳樹と一緒に参加していた。その日、小鞠が温水の家でチョコ作りを学ぶために訪れる予定だが、小鞠は鬼祭で粉まみれになってしまう。温水の家に到着した小鞠は、粉で覆われており、佳樹がすぐに彼女を風呂に入れる手配をする。佳樹は小鞠に自分の新品のゴスロリ服を提供し、温水はその変わった姿に驚く。この予想外の出来事に温水は動揺し、混乱の中で小鞠と佳樹の交流を眺める。
温水の家で、佳樹がチョコレートの調理指導を行う。小鞠はチョコのテンパリング作業をしており、温水は食器を洗いながらその様子を見ている。佳樹は小鞠にケーキ作りも提案し、小鞠は初対面の佳樹に対して緊張しているが、徐々に調理に慣れてきている。その間に、温水は小鞠と佳樹の会話をフォローしつつ、本来の目的である佳樹から特定の情報を得ようとしているが、小鞠の反応があまりにも直接的で、佳樹を驚かせてしまう。佳樹は、自分の好意の対象について教えるかどうか悩みながら、温水と小鞠を試すような言動を見せる。最終的に、佳樹は情報を明かさずに会話を終える。
冬の夕暮れに小鞠の服が乾くのを待つ間に暗くなってしまい、温水は小鞠を電停まで送ることにする。佳樹に怒られないためにも、温水は小鞠のカバンを持ち、一緒に歩き始める。途中で小鞠は温水に感謝し、二人は佳樹のことについて話し合う。小鞠は情報を引き出すのに失敗したことを認めつつ、次の作戦について尋ねる。温水は一旦様子を見ることにし、小鞠の動機について質問する。小鞠は部活の参加不足を指摘し、部活が潰れることを心配していることを明かす。二人は横断歩道を渡り、小鞠は温水にチョコを渡す。温水はラッピングされたチョコを受け取り、特にカシス味のチョコが美味しいと感じる。二人は見学会に向けての準備を話し合いながら、友情を深めていく。
金曜日の授業終了後、甘夏先生から日曜の学校見学会について連絡がある。授業参加者は部活見学と見学者案内に限られること、その他の生徒は設営に従事し、終了後は帰宅してよいと指示される。甘夏先生はボランティア活動について文句を言いつつ、教師としての責任を強調する。その後、生徒たちは掲示物の設営作業に取りかかる。温水は見学者案内に参加しないため、玄関周りに案内図を掲示する役割を担う。同時に、同級生とのやり取りの中で、温水が最近クラス内でどのように perceivedされているかが明らかになる。
部誌作成の準備中、温水は小鞠と一緒に部室で原稿の話を進めていた。温水は自分の原稿がまだ完成していないため、見学者に自己紹介シートを記入してもらい、部誌に綴じるアイディアを提案する。小鞠は当初このアイディアに懐疑的だが、温水はこれにより見学者が自分だけの一冊を持ち帰れると説明する。その後、天愛星が部室に現れ、温水に外で話があると言って彼を部室から連れ出す。天愛星は、見学会で温水が案内をすることになっていると告げ、見学者案内に関する説明会への不参加を問いただす。温水は担任からの伝達ミスを知り、案内する見学者の名簿を渡される。
文芸部活動報告 ~増刊号 八奈見杏菜『お正月の置き土産』
温水がいつものコンビニで朝ご飯をとる日常が描かれている。彼は炭火焼き鳥(塩)とブラックコーヒーを選ぶ理由として、それらの炭水化物とカロリーが低いからと説明している。同級生のクラスメイトがイートインコーナーで偶然会うようになり、彼の振る舞いをキモイと感じながらも、その日の朝はクラスメイトがアメリカンドッグを食べており、それに対して内心羨ましく思っている。クラスメイトは無神経な発言を繰り返すものの、ダイエットしている温水に豆腐バーを差し入れる。その行動に対して温水は感じたものの、それに対する複雑な感情を持っている。
温水が原稿の印刷を終えた後、八奈見に呼び出されてパン屋に行く。パン屋で八奈見から「おぐらパン」をもらい、二人で店内で食事をすることになる。会話の中で、八奈見は温水が人と会話をするようになったと評価し、温水もそれに反応しながら用件を尋ねる。八奈見は、温水が学校見学会の説明会に参加していなかったため、説明資料を渡す目的で呼び出したと語る。その後、二人は学校見学会の案内について話し合い、温水は見学者の案内をすることになっていることが明かされる。会話は八奈見の率直な意見や共有が中心で、お互いに食事を楽しむ様子が描かれている。
Intermission 友情と夜の狭間で
桃園中学校の園芸部の温室で、権藤アサミが一人で松の剪定に取り組んでいる。彼女は枝に集中している中、温水佳樹が生徒会の用事で訪れる。佳樹は彼女に生徒会報を渡し、同時に盆栽について話し、アサミが受け継いだ松について学ぶ。会話は佳樹がアサミと共通の友人である橘君の気持ちと、彼らの関係についてのアサミの見解を尋ねる方向へ進む。佳樹は、橘君が近々告白する可能性があることを明かし、アサミにそれが受け入れられるかを確認する。アサミは、彼女と橘君の関係が変わらないことを確認し、佳樹もそれを受け入れて会話が終わる。
4敗目 手放す覚悟
ツワブキ高校の見学会当日、文芸部の部室には4名の部員が集まり、チョコレート作りの結果を披露していた。焼塩が先に手作りチョコを提示するも、温水は形状に戸惑い、八奈見と小鞠も味について独特な反応を示す。次に、八奈見が自身の作った大きな球体チョコを見せるが、これもまた食べにくさから一同を困惑させた。さらに、温水が持参したチョコについて誤解が生じ、部員たちに誤解されながらもチョコが食べられてしまう。最終的に、小鞠が一人で見学者を待つことになり、温水は心配しつつも部室を後にする。この日はバレンタインデーでもあったため、佳樹が誰かにチョコを渡す予定であることを温水が推測し、何が起こるか見守ることにする。
体育館で開催されたツワブキ高校の見学会では、多くの中学生が参加していた。温水は佳樹から指名されて橘君を案内する役割を担うことになり、友人の権藤も同行していた。その場には八奈見に勝ちヒロインの姫宮華恋も現れ、彼女は温水にバレンタインデーのチョコレートについて尋ねた。このやりとりから、佳樹がチョコを作ったことが明らかになり、温水はそのチョコが見学者に配られるかどうかについて言及した。見学会の案内を終えた後、温水は佳樹、権藤、橘と共に文芸部の部室を訪れる計画を立て、そこで佳樹が持参した原稿を部誌に掲載することになった。
西校舎の隅にある部室の前で、温水はドアのノブに手をかけたが一時手を止めた。中には小鞠と小抜先生がおり、特に小抜先生は教育上問題のある先生として知られているため、温水は慎重に行動した。部屋に入ると、小抜先生は小鞠に猫じゃらしを振っており、小鞠はそれに反応して唸っていた。温水は見学者を部屋に招き入れ、小抜先生が顧問としての親睦を深めようとした経緯を説明したが、詳細は省略された。その後、部活の活動内容について説明が行われ、自己紹介シートを使って部誌の作成を進めることになった。佳樹は持参した原稿を温水に渡し、その原稿が部誌に掲載されることになった。
文芸部活動報告 ~増刊号 温水佳樹『出来の悪い邦画みたい』
薄暗いダイニングキッチンで朝食の準備を行う佳樹は、日常のルーティンをこなしながら、兄との共同生活が十年続いたことを思い返す。今日がその生活の最後の日であるということを意識しつつ、彼女は煮干しのダシを取り、兄の好物であるミョウガのおかずを作る。朝の6時半に兄が新聞を読みながら食卓につくのが日課だが、今日は兄が部屋の中央で旅行カバンを持ち、新たな旅立ちを迎えている。佳樹は兄の朝食の支度を続けながら、静かな緊張感の中で煮物と味噌汁を作る。火を消し、いつもと同じ味噌を溶かし、朝7時に兄と向かい合って食事をする。玄関で靴を履く兄に対し、佳樹は一人で大丈夫かと問われ、彼女は深呼吸をして、一人ではないと答える。二人の距離を置くことを含みのある言葉で告げられた別れの瞬間、彼女は兄に透明な微笑みを返す。
温水は妹の佳樹から渡された原稿をどう評価すべきか悩んでいたが、最終的には佳樹の書いたものを褒め、本名での掲載を承諾する。その後、彼らは文芸部室で自己紹介シートを埋め、部誌を作成する作業を進める。部室では、部員たちが互いの興味や好みについて語り合い、親しさを深める。一方、小鞠は温水が部室を離れることを恐れて不安を表し、彼を引き止めようとする。この間、小抜先生は部室を離れて原稿のコピーを取りに行き、帰ってきた際には部室の監視役として温水たちを見守る。最終的には、佳樹たちが先に授業を見に行ってしまい、温水は小鞠とともに部室で残ることになる。
温水は妹の佳樹との間に小さな誤解が生じていることに気づき、和解を試みる。一方、橘君は温水に感謝の意を表し、佳樹に対する思いを告げる準備をしている様子を見せる。佳樹と権藤さんは公開授業に向かい、そこで甘夏先生は独自の教育スタイルで授業を進める。授業が進む中、温水は橘君と話を深め、橘君が佳樹に対して感じている深い感情を理解する。授業後、甘夏先生はホワイトボードと椅子の片付けを生徒に依頼し、温水もそれに加わる。授業とその後の片付けを通じて、生徒たちは互いに協力し合い、親密な関係を築いていく。
甘夏先生が提供したお茶とおやつでほっと一息ついている中、部屋の空気が一変する。佳樹、権藤さん、橘君と一緒に部屋で休憩していたが、何やら緊張感が漂い始める。甘夏先生は温水たちに洋菓子を配りながら、気楽に話をするが、橘君が過去の思い出話を始めたことで空気はより一層重くなる。橘君は甘夏先生への憧れを告げるが、先生は教師としての立場から恋愛感情に応えることはできないと優しく断る。告白イベントが無事に終わり、部屋の空気は一時的に和らぐが、佳樹の姿が見えなくなっており、温水は彼女の去り際に何があったのか気にかかる。
橘君と校門まで歩きながら、彼の甘夏先生に対する思い出話を聞く。橘君は一方的な片思いをしていたが、その想いはもはや美しい思い出となりつつある。校門で別れを告げ、橘君は佳樹のことをただの友人として見ており、彼女とアサミの仲の良さに幸せを感じていると語る。その後、温水は部室に戻る途中で八奈見と出会い、佳樹と権藤さんがいなくなったことについて話す。八奈見は、温水が何かを隠していると感じており、彼の行動に疑念を抱く。二人はさまざまな誤解を解きながら、最終的に温水は権藤さんと佳樹が弓道場で一緒にいることを知る。温水は佳樹を探しに行くことを決意し、八奈見からチョコレートをもう一つもらい、彼女のもとへ向かう。
社会科資料室で天愛星が温水に妹の佳樹をツワブキの生徒会に誘う話を持ちかける。天愛星は来年生徒会長選挙に出馬する計画を明かし、佳樹を推薦する意向を示す。温水はその話を一旦は聞くが、実際には佳樹との恋話を優先すると考え、天愛星を断る。一方、佳樹と橘は林で会話を交わし、橘が甘夏先生への告白をした事実を確認する。橘は告白が拒否されたにも関わらず前向きな姿勢を見せ、佳樹もまた、兄に対する淡い思いを語るが、現実的な限界を自覚している。
温水は佳樹と天愛星とのやり取りを目撃し、混乱してしまう。佳樹は温水に彼が男性を好きだと誤解され、その誤解を利用して温水に近づこうとする。佳樹は温水が文芸部で友達を作るのを見て、彼が恋人を得ることで自分が疎外されるのではないかと不安を感じていた。そのため、温水にわざと誤解を与えることで、彼が他の人に心を許すことを防ごうとしていた。しかし、温水はこの計画を見抜き、佳樹に彼女の行動の真意を問いただす。最終的には、佳樹が温水への深い愛情から行動していたことが明らかになり、二人の兄妹の絆はさらに強まる。
温水佳樹と権藤アサミ(ゴンちゃん)が桃園中学の園芸部の温室で会話を交わす。ゴンちゃんが盆栽の手入れをしている最中、佳樹が彼女のもとを訪れる。ゴンちゃんは、盆栽が長い年月をかけて育つことを例に出し、その成長過程で予想外の美しい枝ぶりが現れることがあると説明する。彼女は、自分が橘君と付き合いたいわけではなく、彼の一途な性格を尊重したいと話す。また、佳樹が彼女に対して過保護になってしまったことをお互いに詫び合う。
佳樹はゴンちゃんから友チョコを渡され、お返しに彼女に盆栽の剪定を手伝わせるが、ゴンちゃんが指導する形で会話は進む。二人は盆栽の枝の針金で形を整える行為を通じて、人生や成長についての哲学を共有し、佳樹は人生の積み重ねが未来にどう影響するかを理解する。二人は、どんな結果になろうと、その過程を大切にすることで納得し、一緒に過ごした時間の価値を再確認する。
エピローグ これまでとこれからと
温水佳樹は月曜日の朝、学校でのホームルームに参加している。その間、甘夏先生が上機嫌で学校見学会でのエピソードを話すが、佳樹はその話にあまり関心を示さない。先生は恋愛に関するジョークを話すが、佳樹は内心でバレンタインデーにもらった義理チョコを思い出し、文芸部のメンバーとの交流を回顧する。
放課後、文芸部の部室で、昨日の出来事について話し合いが行われる。その中で、橘君が甘夏先生に恋心を抱いていたことが話題になる。部室ではダイエットについてのトピックも出るが、八奈見のダイエット理論は一風変わっており、議論はややこしい方向に進む。
さらに佳樹が部室に現れ、臨時入構証を持っていることが明らかになる。彼女は生徒会の仕事を手伝うことになったと語り、兄を驚かせる。佳樹の突然の登場と発言により、部室は一時的に混乱する。彼女は生徒会との両立を宣言し、これからも兄と一緒に過ごすことを強く希望する。
結局、この日の部活動は佳樹の存在によって一新される。佳樹は部活の仲間たちに歓迎され、温水佳樹は妹の行動について周囲から様々な意見を受けることになる。部室の日常は相変わらず賑やかで、佳樹の計画による意外な展開に終わる。
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