どんな本?
「 負けヒロインが多すぎる! 」は、高校生活を送る主人公とヒロインたちとの複雑な関係を描くラブコメディの第7巻である。春の訪れとともに、主人公・温水和彦を取り巻くヒロインたちとの関係が一層深まり、彼の生活に大きな変化が訪れる。
『負けヒロインが多すぎる!』は、雨森たきび 氏による日 本のライトノベル。
この作品は、第15回小学館ライトノベル大賞のガガガ賞受賞作『俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか』を改題・改稿し、ガガガ文庫(小学館)にて2021年7月から刊行されている。
イラストはいみぎむる 氏が担当。
また、『マンガワン』(小学館)にて、いたち 氏によるコミカライズ版が2022年4月29日から連載中。『裏サンデー』(小学館)でも同年5月6日より連載されており。
2024年7月からテレビアニメが始まる。
物語は、自称「背景キャラ」の主人公・温水和彦が、ある日偶然クラスの人気女子・八奈見杏菜が同級生で幼馴染の男子生徒に振られている現場を目撃してしまうところから始まる。
それ以降、和彦は杏菜を含めた複数の負けヒロインたちと関わっていくこととなる。
この作品は、そうした「負けヒロイン」たちと、彼女たちを友人として見守る主人公による、青春ラブコメディ。
読んだ本のタイトル
負けヒロインが多すぎる!7
著者:雨森たきび 氏
イラスト:いみぎむる 氏
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あらすじ・内容
後輩マケイン、白玉リコ登場!
「……部長さんって、大人なんですね」ツワブキ高校新1年、白玉リコ。小抜先生の紹介でやってきた、あざとく可愛い後輩女子。そう、俺たちはこの可憐な見た目に見事に騙されていたのである。廃部の危機を救ってくれる天使かと思いきや、まさかトラブルを起こして停学中の超問題児だったとは……。結婚式場への潜入ミッションこと「白玉リコ・リベンジ大作戦」に巻き込まれた文芸部の明日はどっちだ!? 負けヒロイン特盛ラブコメ、後輩旋風ふきあれる第7弾!
負けヒロインが多すぎる! 7
1敗目 2年 C組 温水和彦
新入生オリエンテーションで文芸部の紹介が失敗し、温水は焦りを感じる。部室には見学者が来ず、部員たちは落ち込んでいた。温水は小抜先生から白玉リコを紹介され、面倒を見ることに同意するが、彼女が停学中であることに戸惑う。
翌日の放課後
温水と八奈見はイオン豊橋南店のフードコートで白玉リコと面会する。白玉は自分の趣味を話し、温水は彼女の可愛さに驚く。八奈見は不機嫌になるが、温水は和解のために彼女にクリームぜんざいを勧める。
その後の放課後
放課後、白玉リコが田中先生の車から降りてくるのを目撃し、温水は疑念を抱く。田中先生の過去を調査するため、温水は生徒会副会長の馬剃天愛星に依頼する。彼女は白玉リコとの関係を誤解しつつも協力を約束する。
白玉リコ面談記録
白玉リコとの面談で、八奈見は白玉が温水を良く評価していることに嫉妬する。小鞠は白玉との関係を築こうとするが、八奈見は白玉に対する不信感を持ち続ける。温水は白玉の心を開くことが重要だと強調する。
2敗目 実は私とこの人は
放課後、保健室で温水は小抜先生に白玉リコの現状を報告する。部室に戻ると、白玉、八奈見、小鞠の関係が微妙である。温水は皆でイオンモール豊川に出かけることを提案し、関係を深めようとする。
イオンモール豊川訪問
四人でイオンモール豊川を訪れ、ウィンドウショッピングを楽しむ。白玉は洋服に興味を示し、温水は部員たちとの関係改善を図る。書店で白玉は時代小説に興味を示し、温水に悩みを打ち明ける。
白玉リコの告白
温水と白玉は猫カフェで話し合い、白玉が田中先生への恋心を告白する。温水は彼女を受け止めるが、八奈見と小鞠が疑念を抱く。文芸部の存続を図るため、温水は白玉を支える決意をする。
家での会話
温水は家に戻ると八奈見と小鞠が待ち受け、白玉リコとの関係について問い詰める。温水は白玉との出来事を正直に話し、八奈見と小鞠の理解を得る。八奈見は温水の部屋で見つけたSDカードを返し、状況は一段落する。
Intermission 見知らぬ顔にはご用心
ツワブキ高校の女生徒たちは白玉リコについて噂している。見知らぬ女生徒が現れ、白玉リコについて質問するが、すぐに姿を消す。その女生徒は「お兄様には少し刺激が強すぎる」とつぶやく。
3敗目 蛇の道でしたらお任せを
温水は白玉リコの計画に協力するため、綾野と桜井に相談する。二人は白玉が再び問題を起こさないよう協力を約束し、計画の詳細を検討する。温水は二人の女子力の高さに驚きつつも、協力に感謝する。
計画の詳細
放課後、白玉リコが計画を立て、温水に選んでもらう。最終的に「梅」を選び、田中先生とのツーショット写真を撮る計画が進行する。生徒会長も協力し、計画は順調に進んでいく。
フェイズ1
温水は自転車通学中に白玉リコに会い、彼女の怒りを鎮める。翌日、文芸部の部室で計画の詳細を確認し、フェイズ1の準備を進める。白玉はウェディングドレスの手配を確認し、計画は進行する。
フェイズ2
結婚式当日、温水は女装し、会長は男装して式場に潜入する。計画通り、白玉がチャペルに潜入し、撮影が成功する。しかし、白玉が突然姿を消し、温水は彼女を探し出して説得する決意を固める。
逃走劇
温水は白玉リコを抱えて全力で逃げ、キリノキ高校演劇部の部室にたどり着く。白玉リコは温水にキスを提案するが、温水は断る。その後、八奈見がドレスのファスナーが下りずに困っているところを助ける。
エピローグ
温水は白玉リコの件の後、八奈見に説得の方法を尋ねられる。温水は「今じゃないと気付いてもらえた」と答えるが、八奈見は疑いを持ち続ける。最終的に、朝雲と会長が教室に入ってきて、状況は一段落する。
白玉リコの時代小説
江戸時代の裏長屋で、男が番傘を作っていた。お鈴が訪れ、彼女の婚約話に雄之助は複雑な感情を抱く。雄之助は温蔵から情報を得て、刀を手に再び時が動き出すのを感じる。
新しい一年間の幕開け
白玉リコが書いた時代小説を読んだ温水は、彼女の感謝と気持ちを受け止める。佳樹が紅茶を用意し、温水を圧倒する。文芸部の新しい一年間がこうして幕を開けるのである。
感想
本書は、県立ツワブキ高校の文芸部に新たな波乱を巻き起こす新入部員、白玉リコが登場する物語である。
リコは、10歳上の姉の婚約者に恋をしていたが、その恋心は叶わず、姉の結婚式場に潜入し問題を起こして停学処分を受けた。
その後、彼女は姉の友人で高校の教師である小抜先生の紹介で文芸部に仮入部することになる。
文芸部は新入生オリエンテーションでの失敗から始まり、部員の小鞠と八奈見がうまく話せず、混乱が生じる。
その後、白玉リコの登場により、部内はさらにギクシャクし始める。
リコの事情を知った温水たちは、彼女の気持ちを整理するために奮闘し、生徒会を巻き込んで様々な計画を立てる。
物語のクライマックスでは、白玉リコの結婚式場潜入ミッション「白玉リコ・リベンジ大作戦」が展開され。
温水たちはリコの恋心を整理させるため、式場に潜入し、リコと田中先生のツーショット写真を撮る計画を実行。
途中で多くの困難に直面するが、最終的には計画を成功させる。
リコの変装をした八奈見のイラストや、白玉リコのウェディングドレス姿など、視覚的な要素も楽しめる本であった。
また、温水と部員たちの関係も徐々に深まっていく様子が描かれており、最後には文芸部の新しい一年間が幕を開ける場面で終わった。
新たなキャラクター白玉リコの登場で、物語に新しい風を吹き込んでいた。
リコは可愛らしい見た目とは裏腹に、強烈な高校デビューを果たし、その魅力と問題児ぶりが物語を引き立てていた。
彼女の登場によって、文芸部内の関係が複雑になり、特に八奈見の反応が面白かった。
そのリコのために八菜見がダイエットに挑戦しながらも、バナナを食べながらうどん屋に張り付いてるのは彼女の人の良さを感じてしまった。
そして、温水がリコに共感し、彼女を説得する場面は感動的であり、彼の成長を感じさせるものであった。
また、リコの恋心が切なく描かれており、読者としても彼女の気持ちに寄り添うことができた。
リコが姉の婚約者に対して抱く複雑な感情や、文芸部における彼女の葛藤は非常にリアルであり、共感を呼ぶものであり。
他の物語で似たようなシュチュエーションの妹もどういう心境なのかと思いを馳せてしまった。
文芸部のメンバーたちがリコのために協力し合う姿は、友情の大切さを再認識させてくれる。
特に、リコのために立てた結婚式場潜入ミッションは、緊張感とユーモアが絶妙に交錯しており、読んでいて飽きることがなかった。
全体的に、白玉リコというキャラクターが物語に新しい魅力を加え、既存のキャラクターたちとの関係性がさらに深まっていく様子が描かれていた。
本書は、笑いあり、涙ありの青春ラブコメディとして、読者に強い印象を残す一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
ED
備忘録
県立ツワブキ高校の体育館で新入生オリエンテーションが行われている。主人公の温水は文芸部の紹介を担当するが、部員の小鞠と八奈見が緊張してうまく話せない。八奈見は原稿を間違えてお菓子のレビューを読み始め、さらに焼塩が紙袋をかぶったままステージに飛び出し、混乱が生じる。温水はなんとかマイクを握り、部室での活動を宣伝するも、体育館は静まり返っていた。
1敗目 2年 C組 温水和彦
悪夢の新入生オリエンテーションから1週間が経過した。温水は放課後の文芸部の部室に向かうが、見学者が0名で、新歓シーズンの最終日を迎えていることに焦りを感じていた。綾野と桜井との会話で、廃部の危機について話すも、解決策は見つからない。教室では八奈見と小鞠が楽しそうにしており、焼塩とはクラスが分かれてしまったことを思い出す。
甘夏先生がHRを始め、最近の自分のモテ期を語る。マッチングアプリの話題を持ち出し、2-Cの生徒たちをハラハラさせつつ、HRは終了となった。
放課後の部室は沈んだ雰囲気に包まれていた。小鞠は虚ろな瞳で本棚を眺め、八奈見はスマホでバターが溶ける動画を見続けている。見学者が来ないことに半ば諦めムードが漂っていたが、温水は気を引き締め、皆に気合を入れる。しかし、八奈見は現実を直視し、小鞠も疑わしげな様子を見せる。温水は、新入部員が最後の日に勇気を出してくるかもしれないと主張するも、八奈見は理解しない。
温水は部室の段ボールからお菓子を取り出すが、賞味期限が切れていることが判明。八奈見はそれでもお菓子を食べる。すると、文芸部顧問の小抜から保健室に呼び出されるメッセージが届く。嫌々ながら保健室に向かうと、小抜は新入部員候補として白玉リコを紹介したいと言う。リコはクラスで孤立しており、小抜の友人の妹であるという。温水はリコの面倒を見ることに同意するが、リコが現在停学中であることを知らされ、戸惑いながらも引き受けることにする。
翌日の放課後、温水と八奈見は停学中の白玉リコと面会するため、南ジャスことイオン豊橋南店のフードコートに来ていた。小鞠は参加を逃げた。温水と八奈見は雑談をしながら待っていると、ツワブキ高校の制服を着た小柄な女子が現れた。彼女が白玉リコで、彼女の可愛らしい外見に温水は驚く。リコは不器用ながらもフードコートにやってきた。
リコは温水と八奈見に自己紹介し、小抜先生から文芸部に出入りするよう指示されたことを伝える。リコは人混みが苦手で、趣味は裁縫と甘いものが好きだという。温水はリコの話を聞いて、彼女が可愛いことを改めて確認する。リコは自宅に連絡があるため帰宅することになり、温水と八奈見は彼女を見送る。
リコが去った後、温水は八奈見にリコが良い子だったと感想を述べるが、八奈見は不機嫌になり、温水がリコにばかり話しかけていたことに嫉妬する。温水は八奈見にクリームぜんざいを勧めて和解を図る。八奈見は不機嫌ながらも食べることを了承し、温水は八奈見に気を使う必要があると感じる。
放課後、温水と八奈見はイオン豊橋南店のフードコートで、停学中の白玉リコと面会した。八奈見は白玉に対して疑念を抱いていたが、温水は彼女を擁護した。二人が帰る途中、白玉が田中先生の車から降りてくる場面を目撃し、不審に思う。田中先生と白玉の間には何か秘密があるのではないかと考える。
数日後、温水は旧校舎で生徒会副会長の馬剃天愛星に田中先生の調査を依頼し、その報告書を受け取る。田中先生はかつて文芸部の顧問であり、女生徒と何らかの問題を起こしたとの噂があったことが判明する。天愛星は温水が田中先生に興味を持つ理由を誤解するが、温水の説明を聞いて納得する。天愛星は秘密を共有することに喜びを感じ、今後も相談に乗ることを約束した。
天愛星との密会を終えた温水は部室に向かうが、八奈見と小鞠に不機嫌な視線で迎えられる。八奈見は白玉リコのことを調べており、その結果を温水に見せる。男子生徒からの評判は良いが、女子生徒からは嫉妬混じりの評価もあり、白玉がモテることが原因だとわかる。八奈見は白玉に対して不信感を抱いていたが、温水の説得により、様子を見守ることにする。
自宅に帰った温水は妹の佳樹が作った白玉団子のぜんざいを食べる。佳樹の慎重な態度に少し驚きながらも、温水は白玉団子を噛みしめながら田中先生と白玉リコの関係について考え続ける。
放課後の文芸部部室では、八奈見と小鞠が緊張して白玉リコの訪問を待っていた。白玉リコは停学を終えて見学に来ることになっており、特に小鞠は先輩としての自覚を持つように温水に促されていた。
部室の扉が開き、白玉リコが入室した。彼女は最初は不安そうだったが、温水と目が合うと安心したように微笑み、自己紹介をした。白玉リコは当面仮入部として、文芸部にお世話になることを宣言した。
Intermission 見知らぬ顔にはご用心
ツワブキ高校の1年F組で、女生徒たちは停学中のクラスメイト、白玉リコについて噂していた。彼女が入学早々に停学になった理由は、教師との関係が取り沙汰されていたが、詳細は誰も知らない。突然現れた見知らぬ女生徒が白玉リコについて質問し、すぐに姿を消した。その女生徒は廊下を歩きながら、「あの人はお兄様には少し刺激が強すぎる」とつぶやいた。
2敗目 実は私とこの人は
放課後の保健室で、温水は小抜先生と話していた。白玉リコが文芸部で元気に過ごしていると報告すると、小抜先生は彼女の居場所を確保する重要性を語る。温水は田中先生の人となりについても質問し、彼が誠実であることを確認する。
部室に戻ると、八奈見と小鞠が不機嫌な様子だった。白玉が入部してから微妙な雰囲気が続いている。温水はみんなで出かける提案をし、白玉、八奈見、小鞠が参加することに決まる。出かける場所は豊川のイオンモールに決定した。文芸部のグループLINEに白玉を追加し、部員間の関係を深めようとする。
快晴の日曜日、文芸部の四人がイオンモール豊川を訪れた。初めて訪れる巨大な商業施設に圧倒されながらも、八奈見がモールの楽しみ方を教えると言い、まずお茶を飲むことを提案した。八奈見の言う通り、テイクアウトのスイーツコーナーで飲み物を選び、テーブル席で一服する。
八奈見のダイエット理論に呆れつつ、温水は他の部員たちを見つけて席に戻る。白玉と小鞠も同じ店で抹茶ソフトを購入し、みんなでモールのマップを広げて次の行動を決めることにした。八奈見の食べ物の提案に、温水はまずはウィンドウショッピングを提案し、白玉が洋服を見たいと言ったことで、みんなで歩いて話しながら見て回ることになった。
快晴の日曜日。温水と文芸部の新旧含めた四人の部員はイオンモール豊川にいた。温水は巨大なモールに圧倒され、八奈見はその経験を生かして案内役を務めた。
八奈見の案内でスイーツコーナーに立ち寄り、各自飲み物を選んだが、八奈見の選んだスムージーに関して温水と八奈見の会話が繰り広げられた。八奈見のダイエット論に温水は納得しつつも、食べ物に対するこだわりを感じた。
その後、ウィンドウショッピングを始めたが、小鞠は試着を嫌がり逃げ出す。温水は八奈見に白玉との関係について尋ね、八奈見は白玉を認めていると話す。
一行は書店に向かい、各自好きな本を探す。白玉は時代小説に興味を示し、温水に部員たちとの関係について悩みを打ち明ける。温水は八奈見と小鞠の好みを把握し、八奈見にはお菓子を渡し、小鞠にはアニメショップで上納品を用意することで、部員たちの関係を改善しようと決意する。
結果、部員たちとの関係をより良くするために、温水はそれぞれの好みに合わせたアプローチを考えた。
書店の後、八奈見の希望でゲームコーナーへ行き、四人でゾンビシューティングのVRゲームを楽しんだ。小鞠が銃を撃つのが得意だと知り、驚いた温水と八奈見。白玉リコが疲れたと言い、温水と二人でジュエリーショップに行くことになった。
ジュエリーショップでアクセサリーを見ていると、白玉リコが温水に近づき、突然「二人で抜け出そう」と言う。そこで、白玉リコの姉とツワブキ高校の田中先生が現れ、リコは温水が彼氏だと宣言。驚いた白玉リコの姉と田中先生は、その場を去った。
白玉リコは温水に、自分の姉と田中先生が婚約していることを明かし、二人きりで話したいと頼む。
温水と白玉リコはモール内の猫カフェで会話をしていた。リコは彼氏との偽りの関係を告白し、姉と田中先生の結婚に対する複雑な感情を吐露した。リコは、姉が田中先生と結婚することで自分が子供扱いされることへの不満と寂しさを感じていた。リコの話から、彼女が田中先生を好きだったことが明らかになったが、彼はリコを妹のようにしか見ていなかった。
その後、リコは温水に涙を見せながら感情をぶつけ、温水はそれを受け止めた。しかし、その様子を八奈見と小鞠が外から見ており、二人の関係に疑問を抱いた。リコは、文芸部の存続の希望でもあるため、温水はこの状況をなんとかしようと考えた。
温水は白玉リコとの出来事について心を整理するため、自宅にまっすぐ帰っていた。すると、家で八奈見杏菜と小鞠知花が彼を待ち受けていた。二人は白玉リコとの関係について問い詰め、佳樹も加わって温水を追及する。
八奈見たちは白玉リコとのやり取りについて詳細を求め、温水は最初はプライベートなことだと言って避けていた。しかし、八奈見が部屋で見つけたSDカードを持ち出して脅すと、温水は状況を説明せざるを得なくなる。
最終的に、温水は白玉リコとの出来事を正直に話すことを決意する。
温水は、白玉リコとの出来事を話し終えると、小鞠から非難の目を向けられた。八奈見は泣きながら白玉の気持ちに同情し、佳樹もリコのことを良く思っていない様子だった。しかし、八奈見の説得で温水は白玉の停学の理由まで詳しく話すことになった。
白玉リコの結婚式場侵入事件の詳細を説明すると、八奈見も驚きつつも理解を示したが、白玉の行動には不安を覚えた。小鞠は、白玉の過去の行動を考慮しつつも、彼女にチャンスを与えようと主張し、八奈見も最終的にはその意見に同意した。
八奈見は温水の部屋で見つけたSDカードを返そうとするが、無邪気に処理してしまい、温水は呆れる結果となった。
白玉リコ面談記録 面談者:八奈見杏菜
白玉リコとの面談にて、八奈見杏菜は緊張の中で話を始める。八奈見はゼリーを差し出し、白玉がそれを喜んで受け取る場面からスタートする。白玉は日曜日に温水と一緒に過ごしたことを謝罪し、温水が素敵な人物だと評価するが、八奈見は温水の欠点を指摘する。
白玉は温水と八奈見が付き合っているかと勘違いし、八奈見はそれを否定する。最終的に、白玉が困った表情を見せる一方で、八奈見は自分が以前はすごかったことを強調しつつ、話が混乱して終わる。
放課後の視聴覚室で、温水は八奈見の面談報告書を読んでいた。その内容に疑問を抱き、八奈見と小鞠に問いただすが、なぜか二人から責められることになる。八奈見は白玉リコとの話し合いを終えた後も、温水に対して否定的な評価を続ける。小鞠もまた、不機嫌そうにしているが、意を決して白玉リコと話をすることを決意する。温水はその決意を支持し、文芸部副部長としての小鞠に期待を寄せる。
白玉リコ面談記録 面談者:小鞠知花
小鞠知花の記録によると、彼女が部室に入った時、白玉リコは宿題をしていた。白玉リコは小鞠に気付き、笑顔で話しかけた。白玉リコは、他の部員が一人ずつ部室に来ることに疑問を抱いている様子だった。小鞠は白玉リコとの会話をスマホで進めようとしたが、バッテリーが切れそうになり、やむを得ず退室した。
温水が小鞠の報告書を読み終えると、小鞠は涙目で「頑張ったし」とつぶやく。八奈見も同意し、小鞠をなだめる。温水は白玉リコとの面談の目的について説明し、白玉リコの心を開くことが重要だと強調する。温水が白玉リコと面談することになるが、彼自身も苦手な状況にある。
白玉リコは温水を歓迎し、入試の面接のようにふざけて話し始める。温水は白玉リコに対して、文芸部が彼女の居場所になるように努力することを伝えるが、白玉リコは自分の気持ちをあきらめきれないと告白する。
白玉リコは以前、姉のウェディングドレスを着てチャペルで写真を撮ろうとしたが、失敗したことを話す。温水は彼女を説得しようとするが、白玉リコは自分の計画を一人で遂行する決意を固める。温水は彼女を引き止め、文芸部が一緒にいることを約束するが、白玉リコはそれを誤解して喜ぶ。
その瞬間、八奈見と小鞠が現れ、温水を廊下に引き出して問い詰める。最終的に、温水は白玉リコの誤解を解くことができず、白玉リコの不安そうな表情を見て、皆で状況を受け入れる。
Intermission 夜のお菓子は止まらない
白玉リコの停学明けから1週間後、部室には八奈見、小鞠、そして白玉がいた。八奈見はプリッツをかじりながら、部長である温水が保健室にいることを確認し、白玉にお菓子を勧めた。白玉は八奈見と自分が似ていることを笑い、二人ともお菓子を常に持ち歩いていると話す。白玉は無邪気にソフトキャンディを差し出し、部室には和やかな雰囲気が漂う。
しかし、白玉が「痩せないようにお菓子を食べる」と話すと、八奈見の表情が凍りつく。白玉の無邪気な言葉に八奈見は沈黙し、次第にうつむいていく。小鞠もオロオロする中、白玉は元気にお菓子の話を続ける。最終的に、八奈見と小鞠は戸惑い、白玉が再び部誌を開くころには、二人は屍のように沈黙していた。
3敗目 蛇の道でしたらお任せを
白玉が悪事に手を貸すこととなった翌日、昼休みの旧校舎の非常階段で、温水は綾野光希と桜井弘人に相談するために集まった。温水は文芸部で預かっている新入生、白玉リコの事情を二人に説明した。白玉は義理の兄に恋をしており、その感情を整理するために法に触れない計画を立てる必要があった。
綾野は、彼女が再び問題を起こせば停学では済まないことを指摘した。桜井も二度の停学は前例がないと述べた。温水は二人に、白玉が納得できる計画のアドバイスを求めた。
二人は戸惑いながらも協力することを約束した。温水は、文芸部の女子よりも二人の方が女子力が高いと感じていた。桜井が予鈴を指摘すると、温水は急いでカレーパンを食べ始めた。
放課後の部室で、八奈見と小鞠は白玉リコが用意した「松」「竹」「梅」と書かれた封筒を見ていた。白玉リコは計画を立て、温水に選んでほしいと言う。温水は「竹」を選び、中には不動産のチラシが入っていた。「松」を選ぶと海外旅行のパンフレットが、「梅」を選ぶと結婚式の資料が入っていた。
温水は最終的に「梅」を選び、白玉リコの計画に協力することにした。計画の一部には、田中先生とのツーショット写真を撮ることが含まれていたが、これは無理があると感じた。
その時、生徒会長の放虎原ひばりが登場し、彼女も計画に協力する意志を示した。桜井も一緒に来て、温水の軽率な口が原因で話が広まったことを謝罪した。最後に天愛星が現れ、会長に悪いことをさせないよう温水に警告した。
温水は生徒会長からのメッセージを読みながら学校の駐輪場に向かっていた。自転車通学をしている彼は、翌日が祝日にもかかわらず、文芸部の部室に呼ばれた。駐輪場で白玉リコに出会い、彼女が少し怒っていることを知る。白玉リコは生徒会に情報が漏れたことに不満を持っていたが、結局は温水を許す。
翌日、祝日にもかかわらず文芸部の部室には八奈見と小鞠、そして白玉リコが集まった。会長が「白玉リコ・リベンジ大作戦本部」と書かれた紙を掲示し、計画を話し合うことに。会長は「潜入調査のご相談ならこちらへ!」というチラシを見せ、調査アドバイザーとして朝雲千早とアシスタントの温水佳樹を紹介する。温水は、自分が巻き込まれたことに戸惑いを隠せなかった。
ツワブキ調査アドバイザーの朝雲がホワイトボードに「情報」「準備」と書き、それを丸で囲んで説明を始めた。ゴールの共有が重要だと強調し、白玉リコに挙式の日程を確認した。挙式は来週の土曜日、9日後である。朝雲はタスク管理を提案し、ゴールは田中先生とリコのウェディングフォトを撮ること、絶対にバレないことだと確認した。
次に、式場の内部構造を把握する必要があると説明し、アシスタントの佳樹が現場を下見した結果を報告した。式場は1日2組限定の貸し切りで、正面の出入り口しかないため、正攻法では関係者しか入れないことが分かった。佳樹は見学会に申し込み、参加を決めたが、温水は高校生が参加しても大丈夫か疑問を持った。
会長も参加を提案されたが、法事のため不参加となった。代わりに志喜屋が選ばれ、パートナーとして綾野が候補に挙がったが、朝雲は却下した。結局、温水が役を引き受けることになった。朝雲は土曜日の見学会に向けて準備を進めるよう指示し、リコのウェディングドレスの手配も確認した。
白玉リコは、会長に協力の理由を尋ね、会長は一人の女性としてリコの気持ちに共感したと答えた。会長はリコに成功を信じ、協力を約束した。
翌日の放課後、温水は小抜先生に近況報告をするため保健室に向かっていた。途中で小鞠が図書室から出てくるのを見かけ、図書委員の先輩から本を受け取っている様子を目撃する。小鞠が男子と話せることに驚きつつも、温水は彼女と保健室へ向かう。
保健室で小抜先生との面談を終えた温水は、日が暮れかけた中庭で深呼吸をする。そこで白玉リコの婚約者、田中先生と出会い、二人で鳥の声を聞きながら話をする。田中先生はリコとの関係について悩んでいることを語り、温水は彼女の気持ちを理解するためのアドバイスをする。
温水は白玉リコの複雑な気持ちを理解し、田中先生に彼女を支えるように伝える。田中先生の誠実さに対して少し腹が立つ温水だが、思春期の自分と同じように、リコの肩を持つことを決める。
GWの初日、温水は親のスーツを着て、結婚式場の見学会に参加していた。志喜屋が婚約者役として同行し、彼女の手でネクタイを締め直されながら緊張を隠そうとする。式場の見学会では、朝雲と八奈見が外部から支援しており、志喜屋と温水は新婚夫婦のふりをして内部調査を開始する。
志喜屋は放虎原から聞いた内容で行動しているが、そのニュアンスは少し誤っている。温水はイヤホンを通じて八奈見から指示を受けつつ、志喜屋との会話を進める。会場の調査が始まり、温水と志喜屋は周囲の目を気にしながら行動する。
一方、見学会前の部室では、温水は志喜屋と共に朝雲から詳細な指示を受けていた。白玉リコは式当日まで待機することになり、温水と志喜屋が情報収集を担当する。朝雲は綿密な設定と準備を施し、温水たちはそれに従って行動することになる。
GW初日、温水は結婚式場の見学会に参加していた。彼は親のスーツを着て、新婚夫婦のふりをするため、志喜屋と共に見学会に臨んでいた。見学会は順調に進み、個別面談も問題なく終わり、式場内を見学しながら将来の結婚式の話をしていた。
志喜屋の髪飾りに取り付けたカメラからの映像を見ながら、八奈見や朝雲が遠隔で指示を出していた。しかし、志喜屋と温水は計画と関係のない会話を楽しんでおり、八奈見は苛立っていた。見学の途中、志喜屋が温水の腕にしがみつき、二人はまるで本物の新婚夫婦のように振る舞った。
チャペル内を見学中、隠れる場所が少ないことに気づいた温水は、説教台の裏側を確認するが、完璧な隠れ場所ではないと感じた。志喜屋とのシミュレーション中、彼女がキスについて尋ねる場面もあり、温水は慌ててごまかした。
見学を終え、披露宴会場への案内が始まるが、その途中で八奈見たちが警備員に見つかり、言い訳を始めた。温水はイヤホンを外し、志喜屋に気を使いながらも心の中でため息をついていた。
その日の晩、温水は自室で桜井と電話で話していた。桜井は、計画に強引に加わった会長のことを心配していたが、温水は問題ないと伝えた。桜井との通話を終えた後、温水はカレンダーを見つめ、計画実行日が迫っていることを確認する。
その後、佳樹が青いパジャマ姿で部屋に入ってきた。温水は佳樹の髪を乾かしながら、最近の学校生活について話を聞いた。佳樹はツワブキ高校を志望していることを告げ、温水はその決意を応援する。
佳樹は温水のスーツ姿を見たかったと言い、次回の見学会に一緒に行きたいと希望したが、温水は話をそらして髪を乾かし続けた。佳樹が髪を乾かされながら、温水との日々を懐かしみつつ、ツワブキ高校で学びたいという強い意志を示した。
温水は佳樹の決意を称賛し、いつでも助けると約束した。佳樹は安心して鼻歌を歌いながら、温水に髪をブラッシングされ続けた。
GWの5連休の2日目、会長、温水、八奈見、白玉、そして朝雲は部室に集まり、昨日の式場見学の成果を確認した。見学会で得た情報を基に、朝雲は式場の見取り図とスケジュールを詳細に説明した。計画実行の時間帯は田中が着替えを終えた後の9時から10時の間に限定されていた。
朝雲の提案で、会長がカメラマン役、温水がそのアシスタントとして行動することになったが、佳樹が変装して白玉の役を務める案に対し、温水は佳樹を計画から外すことを提案した。佳樹の受験生としての立場を考慮した結果、八奈見が白玉の代役を務めることが決まった。
朝雲は、八奈見が白玉に似せるために2キロ減量し、白玉が2キロ増量するという計画を提案した。この提案に対し、八奈見は食事制限に取り組むことを決意した。
GWの5連休の3日目、結婚式まであと5日。文芸部の部室で、温水、会長、朝雲、白玉の4人が計画のシミュレーションを行っていた。田中先生を連れ出す会話の時間を測り、会話の内容を検討していた。白玉は2kg増量を目指してロールケーキを食べ、八奈見はダイエット中だった。
八奈見は走り込みから戻り、朝雲が作ったカロリー控えめのドリンクを飲みながら再び走りに出かけた。計画の打ち合わせを終えた後、温水は駅ビルの書店に立ち寄ったが、南口広場でエアうどんを食べている八奈見を見つけた。八奈見は食事制限をしながらも、心と体を満たすためにバナナを食べていた。
八奈見は白玉を気にかけ、彼女の無茶を放っておけないと語った。温水はそんな八奈見にラーメンをおごることを約束し、二人は互いに協力し合うことを確認した。
5連休の4日目、温水と会長は部室の前で八奈見と白玉が着替え終わるのを待っていた。やがて二人が現れ、白玉はウェディングドレス姿を披露する。会長と八奈見は白玉を褒め、計画の準備が整ったことを確認した。
翌日のGW最終日、犯行グループの5名はキリノキ高校に向かい、演劇部の部室を使うことに決めた。八奈見の友人で演劇部の副部長、新菜が部室の鍵を渡し、部屋を提供してくれた。朝雲と白玉は電波の確認を行い、八奈見はダイエットを続ける。
温水は八奈見の食べかけのお菓子に目を光らせる姿を見て、食事制限の厳しさを実感しつつ、部室の整理整頓がされていることに安心した。
温水は、結婚式場近くの地形を確認中に、朝雲と白玉に出会う。生垣に偶然開いた穴を見つけ、朝雲は合法的な活動として笑顔を見せる。午後、温水はツワブキ高校で白玉がブーケを作る様子を見守り、彼女の不安を察する。白玉は責任を取る覚悟を示すが、温水は自暴自棄にならず、大切なものを失わないように説得する。白玉は完成したブーケを見せ、温水は彼女の寂しさに気づきつつも、素直に美しいと感じる。
Intermission ひとの秘密は蜜の味
ある夜、甘夏古奈美のマンションで、彼女、小抜小夜、白玉みのりの三人がローテーブルを囲んでいた。古奈美は白玉の結婚を祝い、乾杯をする。白玉は大学時代から付き合っていた田中との結婚を決意したことを喜び、小抜も祝福する。小抜は白玉が田中を秘密にしていた理由を聞くと、白玉は「小抜の好みが知り合いの彼氏だから」と笑顔で答える。三人は再び乾杯し、古奈美は結婚式の準備について尋ねる。白玉は準備が終わったと答えるが、妹のリコとの関係が気になると言う。リコが文芸部の部長と付き合っていることが判明し、古奈美と小抜は驚くが、部長の良いところを挙げて白玉を安心させる。古奈美がマッチングアプリで失敗した話をすると、小抜と白玉は彼女を慰め、再び乾杯する。初夏の香りが漂う夜、三人は友情を深める。
4敗目 白玉リコ・リベンジ大作戦
GWの連休明け、放課後の部室に集まった温水、八奈見、会長、白玉に向かって、朝雲が「白玉リコ・リベンジ大作戦」の計画を説明した。計画は二つのフェイズに分かれている。まず、八奈見が偽白玉として館内に侵入する。白玉が最初に制服姿で入館し、その後八奈見と入れ替わる。次に、放虎原と温水が偽カメラマンとして式場に入り、八奈見の手引きで白玉がチャペルに潜入する。撮影が完了したら田中先生を二階に連れて行き、その隙に八奈見と白玉が脱出する。朝雲が用意したマニュアルに基づき、計画が進められる。
作戦前日、温水はグラウンドを歩きながら焼塩と再会し、焼塩から手伝いの申し出を受けるが、陸上の大会が順調であることを理由に断る。焼塩は東海地区予選に向けて準備を進めており、文芸部に試合の観戦を呼びかける。二人は和やかに会話を交わし、温水は成長と変化を感じながらも、大人になってからこの日々を振り返るのを楽しみにしている。
結婚式当日、午前7時。温水、朝雲、会長、白玉、そして白玉に変装した八奈見がキリノキ高校演劇部の部室に集まった。朝雲は、八奈見の変装が成功していることを確認し、計画の詳細を説明する。八奈見は白玉として式場に潜入し、会場内で変装することが計画の一環である。さらに、八奈見の声を白玉の声に変えるための特殊なマスクが用意されていた。
次に、温水と会長が変装を行うことになる。温水は八奈見から借りたスカートとブラウスを着ることになり、会長は男装をする。温水は自分の姿に戸惑いながらも、会長の男装が似合っていることに感心する。
朝雲は、計画の最終確認を行い、フェイズ1の準備が整ったことを確認する。計画は、白玉が式場に入った後、八奈見と入れ替わり、続いて温水と会長がカメラマンとして潜入する流れで進む。温水の号令で「白玉リコ・リベンジ大作戦」がついに始動した。
結婚式当日、午前7時。キリノキ高校演劇部の部室で温水、朝雲、会長、白玉、そして白玉に変装した八奈見が集まった。八奈見の変装が成功し、計画の詳細が説明された。白玉が式場に入った後、八奈見と入れ替わり、温水と会長が偽カメラマンとして潜入する段取りである。
フェイズ1が無事に終了し、次はフェイズ2に入る。温水は女装し、会長は男装して式場に潜入する。式場では、会長が従業員を巧みに説得し、田中先生と接触することに成功した。会長と温水は田中先生を連れ出し、白玉がチャペルに潜入する計画が順調に進行した。
結婚式当日、朝の光がチャペルを美しく照らしていた。温水と会長は田中先生の撮影準備を進め、計画通り白玉がチャペルに潜入する。白玉は無事にウェディングドレス姿で田中先生の隣に立ち、撮影が成功する。しかし、白玉が突然姿を消す。
温水、会長、八奈見は白玉を探すためにチャペルに戻るが、彼女は見つからない。建物内にいるはずだが、どこにも姿がない。さらに本物のカメラマンが到着し、偽物として潜入している自分たちの存在が危うくなる。
会長は一旦撤退を提案するが、温水は白玉を見捨てることができず、残ることを決意する。会長に演劇部の部室から大きなボストンバッグを持ってきてもらうよう頼み、白玉を見つけ出して説得する覚悟を固める。計画の成功は温水の手にかかっている。
11時を過ぎ、ゲストの受付が始まった。温水は隠れ場所から男子高校生として出て、白玉を探す。まずは待ち合わせスペースを確認するが見つからない。バーカウンターで先生たちと遭遇し、素早く退散する。その後、薄暗い廊下にある倉庫で八奈見と再会する。八奈見も白玉の捜索を手伝うために2階へ向かう。
2階には新郎新婦の控室があり、人の往来が多い。まずは反対側のエリアを探索するが、白玉は見つからない。次に新郎新婦の控室の一角を探すことにする。八奈見は白玉が披露宴会場に隠れている可能性を提案する。途中、階段で白玉の親戚と遭遇し、八奈見が白玉の声を再生して対応する。温水は八奈見に任せて先に進むことを決意する。
披露宴会場に繋がる廊下には四つの扉が並び、奥から二番目の部屋に白玉リコが立っていた。温水が入室すると、彼女は諦めかけた自分を嘲笑しつつも、逃げ出す気持ちと戦っていた。温水は彼女に、田中先生のことを諦めていいのかと問い詰め、白玉リコは意地悪な彼の言葉に刺激される。やがて白玉は、自分がこの場所にいる意味を見つめ直し、式に参加する決意を固めた。
その時、八奈見が持っていたクリッカーの振動が続き、式場の従業員が部屋に入ろうとする。温水と白玉リコは急いでベランダに逃げ出し、従業員の目を避けつつ、時間との戦いに挑む。
式の開始まで30分を切った。二人は集会室に移動し、廊下に出るが、階段前で八奈見が親戚一同に囲まれている。八奈見は機転を利かせ、親戚を連れてドレス姿を見に行こうと提案し、階段をクリアする。しかし、玄関で白玉リコの父親と遭遇。そこに現れた小鞠が、猫を追うふりをして注意を引きつける。
その隙に温水と白玉リコは建物から脱出し、駐車場へ向かう。途中で白玉リコの靴が片方落ちるが、従業員が追ってくるため拾えず、温水は彼女を抱え上げて生垣の穴を通り抜け、逃げ続けた。
温水は白玉リコを抱えて全力で逃げ、キリノキ高校演劇部の部室にたどり着いた。白玉リコはウェディングドレスを名残惜しそうに見下ろし、温水に「似合ってるか」と尋ねる。温水は「可愛い」と答えるが、白玉リコはキスを提案し、温水は慌てて断る。彼女は着替えに向かい、温水は自分の対応に混乱する。
その後、疲れ果てた温水はソファで眠り、目覚めると八奈見が着替えスペースに隠れているのに気づく。彼女は白玉リコのウェディングドレスを着ていて、ファスナーが下りずに困っていた。温水は助けを求められ、バターを使ってファスナーを下ろすことに成功する。
温水は白玉リコの件の後、ソファで休んでいたが、八奈見も疲れて隣に腰を下ろした。八奈見は白玉リコをどうやって説得したのかを尋ね、温水は「今じゃないと気付いてもらえた」と答えた。未来のことは先送りにして、その時が来るのを待つしかないと考えていると、八奈見が疑わしげに温水を見た。温水が白玉リコに何かしたのかを問い詰められ、温水は「何もしていない」と答えたが、キスの提案を断ったことを話してしまった。八奈見はさらに疑い、温水のネクタイを掴んだところ、朝雲と会長が教室に入ってきて二人を見て「ごちそうさまです」と言った。温水と八奈見は「違うから!」と慌てて否定した。
エピローグ 1年 F組 白玉リコ
温水は文芸部の仮廃部処分後、自宅に帰ると文芸部員たちが集まっていた。白玉リコは正式に文芸部に入部し、歓迎会が開かれていた。温水は部員たちとの絆が深まったことを感じつつも、彼らの自由奔放な行動に戸惑っていた。小抜先生の尽力で廃部を免れたことに感謝しつつ、温水は白玉リコから送られてきた小説のファイルを開こうとしていた。
文芸部活動報告 ~白玉リコ 『夕暮れ長屋の始末人』
江戸時代の裏長屋で、男が番傘を作っていた。暮れ六つの鐘が鳴ると、小柄な娘お鈴が訪れる。彼女は番傘を受け取り、一朱銀を支払う。お鈴は雄之助に算術を教えてほしいと言うが、雄之助は過去の婚約者であるお鈴の姉、美野の死を理由に断る。お鈴は榊屋の三男坊との縁談を明かし、雄之助は彼女を祝福する。雄之助はその後、煙草売りの温蔵から榊屋の三男坊の悪評を聞き、調査を依頼する。温蔵が去ると、雄之助は古びた畳の下から取り出した刀を手にし、自分の時が再び動き出すのを感じた。
時代小説を書いた白玉リコが、温水に読んでほしいと話しかける。白玉リコは結婚式の思い出を語り、温水に感謝を示すが、さらに彼に対する気持ちを表現する。リビングでの会話中、白玉リコは温水に対して親密な言葉を囁くが、佳樹が介入し、温水を冷ややかな紅茶で圧倒する。最後に、文芸部の新しい一年間が幕を開ける場面で終わる。
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