小説「魔王軍最強の魔術師は人間だった : 3」感想・ネタバレ

小説「魔王軍最強の魔術師は人間だった : 3」感想・ネタバレ

どんな本?

ファルス王国の赤竜騎士団を撃破した功績により、魔王軍第八軍団の団長に昇進したアイクのもとに、ドワーフの元国王ギュンターが訪れる。
彼はエルフ族の王からの書状を持っており、その内容は魔王軍との間を取り持ってほしいというものだった。
エルフが魔王軍に近づく目的は不明であり、アイクはその真意を探ることとなる。

『魔王軍最強の魔術師は人間だった』は、羽田遼亮 氏によって書かれたライトノベルで、KUMA 氏がイラストを担当。
この作品は「小説家になろう」から始まり、大人気な魔界転生ファンタジーとなった。

物語は、魔王軍第七軍団に所属する不死旅団の団長、アイクを中心に展開する。
アイクは「魔王軍の懐刀」と呼ばれるほどの魔術師ですが、彼の正体は人間で、しかも日本人の転生者だった。
彼は大魔術師ロンベルクに気まぐれで拾われ、彼の知識と魔術を受け継。
普段は人間であることがバレないよう、仮面とローブを身につけている。

また、この作品は2024年夏にTVアニメ化される。

読んだ本のタイトル

#魔王軍最強の魔術師は人間だった : 3
著者:#羽田遼亮 氏
イラスト:#KUMA  氏

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あらすじ・内容

ファルス王国の赤竜騎士団を撃破した功績により、魔王軍第八軍団団長に昇進したアイクのところに、ドワーフの元国王・ギュンターがやってくる。聞けば、犬猿の仲のであるエルフ族の王から、魔王軍との間を取り持ってほしいという内容の書状が届いたという。エルフが魔王軍に近づく目的は? そしてアイクが出した答えとは――。なぜか魔王軍幹部として働く主人公(人間)が活躍する、「小説家になろう」発、大人気魔界転生ファンタジー。

魔王軍最強の魔術師は人間だった : 3

第1章:エルフの女王からの手紙

アイクは第八軍団の団長に昇進したことで、より多くの責任を負うことになる。
彼の参謀であるジロンは喜ぶが、サキュバスのリリスはジロンの参謀就任を疑問視する。
それでも、アイクはジロンを参謀に留めることを決意し、リリスも新設される第八軍団での役割を果たすことになる。

第2章:女王との同盟

エルフの女王フェルレットは、諸王同盟からの圧力に苦しんでおり、魔王軍に助けを求めることを決意する。
彼女はドワーフのギュンターを通じて、アイクに同盟を提案する。
アイクは少数精鋭でエルフの森に向かい、エルフの信頼を得るために戦闘を行う。
エルフの女王との会談では、エルフの戦士隊を魔王軍に加えることで同盟が成立する。

第3章:意外な訪問者

アイクがイヴァリースに戻ると、アリステア・ロッテンマイヤーが訪れる。
彼女はローザリア王国からの和平使者であり、魔王軍との和平を求める。
しかし、その背後には宰相アイヒスの陰謀があり、和平が成立しない可能性が高い。
アイクはローザリア国王トリスタン三世と会談し、和平の実現に向けて動き出す。

第4章:和平への道

アイクは和平調印式に臨み、トリスタン三世との間で和平が成立する。
しかし、王都リーザスで宰相アイヒスが政変を起こし、国王を退位させる。
アイクはトリスタンの命を守るために戦いを続け、最終的に敵軍を撃破する。和平が成立し、エルフとの同盟も強固になる中、アイクはさらなる出世を果たす。

感想

第3巻は、緊迫感あふれる戦闘や策略が描かれる一方で、キャラクターたちの成長と絆の深まりが際立つ作品である。
特に、アイクが人間でありながら魔王軍での立場を確立し、エルフやドワーフとの関係を築いていく過程が非常に印象的である。
エルフの女王フェルレットやツンデレなドワーフのギュンターとのやり取りが物語を彩り、アイクの成長を見守る楽しさがある。

物語の進行に伴い、アイクがどのようにして和平を実現するかが大きな見どころとなっている。
和平交渉や戦術的な戦闘シーンは非常に緻密で、読者を引き込む内容となっている。
アリステア・ロッテンマイヤーの登場により、物語はさらに複雑さと深みを増し、読者に新たな興味を喚起する。

この作品は、魔界転生ファンタジーとして非常に魅力的であり、キャラクターたちの個性が物語に豊かな色彩を加えている。
特にアイクの成長と彼が直面する困難を乗り越える姿勢が描かれており、その過程を追うことが読者にとっての大きな楽しみとなる。
第3巻は、アイクの成長と彼の戦略的思考、そして彼が築く人間関係の深さが一層引き立つ一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

第一章  エルフの女王からの手紙

アレスタでファルス王国の赤竜騎士団を打ち破った功績により、第八軍団軍団長に昇進した。
ジロンは非常に喜んでいるが、サキュバスのリリスはジロンの参謀就任を疑問視する。
それに対して、引き続きジロンを参謀に留める意向を示す。
リリスも新設される第八軍団での役割を心配していたが、既存の第七軍団の部隊長たちが第八軍団に移籍し、昇進することが確認される。
シガンが新たな増員の有無を確認し、新たな増員はないことが明らかにされる。
ジロンは軍団の人数が通常より少ないことに驚くが、リリスは不死旅団の能力を信じている。
軍団長に昇進したことで、責任が増し、周辺の都市も管理下に入る。
一方、リリスは他の都市の領主になることを拒否し、副官として側に留まることを望む。
その要望に応じ、リリスはイヴァリース残留組として残ることになる。

リリスたちと別れた後、執務室に戻った。
そこでサティが用意したコーヒーを飲みながら、忙しさを感じつつも平和を願う。
サティは幾度となく出世を祝うが、忙しさにより彼女との時間が減ることを懸念している。
平和が訪れれば、自身が地方の領主として静かな生活を送ることができるかもしれないと考えている。一方、ギュンターからの訪問を受ける。
彼はドワーフの王であり、亡国の王としても知られているが、非常に謙虚な態度である。
ギュンターはアルコールの強いドワーフ族秘蔵の酒「火竜の息」を祝儀として持参し、共に飲む。
その後、ギュンターはエルフの女王が諸王同盟から追い込まれている事情を説明し、ドワーフの協力が魔王軍にとって重要であることを指摘する。
人間たちがドワーフや他の亜人種を恐れている状況を受け、エルフを助けるべく作戦を練る決意を固める。

エルフの森への援助を決定した後、イヴァリースの幹部を集めて軍議を行う。
参加者はジロン、リリス、シガン、ギュンターである。
議題はエルフとの同盟についてで、エルフ女王がギュンターを通じて魔王軍に同盟を求めた事情が話される。
エルフは魔王軍を恐れており、ギュンターに接触したことから、彼女の状況が苦しいことが推察される。
議論の結果、エルフを救援し、同盟を結ぶことが決定される。
大軍ではなく、少数精鋭で女王との信頼を築くために接触する方針が取られ、随伴者を決める過程で、全員が同行を希望する。
最終的にはエルフの森へ急行し、エルフ女王が諸王同盟に屈する前に行動を起こすことが確認される。

エルフ族の女王フェルレットは、諸王同盟からの厳しい選択を迫られ、森が戦火に包まれることを避けるため、ドワーフ族のギュンターに救援を求める手紙を書いた。
彼女は、仲の悪いドワーフ族に助けを求めることに矛盾を感じつつも、エルフ族の安全を優先した。
手紙の内容は、間接的に魔王軍に助力を求めることで、アイクという人物に興味があることを示している。
フェルレットは、魔王軍がエルフ族を対等な同盟者として扱ってくれるかもしれないと期待している。
侍女に手紙を送るよう指示し、アイクがエルフ族の救世主となることを祈っている。

エルフの女王フェルレットは、世界樹の森の支配者であり、何百年もの長い間即位している。
彼女は、エルフの里が諸王同盟から厳しい選択を迫られる中、救援を求める手紙をドワーフ族のギュンターに書くことに抵抗を感じつつも、森とエルフの民を守るために彼に助けを求めた。
この決断は、彼女の王としての責務と個人的な願いからくるものである。
フェルレットはまた、魔王軍に属するアイクにも関心を寄せており、彼がエルフ族を対等の同盟者として扱ってくれることを期待している。
彼女はエルフ族の未来とこの世界の命運が彼にかかっていると感じている。

馬に揺られ数日間の旅を経て、一行は世界樹の森に到着した。
森は広大で、その光景は鬱蒼としていて、一度入れば戻れないという「戻らずの森」という異名が付いている。
到着してすぐに、ギュンターが製作した特別な羅針盤は、森の特殊な環境により機能しなかった。
サティは非常食として独自に開発されたマヨネーズを提供し、リリスはその新奇な食品に興味を示す。
一行は森の深部への進行を続ける中、エルフたちからの突然の武力による迎撃を受ける。
アイクは、彼らが魔王軍の使者であり、戦闘意志がないことを説得しようとするが、突如、召喚獣が現れエルフたちを襲い始める。
これにより、一行はエルフを守るために戦闘を余儀なくされる。

数日馬に揺られて到着したエルフの国には、「世界樹の森」と呼ばれる広大な森が広がっている。
到着早々、一行は高位の魔術師によって召喚された白い獣と対峙する。
この獣は通常の攻撃を受け付けず、魔力を付与された武器での攻撃が有効だと判断し、ギュンターの武器に魔力を付与する。
戦斗は激しく、白い獣の俊敏さに苦戦するが、最終的には戦斧で倒すことに成功する。
獣が消滅した後、残された護符は証拠隠滅のために燃え上がる。

その後、獣によって傷つけられたエルフの青年を発見し、治療を施す。
エルフたちからの信頼を得たことで、エルフの女王に面会を求めることが容易となり、エルフの代表者は一行を女王のもとへ案内することを申し出る。

第二章  女王との同盟

エルフの森、通称「戻らずの森」に一行が到着し、その地名の由来についてエルフの案内人から説明される。
この森は、地精霊と風精霊の力を借りて外敵を迷わせるようになっており、攻め込む者を容易には寄せ付けない。
しかし、森は火を使われると防ぎきれないことが指摘される。
エルフは精霊の加護と地の利を頼みに諸王同盟への抵抗を続けているが、実際の戦力が足りるかは不透明である。

一行はエルフの村を通り、エルフの宮殿に到着する。
素朴で質素な村の生活と宮殿の造りが、エルフの自然と調和した生活様式を反映している。
ドワーフとエルフの価値観の違いが浮き彫りになるが、現時点では互いに協力するしかない。

エルフの女王に謁見を願う中で、関係者以外は待機するよう指示され、リリスはその扱いに不満を示すが、最終的にはエルフの女官がお茶を持ってきて、一時の平和が保たれる。

謁見の間へと続く廊下で、ギュンターはエルフの女王について語る。
女王は民に慕われており、統治も行き届いているが、世界樹を中心に考える傾向があり、自尊心が強いため人間や魔族との協力を厭う面がある。
しかし、アイクに対しては期待をしている様子が手紙から察せられる。
エルフの女王との謁見が始まると、エルフの女王は美しさで目を引くが、その声は思いの外優しい。
彼女は最近、白い獣から民を救ったアイクに感謝の意を表し、同盟の話についても前向きである。
エルフの女王は自身を魔王軍への貢献として提供するが、アイクはその提案を丁重に断り、代わりに戦士隊の提供を求める。
ドワーフの王ギュンターは、フェルレットに現実的な危機意識を持つよう諭し、彼の言葉がエルフの女王の決心を固めさせる。
最終的に、フェルレットはアイクとの同盟を承諾し、具体的な詳細について話し合いが始まる。

エルフとの同盟により、魔王軍は世界樹の葉と滴、特有のキノコ類、エルフ族の戦士隊を得た。
これらの資源は魔王軍の霊薬や秘薬の製造、魔力補充、回復薬の素材として利用され、エルフの戦士隊は魔王軍にとって強力な戦力となる。
一方で、魔王軍もエルフの森の安全を守ることを約束し、エルフの女王フェルレットと具体的な協力関係を築く。
エルフの女王は高位魔術師の召喚獣が諸王同盟からの嫌がらせであると認識し、魔王軍との同盟により諸王同盟の動向が明らかになると見込む。
同盟成立後、エルフの女王は諸王同盟の侵攻の可能性を警戒し、アイクはエルフから兵を借りて備える。
エルフの女王フェルレットは双子の妹アネモネを戦士長として紹介し、アイクは彼女の扱いに苦労しながらも、即座の戦準備を進める。
エルフの宮殿で戦争の計画が進行し、アイクの予測と斥候の報告が一致し、エルフの女王との信頼が少しずつ築かれる。

エルフの斥候からの情報により、敵軍が二千人以上で、ローザリア王国の双鷲騎士団が中核を担っていることが判明した。
双鷲騎士団はローザリアでも特に強力な騎士団であり、白薔薇騎士団より遥かに実戦的だとアイクは認識している。
この状況下、リリスはエルフの森の防御力を懸念しているが、アイクは森の迷宮のような地形とエルフの土地勘を戦略的利点として挙げる。
また、敵軍が未知の地で戦う不利を指摘し、エルフの戦士たちがその地形を利用して有利に戦えると確信している。

アイクはエルフの戦士隊にゲリラ戦法を採用させる戦略を提案し、その効果をリリスとアネモネに説明する。
彼はエルフの戦士隊が敵を奇襲し、速やかに離脱する戦法を説明し、戦術の有効性を強調する。
彼の指示により、エルフの戦士隊は各地で散開し、ゲリラ戦を展開することになった。

アネモネはエルフの戦士隊が精霊魔法と弓術に長けており、軽装で敏速に動けることを誇り、戦術の実行に自信を見せる。
しかし、アイクは深追いをせず慎重に行動するように忠告する。
その後、ギュンターとアイクは各々の部隊を率いて戦場へと進む。
アイクはこの戦いの重要性を理解し、絶対の勝利を目指してギュンターに戦闘の証人となることを促す。

双鷲騎士団は四分割されてエルフの森に侵入し、エルフ族を包囲殲滅しようとしていたが、森の複雑な地形に苦しんでいた。
その状況を利用して、エルフの戦士長アネモネ率いる部隊がゲリラ戦術を展開し、敵兵を奇襲した。
精霊魔法や弓の技術を駆使して敵軍を大いに翻弄し、混乱させることに成功する。
敵の反撃が始まると、アイクはアネモネに撤退を命じ、戦闘の流れを完全に掌握した。

戦闘は夜間も含め、継続的に実施され、敵兵は徐々に疲弊していく。
アイクはリリスが突撃を開始し、エルフたちと連携して敵の陣形をさらに崩壊させる。
敵軍は最終的には指揮官ヴァリックが「撤退」の命令を出すことで、一時的に戦闘が終結する。

ヴァリックとアイクの間で直接対決が発生し、魔術師としての技能を互いに競い合う。
アイクは自身の魔力と戦術を駆使してヴァリックを捕虜とし、エルフたちに丁重な扱いをするように命じる。
ヴァリックが捕獲されたことで、敵軍の士気は更に低下し、アイクはエルフたちに王都への帰還を指示する。
この戦術の成功はアイクの指揮能力の高さを証明し、彼の戦術が後世に評価されることを確信していた。

エルフの王都に戻った一行は歓声で迎えられたが、花束や花冠は用意されていなかった。
エルフの女王フェルレットは、感情豊かに迎え、歓迎の抱擁を行い、その情熱的な態度はアネモネによって控えめに制された。
その後、宮殿でアイクは敵軍の状況について女王に説明し、フェルレットは戦争の続行を嫌がりながらも理解を示した。
敵軍がまだ健在であるため、和平の道は閉ざされ、敵の攻勢に対抗する準備が必要だとされた。

宴会では、フェルレットが自ら料理を担当したが、その料理の腕前は良くなく、アネモネが兄を気遣うコメントをする場面もあった。
しかし、アイクは礼儀をわきまえ、彼女の料理に誠実に対応した。
ギュンターとの会話では、今後の戦略について真剣に議論が交わされ、敵の厳しさを認識しつつも、援軍到着まで持ち堪える方針が立てられた。

最後にアイクはエルフたちと共に宴を楽しみ、敵との次なる対決に備えた心の準備を整えた。
エルフの料理、特にキノコを使った料理が意外にも美味しく、少しの安らぎと楽しみを見つけた瞬間であった。

エルフの斥候からの情報により、先日のゲリラ戦術によって敵兵は疲労していることが明らかになった。
アネモネは敵軍がエルフの王都に迫ることを懸念し、しかし、シガンの到着を信じて待つしかない状況であった。
交信が難しい環境の中、アイクはシガンが敵の側面を突くことを期待していた。

翌日、双鷲騎士団と接触したが、夜襲ではなく日中の戦闘となった。
ギュンターは戦いを避けることができないと述べ、戦闘は避けられなくなった。
アイクはできるだけ森の奥で戦うことが最善と考えており、敵の補給線を長くして不利にさせることが目的だったが、そのためにはエルフの里が戦場になるリスクもあった。

アイクはアネモネに地の利を生かせる地形を尋ね、一つの湖が選ばれた。
湖を氷で固める計画を実行し、敵を誘い込む準備を整えた。その結果、敵軍は森を選択し、そこで待ち構えていた巨樹族に襲われた。
混乱の中で敵軍が湖に退避しようとすると、アイクは地震の魔法を用いて湖の氷を割り、多くの敵兵が湖に落ちた。

戦いが終わり、エルフたちは人道的な配慮から敵兵を助け、暖を提供した。
この行動によって、人間の兵たちは感謝し、二度とエルフの森に侵攻しないと誓った。
アイクはこの経験が将来的にも彼らの行動に影響を与えることを期待しつつ、戦後の処理とエルフの王都への帰還を指示した。

エルフの里に帰ったアイクは、エルフの女王フェルレットに熱烈な歓迎を受ける。
フェルレットは彼を賞賛し、感謝の表現をしようとするが、アネモネがその行動を抑える。
アイクはこの場を離れ、サティのもとへと向かい、彼女からは穏やかな歓迎を受ける。
その後、フェルレットはアイクと共に王宮へ向かい、戦の助力に対して感謝を表明し、アイクはその感謝を全ての関係者に伝えるべきだと答える。

フェルレットとアイクはエルフとの盟約を確認し、アイクはエルフの戦士隊の提供を受けることを確認する。
盟約書にはフェルレットが先に署名しており、アイクも血を使って署名を行う。
フェルレットはアイクの血が赤いことに対して驚き、魔族とエルフが同じ赤い血を持っていることで理解し合えると確信する。

最後に、アイクとフェルレットは別れを告げ、アイクはエルフの王宮を後にしてイヴァリースへ戻る。

姉のフェルレットが妹のアネモネに宛てた手紙で、アネモネがアイクと共にイヴァリースへ向かったことが記されている。
フェルレットはアネモネに、イヴァリースの街の華やかさに惑わされず、エルフ族の代表としての行動を心がけるように忠告している。
また、アイクへの慈愛の感情を抱いていることや、妹がアイクの側にいることに少し嫉妬していることを表現している。
フェルレットはアネモネに、アイクとの恋心を業務に混同しないように注意し、任務を全力で果たすように命じている。
手紙の最後には、イヴァリースへ向かった白薔薇騎士団の団長アリステアについて言及しており、アネモネに注意を促している。

第三章  意外な訪問者

エルフとの盟約を終えた彼は、部下たちと共にイヴァリースへ帰還する予定である。
竜人シガンやエルフの戦士たちも同行するため、帰還には約十日を要すると見込まれる。
彼は魔法を駆使して速やかに帰れるが、共に苦労をした者たちとの行軍を急がないことにしている。
リリスとの会話で、イヴァリースを一人で管理しているジロンのことが話題に上がり、彼が公金を横領している可能性があるかもしれないとの冗談交じりの懸念があるが、彼はジロンを信頼していると述べている。
イヴァリースでは数多くの行政処理や住民の揉め事、陳情などが待っていることを考えると、エルフの里でのスローライフが恋しくなる。
彼とサティは、平和が訪れれば森の中でのどかに暮らしたいと話す。
しかし、現実にはイヴァリースの経営や来たるべき戦争への準備が待っている。
彼は王都リーザス攻略の時期が近いと感じており、その戦いに向けての意気込みを語っている。

イヴァリースに戻った彼は、ジロンからの報告により問題が山積みであることを知り、執務室で書類の山に立ち向かうことを決意する。
徹夜を覚悟して仕事に取り掛かり、サティから珈琲を受け取りながら、一件一件の書類を処理する。
結果的に徹夜で作業を終え、朝の光が差し込む中でようやく仕事を終える。
その後、疲れ果てて深い眠りにつき、起きた際にはサティが用意した温かい食事が待っていた。

イヴァリースの街は、彼の政策により産業が飛躍的に発展し、人口が増加している。
食糧自給率は100%を超え、輸出も行われている状態だ。
ジロンとの会話で、技術者の重要性やギュンターへの恩返しの必要性が語られる。

彼はイヴァリースの特産品として、新たに酒を造ることを考える。
特に日本酒の造り方について議論し、その製造過程や利点が語られる。
また、日本酒が南方の通商連合の輸出品として有望であると考えられる。
最終的には、エルトリアに試飲してもらう計画を立てる。

イヴァリースに養鶏場を設立することを決定した彼は、その理由が単にマヨネーズ製造のためだけではなく、コストパフォーマンスが高い施設であるためだと説明する。
鶏肉と卵は高品質のタンパク源であり、市民の生活向上に貢献すると考えられる。
現在の鶏肉供給は農家レベルであり、大規模な養鶏場が街を豊かにすると信じている。
さらに、ジロンに指示を出し、養鶏場の建設を急ぐよう命じる。

一方、最近彼は、日本酒の試作品がギュンターに気に入られ、彼が常にそれを飲んでいることを知る。
彼の忙しさは変わらず、サティは彼がゆっくり休む機会がないことを心配している。
彼はそれが偉くなればなるほどの必然であると認識している。
さらに、最近加わったアネモネからエルフの女王フェルレットからの手紙を受け取る。
手紙の内容は一見平凡だが、追伸には注意を引く内容があり、アネモネは彼女がすぐに訪れる可能性があることを示唆する。
手紙の意図を確かめるため、彼はサティに客人の迎え準備をするよう指示する。

明後日、アリステア・ロッテンマイヤーがイヴァリースに到着した。
彼女は白薔薇騎士団の団長として正式に復帰しており、紋章が金色であることからその地位が確認される。
アリステアの訪問を前に、サティは宴の準備に忙しくしていたが、料理は彼女の得意とするロースト・ビーフにかけるグレイビー・ソースの香りであろう。
アリステアが実際にイヴァリースに着くと、彼女は礼を述べ、感謝の意を表す。
しかし、彼女は何かを怯えているように見えた。
アリステアは一旦休息を取るが、夕食の時には彼女はサティの料理を試し、その味に驚く。
食事が終わり、彼女はアイクに何かお願いがあると告げ、本題を話し始めた。

アリステア・ロッテンマイヤーは、ローザリア王国からの密命を帯びてアイクの元へ訪れた。
密命の内容は、魔王軍との和平を求めるものだった。
彼女がアイクに話を持って来た理由は、彼への過去の感銘と、他の軍団長への接触には危険が伴うためであった。
また、魔王軍の支配地域には危険が多いため、アリステアはその地を避けたかった。
アリステアは、ローザリア王トリスタン三世が和平を望んでおり、魔王軍が現在支配する地域をそのまま譲渡し、さらに金貨を献上する条件で和平を提案していた。
アイクはその提案を受け取り、魔王様への相談を申し出た。
アリステアの真摯な姿勢は信用できるが、彼女が代表するローザリア王国を完全に信用するわけにはいかないとアイクは考えていた。

アイクはセフィーロの居城バレンツェレへ向かった。
かつて彼はセフィーロの部下として頻繁に訪れていたが、軍団長になってからは訪問の機会が減っていた。
セフィーロはいつものように研究に没頭しており、アイクが重要な相談があると伝えると、セフィーロは関心を示した。
アイクは諸王同盟から和平の使者が来たことを報告し、セフィーロに魔王様への伝達を依頼した。
セフィーロは和平提案について聞くと、戦争の収束が見込まれるならば支持すると述べ、アイクと共に魔王様へ報告するため魔王城へ向かった。

アイクとセフィーロは魔王城の謁見の間へ向かったが、魔王様が不在だと知り、私室に向かうことにした。
私室では、魔王様に対し、ローザリア王国からの和平提案を伝えた。
魔王様は提案の価値を認め、セフィーロも魔王様を支持すると表明した。
提案には様々な可能性が考えられたが、最終的に魔王様は和平を結ぶ価値があると判断し、アイクにローザリアとの交渉を任せることに決めた。

魔王様とセフィーロは、アイクが送り出された後で歓談をしていた。
セフィーロが葡萄酒を好むことを知っていた魔王様は、日本酒と貴腐ワインのどちらがいいかを尋ね、セフィーロは葡萄酒を選んだ。
アイクが日本酒を持ってきたことを聞き、セフィーロはその味を認めつつも、葡萄酒を選ぶ。
二人はアイクのイヴァリースでの成果を称賛し、彼が生み出したマヨネーズが魔王軍で好評であること、そしてイヴァリースからの穀物輸出が他の軍団を支えていることを認める。
魔王様とセフィーロは、アイクの才能に敬意を表し、彼が魔王様に認められるよう願う。
二人はアイクがこれからも魔王軍を良い方向に導くことを期待していた。

魔王様の居城ドボルベルクからイヴァリースに戻った際、アイクを迎えたのはアリステアであった。
彼女は魔王様の和平に関する判断を楽しみにしており、魔王様が和平を望むと聞いて喜んだ。
その後、オークのジロンと二人きりになった際、アイクは和平の見込みについて懐疑的な見解を示し、それをジロンに説明する。
アイクは、ローザリア国王と魔王様が和平を望んでいるが、後ろに控える連中や諸王同盟の動向を懸念し、和平が成立しない可能性を指摘する。
その後、セフィーロが登場し、アイクの見解に賛同する一方で、魔王様が和平が成立しない可能性を踏まえ、第七軍団を動かせるように指示していたことを明らかにする。
セフィーロは、和平が失敗した場合に第七軍団が援軍として駆けつける可能性に言及するが、アイクはその可能性に僅かながら希望を持ち、アリステアから国王周辺の情報を得ることにする。

アイクがアリステアをイヴァリースの街に案内することにした。
表向きは単なる観光の誘いだが、実際にはローザリアの内情を探るためである。
アリステアは魔族の街を見たいと興味津々で応じ、特に鉄砲の製造方法に興味を示す。
街の案内では、大広場の女神の像や郊外の農場などを見せ、四輪作農法について説明する。
アイクはこの際、アリステアからローザリア国王トリスタン三世やその宰相アイヒスの人物像や政治状況についての情報を探り、宰相が国政を掌握している実態を知る。
アリステアは、国王が和平を望んでいるが、宰相がその障害になっていると語る。
アイクは、和平会議が宰相によって妨害され、国王が暗殺される可能性を懸念しつつも、和平の道を模索し続ける決意を固める。

ローザリアと魔王軍の和平調印式は、王都リーザスと魔王軍の都市アレスタの近くにある平原で行われることになった。
両軍は最大千名の随員を連れて参加する。
調印式に備えて魔王軍はドワーフやエルフも含めた多種多様な部隊を組織しており、見た目の統一感はないが、実力では負けないと自負している。
戦前の儀式としてサティが火打ち石を使って験を担ぎ、これが和平成功のおまじないとなっている。
調印式は王都に近いため、騎士団の存在が脅威となるが、アイクは全ての種族が参加することで敵を畏怖させる効果を期待している。
移動速度は遅いが、敵軍に勝つためには全力を尽くす準備が整っている。

第四章  和平への道

ローザリア国王トリスタン三世とその側近たちが和平調印式に出席し、魔王軍の代表としての俺も参加した。
トリスタンは思ったよりも若く、政治や軍事からは距離を置いた趣味仲間と共にいた。
彼は宰相アイヒスの専横にうんざりしており、その反発から和平会議を独断で進める決断をしたと説明した。
国王は和平文書にサインし、国璽を押すことでその誠意を示した。
これにより、魔王軍とローザリアの間の和平が正式に成立した。

その後、陣幕の中に騎士が乱入し、王都で政変が発生し、宰相アイヒスがトリスタンを退位させ、新政権を樹立したことを報告した。
これによりトリスタンは自らの王位が危ういことを知る。
しかし、国璽が偽物であることが判明し、本物はアイヒスの手にあるという事実が明らかになった。

トリスタンは自分が無力であることを自認し、親衛隊と白薔薇騎士団の指揮権を俺に委ねる決断を下した。
これにより、俺は魔王軍の支持を得て、アイヒスが率いる軍勢との戦いに臨むことになった。
この決定は、トリスタンが単なる無能な君主ではなく、状況を理解し、適切な判断ができる人物であることを示している。

ローザリア国王トリスタン三世は、戦に口を出さずに詩集を手に詩作に興じていた。
親衛隊長ブナフィスはこのままでは敗北すると認め、アリステアは逆に勝利を信じていた。
王都リーザスの騎士団は騎兵だけで約三千から五千を急派するとブナフィスが予想し、リリスはそれでも勝てると楽観していた。
しかし、俺は戦力比がさらに悪化する可能性を指摘し、周辺都市からの増援も考慮に入れるべきだと主張した。

防御策として馬防柵の設置と堀掘りを提案し、ドワーフの王ギュンターとエルフの戦士長アネモネが協力を申し出た。
しかし、俺は防御戦術を採用せず、攻撃的な戦略を取ることにした。
アリステアは敵騎士団を各個撃破する作戦を理解し、俺の評価を高めた。
俺の提案は、敵軍のタイムラグを利用して、それぞれが到着する前に撃破するというものだった。
この作戦を詳しく説明すると、諸将たちはさらに驚かされた。

リリスはなぜ攻撃的に行動するのか疑問を呈し、アリステアは速やかに敵を叩き次へ進むことを理解する。
アイクは待ち伏せるよりも敵軍の戦力を削ぎながら動く戦略を選ぶことを説明する。
しかし、リリスとアリステアはこの計画の気楽さを楽しむ様子を見せるが、アイクは戦の難しさと油断の危険性を強調する。
特にリーザス方面の騎士団との戦力差には警戒が必要だと語る。
その後、アリステアは戦の前に部下と軽口を交わすアイクの人間らしさについて言及し、アイクはそれを軍団の特徴として説明する。
アリステアは自らの戦闘に対する自信のなさを認めつつも、戦場での運の重要性を信じていると述べ、アイクはそれを受け入れる。
最後にアイクはアリステアに戦術の選択を委ね、彼女が提案する中央突破を採用することを決定する。

敵軍が挟撃しようとしたことが斥候からの報告で明らかになり、オークの参謀ジロンは心配を表明するが、アイクは自身の戦略を信じている。
敵が二手に分かれて挟撃を試みるが、アイクはこれを逆手に取り、敵の戦術を愚策と見なす。
敵軍の分断が進み、アイクは各個撃破を狙う。
戦闘はアイクの部隊の優位で進行し、巨人の部隊を含む多彩な力を持つ部隊が敵を圧倒する。
最終的に、敵軍は戦意を喪失し、撤退を始める。
アイクは追撃を行わず、敵の残り部隊に対する戦略的な対処を計画する。
敵軍の完全な撃破を達成し、一時的な安全を確保する。

アイクは王都リーザス郊外で陣を張り、勝利を収めたことについて将たちに感謝の意を表明する。
疲れた兵たちには一晩休息を取らせ、限定的に飲酒も許可する。
ドワーフの王ギュンターとエルフはそれぞれ自分たちの好みに合わない飲酒政策に不満を漏らす。
しかし、アイクは部隊間の良好な連携に満足しており、ジロンの参謀はその統率力を褒め称える。

続く作戦計画として、アイクは敵の援軍を一つ一つ打ち破ることを目指すが、王国宰相アイヒスがその戦術の誤りに気づくことを予測している。
アイクは敵が自分たちの作戦に気づく前に速やかに行動を進めることを決める。
彼は部隊に対して、敵軍の集結地へ向かうよう指示を出すが、リリスは敵軍の大規模な数に対して正面からの戦いを懸念する。
それに対し、アイクは奇策を駆使して敵を打ち破る方法を考案する。
同時に、アイクは敵の戦力分散に対して自軍の兵力を上手く活用し、部隊間の連携を維持しながら戦況に対応していくことを強調する。

アイク率いる連合軍とローザリア騎士団との戦いは、互いに退く気がないため避けられなかった。
戦いは予想以上に困難で、敵軍の戦意は高かった。ジロンは敵軍が強い戦意を持っていることに驚いていたが、アイクはそれを予想していた。
敵軍は失地を挽回しようとし、その戦いが最後の砦だと感じていたため、戦意が高まっていたのである。
敵軍の家族が人質に取られている可能性も指摘された。
アイクは部下たちに時間を稼ぐよう指示を出し、その間にセフィーロの第七軍団が援軍として加わるのを待つ戦略を採った。
数日後、第七軍団が到着し、敵軍の横腹を突撃した。
この攻撃により、敵軍は数の上で互角以上に追い込まれ、戦力的にも凌駕された。
最終的にアイクの連合軍は、敵軍を完全に包囲し、壊滅させることに成功した。
敵の抵抗は散漫となり、生き残った兵は包囲網を突破するか、投降を選んだ。

投降した兵士の処遇や負傷者の手当て、戦の事後処理は、実際の戦闘よりも疲れる作業であるが、それは軍団長の責務でもあった。
セフィーロは援軍として参加していたが、軍団長としての責務を放棄し、すべての処理をアイクに任せていた。
セフィーロの性格は相変わらずで、何もしない方が良いという人物だった。
アイクは彼女を無視し、黙々と戦後処理を行った。
その夜、アイクは魔女であるセフィーロのもとを訪れた。
セフィーロは葡萄酒を片手にほろ酔い状態で、アイクが持参した手土産について話をした。
セフィーロは普段の戯けた雰囲気を捨て、真面目に話し、ローザリアが分裂状態にあること、トリスタンが魔王軍に協力を申し出ていることを説明した。
これにより魔王軍は大義名分を得たと述べた。
その後、二人は夜空を眺め続け、流星が見えるまで夜を過ごした。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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