どんな本?
『マージナル・オペレーション 』は、30歳のニートであるアラタが、民間軍事会社に就職し、戦場でその才能を開花させていく物語である。
アラタは東京での平凡な生活を捨て、中央アジアの過酷な環境で戦争の現実と向き合うことになった。
最初はゲーム感覚で指示を出していたアラタだが、彼の決断が現実の悲劇を引き起こすと知り、自分の責任と向き合うことになる。
村の壊滅や仲間たちとの絆を通じて、アラタは自分の役割を自覚し、子供たちと共に新たな未来を切り開こうと決意する。
読んだ本のタイトル
マージナル・オペレーション03
著者:芝村 裕吏 氏
イラスト:しずま よしのり 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
新宿を恐慌に陥れた戦いの後、アラタたち一行は日本出国を余儀なくされ、タイへと降り立った。その地でアラタを待っていたのは、“子供使い”の悪しき影響で横行する少年兵を使ったビジネスと、“あの男”との思わぬ形での再会だった。
再び戦いに身を投じるアラタだったが、わずかな油断が、子供たち──そして、彼を愛した女性の命を窮地に陥れてしまう……。
芝村裕吏×しずまよしのりが贈る戦場のサーガ、第3弾!
感想
『03』は、新宿での戦いの後、日本を出国したアラタたちがタイで新たな戦いに巻き込まれる物語であった。
タイに到着したアラタたちは、シスターズのリーと名乗る女性から依頼を受け「子供使い」として少年兵を利用するビジネスの厳しい現実と向き合うことを余儀なくされた。
さらに、かつての同期であるキシモトとの再会が、アラタの運命を大きく揺さぶる出来事となった。
キシモトはアラタをライバル視し、執拗に彼を狙ってくるが、その結果、アラタの油断によって仲間が犠牲になり、ソフィも危険に晒されることとなった。
アラタは、自分の過ちに責任を感じながらも、子供たちを守るために戦い続ける決意を固める。
本書は、戦争の現実と、それに直面するアラタの苦悩を描いた重い物語であった。
アラタは子供たちに武器を持たせたくないと強く願いながらも、限られた選択肢の中で戦いに身を投じざるを得ない状況に立たされている。
タイでの厳しい戦いの中で、彼の信念と現実の狭間での葛藤が鮮明に描かれており、読者は彼の成長と苦しみを共に感じることができる。
特に印象的だったのは、アラタが大切にしていた仲間が犠牲になる場面であった。
犠牲者の遺体を秘密裏に片付けるシーンは生々しく。
彼の油断が招いた悲劇に対して自責の念を抱くアラタの姿は、戦争の非情さと、そこから逃れられない現実を強く伝えている。
それでも子供たちを不安にさせないために表情的には、冷酷に徹していた姿は痛々しかった。
また、キシモトとの再会がもたらす緊張感と、アラタの内面の葛藤が物語全体に緊迫感を与えている。
次巻では、さらに強大な敵との戦いが予想されるが、アラタがどのようにしてこの苦境を乗り越え、子供たちを守り抜くのかが見どころである。
物語の進行と共に促進するアラタの成長と、その先に待ち受ける新たな試練に対する期待感が高まる一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
Bookliveで購入BOOK☆WALKERで購入(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
同シリーズ
その他フィクション
備忘録
1章 戦い終わって日が明けて
アラタは飛行機の中で休息をとっていたが、十分に眠れたわけではなかった。隣に座るジブリールとの関係に思春期の娘を持つ父親としての悩みを感じながらも、彼女の成長を見守り続けた。タイに到着すると、彼らは新たな仕事を探すために空港内で議論を始めた。そこへチャイナドレスを着た女性が現れ、アラタの頬を平手打ちした。理由を尋ねると、彼女はアラタが「子供使い」という不名誉なニックネームで呼ばれていることに憤り、子供を兵士として使うことに反対していたからであった。アラタは彼女の感情を理解し、状況を冷静に受け止めた。
リさんと名乗るチャイナドレスの女性は、アラタに仕事を依頼するために接触した。リさんは子供を兵士として使う「子供使い」であるアラタに対して嫌悪感を示しつつも、彼を試すために平手打ちをした。アラタは彼女の態度に驚きながらも、彼女の依頼に耳を傾けることにした。リさんはタイでの階級差別と、子供を兵士として利用しようとする新たな動きについて話し、その状況を変えるためにアラタの助けを求めた。アラタは依頼の理由と動機に共感し、仕事を引き受けることにしたが、生活費を稼ぐためであると強調した。リさんの意図は、階級の低い子供たちを救うことであった。
アラタはリさんから依頼を受け、タイの犯罪組織が子供を傭兵として輸出しているという情報を得た。報酬として1500万円が提示され、彼はそのうちの半額を即金で受け取った。アラタはジブリールを伴い、情報収集と武器の調達のために再びリさんと話し合いを行った。リさんの部下から、子供たちを連れて行かないよう忠告されたアラタは、NGOとの面会を約束した。帰り道、アラタはジブリールとの会話で、彼女の不安と彼を守りたいという強い気持ちを感じたが、ジブリールの気持ちに対してうまく応えられず、気まずい雰囲気のまま歩き続けた。
アラタたちはタイのホテルに戻り、ホテル内で夕食をとることにした。食事中、子供たちは神妙な顔をしており、アラタは武器の調達が完了したらもっと馴染みのある食事を取ろうと考えていた。食後、シュワさんやオマルと共にラウンジで会話をした。シュワさんは、アラタが仕事を急いで決めたことについて質問し、オマルは子供たちの安全を心配していた。アラタは彼らに安心させるように努めたが、内心では自分の判断に自信を持てなくなっていた。その後、アラタはバーでシュワさんと酒を飲みながら「バランス」の重要性について話し合い、反省と気持ちの整理を試みた。話し合いが終わった後、バーを出たアラタは夜風に当たりたいと考えたが、安全を考慮して部屋に戻ることにした。その途中、アラタはエレベーターで過去に関わりのあった人物と再会した。
2章 彼との再会
アラタはホテルのエレベーターで、かつての民間軍事会社の同期であったキシモトと偶然再会した。彼らは短い会話を交わし、お互いの近況を確認した後、別れた。アラタはキシモトとの再会に警戒し、ホテルの部屋を変更した上で、さらに別の部屋で休むことにした。彼は護衛を求めてソフィの部屋に向かい、そこで彼女と気まずい会話を交わした。ソフィはアラタに対して好意を持っているようで、アラタは彼女の思いに少し戸惑いを感じながらも、彼女の部屋を後にした。アラタはこの一連の出来事から、仲間と話し合う重要性や、慎重に行動する必要性を再認識した。
アラタは、昨日の不調を反省し、今日は新たな気持ちで一日を始めることを決意した。リさんから朝食に招待された彼は、護衛のオマルと共に高級ホテルへ向かう。そこで、今回の仕事がリさんの独断で進められ、他の民間軍事会社との契約はないことを確認した。また、使用する武器についても警察署と手配済みで自由に選べることが判明し、日本とは異なる現地の警察の状況に驚いた。
朝食の中で、アラタは子供たちの将来について語り、彼らを戦争から遠ざけたいという思いを強調した。リさんも、アラタと子供たちが平穏に暮らせる国を見つけられることを願っていた。
その後、アラタたちは警察署に向かい、押収品保管庫で武器を選ぶ。現地の警察の柔軟な対応に驚いたアラタは、この国の特異な状況を活用することを考えた。続いて、NGOの代表と会い、スラム街の現状を見学しながら、子供たちの教育を考慮して今後の対応を協議することとなった。
スラムは一見して整然とした地域に見えたが、実際には貧困層のために区画整理された地域であり、表向きの外観とは異なる現実が広がっていた。グレースさんはアラタに、かつてこの地域では小さなカニを食べて生活する人々がいたが、今ではそうした手段も失われ、外からの援助なしでは生きていけない状況になっていると説明した。アラタは、スラムの状況を目の当たりにし、ここでの生活がいかに過酷であるかを痛感した。
スラムの子供たちはギャングの一員となって生き抜くためにさまざまな手段を講じており、特に女の子たちはより困難な状況に置かれていた。グレースさんは、こうした子供たちに対して定期的にコンドームを配布するなどの対策を講じているが、それ以上の支援は難しいと語った。
また、グレースさんはアラタに、スラムの子供たちが他の悪徳業者に搾取されるよりも、アラタのような人に傭兵として雇われた方がまだ良いと考え、アラタに対してスラムの子供たちを傭兵として雇うことを提案した。アラタは、この提案に驚き、さらに複雑な心境となった。
アラタとシュワはグレースと別れた後、ホテルに戻る途中で酒を飲みたい気分になっていたが、子供たちの教育に悪影響を及ぼす可能性があるため、やめることにした。シュワはアラタに、指揮官として冷静であるべきだと諭し、誰かが死んだときのために準備をしておく必要があると述べた。
アラタはホテルに戻り、まだ危険があるため自室には戻れないことを思い出し、不安と迷いを感じていた。ジブリールに慰められながらも、指揮官としての自覚を持ち、感情に流されないように努めた。その後、シュワから銃の使い方を学びたいと頼んだアラタは、子供たちに銃を持たせることの辛さを軽減するために、自らも銃の訓練を受ける決意をした。
翌朝、アラタはリさんと朝食を共にし、スラムの状況や少年兵の雇用について話し合った。リさんはスラムでの子供たちの状況を改善するために、アラタが少年兵を雇うことを提案したが、アラタは利用されているのではないかと感じ、慎重に対応することを決めた。
アラタはホテルに戻り、オマル、ソフィ、ジブリール、イブンらとミーティングを開き、リの提案について議論を行った。シュワも加わり、皆の意見を聞いた結果、賛否が分かれるも、慎重に進めるべきだとの結論に至った。アラタはこの提案に対して警戒心を持ちつつも、子供たちのために慎重に考えをまとめることにした。
その後、アラタは敵がかつて自分が所属していた会社である可能性が高いと推測し、敵との交渉を試みるためにキシモトと接触した。キシモトとの会話から、彼はアラタの提案を理解し、上層部に伝えることを約束したが、すべてが順調に進む保証はなかった。アラタはこの交渉を通じて、戦いを回避し、子供たちの安全を確保する道を模索し続ける決意を新たにした。
アラタは昼にランソンとイトウに電話をかけた。まず、イトウとの電話では、日本の諜報機関がアラタたちを送り出すことを了承していること、アメリカとタイとの微妙な外交関係があることを確認した。次に、ランソンとの会話では、彼の民間軍事会社の下請けが少年兵を集めていることを伝え、可能であればその対応を改善するように依頼した。ランソンは数日間の猶予を求め、アラタはその期間、攻撃を控えることに同意した。
アラタは賢い敵との話し合いを希望し、ランソンの調整が成功することを期待していた。
3章 敵は賢いに限る
アラタは、リさんやNGOのグレースさんと連絡を取り、戦闘を回避する方向で調整しようとした。しかし、その矢先にNGOの事務所が攻撃され、現地スタッフの一人が拉致された後、水死体で発見された。アラタはNGOスタッフの保護を指示し、オマルの部隊を現場に急行させた。彼らは敵の攻撃に備え、守りを固めることを決定した。
その後、敵が子供を使って囮を作り、さらに攻撃を仕掛けてきた。アラタはオマルに命じてグレネードで応戦し、敵を制圧した。彼らは敵の動きを観察しながら、捕虜を取ることに成功し、状況を一時的に安定させた。しかし、アラタはさらなる敵の動きを警戒し続けた。
アラタはスラムで捕虜を尋問し、彼らが「自由戦士社(フリーダム・ファイター社)」という民間軍事会社に所属し、アラタの殺害を任務としていたことを知った。捕虜は情報をすぐに話し、アラタは彼らを解放したが、彼が以前所属していた会社が敵対行動に出たことに疑問を感じていた。
その後、アラタはNGOのグレースと対話したが、彼女は仲間を失ったショックでアラタに対して怒りと憎しみを抱いていた。アラタは安全のために彼女たちを守ることに集中し、戦闘後も彼の部下たちと協力して現地の状況を管理することに努めた。帰りの車中で、ソフィはアラタに複雑な感情を見せたが、彼らは互いに理解し合おうとしていた。
アラタはホテルに戻った後、ジブリールや他の子供たちと再会し、戦闘後の再展開を進めた。彼は子供たちに気を配りつつ、休息と準備を整えるために、彼らを交代で休ませた。シュワさんとの会話では、敵との戦闘が不可避であることや、今後の戦略について話し合った。敵がスラムの住民を利用しようとしたが、計画は失敗に終わり、アラタたちは再び作戦を練り直すことになった。ジブリールとの個人的な会話で、彼は子供たちに対する配慮を示しつつ、次の展開に備えた。
シュワさんはコーヒーを求めてグレースさんの元に戻ったが、その夜、アラタの部隊は敵の動きを察知した。敵はトヨタのバンに乗り、アラタたちの陣地に接近していたが、アラタたちはグレネードランチャーを使い、敵のバンを撃破した。敵はスラムに逃げ込んだが、さらに二台のハイエースが現れたため、ジブリールたちはこれも攻撃して壊滅させた。
敵の無計画な行動に対し、アラタは次の手を考えたが、敵はなおもNGO事務所に攻撃を仕掛けてきた。アラタはシュワさんに事務所を放火して光源を確保するよう依頼し、その火を利用して敵を攻撃した。戦闘は膠着状態に陥ったが、警察と消防のサイレンが響き、敵は撤退を余儀なくされた。アラタたちも撤退し、戦闘は一旦終了した。
4章 色々の後始末
数日間、アラタたちは警察の捜査から隠れるため、いくつかの隠れ家に分散して過ごした。スラム廃止論が出て政府が検討しているとニュースで報じられ、少年兵の育成が難しくなる可能性があると考えていた。しかし、リさんからの電話で、政府の話は実行されることがないと聞かされた。リさんは、スラムの子供たちを訓練し、アラタの部下にする計画を続けるつもりで、訓練キャンプの準備も進めていた。
アラタはタイでの生活を続ける中で、子供たちの将来を考えながらも、自分の力と戦争の現実に向き合うことを求められた。彼はシュワさんに銃の使い方を教わりながら、人を撃つことの心理的な壁や戦争の現実について考えさせられた。シュワさんは「銃は恨みで撃て」とアドバイスし、人を殺すことへの抵抗を乗り越えるための「勢い」が必要だと語った。
アラタは子供たちを戦争から解放したいと願っているが、その道が本当に正しいのか、また幸せとは何かについても疑問を抱いていた。
アラタは銃の訓練で疲れ果てて眠り、目を覚ますとホテルに向かった。ジブリールと共に向かったが、彼女の機嫌が悪いことに気づき、気を使いながら会話をした。ホテルでの朝食後、リさんから敵が撤退することを知らされ、今後の計画について話し合った。
その後、アラタはジブリールと共に風邪を引いているハキムとソフィを見舞うことにした。ソフィは戦闘で人を殺したことで心因性の症状を抱えていた。アラタは彼女を病院に連れて行こうと提案したが、ソフィはそれを拒否し、二人の間で口論になった。ジブリールもまた思い詰めた様子でアラタに口論を求め、アラタは混乱しながらも対処に苦慮していた。
アラタはソフィとハキムを無理に病院に連れて行き、風邪を治すための治療を受けさせた。その後、隠れ家で今後必要になるもののリストを作成し、営業や情報、補給、武器などを整理した。また、子供たちに教育を受けさせ、戦場以外の生活に適応させるための計画も考えた。
午後にはオマルやジブリールとともにシュワとグレースに会い、彼らの関係が進展していることを知った。シュワには、子供たちの中で心が弱そうな者や他の仕事に適した者を選別する役割を依頼し、傭兵にするのではなく平和な生活を送らせることを目指した。
また、ランソンとの電話で、今後の方針について話し合った。ランソンはアラタに対する攻撃を謝罪し、子供兵の待遇改善を約束した。アラタはこの話し合いを通じて、現実の厳しさを実感しつつも、一歩ずつ良い方向に進めることの重要性を確認した。
アラタはジブリールと手を繋いで歩いていたが、ジブリールは恥ずかしそうに被り物で顔を隠していた。彼女の気持ちを理解しようとしながらも、アラタはソフィやジニが人を殺したことについて悩んでいた。ジブリールが不機嫌な様子であることに気づいたアラタは、敵指揮官であったキシモトについて話題を変えた。彼はキシモトの指揮が矛盾していた理由を探ろうとしていた。
ジブリールはキシモトの指揮が普通に見えたと言い、彼がアラタを引き出すための作戦を立てていたことを示唆した。アラタはキシモトが自分を過小評価していたことに苛立ちを覚えたが、その後、ランソンと会って話をすることになった。ランソンからは、キシモトがアラタに勝つことで経歴を強化しようとしていたことが伝えられた。ランソンは、アラタの行動が会社との戦いを避けるために効果的だったと評価し、今回の交渉がうまくいったことを伝えた。
その日の夜、アラタは子供たちと隠れ家を出る準備をしていた。ランソンの動きにより、当面の脅威がなくなり、警戒の必要がなくなったからである。準備を終えたアラタの携帯にジニから電話が入り、ジブリールが泣いていることを知らされた。アラタはその理由がわからず戸惑いながらも、ジブリールに直接話すことができず、ジニに朝食の護衛をジブリールに頼むようお願いした。
翌朝、アラタが朝食に向かうと、ジブリールを含む子供たち全員が護衛として現れた。ジブリールは短いスカートをはいており、恥ずかしそうにしていた。アラタはその姿を見て困惑しながらも、彼女に「かわいいが、外ではそんな格好をしなくていい」と伝えた。ジブリールは喜んでいない様子だったが、周囲の子供たちは喜んでいた。アラタはジブリールの健康を心配し、今後も子供たちに対して良い親代わりでありたいと考えていた。
5章 戦いの報酬
朝食を終えたアラタは、ジブリールたちの隠れ家に向かったが、ドアが開け放たれていて奇襲を受けた痕跡があった。ハキムとソフィが心配で隠れ家に突入したが、ハキムは銃撃により命を落としており、さらに遺体に仕掛けられていた地雷が爆発し、悲惨な状況であった。ソフィの姿はなく、携帯だけが残されていた。
アラタはジブリールに遺体の収容を指示し、反撃の準備を始めたが、心に残ったのは悲しみだけであった。移動中にジブリールは自身を責めて泣いていたが、アラタは自分の油断を責め、冷静さを取り戻そうとした。
警察署に到着後、アラタは警察の協力を得るために賄賂を渡した。そこにキシモトから電話がかかり、彼はソフィを人質にしていることを明かした。キシモトはアラタに対して激しい恨みを抱いており、電話でアラタを挑発したが、アラタは冷静さを保ち、警察の協力を得てキシモトの追跡を開始した。
アラタはキシモトの襲撃を受けた後、警察に協力を依頼し、隠れ家を移ることを決断した。警察が敵に買収されている可能性も考慮し、戦いの準備を整えた。ジブリールはアラタの行動について質問したが、アラタは敵の計略に乗らないことが重要だと説明し、戦況を冷静に分析した。
新たな隠れ家は建設途中の高層ビルで、アラタはここを拠点にして敵の動きを待つことにした。彼は戦略を立てつつも、ハキムの死とソフィの安否について思い悩んでいた。ジブリールに促されて休息を取ることにしたが、疲労と緊張で意識が朦朧としていた。
アラタは目覚めた後、オマルとジブリールたちと共に敵の奇襲に備え、新しい作戦を立てた。敵からの挑発と罠を見越して、アラタは冷静に行動し、警察を利用しながら敵を追い詰めるための準備を進めた。敵の狙いはソフィの命を握ることでアラタを引き出すことだったが、アラタは敵の資金力や行動を分析しながら、敵の動きを予測していた。敵の奇襲が始まると、アラタたちは素早く反撃し、敵を次々と撃退しながらソフィの救出に向けて動いた。車を使った機動戦で敵を追い詰める中、アラタは慎重に作戦を進め、敵の狙撃手や機関銃を無力化しながら、最終的な勝利を目指していた。
アラタたちの車のライトに照らされたソフィは、裸で後ろ手に縛られていた。彼女のそばにはキシモトがいて、彼はソフィを盾にして動いていた。アラタはキシモトを挑発し、彼との対話を試みたが、キシモトはソフィに暴力を振るい続けた。
アラタがキシモトに銃を向けると、ジブリールがキシモトの頭を撃ち抜いた。しかし、キシモトは頭を撃たれながらもなお動き、人工池に落ちた。アラタはソフィに駆け寄ろうとしたが、彼女にかける言葉が見つからなかった。ソフィはアラタに「見ないで」と泣き叫び、ジブリールが彼女の世話をしている間、アラタは自分の無力さを痛感した。
エピローグ 君たちの肩に止まる
アラタたちはソフィの治療やハキムの葬儀、新たなキャンプ設立など、多くの課題に直面していた。ソフィは拉致後、失語症となり、指や耳にも傷を負っていた。彼女をアメリカの医療施設に送ることはできず、タイの病院で治療を受けることになった。一方、ハキムの葬儀は、バンコク郊外のイスラム墓地で行われた。
アラタはその後も子供たちの指揮を続け、新たな戦闘拠点「キャンプ・ハキム」を設立した。ここで彼らは訓練を行い、戦闘準備を整えた。最終的に、スポンサーからのプレッシャーを受けて、アラタたちは戦争を開始することを決意し、子供たちに向けて戦いの準備を指示した。アラタは自分の使命を果たし、戦い続けることを誓った。
Share this content:
コメントを残す