どんな本?
小説『マージナル・オペレーション改 01』は、現代の戦争と戦術をテーマにしたミリタリーSF作品である。本作は、元ニートの主人公・新田良太(アラタ)が、少年兵たちと共に国際的な紛争に巻き込まれながら成長していく物語である。
主要キャラクター
• 新田良太(アラタ):元ニートの日本人男性。民間軍事会社に就職し、卓越した戦術オペレーターとしての才能を発揮する。少年兵たちを率いて戦場を駆け巡る。
• ジブリール:タジキスタン人の少女で、アラタの部下となった少年兵のリーダー格。近接戦闘に優れ、アラタに深い信頼を寄せる。
• オマル:元米軍人で、アラタの同僚。少年兵たちの境遇に心を痛め、アラタと共に行動する。
物語の特徴
本作は、現代の戦争における戦術や戦略をリアルに描写しつつ、少年兵たちの成長や人間関係を深く掘り下げている点が特徴である。また、主人公アラタの卓越したオペレーション能力と、彼を取り巻くキャラクターたちの複雑な心理描写が、他の作品とは一線を画す魅力となっている。
出版情報
• 出版社:星海社
• 発売日:2016年11月16日
• ISBN:978-4061399556
• 電子書籍版:Kindle版が発売されている。
• 関連メディア展開:本作は『マージナル・オペレーション』シリーズの正統な続編である。
読んだ本のタイトル
マージナル・オペレーション改 01
著者:芝村裕吏 氏
イラスト:しずまよしのり 氏
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あらすじ・内容
ミャンマー奥地のキャンプ・ハキムで、三〇〇〇人の少年兵たちとともに中国人民解放軍との戦いを続ける元ニート・アラタ。ある日、彼のもとに奇妙な依頼が舞い込んだ。
依頼主である人民解放軍の女将軍・新的(ニタ)が持ちかけてきたのは、アラタが密林を出て国際的な孤立を続ける北朝鮮に渡り、かの国の体制支援を行うことだった。新的はテストと称して密林を切り開く工事を開始し、アラタ離脱の危機に、オマルたち部下は激しく動揺する……。
果たして、部隊はこのまま崩壊してしまうのか? 舞台は密林から極東へ――。新田家の血が、アラタを次なる戦場へと誘う。芝村裕吏×しずまよしのりが贈る大ヒットシリーズ、待望のシーズン2、電子版にて登場!
感想
本作『マージナル・オペレーション改01』は、ミャンマーの密林で少年兵を率いるアラタが、新たな局面に挑む様子を描いている。戦争、国際情勢、そして家族のような子供たちとの絆が織り交ざり、重厚な物語となっている。
戦争と敗北
アラタが密林で戦う相手は、圧倒的な物量と最新技術を持つ中国人民解放軍であった。
これまでの勝利を重ねてきた彼の部隊は、今回初めて電子戦を駆使した敵に敗北を喫する。非殺傷兵器やチャフ、電波妨害が描かれる場面はリアリティがあり、読者に緊張感を与える。この敗北は、アラタに新たな戦略を考えさせるきっかけとなり、物語の転換点として機能している。
キャラクターの魅力
アラタの周囲には、個性豊かなキャラクターが揃っている。特にジブリールやジニとの関係性が物語の彩りを加えている。ジブリールは不器用ながらもアラタへの深い愛情を持ち、ジニは成熟した態度で彼を支える存在として描かれている。アラタの父親としての姿勢と、彼自身の鈍感さが対照的で、読者に共感と笑いを与える部分である。
ホリーとの口論や、部下たちとのやりとりも、アラタの人間関係の複雑さを浮き彫りにしている。彼が一人のリーダーとして成長していく過程が、物語の深みを増していると言える。
新たな舞台と展望
密林を離れ、中国、そして北朝鮮へと舞台が移ることで、物語は国際的なスケールに広がる。新的やパウローといった新キャラクターの登場は、過去編との繋がりを示唆し、読者の期待を高めている。また、国際情勢の緊張感が増す中で、アラタがどのような選択をするのかが注目される。
特に、シベリア共和国との関わりが今後の鍵となる。『遙か凍土のカナン』とのクロスオーバーが本格化する兆しがあり、この展開がどのように物語に影響を及ぼすのかが楽しみである。
全体の印象
物語は戦争の厳しさを描きつつ、子供たちとの絆や人間味溢れるエピソードを織り交ぜている。アラタの鈍感さや自己評価の低さには苦笑する場面もあるが、それが彼の人間味を際立たせている。物語のテンポはややゆっくりしているが、各キャラクターの成長や国際的な展開が読者を飽きさせない。
次巻以降では、北朝鮮やシベリア共和国との絡みがどのように描かれるのか、アラタがどのように成長していくのかに注目したい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
備忘録
第1章 ささやかな僕のこと
蒸し暑い日常と密林での生活
アラタは、密林で蒸し暑さに耐えながら生活していた。スーツ姿で過ごす日々は不快感が募るばかりであったが、仕事のため仕方がないと諦めていた。ハッカ油の製造に力を入れ、蚊が媒介する病気対策をしていたことが、住民たちの健康改善に寄与していた。
ジニとの穏やかな時間
アラタは、赤毛の少女ジニが図鑑を読む姿を微笑ましく思いながら過ごしていた。ジニはアラタの子供の一人で、明るい性格が彼の心を和ませた。血の繋がりはないものの、父親としての喜びを感じる瞬間であった。
ジブリールの登場と怒り
突如現れたジブリールは、不機嫌な様子でアラタに詰め寄った。彼女の怒りの原因は、アラタが楽しげに話している時に自分を呼ばなかったことにあった。ジブリールは厳しい表情ながらも、アラタへの深い愛情を垣間見せた。
アラタの回想と子供たちとの関係
アラタは、少年兵たちを率いて戦う日々を振り返りながらも、自分の子供たちが成長する姿に誇りを感じていた。戦争の現実に直面しながらも、父親としての責任と幸福を噛みしめていた。
ホリーとの一触即発
ミャンマーの政治家ホリーからの呼び出しに応じたアラタは、彼女の不機嫌な態度に振り回された。短い滞在時間の中での言い争いは、アラタに疲労感を与えたが、帰路での反省も含め、彼の成長に繋がる経験となった。
ジブリールとの和解と愛情
キャンプに戻ると、ジブリールは再びアラタを責め立てたが、結局は甘えるような態度に戻った。アラタは彼女を宥めつつ、自身の父親としての役割を改めて実感した。子供たちとの交流を通じ、戦争の中でも見出せる幸せを感じるのであった。
第2章 秘密の交渉
情報端末の通信と携帯電話の謎
アラタはテントに戻る途中で、部下のメーリムから携帯電話がヘリから投下されたという奇妙な報告を受けた。確認のため現場へ向かい、携帯電話を慎重に調査することにした。携帯は爆弾ではなく、中国軍からの連絡用と思われたが、意図は不明であった。
子供たちと新型装備の試験
ケイマン商人から購入した非殺傷兵器であるレーザーライフルと音響兵器をテストするため、アラタは部下たちに試射を指示した。レーザーライフルは目に見えない光線で視力を奪うもので、非殺傷ながらも敵の行動を妨げる可能性が高いと判断された。一方、ジニとジブリールはそれぞれの方法でアラタへの感謝や不満を表現し、個性豊かな一面を見せた。
ホリーの家への襲撃と報復
ミャンマーの政治家ホリーの家が襲撃され、アラタとグエンは即座に救出作戦を開始した。敵を撃退しつつ、ホリーを無事保護したが、その背後には政権内部の敵意が見え隠れしていた。アラタは襲撃者への報復として中国製の武器を利用し、現場に偽装証拠を残すことで政治的な反撃を準備した。
ジニとジブリールの感情の揺れ
帰還後、ジブリールはアラタに対する独特な愛情を、ジニはアラタを励ます穏やかな優しさを示した。ジブリールの不器用な感情表現とジニの成熟した態度が対比され、アラタは父親としてそれぞれにどう接するべきかを考えさせられた。
中国軍の動きと非殺傷兵器の導入
中国軍が密林での伐採を進める中、アラタは新たに導入した非殺傷兵器を活用し、敵との接触を避けながらも対抗手段を模索した。子供たちの安全を最優先にしつつ、戦争が続く中での収益確保や将来の展望について頭を悩ませていた。
子供たちとの絆と日常の温もり
アラタは日々の混乱の中でも、ジニやジブリールを含む子供たちとの交流から心の安らぎを得ていた。戦争と経営の狭間で葛藤しつつも、子供たちの未来を守るためにできる限りの努力を続ける姿が描かれている。
第3章 非殺傷兵器の戦場
特殊部隊の結成と作戦準備
アラタは特別チームを結成し、土木建築を妨害する作戦を立案した。中心となるのはイブンとジニが率いる戦術単位であり、八個の戦術単位がバックアップとして配置された。迅速な行動を優先し、訓練時間を削減した。敵の大規模な工事開始を阻止する目的で、夜明け前から移動を開始し、攻撃開始は15時ごろを予定していた。
作戦の開始と戦況
アラタ率いる部隊は、敵作業員の宿泊状況や人数を確認した後、非殺傷兵器を用いた攻撃を開始した。レーザーライフルの効果が限定的であることが判明し、音響兵器を投入したが、敵の装甲車からの機関銃攻撃を受けて一時撤退を余儀なくされた。非殺傷兵器の実用性が低いことが露呈し、作戦の進行は困難を伴った。
通信と警告
アラタは敵の警告対応や反応を確認するため、新的氏に連絡を取り、作戦の正当性を示す形で交渉を行った。ジニやイブンからの報告を受けつつ、現地状況の管理と敵の動向を注視した。最終的に敵が撤退を開始し、部隊は地雷の設置を完了した。
ネット上での情報戦
アラタはFacebookなどのSNSを活用し、敵軍の非正当性を広める情報戦を展開した。しかしながら、反応は限定的であり、さらに効果的な情報発信の必要性を感じた。中国軍の主張に反論しつつ、動画編集や情報操作の改善点を模索する場面も見られた。
ホリーとの衝突と仲間との関係
アラタはホリーとの口論を続ける中で、彼女の失踪が部隊内に波紋を呼んだ。ジニやイブンをはじめとする仲間たちの協力によりホリーを発見し、再び対話が行われたが、関係改善には至らなかった。ホリーに対する接し方について自問自答するアラタの姿が描かれた。
新的氏との交渉と提案
アラタは新的氏との再交渉に臨み、北朝鮮への支援を前提とした新たな任務提案を受けた。報酬は高額であり、アラタは部隊の将来を見据えた判断を迫られた。信頼性と報酬のバランスを考慮しつつ、契約内容について慎重に検討する姿が描かれた。
ホリーへの対応の再考
アラタはホリーとの関係を改善するために、これまでの態度や行動を見直した。彼女を子供たちと同様に扱うべきか、自分の行動に非があったのかを熟考し、今後の対応策を模索する姿が描かれた。
第4章 決定的敗北
寒い夢と出稼ぎの決意
出稼ぎを決意した夜、アラタは寒い雪の中で暴れる夢を見た。夢から覚めると寝汗をかいており、簡単に体を拭いて気持ちを整えた。出稼ぎに行くこと自体は前向きであったが、ホリーから逃げるように思えることが心残りであった。朝の散歩中、子供たちの視線が冷たく感じられ、自分の立場を再認識させられた。
ジニとの会話
散歩の途中でアラタはジニと出会い、彼女が健康であることに安心した。ジニとの会話で、アラタは少女兵たちに対して性別や年齢に応じた配慮が欠けていることを痛感した。「優しさ」とは何かを問われ、愛や理解がその本質であると諭されたアラタは、その答えに納得しかねつつも、ジニとの距離を縮めることを意識した。
オマルとの相談と指摘
朝食中、アラタはオマルと会話し、ジブリールや子供たちに対する厳しい態度が部隊内で問題視されていることを知った。オマルからは、ホリーを部隊の「母親」のような存在として立場を与えるべきだとの提案を受けた。また、戦闘用ライフルの性能や選定基準について厳しい指摘を受け、アラタは反省しつつも部隊運営の課題を改めて考えた。
出稼ぎの断念と説得
アラタは単身での出稼ぎを決意したが、オマルや子供たちの強い反対に遭う。彼らの言葉に耳を傾け、部隊の存続が自身の存在に依存していることを再認識し、最終的に出稼ぎ計画を断念した。その後、新的氏への連絡を入れ、提案を丁寧に断ったが、その対応に相手は不満を示した。
電子戦の攻撃と敗北の自覚
突如、アラタの部隊指揮システムが機能停止し、電波妨害や情報操作が行われていることが判明した。中国軍による電子戦の結果、アラタは部隊の指揮が完全に奪われた状態に陥った。戦闘爆撃機が上空を飛び交う中、敵の優位性と自らの敗北を痛感し、無益な戦闘を避けるため降伏を決断した。
ホリーとジブリールの役割
アラタはホリーに部隊内で女性特有の問題に対処する役割を依頼した。一方で、ジブリールは自身も同行したいと願い出たが、アラタはその提案に迷いを見せた。ホリーの説得もあり、ジブリールを連れて行く可能性を考慮しながら、旅の準備を進めた。
資金と未来への準備
提供された資金を受け取り、アラタは部隊の未来のためにその使い道を計画した。教育費や学費の確保を優先し、子供たちにより良い環境を提供する意志を固めた。また、部隊運営の引き継ぎを進めつつ、出稼ぎ先での安全と成功を祈る中で、未来への希望と責任を抱えて旅立ちの準備を整えた。
第5章 中国へ
シベリア行きの準備と移動計画
アラタはシベリア国への移動に際し、中国経由で向かう必要があった。そのためタイ、ラオス、ベトナムを経由する陸路を選択した。移動中、残務処理を進めることを考え、前向きな気持ちを抱いたものの、最終的に待ち受ける裁判や処刑の可能性も頭をよぎった。同行者であるジブリールが頑固な態度を崩さず、移動への意欲を示す姿に、アラタは葛藤を抱えた。
ジブリールとの押し問答と親密な関係
アラタはジブリールを危険から守るため同行を拒むが、ジブリールは涙を浮かべつつ説得を試みた。彼女の固い意志にアラタも折れ、「勉強を条件に連れて行く」という提案を口にするが、それが建前であるとジブリールに見抜かれた。最終的にアラタは彼女を同行させることを決断した。
道中の葛藤と人間関係の模索
移動は過酷で、タイからラオス、ラオスからベトナムへと進んだ。長時間のバス移動中、アラタはジブリールとの静かな時間を過ごしつつ、彼女との関係や、自分の行動に対する疑問を抱えた。道中、ジブリールのわがままや涙に悩まされながらも、その存在を守ろうとするアラタの一面が見られた。
中国到着と新たな出会い
中国に到着したアラタは、ロシア人のパウローと合流した。彼の独特な言動や風貌に戸惑いながらも、案内を受ける形で行動を共にすることになった。パウローの案内で訪れた学校では、農民工の子供たちが教育を受ける姿を目にし、その過酷な環境にアラタは驚きを隠せなかった。
学校の破壊と新たな課題
地方政府による嫌がらせで学校が破壊される様子を目撃したアラタは、その状況に深い憤りを感じた。一方で、既に新しい校舎の準備が整っている事実に複雑な感情を抱きつつも、現地の子供たちを助けるための具体的な行動を模索し始めた。
新たな戦いへの決意
アラタは過去の経験や傭兵としての知識を活かし、農民工の子供たちを守るための作戦を立案する決意を固めた。パウローの協力を得ながら、情報収集や物資の調達を進めつつ、戦略的な行動を取る姿勢を見せた。
宿泊施設でのジブリールとのやり取り
宿泊先では、ジブリールとの同室を避けたいと考えたアラタであったが、周囲の治安を考慮して共に過ごすことにした。この決断に対しジブリールは動揺を見せたが、最終的にはアラタの保護を受け入れる様子が描かれていた。
第6章 小さな戦い
戦争終結の方法と計画
アラタは戦争を終わらせるため、中国の規模を利用した計画を立てた。農民工に対し温情的な人物を出世させるべく、都市計画責任者より席次が下の人材を選出する案を考えた。過剰な武力行使を避け、子供のいたずらのような手段で対象を失脚させる案を提示したが、慎重な対応が求められることを認識した。
ジブリールとの交流とアラタの内面
アラタは考え事をしている最中、ジブリールのシャワーを意識してしまい戸惑いを覚えた。彼女が濡れた髪で現れた際、風呂やホリーの話題が挙がり、ジブリールとの親密なやり取りが描かれた。アラタは彼女の態度や行動に振り回されつつも、手を取り、頭を撫でることで彼女を安心させた。
戦略的な準備と中国の事情
アラタは農民工の子供たちを助けるための手紙作戦を考案した。学校存続を求める手紙を全校生徒に書かせ、それを中央政府や地方当局に送ることで、状況改善の足がかりにしようと試みた。一方で、レーザーポインターや防犯ベルを武器として準備し、住民保護のための具体策を練り始めた。
学校破壊と計画の頓挫
農民工の子供たちが通う学校が再び破壊される事件が発生した。アラタは壊された学校の風景を記録し、住民を避難させる方針を固めた。しかし、事態は予想外の方向に進み、住民保護と中国政府の都合を両立させる対応を進める必要性を感じた。
シベリアの試験と真相の発覚
アラタは状況が不自然に進むことに気づき、手紙爆弾が許可された経緯やタイミングからシベリア側の作為を疑った。最終的に、この出来事がアラタの行動力や判断力を試すためのテストであったと判明した。アラタは冷静に対応し、状況を掌握するに至った。
戦闘と新たな信頼関係の構築
アラタはパウローとの駆け引きやジブリールとの協力を通じて戦闘を収束させた。最小限の被害で敵味方双方に影響を与えたことで、アラタは自身の行動が評価されると確信した。ジブリールの献身的なサポートに感謝しつつ、今後の戦いに備える姿が描かれた。
第7章 笑顔
ホテル生活とシベリア共和国の情報
アラタは新たなホテルに移動したが、小規模で壁が薄く、教育に悪い環境であった。そのため、ジブリールとは部屋を分けたものの、彼女はほとんどの時間をアラタの部屋で過ごしていた。勉強の教材がないため、アラタが読んでいたシベリア共和国に関する資料をジブリールにも読ませた。シベリア共和国はロシアの一部と見なされており、国連では独立国としての席を持ちながらも、実質的にはロシアと同一視される存在であった。アラタは今後、同国の軍学校で学ぶ予定であった。
ニュースの扱いとテスト後の感想
テストが予想より早く終了したことで、アラタは次の目的地への準備が整うまで別のホテルで待機することになった。小学校や住民保護に関する件がほとんど英語版のニュースで取り上げられておらず、美談として注目されるには至らなかったことに疑問を抱いた。しかし、アラタは善行を積むこと自体に満足感を得ており、その後の対応を考え続けた。
廃墟の学校と子供たちの姿
パウローの案内で廃墟の中にある新しい校舎を訪れた。中から聞こえてくる子供たちの歌声にアラタは安堵し、子供たちが元気に過ごしている様子を確認した。パウローによれば、最終的に問題は収束し、学校の再建も進められているとのことであった。
移動中の会話とアラタの内面
車で移動中、アラタはジブリールやパウローとの会話を通じて、善行や宗教観について議論を交わした。ジブリールはアラタを「極悪人ではない」と擁護し、信頼を示した。一方、アラタは自分の行動が他人にどのように映るかを考えつつも、特に感謝を求めることなく次の行動に備えていた。
シベリア共和国への旅路
シベリア共和国へ向かう方法についてアラタは車移動の可能性を検討し、その長い道のりに思いを馳せた。ジブリールとのやりとりや彼女の成長を感じつつ、アラタは新たな挑戦に向けて意識を切り替えていった。
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