どんな本?
『モブから始まる探索英雄譚』は、平凡な高校生・高木海斗が異世界のダンジョン探索に巻き込まれ、成長していく姿を描くライトノベルシリーズである。第11巻では、海斗と仲間たちが新たなダンジョンに挑み、未知の試練や敵と対峙しながら、絆を深めていく物語が展開される。
主要キャラクター
• 高木海斗:平凡な高校生だったが、異世界のダンジョン探索に関わることで成長していく主人公。
• 葛城春香:海斗のクラスメイトであり、優しく面倒見の良い性格。
• シルフィー:カードから召喚されたヴァルキリーで、海斗たちをサポートする存在。
• ルシェリア:俺様気質の小悪魔的存在でありながら、頼りになる冒険者。
物語の特徴
本作は、平凡な主人公が異世界でのダンジョン探索を通じて成長する姿を描く。個性豊かなキャラクターたちとの掛け合いや、予測不能な展開が読者を魅了する。また、2024年7月にはテレビアニメ化もされ、さらに注目を集めている。
出版情報
• 出版社:ホビージャパン(HJ文庫)
• 発売日:2025年3月15日(予定)
• メディア展開:2024年7月よりテレビアニメが放送された。
読んだ本のタイトル
モブから始まる探索英雄譚11
著者:海翔 氏
イラスト:あるみっく 氏
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あらすじ・内容
ティターニアと、快復したヒカリンを加えたパーティの実力は!?
快復したヒカリンと新サーバント・ティターニアを加えて絶好調な海斗たち一行は、絶好調なダンジョン攻略生活を進めていた。個人的に手伝っていた初心者冒険者の後輩・野村さんも2階層で戦えるまでに成長して独り立ちをさせることが出来たし、いち段落ということで大学受験や春香とのデートにいそしむ海斗だったが、ある日野村さんがダンジョンから帰ってきていないという知らせを受ける。探しに行った海斗は、転移トラップで深層へと飛ばされサーバントとも引き離され――!?
主な出来事
- プロローグ
- 家族の食卓が豪華になり、冬弥や一花が喜ぶ。
- クリスマスに向け、チキンやケーキの準備を進める。
- 海斗先輩の支援により、ダンジョン探索の収入が安定。
- 新しいパーティを探しつつ、自立を目指す決意を固める。
- 第一章
- 野村と共にダンジョンの三階層へ進む。
- ワイルドボアとの初戦闘で野村が動揺し、ベルリアが助ける。
- 炎攻撃を見たことで焦りが増し、判断ミスを重ねる。
- 一晩考えた結果、冷静さを取り戻し、戦闘技術が向上。
- 新たなパーティ候補が見つかり、女性パーティに興味を持つ。
- 海斗の十八歳の誕生日を春香が計画し、特別なカフェやラベンダー畑で祝う。
- 手料理をふるまわれ、耐久性の高い腕時計をプレゼントされる。
- 第二章
- ヒカリンが探索に復帰するため、魔核を集める。
- 十七階層で地竜と戦い、アースウェイブの効果を確認。
- 十八階層でスケルトンナイトやゾンビトロールと戦う。
- ヴァンパイアと交戦し、あいりのアイアンボールが決定打となる。
- キョンシーとの戦闘では、お札の効果が有効であることが判明。
- 探索者の被害が増えているという噂が広まり、警戒を強める。
- 第三章
- 魔核の消費が増え、スライム狩りを続ける。
- 探索者の壊滅事件が頻発し、原因不明のまま噂が広がる。
- スペクターとの戦闘で聖水の効果を確認し、疑似聖水の作成を決意。
- キョンシーやデュラハンとの戦闘を経て、戦術を見直す。
- 対アンデッド用の聖水の効果を試しながら、探索者キラーの噂を調査。
- 第四章
- 十八階層でスペクターと戦い、聖水の効果を検証。
- 市販の聖水が高価であることを知り、商業化の可能性を考える。
- バンシーとの戦闘で死神が召喚され、強敵と対峙する。
- 「炎撃の流星陣」により敵を撃退し、バンシーの透明化対策を検討。
- 受験勉強を始め、春香との勉強会を計画する。
- 第五章
- 野村理香子が行方不明になり、捜索を開始。
- 隠しダンジョンに転送され、未知のエリアを探索する。
- 三つの頭を持つ巨大ヤギ型モンスターと戦う。
- 野村たちを発見し、無事に救出する。
- 帰還を目指し、慎重に進む。
- 第六章
- 野村たちを守りながら、強敵と戦闘を繰り広げる。
- 上半身が女性、下半身が蛇のモンスター「ラミア」と戦う。
- ラミアの精神干渉スキルで隼人が影響を受ける。
- 野村がラミアの目を射抜き、攻撃のチャンスを作る。
- 最後の一撃でラミアを討伐し、ダンジョンから脱出。
- ボスドロップの魔槍を獲得し、探索者としての成長を実感する。
感想
1. 新たなサーバントの登場と成長
本巻では、新たなサーバントであるティターニアが本格的に活躍し始めた。彼女はまだパーティに馴染めていない様子だったが、戦闘を重ねることで徐々に協力関係が築かれていく。その過程が丁寧に描かれ、読者としても彼女の成長を実感できる構成となっていた。また、ヒカリンの復帰によって、これまでとは違う戦術の変化が見られたのも興味深い点である。
2. 後輩・野村の成長と試練
野村理香子がメインのエピソードに関わることで、新たな視点が加わった。彼女は未熟ながらも探索者としての道を進もうとしており、その成長が物語に奥行きを与えていた。特に、ダンジョン内での遭難や戦闘の恐怖と向き合う姿が印象的である。彼女の奮闘が、今後どのように影響を与えるのか楽しみである。
3. 主人公と隼人の新たな挑戦
これまでの巻では、海斗は強力なサーバントと共に戦うことが多かったが、今回はその支援なしで級友の隼人と共にダンジョンを攻略することになった。この展開により、彼自身の戦闘能力や判断力が試される場面が増えた。戦闘では、仲間と連携を取りながらも、未知の強敵に苦戦する姿が描かれており、スリリングな展開が続いた。
4. 探索者としての現実と成長
探索者という職業の厳しさが、よりリアルに描かれていた。特に、ダンジョン内での遭難や、探索者キラーの噂など、不測の事態が常に付きまとうことが強調されていた。このような要素が加わることで、単なるバトルものではなく、サバイバル的な側面も楽しめる内容となっていた。
5. 次巻への期待
本巻は、野村の失踪やダンジョンでの苦闘といった緊張感のある展開が多かったが、次巻では通常の探索へと戻るようである。これまでの経験を活かし、海斗たちがどのような成長を遂げるのかが楽しみである。また、サーバントたちとの関係や、新たな戦術の進展にも注目したい。
本巻も緊張感のある展開が続き、読み応えのある内容であった。戦闘、成長、仲間との関係がバランスよく描かれており、次巻への期待が高まる作品である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
プロローグ
夕食の変化と家族の会話
家の食卓は以前とは異なり、毎晩豪華な料理が並ぶようになっていた。冬弥と一花は、連日の肉料理に驚きながらも喜んでいた。姉として彼らにしっかり食べさせたいという思いが強くなり、クリスマスにはチキンや苺のケーキ、さらにはプレゼントまで用意することを目標にしていた。
探索活動と収入の増加
海斗先輩のサポートによって、ダンジョンでの収益が向上していた。探索の回数が増えたことに加え、彼の厚意で魔核を譲ってもらえるようになり、収入が安定してきた。その結果、食卓の充実度も向上し、家族の生活が少しずつ良くなっていった。
海斗先輩の意外な人物像
海斗先輩は、まるでラノベの主人公のような恵まれた環境にいるかと思われたが、実際には想像とは異なり、誠実で親身な人物であった。探索者としては圧倒的な実力を持ち、彼女に対しても惜しみないサポートを提供していた。ボウガンまで無償で貸し出すほど気前が良く、見返りを求める様子もなかった。その姿勢に感謝しながらも、自立の必要性を強く感じていた。
目標と決意
彼の支援がいつまでも続くわけではないと理解し、自立を目指して努力を続ける決意を固めた。海斗先輩は新しいパーティまで探してくれ、順調にいけば月に十万円の収入も夢ではなかった。それが実現すれば、母親の負担も軽減できる。そんな思いを抱えながら、家族のためにさらなる努力を誓い、次の目標として霜降り和牛を食卓に並べることを決めた。
第一章 十八歳
ダンジョン探索の開始
朝から野村とともにダンジョンへ潜り、順調に進んで三階層へ到達した。三階層では敵の数が増え、獣系のモンスターが主に出現するため、慎重な行動が求められた。海斗は事前に戦い方の注意点を説明し、野村はそれを理解した上で階段を下っていった。
初めての三階層戦闘
三階層に入ると、すぐにワイルドボア二体と遭遇した。野村はその大きさに驚きつつも、ボウガンで攻撃を試みた。しかし、矢が命中したものの急所を外し、ワイルドボアは突進を続けた。間一髪のところでベルリアが対応し、野村は命を救われた。初戦は無事終えたものの、野村の判断と動きには改善の余地があった。
続く戦闘と試練
その後も探索を続け、新たなモンスターと交戦した。野村は次第に焦りを見せ、ワイルドボアへの攻撃が不安定になっていった。さらに、ルシェリアのスキルによる炎の攻撃を目の当たりにしたことで動揺し、次の戦闘では敵の突進を回避できず、再びベルリアに助けられた。プレッシャーと経験不足が原因で判断が鈍っていた。
翌日の変化
翌朝、野村の表情は前日とは違い、明るさが戻っていた。一晩考えた結果、自身の弱さを乗り越える決意を固めたようだった。再びダンジョンに入り、ワイルドボアとの戦闘に挑むと、今度は冷静に攻撃し、回避もうまく成功させた。精神的な成長により、動きが改善されていた。
戦闘技術の向上とレベルアップ
その後の戦闘でも野村は安定した動きを見せ、三階層のモンスターを次々と倒していった。そして、ついに目標であったレベル7に到達した。海斗のサポートを受けながらも、彼女自身の努力が実を結んだ形であった。
新たな旅立ち
ギルドの紹介により、野村には新たなパーティの候補が二つ提示された。彼女は慎重に選ぶつもりであったが、女性のみのパーティに魅力を感じているようだった。海斗の手助けがなければ、彼女は今も一階層に留まっていたかもしれない。野村は海斗に深く感謝し、探索者として新たな道を進む決意を固めた。
誕生日と春香の計画
海斗の十八歳の誕生日が訪れた。春香はこの特別な日に向け、入念な準備を進めていた。待ち合わせ場所に現れた春香は、普段とは異なるピンクのワンピースを纏い、特別なカフェへと海斗を案内した。
特別なカフェでの時間
訪れたカフェは、店内中央に巨大な水槽を設置した水族館のような空間であった。海斗はその美しさに感動し、春香の気遣いに深く感謝した。二人はホットサンドを注文し、会話を楽しみながら、優雅な時間を過ごした。
ラベンダー畑での散策
次に訪れたのは、一面に広がるラベンダー畑だった。初めて見る本物のラベンダーに、海斗は新鮮な感動を覚えた。春香は、自然の美しさを共有しながら、夏にはひまわり畑を訪れることを提案した。二人はそこで新たな約束を交わし、さらに関係を深めた。
春香の手料理と誕生日の祝福
夕方、春香の家を訪れ、彼女の手料理で誕生日を祝った。サーモンのカルパッチョやチキンのクリーム煮が並び、春香の母も温かく迎えてくれた。会話の中で、探索者としての無事を願う言葉が交わされ、海斗は自らの責任を再認識した。
誕生日プレゼントと未来への期待
最後に、春香からの誕生日プレゼントとして、ダンジョン探索用の耐久性の高い腕時計を受け取った。海斗はその心遣いに感謝し、大切に使うことを誓った。誕生日ケーキも手作りで、味も絶品であった。こうして、海斗の十八歳の誕生日は、今までで最も幸せな一日となった。
第二章 ヒカリンの復帰
魔核収集と十八階層への準備
ヒカリンのリハビリが順調に進み、探索へ復帰する準備が整った。海斗は次の探索に備え、一階層で魔核を集めることにした。十七階層でも苦戦したため、十八階層ではさらに慎重な準備が必要と考えていた。特にティターニアの活躍を期待していたが、魔核の消費が増えることは避けられない。ルシェやベルリアは魔核の節約に難色を示したが、スライム狩りの重要性は変わらなかった。ティターニアはまだパーティに馴染めておらず、海斗は彼女の趣味や好みを探るも、会話は広がらなかった。しかし、彼女が魔核を好むことが判明し、仲良くなる手段として魔核の提供を決意した。
ヒカリンの復帰と十七階層での戦闘
ヒカリンの体調は以前よりも良く、ティターニアの『ユグドラシル』による回復効果が大きかった。久々の探索で、まずは十七階層へ向かうことが決定された。十七階層は下級ドラゴンが主な敵であり、ヒカリンは無理せず後方から支援することとなった。探索中、ヒカリンのスキル『アースウェイブ』が地竜に有効であることが確認され、戦闘は順調に進んだ。地竜との戦闘を通じ、ヒカリンの魔法の威力が向上していることが判明した。彼女の病気が回復したことで、本来の力を発揮できるようになったのだ。
十八階層での新たな戦闘
十八階層に入ると、スケルトンナイトが出現した。このモンスターはフルアーマーを纏い、剣と魔法を使用する強敵であった。ベルリアとあいりの連携により、スケルトンナイトを撃破したが、その防御力と魔法耐性の高さが課題となった。さらに、アンデッド系のモンスターが多数出現し、ゾンビ化したトロールとも戦うことになった。ヒカリンの『アースウェイブ』で足止めしつつ、ベルリアやあいりの攻撃で撃破に成功したが、敵の耐久力の高さが問題となった。
ヴァンパイアとの遭遇と戦闘
探索を進めるうちに、ヴァンパイアと遭遇した。過去に戦った個体とは異なり、紳士然とした外見を持つが、魔法を駆使する危険な存在だった。海斗は速攻を狙うも、ヴァンパイアの魔法攻撃を受け、危機に陥った。しかし、あいりの『アイアンボール』が決定打となり、ヴァンパイアの動きを封じることに成功した。最終的にシルとルシェのスキルがとどめとなり、ヴァンパイアは消滅した。ヴァンパイアの魔核を回収したが、今回の戦闘では海斗がダメージを負い、ヴァンパイアの強さを再認識することとなった。
キョンシーとの戦闘とお札の効果
次に現れたのは、キョンシーと呼ばれるアンデッドモンスターだった。その独特な動きと異常な耐久力に苦戦したが、あいりが持ち込んだ家内安全のお札が驚くべき効果を発揮し、キョンシーの動きを封じた。海斗はミクの支援を受けながら魔氷剣で四肢を切断し、ようやく倒すことができた。ベルリアも苦戦しながら勝利を収めたが、お札の有用性が改めて認識された。あいりは次回に向け、両面テープを用いてお札を貼ることを提案した。
探索後の学校での噂
週末の探索を終えた海斗は、学校で隼人から最近の探索者の被害について聞かされた。十階層台の探索者が全滅するケースが増えており、原因不明のまま噂が広まっていた。また、海斗が「黒い彗星」として新たな幼女サーバントを連れていたという根も葉もない噂も流れており、彼は困惑した。噂の影響を懸念しつつ、探索の重要性を再確認し、次回の十八階層攻略に備えることとなった。
第三章 探索者キラー
スライム狩りと魔核の必要性
海斗はサーバント四体と魔核を消費する魔剣を所有しており、それに加えて魔核を糧とする魔銃もあった。ランクアップとともに魔核の消費量が増え、放課後のスライム狩りが必要不可欠となっていた。彼はサーバントの維持を主として考え、日々の魔核収集に励んでいた。
探索者パーティ壊滅の噂
最近、探索者パーティが壊滅する事件が多発しているとの噂が流れていた。隼人はこの情報を海斗に伝えたが、ベルリアは特に異常を感じていなかった。一方でシルとティターニアは妙な気配を察知しており、精霊が騒いでいることが判明した。この異変が探索者たちを襲った原因かどうかは不明であったが、警戒を強める必要があると考えられた。
スライム狩りと戦闘技術の評価
スライム退治は順調に進み、海斗のスキルは更に磨かれていた。彼の戦闘技術は仲間から高く評価されていたが、スライムを専門的に狩ることに対する微妙な感情もあった。ミクやベルリアも海斗の技術を認めつつも、スライム狩りの専門性を疑問視する場面があった。
探索者キラーの噂と被害の拡大
野村からの情報によれば、探索者パーティを襲う事件が五階層付近でも発生していることが判明した。隼人の話では十階層以下の被害とされていたが、情報が食い違っており、事件の拡大が懸念された。この探索者キラーの正体については未だ不明であり、警戒を怠れない状況であった。
アンデッド系モンスターとの戦闘
海斗たちは十八階層で幽霊のように透けたスペクターと遭遇した。ミクの『アイスサークル』で氷漬けにする作戦が成功し、あいりの疑似聖水が効果を発揮した。スペクターは聖水により消滅し、聖水の有効性が改めて確認された。また、キョンシーとの戦闘では、お札の種類によって効果に差があることが判明し、商売繁盛の札が意外な効果を示した。
デュラハンとの遭遇と戦闘
首なしの騎士デュラハンとその乗るコシュタバワーの馬車が出現した。ベルリアが剣技で圧倒し、馬車はヒカリンの『アースウェイブ』によって動きを封じられた。デュラハンは高い攻撃力を持つものの、機動力を奪われたことで一方的に攻め込まれ、最終的にベルリアの必殺の一撃で倒された。馬車の破壊により、相手の行動が制限される戦術の有効性が再認識された。
対アンデッド用の聖水の作成
探索を終えた海斗は、対アンデッド用の疑似聖水を自作することを決意した。精製水が手に入らなかったため、水道水と沸かしたお湯を使用し、それぞれに天然塩を加えた。念を込めるという作業に苦戦しつつも、疑似聖水の完成を目指した。効果の測定は次回の探索で試す予定であった。
探索者の壊滅事件の続報
隼人からの情報によれば、探索者パーティの壊滅事件が依然として続いており、ネットワーク上でも大きな話題となっていた。事件の原因は依然として不明であり、特定の階層に限定されていないことが判明した。海斗たちも探索を続ける必要があり、今後の戦闘に備えてより慎重な対応が求められていた。
第四章 スペルは shampoo
十八階層の探索と人工聖水の実験
探索者たちは万全の準備を整え、ダンジョンの十八階層へと挑んだ。探索中、スペクターというモンスターと遭遇し、事前に用意した疑似聖水の効果を試すこととなった。しかし、水道水を用いて作った聖水Aは全く効果を発揮せず、スペクターはそのまま襲いかかってきた。そこで煮沸した水を使用した聖水Bを試したところ、これが劇的な効果を発揮し、スペクターを撃退することに成功した。探索の結果、聖水の効果は水の種類に依存することが明らかになった。
聖水の商業的価値と市場の現実
聖水Bの高い効果を目の当たりにした探索者は、それを大量生産することで莫大な利益を得られるのではないかと考えた。市販の聖水が五十ミリリットルで二万円であることを知り、自作の聖水なら一回の製造で四十万円以上の価値が生まれる計算となった。しかし、仲間からの指摘により、聖水の市場は限られており、無名の探索者が販売するには信頼の問題があることを認識した。結局、聖水の利用は自分たちのパーティ内に留めることにした。
バンシーとの戦闘と死神の召喚
探索を続ける中で、泣き声を発する金髪の女性の姿を発見した。一見すると助けを求めているように見えたが、それはモンスターの罠であった。調査の結果、彼女は死を呼ぶ精霊バンシーであることが判明した。奇襲を仕掛けるも、バンシーは透明化の能力を持っており、探索者たちはその姿を捉えることができなかった。さらに、バンシーは大鎌を持ったスケルトンの死神を召喚し、探索者たちは複数の強敵に囲まれることとなった。
流星陣による戦況の打開
バンシーの姿が見えないままでは戦闘は困難を極めたが、仲間の一人が勘を頼りに攻撃を仕掛けたところ、バンシーの位置を特定することに成功した。そこで、強力な範囲攻撃「炎撃の流星陣」が発動され、バンシーと死神たちは一掃された。この戦闘を経て、バンシーとの戦いでは透明化への対処が不可欠であることが明らかとなった。
日常への回帰と受験勉強の開始
戦闘を終えた探索者は、探索と日常のバランスについて考えるようになった。特に、受験勉強が疎かになっていたことを自覚し、友人とともに勉強に励むことを決意した。その中で、久しぶりに春香を誘い、カフェでのひとときを過ごすこととなった。二人は大学受験について話し合い、共に目指す学校を決定し、勉強会を計画した。
勉強会と日常の変化
勉強会は順調に進み、二人の距離も自然と縮まった。春香の家族も探索者の生活に理解を示し、彼の努力を支える姿勢を見せた。一方で、探索者としての未来と学業の両立について改めて考えさせられる場面もあった。受験という現実的な課題を前にしながらも、探索者としての自分の立場を確立するための道を模索することとなった。
選択の積み重ねと未来への決意
一年間の変化を振り返りながら、探索者は自身の選択が現在の状況を形作っていることを実感した。もし過去に異なる選択をしていたならば、今とは違う人生を歩んでいたかもしれない。しかし、今の生活には満足しており、これからも仲間と共に前進する決意を固めた。受験、探索、仲間との関係――そのすべてを大切にしながら、探索者としての道を歩んでいくのであった。
第五章 失踪
野村理香子の失踪
野村理香子が帰宅せず、学校にも来ていないことが判明した。友人の海枝紀梨花が教室に現れ、高木海斗に助けを求めた。野村は最近、放課後にもダンジョンへ潜るようになっていたが、昨晩から連絡が取れず、家にも帰っていないという。パーティーメンバーとの連絡も途絶えており、心配が募る。海斗は春香との勉強会を延期し、隼人とともに放課後に捜索を開始することを決めた。
ダンジョンへの潜入と特殊能力の発動
隼人とともに四階層へ向かうため、海斗は『ゲートキーパー』を発動し、瞬時に四階層へ転移した。隼人はこの能力に驚き、ダンジョン攻略における圧倒的な優位性を実感する。二人は探索を進めるが野村の姿はなく、五階層へ進んだ可能性を考慮して捜索を継続することにした。
五階層での戦闘と隠しダンジョンへの突入
五階層に到達した二人は、昆虫型モンスターとの戦闘に苦戦しつつも順調に討伐を重ねた。そんな中、海斗はかつてトラップに嵌った隠しダンジョンの存在を思い出し、野村たちがそこにいる可能性を考えた。隼人と相談のうえ、慎重に探索を進め、隠しダンジョンへと足を踏み入れる。
ルシェリアの失敗と未知のエリアへの転送
ダンジョン内部を進んでいた最中、ルシェリアが不用意にトラップを発動させてしまい、海斗と隼人は突如として見知らぬエリアへと転送された。サーバントの召喚も不可能であり、『ゲートキーパー』も機能しない異常事態が発生した。唯一召喚可能なティターニアを呼び出し、三人で未知のフロアを慎重に探索することにした。
強敵との戦闘と危機的状況
探索を続ける中、三つの頭を持つ巨大ヤギ型モンスターと遭遇した。魔法攻撃を駆使する強敵に対し、海斗と隼人は苦戦を強いられるが、ティターニアの援護と隼人の投槍によって討伐に成功した。しかし、このモンスターの強さから、現在地が通常の五階層ではなく、より深い階層である可能性が高まった。
野村理香子の発見と救出
ダンジョンの奥へ進んだ海斗たちは、ついに野村理香子とそのパーティーメンバーを発見した。彼女たちは消耗し、戦闘不能な状態だった。事情を聞くと、探索中に突然転送され、強力なモンスターから逃げ続けていたことが判明した。戦闘を避けながら隠れ続けていたため、なんとか生き延びることができたらしい。海斗は彼女たちを無事に帰還させることを決意し、慎重にダンジョンの出口を目指すことにした。
帰還への道
海斗は野村たちを守るため、戦闘には参加せず後ろについてくるよう指示した。隼人はこの展開に興奮しつつも、野村のパーティーメンバーからの注目を集めることに気を取られていた。未知のエリアからの脱出は困難を極めるが、海斗の冷静な判断と戦術によって、彼らは帰還を目指し前進を開始する。
第六章 闇堕ちな蛇
野村理香子の救出とダンジョン脱出
戦闘準備と遭遇した敵
海斗、隼人、ティターニアが先頭に立ち、野村理香子のパーティーが後方から続いていた。ティターニアの警告により敵モンスターの出現を察知すると、野村たちを待機させ、三人で戦闘に突入した。今回の敵は、大型の角の生えたオオカミが二体。単体でも厄介な敵であるが、二体同時の出現により難易度が上がった。迅速な討伐が求められる状況であり、海斗はティターニアにスキルを指示し、ナイトブリンガーを発動して先制攻撃を仕掛けた。
光のバリアと連携攻撃
戦闘は順調に進んでいたが、敵のオオカミがスキルを発動し、全身が光に包まれた。海斗の斬撃が弾かれ、隼人の遠距離攻撃も無効化される。光のバリアによって防御力が大幅に強化されていることが判明したが、海斗は雷の魔刀を用いて突破を試みた。強引に攻撃を押し込んだことで、オオカミにダメージを与えることには成功したものの、敵の素早い反転攻撃を受け、海斗は弾き飛ばされてしまう。隼人の援護により敵の防御が弱まり、ティターニアの射撃で一体を討伐。海斗も態勢を立て直し、残る一体を煙幕を利用して奇襲し、戦闘を終結させた。
野村理香子たちの驚きと階層の探索
戦闘後、野村理香子は海斗たちの戦闘力に驚きを隠せず、特に海斗の素早い動きに驚嘆していた。彼女たちは「黒い彗星」と呼ばれる海斗の実力について改めて再評価し、興味を抱く。一行は慎重に先へ進んでいくが、道中で複数の戦闘に巻き込まれる。三人の連携が向上し、無傷での勝利を収める場面も増えてきた。しかし、そんな矢先にボス部屋へ続く扉が現れ、ここが通常の階層ではなく、隠しダンジョンであることが確定した。
階層主・ラミアとの戦闘開始
扉の先には無数の蛇が蠢いており、そこに待ち受けていたのは上半身が女性、下半身が大蛇のモンスター「ラミア」であった。彼女は人語を解し、ねっとりとした声で話しかけてきたが、直後に精神干渉のスキルを発動。隼人が影響を受けてしまい、正常な判断ができなくなった。海斗はティターニアに治癒魔法を指示し、隼人の回復を急ぐ。その間にラミアは蛇を操り、海斗に襲いかかったが、彼の防具が効果を発揮し、致命傷を回避。徐々にラミアの能力を分析しつつ、反撃の機会をうかがった。
圧倒的な強敵と決死の攻防
海斗はアサシンの能力を駆使し、ラミアの攻撃を回避しながら戦闘を続けたが、彼女の防御力は圧倒的であり、通常の攻撃では有効打を与えられなかった。隼人の遠距離攻撃もほとんど通用せず、ラミアの猛攻が続く中で海斗は『愚者の一撃』を発動。渾身の攻撃によりラミアの胴体に深い傷を負わせたものの、なおも動き続ける。しかも、戦闘の最中にラミアが脱皮を行い、体力を回復するという絶望的な事態が発生した。
野村理香子の決断と逆転の一撃
戦況が悪化する中、野村理香子が勇敢にも弓を構え、ラミアの右目を射抜いた。これによりラミアの視界が大きく制限され、海斗たちに反撃のチャンスが生まれる。隼人が全力で槍を投擲し、ついにラミアの両目を潰すことに成功。視覚を失ったことで攻撃精度が大幅に低下し、追撃の隙が生まれた。海斗は最後の『愚者の一撃』を発動し、魔氷剣を用いてラミアの胴体を両断。ラミアは執念深く上半身だけで動き続けたが、ティターニアと野村たちの総攻撃によって完全に消滅した。
ダンジョン脱出と報酬
戦闘を終えた一行は、ゲートを発見し脱出を図った。ボスドロップとしてラミアが使用していた魔槍が手に入り、隼人がそれを引き受けることとなる。ゲートを潜った先には仲間たちが待っており、無事に合流を果たした。海斗はシルフィーやルシェリアと再会し、彼女たちの心配をよそに安堵の表情を浮かべた。ダンジョン攻略の経験により海斗はレベル 24 へと成長し、ティターニアも新たなスキルを獲得。強敵との戦いを経て、さらなる成長を遂げることとなった。
同シリーズ











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