どんな本?
イケメン死すべし!モブから始まる、乙女ゲー風異世界ファンタジー!!
異世界転生モノで舞台は剣と魔法のファンタジー世界、浮かび上がった大地。その大地の間を飛ぶ飛行船。そんな幻想的な乙女ゲームの世界。元日本の社会人だったリオンは、女尊男卑な世界に絶望する。この世界では、男なぞは女性を養うだけとの家畜のようなものであった。
例外なのは、ゲームで攻略対象であった王太子率いるイケメン軍団ぐらい。
そんな理不尽な境遇において、リオンはある一つの武器を持っていた。
前世で生意気な妹に無理矢理攻略させられていたこのゲームの知識である。
本当は田舎に引きこもりのんびりとしたいリオンだったが。
第一婦人の策謀の生贄にされたリオンはその知識を使い。
策謀を食い破りモブとして生きて行こうとしたが、、
やりたい放題の女どもとイケメンにキレ。
チートな宇宙船ルクシオンを使って反旗を翻す。
手始めにユリウス達攻略対象が、悪役令嬢アンジェリカを決闘で断罪するシーンに介入して攻略対象を全員倒してアンジェリカの勝利して後始末をレッドグレイブ家に任せたら男爵に陞爵。(1巻)
修学旅行からの帰りにファンオース公国の奇襲を受けてアンジェリカが人質に取られたが、リオンが単騎で公国軍に突撃してアンジェリカを救出し、さらにヘルトルーデ王女を人質に取り。
公国軍を撃退して子爵になり。(2巻)
ファンオース公国の再度の侵略を最高司令官として、王家の船を解放し、公国の切り札の超巨人をオリヴィアの力で撃退。
公国を降伏させ王国の属国にした結果。
伯爵になってしまった。(3巻)
読んだ本のタイトル
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 5(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
「これでリオンにも紋章が現れたら――心が通じたってことだよね?」
密かにリオンを想うノエルは、自身の手の甲に現れた巫女の証に喜んでいた。
だがそんな期待は、リオンの元にやってきた婚約者――アンジェとリビアの二人との、
仲むつまじい光景を目にしてあっけなく崩れ去ってしまう。
失恋の痛みに落ち込むノエル。
そしてリオンが王国へ一時帰国することになり、事態は急激に転がり始める。
その隙をねらい、ストーカー化していたロイクがノエルを脅して誘拐してしまったのだ。
共和国に戻ったリオンはそのことを知り、ノエル奪還へと動くのだが……。
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 5
前巻からのあらすじ
2作目の乙女ゲーの舞台。
アルゼル共和国に留学する転生者のリオン(主人公)とリオンの前世の妹のマリエ。
そのマリエに籠絡された乙女ゲームの攻略キャラの五馬鹿達。
彼等はホルファート王国に居ると教会関係と王国の官僚達に暗殺される危険があるため、半ば島流のように共和国に海外留学させられた。
元々単独で共和国に行くつもりだったリオンだったが。
王家からの命令(ミレーヌのお願い)で、彼等の引率のような立場にされてしまう。
そして、リオンとマリエが把握した第二作目の主人公の候補が双子でどっちらが主人公なのかわからない、、
ルクシオンも元のデータがマリエの証言のみなので確定が出来ない。
そんな主人公候補の片側、ノエルがリオンの世話人として学園から紹介され同じクラスに配置された。
そして、もう1人の世話人のジャンだったが、、
王国からの留学生が目立っていると、共和国を仕切ってる六大貴族のフェーブェル一家の次男。
ピエールが世話人のせいだと因縁を付けてジャンを暴行。
リオンはジャンがピエールによって重傷を負ったと知っただったが、ゲームイベントのためにピエールには手が出せないと手出しを我慢していた。
その償いとして、ジャンが飼っている17歳の老犬のノエルを家に保護して世話する。
だが、ピエールはブラッドを聖樹の力で暴行し、ユリウスには聖樹の誓いを悪用して、リオンの船アインホルンを強奪してしまう。
そこまでされて、リオンがガチでピエールにキレていると判り、リオンのために色々と奔走するマリエ。
そして、リオンはアルゼル共和国のダンジョンを探査して聖樹の苗木を入手。
その苗木を賭けの対象にしてピエールとの一騎打ちを申し込むリオンだったが、、
ピエールが裏から手を回して一騎討ち用の鎧をリオンに売るなと周りに命じていた。
さらに権力をカサに多くの生徒達を決闘場に呼び大観衆の前でリオンを嬲り殺しにするよう準備をしていた。
ダメ押しに、ピエールは手下を決闘直前に屋敷に踏み込ませてカーラとノエル(犬)を誘拐。
そのせいで決闘をするリオンは一切反撃が出来なくなってしまう。
そんなリオンを横目にマリエはカーラを救出に動き、監禁されてる場所を強襲して制圧。
カーラの救出をリオンに報告。
反撃を封じられていた、リオンは素手でピエールが操るアロガンツを転倒させたりと反撃を開始する。
さらに外の港では強奪されたアインホルンが共和国の軍船を相手に大暴れ。
本当はルクシオンがリオンの意図を受けて暴れさせているのだが、外部音声ではピエールの取り巻き達の声で暴動を演出する。
そして、アロガンツから引っ張り出されたピエールはリオンにボコボコに殴られて、決闘場は大歓声に包まれ。
決闘はリオンの勝利となる。
感想
メインストーリー
乙女ゲームの二作目の主人公はノエルだと判明した。
ノエルの双子の妹レリアは転生者でノエルを攻略対象のロイクと付き合わせて、ラスボスのルイーゼの父親、アルベルク・ラウルトを倒して平和にするつもりだった。
それなのに、リオンがピエールに喧嘩を売られたので買って徹底的に潰したせいで、レリアの計画に綻びが出来てしまった。
そのレリアとリオン、マリエの転生者3人のノエルの恋人候補の現状確認会から話が始まる。
結果、乙女ゲーの攻略状況はほぼ破綻していた。
攻略キャラのメインのロイクはノエルのストーカーとなってしまい、ノエルが生理的に無理と言うレベルになってしまう。
ナルシスとは関係は結べておらず、ユーグはルイーゼと婚約話が進んでいる、安パイのエミールはレリアと付き合っており。
最後の1人、セルジュはノエルにでは無くレリアにご執心。
それに頭を抱えてしまう転生者3人。
さらに、マリエは深刻な状況を知っていたがノエルのために言い出せない状態だった。
六大貴族の子弟のピエールとの争いの為に入手した聖樹の苗木。
通称、あとがきのアイドル苗木ちゃん。
苗木ちゃんは自身を回収して保護してくれているリオンを守護騎士と任命。
巫女にはノエルを任命した。
この事実を知ってるのは、たまたま両方に紋章か浮かんだ処に立ち会ったマリエのみ。
ノエルがリオンが守護騎士だったら結ばれると思っており、マリエは残酷な事実を、、
リオンに婚約者が2人いる事を教えられなかった。
ピエールとの騒動でノエルと共に生活をするようになって、マリエはノエルと性格的に相性が良く友人にもなっており、なかなか辛い立場に置かれていた。
だが、夏季休暇を利用して王国から共和国に訪問して来てリオンが婚約者として、アンジェリカとオリヴィアを紹介され、、
ノエルは自身だけが勝手に盛り上がっていたと知り打ちのめされてしまう。
そんなノエルをストーカーのロイクが彼女を手に入れるために暗躍する。
リオンの個人所有のアインホルンに共和国防衛軍は翻弄され、多大な被害を受け。
共和国の貴族達はリオンに恐れを持っており。
その恐怖心を利用してロイクは偶然知ったノエルの手に巫女の紋章が現れてる事を利用して、自身を守護騎士にすれば、リオンに対抗できると六大貴族達を説得。
そして,リオンが国王ローランドに現状説明をするために王国に帰還してる間に、ロイク達六大貴族は軍隊を動員して強引にノエルをマリエ達から奪い去ってしまう。
そして、共和国に長年空席になっていた巫女が現れたと国内に触れ回り。
守護騎士は六大貴族の1つの嫡子のロイクが内定していると噂を流す。
そして、早急にロイクを守護騎士にするためにノエルとロイクの結婚式を行うと国内に告知してしまう。
そんな状態になってリオンは王国から戻って来てすぐにノエルを救出しようとしたが、ノエルが自身が原因で共和国と王国が戦争になってしまうのを危惧してリオンの下に行く事を拒んでしまう。
ノエルから拒絶されてリオンはショックを受けて撤退。
そんなリオンを拒絶したノエルは、ロイクからDVを受けており正常な判断が出来ない状態になっていた。
それをよくわからずリオンは撤退してしまった。
その後、ノエルと面会したレリアは、マリエに首輪を付けられるけど大丈夫そうだと言ったら。
ロイクその行動がバッドエンドの動きになってるとマリエが指摘。
ノエルのためにも早く救出しないといけないと、ノエルに拒絶されて不貞腐れていたリオンを説得して反撃作戦を開始する。
そして、ノエルとロイクの結婚式にリオンは式場にアロガンツで殴り込む。
守護騎士は俺だから巫女のノエルを迎えに来たと言って彼女を式場から攫う。
そして追いかけて来たロイクが操る共和国が誇る六大貴族の機体をナメプで圧倒して共和国の騎士、兵士の心を折る事に成功する。
その後、ロイクは紋なしになってしまい廃嫡。
ノエルはリオンの保護の下、普通の学生として学園に復帰する。
ルクシオンの復讐(悪戯)
今巻のヒロイン、ノエル17歳。
前巻のマスコットで亡くなった老犬ノエルちゃんも17歳。
そこから始まる誤解が素晴らしい。
婚約者のアンジェリカ、オリヴィア達に送っていたメールで、前巻に老犬ノエルちゃんを世話して愛でてる文書を書いていたから尚のこと質が悪くなってる 。
その世話して愛でてるのを首輪をされてしまったノエル(人間)とアンジェリカ達は勘違い。
いや、ルクシオンとクレアーデがそうなるように誘導していた。
5巻の冒頭でもルクシオンが「浮気中なう」とログを残しており、それをハッキングしたクレアーデが2人に報告から仕込みは始まっていた。
そして、最後の方で首輪の鎖を切れるとルクシオンが言ってすぐに外そうとリオンとノエルが準備をしていたら、ルクシオンが道具を忘れてたと部屋から退場。
そこにアンジェリカ、オリヴィアが部屋に入って来て、鎖を持ってるリオン。
その鎖に繋がった首輪をしたノエル。
以前、リオンからのメールで「17歳のメス犬ノエル」を世話していると知っていた2人は、、
17歳のメス犬ノエルと人間の女性ノエルを同一視してしまう。
それがルクシオンの罠とは知らずに、、、
さらに家政婦の2人にも弁護士してもらおうとしたらカイルの母親のユメリアが、天然な発言で燃料ならぬ爆弾を投げ込んでしまう。
「俺を謀ったな、ルクシオン!!」に爆笑w
最大の見せ場、五馬鹿の成長
数度のマリエが苦労して集めた金を何回も使い込み。
王国に一時帰還するリオンから貰った虎の子の資金も勝手に持ち出して半分使い込み。
夏休みに全く家事を手伝わないダメンズな五馬鹿にマリエがキレた。
屋敷から追い出して稼いで来いと言う。そしたら五馬鹿は1番稼いだ奴が勝ちだと言ってバラバラに分かれて行く。
その結果、、、
1番マトモだったのが王子ユリウス。
屋台の串焼き屋のオヤジに拾われて、苦労しながら串焼きを売るバイトをする。
そしてマリエに現金を献上。
コレがマリエが1番求めていた結果だった。
ジルクは自称美術商。
天才的な鑑定眼を持ち多くの好事家達を唸らせる美術商となったが、、
稼いだ金をマリエへのプレゼントに美術品を買い込み所持金は0。
ブラッドは自称マジシャンとなったが、、
失敗ばかりしており、本人は真面目にマジックをしているが皆んなを笑顔にしていると大人気となり。
稼いでいたのにプレゼントを買って所持金は0。
クリスは多分風呂屋で働いて。
フンドシとハッピ、ねじり鉢巻を装備して、全ての稼ぎを神輿と人手に使って所持金は0。
グレッグは、、、ボディービルダー?(ブーメランパンツ装備)。
どうやって稼いだかは不明で全ての稼ぎは筋肉にしてしまったようで所持金は0。
ユリウス以外は更にアホがパワーUPして素晴らしい事になってしまった。
特にグレッグとクリスは、、
一皮剥けた。
いや、普通の服を着なくなった。
次巻へ続く
最後までお読み頂きありがとうございます。
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最後までお読み頂きありがとうございます。
アニメ
OP
サイレントマイノリティー(伊東歌詞太郎)ED
selfish(安月名莉子)同シリーズ
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です シリーズ
同著者の作品
俺は星間国家の悪徳領主! シリーズ
セブンスシリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ
八月が迫っていた頃、リオン・フォウ・バルトファルトはアルゼル共和国での留学生活を送っていた。彼は学院の教室で、夕方の美しい風景を眺めながら補習の終わりに安堵していた。他の留学生たち、マリエ・フォウ・ラーファンやカーラ・フォウ・ウェインも同じ教室におり、夏期休暇を楽しみにしていたが、マリエは五人の面倒を見なければならないことに対して憂鬱な気分であった。
ユリウス・ラファ・ホルファートやジルク・フィア・マーモリア、グレッグ・フォウ・セバーグ、クリス・フィア・アークライト、ブラッド・フォウ・フィールドは、それぞれ夏期休暇の過ごし方について楽しげに話していたが、マリエはその彼らの面倒を見ることに嫌気が差していた。
リオンはノエル・ベルトレと共に買い物に出かけることになり、ノエルがマリエの家で世話になっていることから、マリエとの親しい関係が育まれていた。リオンはまた、聖樹の守護者として認められた証である「守護者の紋章」を持っており、彼の右手にはその印があった。
一方で、ノエルの恋愛事情は複雑で、彼女の攻略対象となる男子たちはほとんどが不適当な状態であった。リオンは、ノエルがこの二作目の主人公であることに気づき、彼女の将来を心配しつつも、彼自身が彼女の守護者として選ばれた状況に戸惑っていた。結局、リオンはノエルと共に教室を出て、買い物へと向かったが、彼の心中には今後の問題が残っていた。
夜、リオンとノエルは買い物を終えてオープンテラスのあるレストランで食事をしていた。リオンは不慣れな料理に苦戦していたが、ノエルが手際よく助けてくれ、二人は楽しい時間を過ごしていた。リオンは賠償金を得たことで少し贅沢をしていたが、ノエルはそれを心配していた。
会話の中で、リオンがティーセットやお土産を買い集めていたことが話題になり、ノエルはリオンの趣味に驚きつつも理解を示していた。リオンは酒を飲まない理由を話し、ノエルはそれを微笑ましく感じていたが、彼女は何かを思い出して少し悲しそうな表情を見せた。
突然、ノエルの妹レリアが現れ、気まずい雰囲気が漂った。レリアはノエルに対して冷たく振る舞い、何か重要な話があると言って去っていった。ノエルはその出来事に落ち込み、リオンは彼女を気遣いながら、二人で食事を終えて帰ることにした。
リオンは屋敷に戻り、マリエと共に食堂で今後の計画について話していた。時間はすでに23時を過ぎていたが、レリアがまだ戻っておらず、リオンは苛立っていた。マリエはレリアがデートを楽しんでいるのだろうと推測し、気にしていなかった。リオンとマリエは言い合いを続けているうちに、ルクシオンがレリアが到着したことを知らせてきた。エミールがレリアを送ってきたことを確認し、レリアが席に着くと、話が本題に入った。
リオンとマリエはレリアに対して、今の状況は彼女の責任であると指摘した。レリアは自分なりに努力してきたことを主張し、ロイクとの関係について弁明したが、ノエルがロイクに嫌悪感を抱いている現状では、恋人関係に進展するのは難しかった。リオンはノエルの他の恋人候補たちの状況を調査し、全員が候補から外れていることをレリアに伝えた。
ルクシオンはさらに、ノエルの恋人候補であるセルジュの行方が分からないこと、そしてナルシスが学院を去る可能性が高いことなどを報告した。レリアはセルジュに近づいたが、ノエルもセルジュもお互いに興味を持っておらず、彼女の計画は失敗に終わった。レリアはリオンとマリエから叱責を受けつつ、自分のミスを認めた。
その後、ルクシオンが緊急事態を知らせてきた。王国からアンジェリカとオリヴィアが急速に接近しているとのことで、緊急事態が発生している可能性が高かった。リオンは驚きながらも、翌朝には彼女たちが到着するという情報を受け、次の展開に備えることになった。
第 01話 「浮気中なう!」
夏期休暇前、アルゼル共和国で騒ぎが起き、ホルファート王国ではその状況が不明だった。そのため、リオンを心配したアンジェリカとオリヴィアの二人は、リオンの浮気を疑い、夏期休暇を利用して共和国へ向かった。アンジェリカは強い意志を持つ公爵令嬢で、オリヴィアは平民出身ながら学園に特別入学した女子であった。
二人は共和国の警備艇の臨検を待ちながら、リオンの浮気について話し合った。アンジェリカはリオンの浮気に怒りつつも、許す意向であり、オリヴィアはリオンが浮気することを信じられないと主張した。二人は生まれ育った環境が違うため、考え方にも違いがあった。
クレアーレが臨検を回避した警備艇を確認し、二人は共和国に無事に入国することができた。アンジェリカは、リオンが本当に浮気しているのかを調べるため、前もってリオンに知らせないことを選んだ。彼女はリオンが浮気していないか、また浮気相手が権力を持つ者でないかを心配していた。そして、最も気にしていたのは、浮気相手がマリエでないことを願っていた。リオンが彼女を裏切らないことを心から望んでいたのであった。
リオンは共和国の港へ到着し、予定より少し遅れて入港した飛行船を迎えた。港では、軍人たちが緊張した様子で対応し、群衆の注目は白い飛行船リコルヌに集中していた。リオンはルクシオンに話しかけたが、彼はクレアーレが無許可で二番艦を建造したことに怒りを感じていた。
リオンはリコルヌから降りてくるアンジェリカとオリヴィアを見つけ、駆け寄って再会を喜んだ。しかし、二人の笑顔にはどこか怖さがあり、リオンは不安を感じ始めた。オリヴィアはリオンに隠し事がないかと問いかけ、アンジェリカも全てを話すように促した。リオンは状況が分からず、どの行動が二人を怒らせたのかを必死に考えた。
思い当たる節は多すぎ、リオンは混乱した。マリエへの生活費援助、ミレーヌやクラリスへの手紙、さらにはディアドリー先輩とのショッピングなど、どれもが怒りの原因になり得た。二人はリオンを追及し、逃げ場を失ったリオンは、彼女たちに引きずられるように港を去っていった。リオンは、なぜ自分がこれほどまでに二人を怒らせたのかを理解できず、困惑していた。
マリエの屋敷では問題が発生していた。夏期休暇に入り、マリエは朝から晩まで五人の世話をしていたが、昼食に用意したスープが無断で食べられてしまった。マリエが食堂に来ると、スープやパン、ハムなどが消えており、使った食器も放置されていた。
マリエが怒って声を上げると、ジルクがやってきて事情を説明した。彼と他の男子たちは、空腹のため勝手に食事を取ったという。マリエは怒りをこらえ、五人に基礎的なルールを教える必要があると感じたが、他の四人はすでに出かけていた。
ジルクが気を利かせてお茶とお菓子を用意していたが、マリエはテーブルに並べられた大量の高級お菓子に驚いた。さらに、ジルクは屋敷内で見つけたお金を分け合って買い物に使ったと説明したが、そのお金はマリエの生活費であり、マリエはショックを受けた。
その後、ノエルが聖樹の苗木を抱えて部屋に現れ、マリエに心配して駆け寄った。マリエはリオンがノエルの気持ちに気づいていないことを悩みつつも、ノエルを屋敷から出そうとした。しかし、ノエルの手の甲に巫女の紋章が浮かび上がり、マリエは混乱した。さらに、リオンが帰宅し、状況はますます複雑になっていった。マリエは全ての問題に限界を感じていた。
ノエルはマリエを部屋に送り届けた後、苗木のケースを持ってリオンに会いに行こうとした。彼女は、リオンに巫女の紋章が現れれば、自分の恋が成就するかもしれないと期待していた。しかし、玄関に到着すると、リオンが二人の女性──アンジェリカとオリヴィア──と親しげに話しているのを見た。
アンジェリカは強い意志を持った女性であり、リオンに近い位置で優しい目を向けていた。一方、オリヴィアは穏やかな印象の女性で、リオンに甘えていた。リオンは彼女たちを自分の婚約者だと紹介したが、ノエルはその事実に大きなショックを受けた。
ノエルは笑顔を作り、明るく挨拶をしたが、心の中では傷ついていた。彼女はリオンに苗木を渡し、早々にその場を去った。涙をこらえながら屋敷を飛び出し、家に帰ると妹のレリアの声を無視して、自分の部屋に入りベッドに顔を埋めた。ノエルは、自分の気持ちが一方的なものだったことに深い悲しみを感じていた。
第 02話 「一時帰国」
ノエルが急いで屋敷を去った後、リオンはマリエの屋敷でアンジェとリビアと共にお茶を楽しんでいた。リオンが用意した茶葉とお菓子は喜ばれ、彼は穏やかなひとときを過ごしていた。しかし、アンジェからリオンが王国に呼び戻されるという話が持ち上がった。リオンは、王国の陛下からの呼び出しを受けて、王国へ戻ることになったのだ。
アンジェとリビアはリオンに同行し、リオンも特に予定がなかったため、すぐに戻ることに同意した。リビアはリオンが王妃ミレーヌとの再会を喜んでいることに嫉妬し、アンジェもまた彼の今後の行動を心配していた。リオンは、王国の情勢に巻き込まれたくないと感じながらも、留学中の立場を利用されることを察していた。
彼はマリエとの関係について、二人に何もないと断言したが、リビアは彼を疑い、アンジェはそれを笑って受け流していた。最終的にリオンは、王国に戻る前に二人と観光を楽しみ、お土産を買いに行くことにした。彼はしばらくの間、共和国の問題をマリエに任せることにしたが、少し不安を感じていた。
その夜、リオンはアンジェとリビアを連れて観光に出かけ、ついでに夕食も済ませてしまった。マリエは、リオンが戻らないことに不満を抱いていた。彼女は生活費の相談をしたかったが、五人の男子学生に持ち出されたお金が戻ってくるかも不明で、異国での生活に不安を感じていた。
クレアーレがマリエに説明し、リオンは生活費を用意してくれていると告げた。マリエは袋に入った札束を見つけ、それに飛びつきながら喜んだ。彼女はリオンに感謝し、彼が残していったお金でなんとかしのぐことに決めた。
クレアーレは、しばらくリオンが不在となるため、自身がマリエたちを助けると伝えたが、マリエは六大貴族がリオンを恐れて手を出さないと楽観していた。しかし、マリエはノエルの失恋に心を痛めており、彼女がリオンに惚れてしまったことを予想外に感じていた。
リオンは王宮に向かう前に、実家のバルトファルト男爵家を訪れていた。彼の父親は、リオンの浮気疑惑を聞いて激しく叱責してきたが、リオンはそれが誤解であると説明した。妹のフィンリーも浮気の話を聞いてリオンを非難し、姉のジェナもお土産を求めながら、リオンに対して厳しい態度を取っていた。
リオンは冗談交じりにジェナをからかい、ジェナは激怒して去って行った。父親はジェナの結婚相手について心配していたが、リオンは彼女が学園で結婚相手を見つけられないことを冷やかしつつ、父親と結婚事情について話し合った。
父親はリオンに、王宮に呼び出された理由を尋ねたが、リオンは共和国で有力者の息子を倒しただけだと軽く答えた。父親はリオンが王宮に迷惑をかけていることを心配していたが、リオンはむしろ自分が迷惑を被っていると感じていた。
リオンが王宮に顔を出すと、待っていたのはローランドだった。謁見の間ではなく、少し砕けた場での面会であり、周囲には役人や護衛の騎士たちがいた。ローランドは、共和国関連の事で忙しく、リオンに愚痴をこぼしたが、リオンは笑顔で応じ、二人の軽口が続いた。
ローランドがリオンを責めていると、ミレーヌが彼を制止し、リオンに褒美を用意するべきだと話した。リオンは今の地位に満足しており、これ以上の出世はないため、褒美に期待を寄せた。ミレーヌはリオンが提供した情報をもとに、共和国の内情について感謝を述べ、ラーシェル神聖王国の動きに注意を払っていることを説明した。
ラーシェルはフェーヴェル家と関係が深く、彼らが力を失ったことで他の六大貴族に接近する可能性があると予想された。また、ホルファート王国は十年前に滅んだレスピナス家とのつながりを失い、それ以降は親しい家を持たず、魔石の輸入に頼っていた。ミレーヌは今後の外交に力を入れる考えを示し、リオンに現地でのサポートを依頼した。
リオンはミレーヌの要請を快諾し、王国のために尽力する決意を示したが、ローランドからの不満には軽く返答し、周囲の役人たちもその対応に共感していた。
第 03話 「五馬鹿を叩き出せ!」
リオンが一時帰国中、マリエは五人の騎士たちに怒りを爆発させていた。彼女は生活費を守るために半分を隠していたが、彼らはまたしてもそのお金を使ってプレゼントを購入し、マリエを激怒させた。彼らが選んだプレゼントは大量の花束で、玄関が花で埋め尽くされたが、それに対してマリエは無表情で、怒りを抑えられなかった。
彼女は五人に対して厳しい態度を取り、「自分たちを教育しなければならなかった」と言い放ち、次々と拳を振り上げて彼らを打ち倒した。五人は玄関の外に追い出され、マリエは彼らに「甲斐性を見せるために、一ヶ月間、外で仕事をして稼いで来い」と命じた。冒険者としてではなく、普通の仕事を探し、稼ぐことを求められた五人は、マリエの挑戦を真剣に受け止め、各自稼ぐために出発することとなった。
五人の騎士たちが追い出された後、屋敷ではカイルとカーラがドアの修理をしていた。カーラは五人が一人で生活できるのか心配していたが、カイルは彼らがすぐに戻ってくるだろうと予想していた。カイルはまた、マリエが五人に協力させずに争わせたことを疑問に思っていたが、カーラはそれが女性として少し嬉しい気持ちになるものだと説明した。
修理が終わると、マリエは清々しい顔で二人に外食に行くことを提案した。五人がしばらく戻らないことで生活費が浮いたため、普段から頑張っている二人を労わりたいという気持ちからだった。カイルとカーラは喜び、マリエも解放感に浸っていた。三人は外食を楽しむことを心から噛みしめ、幸せなひと時を過ごす準備を整えていた。
屋敷を追い出された五人は、公園で集まり、マリエの心を勝ち取るために真剣な議論を交わしていた。ジルクが「マリエさんは甲斐性のある男が好きだ」と言い、五人は誰が一番稼げるかを競うことを決意した。クリスが「一番稼いだ者がマリエの一番になれる」と考え、五人はそれぞれ自分こそがマリエにふさわしい男だと宣言した。彼らは普段は仲が良かったが、この瞬間からライバルとなり、真剣勝負を挑むことになった。
五人はマリエを巡って真剣に争うことを決め、誰も引かずに決意を固めた。そしてそれぞれが別々の方向へと歩き出し、ライバルとしての戦いが始まった。彼らの様子を見ていた子供たちは、その真剣な姿に驚き、口を開けて見送っていた。
ユリウスは、格好良く仲間と別れたものの、すぐに困窮した。三日目にして金欠となり、安宿に泊まる羽目になったが、その宿はまるで馬小屋のような場所であった。元王太子の彼には到底馴染めない環境で、どこも雇ってくれない状況に苦しんでいた。彼は求人を調べて面接にも行ったが、ことごとく不採用だった。明日には宿代も払えなくなる状況だったが、ユリウスは他の仲間も同じ苦労をしているはずだと思い、屋敷に戻ることは許されないと決意していた。
ユリウスは翌日、アルバイトを探して飲食店を訪れたが、元王太子という身分が原因で断られた。正直に話すことでかえって就職が難しくなり、夜には公園で途方に暮れていた。食事もできず、他の仲間の様子が気になって町を歩いていると、グレッグが楽しそうに仲間と食事をしている姿を見かける。続けてジルクが商談を成功させている場面や、ブラッドがマジックショーで成功している様子を目撃し、さらにクリスが雑用の仕事をしていることを知った。ユリウスは、仲間たちが順調に働いていることを知り、自分だけが何もできていないことに気づいて情けなくなり、走り去ってしまった。
ユリウスは川辺で落ち込み、自分だけが仕事を見つけられず仲間たちに遅れを取っていると感じていた。そんな中、五十代の男性が屋台を引いて現れ、ユリウスに串焼きを振る舞った。親切な屋台の大将に相談すると、一ヶ月間だけ働くことを提案され、ユリウスはその好意に応じることにした。翌日から、ユリウスはねじり鉢巻きにエプロン姿で屋台の手伝いを始め、元気よく客を迎え、大将の元で働くこととなった。
第 04話 「六大貴族バリエル家」
アルゼル共和国の六大貴族の一つであるバリエル家の当主、ベランジュは、共和国の現状に不満を抱いていた。彼は、アルベルクの王国に対する弱腰な外交姿勢に苛立ちを感じ、六大貴族が結束して対応すべきだったと考えていた。さらに、息子ロイクの行動にも問題があり、平民の娘に入れあげているとの報告を受け、ベランジュは息子を厳しく叱ろうと考えた。しかし、ロイクが関わっているベルトレ姉妹が、滅んだレスピナス家の縁者である可能性が浮上し、ベランジュは驚愕する。彼は、かつてのレスピナス家の巫女候補であったノエルとレリアの存在を思い出し、事態を重く受け止め、ロイクを連れ戻すよう命じた。
マリエの屋敷を出た後、ノエルはアパートで静かに過ごしていた。ある日、買い物に出かけようとしたところ、ロイクに出会う。彼はノエルに執着し、首輪を持って現れる。逃げようとしたノエルだったが、右手の甲にある巫女の紋章を見られてしまい、ロイクに追われてしまう。必死に逃げるがロイクに捕まり、力で押さえ込まれた。そこにマリエが現れ、ロイクを跳び蹴りで吹き飛ばしてノエルを救った。ロイクは抵抗するが、バリエル家の家臣が現れ、彼を連れ去った。恐怖に震えるノエルを、マリエは自分の屋敷へと避難させた。
バリエル家の屋敷で、連れ戻されたロイクは父ベランジュの前で不敵に笑っていた。ベランジュは、ラウルト家とドルイユ家の婚約発表という重要な日にロイクが騒ぎを起こしたことに激怒していた。ロイクが持ち出した首輪は、聖樹の一部が仕込まれており、一度身につけたら外すことができない特殊なものだった。ベランジュは、ロイクがノエルの素性を知っていたか問いただし、ノエルがレスピナス家の生き残りであることを明かした。
ベランジュは、ノエルを利用して議長代理の座を手に入れようと考えていたが、ロイクはノエルと結婚したいと主張した。ベランジュはそれを断固拒否したが、ロイクがノエルに巫女の紋章が出現したことを伝えると、ベランジュは驚愕し、立ち上がった。ロイクは内心で、ノエルが自分から逃げられないことを確信し、面白がっていた。
パーティー会場には六大貴族の関係者が集まり、レリアはエミールと共に参加していた。婚約発表の場には政敵もいるため、レリアはその不思議さに少し戸惑っていたが、彼女の関心は攻略対象の一人であるユーグにあった。レリアは、ロイクに気を遣いすぎたため、他の攻略対象との接触ができなかったことを悔いていた。
その場にはルイーゼとユーグもおり、レリアは彼らと挨拶を交わすが、ルイーゼの言葉には嫌味を感じていた。エミールはルイーゼに対して優しさを感じていたが、レリアは彼の態度に苛立ちを覚えていた。ルイーゼの過去についての話を聞いたレリアは、彼女に亡くなった弟がいたことを初めて知り、驚いていた。
遅れて登場したロイクは、ユーグに真剣な表情で相談を持ちかけていた。政敵であるバリエル家とラウルト家の関係が変わりつつあることを示唆する話で、レリアはそのやり取りを聞いていたが、ロイクに鋭い視線を向けられ、急いで会場を離れていった。
レリアが化粧直しを終えて出てくると、ロイクが待っており、彼は彼女にエミールとの結婚を手助けすると提案した。ロイクはノエルを怖がらせた過去を反省していると述べ、レリアの警戒心を解かせようとした。さらに、ロイクはノエルの右手に巫女の紋章が浮かんでいることを知っており、彼女を守護者として選ばせる計画を明かした。ロイクの真剣な態度にレリアは混乱しながらも同意し、彼が去るのを見送った。
一方で、ロイクは内心でノエルを手に入れる計画を進めることを楽しんでいた。彼はフェルナンとユーグに共和国の未来について話をするため、二人を秘密の場所に誘った。
その後、ルイーゼはアルベルクと休憩室で話をしていた。彼女は政略結婚に愛を求めていないと語り、アルベルクも自分の選択を悔いていた。ルイーゼは弟リオンの死を嘆きながら、自分の過去を思い出して涙をこらえていた。
第 05話 「鈍感」
リオンはホルファート王国の王都にあるレッドグレイブ公爵家の屋敷で、アンジェとリビアと共にお茶の時間を楽しんでいた。リオンは文通相手について問われ、王妃との文通も含め、余罪を指摘されると二人の視線が冷たくなった。ルクシオンに助けを求めたものの、彼からは逆に追及され、さらに罪を指摘された。アンジェとリビアは、リオンに対して時間は十分にあるので、彼の「余罪」を徹底的に聞き出すつもりでいた。リオンは焦りながらも、どう弁解すべきか悩んでいた。
リオンが王都でアンジェとリビアと過ごす中、アンジェのメイドであるコーデリアはリオンに対して不満を募らせていた。アンジェの婚約が浮気によって危うくなることを心配し、リオンの行動を監視するべきだと考えていた。一方、バルトファルト家でもリオンの女性関係が問題視されており、父のバルカスや兄のニックスもリオンの浮気の可能性に不安を抱えていた。リオンが高貴な女性から言い寄られた場合、事態が悪化することを恐れた二人は、リオンに目を光らせる人物としてユメリアを提案した。ユメリアは自分の息子カイルが共和国にいることもあり、リオンの監視役に選ばれた。
リオンは、王国での夏期休暇を終え、再び共和国での留学生活に戻る前に実家へ立ち寄った。休暇中、リオンは外交問題や重要な会議に追われていた。ルクシオンとの会話で、リオンは聖樹や巫女の役割、そして自身がなぜ守護者の紋章を持つようになったのかを考えていた。ルクシオンは、聖樹が自らを守るためにリオンを選んだと説明し、ゲームの展開とは異なる現実を指摘していた。
また、リオンは過去のラウルト家とレスピナス家の紋章に関する疑問を抱き、ラウルト家がどのようにしてレスピナス家を滅ぼしたのかを考えた。ルクシオンは、レスピナス家が紋章を失った可能性があると示唆し、その謎がリオンにとって重要な意味を持つかもしれないと伝えた。しかし、リオンは外国の問題を抱え込むべきではないとルクシオンに諭され、最終的にどのように行動すべきか悩んでいた。
リオンは実家へ戻る際、船内でリビアに寂しそうに声をかけられた。リビアはリオンが元気のない様子に気付き、何か秘密があるのではと問いかけたが、リオンは誤魔化そうとした。しかし、リビアは優しくリオンを抱きしめ、無茶をしないようにと忠告した。また、アンジェのことも気にかけ、浮気には敏感であることを伝えた。リオンは彼女たちの優しさに心を軽くしたが、浮気の疑いに対しては戸惑っていた。
一方、別室ではアンジェとコーデリアがリオンのことを話していた。アンジェはリオンの行動に不安を抱き、父と兄に相談したが、浮気を許容するような発言に心が乱れていた。コーデリアはアンジェの不安を理解し、リオンの監視役として自ら志願していた。アンジェはリオンを縛りたくはないが、特にマリエに対しては警戒心を抱いていた。
実家に戻ったリオンは、エルフのユメリアが自身のお目付け役として同行することを知った。家族はリオンが浮気しないか心配しており、特に母親は厳しく注意を与えた。リオンは婚約者がいるにもかかわらず、浮気の疑いを持たれることに悩んでいたが、最終的には家族の期待を理解し、ユメリアを連れて共和国へ向かうことになった。
リオンは実家を出発する際、アンジェに紹介されたメイドのコーデリアと、既に同行していたユメリアと共に共和国へ向かうことになった。コーデリアは礼儀正しく貴族出身のようで、アンジェからも信頼されていた。一方、ユメリアもリオンの世話を担当することになっていたが、二人で協力してリオンを支えることが決まった。リオンは伯爵と呼ばれることに慣れていないため、リオンと呼ぶようにお願いした。
出発の準備が整い、リオンはアンジェとリビアに別れを告げた。リビアは笑顔で体に気をつけるようにと伝え、アンジェも自信を持って送り出した。リオンは二人に手を振りながら、ユメリアとコーデリアを連れてアインホルンに乗り込み、問題山積みのアルゼル共和国へと戻ることとなった。リオンは正直、戻ることに気が進まなかったが、旅立ちは避けられなかった。
第 06話 「運命の相手」
マリエの屋敷は静まり返っていた。五人が去ったこともあり、雰囲気が暗く沈んでいた。マリエは家計簿をつけていたが、ノエルの様子が気になっていた。ノエルは落ち込んでおり、特にリオンのことを思い悩んでいるようだった。リオンが王国に戻った後、ノエルの右手には巫女の紋章が現れたが、リオンはそのことを知らないままだった。ノエルはリオンに恋していたが、リオンはその気持ちに気づいていなかった。
マリエはノエルの気持ちを知り、悩んでいた。ノエルはリオンとの未来を夢見ていたが、リオンにはすでに婚約者がいるため、叶わない恋に心を痛めていた。マリエはその事実を伝えるのが遅れたことを後悔していたが、ノエルはそれを責めることなく、自分の気持ちを抑え込んでいた。ノエルはリオンが特別な存在であり、彼と一緒にいることで安心感を得ていたが、その恋は叶わなかった。
マリエはノエルを励まそうとしたが、ノエルの落ち込みは深く、次の恋を見つけられるかどうか不安を抱いていた。ノエルがこのままリオンを忘れられずに引きずってしまうことを恐れ、マリエはどうすればノエルが前に進めるのか、悩み続けていた。
ロイクはドルイユ家のフェルナンと会談をしていた。ロイクはラウルト家の議長代理を追い落とし、ノエルを手に入れる計画を進めていた。彼はラウルト家を排除するための手段として、フェルナンを説得しようとした。フェルナンは過去にラウルト家に恩があり、ロイクの提案には抵抗を示したが、ロイクが巫女であるノエルの存在を明かすと、フェルナンは驚き、次第に態度を変えていった。
フェルナンは、巫女が発見されたことに驚き、ロイクがバリエル家に巫女を迎え入れようとしていることに反対した。彼は巫女を一つの家で独占することは許されないと主張したが、ロイクはユーグとルイーゼの婚約を利用して、フェルナンを揺さぶった。ロイクは、ユーグがラウルト家を継ぐことで、六大貴族としての立場を強化できると提案し、フェルナンを説得した。
最終的にフェルナンは取引に応じ、巫女が学院を卒業した後、議長の座をレスピナス家に戻すことを約束した。ロイクはこの取引を受け入れ、フェルナンを利用することで、自らの目的を達成しようとしていた。
ルイーゼは夏期休暇中、ドルイユ家の屋敷で過ごしていたが、ユーグは一度も彼女の部屋を訪れなかった。ユーグが女遊びに出かけるのを窓から見て、ルイーゼは気にも留めなかったが、屋敷の雰囲気が変わったことに気づいた。夜、夕食の場に現れたユーグは、何か面白いことが起こると言い、翌日が共和国にとって良い日になるとほのめかした。
一方、マリエの屋敷には多数の兵士や飛行船が集まり、緊迫した状況が続いていた。マリエはリオンの不在を不安に感じ、クレアーレが飛行船を使って反撃しようと提案するも、マリエはそれを止めた。その後、バリエル家の使者がノエルを迎えに来たことが判明し、マリエはその展開に驚愕した。
ノエルが外に出ると、バリエル家の使者が彼女を迎えに来ていた。巫女としてのノエルの存在が広まり、周囲の野次馬たちが騒ぎ始めた。ロイクも現れ、ノエルに対して共和国全体が彼女を求めていることを強調し、彼女を取り戻すために戦う覚悟を示した。ロイクは大勢の命を盾にしてノエルを圧迫し、彼女に自分のもとに来るよう迫った。
マリエがリオンがいないことを指摘して怒りを表すも、ロイクは冷笑し、リオンが本気でノエルを守ることはないだろうと語った。ノエルはリオンに迷惑をかけたくないと考え、最終的にロイクに従う決断をする。ノエルはロイクに連れ去られ、彼の車に乗り込んだ。彼女は、自分が我慢すればすべてが解決すると思い、双子の妹レリアに心の中で謝罪をしていた。
第 07話 「首輪」
ノエルとレリアのアパートに、学院の教師クレマンが訪れ、ノエルがバリエル家に保護されたことを伝えた。クレマンは元々レスピナス家に仕えていた騎士であり、学院で陰ながら二人を守っていた。レリアは状況を知っており、特に驚かずに受け入れた。レリアはクレマンに対して、エミールが迎えに来ると告げ、彼と共に行動することを決めていた。
一方、マリエはロイクにノエルを奪われたことに対して焦り、兄リオンの不在が原因だと感じていた。クレアーレはロイクの策略と六大貴族の内紛について説明し、マリエは困惑しつつも状況を理解し始めた。しかし、マリエはノエルがロイクと結ばれても彼女の幸せは望めないと感じ、無力さを痛感していた。そこへ、リオンが遅れて帰宅し、マリエは遅すぎると苛立ちを覚えた。
マリエの屋敷に戻ると、メイドのコーデリアが屋敷の手入れがされていないことに不満を漏らしていた。そんな中、ユメリアが息子カイルに感動的な再会をするが、カイルは照れながらも仕事中だと母を遠ざけた。リオンはカイルに思春期だとからかうが、カイルは逆にリオンを思春期扱いする一幕もあった。
クレアーレからの報告で、ノエルがバリエル家に連れて行かれたことが発覚し、リオンは驚いた。マリエがユリウスたちを追い出したことも話題に上がり、リオンは彼らが無事であることを確認した。マリエはクレアーレに守られていたが、ノエルがロイクの策略に巻き込まれたことを説明し、リオンはノエルを助けるべきかどうか悩んでいた。
最終的にリオンはノエルを救う決意をし、彼女を一時的に王国に逃がすことも視野に入れた。また、ルイーゼとユーグの婚約も報告され、リオンは次々に起きる問題に対処するための行動を開始した。
コーデリアはリオンとマリエが部屋にこもっていることを知り、リオンを非難していた。彼女はアンジェへの裏切りだと感じ、報告しようとしたが、ユメリアが植物を見てボンヤリしていることに気づく。コーデリアはユメリアが息子カイルに冷たくされたことが原因だと思い、彼女を休ませた。
一方、ラウルト家ではアルベルクがノエルに巫女の紋章が現れたことを知り、驚いて対策を講じようとした。バリエル家がノエルとロイクの結婚を急ぐ意図を疑い、フェルナンに相談することにした。
その頃、ノエルはバリエル家で監禁されていた。ロイクは彼女に首輪をつけ、逃げられないようにしようとする。ノエルは抵抗するが、ロイクに殴られ、首輪をつけられてしまう。ロイクはノエルを支配しようとし、彼女の抵抗を抑え込んだ後、フェルナンからの連絡を受けて部屋を去った。ノエルは首輪に触れながら、涙を流していた。
リオンはバリエル家の屋敷に忍び込み、ノエルを救出しようとした。彼は光学迷彩スーツを使い、警備を避けながら屋敷内に侵入した。ルクシオンの指示で、ノエルが囚われている部屋にたどり着き、眠り薬の弾丸を使って兵士たちを倒した。
一方、ノエルは過去の恐怖を思い出し、リオンが現れた時に一瞬安心するも、ロイクの脅迫を思い出していた。ノエルはリオンを巻き込みたくない一心で、強がって彼を追い返そうとする。彼女はリオンを守るために自分の感情を抑え、助けを求めたい気持ちを押し殺し、涙を流した。
第 08話 「帰ってきた五馬鹿」
バリエル家では、ノエルを見張っていた兵士たちが眠らされたことで大騒ぎになった。ベランジュとロイクは侵入者に激怒し、巫女が連れ去られていたら計画が狂っていたとして焦っていた。ロイクは、首輪のおかげでノエルが連れ出されなかったと安堵していたが、ベランジュは巫女に首輪をつける行為に対して不満を抱いていた。
一方、リオンはマリエの屋敷で落ち込んでおり、ノエルが彼の助けを拒んだことにショックを受けていた。リオンの様子を見たマリエとレリアは、ラウルト家を倒すために聖樹の苗木を使おうと計画を話し合ったが、リオンは興味を示さなかった。レリアは、ロイクが改心したと言い張るが、マリエは首輪の件やノエルの監禁について不安を抱いていた。
レリアはプレヴァン家の車に乗り、結婚式で巫女と苗木を揃えるために苗木を求めたが、リオンは関わったことを後悔していた。ルクシオンは、ノエルの本心をリオンが理解していないと指摘したが、リオンはノエルが自分を拒絶したと感じ、動揺していた。
一方、ユメリアは苗木に話しかけ、息子のカイルから仕事をさぼっていると注意を受けていた。彼女はリオンとマリエの言い争いを耳にし、二人が兄妹であることを知り、混乱した。
リオンとマリエは、ノエルの件について言い争いを続け、マリエがノエルがリオンを好きだったことを告げた。リオンはノエルが自分を避けたことに気付き、後悔していたが、今では警備が強化されているため、彼女を救うことが難しくなっていた。
さらに、ロイクが侵入者を警戒しており、リオンは国際問題に発展することを懸念していた。ノエルを救うには複雑な状況となり、解決策に悩んでいたところ、マリエが窓の外に異変を見つけ、驚愕していた。
マリエの屋敷に、追い出されていたジルク、ブラッド、グレッグ、クリスの四人が戻ってきた。彼らはそれぞれ自分なりにマリエの気持ちを理解したと信じ、プレゼントや筋肉、さらにはお祭りのような格好を披露していた。しかし、彼らの行動はマリエの期待とは大きく外れており、彼女は呆然としていた。四人は追い出された後に稼いできたが、その稼いだお金はすべて自分たちのために使ってしまっていた。
マリエは彼らにプレゼントを求めていたわけではなく、お金が必要だったのだが、四人は完全に誤解していた。さらに、ユリウスも地味な姿で戻ってきたが、彼の登場は他の四人のような大騒ぎとは異なり、意外にも静かだった。
第 09話 「元王太子」
ユリウスが約一ヶ月ぶりに屋敷に戻り、マリエに精一杯稼いだお金を渡した。彼は屋台で働いて得た少額の給料をマリエに手渡し、彼自身がどれほど世間知らずであったかを反省していた。それに対して他の四人、ジルク、ブラッド、グレッグ、クリスは豪華なプレゼントを用意していたが、マリエの期待には応えていなかった。彼らはマリエが一番稼いだ人を選ぶと思っていたが、実際には一番努力したユリウスが選ばれた。
マリエは四人に対して、稼いだお金を無駄に使ったことを叱責し、ユリウスを一番に評価した。驚いた四人はユリウスに敗北を認め、彼を称賛しつつも、自分たちの誤りに気づき落胆していた。ユリウスは感謝し、涙を流しながら四人と和解した。マリエはお給料を手に小躍りし、リオンはこの一連の出来事に呆れていた。
五馬鹿が屋敷に戻ってきたが、ノエルがさらわれた際に不在であり、彼らは全く役に立たなかった。リオンは彼らにノエルを救出する計画を話し、国際問題を懸念して躊躇していたが、五馬鹿は逆に、聖樹の苗木と巫女の存在が王国にとって重要であり、国際問題になったとしてもそれを乗り越える価値があると主張した。ユリウスを含む五人は、ノエルを救出し、王国のために利用すべきだと一致していた。
リオンは彼らの意見を聞いて迷いながらも、王国と共和国の政治的関係を考慮していた。五馬鹿はラウルト家との協力が得られれば、バリエル家との権力闘争を有利に進められると提案し、ノエルの救出に賛成する立場を取った。最後に、ラウルト家の使者がリオンを訪れ、ユリウスたちはこれをチャンスとして活用するようリオンに促した。
リオンとマリエは、六大貴族のパーティーに出席し、ルイーゼと会うための機会を得た。パーティーはバリエル家が主催し、ロイクがノエルを伴って登場した。ノエルは巫女の紋章を持つと宣言され、ロイクとの結婚が発表された。リオンはロイクの支配的な態度に苛立ち、マリエもノエルの体に隠された傷を察知し、心配していた。ルイーゼがリオンを呼び、ノエルを助けるため、彼らはパーティー会場を抜け出し、ルイーゼが用意した部屋へ向かった。
リオンたちは、六大貴族のパーティー会場を抜け出し、ルイーゼと会うことができた。ルイーゼは、ドルイユ家に軟禁状態にされており、フェルナンの陰謀によってユーグをラウルト家の当主にしようとしていることを明かした。アルベルクは怒りを抑えきれず、フェルナンと話し合うために去っていった。その後、レリアがリオンたちの行動に不安を感じ、彼らを追いかけてきた。ルイーゼは、過去の憎しみを明かしながら、ノエルやレリアに対する感情を吐露し、レリアを壁際に追い詰めた。リオンとマリエは二人を引き離し、マリエはレリアを部屋から連れ出した。
第 10話 「悪役」
マリエはレリアを廊下に連れ出し、息を切らしながらもロイクの危険性について話した。マリエはロイクが首輪を使用していることから、バッドエンドの兆候を感じ、ノエルが危険な状況にあると懸念した。しかし、レリアはロイクを信じており、マリエの警告に対して反発していた。彼女は二作目の乙女ゲームを完全にプレイしていなかったため、バッドエンドの詳細を知らず、危機感を持っていなかった。
一方、リオンはルイーゼと共に部屋で話をしていた。ルイーゼは、過去の憎しみや苦しみを語り、特にノエルとの婚約にまつわる家族の話をリオンに打ち明けた。彼女は、かつてノエルを守る立場にあったが、今では彼女をどうするべきか迷っていた。リオンはノエルの重要性を理解し、彼女を助ける決意を固めつつあった。
ノエルは六大貴族のパーティー会場で、関係者との面会を終えた後、控え室に押し込まれ、ロイクに嫌がらせを受けていた。彼はリオンの存在に嫉妬し、ノエルに暴力を振るい、その後優しくするという不安定な行動を繰り返していた。ノエルは逃げられない状況にあり、従わざるを得ない状態で耐え続けていた。
一方、リオンはマリエの屋敷に戻り、ユリウスたちと今後の方針について話し合った。バリエル家がノエルを利用して権力を握ろうとしていることが判明し、リオンはノエルを救出する決意を固めた。彼は短期的な勝利だけでなく、共和国のプライドを完全に折ることを計画しており、その手段として結婚式当日を救出の決行日に選んだ。リオンは、敵の警戒が強まる中でも圧倒的な方法で、共和国が二度と逆らえないようにすると宣言した。
結婚式を翌日に控え、マリエの屋敷は不気味な静けさに包まれていた。コーデリアはリオンたちの行動に不安を抱きつつも、彼女の感情を整理しようとしていた。彼女はリオンのことを冷たく見ていたが、ユメリアとの会話を通じて、自身の先入観を反省し、リオンのことをもう少し信じてみることを決意した。
一方で、バリエル家はロイクの結婚式に向けて、着々と準備を進めていた。六大貴族たちはロイクが守護者となることに期待を寄せ、彼を祝福していた。フェーヴェル家の当主ランベールやベランジュはロイクを持ち上げ、共和国の未来が安泰であるかのように語っていた。しかし、ロイクと彼の父ベランジュは、アルベルクやフェルナンを裏切り、権力闘争に勝利しようと画策していた。
ロイクはリオンの存在を皮肉に感じつつも、自らの勝利を確信していた。そして、結婚式の時が近づき、ノエルとロイクの結婚式が始まろうとしていた。
第 11話 「花嫁泥棒」
ノエルは結婚式に向けて花嫁衣装を身にまとっていたが、首には見えないように飾り付けられた首輪があった。レリアが訪ねてくるが、二人は本音で話すことができなかった。ノエルは内心で自分の運命に嘆き、巫女としての役割に縛られていることを苦々しく感じていた。
結婚式が始まると、ノエルは巫女としてロイクに守護者の紋章を与えるべく祈りを捧げる。しかし、聖樹から守護者の紋章は与えられず、聖樹はノエルの願いを拒否した。ロイクは激怒し、ノエルに暴力を振るおうとしたが、その時、リオンが黒い鎧を纏って会場に現れた。リオンは「花嫁を取り戻しに来た」と宣言し、短機関銃を使って周囲を威嚇しつつ、共和国のやり方を批判した。
緊迫した状況の中、リオンの背後に巨大な守護者の紋章が浮かび上がり、ノエルは初めてリオンが守護者として選ばれていたことを知った。
リオンが守護者の紋章を宿している姿を目の当たりにし、ルイーゼは驚きつつも弟リオン・サラ・ラウルトを思い出していた。かつて弟は守護者になることを夢見ていたが、若くして亡くなってしまった。目の前のリオンはその夢を叶えるかのように守護者として現れ、彼女の記憶を呼び起こしていた。
一方、リオンは堂々と共和国の貴族たちを挑発し、ノエルを奪還しようとする。彼はロイクや周囲の者たちを圧倒し、守護者の紋章を持つ者として自信に満ちた態度を見せた。ロイクは激怒し、ノエルに暴力を振るおうとするが、リオンは彼を制し、ロイクの腕を斬り飛ばした。
リオンはノエルを強引に連れ出そうとするが、ノエルは彼を拒絶し泣き叫ぶ。周囲の騎士や兵士たちはリオンに対抗しようとするが、アルベルクが介入し、場を収めた。ロイクは聖樹神殿のどこかで爆発を起こし、さらに混乱が広がっていく中、リオンたちは状況を収めようと動いていた。
リオンとロイクの最終決戦が始まった。ロイクは聖樹からエネルギーを得た特注の赤い鎧に乗り込み、激しい怒りとともに聖樹神殿を破壊し、すべてを焼き尽くそうと暴走していた。彼の目的はノエルを取り戻すことであり、そのためにリオンを倒そうとしていた。
しかし、リオンもまた守護者の紋章を宿したアロガンツに乗り込み、ロイクの暴走を止めるために出撃した。ロイクはリオンに対して怒りをぶつけ、鎧同士の戦いが激化する。ロイクは自分の鎧が聖樹から無限のエネルギーを得ており、圧倒的な力でリオンを上回ると信じていた。
戦いの中、ロイクはリオンを追い詰めるが、リオンは冷静で、余裕さえ見せていた。彼はロイクの攻撃をかわし、戦斧で応戦しつつ、相手の鎧の装甲を破壊していった。ロイクはその様子に焦りを感じながらも、聖樹の力で勝負を決めようとするが、リオンはそれに屈せず、最後には本気の姿勢を見せて戦いの決着をつけようとしていた。
ロイクが信じていた「聖樹の力」による優位は次第に崩れていき、リオンの確信に満ちた態度が戦場の空気を支配していた。
ロイクは鎧の性能に頼ってリオンのアロガンツに勝とうとしていたが、リオンはそれを上回る操縦技術で対応した。ロイクは聖樹の加護を頼りにしながらも、徐々に追い詰められていき、リオンは冷静に彼を煽りつつ戦いを続けた。ロイクの鎧は徐々に破壊され、劣勢に立たされたが、彼は最後の手段として自爆を試みた。
しかし、リオンはその危険を察知し、ルクシオンの助けを借りてロイクを鎧から引き剥がし、間一髪で自爆から逃れることができた。ロイクの鎧は大爆発を起こしたが、リオンは無事にロイクを救出し、地上に降り立った時にはロイクは気を失っていた。
この一連の戦いで、リオンは共和国の人々に自らの強さと、聖樹の加護に頼るだけでは勝てない現実を突きつけたのである。
ロイクは目を覚ますと、加護を失い、周囲を兵士に取り囲まれていた。父親であるベランジュはロイクを見下し、彼を廃嫡すると決定した。ロイクは敗北し、みじめな状態であったが、そこにノエルが現れ、彼に平手打ちをした。ノエルは涙を流し、ロイクが自分を物のように扱うようになったこと、そして彼が自分を理解せず、自分の価値観や願望を無視していたことが嫌いになった理由だと告げた。
ノエルは、ロイクが彼女の好きなものを全く知らなかったことを指摘し、彼がノエルを本当に理解していなかったことを示唆した。ロイクはその言葉に反論できず、自分が彼女の気持ちを見ていなかったことに気づき、呆然としていた。
第 12話 「日常」
結婚式を台無しにした翌日、リオンはノエルと対面していた。ノエルは彼を平手打ちし、助けてくれたことには感謝しつつも、婚約者がいるのに期待を持たせないでほしいと涙ながらに訴えた。リオンは彼女に謝罪しつつも、どうすることもできない状況であり、抱きしめることすらできなかった。
屋敷の外では、ユリウスや仲間たちが庭でバーベキューを楽しんでおり、彼らの奇妙なやり取りにリオンは呆れつつも微笑んでいた。ユリウスが串焼きに熱中する一方で、マリエは豪快にビールを飲み、仲間たちもそれぞれ個性的な行動を見せていた。
クレアーレがノエルを誘うように提案したが、リオンは彼女を巻き込むことを避け、ルクシオンとクレアーレを連れて港へ向かうことにした。
バーベキューが終わった夕方、マリエの屋敷にルイーゼが訪れ、ノエルに用事があると言って呼び出した。気まずい雰囲気の中、ルイーゼはノエルに平手打ちをし、ノエルが自分の幸せに気づいていないと非難した。ノエルはルイーゼに反発し、自分の苦労を訴えたが、ルイーゼはノエルがリオンに助けられていることを指摘し、今後の行動を決めるよう促した。
その後、クレアーレが戻り、共和国も落ち着きを取り戻したが、学院の恋愛イベントは混乱のため中止された。レリアは、重要なイベントがすべて潰れたことに不満を募らせ、リオンにどうすべきかを問いただした。ルクシオンは、聖樹の問題やラスボス討伐後の共和国の安定が重要だと説明し、最悪の場合は強硬手段を取ることもできると告げたが、リオンは理想的な解決を目指すことを約束し、レリアを安心させようとした。
レリアは学院からの帰り道、一人で歩きながらルクシオンの危険性について考え込んでいた。彼が非常に強力な兵器であり、その力がリオンの気分次第で使用される可能性があることに不安を抱いていた。リオンの行動に対抗するため、レリアは課金アイテムの回収を考え始めたが、それを一人で行うのは困難だった。
そんな折、セルジュ・サラ・ラウルトと再会し、彼に協力を頼むことを思いついた。セルジュと一緒に夕食を共にしたレリアは、彼の協力に期待を抱きつつも、その計画をエミールには話さなかった。エミールが用意していた夕食を断り、次の長期休暇にセルジュと冒険に出かける決意を固めたが、その理由をエミールには隠し続けていた。
学院が長期休暇に入った頃、リビアとアンジェはリオンを驚かせようと共和国に訪れた。しかし、リオンはノエルと一緒にいたことで、二人から誤解を招いてしまった。ノエルには首輪がつけられ、リオンの腕輪と繋がれていたため、アンジェとリビアはさらに疑惑を深めた。リオンは必死に誤解を解こうとしたが、周囲の状況が悪化し、二人の怒りを増幅させた。最終的にリオンは、ルクシオンの助けが得られず、浮気を疑われるような状況に追い込まれてしまった。
エピローグ
ルクシオンとクレアーレは、リオンを意図的に困らせる状況を作り出していた。彼らはリオンの反応を楽しみながらも、聖樹や苗木の研究を進め、さらには旧人類の軍事基地の存在を推測していた。リオンが叫んでいる様子を見て、彼らは彼に反省を促すべきだと感じていた。また、クレアーレが気にしていたレスピナス家とラウルト家の紋章の謎についても、ルクシオンはある程度の結論に至っていた。
一方、ホルファート王国のローランドは、リオンの行動によって度々悩まされていた。リオンがバリエル家に喧嘩を売ったことで、共和国と王国の間に問題が生じたが、同時にバリエル家からの謝罪も届くという状況に困惑していた。ローランドは、リオンに対する怒りと悩みを募らせ、彼に復讐しようと決意していた。
登場人物
リオン・フォウ・バルトファルト
アルゼル共和国で留学生活を送っていた青年であり、守護者の紋章を持つ。聖樹の守護者として認められた存在であり、複雑な恋愛関係と政治的な争いの渦中にあった。ノエルとの親しい関係が育まれていたが、アンジェリカやオリヴィアとの婚約がある中で彼女たちとの関係に悩んでいた。
ルクシオン
リオンに仕える人工知能であり、リオンの行動を支援していた。
ノエル・ベルトレ
リオンと親しい女性で、聖樹の巫女の紋章を持つ。複雑な恋愛事情を抱えており、リオンに恋をしていたが、彼に婚約者がいるため、その恋は成就しなかった。ロイクに執着され、結婚を強要される中で、苦しんでいた。
マリエ・フォウ・ラーファン
リオンの妹で、五人の男性の面倒を見る立場にあり、彼らに対して厳しい態度を取っていた。屋敷での家計管理やノエルの悩みにも関わりつつ、リオンの不在中も屋敷を守る役割を果たしていた。
カーラ・フォウ・ウェイン
マリエの友人であり、屋敷の手伝いをしていた。
ユリウス・ラファ・ホルファート
元王太子であり、マリエに忠誠を誓っていた。彼は屋台での仕事を通じて世間知らずであった自分を反省し、仲間たちと共にリオンを助けるために尽力していた。
ジルク・フィア・マーモリア
リオンの友人の一人であり、五馬鹿の一員であった。
グレッグ・フォウ・セバーグ
五馬鹿の一人で、マリエのために奮闘していた。
クリス・フィア・アークライト
五馬鹿の一人で、リオンの友人の一人として行動していた。
ブラッド・フォウ・フィールド
五馬鹿の一人であり、マリエのために行動していた。
ロイク
バリエル家の息子で、ノエルに執着し、彼女に対して強引な結婚を強要していた。巫女の紋章を手に入れることで権力を握ろうとしていたが、最終的にリオンに敗北した。
アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブ
公爵令嬢で、リオンの婚約者。リオンの浮気を疑いながらも、彼を信じようとしていた。リオンとの関係に不安を抱えつつも、彼の行動に対して支えとなる存在であった。
オリヴィア
平民出身ながら学園に特別入学した女性で、リオンの婚約者の一人。リオンの浮気を疑いつつも、彼に対する信頼を持っていた。
クレアーレ
リオンに仕える別の人工知能で、リオンやマリエを支援しながらも、時折いたずらを仕掛けていた。
ルイーゼ
過去の出来事で苦しんでいる人物で、ノエルやリオンとの複雑な関係を抱えていた。
ベランジュ
バリエル家の当主であり、息子ロイクの行動に頭を悩ませていた。
フェルナン・ドルイユ
アルゼル共和国の六大貴族の一員であり、政治的な陰謀を巡って活動していた。
アルベルク
アルゼル共和国の貴族で、リオンやルイーゼと関わりを持っていた。
ユメリア
リオンの家族の一員で、リオンや他のキャラクターの世話をしていた。
セルジュ・サラ・ラウルト
ラウルト家の人物であり、リオンやレリアと関わりを持っていた。
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