どんな本?
異世界のんびり農家とは、内藤騎之介氏による日本のライトノベル。
小説家になろうにて連載されており、書籍版はKADOKAWAから刊行されている。
また、剣康之氏が作画をしている漫画版もあり。
月刊ドラゴンエイジにて連載されており、現在は11巻まで発売されている。
また、異世界のんびり農家の日常というスピンオフ作品もあり。
こちらの作画はユウズィ氏が担当している。
アニメ版もあり。
アニメ版は全12話。
2023年1月6日から3月24日まで放送された。
各話のタイトルやあらすじは[こちら]。
物語は、闘病の末に死んだ男性・火楽が、神によって異世界に転移し、農業生活を送るというもの。
彼は神から「万能農具」という特別な道具を授かり、死の森と呼ばれる危険な場所で農地を開拓していく。
そこで出会った吸血鬼や天使、エルフや竜などの様々な種族と交流し、やがて「大樹の村」というコミュニティを作り上げていく。
作品の特徴は、タイトル通りの「のんびり」とした作風であり、戦争や陰謀などのトラブルに巻き込まれるような展開は少なく、主人公が農業や料理を楽しんだり、仲間や家族と触れ合ったりする日常が描かれている。
また、主人公が前世で得た知識や技術を活かして異世界の文化や産業に革新をもたらす場面もある。
出版情報
• 出版社:KADOKAWA
• 発売日:2019年09月30日
• 判型:B6判/432ページ
• 定価:1,430円(本体1,300円+税)
• ISBN:9784047357334
読んだ本のタイトル
#異世界のんびり農家 06
著者:#内藤騎之介 氏
イラスト:#やすも 氏
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あらすじ・内容
村に迷い込んでやってきた子狐。
その子狐を追いかけてきた母狐。子狐はすんなりと村に馴染んだものの、
母狐は村を支配すると乗り出した・・・が、すぐにヒラクに降参。
相手が少し悪かったものの、九尾狐(ナインテール・フォックス)の本気は見られるのか…!?新たな住人を増やしつつ、大樹の村はどんどんと拡張!
拡張を超えて、なんと、魔王国にまで進出!
異世界のんびり農家 06
感想
魔族領でカレーライスを販売している店の従業員は元々はストリートチルドレンで、明日へのご飯も事欠くほど困窮していた。
それを従業員として雇われた事で衣食住が充実した。
それに感謝をしながらも余りにも忙しいから、従業員の増員を望んでいるのが、、
さらなる雇用を呼び起こす。
さらに村産の香辛料の魅力にやられた貴族の話が笑える。
コイツ、ほぼ中毒じゃないかww
身体に悪い訳じゃないけど、、
取引出来るようになったら過剰摂取しそうで怖いぞ。
あと、村の子供達は長女のウルザが弟のアルフレートのために狩をしようと、インフェルノウルフに騎乗して槍を持って突貫するのを主人公が発見する事から話が始まる。
それに続くように弟達と他の家の子供達が徒党を組んで森に行こうとするから村長が心配して必死に止めるて混乱するが、、
隊長になってるウルザが勇ましいから目を離すと狩をしようと森に突貫する。
それを護衛するインフェルノウルフとデーモンスパイダー達が何があっても絶対守るって感じで、傍目的には微笑ましいようで、、
この戦力って大国を滅ぼせる戦力なんだよな。。。
あと、一流の魔法使い達を集めて塾を開くのだが、、
世界最高峰過ぎてドン引きレベルw
まぁ、村長の吸血鬼の嫁さんが世界一の魔法使いだから、その名前に釣られて来てるのが、、
さらに元邪神の黒ネコも希少種の嫁さん候補を連れて来たら、、
嫁さんにロックオンされてしまう。
その猫の嫁さんも元は盗賊に捕まえられてしまい救出されて村に連れて来られたのがアレだけど、、
その後に妖狐の子供が迷い込んで来たが、、
ご飯をあげたら懐いて、村に居着いてしまい母親が迎えに来たら。
母親が居着いてしまうのがらこの村の恐ろしさ。
より発展して住民も増えて行くが、、
名前はやっぱり村のままww
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
序章 フォーグマ
太陽城とフォーグマ一家
浮遊する城とその管理者
太陽城は空に浮かぶ移動可能な城であり、城であると同時に船でもあった。その運航には優れたスタッフが必要とされ、建設者は十六人のマーキュリー種・フォーグマ一家を用意した。彼らは太陽城のために作られた人工生命体であり、それぞれが城主補佐の役割と専門的な職務を担っていた。
職務と適性
フォーグマ一家の職務は適当に決められたものではなく、それぞれが最適となるよう能力と知識が与えられていた。唯一不足していたのは経験であったが、太陽城の完成までの間に各地で修業を積み、補っていた。彼らは一流以上の仕事をこなし、それを誇りとしていた。
ベルとゴウの会話
ある日、副船長のベルは椅子に座りながら、操舵長のゴウと会話を交わした。ゴウはまだ完全に動けない状態にあったが、回復まで二百時間ほどを要すると報告した。その間、村長に挨拶へ行く予定も話し合われた。ゴウは村の様子を気にかけ、クズの努力を認めつつも城主としての安全を心配していた。
倉庫の備品と貴重な品
ゴウは前日に倉庫の備品を確認し、貴重な品を発見したと述べた。その報告のためにベルに村へ行くよう依頼したが、ベルは一人での訪問を渋った。村長は理解を示すだろうが、周囲の反応を懸念していたためである。ゴウは誠意ある対応が最善だと諭しつつも、最終的に自身が動けるようになった際に同行することを約束した。
フォーグマ一家の働き
フォーグマ一家は日々の職務に励み、太陽城の維持と運営に尽力していた。ベルは城主補佐筆頭としての役割を果たす決意を新たにしつつ、ゴウの動けない時間が延びても構わないと冗談を言った。それに対し、ゴウは無駄な抵抗をしないよう釘を刺した。
一章 シャシャートの街と冬の準備
リーグ男爵家とその成り立ち
リーグ男爵家は、五十年ほど前に活躍して貴族となった新興の家系であった。本来、商売が順調であったため貴族になることを望んでいなかったが、侯爵家の領地が食料難に陥った際、多くの食料を供給したことで評価され、貴族にさせられた。実際には、侯爵家が代金を支払えず、代わりに男爵の地位を与えたのであった。貴族の称号により商売の利便性は向上したが、「金で地位を買った」と陰口を叩かれることが続いていた。
美食へのこだわりと王都のシェフ
シャイフルは美食を何よりも愛していた。家で雇っているシェフは、彼がわざわざ王都の有名飲食店で働いていた料理人を引き抜いたものであり、その料理の腕前を信じて疑わなかった。しかし、シャシャートの街のホテルで食事をした際、その信念が揺らぐこととなった。以前から料理の評判を聞いていたが、誇張されたものだと考えていた。しかし、実際に食べてみると、その味は想像を遥かに超えていた。
料理人への敬意と新たな価値観
当初、シャイフルはホテルのシェフを引き抜こうと考えたが、友人の言葉を思い出した。「お金だけでなく、敬意を払いなさい」と。その言葉に従い、料理人への最大の賛辞は「雇うこと」ではなく、「また食べに行くこと」だと理解した。彼はシャシャートの街で二泊する予定であったが、武闘会の見物を理由にさらに滞在を延ばすことを決めた。
獣人族との出会いと調味料の衝撃
ある日、シャイフルはホテルで最高級の料理を楽しんでいたが、隣に座る獣人族の男の皿に盛られた肉が自分のものより大きいことに気づいた。シェフが客によって差をつけるのは問題だと考えたが、もしかすると質の悪い肉を量で補ったのかもしれないと推理した。獣人族の男が何かを加えて肉を食べる様子を見て興味を抱き、頼み込んで少し譲ってもらった。そして、その味に衝撃を受けた。
新たな味との出会い
その調味料は、醤油・味噌・マヨネーズであった。シャイフルはこれまでの味が単調であったことを実感し、新たな味覚の世界を知った。彼は獣人族の男と交流を深め、毎晩の食事を共にするようになった。獣人族の男が冒険者であり、武闘会に出場し優勝するほどの実力者であることを知ったのは、その後のことであった。しかし、彼は大会後に街を去る可能性が高いことに気づき、急ぎ彼の行方を追った。
調味料の探求と再会
シャイフルは獣人族の男、ガルフを探し続けた。目的は彼の持つ調味料であったが、それを譲ってくれた彼自身にも感謝を伝えたいと考えていた。その間に、魔王国上層部で調味料の一部が流通していることを知り、交渉に入った。やがて、再びシャシャートの街を訪れた彼は、カレーという新たな料理に出会い、感動のあまり涙を流した。そして、ガルフとの再会を果たした。
カレーと新たな人生の選択
シャイフルは、カレーの奥深さに魅了されると同時に、新たな食文化への探求心を燃やした。彼はカレー屋「マルーラ」で働き始め、マルコス店長代理としての新たな人生を歩み始めた。貴族としての自分を捨て、新たな道を選んだ彼は、かつての友人に手紙を送り、貴族ではなくなった自分にまだ興味を持っているかと問いかけた。しかし、何よりも彼が望んでいたのは、彼の作った料理を友人に味わってもらうことだった。
プールの維持と管理
夏が本格的に訪れ、村人たちはプールで水遊びを楽しんでいた。リザードマンたちが管理を任されていたが、驚くほど清潔に保たれていた。彼らは一カ月に一度水を抜いて洗浄しており、その徹底ぶりに感心させられた。
各村の要望への対応
村の発展のため、各村の要望に応える作業が続いた。一ノ村ではキノコ畑の整備が行われ、黒トリュフと白トリュフの栽培が始まった。二ノ村ではミノタウロスたちのために大型の農具が追加されたが、ピッチフォークの設計ミスが発覚し、改良が施された。三ノ村では新たな住居と村を囲むコースが作られ、完成後すぐにケンタウロス族による求婚の儀式が始まった。
太陽城での調味料栽培と缶詰工場の視察
四ノ村にあたる太陽城では、新たに調味料の栽培が開始された。また、缶詰工場を視察し、保存食の可能性を探った。この工場は缶の製造工程を自動化していたが、詰める食材の処理は手作業が必要であり、商業利用にはまだ課題が残っていた。
温泉地の整備とライオンたちの住環境
温泉地では施設の増設が進められたが、その前に温泉を堪能するひとときがあった。夏場でも温泉は快適であったが、湯上がりの暑さには難があったため、ライオンが魔法で氷を生み出し、涼を提供した。さらに、ライオンたちのために雨や日差しを避けられる場所を整備し、温泉地の環境をより快適なものにした。
缶蹴りと子供たちの体力
村に戻ると、収穫時期が近づいていた。しかし、その前に子供たちと缶蹴りをすることになった。子供たちの体力を侮っていたため、すぐに鬼役となり、何度も缶を蹴られてしまった。最終的に鬼を増やすことでバランスを取り、日が暮れるまで遊び続けた。
ビッグルーフ・シャシャートの発展
ビッグルーフ・シャシャートでは従業員の数が増え続け、二百人の一期組に続き、二期組が加わった。路上生活を送っていた彼らは、ここでまともな生活を手に入れた。寮では清潔な寝具が支給され、毎日温かい食事が提供された。
仕事と専門職の役割
従業員は専門職と一般業務に分かれて働いた。料理、接客、遊戯エリアの管理などがあり、ボウリングのピン並べや客の誘導も重要な仕事の一つであった。チップは従業員自身のものであり、貯金するよう勧められていた。
新たな目標と成長
三期組として入ってくる新たな従業員に向けて説明をする立場となり、仕事の重要性を実感した。先輩従業員であるポッテやラゼック、シャーらの姿を見習い、自身も成長を目指した。ビッグルーフ・シャシャートは順調に発展し、従業員たちの生活も安定しつつあった。
獣人族の子供たちの成長
獣人族の男の子たちは、油搾りや砂糖搾り、塩作りをはじめ、鶏の卵拾いや乳搾りなどの仕事を手伝っていた。ナートは村に来た当初から働いており、ウルザとグラルも後から加わった。彼らは仕事の合間に読み書きや計算、礼法を学び、さらに剣や槍の訓練にも励んでいた。ハイエルフやリザードマンたちが指導を担当し、ガルフも教える側かと思われたが、実際には学ぶ側であった。
アルフレートの加入と父の心配
アルフレートがこのグループに加わることになり、父はまだ早いのではないかと疑問を抱いた。しかし、そろそろ学ぶべき時期だと納得し、見守ることにした。獣人族の世話役であるラムリアスが子供たちを監督しており、問題はないと判断された。その後、文官娘衆から仕事を促され、手紙の確認に向かった。
夜の報告と静かな晩酌
その夜、アルフレートは一日の出来事を報告し、ティゼルやトラインが羨ましがっていた。父は成長の早さを実感しつつ、腕の中にいてほしいという気持ちも抱いた。深夜、猫を膝に抱えながら酒を飲んでいたが、酒スライムが分け前を求めてきたため、少し分けてやることにした。
ウルザの狩りと父の決断
季節が穏やかになった頃、ウルザが槍を持ち、クロの背に乗って森へ向かおうとしていた。狩りをするためだと説明されたが、子供が森へ行くことに不安を覚えた。しかし、クロやクロの子供たち、ハイエルフたちが見守っていることを確認し、慎重に判断を下すことにした。アルフレートが肉を欲しがったことが狩りの理由と聞き、最終的に父も同行することを条件に許可を出した。
狩猟の実践と大猪との対決
ウルザは最初に兎を狙ったが、ウノが先に仕留めてしまい、不満を漏らした。自分の手で狩ることに意味があるため、新たな獲物を探すことになった。そこで巨大な猪を発見し、ウルザとクロが果敢に挑んだ。クロの加速を利用して槍を脇に突き立て、見事に仕留めることに成功した。しかし、大猪を運ぶ方法を考えていなかったため、一時混乱したが、ザブトンの子供・マクラの力を借りて解決した。
村への帰還とアルフレートの評価
村に戻ると、ウルザはアルフレートを呼びに行き、狩りの成果を自慢した。アルフレートも彼女を称賛し、ウルザは満足げであった。しかし、父はウルザに勝手に森へ行かないよう釘を刺し、ハイエルフやクロたちにも見守るのではなく止めるよう指示した。さらに、アルフレートが肉を欲しがった理由を尋ねると、ルーが求めていたことが判明した。実験用かと思われたが、母へのプレゼントという意図もあったため、父はアルフレートに自分で狩るよう促した。
夕食の準備と賑やかな宴会
大猪の肉はその日の夕食に使われることになり、人数を集めて準備が進められた。ウルザの希望でバーベキューが開催され、涼しくなってきたこともあり、宴会は賑やかに行われた。
夜の会話と新たな決意
夜、父はルーに肉を求めた理由を尋ねた。彼女は、最近の暑さで皆が気だるくなっていたため、元気を出すために肉を用意しようと考えたのだと説明した。バーベキューでその問題は解消されたものの、会話の流れで彼女は「そろそろもう一人……どうかなぁ」と呟いた。その言葉とともに扉の鍵がかかり、父はある覚悟を決めることになった。アルフレートに「無駄な抵抗をしても、時には温情がもらえる」と心の中で語りかけながら、静かに夜を迎えた。
村の揉め事と決着方法
村では基本的に住民同士の仲は良好であったが、時折喧嘩が発生することもあった。しかし、村長の決定により、暴力は禁止されていた。そのため、揉め事の決着方法として、相撲や腕相撲、チェス、競走などが採用されていた。大食いや大飲みで決着をつけようとする者もいたが、食料を無駄にするのを避けるため、村長がそれを禁止した。
シャシャートの街での対立
シャシャートの街では、漁師と海の種族との間で揉め事が発生していた。原因は、海の種族がカレーを求めたことにあった。港で働く者たちがカレーの噂をしていたのを聞き、海の種族がそれを食べたがった。しかし、カレー屋『マルーラ』では持ち帰りを禁止しており、さらにレシピや材料の提供も難しい状況であった。そのため、漁師たちが海の種族の要求を拒否し、取引が滞ったのである。この事態により、村にも海産物が届かなくなり、村長は事態を把握すると、問題の解決に向けてシャシャートの街へ向かうことを決めた。
シャシャートの街への訪問
村長は竜姿のハクレンの背に乗り、ガルフ、ルー、ティアとともにシャシャートの街へ向かった。竜姿のまま街へ降り立つと混乱を招くため、街の外に着地し、ゴロウン商会の馬車で市街へ移動した。マイケルが手配した宿に宿泊し、揉め事の決着がつく日を待つ間、ルーやティアと共に街を見て回った。
試練の開始と食の対決
漁師と海の種族の対立は、古くからの伝統に則り、試練によって解決することとなった。その試練とは、海の種族が用意した海産物を食べることであった。漁師や商人たちはこの試練に参加したが、最初の料理であるマグロの生切り身が出された時点で、ほとんどの参加者が震え上がった。村長だけは平然と食し、さらに次のシラス、ウニ、フグ、カニ、イクラ、サザエ、アワビ、ウツボ、タコといった料理も問題なく完食した。最終的に、村長だけが試練を最後まで乗り切り、漁師側の勝利が決定した。
対立の解決と新たな取り決め
この結果により、漁師と海の種族の取引は従来通り継続することが決まった。また、カレーに関しては月に一度、海辺で出店する形で提供することになった。これはマルコスとポーラの提案であり、他の地域での出店計画も兼ねて試験的に導入された。また、漁師や商人たちが感謝の意を示し、海辺に簡単な店舗を建てることを申し出た。
村での秋の収穫と新たな計画
村では秋の収穫が始まり、村総出で作業が行われた。各村の収穫状況も順調であったが、一部の畑では成長が遅れている報告があり、村長は後日話を聞くことにした。また、武闘会の準備が進められており、今年は文官娘衆にすべて任せることになった。一方、村長はビッグルーフ・シャシャートの発展について考えていた。
ビッグルーフ・シャシャートの発展計画
ビッグルーフ・シャシャートの南側は牧場として整備が進められ、駅の準備も進行中であった。試運転として周囲を周回する遊覧馬車が運行され、意外にも近隣住民から人気を集めていた。しかし、広告が文字のみであったため、識字率の低さを考慮し、今後は絵を取り入れる必要があると村長は反省した。
また、東側の活用についても検討されていた。最終的に、塾、大浴場、宿泊施設の建設が候補として挙げられた。塾では基礎的な教育だけでなく、武器の扱いも教える方針が採用された。大浴場は概ね好評であったが、シャシャートの街の水事情が懸念されたため、詳しく検討する必要があった。宿泊施設については、客のマナーに関する懸念が示され、高級志向にするか慎重に判断する必要があるとされた。
金貨の価値と経済の再認識
村長はこれまで金貨の価値を誤解していたことに気付いた。竜の巣から手土産として大量の金貨を受け取っていたため、感覚が麻痺していたのである。これにより、村の収穫物の価値も非常に高く、特に調味料やハチミツは市場で天井知らずの値がついていた。金貨の価値を再認識した村長は、竜族や始祖からの手土産を今後は断る方針を決定した。
新たな発展への準備
最終的に、ビッグルーフ・シャシャートの東側には塾、大浴場、宿泊施設を建設し、さらに美容や装飾関係の店舗を誘致することで計画が進められた。旅の女性客をターゲットにし、周辺の飲食店とも連携することで、さらなる発展を目指すことになった。こうして村長は新たな発展に向けた準備を進めることを決意した。
武闘会の開催と予期せぬ混乱
秋の収穫後に行われた武闘会は、例年通り無事に終了した。今回は文官娘衆に運営を任せたが、予想外の事態が続き、村長は舞台の修復や来客対応に追われることとなった。クロの子供たちの喧嘩の仲裁、酔っ払った竜族の相手など、普段と変わらない忙しさであった。
また、来客も多く、竜一家、魔王たち、始祖が訪れたが、それぞれが新顔を連れていた。竜一家は武骨な悪魔族の男性を、魔王は先代の四天王二人を、始祖は聖女と呼ばれる少女を伴っていた。特に聖女は気が強く、猫を怖がる様子が目立った。さらに、南のダンジョンのラミア族と北のダンジョンの巨人族も、それぞれ精鋭二十人を率いて参加し、戦意高揚のダンスを披露した。その結果、予定していた予選会場が使用できなくなり、急遽変更する事態となった。
新たな部門の追加と混乱の拡大
今年の武闘会では、一般の部、戦士の部、騎士の部に加え、新たにインフェルノウルフの部、デーモンスパイダーの部、王の部が追加された。特にインフェルノウルフの部は、クロの子供たちの要望により雄雌別に分かれた。さらに、大会中に乱入者が続出し、混乱が加速した。
優勝者は以下の通りである。
• 戦士の部:ドワーフのドノバン
• 騎士の部:天使族のキアービット
• インフェルノウルフ(雄)の部:悪魔族のグッチ
• インフェルノウルフ(雌)の部:ザブトン
• デーモンスパイダーの部:コキュートスウルフのフブキ
• 王の部:ライメイレン
特にライメイレンは圧倒的な強さを見せ、王の部を制した。騎士の部ではキアービットが強者たちのつぶし合いをうまく利用し、優勝を果たした。
文官娘衆の奮闘と妊娠による混乱
文官娘衆は事前の準備を徹底していたが、フラウの妊娠が発覚し、指揮系統が混乱した。フラウに続き、獣人族の代表セナ、さらにラスティの妊娠も判明し、それぞれの周囲が騒然となった。ビーゼルは歓喜し、セナの妊娠には獣人族全体が祝福を送り、ラスティの妊娠は竜族にとっても特別な意味を持った。ラスティは妊娠中は人の姿に固定されるため、竜の姿になれず、村の輸送力に影響を与えた。そのため、ドライムとグラッファルーンが代役を申し出たが、彼らに指示を出せる者が少なく、村長が対応に追われることとなった。
冬の準備の遅れと対応
武闘会の終了後、村は冬の準備に取りかかった。しかし、後片付けに人手を取られたこと、ルー、ティア、リア、ハクレンが始祖の依頼で不在だったことにより、作業が遅延した。特にルーとティアが不在だったことは、村長の負担を大きくした。彼女らは秘書的な役割も担っていたため、全体の進行が滞った。
また、フラウの妊娠に伴い、ビーゼルはフラウ専属のメイドを村に派遣することを決定した。クローム伯爵邸を仕切るベテラン使用人ホリーが派遣され、屋敷の管理を担当することになった。ホリーは村の生活に順応し、村長の子供たちともすぐに打ち解けた。
一方、獣人族のセナの妊娠により、ハウリン村との連絡が密になった。ハウリン村の村長は娘婿の顔を見たがっていたが、村人たちの意見により、ハウリン村長が村を訪れるべきとの判断が下された。冬の移動が困難なため、顔合わせの機会は先延ばしとなった。
聖女の滞在と村の適応
始祖が武闘会に連れてきた聖女は、村に残ることとなった。しかし、彼女はほとんど部屋に引きこもっており、村長の勧める活動には消極的であった。ただし、一ノ村の住人の指示には従っており、特定の人物には心を開いているようであった。ウルザは猫を通じて彼女と交流を試みたが、やりすぎを注意された。
冬支度の加速と今後の課題
冬の準備は遅れたが、村人たちは協力し、なんとか作業を進めていた。村長はフラウやセナの妊娠が進む中、彼女たちの負担を減らすための対策を考えつつ、冬の生活がスムーズに進むように努力していた。
しかし、村長自身も多忙を極めており、特に対人関係の調整に追われていた。ラスティの妊娠による輸送問題、ドライムたちの対応、ホリーの受け入れ、ハウリン村との交渉など、多くの課題が残されていた。それでも村人たちの協力を得ながら、冬に向けた準備は着実に進められていた。
世界の危機を信じた男
十歳のとき、天啓を受けた男は、世界を救うために生涯を捧げる決意をした。学問を修め、二十歳で行政に携わり、三十歳で都市を任され、五十歳にして宰相となった。家庭も築き、五人の子を持つ身となったが、彼の真の目的は変わらなかった。悪を討つ軍勢を揃えるため、長年にわたり組織を築き上げた。
秘密組織の会議と違和感
暗闇の会議室に集まる十三人の男女は、同じ三角型の覆面マスクを着用していた。議長である彼は、自らの組織が正義のために結成されたことを確信していた。しかし、会議が進むにつれ、彼の中に違和感が生じた。
魔導軍団を率いる者が、二千の兵を即座に動かせると報告し、諜報部門は勇者たちの活動低下を伝えた。勇者たちの不可解な行動に困惑する中、組織の本命である聖女についての話題が持ち上がった。聖女を迎え入れるはずだったが、すでにコーリン教本部に保護されていたため、強行手段に出るべきだと意見が交わされた。
王子である No.11 が自らの軍を動かすと宣言し、「我らが正義だから」と自信を見せた。しかし、議長の中に生じた違和感は消えず、次第に自分たちの行動に疑問を抱くようになった。
襲撃と組織の崩壊
突然の敵襲により、会議は中断された。組織の精鋭たちが迎撃しようとしたが、襲撃者たちは圧倒的な力を持ち、魔導軍団の攻撃を軽々と防いだ。竜の炎のような攻撃を放ちながらも、誰一人として殺さなかった。
襲撃者たちは「目を覚ませ」と告げ、組織を壊滅させた。議長は、自らの信じてきた正義が果たして本物だったのか、天啓が誤りだったのかを考え始めた。そして、後日聖女から伝えられた神の言葉を聞き、彼はすべてを悟った。「状況って変化するから……ごめん」
ガブルスローの誇りと挑戦
かつて「マルゴーストのダンジョン」を初攻略した魔法使い ガブルスロー は、晩年を研究に捧げていた。中級魔法の改良を続け、火の魔法を一段階強化することに成功したが、世間にはあまり知られていなかった。
ある日、取材者を連れて実験場で成果を披露していたところ、突如現れた二人の女性にスカウトを受けた。彼女たちは新たな塾の講師を探しており、ガブルスローの師である アットマ の推薦によって訪れたという。
最初は興味を示さなかったが、二人の女性の実力を目の当たりにし、考えを改めた。彼女たちはレベル七の魔法を無詠唱で発動し、その魔力消費はレベル一相当だった。その圧倒的な技術を見て、ガブルスローは自尊心を刺激された。「ワシの実力を証明してやる!」と叫び、彼も塾に参加することを決意した。
伝説級の講師陣と新たな塾の誕生
塾には、彼の師 アットマ だけでなく、伝説的な魔法使いたちが集まっていた。
• ルールーシー=ルー:吸血姫と呼ばれる魔道具・魔法薬学の天才
• ティア:殲滅天使の異名を持ち、ゴーレム使役魔法の第一人者
• フローラ=サクトゥ:治癒魔法の第一人者
ガブルスローは、彼らと共に教壇に立つことを決めた。そして、塾生を募ることになったが、まだ一人もいなかった。しかし、彼は確信していた。「ワシらがいれば、すぐに集まるはずだ」と。
こうして、新たな塾が誕生した。ガブルスローは、研究と教育の両立という新たな挑戦に踏み出したのである。
温泉地での整備と休息
冬が迫る中、温泉地の整備のために訪れた一行には、ハイエルフ三人、クロ、ユキ、ドライムが同行していた。施設の損傷は少なく、掃除を中心に作業を進めることとなった。警備は死霊騎士が担当し、ライオンの協力もあって監視範囲が広がっていた。作業後、一同は温泉を楽しみ、宿泊施設の広間でコタツに足を入れ、ミカンをつまみながらくつろいだ。
緊急事態と未知の魔虫
見回りに出ていた死霊騎士が、慌てた様子で戻ってきたことで緊張が走った。ライオンの子供が大きな虫を咥えており、その正体を確認すると、一同は青ざめた。ハイエルフたちは、それが ロフイーター という魔虫であることを説明した。冬の間に繁殖し、春になると群れをなして進撃し、食べ物だけでなく、あらゆるものを食い尽くす危険な存在であった。
ザブトンの子供たちの迅速な対処
ハイエルフたちは村に戻り、応援を呼ぶことを提案したが、クロとユキ、そしてドライムは冷静であった。ドライムは「虫の王が黙ってはいまい」と語り、その言葉の意味がすぐに明らかになった。森の上には ザブトンの子供たち が数百匹集結しており、彼らはすぐに移動を開始した。その圧倒的な勢力により、ロフイーターの脅威は一瞬にして消え去った。
温泉での安堵と焼き肉の夜
事態が収束し、一行は再び温泉に入り、コタツでくつろいだ。ライオンの子供が咥えていたロフイーターはすでに食べられていたが、美味しくはなかったようだ。代わりに、今夜は焼き肉をすることが決まり、全員で楽しむこととなった。しかし、ドライムの指摘により、長く滞在することは避けるべきと判断された。
村での管理と夜の自由の喪失
ルー、ティア、リア、ハクレンが不在の現在、夜の自由がなくなっていたことに気づいた。セナ、フラウ、ラスティも妊娠中で頼ることはできず、アンは子供の世話に追われ、フローラは研究を優先していた。ヤーは積極的すぎるため、温泉地に逃げてきたという事情もあった。結局、フラウに相談し、ホリーに管理を任せることとした。
『マルーラ』で働く少女の願い
メル はシャシャートの街で暮らす少女で、両親はそれぞれ港湾作業員と酒場の手伝いをしていた。家計は苦しくはなく、彼女が『マルーラ』で働く理由は ウエートレス服 への憧れだった。しかし、誰でもその服を着られるわけではなく、特定の仕事に就かなければならなかった。
仕事への努力と日々の生活
彼女はウエートレス服を着るために努力を重ねた。仕事だけでなく、清潔感を保つために毎日寮の風呂に入り、髪の手入れにも気を配った。通勤は街の南側からだったため大変であったが、馬車の運行が始まり、負担が軽減された。
髪の手入れと従業員への提言
メルは髪の手入れの重要性を実感し、前髪のカットを自分で行うようになった。しかし、同僚たちの髪が手入れされていないことに気づき、その理由を探ると、多くがストリート出身で母親がいなかったことがわかった。そこで、彼女は『マルーラ』の管理者であるポーラに相談し、美容師を呼ぶよう訴えた。
美容師の来訪と新たな規定
数日後、『マルーラ』の寮に 二十人の美容師 が訪れ、従業員の髪を整えた。希望する者には髪型の相談にも応じたため、メルも大いに満足した。しかし、ほかの従業員は髪を切られることを怖がり、躊躇していた。そこで彼女は「全員カットすべき」と強く主張し、美容師の手が余らないよう手配した。
髪に関する新たな規定
後日、『マルーラ』では 髪の手入れに関する規定 が設けられた。「見苦しくない程度に整えること」とされたが、メルは 「美しくするべき」 だと強く感じていた。特に、ウエートレス服を着る者には、より厳格な基準が必要だと考えていた。
二章 猫と転移門
始祖の帰還と新たな出発
始祖たちが戻ったものの、リアとハクレンを村に残して再び出発した。仕事は終わったが、後始末が必要とのことだった。ルーとティアも同行し、ビッグルーフ・シャシャートで塾の先生を探す予定だった。すでに文官娘衆にも教師役を依頼していたため、人数が多くなりすぎる可能性があったが、彼らは集まれば何か研究を始めるため、問題ないとされた。
アルフレートの魔法修行
アルフレートは魔法の練習を続けていた。ルーが不在のため、リアが指導役を務めていた。彼が学んでいたのは魔力の操作に関する基礎であり、攻撃魔法を習得するにはまだ早かった。リアは、ヒイチロウへの魔法教育も慎重にするよう助言し、ライメイレンが魔法を教えようとするのを主人公が止める場面もあった。
猫のパートナー問題
コタツの上でくつろぐ猫を見て、主人公はその繁殖相手について考えた。森で他の猫を見かけたことがなく、放っておけば一生独りの可能性もあった。マイケルに頼むかと考えたが、一匹だけ依頼するのは気が引けたため、野良猫を捕まえることを決意した。しかし、ルーとティアが帰還した際、彼女たちの腕には額に宝石を持つ 宝石猫 がいた。その猫は貴重な魔獣であり、雌だった。
猫と宝石猫の攻防
冬の間、猫は宝石猫から逃げ回っていた。宝石猫のほうが積極的で、最終的に首を嚙まれて引きずられていった。主人公が助けに入ろうとしたが、宝石猫に睨まれて断念した。宝石猫は強力な身体強化と治癒魔法を持ち、クロの子供たちやザブトンの子供たちの前では勝てない様子だった。
家族との団欒
主人公の部屋では、クロやユキ、アルフレート、ティゼル、ルーたちが集まり、和やかな時間を過ごしていた。トランプをすることになり、親子コンビ戦が提案された。主人公は猫を誘ったが、宝石猫が代わりに加わることになった。最終的に主人公は読み手となり、家族全員でゲームを楽しんだ。
東のダンジョンの発見
ウルザとグラルがハクレンとともに 東のダンジョン を発見した。最初に発見したのはインフェルノウルフたちであり、ハクレンが同行して確認を進めた。ダンジョンの存在が報告され、調査隊の派遣が決定された。主人公も同行を希望したが、安全を理由に却下された。調査隊はハイエルフ十人、リザードマン五人、獣人族のガルフ、インフェルノウルフ二十頭、ハーピー五人、そしてハクレンで構成された。隊長にはキアービットが任命された。
ダンジョン探索への執着
主人公はダンジョン探索に行けないことを不満に思い、自ら ダンジョンを造る ことを考えた。ルー、ティア、ドライムが協力を申し出、計画が進められた。ダンジョンは 三層構造 で設計され、一階は初心者向け、二階は標準的な構造、三階は竜の巣をモデルにしたゾーンとされた。しかし、掘削作業は主人公が担当するため、進行は遅かった。
ダンジョン造りの困難
工事が進む中、ハーピー族が巣を作ろうとし、山エルフが過剰なトラップを設置するなどの問題が発生した。ウルザとグラルも興味を示し、未完成の状態でダンジョンに入りたがったため、制止が必要となった。そんな中、 フラウが産気づいた 。
フラウの出産と父親の動揺
フラウの出産が始まったが、主人公を含めた男性陣の立ち入りは禁止されていた。そのため、彼は落ち着いて待つしかなかった。しかし、ビーゼルは違った。彼は娘の出産を前に落ち着かず、あちこちを歩き回り、何度も心配の声を漏らしていた。主人公は彼の気を紛らわせるために話題を探したが、下手なことを言うと貴族的な言い回しに変換され、誤解を招く可能性があったため慎重になった。
安産祈願と魔神像
主人公は安産を願い、神像を彫ることを思いついた。ビーゼルにどの神に祈るのか尋ねると、彼は 魔神 と答えた。魔神は魔族の守護神であり、魔法の神でもあるという。そこで主人公は、ビーゼルの想像する魔神を『万能農具』で彫ることにした。しかし、なぜか最初に 猫の像 を彫ってしまい、作り直すこととなった。完成した魔神像はビーゼルの期待に応えるものとなったが、彼は猫の像のほうが神々しく感じると評した。その後、猫の像は酒スライムによって 聖女のもと へ運ばれ、最終的に 祭壇 に置かれることになった。
フラウの無事な出産と祝宴
出産の時間が長引き、主人公も不安を覚え始めたが、やがて元気な産声が響いた。悪魔族の助産師から報告を受け、 女の子 が生まれたと知らされた。フラウは初産で苦労したが、母子ともに無事であった。ビーゼルは感極まり、勢いよく扉の前に飛び出したものの、扉が開いた瞬間にぶつかってしまった。その夜、村では祝宴が開かれ、ビーゼルは安心からか酒を飲みすぎて倒れた。
フラシアの誕生と魔王国からの贈り物
生まれた娘は フラシアベル と名付けられた。魔王国の魔王や貴族たちからも祝いの品が届けられた。魔王国では、出産直後の家庭に直接訪問しないのが礼儀とされており、贈り物は使者を通じて届けられた。ビーゼルは孫娘を自慢したがっていたが、落ち着いてからの機会とされた。フラシアの育児はホリーを中心に行われ、文官娘衆も見習いとして手伝った。主人公は育児に関わりたかったが、村の仕事を優先するよう圧力をかけられ、たまに抱っこさせてもらうことで満足することとなった。
聖女の祭壇と猫の神像
聖女の要請により 祭壇 の製作が始まった。山エルフたちと協力し、三日で完成。祭壇は 折りたたみ式 で、持ち運びが可能な設計とされた。完成した祭壇に猫の像が置かれ、聖女は 神聖な儀式 を執り行った。神聖な雰囲気が漂う中、酒スライムが供え物の酒を盗み飲みしていた。
ダンジョン開発と新たな農作物
主人公は 自作ダンジョン の建設を再開した。ドライムが設置した 魔道具 により、内部の温度が一定に保たれ、快適な環境となった。一階層には モヤシ畑とアスパラガス畑 を作り、新たな食材として育てることにした。白アスパラは子供たちに好評で、大人には通常のアスパラが好まれた。主人公は料理のレパートリーを増やす必要を感じたが、ベーコン巻きやサラダがあれば十分と判断した。
東のダンジョン調査隊の帰還
東のダンジョンに派遣された調査隊が無事に戻ってきた。当初はハーピー族による日報の伝達を予定していたが、長時間の飛行が負担になるため、緊急時のみ連絡を行う方式に変更された。調査の結果、 ゴロック族 という全身が岩でできた種族が発見された。彼らは 詩を詠むこと に長けており、知的な存在だった。しかし、調査隊は岩に擬態する彼らを敵と誤認し、戦闘を仕掛けてしまったため、全員が負傷し移動できない状態だった。ゴロック族は静かに暮らしたいと願い、友好的な関係を築くことができた。
虹白銀と宝石猫の像
調査隊は 虹白銀 の塊を持ち帰った。この鉱石は極めて硬く、加工が難しい貴重な素材だった。主人公は試しにノミで削り、即興で 宝石猫の像 を作った。しかし、本物の宝石猫が像を守るように構え、手放すつもりはないようだった。削りカスは村の鍛冶師ガットが引き取り、彼は大喜びした。調査隊のダガによると、東のダンジョンには 虹白銀の鉱脈 が存在する可能性が高く、さらなる採掘が期待された。
村のダンジョンと仕掛け作り
ガルフは村に戻ると、完成しつつある 新ダンジョン を見て驚いた。彼は ダンジョンの仕掛け を提案したいと言い、主人公は興味を持って話を聞くことにした。ダンジョン造りはまだまだ続くようだった。
雪合戦とハクレンの実演
村では雪合戦が行われることとなり、まず 雪玉の握り方 について説明された。ハクレンが実演を行い、硬く握った雪玉を投げた結果、 雪ダルマが粉砕 された。ティアが作った雪ダルマだったため、村人たちはすぐに修復作業に入った。その後、的を狙って再挑戦するも、雪玉は森の木に命中し、雪を落とす結果となった。この実験により、 硬く握った雪玉の危険性 が示された。
ファミリー部の雪合戦と雪山遊び
村では 対抗戦形式の雪合戦 が開催された。子供たちと大人が混ざって戦うが、大人は手加減するよう指示された。しかし、予想どおり大人たちは 本気になりすぎ たため、試合後は熱めの風呂が用意された。その後、村の南側に 雪山 ができ、子供たちはソリ遊びを楽しんだ。鬼人族メイドが見張り役を務める中、主人公は 火鉢で餅を焼き 、それを振る舞った。子供たちが次々と集まってきたため、餅が不足し、主人公は屋敷に追加の餅を取りに走ることとなった。
ミノタウロス族と巨人族の雪合戦
晴れた日、 二ノ村のミノタウロス族 と 北のダンジョンの巨人族 が訪れた。彼らは 雪合戦をする約束 を交わしており、村を会場として使用することになった。主人公は 雪玉を硬く握らないよう注意 したが、戦いが始まると 砲弾のような雪玉 が飛び交い、流れ弾が危険な状況となった。主人公は火鉢で カツオに似た魚のタタキ を炙っていたが、巨大な雪玉が火鉢ごと吹き飛ばした。その後、彼は雪の壁を築いて対策を施し、新たに 藁焼きの魚 を試みた。しかし、今度は 天使族の空襲 により、大量の雪玉が降り注いだ。これに対抗し、 対空戦が開始 された。
転移門の設置と魔王の懸念
魔王との会談が開かれ、 転移門の設置場所 について協議が行われた。魔王国の法律では 転移門の設置は領主の許可があれば可能 だが、 物流への影響 や 魔物の侵入リスク を考慮し、 街中への設置は避けるべき という意見が示された。転移門の管理には 記録の保持、通行制限、管理者の配置 などの条件が課されることになった。シャシャートの街の外に設置する案が浮上し、魔王は 新しい村を作ることで転移門を隠す案 を提示した。
新しい村の計画と転移門の課題
シャシャートの街から馬車で 一日 の距離に転移門を設置し、その周辺に 新たな村 を作る案が本格的に検討された。しかし、新たな村を作るためには 住人の確保 や 労働力の調達 という課題があった。また、ビッグルーフ・シャシャートとの関係も考慮しなければならず、最終的に 春になってから視察すること が決まった。
元四天王ゲーテグルーの疑念
元四天王である ゲーテグルー は、魔王国の上層部が 特号案件 を巡り 利益を得ている ことに疑問を抱いた。かつて勇者の暗殺を担当した彼は、 魔王が勇者と手を組んだ可能性 を疑い、調査を始めた。しかし、 シャシャートの街 での調査では 何の情報も得られず 、代官や裏社会の人間にも手がかりがなかった。
謎の村への招待
元四天王 パルアネン も同様に疑念を抱き、ゲーテグルーと共に 魔王に直接問いただすこと にした。しかし、魔王は彼らに “死の森”の中心にある村 へと案内した。そこで二人は 信じがたい光景 を目にした。
“死の森”の驚異的な住人たち
村には インフェルノウルフが百頭以上 従順に暮らし、 デーモンスパイダーが行進 していた。さらに、暗黒竜 ギラル 、竜王 ドース 、台風竜 ライメイレン 、大悪魔 グッチ 、殲滅天使やコーリン教の宗主までが集まっていた。ゲーテグルーはこの異様な光景に 世界征服の準備 を疑ったが、そこに住む 村長 を見て確信した。
魔神の覚醒
“死の森”にはかつて 魔神が封じられた という伝承があった。その中心に 一人で村を築いた村長 。インフェルノウルフの腹を撫で、デーモンスパイダーを肩に乗せる 圧倒的な存在感 。ゲーテグルーは彼こそが 魔神の化身 であると悟った。彼は 魔族の神 であり、この村はまさに 神域 だった。
孫娘への期待と魔神への忠誠
この村にはゲーテグルーとパルアネンの 孫娘 も働いていた。彼は 孫娘が村長の寵愛を受けることを期待 し、魔族の未来を明るく感じた。そして、彼は自らの名を ゲーテグルーテラーテセポネスト と改め、 魔神の信奉者 となることを決意した。
魔神の証明と孫からの戦歴報告
元四天王である パルアネン は、友人である ゲーテグルー がとある村の村長を 魔神と崇め始めた ことを疑問視していた。確かに村長は 只者ではない が、魔神であるならば 魔法の神としての力 を持つはずであり、魔法が 全く使えない という話と矛盾していた。そこで、彼は 村長の神性を証明する何か を求めた。しかし、村長は 普通の人間 であると主張した。
そんな中、パルアネンは村で暮らす 孫娘 と再会し、村長の 戦歴 を聞くこととなった。孫は 鉄の森のワイバーン撃破、グラップラーベアとブラッディバイパーを瞬殺、暴れ竜ラスティスムーンの撃退、数百年前の竜を撃破、死の森の魔物や魔獣をほぼ瞬殺 という驚異的な戦績を伝えた。最初は 誇張 だと疑ったが、ラスティスムーンが 妊娠中 であり、数百年前に暴れた竜の子供が実際に村にいることを知り、現実を受け入れざるを得なかった。
神への奉仕と教育者の確保
村から帰還した後、パルアネンは孫娘の頼みで 教師となる人材 を探し始めた。彼には心当たりがあったが、すでに職についている者が多く、すぐには確保できなかった。しかし、急ぎではないと聞き、次第に 側室候補を紛れ込ませる ことを画策し始めた。竜族を娶るほどの村長ならば問題ないと考えたが、孫娘からは 即座に却下 された。
その後、狙っていた人材と連絡が取れず、先を越されたことを悟った。村長に仕える者が増えている事実に気づき、 神のために奮闘する決意 を固めた。
転移門の設置計画と村の建設構想
パルアネンは 転移門の存在 を知り、その設置場所について議論を行った。候補地は シャシャートの街 だったが、設置場所や管理者の問題があった。さらに、転移門が勇者に知られれば 争いの火種 になりかねないと懸念した。
転移門の目的が 村の作物を外へ販売するため であると知り、それ自体には理解を示したものの、死の森からの移動があまりに危険であると考えた。村の食材の 美味しさと品質の高さ に感動した彼は、転移門を 村の発展のために役立てるべき だと確信した。
彼は シャシャートの街から少し離れた場所に新しい村を作り、そこに転移門を設置する ことを提案した。さらに、自らを村長候補として推薦し、長年の補佐役と共に新しい村の運営を担当する決意を固めた。しかし、彼の息子は 領地経営が崩壊する と懇願し、大きな騒動となった。
新しい村の住民候補と魔王国の支援
新しい村の建設は まだ決定していない にもかかわらず、 住民候補が続々と集まり 、書類上の準備が進められていた。ドワーフ、エルフ、獣人族、魔族、人間など、さまざまな種族が移住を希望していた。文官娘衆によると、これは 魔王国からの支援の一環 であり、新たな村が正式に決定した際の 優先候補者リスト であった。
また、村長候補に ゲーテグルー も名乗りを上げ、 両者の間で競争が勃発 した。パルアネンは 負けじと奮闘し、神に仕える覚悟を示した 。
各村の視察と四ノ村の秘密
冬が終わりに近づく頃、村長は 各村の状況を確認するため に視察を行った。一ノ村では 豚が異様に締まった体型 になっており、二ノ村では ミノタウロス族の子供たちと遊び 、三ノ村では ケンタウロス族と馬が競争 を繰り広げた。四ノ村(太陽城)では 春のような暖かさ を感じながら、ベルの案内で ゴウの体が保管されていた部屋 を訪れた。
部屋には 多数の人型のガラスケース が並んでおり、その中で アサ、フタ、ミヨ の復活作業が進められていた。ベルは 思考のみで操作可能な技術 を持っており、これは 村の秘密の一端 であった。
宝石猫の妊娠とセナの出産準備
村では 宝石猫の妊娠 が発覚し、彼女のために 専用の部屋が用意 された。猫は距離感を保ちつつ、少し困惑した様子を見せていた。
一方、セナの妊娠も確認され、彼女の 出産環境の整備 が進められた。主人公は 屋敷での出産を提案したが、周囲から反対 され、最終的には 彼女の慣れた環境での出産 が決定した。獣人族の ラムリアスが世話役を担当 し、主人公は さりげなくサポートを続ける こととなった。
ラスティと悪魔族の助産師、グッチとの再会
ラスティは ドライムの別荘に居住 し、 悪魔族のブルガやスティファノと共に生活 していた。彼女の元には ドライムや悪魔族の助産師 も訪れ、村の助産体制が整えられていた。
また、主人公は 悪魔族のグッチと再会 し、 コタツで語らいながらチェス を楽しんだ。グッチは ラスティの母親としての成長 を喜び、「もらい手がないと思っていた」と感慨深げに語った。
フラウの母シルキーネの訪問
フラウの母 シルキーネ が村を訪れた。彼女は フラウよりも若く見える美貌 を持ち、主人公は最初 フラウの妹 ではないかと疑った。彼女は ビーゼルを「ビー君」と呼び、夫婦の関係がまるで中年と末娘 のように見えた。
フラウは 母との対面を避けたがっていた が、最終的には 対面を受け入れた 。シルキーネは フラウとフラシアを温かく見守りつつ、村の生活に溶け込んでいった 。
フラウは母の影響を警戒し、主人公との距離を詰め 必要以上に警戒する態度 を取った。しかし、主人公は フラウの心配を一蹴し、シルキーネとの関係に誤解がないことを伝えた 。
魔神の失敗と新たな役割
かつて、世界の魔力を管理する役目 を担う神が存在していた。彼の名はなく、ただ 魔神 と呼ばれていた。魔力の管理は複雑で困難であったが、彼はその仕事に誇りを持ち、全力で取り組んでいた。しかし、ある日、魔力の漏出を防ぐことに失敗 し、世界に亜人と呼ばれる新たな種 が誕生してしまった。
魔神はその失態を創造神に謝罪 したが、創造神は叱責することなく、「新たに生まれた者たちを見捨てずに見守れ」と新たな使命を与えた。こうして、魔神は 亜人の神 となり、魔力の管理をより厳格に行いながら、彼らの成長を見守ることになった。
神々の過ちと魔神の怒り
魔力の管理を失敗した原因は、後に明らかとなった。男神と女神が魔力を蓄えていた倉庫で戯れた ことにより、魔力が漏れ出したのだった。そして、その二柱は 同じ過ち を再び犯した。
魔神は激怒し、その場で二柱の神を撲殺 した。神は死ぬことはなく、起源へと戻るだけであったが、彼らは世界の 人と農作物の管理を担う神 であったため、世界は混乱に陥った。さらに、新たな魔物や魔獣が生まれ、世界崩壊の危機 が迫った。
魔神は手元の魔力を用い、世界の崩壊を阻止 した。しかし、その代償として、彼は 神の世界へ戻ることを禁じられ、地中深くに封じられた 。
魔神の封印と怒りの呪詛
魔神は自らが封じられたことに 強い怒りを抱いた 。彼は確かに 世界の法則を狂わせた が、それは 世界を救うため であった。それにもかかわらず、彼は 神の世界から追放された 。
創造神の優しさを知る魔神は、時が経てば 封印を解かれる可能性があった と考えた。しかし、怒りに駆られた彼は、神と世界を呪い、封印の地で 長い時間を過ごすことになった 。
魔神の現在と新たな家族
魔神はふと、隣で眠る宝石猫 を見た。その 腹には自らの子が宿っていた 。彼は自身が許されたのか、それとも このまま朽ち果てる運命 なのかを考えた。しかし、今となってはどちらでもよい。
彼には 守るべき妻と子 ができた。そして、この村の住人たち も守ると決めた。
日常の光景と穏やかな生活
魔神は、村の子供たちが 猫を抱えて走り回る様子 を見守っていた。ウルザが猫を抱えて走ると、鬼人族の娘がたしなめ 、猫を返すように促していた。魔神は 毎回のことに謝意を述べ ると共に、食事についても感謝した。
また、彼は まだ生まれぬ子供に向けて、父親として頑張る決意 を口にした。
コタツの争奪戦とウルザのタックル
アルフレートが コタツの右端を占拠 していた。そこは魔神にとって 最適な場所 であり、彼は譲るように求めた。アルフレートは素直に従い、魔神は 加護を与えると共に、背中を撫でさせた 。
その直後、ウルザが 低空高速タックル を仕掛けてきた。魔神は なぜ彼女が会うたびに突進してくるのか を理解できず、困惑しつつも、許しを請うことしかできなかった。
三章 和解の春
春の訪れとダンジョンの変化
村に春が訪れ、気温が上昇した。南の雪山はまだ解けていなかったが、やがて低くなるであろう。冬の間、子供たちが楽しんだことを思うと、名残惜しくも感じられた。
ザブトンが久しぶりに姿を現し、村長を捕まえて運んでいった。行き先は村の南にあるダンジョンの入り口だった。ザブトンにはダンジョンのことを知らせていなかったため、驚いた様子であった。案内をしながら、冬の間に進めたダンジョン建設や転移門の計画、新しい村の構想 について説明した。
ザブトンはダンジョンを気に入ったようであったが、一部の設計に不満を抱き、修正案を伝えた。しかし、その修正は 極端に危険 だったため、受け入れがたかった。ザブトンの子供たちもダンジョン内を自由に動き回り、環境に馴染んでいた。
ダンジョンの拡張計画
三階層の建設はまだ途中であった。転移門の設置計画のために工事が一時中断 していたためである。さらに、新たな四階層を建設する計画 も浮上し、ダンジョンの拡張は継続的な課題となっていた。
ザブトンの子供たちが四階層の建設を申し出た。穴掘り特化の個体がいる ということで、ダンジョンの構造に適した工事が可能であるらしかった。村長はルーたちと相談し、四階層の建設を彼らに任せることを決定した。
農作業と村の目標確認
各村の村長代行と集まり、本年度の目標を確認した。生産計画や新しい施設の建設 については冬の間に話し合いが済んでいたため、最終確認のみで進行した。特に問題はなく、計画通りに進められることとなった。
村長は『万能農具』のクワを手に、大樹の村の畑を耕した。畑は広大であったが、収穫の喜びを知っているため苦ではなかった。万能農具を使えば疲労も感じないため、作業効率は格段に向上していた。以前は時間がかかっていたが、今では 一カ月ほどで完了 できるほどになっていた。
宝石猫の出産
作業の途中、猫が慌てて飛び込んできた。ピンときた村長は、猫を抱えて屋敷へ急いだ。予感は的中し、宝石猫が 出産間近 であった。
宝石猫は落ち着かない様子で シーツを寄せて目隠しを作る など、出産の準備を進めていた。村長は 鬼人族メイドに治癒魔法が使える者の呼び出し を頼み、駆けつけたルーとともに見守ることにした。
六時間後、四匹の子猫が誕生 した。部屋には 喜びの鳴き声 が響き渡り、猫も満足げであった。しかし、村長が 子猫の誕生に対して過剰に喜んでいた ため、ルーに指摘されてしまった。
子猫の命名と村の新たな住人
子猫の誕生に伴い、猫と宝石猫の名前の問題 が浮上した。区別するために 正式な名前を付ける必要 があった。
宝石猫は 鬼人族メイドたちから「ジュエル」と呼ばれていた ため、そのまま採用。猫の名前については議論が発生し、新たに考えることとなった。フランス語やドイツ語の名称も検討されたが、最終的に保留となった。
子猫の名前については、候補を挙げて 猫に選ばせる 方式が採用された。結果として、ミカエル、ラファエル、ウリエル、ガブリエル に決定したが、日常の呼び方として ミエル、ラエル、ウエル、ガエル に略されることとなった。
子猫の 毛色は白二匹、黒一匹、ブチ一匹 であった。生後すぐのため 額に宝石がない ものの、成長とともに現れる可能性があった。
ダンジョンの完成と防衛計画
ザブトンの子供たちが 昼夜問わず作業を進めた結果、ダンジョンが完成 した。
一階層は トレーニングルーム となっており、罠の対策や戦闘訓練に利用された。二階層は 迷路状 になっており、探索の技術を鍛えるためのエリアであった。三階層は 竜の巣を模した防衛施設 となっており、ボス部屋を備えていた。
四階層は ザブトンの子供たちが設計し、地底遺跡風のデザイン が施されていた。五階層には 転移門が設置される予定 であり、管理施設も用意されたが、管理者が未定 であった。
シャシャートの街の混乱
マイケルからの手紙で、シャシャートの街が混乱している ことを知らされた。ビッグルーフ・シャシャートの影響 により人口が急増し、流通が滞っている という。特に、船員が仕事を放棄して街に住み着く という問題が発生し、港が混雑していた。
マイケルは 新たな支店の開設を提案 してきたが、村長は**「ノウハウが足りず、時期尚早」** だと判断した。そのため、日持ちする商品を開発し、持ち帰れる形で販売 する方向で検討することになった。
ラミア族と巨人族のダンジョン進出
南のダンジョンの ラミア族と北のダンジョンの巨人族 が村を訪れ、大樹のダンジョンでの仕事を希望 した。目的は 自然発生する魔物の駆除 であった。
転移門の設置や敵襲の可能性も伝えたが、両者とも 強い意志を持って参加を希望 した。ザブトンにも相談した結果、問題なしと判断され、両種族は四階層に拠点を構えることになった。
新たな探求と今後の課題
村長は 東のダンジョンのゴロック族と会う計画 を進めようとしていたが、西のダンジョンの存在が気になり始めた。他のダンジョンと同様に 調査隊を派遣する必要 があると考えた。
また、各ダンジョンを 地下で繋ぐ構想 も浮かび上がった。雪の影響を受けずに移動できるため、実現すれば大きな利便性があった。しかし、実行するには 村長自身が掘るか、ザブトンの子供たちの協力が必要 となる。
当面は 転移門の設置と管理者の決定 が最優先の課題となるであろう。
子猫との戯れとしつけ
村長が座椅子に座って手紙を読んでいると、子猫のミエルが体を登り始めた。足から腹、胸を経て肩まで達し、最終的には頭の上に落ち着いた。だが、踏ん張るために爪を立てるのが痛かった。ウエルも登ろうとしたが、下手なため途中で村長の腹に爪を立ててしまった。手に乗せて頭の上に移動させると、そこでミエルと喧嘩を始めた。
その後、猫が迎えに来るまで子猫たちと遊んだが、爪による引っかき傷ができた。鬼人族メイドのアンに薬を塗ってもらいながら、子猫たちの無邪気な攻撃の痛みを実感した。アンは「かわいがるだけでなく、しつけも重要」と助言したため、子猫たちにトイレを覚えさせるよう頼んだ。
後日、アンの姿を見た子猫たちがビシッと姿勢を正すようになった。
農作業と連作障害の対策
一ノ村、二ノ村、三ノ村の畑作業は順調であり、大きな問題はなかった。しかし、二ノ村で収穫量が減った畑があり、原因は連作障害と判明した。
同じ作物を繰り返し育てると、特定の養分が失われ、生育が悪くなる。そこで、畑を休ませるか、異なる作物を育てることにした。ダンジョンイモを日光の下で育て、肥料として活用する方法も試みたが、成果は収穫時期までわからなかった。
魔王国では前年からこの手法を導入し、一定の成果が出ていた。今年も成果が確認されれば、人間の国へダンジョンイモを譲る計画があった。しかし、敵対する国への支援物資の提供には政治的問題があり、受け取る側の抵抗も予想された。
村長は「商人に売れば自然に広まるのではないか?」と提案したが、ダンジョンイモは強力な作物であり、国が管理しないと危険であると指摘された。そこで「重要物資として扱い、敵国に奪わせる形にすればよい」と提案すると、ビーゼルが感心していた。
西のダンジョンの調査
西にもダンジョンがある可能性を考え、調査隊を派遣することにした。クロの子供たち三十頭に、ザブトンの子供六十匹を乗せる形で移動することになった。
出発前、背負い袋の中から子猫が発見された。さらに、調査隊に同行しようとしたウルザとグラルを確保し、村長が別の場所へ連れて行くことになった。
転移門の輸送と設置
気球で四ノ村へ移動し、転移門の輸送と設置について相談した。大樹のダンジョン内に設置することは決定済みであり、具体的な手順を確認するためである。
転移門は「ストーンサークル」と呼ばれる石の輪で形成され、文字が刻まれた石を規則正しく配置することで機能する。起動には「座標確定用の石」をセットする必要があった。
ルーは「この起動用の石が転移門の秘密のすべて」と興奮していたが、村長はストーンサークル自体が重要であると考えていた。転移門を安全に保管し、今後の設置に備えた。
転移門の秘密とルーの研究
村長は転移門の文字を解読できる能力を持っていた。ルーにこの事実を伝えると、彼女は驚き、自室から様々な古代の文字が刻まれた石版やクリスタルを持ってきた。
それらを解読した結果、石版は不倫に関する反省文、クリスタルはグライブル学園の卒業者名簿、宝石はお小遣い帳であった。長年研究していたルーは、その内容に愕然としていた。
その後、村長はルーに転移門の文字を説明し、研究を手伝った。しかし、ルーは転移門を再現しようとはしていたが、普及させるつもりはなかったため、村長は安堵した。
ワイバーンとの和解
ライメイレンが訪れ、ワイバーンが和解を求めていると伝えた。村を襲ったワイバーンとは異なり、長老を中心とするワイバーン種が謝罪を申し入れてきたのである。
ワイバーンには高い知能を持つ個体もおり、長寿のワイバーンほど温和な性格になるという。村を襲った個体は例外的な暴れん坊であり、他のワイバーンには敵対する意志はなかった。
村長は謝罪を受け入れることにした。ただし、ワイバーン側の希望で、会談は〝死の森〟の外で行われることになった。ワイバーンは〝死の森〟を飛び越えられないためである。
会談の場として、ドライムの巣が選ばれた。
ワイバーンの謝罪と宝石の贈り物
ワイバーンの長老は、竜に匹敵するほどの大きさであった。彼の背後には同様の巨体を持つワイバーンたちが並び、全員が伏せの姿勢で村長を迎えた。
謝罪の内容は「村を襲ったワイバーンは異質な存在であり、彼らも困っていた」というものだった。そして、今後は村との友好関係を築きたいと申し出た。
村長は「ワイバーンが今後、村に害を与えないこと」を条件に、謝罪を受け入れた。
ワイバーン側からは「謝罪の品」として宝石の原石の山 が贈られた。ルーとティアは驚愕していたが、村長はワイバーンに無理がないかを確認し、謝意を示して受け取った。
ワイバーンとの誤解の解消
ワイバーンたちは、村長がワイバーンを見かけ次第、討伐すると誤解していた。これはドライムの発言が原因であった。
村長は「敵対したワイバーン以外は討伐していない」と説明し、和解が成立した。
また、小型ワイバーンが村の情報をワイバーンたちに伝えていたことも判明した。小型ワイバーンは、通信の役割を果たすだけでなく、ワイバーンの長老の眷属として動いていたのだった。
村長は「今後、ワイバーンとの関係を維持するため、慎重に行動しよう」と決意した。
子猫用の箱と失敗
村長は子猫のために箱を作ったが、全く興味を示されなかった。素材やサイズを変更し、改良を試みたが成果は得られず、猫だけがその箱を利用していた。
後日、猫用に作った箱の中に、子猫たちが入っていた。村長はその不可解な状況に首をかしげたが、猫の行動に疑問を持つのは無意味と悟った。
こうして、ワイバーンとの和解、転移門の設置、子猫のしつけと、村長の日々は忙しく過ぎていった。
子猫の成長と宝石猫の過去
子猫たちは成長し、かつての幼い顔立ちは凛々しくなった。ミエル、ラエル、ウエル、ガエルはそれぞれ白、白、黒、ブチの毛色を持ち、額には母猫ジュエルと同じような宝石が形成されつつあった。
村長はふとジュエルがどこから来たのかをルーに尋ねた。ルーたちは違法取引の現場に踏み込み、宝石猫を没収してきたという。合法で問題はないとのことだったが、その危険な行動には不安を覚えた。
子猫たちは成長しても母猫のそばで眠る習慣を続けていた。そんな中、猫はどこか寂しそうにしていたが、ラエルが寄り添う姿が見られた。なお、子猫の性別はすべて雌であり、猫はこれから苦労することになるだろう。
聖女の定住と交流
始祖神によって村に預けられた聖女は、いまだに村に住んでいた。本来なら受け入れ先が用意されるはずだったが、始祖神の計画が遅れているようだった。
とはいえ、聖女はすでに村の一員として働いており、獣人族や鬼人族とも交流を深めていた。そのため、彼女が望むならこのまま村に住むことも可能であった。しかし、彼女が出て行くと決めた場合は止めることもできない。
村長は少しでも村に留まりたくなるよう、食事の質を向上させることで引き止めようとしていた。特に酒スライムは聖女を慕っており、彼女が去ることを寂しがるであろう。
ダンジョンに移住したラミア族と巨人族
大樹のダンジョンでは、ラミア族五人と巨人族七人が生活を始めた。彼らは定期的にダンジョン内の仲間と交代する予定だった。
村からの支援は不要とされていたが、地上での生活も考慮し、彼ら専用の住居を用意した。これに対し、ラミア族と巨人族は涙を流して感謝した。村長は驚いたが、建築を担当したのはエルフたちであり、彼らこそ感謝されるべきであった。
また、ダンジョンにはザブトンの子供たちも移住を始めた。旅立つ子が例年より少なく、その理由は「ダンジョンに住みたいから」であった。村長は「ダンジョンを拡張すれば、さらに多くの子が定住するのではないか」と考えたが、実行には至らなかった。
ダンジョンに適応したザブトンの子供たちは新たな進化を遂げていた。ニードルスパイダー、ギリースパイダー、ゲートスパイダーといった種類が誕生し、それぞれの役割を担っていた。ルーとティアは彼らを前に少し怯えた様子を見せたが、村長は「元々村の天井にいた子たちだ」と冷静に受け止めていた。
ワイバーンからの贈り物と新たな村の計画
ワイバーンから贈られた宝石の原石は、加工しなければただの石だった。しかし、村には宝石を扱える者がいなかった。
村長は「ドワーフなら得意なのでは」と考えたが、村にいるドワーフは酒造り特化であった。ただし、新しい村の移住候補者に宝石加工が得意なドワーフがいると聞き、彼らに任せることを決めた。
ただし、新しい村の建設が確定してからの話であり、予定地を確認してから判断することにした。
アルフレートとティゼルの成長
村長とルーの子、アルフレートは吸血鬼の特徴がほとんど見られなかった。牙もなく、日光を苦にすることもなかったため、人間寄りに生まれたと考えられた。
一方で、ティアとの子ティゼルには小さな翼が生えていた。ティアはこれを喜び、飛行の講義を熱心に行っていた。ルーはアルフレートに吸血鬼の特徴が出ないことを気にしていたが、村長は「まだ現れていないだけかもしれない」と慰めた。
後日、アンの報告でアルフレートには夜目が利くことが判明し、ルーは喜びを隠せない様子だった。
麦茶の試作と村人の反応
村長は麦茶を作りたかったが、その作り方を知らなかった。ハイエルフたちの知識により、大麦を炒って煮出すことで作れると判明した。
しかし、最初に作った麦茶は濃すぎたため、お裾分けできるレベルではなかった。村長は協力者を募り、ウルザやルー、フラウが試飲したが、ウルザとルーは砂糖を入れて飲むことにした。
濃すぎる麦茶は運動後の飲料として提供することにし、キンキンに冷やすためにルーに氷を頼んだ。その後、ガルフやダガの訓練場に持ち込まれた。
ハイエルフの活動と草集めの困難
ハイエルフたちは建設や狩猟だけでなく、布団の詰め物やトイレットペーパー用の草を集める役割も担っていた。しかし、今年は草の集まりが悪く、行動範囲を広げる必要があった。
ハイエルフたちは完全武装で草集めに出発した。村長は「草を集めに行くのになぜ完全武装なのか?」と疑問に思ったが、彼女たちは「草も抵抗する」と答えた。村長は知らなかった事実に驚き、彼女たちの働きに改めて感謝した。
西のダンジョン調査と新たな村の候補地
西のダンジョンを探していた調査隊が帰還したが、ダンジョンは発見できなかった。探索範囲を広げても見つからず、食料が尽きたため撤退したとのことだった。
村長は「何事も一度で成功するわけではない」として、また別の機会に調査隊を送ることを決めた。一方で、東のダンジョンにいるゴロック族との交流を優先することにした。
また、新しい村の建設予定地が魔王国から示された。想定とは異なり、小山の上の平地であった。魔王国側の説明では「下に作ると魔物の脅威が大きい」とのことであり、安全性を考慮しての選定だった。
水の確保や交通の便に不安があったが、村長は「畑は小山の中腹に作る」などの案を検討しつつ、最終判断は村に戻ってから下すことにした。
ビッグルーフ・シャシャートの発展
村長はシャシャートの街を訪れ、ビッグルーフ・シャシャートの発展を目の当たりにした。昼過ぎでも大盛況であり、特にカレー販売の『マルーラ』には長蛇の列ができていた。
通りを挟んだ南側には馬車駅が完成し、無料の馬車が多くの客を運んでいた。さらに、馬車には宣伝用の絵が描かれ、その中には「武神ガルフ」の絵もあった。フラウは母シルキーネの広告を見て複雑な表情を浮かべていた。
その後、村長はビッグルーフ・シャシャートの発展計画について幹部たちと話し合った。次の新商品としてピザの開発が議題に上がり、新たな展開が期待された。
特命を受けた内政官
ランダンの部下である内政官は、魔王が関与する重要案件を任された。村を誘致する仕事であり、成功すれば出世の機会となるはずだった。しかし、村の設立に関する嘆願書が大量に届き、その中には現役の領主まで含まれていた。この状況に困惑し、ランダンに報告すると彼は頭を抱えた。
内政官は膨大な嘆願書の処理に手が回らず、人員の補充を要請した。その結果、派遣されたのはかつての四天王であった二人の大物だった。彼らは嘆願書を瞬く間に精査し、選別を始めた。内政官は基準について相談を求めたが、二人は「気にするな」と言い放ち、仕事を乗っ取ってしまった。
村の候補地の調査開始
村の設立候補地を調査するため、内政官は護衛二十人と調査員十人を率いて現地へ向かった。元四天王の二人も同行し、勝手に大通りや屋敷の配置を決めようとしていたが、それは内政官の管轄外であった。
候補地は、かつて二代か三代前の魔王が隠し砦を建設しようとした場所であり、重要拠点として使用された可能性があった。しかし、元四天王は「気にするな」とだけ言い、詳細は語らなかった。
水源の確認作業では、調査員たちが土魔法を駆使し、交代で井戸を試掘した。水質確認にはミットフィッシュを用いたが、判定には三日かかるため、内政官たちはその間、野営しながら周辺の調査を進めることになった。
魔物との遭遇と村の安全性
調査中、内政官一行は何度も魔物に襲われた。護衛たちは奮闘し、全て撃退したが、戦闘向きではない内政官は恐怖を覚えた。元四天王の二人の戦闘力は圧倒的であり、内政官は「彼らは本当に内政担当だったのか」と疑念を抱いた。
村の敷地自体は安全だったが、周辺の道には強力な魔物が出没したため、移動の安全性が問題視された。しかし、元四天王は「気にするな」と繰り返し、詳細を明かさなかった。
クローム伯の合流と特別待遇
後日、四天王の一人であるクローム伯が転移魔法を使用し、調査隊と合流した。通常では考えられないほどの特別待遇であり、内政官はこの案件の重要性と危険性を改めて実感した。
その後、吸血姫ルールーシーが現れた。内政官は彼女の存在に驚愕したが、さらに驚くべきことに、彼女は村を設立する人物の妻であった。加えて、護衛には「皆殺し天使」の異名を持つ女性が付き添っており、その隣にはクローム伯の娘もいた。彼女もまた村長の妻であることが判明し、内政官は混乱した。
村長の正体と圧倒的な戦力
内政官が周辺の魔物の危険性を説明すると、村長は平然と受け止めた。そして「皆殺し天使」の護衛がふらりと出かけ、大型の魔物を数体撃破した。護衛たちが苦戦した魔物を難なく処理する光景を目の当たりにし、内政官は「自分たちとこの人物は根本的に違う」と痛感した。
さらに、村長がビッグルーフ・シャシャートの店長でもあると知り、内政官は完全に困惑した。村の設立どころか、この人物の存在自体が規格外だった。情報量の多さに圧倒され、「もうお腹いっぱいです」と心の中で呟くことしかできなかった。
終章 九尾狐の親子
村の四天王の選定
文官娘衆が会議の休憩中、村の四天王を選ぶ話題になった。最初にルー、ティア、ハクレン、ラスティが候補に挙がったが、竜族や吸血鬼、天使族、鬼人族は反則枠として除外された。その結果、候補は獣人族のセナ、ミノタウロス族のゴードン、ケンタウロス族のグルーワルド、そして文官娘衆の代表としてフラウに決まった。しかし、村長の考えでは、四天王はクロ、ザブトン、ルー、ティアが適当と判断した。
セナの出産と新しい命
村長はシャシャートの街から戻った数日後、セナの出産が近づいたとの連絡を受けた。本来の予定より早い出産だったが、悪魔族の助産師やホリーが対応し、無事に女の子を出産した。名前はセッテで、母親と同じく犬系の獣人の特徴を持つ。村長は、子供たちが母親の血を強く受け継ぐことに疑問を抱いたが、健康であることを何よりも喜んだ。
ダンジョンで進化するザブトンの子供たち
ザブトンの子供たちは、毎年成長すると一部が旅立つが、今年はダンジョンに適応した個体が増えた。その結果、通常の個体よりも大きなものが出現し、中にはザブトンよりも巨大なものも現れた。さらに、新たにアラクネの個体が誕生し、村長に「ソンチョウ」と声をかけてきた。言葉はまだ拙かったが、村長の指導のもと、少しずつ上達していた。
アラクネの名前と新たな魔物の育成
アラクネには名前が必要だったため、村長は候補を出し、本人が「アラコ」を選んだ。村長は微妙な表情を浮かべたが、決定は本人によるものだった。その後、アラコはダンジョン内で魔物を育てたいと提案し、ラミア族や巨人族の許可を条件に許可された。
新たな魔物、地竜の導入
アラコはダンジョンに「ダンジョンウオーカー」と呼ばれるトカゲ型の魔物を持ち込んだ。全長一メートルほどの個体が親かと思われたが、実は子供だった。さらに、十匹ほどの小さな個体も隠し持っていた。リアの話によると、この魔物は成長すると二十メートルにもなるらしく、村長はダンジョンの拡張を視野に入れることとなった。
祭りの準備と塾・宿の整備
村の祭りが近づく中、文官娘衆は忙しくなっていた。一方、村長はシャシャートの街のマイケルと連絡を取り、塾や宿の準備を進めていた。しかし、従業員の教育が十分ではないことを知り、当初は現地に赴くつもりだったが、クロや子猫たちの視線に負け、代わりに従業員を村に呼び寄せて特訓する方針に変更した。
村の祭りと魔王の訪問
祭り当日、魔王やランダン、ビーゼルらが訪れた。村には一ノ村、二ノ村、三ノ村、四ノ村の住人やラミア族、巨人族も集まり、大いに賑わった。今年の祭りの競技は綱渡りで、子供コース、一般コース、巨人コース、ケンタウロスコース、エキスパートコースの五種類が設けられた。結果として、子供コースではウルザとグラルが完走し、一般コースでは魔王が勝ち抜いた。エキスパートコースではハイエルフたちが健闘したが、最終的な完走者は酒スライムであった。
セッテのお披露目と家族の在り方
祭りの場で、村長とセナはセッテを紹介した。ラミア族や巨人族、来賓たちにも知ってもらうためであり、村長は「嫁にはやらん」と宣言した。その後、セナは自分の両親にセッテを見せることを拒否した。理由は、子供を親に見せに行くのは下の立場の者がすることであり、村長の立場を考えるとハウリン村のほうから訪れるべきだというものだった。村長は文化の違いに戸惑いながらも、その意見を尊重した。
祭りの夜と魔王との戦い
祭りの夜が更け、村は平和な雰囲気に包まれていた。しかし翌朝、村では「ミエルを返せ!」と魔王に対する戦いが勃発した。ミエルを気に入った魔王が自分のものにしようとしたため、村長が全力で取り返しにかかったのであった。
繰り返し見る夢
少女は幼い頃から、何度も同じ夢を見ていた。夢の中では、魔王が四人の部下に命令を下していた。彼女はその場に立ち会っているものの、あくまで傍観者の立場であった。魔王の顔は恐ろしく、命令も「壊せ」「殺せ」といった乱暴なものばかりだった。しかし、ある日、その魔王の顔が見知った人物とそっくりであることに気づいた。
夢の中の魔王と四天王
魔王の顔は、シャシャートの街の代官の息子、ギルスパークに酷似していた。彼はかつて素行が悪かったが、現在は改心し、店の手伝いをしている。夢に出てくる四天王も彼女の知る人物であった。一人目は「武神」ガルフ。武闘会で圧倒的な実力を見せた彼は、夢の中では「武王」と呼ばれていた。二人目は料理人のシャー。試作品を試食させてくれるが、十回に一度はとんでもなく不味いものを作ることがある。夢では「美食王」として、極端に肥え太った姿だった。三人目は接客主任のポッテ。普段は笑顔を絶やさないが、夢の中では冷血な「冷血王」として登場した。最後の一人は、かつて問題を起こしたホット。彼は「嫉妬王」と名乗っていたが、現実では真面目で努力家であった。
夢の終焉と新たな職務
彼女は夢が現実とリンクしているのではと考えたが、それが過去か未来かは分からなかった。だが、夢の登場人物が現実の知人と一致することを理解すると、その夢を見なくなった。ある日、彼女は店長に紹介される機会を得る。緊張の中、自己紹介を済ませた翌日、彼女は「ビッグルーフ・シャシャート」の会計主任に任命された。
突如として森に現れた存在
ある者は、自身がどこにいるのか分からぬまま、空腹に耐えていた。持ち物は水筒のみで、食料はなかった。森の中をさまよい、何か食べられるものを探していたが、安全な食材を見極める知識はなかった。数日が経ち、限界に達しようとしていたとき、花の香りに誘われ、花畑へと向かった。しかし、そこには多くの衛兵や隠密が潜み、すぐに囲まれてしまった。
奇妙な捕縛と出会い
包囲された者は、花を食べさせてほしいと願い出たが、周囲の者たちには困惑した目で見られた。その後、武者たちの代表が現れ、さらに竜と人間の姿をした強者が彼を捕らえた。彼は抵抗する間もなく、彼らの拠点へと連行された。そこでは、鬼人族の手によって食事が提供され、彼はようやく空腹を満たすことができた。
新たな村の住人となる
彼は食事を与えられたことで、力を取り戻し、この場所に留まることを決意した。彼の名はヒトエ。九尾狐の種族であり、現在はまだ一尾の状態だった。さらに、人間の姿にも変化できるが、長時間維持することは難しかった。
子狐との出会い
ある日、クロの子供が村長を呼びに来た。屋敷に戻ると、ウルザとグラルが汚れた子狐を抱えていた。鬼人族のメイドが彼女らを注意し、子狐はそのまま捕らえられた。しかし、その子狐は突然人間の姿に変わり、「ヒトエ」と名乗った。
九尾狐の出現
後日、始祖が現れ、聖女に関する問題で手を借りようとした。しかし、彼は子狐の姿を見て驚愕した。彼は聖女を保護する際に、怒れる九尾狐と戦い、その子供を助け出すことを約束していたのだ。しかし、転移魔法で子供を飛ばされ、長い間行方不明となっていた。結果的に、その子供は村に迷い込んでいたのである。
九尾狐との宴
始祖は子狐を抱え、九尾狐のもとへと向かった。翌日、九尾狐ヨウコが村を訪れ、子供を保護してくれたことに感謝を述べた。宴が開かれ、ヨウコは豪快に酒を飲み、村の住人たちと交流を深めた。
九尾狐の野心
ヨウコは村の実力者たちを観察し、ここを支配すると宣言した。しかし、始祖はそれを否定し、村長の力を示すために、彼に槍を投げさせた。槍はヨウコの足元に突き刺さり、彼女は即座に態度を改め、村長に謝罪した。その後、彼女は村の支配を諦め、始祖の転移魔法で村へ戻った。
ヒトエの決断と村への定住
ヒトエは、村に残ることを決意し、ヨウコもそれを認めた。しかし、ヨウコ自身はザブトンに縛られ、どこかへと引きずられていった。ヒトエは、子猫たちと楽しげに遊んでいた。
九尾狐の誕生と孤独な生
九尾狐は数百年にわたり自由に生きてきた。己を縛るものは何もなく、ただ気ままに時を過ごしていた。しかし、百年ほど前、気まぐれに子を成した。その子を特別に思うことはなかったが、見捨てることもできず、近隣の人間の村に預けた。代償として、村には自身の加護を与えた。それ以来、年に一度の訪問が習慣となり、村は彼女とその子を崇めるようになった。
村の滅亡と怒り
しかし今年、訪れた村は滅びていた。わずか一年で壊滅したという現実を前に、彼女は愕然とした。我が加護を破る者が現れたというのか。そして、何よりも子の安否が不明だった。怒りが込み上げ、気づけば不死人の王と殴り合っていた。不死人の王は昔の知己であったが、彼女のことを忘れていた。しかし、彼女もまた彼を忘れていたことに気づき、不快感を覚えた。
子の行方と不死人の王の約束
村を襲ったのは勇者の手によるものと判明した。勇者が世を乱すことには興味がなかったが、己の加護を破り、庇護する者を害したとなれば話は別だった。彼女は怒りに燃え、勇者を煉獄に落とすと誓ったが、不死人の王が子の奪還を約束したため、一時的にその怒りを抑えた。そして、不死人の王は約束を果たした。
再会と新たな縁
不死人の王の導きで、彼女は子と再会した。無事を確認し、世話になった者たちに礼をしたいと願った。しかし、不死人の王は限界に達していた。彼の復活には時間が必要であり、それまで彼女が守ることとなった。こうして、彼女は不死人の王に案内され、ある村へと向かった。
〝死の森〟の村と住人たち
辿り着いたのは〝死の森〟にある村。ここには不死人、翼を持つ者、角を持つ者、長耳の種族、トカゲの戦士たちが暮らしていた。さらに、角狼や蜘蛛が飼われ、門番として竜がいた。そして、かつて共に暴れた悪魔族の面々とも再会した。彼女は彼らとの昔話に花を咲かせ、久しぶりの宴を楽しんだ。
村長との対峙
宴が終わり、彼女は村に世話になった礼として、加護を与えるか、この村を守ることを提案した。しかし、不死人の王は彼女を連れ出し、誤解を指摘した。この村の長が、彼女よりも強い存在であることを伝えたのだ。彼女は信じず、村長との勝負を提案された。
村長の力と敗北
村長との対峙が始まった。初めは何も感じなかったが、村長が槍を構えた瞬間、直感が警鐘を鳴らした。彼女は四十層の障壁を展開し、最大の防御態勢をとった。しかし、村長の槍はそれを容易く貫き、右足を吹き飛ばした。驚愕した彼女は再生魔法で回復したが、村長が次の槍を構えたことで完全に戦意を喪失。彼女は即座に降伏し、謝罪した。
ザブトンの裁き
村長に許しを請い、無礼を詫びた彼女であったが、村へ戻ると今度は蜘蛛の女王ザブトンに捕縛された。彼女は強烈な恐怖を覚えながら、ダンジョンへと引きずられていった。その後の出来事は語られなかったが、しばらく動けなくなったことだけは確かであった。
インフェルノウルフの監視
村の監視役であるインフェルノウルフのジョンが、新たな使命としてヨウコの見張りを任された。彼は厳しく監視を続けたが、ヨウコはすでに村の生活に馴染み、特に問題を起こす様子はなかった。
日常と適応
ヨウコは厨房で愛嬌を振りまき、果物をもらうなど、村の生活に適応していた。昼間はドワーフたちと酒を飲み、午後は花畑で昼寝をするのが日課となった。夜には狩りを行い、巨大な猪を二頭仕留めるなど、戦闘力の高さも健在であった。
猛暑と涼を求める者たち
夏が訪れ、村の獣たちは涼を求めて雪山に集まった。ヨウコもその一員であった。彼女は屋敷の冷風装置を使わず、涼しい場所を求めて外で寝そべっていた。村長は新たな冷房装置の設置を決意した。
冷房装置の改良
山エルフたちは冷房装置の改良に熱中していた。しかし、その結果、装置は日ごとに巨大化し、魔道具の消費も激しくなった。村長は小型化を提案したが、エルフたちは次々と新機能を追加し、制御不能になりつつあった。
初めての病人
ある夜、鬼人族メイドの一人が風邪を引いた。原因は冷風装置の使いすぎであった。村ではこれまで大きな病気は発生していなかったが、初めての病人に村長は薬草を用意し、手厚く看病するよう指示した。
こうして、九尾狐ヨウコは村に馴染みつつあった。そして、村は暑さ対策を進めながら、日常を続けていた。
宝石猫の運命
宝石猫は、多くの者に飼われてきた。しかし、誰も彼女自身を愛していたわけではなく、額の宝石を目的としていた。彼女が生かされていたのは、その宝石が成長し続けるからに過ぎなかった。この現実に気づきながらも、彼女は世の中に少し拗ねた気持ちを抱えていた。
襲撃と新たな運命
ある日、彼女を所有していた人間の貴族が襲撃を受けた。貴族は裏で悪事を働き、彼女を資金源の一部として取引しようとしていたが、襲撃者により計画は崩れた。襲撃者は吸血鬼と天使族であり、彼女は抵抗せずに連れ去られた。
婚姻の決定と意外な出会い
道中、吸血鬼と天使族は彼女の処遇について話し合っていた。どうやら、彼女を「夫」となる猫のもとへ連れて行くつもりだった。しかし、宝石猫は生涯に一度しか番を持たない。運命の相手以外を押しつけられれば、彼女は全力で拒絶するつもりだった。相手が大型の虎であったなら恐怖で震えていただろう。しかし、彼女の前に現れたのは真っ黒な普通の猫であった。そして、一目見た瞬間に「これが夫だ」と確信した。
夫との追走劇
彼女はすぐに夫を試そうと攻撃を仕掛けた。しかし、彼はそれを軽々と避けた。その姿に彼女はますます惹かれた。会話をしようと試みたが、彼は逃げ続けた。彼が暮らしていたのは森の中にある村で、そこは強者ばかりが住む恐ろしい場所であった。彼女を連れてきた吸血鬼や天使族すら可愛く思えるほどの魔境である。その中で生き抜いている彼は、すでに守ってくれる存在を見つけていた。しかし、彼女は諦めなかった。
村での適応と注意すべき相手
焦らず慎重に立ち回ることが重要であった。迂闊な行動をすれば、追放されるだけでなく命も危うい。まずは村で逆らってはいけない相手を見極めた。最初は鬼人族のアンこそ最も警戒すべき存在だと考えたが、村長こそが最も影響力のある人物であると知らされた。彼は甘えた声で鳴けばすぐに撫でてくれる温厚な人物だったが、彼に迷惑をかけてはならないと強く釘を刺された。
子猫たちとの新たな生活
時が経ち、彼女は娘たちに囲まれていた。いや、正しくは彼女が娘たちを囲んでいた。娘たちは村の住人に愛され、甘やかされていた。しかし、それでは教育にならない。用心深く動く訓練をさせようとするが、娘たちはすぐに逃げ出し、夫に助けを求めた。
娘たちの名前と成長
娘たちの名前はミカエル、ラファエル、ウリエル、ガブリエル。しかし、名前が立派すぎるため、ミエル、ラエル、ウエル、ガエルと呼ばれることになった。能力は非常に高く、親馬鹿かもしれないが、成長の早さには目を見張るものがあった。しかし、彼女の心配をよそに、娘たちは畑に侵入し、蜘蛛たちに追い回されたり、村長の頭に乗ったりと、騒動を起こし続けた。
満ち足りた生活
娘たちのやんちゃぶりに悩まされながらも、彼女の生活は満ち足りたものとなっていた。愛する夫、かわいい娘たち、優しい飼い主、美味しい食事。彼女は今の生活に幸せを感じていた。
ヒトエの教育と新たな母
鬼人族の一人が、九尾狐の子ヒトエの世話をしていた。ヒトエは見た目こそ幼いが、意思の疎通ができ、《待て》の指示も守れる優秀な子であった。インフェルノウルフの子供は《待て》ができず、全てをよこせと吠えるため、比較すると非常に落ち着いていた。
村の環境とヒトエの言葉
ヒトエは東の国の訛りを持っていた。彼女の言葉の一部は独特であり、村の存在を「武者」や「隠密」といった表現で呼んでいた。武者とはインフェルノウルフのこと、隠密とはデーモンスパイダーのことを指していた。
ヨウコの登場と対決
ヒトエの母と名乗る者が現れた。その名はヨウコ。彼女は実力者であり、村長と戦った末に敗北した。その後、ザブトンやインフェルノウルフとも戦うことになり、力を使い果たして狐の姿に戻った。回復するまで人の姿にはなれないとのことで、村にしばらく滞在することとなった。
ヨウコへの説教
鬼人族の世話役は、ヨウコの育児方針に疑問を抱いた。年に一度しか会っていなかったという事実に憤り、子育てとは愛情を注ぐことが必要であると説教した。村長は子供たちに対して愛情を持って接しており、その姿勢こそが理想であった。ヨウコはしばらく動けない今こそ、ヒトエとの関係を見直すべきだと助言された。
聖女の存在と神の嘆き
一方、神の世界では聖女の存在について議論が交わされていた。聖女は神の声を聞くことができるとされるが、実際には神々が積極的に話しかけることはほとんどない。多くの場合、聖女が聞く神の声は偶然の産物であり、彼らが導こうとする意図はなかった。
聖女の誤った受信先
ところが、今回の聖女は普通の聖女とは異なっていた。彼女は近くにいた魔神の声を受信し、その声に特化した状態になってしまった。そのため、本来の神々の声を受け取ることができなくなった。神々はこの事態に困惑しつつも、聖女の状況を静観するしかなかった。
農業神の願い
ある神は、聖女を通じて自身の像を「女神像」に変えてほしいと願った。しかし、その声は聖女には届かず、悔しさを滲ませていた。神の世界のルールは厳しく、彼はただ願いながらサンドバッグを殴るしかなかった。
こうして、神々は聖女に干渉することもできず、ただ見守ることしかできない状況にあった。そして、村ではヨウコが新たな人生を模索しながら、ヒトエとの関係を築こうとしていた。
同シリーズ
異世界のんびり農家 シリーズ
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