小説「鬼の花嫁 ~運命の出逢い ~」感想・ネタバレ

小説「鬼の花嫁 ~運命の出逢い ~」感想・ネタバレ

どんな本?

現代の日本では、あやかしが人間社会に溶け込み、政治や経済、芸能などで活躍している。
そんな中、あやかしの玲夜と人間の花嫁・柚子の物語が続く。
玲夜はあやかしの本能を失ったが、柚子への愛情は変わらない。
しかし、柚子は友人の芽衣から玲夜の浮気現場を目撃したと伝えられ、動揺する。
証拠写真に写っていたのは玲夜にそっくりな別の鬼のあやかしだった。
その男は鬼龍院への復讐を誓っており、柚子を攫おうと襲いかかるが、玲夜が柚子を守る。

鬼の花嫁』は、クレハ氏著作の小説で、あやかしと人間が共生する日本を舞台にした物語。
主人公は平凡な高校生・柚子で、妖狐の花嫁である妹と比較され、家族にないがしろにされながら育ってきた。

しかし、ある日、類まれなる美貌を持つひとりの男性と出会い、柚子の運命が大きく動き出す。
「見つけた、俺の花嫁」と言ったその男性の名は鬼龍院玲夜で、あやかしの頂点に立つ鬼だった。

この物語は、絶大な権力を持つあやかしの花嫁に選ばれることが憧れであり、名誉なことだとされている。
シリーズは大ヒットを記録し、累計400万部を突破。
また、コミカライズもされている。
この物語は、和風あやかし恋愛ファンタジーとして人気を博している。

読んだ本のタイトル

鬼の花嫁~運命の出逢い ~
著者:クレハ 氏
イラスト:白谷ゆう  氏

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あらすじ・内容

人間とあやかしが共生する日本。絶大な権力を持つあやかしの花嫁に選ばれることは憧れであり、名誉なことだった。平凡な高校生・柚子は、妖狐の花嫁である妹と比較され、家族にないがしろにされながら育ってきた。しかしある日、類まれなる美貌を持つひとりの男性と出会い、柚子の運命が大きく動きだす。「見つけた、俺の花嫁」―。彼の名は鬼龍院玲夜―あやかしの頂点に立つ鬼だった。玲夜から注がれる全身全霊の愛に戸惑いながらも、柚子は家族から逃れ、玲夜のもとで居場所を見つけていき・・・!?

鬼の花嫁~運命の出逢い~

野いちご・ベリーズカフェチャンネル

感想

この物語は、家族に愛されず育った主人公、柚子の生活が劇的に変化を描いた作品である。
彼女は、妹を溺愛する両親のもとで疎外感を感じながら生きてきたが、鬼龍院玲夜との出会いによって彼女の運命が大きく変わる。
玲夜はあやかしの中でも最強の鬼であり、柚子を自分の花嫁として迎え入れ、彼女を全身全霊で愛し守ろうとする。

生活が劇的に変わった柚子の当惑と玲夜の一途な愛情が物語の中心であり、その過程を通じて二人の関係の深まりを感じ取ることができた。
鬼である玲夜の冷酷な一面と、柚子に対する優しさのギャップが魅力的であり、彼の愛情がどれほど強いものであるかがよく伝わってくる。
一方で、柚子はこれまでの経験から玲夜の愛を簡単には信じられず、彼の愛に戸惑いながらも少しずつ心を開いていく。

また、物語には個性的なキャラクターたちが登場し、その中でも特に桜子の存在が際立っていた。
彼女の腐った趣味や行動は、時折物語にユーモアを加え、楽しませてくれる要素となっている。
桜子の腐った情熱と趣味への一途さは魅力的であり、彼女の行動が物語に笑いを提供してくれる。

全体的に、『鬼の花嫁 ~運命の出逢い~』は、王道の溺愛ストーリーでありながらも、現代を舞台にした鬼などのファンタジーな設定が特徴的である。
日常生活の中での柚子の成長と、彼女を取り巻く人物たちの関係がリアルに描かれており、物語に親しみやすさを感じることができた。
玲夜と柚子の絆が深まっていく様子を通して、愛と家族の在り方について考えさせられる作品であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

多くの国を巻き込んだ世界大戦が発生し、各国に甚大な被害と悲しみをもたらした。日本も例外ではなく、大きな被害を受けた。復興には多大な時間と労力が必要とされたが、人々は戦争の終結に安堵していた。しかし、変わり果てた町の惨状を目にして、悲しみに暮れていた。

そんな日本を救ったのが、それまで陰で生きてきたあやかしたちであった。彼らは陰から陽の下へ出てきて、美しい容姿と人間ならざる能力を持ち、戦後の日本の復興に大きな力となった。そして現代では、あやかしたちは政治、経済、芸能など、さまざまな分野でその能力を発揮し、地位を確立していた。

あやかしたちは時折、人間の中から花嫁を選ぶことがあり、彼らに選ばれることは人間にとって非常に栄誉なこととされた。あやかしにとっても花嫁は特別な存在であり、どのようにして選ばれるのかは人間には理解できなかったが、選ばれた花嫁は非常に大切に愛されることから、多くの女性が一度はあやかしの花嫁になりたいと夢見ていた。しかし、選ばれるのはほんの一握りであった。

あやかしの中には位が存在し、その中で最も強く美しいとされるのが鬼であった。戦後の日本の急速な発展は鬼の力によるものが大きいとされ、今では鬼が日本の政治経済を掌握するまでになっていた。鬼の花嫁に選ばれることは、女性にとって最高の名誉とされた。

1章

柚子は彼氏である斉藤大和から突然「別れてほしい」と告げられた。まだ付き合って三カ月であり、大和からの一方的な別れの理由が、柚子の妹である花梨への一目惚れであったことに、柚子は驚きと悲しみを感じていた。大和の気持ちが移り変わったことに対して、柚子はすぐには受け入れることができなかった。

授業中も上の空であった柚子に、友人の透子が心配して声をかけた。柚子は大和との別れの詳細を透子に話し、透子は怒りを見せ、大和と花梨に対して強い感情を抱いていた。透子の彼氏である猫田東吉が透子をなだめるも、透子の怒りは収まらなかった。

花梨はあやかしの花嫁であり、その事実を知る透子もまた、東吉の花嫁であった。あやかしの花嫁としての透子は、花梨が他の男性と関係を持つことはないと理解していたが、それでもなお、大和の裏切りに対する怒りは収まらなかった。

柚子は、大和が花梨に惹かれたことを理解しようとしつつも、これまでも他人から優先されてきた花梨への嫉妬と悲しみを感じていた。彼女は結局、大和が花梨を選んだことに対して諦めの気持ちを持つしかなかった。透子と東吉が励まし合う中、柚子は気持ちを切り替え、バイトの時間を守るために急いで学校を後にした。

柚子は普通の少女であったが、幼少期から両親にあまり愛されているという実感を持てなかった。物心がついた頃には両親の関心は妹の花梨に集中しており、花梨は両親から溺愛されていた。柚子は我慢強く両親の愛を待ち続けたが、花梨が妖狐の花嫁に選ばれたことで、両親の関心はますます花梨に偏っていった。

柚子の家庭では、花梨が常に優先され、柚子はないがしろにされることが多かった。運動会や参観でも花梨が優先され、柚子は限られたお小遣いでやりくりするしかなかった。両親は柚子の必要な物は提供したが、柚子の存在はあまり気にかけていなかった。熱を出しても、両親は花梨を甘やかし、柚子のことは放置していた。

柚子は両親に甘えることを諦め、家での居場所を見つけることができなかったが、祖父母だけは柚子の味方であった。祖父母は何度も両親に柚子にも関心を持つよう訴えたが、両親は花梨だけを優先する態度を変えなかった。柚子は次第に家に帰るのが嫌になり、学校やバイト、祖父母の家で過ごす時間を増やしていった。

家に戻ると、花梨とその花婿である妖狐の瑶太が両親と共に過ごしており、柚子はその光景に孤独感を深めた。瑶太は花梨を溺愛し、柚子には関心を示さなかった。柚子は自分も両親や誰かに愛されたいと感じつつも、その願いを口に出すことはできず、ただ早く家を出て自立したいと願っていた。

柚子は、バイト帰りに祖父母の家に泊まりに行った際、祖父母から誕生日プレゼントとしてかわいらしいワンピースをもらった。祖父は若い女性向けの人気ブランドの店に並んでその服を手に入れた。柚子は両親が自分の誕生日を覚えていない中、祖父母が自分の誕生日を覚えてくれていたことに喜びを感じた。

誕生日を迎えた柚子は、友人たちと楽しい時間を過ごしたが、家に帰ると、再び家族の疎外感を感じた。花梨が瑶太と共にリビングで過ごしているのを見て、柚子は疎外感を感じていた。その後、柚子は自分の部屋で、花梨が勝手に自分のワンピースを使っているのを見つけた。花梨はワンピースをデートで着たいと言い出し、柚子が断ると、花梨はワンピースを無理やり引っ張って破ってしまった。

その行動に怒った柚子は花梨に手を上げてしまい、その場にいた瑶太からも叱責を受けた。瑶太の霊力で火傷を負った柚子は家を飛び出し、孤独な気持ちを抱えながら街を彷徨った。そこで、柚子は鬼龍院玲夜と名乗る男性と出会った。彼は柚子を「花嫁」と呼び、ずっと探していたと言った。玲夜は柚子を優しく抱き寄せ、彼女を自分の家に連れて行き、柚子を大切に扱った。

柚子は玲夜の家で自分の生い立ちや家での立場について話し、玲夜はその話を静かに聞いてくれた。玲夜は柚子に対し、彼女を愛し守ることを誓い、柚子は玲夜の言葉に心が救われた気持ちになった。玲夜の優しさと彼の紅い瞳に、柚子は次第に心を惹かれていった。

鬼龍院はすべてのあやかしの中で最も力のある家系であり、玲夜はその次期当主として期待されていた。玲夜は、無表情で冷酷な性格だとされていたが、そのカリスマ性は人間もあやかしも魅了していた。玲夜は人間とあやかしの親睦パーティーに出席していたが、権力者に媚びを売るための集まりであり、彼自身はこうしたパーティーには興味がなかった。

あやかしにとって花嫁は特別な存在であり、一度花嫁を見初めると生涯その者だけを愛する。花嫁はあやかしの霊力を高め、強い子供を生むことができるため、多くのあやかしが花嫁を欲していた。しかし、すべてのあやかしが花嫁を見つけられるわけではなく、その出会いは偶然に依存していた。

玲夜は仕事の帰りに車の中で、突然心臓がざわつく感覚を覚え、歩道橋に立つ少女、柚子を見つけた。その瞬間、彼は彼女が自分の花嫁であることを確信した。彼は柚子を守りたいという強い感情に駆られ、彼女を自分のもとに連れて行った。

玲夜は柚子を自宅に連れて帰り、彼女を大切に扱い始めた。彼は柚子のこれまでの生い立ちや苦しみを知り、彼女を家族から引き離し、自分の花嫁として守ることを決意した。そして、彼の婚約も白紙に戻し、柚子を新たな生活に迎える準備を進めた。玲夜は、柚子のために鬼龍院の力を使い、彼女の人生を守り導くことを決意したのである。

柚子は朝目覚めると、自分が鬼龍院家にいることを再確認し、今後のことを考えていた。玲夜が現れ、新しい服を渡し、朝食の用意があると告げた。朝食の場で、玲夜は柚子が持っていた大切なワンピースを修理して返し、彼女を喜ばせた。柚子のために全力でサポートする姿勢を示し、彼女に今後の生活について話し合った。

玲夜は柚子の祖父母と連絡を取り、養子縁組を提案していた。柚子は当初、戸惑ったものの、玲夜の説得で最終的にその提案を受け入れた。彼女は祖父母の家で生活することになり、玲夜がすべての面倒を見てくれることを了承した。

その後、柚子は玲夜と共に実家へ戻り、両親に養子縁組の話を伝えた。両親と祖父母の間で激しい言い争いが起こる中、柚子は自分の意志をはっきりと示し、祖父母の養子になることを決意した。両親が納得しない中、玲夜が威圧し、最終的に養子縁組の手続きを完了させた。

柚子はこれまで育ててくれた両親に感謝の意を述べつつ、鬼龍院家で新たな生活を始めることを決意し、玲夜と共に新しい門をくぐった。彼女の生活は一変し、期待と不安の中、新たな一歩を踏み出した。

瑶太が意識を取り戻すと、花梨と両親は安心した様子を見せた。彼は鬼龍院玲夜の霊力による攻撃で気絶していたが、無傷で目覚めた。玲夜は本気を出していなかったため、瑶太は無事だったのである。瑶太が花梨の姉、柚子が鬼龍院の花嫁であると口にすると、花梨は納得できない様子で反論した。花梨は自分が特別な存在であると信じており、姉が同じく花嫁に選ばれることを受け入れられなかった。

両親も驚きつつ、柚子を家に戻せないかと考え始めた。母親は柚子が鬼龍院の花嫁になったことで、経済的な見返りを期待していた。瑶太に助けを求めると、彼は花梨の願いを叶えるために協力を約束した。瑶太は鬼龍院との対立のリスクを承知しながらも、花梨のために動く決意をした。

2章

柚子は鬼龍院玲夜に連れられて、彼の自宅である屋敷に到着した。玲夜は鬼龍院家の次期当主であり、その屋敷は個人のものとは思えないほどの大きさであった。柚子は花嫁としてその家に迎えられたが、自分が本当に花嫁としてふさわしいのか不安を感じていた。

屋敷では、使用人たちが彼女を歓迎し、特別な存在として扱っていた。玲夜は柚子に「自分の花嫁だから何も心配しなくていい」と言い、彼女を安心させようとした。使用人頭の道空と彼女の世話を担当する雪乃も紹介され、柚子は少しずつ新しい環境に慣れていこうとしていた。

その後、玲夜が本家からの呼び出しを受けて屋敷を離れると、柚子は突然学校やバイトについて考え始めた。彼女は自分の生活が一変したことを実感し、玲夜の家での新しい生活に適応するために努力しながらも、自分の独立性を保ちたいという気持ちを持ち続けていた。しかし、玲夜がすべての面倒を見ると言ったことで、彼女は彼の愛情を受け入れるかどうか悩んでいた。

玲夜の花嫁としての新しい生活は、彼女にとって未知の領域であり、多くの困難や心配があった。しかし、彼の優しさと強い意志に支えられながら、柚子は新たな道を歩み始めた。彼女の心はまだ揺れ動いていたが、少しずつ彼を信じようとする気持ちも芽生え始めていた。

3章

柚子が鬼龍院玲夜の花嫁となってしばらく経ち、彼女は新しい生活に慣れてきた。柚子の傍にいる子鬼たちは、クラスのマスコットとなり、学校で人気を集めていた。柚子は玲夜の会社でバイトを始め、書類整理やデータ入力などを担当していた。玲夜の秘書である高道からは、玲夜が休憩を取るように誘導する仕事も任されていた。

高道は当初、花嫁が働くことに反対していたが、柚子が玲夜に良い影響を与えていることに気付き、感謝している。玲夜も柚子と一緒に過ごす時間を大切にしており、柚子を甘やかしていた。柚子は、玲夜に感謝される一方で、自分の行動が彼に迷惑をかけていないか心配していた。

また、柚子は自分が玲夜の役に立ちたいと願っていたが、高道の完璧な仕事ぶりに少し嫉妬していた。彼女は高道よりも玲夜の役に立つことを目指していた。柚子は祖父母の家を訪れる許可を玲夜から得るために、彼の要求に応じてお願いをするなど、新しい生活に順応しながらも、玲夜への愛情と不安を抱きつつ日々を過ごしていた。

荒鬼高道は、代々鬼龍院家に仕えてきた分家の一族であり、その家系の期待を背負いながら、幼い頃から玲夜に仕えることが決まっていた。しかし、玲夜との初対面で、その圧倒的な存在感と美しさに圧倒され、次第に彼に仕えることに誇りを感じるようになった。高道はそれ以来、玲夜のために多くのスキルを磨き、忠実な秘書として仕えることに全力を尽くしていた。

しかし、玲夜に花嫁が現れたことが、高道にとっては大きな問題であった。彼は、花嫁が玲夜の隣に立つには相応しい存在であるべきだと考えており、その点で柚子が選ばれたことに納得できなかった。高道は、柚子のような「普通」の人間が玲夜の隣に立つことに強い不満を抱き、彼女に対して嫉妬と反感を抱いていた。

その一方で、柚子が玲夜に良い影響を与え、彼の生活に変化をもたらしていることに気付き、次第に彼女を完全に否定することはできなくなった。高道は柚子をライバルと見なし、自分が玲夜にとっての最も信頼できる存在であり続けるために、彼女に対して競争心を抱いていた。しかし、柚子を本当に受け入れるにはまだ時間が必要であった。

一方、桜子は、柚子の存在に対して何か計画を練っている様子を見せていたが、その意図はまだ明かされていなかった。

柚子は週に三日、玲夜の会社でアルバイトをしており、バイトがない日は屋敷に戻り、玲夜が帰るまで暇をつぶしていた。屋敷には使用人がいるため、家事をする必要はなく、勉強をして時間を過ごしていたが、玲夜にその様子が伝わると、次の日には彼女のために多くの暇つぶし道具が用意された。

ある日、玲夜が帰宅すると、柚子に毎日のようにプレゼントを渡し始めた。彼の行動は柚子への気持ちを表しており、彼女に対する特別な思いが込められていた。玲夜は柚子に、彼女が今まで祝ってもらえなかった誕生日分のプレゼントを贈り、その一つ一つには手書きの手紙が添えられていた。その感動的なジェスチャーに柚子は涙を流した。

その後、柚子は玲夜に何かお返しをしたいと考え、直接尋ねた。玲夜が求めたのは感謝のキスであった。最初は戸惑いながらも、柚子は勇気を出して頬にキスをし、その行動がきっかけで、玲夜はさらに積極的にプレゼントを贈り、彼女にお礼を求めるようになった。柚子はその状況に戸惑いながらも、次第に玲夜に対する特別な感情を自覚していった。玲夜の存在が柚子にとって大切なものとなり、彼のために何かをしたいという気持ちが強まっていた。

学校での休み時間、手芸部部長が子鬼たちの服を作って持ってきた。手芸部部長は子鬼のために多くの衣装を作り、その努力に感心する声が上がった。子鬼たちはその服を気に入り、部長に感謝のキスをした。子鬼たちは学校で人気者であり、教室でダンスやファッションショーを披露し、教師もそれに参加して授業が中断するほどであった。

休み時間中、柚子は友人の透子と玲夜について話していた。透子は柚子に対して、玲夜との関係について尋ね、柚子は玲夜の愛情をどう受け止めるべきか迷っていると答えた。透子は、自分が玲夜に対してどう感じているのか、まだわからないと述べる柚子を励ました。

その後、柚子は祖父母の家に泊まりに行くことになり、家に到着すると、見知らぬ高級車が停まっているのを見て驚いた。家に入ると、そこには玲夜の元婚約者である鬼山桜子が訪れていた。桜子は柚子に、玲夜の婚約者としての立場や役割を強調し、彼女の位置づけを説明した。また、玲夜には既に愛する相手がいると告げた。

この話を聞いた柚子は混乱し、玲夜が本当に自分を愛しているのか疑問を持ち始めた。しかし、祖父母との穏やかな時間を過ごすうちに、再び玲夜を信じる気持ちが芽生えた。

その後、柚子の両親と妹の花梨が突然現れ、柚子に帰るように迫った。両親との激しい言い争いの中で、柚子は毅然として彼らの要求を拒否した。緊迫した場面で子鬼たちが柚子を守り、両親を撃退した。柚子は両親との和解が不可能であることを確信し、玲夜との関係を再び考え直すこととなった。

一年に一度行われるあやかしの会合に出席していた玲夜は、多忙な日々を過ごしていた。この会合には各一族の当主や影響力のある者たちが集まり、初日と最終日以外は酒宴として開かれる。しかし、次期当主としての責任を果たすため、玲夜は連日会合に出席し、柚子に電話をする時間すらなかった。

その頃、柚子は元家族が突然現れたことを知らされており、護衛を置いていたにもかかわらず、家に侵入されたことが発覚した。護衛の目を欺いたのは妖狐の幻惑術であり、その背後には花梨の願いを叶えるために手を貸した瑶太がいた。玲夜はこの事態に激怒し、瑶太と妖狐の当主である撫子と面会を求めた。

撫子との対話で、瑶太が花梨の願いを叶えるために行動したことが明らかになり、玲夜は怒りを抑えつつも、妖狐の一族に謝罪を求めた。撫子は玲夜に謝罪し、瑶太とその花嫁である花梨に罰を与えることを約束した。

さらに、撫子は玲夜に花嫁である柚子を酒宴の最終日に連れてくるように提案し、玲夜はそれに応じることにした。玲夜は柚子の祖父母の家に結界を張ることを決意し、柚子が再び傷つけられないようにするための対策を講じた。

玲夜が帰宅した後、柚子を迎える準備をしていると、柚子が戻ってきた。しかし、柚子の表情は怒りと不安に満ちていた。玲夜はすぐに彼女に安心させたいと思い、彼女のもとへ急いだ。

両親と花梨の突撃後、玲夜が派遣した護衛が慌てて家に駆け込んできた。柚子が無事であることを確認した彼らは、急いで対応に追われていた。護衛たちは、子鬼の抗議に謝罪するなど、混乱した様子を見せていた。翌日、護衛の人数が増え、近隣住民の目を引いてしまったため、祖母が護衛の一部を家に招き入れ、団欒の時間を共に過ごした。玲夜の厳しさに対する護衛の愚痴などを聞きながら、時間が過ぎた。

柚子が屋敷に戻る途中、玲夜と高道が仲良くしている様子を見て、二人が恋愛関係にあるのではないかと誤解し、動揺した。柚子は勢いで玲夜に告白し、その後も誤解を解こうと努力した。桜子が二人の関係について誤解を広めたことが明らかになり、玲夜は桜子に誤解を解くよう厳しく命じた。

桜子は最終的に自分の過ちを認め、柚子に謝罪した。桜子の行動に対する罰として、彼女の持っていた誤解を広めるような資料や漫画をすべて処分するよう指示が出された。玲夜と柚子の誤解が解けた後、二人は互いの関係を再確認し、より親密な絆を築いていくこととなった。

4章

誤解が解けて一段落するかと思いきや、高道が疲れ切った表情で現れた。柚子は高道が陰で自分のことを愚痴っていたため、玲夜から罰を受けたと桜河から聞いた。詳細は不明だが、何かしらの罰を受けたことは明らかであった。柚子は、高道の心情に少しショックを受けたものの、特に気にしないことにした。

その後、柚子はあやかしの酒宴に参加することになり、そこで玲夜の両親と顔を合わせることが告げられた。緊張しながらも準備を整えた柚子は、会場で玲夜の両親と対面した。想像していた厳格な両親とは違い、玲夜の両親は明るくフレンドリーな性格であったため、柚子の緊張はすぐに解けた。

酒宴では、玲夜の両親が柚子を皆に紹介し、柚子は周囲の祝福を受ける形となった。しかし、そこで花梨と再会した柚子は、花梨から執拗に非難される。花梨が柚子を階段から突き落とそうとしたが、玲夜が柚子を救った。撫子と千夜の判断で、花梨は瑶太と共に遠くに送られることとなり、花梨は妖狐の花嫁としての地位を失った。

柚子は過去の辛い思い出や経験を大切にしながらも、玲夜と共に未来を歩むことを決意し、これからも玲夜の家で新しい生活を始めることを心に決めた。

柚子の日常が戻り、学校ではいつものように友人たちと過ごしていた。彼女の心は以前とは異なり、玲夜との出会いで不安が取り除かれ、強くなった。玲夜との愛を確信したことで、信じる力と一歩踏み出す勇気を得たのである。

ある日、友人の透子が「柚子が変わった」と言い、以前より明るくなったことを指摘した。柚子はそれが玲夜のおかげだと認めた。その時、教室内で突然の悲鳴が起こり、窓の外に停まった高級車に立つ玲夜の姿に生徒たちが興奮していた。玲夜から「迎えに来た」とのメッセージを受けた柚子は、急いで教室を出た。

途中、かつて彼女を裏切った大和に再会する。大和は柚子に「やり直そう」と告げ、自分がまだ彼女を好きだと言ったが、柚子はもう彼に興味がなく、彼の言葉を冷たく受け流した。大和の軽率な態度に、柚子は彼の頬に一撃を加え、晴れ晴れとした気分で玲夜の元へ駆け出した。

最後に、柚子は玲夜に抱きしめられながら、「ただいま」と言い、これからも彼の元に帰る決意を新たにした。

番外編
子鬼の暗躍

玲夜の霊力によって柚子のために生み出された白髪と黒髪の二人の子鬼がいた。彼らは見た目は非常に愛らしく、特に女性たちの心を掴んでいたが、実際には柚子の護衛としての役割を果たしており、強力な力を持つボディガードであった。霊力を感じ取れる者以外には、その力の強さは分からなかった。

子鬼たちは、柚子の護衛をする一方で、玲夜から極秘任務も受けていた。その任務は、柚子の元カレである大和に対するいたずらであった。柚子が目を離した隙に、大和の机を散らかしたり、膝かっくんをしたり、靴の中にスライムを入れるなど、さまざまないたずらを繰り返していた。これらのいたずらに対して大和が怒ると、子鬼たちは泣きそうな顔を見せて同情を引き、女子生徒たちから大和が非難されるというパターンが繰り返された。

これらの行動は、柚子を悲しませた大和への仕返しとして、玲夜が命じたものであった。そして今日も、子鬼たちは柚子のいない隙を狙い、任務を果たそうとしていた。

桜子のコレクション

桜子の「コレクション」が次々と焚き火に投げ込まれ、燃え尽きていく様子を見て、彼女は涙を流していた。これは、玲夜と高道を主人公にした作品で、玲夜の命令で高道と桜河によって焼却されたのである。桜子のコレクションは全て燃やされ、彼女は落胆しながら学校へ向かった。

学校では、桜子の仲間である女子生徒たちが、漫画同好会の解散と作品の没収について泣きながら訴えてきた。彼女たちは、玲夜と高道の恋愛を応援する「玲夜様と高道様の恋を見守る会」のメンバーであった。しかし、同好会が解散させられたため、この会も解散の危機に直面していた。

そんな中、漫画同好会の会長であった女子生徒が現れ、新たな冊子を見せた。それは、玲夜と高道によく似たキャラクターが登場するが、名前が異なる作品であった。彼女は、これを徹夜で仕上げたと説明し、同好会は解散したが新たに「漫画研究部」として再編成され、部の承認も得たことを告げた。

桜子と他のメンバーたちは新しい部に参加することを決め、今後も創作活動を続けると誓った。彼女たちは、高道からの圧力にも屈せず、創作として活動を継続する決意を固めた。その後、この新しい部長は漫画界で名を馳せる存在となった。

東吉のドキドキお宅訪問

猫田東吉は猫又のあやかしであり、力は下位であったが、ビジネスで成功し、不自由なく暮らしていた。彼は自分の花嫁、透子に満足しており、その親友である柚子とも良好な関係を築いていた。柚子は普通の少女に見えたが、彼女の家庭環境は非常に複雑であった。

柚子は鬼龍院玲夜という、あやかし界のトップに立つ予定の男と関係を持っていた。玲夜は冷酷で無表情な人物として知られていたが、柚子に対しては優しい一面を見せていた。東吉はその変化に驚きつつも、柚子が幸せそうにしていることを喜んでいた。

ある日、透子の提案で柚子の生活状況を確認するために玲夜の屋敷を訪れた。屋敷には強力な結界が張られており、東吉はその霊力に圧倒され、緊張していた。しかし、透子と柚子はその環境に対して無邪気に喜んでおり、東吉は彼女たちの元気な姿に安心感を覚えた。

玲夜が部屋に入ってきた時、彼は柚子に対してだけ特別な表情を見せ、冷酷な次期当主の姿とは異なっていた。東吉はその様子を見て、柚子が幸せであることを確信し、彼女のために喜んだ。最後に、透子が玲夜に対して大胆な発言をする場面もあったが、東吉は透子が玲夜の逆鱗に触れないかと心配していた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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