小説「鬼の花嫁 三~龍に護られし娘~」感想・ネタバレ

小説「鬼の花嫁 三~龍に護られし娘~」感想・ネタバレ

どんな本?

現代の日本では、あやかしが人間社会に溶け込み、政治や経済、芸能などで活躍している。
そんな中、あやかしの玲夜と人間の花嫁・柚子の物語が続く。
玲夜はあやかしの本能を失ったが、柚子への愛情は変わらない。
しかし、柚子は友人の芽衣から玲夜の浮気現場を目撃したと伝えられ、動揺する。
証拠写真に写っていたのは玲夜にそっくりな別の鬼のあやかしだった。
その男は鬼龍院への復讐を誓っており、柚子を攫おうと襲いかかるが、玲夜が柚子を守る。

鬼の花嫁』は、クレハ氏著作の小説で、あやかしと人間が共生する日本を舞台にした物語。
主人公は平凡な高校生・柚子で、妖狐の花嫁である妹と比較され、家族にないがしろにされながら育ってきた。

しかし、ある日、類まれなる美貌を持つひとりの男性と出会い、柚子の運命が大きく動き出す。
「見つけた、俺の花嫁」と言ったその男性の名は鬼龍院玲夜で、あやかしの頂点に立つ鬼だった。

この物語は、絶大な権力を持つあやかしの花嫁に選ばれることが憧れであり、名誉なことだとされている。
シリーズは大ヒットを記録し、累計400万部を突破。
また、コミカライズもされている。
この物語は、和風あやかし恋愛ファンタジーとして人気を博している。

読んだ本のタイトル

鬼の花嫁三~龍に護られし娘~
著者:クレハ
イラスト:白谷ゆう

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あらすじ・内容

あやかしの頂点に立つ鬼、鬼龍院の次期当主・玲夜の花嫁となってしばらく経ち、玲夜の柚子に対する溺愛も増すばかり。柚子はかくりよ学園の大学二年となり順調に花嫁修業を積んでいた。そんな中、人間界のトップで、龍の加護を持つ一族の令嬢・一龍斎ミコトが現れる。お見合いを取りつけて花嫁の座を奪おうとするミコトに対し、自分が花嫁にふさわしいのか不安になる柚子。「お前を手放しはしない」と玲夜に寵愛されつつも、ミコトの登場で柚子と玲夜の関係に危機…!?あやかしと人間の和風恋愛ファンタジー第三弾!

鬼の花嫁 三~龍に護られし娘~

野いちご・ベリーズカフェチャンネル

感想

『鬼の花嫁 三~龍に護られし娘~』は、柚子と玲夜の関係に新たな試練が訪れる物語であった。
玲夜の花嫁として順調に成長してきた柚子だが、今作では一龍斎ミコトという新たなライバルが登場し、物語が大きく動き出す。
ミコトは龍の加護を持つ一族の令嬢であり、玲夜に強い興味を持つ彼女が現れたことで、柚子は自分の立場に不安を抱くようになる。

物語の中で、柚子が龍の声を聞き、その存在に導かれるシーンは緊張感があり、読者を引き込む展開であった。
龍は鎖に縛られており、柚子に助けを求めていた。柚子は龍を助けたいと願い行動するが、その試みは簡単には成功しなかった。そこで、まろとみるくという霊獣たちが活躍し、彼らの助けを借りて龍を解放することができた。この場面では、霊獣たちの力が光り、物語に新たな魅力を加えている。

一方で、玲夜はミコトとの見合いを拒否し続け、柚子への想いを貫く姿勢を見せる。しかし、その一方で彼の行動が柚子に誤解を与え、二人の関係に緊張が走る場面も描かれている。玲夜の不器用な愛情表現が、時に柚子を不安にさせてしまうところが、物語の中での重要なポイントである。読者としては、玲夜の行動にイライラしつつも、彼の成長と変化を期待してしまう。

また、今回の物語では、新たな敵や陰謀も加わり、物語にさらなる深みを与えている。菖蒲というキャラクターが玲夜に嫉妬し、柚子に対して敵意を抱く場面は、物語に緊張感を持たせている。ただし、一部の読者には菖蒲の存在がやや蛇足に感じられるかもしれないが、彼女の役割が物語に与える影響は大きいと言える。

全体として、柚子と玲夜の関係がさらに深まりつつも、新たな試練が訪れる展開は、読者を飽きさせない魅力がある。特に、霊獣や龍の登場が物語に新たな風を吹き込み、次の巻でのさらなる展開に期待が高まる作品である。柚子の成長と玲夜との関係の進展を見守りたいと思わせる、魅力的な一冊である。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

世界大戦は多くの国々に甚大な被害と悲しみをもたらし、日本も例外ではなかった。戦後の復興には大変な時間と労力が必要であったが、あやかしたちが人間社会に姿を現し、その美しい容姿と特異な能力で日本の復興を助けた。現代では、あやかしたちは政治、経済、芸能など様々な分野で活躍し、人間の中から花嫁を選ぶこともあった。花嫁はあやかしにとって唯一無二の存在であり、大切に愛される存在である。かつて、最初に鬼の伴侶となった人間が「始まりの花嫁」と呼ばれ、その一族は霊獣の加護を受けて富と権力を得てきたが、その背景には悲しい犠牲があった。

1章

柚子は、夢の中で誰かの助けを求める声を聞き、その声に手を伸ばそうとしたが届かなかった。目が覚めると、黒猫のまろが目の前にいた。柚子は、大学の友人たちと遊びに行くために準備をし、霊獣であるまろとみるく、そして使役獣の子鬼たちに囲まれて朝を迎えた。

柚子は、鬼龍院の屋敷で生活をしながら、親からの愛情に飢えていた自分を救ってくれた玲夜に感謝していた。玲夜は柚子のために大学卒業まで待ち、彼女の気持ちに合わせている。玲夜の仕事の忙しさを知りながらも、柚子は一緒に過ごせる時間を大切にしようとしていた。

朝食の席で、柚子は玲夜にスイーツバイキングに行くため食事を控えることを告げ、玲夜はそれを了承した。玲夜は、柚子の作るチョコや料理を楽しみにしており、二人の関係は少しずつ深まっていた。柚子は玲夜の愛情を少しずつ受け入れ、彼のためにお弁当を作ることを約束した。玲夜は仕事の合間にも柚子を大切に思い、二人の時間を大切にしていた。

柚子は玲夜を見送り、その後、出かける準備をした。玲夜は最近、柚子と過ごすために仕事を他の人に任せ、休みを取ることが増えていた。柚子は玲夜の愛情を感じながらも、自分の立場や玲夜の気遣いに少し戸惑いを覚えていた。

透子と東吉の家に向かうと、そこでは透子と東吉の幼馴染の杏が口論をしていた。杏は東吉にしつこく絡んでおり、透子は不快感を示していた。柚子はその様子を見て戸惑ったが、透子と東吉のやり取りから、杏の存在が東吉の過去の人間関係に起因することを知った。

その後、柚子たちは高級ホテルのスイーツバイキングに行き、楽しい時間を過ごした。そこで、柚子は自分の将来について考え始め、透子から「玲夜の専属秘書になればいい」と提案された。このアイデアに興味を持った柚子は、秘書になるための勉強を考え始めたが、東吉はその提案に対して慎重な態度を示した。

柚子たちはスイーツを楽しんだ後、満足げに店を出た。柚子が会計をしようとしたが、招待した蛇塚が支払いを担当することになった。店を出て歩いているとき、柚子は耳元で何か聞こえた気がして足を止めた。その直後、豪華な服を着た女性とスーツ姿の数人が近づいてきた。女性の後ろに巨大な龍が見えた気がして驚いた柚子は振り返ったが、そこにはスーツ姿の人々しかいなかった。柚子は幻覚かと戸惑いながらも、透子たちと合流し、気のせいだと思い込んでその場を後にした。

2章

春が訪れ、柚子の大学生活も二年目に突入した。新入生の中に花嫁学部に入学する者はいなかった。かつて花梨と結ばれていた瑶太とは、大学で偶然出会ったが、互いに気まずい思いを抱えていた。瑶太の友人である菖蒲は、柚子が花梨と瑶太の仲を引き裂いたとして敵意を向け、柚子を責め立てた。しかし、瑶太は冷静さを保ち、菖蒲を止めた。柚子はその場を収め、玲夜に報告しないと約束したが、花梨の噂が広まっていることを瑶太に警告した。

また、柚子は玲夜の花嫁としての自分の存在に不安を抱いていた。玲夜の花嫁である以上の価値が自分にあるのか、自信を持てずに悩んでいた。玲夜の役に立ちたいという思いから、卒業後に秘書になることを希望したが、玲夜に即座に却下された。それでも諦めず、柚子は秘書検定の勉強を続けていた。

昼ごはんの後、柚子は友人たちと話している最中に、頭に響くような声を再び聞いた。その声を追うように、以前見かけた一龍斎の令嬢ミコトがカフェに入ってくるのを見かけた。彼女には黒いスーツの護衛がついており、以前見た際も龍が見えたため、柚子は彼女が気になって仕方がなかった。再び彼女の後ろに白銀の龍が現れ、柚子はその龍の姿に驚いた。龍は金色の鎖で縛られており、柚子に助けを求めるように「たすけて」と訴えかけてきた。柚子は龍を助けようと手を伸ばしたが、その瞬間龍は消えてしまった。周囲にはその龍の姿は見えておらず、柚子だけが見た幻だったのかと混乱したが、午後の講義も集中できず、龍のことが頭から離れなかった。

その日の講義が終わり、柚子は家に帰る途中で一龍斎の龍の姿が見えたことを考えていた。子鬼たちに確認しても見えなかったと言われ、柚子はそのことが気になって仕方がなかった。家に帰ると、すぐに一龍斎について調べたが、明確な情報は得られなかった。疲れてソファで眠ってしまい、起きると玲夜が帰ってきていた。夕食の席で玲夜に大学での出来事を話す中で、玲夜が柚子に関する噂についても知っていることがわかった。その後、幼馴染の浩介から匂い袋が届き、龍に関する夢を見たため柚子に災いが降りかかるかもしれないと忠告された。玲夜はこの状況に不機嫌になり、柚子はこれからお説教されることを覚悟した。

柚子は玲夜の部屋で龍の存在について話し、最初にその龍を見たのは透子たちとスイーツバイキングに行った時だと説明した。玲夜は柚子がそのことを伝えなかった理由を尋ね、柚子は気のせいだと思っていたからだと答えた。龍の姿を見たのは柚子だけで、他の人やあやかしには見えていなかった。玲夜はその龍が一龍斎に関わる可能性があると考えたが、深く関わるなと忠告した。

翌日、柚子は大学で周囲から非難される噂を耳にした。瑶太の幼馴染である菖蒲に出会い、彼女から悪意ある言葉を投げかけられた。菖蒲は柚子に暴力を振るったが、柚子は避けることなくそれを受け入れた。柚子は心の中で、自分がいなければ家族が幸せだったのではないかと感じ、玲夜にこのことを話せばさらに怒られるだろうと思った。また、浩介からもらった匂い袋が自分を守ってくれなかったことに気づき、失望した。

3章

大学内で柚子に対する噂は広がりを見せたが、桜子が裏で動いたことで数日後には収まった。桜子が鬼龍院の次期当主の花嫁である柚子を守ったことで、柚子は自分の力不足を痛感した。そんな中、玲夜から春の宴への出席を求められた柚子は、不安を抱えながらも参加することにした。

宴では、玲夜の母親である沙良から勇気づけられる言葉をもらった。また、桜子からも玲夜にとって柚子の存在がいかに大切かを聞き、柚子は自分が思っていた以上に玲夜の支えとなっていることに気づいた。桜子の言葉により、柚子は玲夜のそばにいることで役に立っていると感じ、玲夜の花嫁としての自信を少しずつ取り戻しつつあった。

玲夜は柚子と共に春の宴に参加し、父・千夜と共に挨拶回りをしていた。千夜の社交的な態度に対し、玲夜は威圧的であったため、同じ鬼の一族でも萎縮する者が多かった。玲夜は次期当主としての重責を感じていたが、強い意志で千夜を超える決意を持っていた。

宴の中で、玲夜は柚子に関する不快な噂を耳にし、彼女への悪意を払拭しようとする。津守幸之助との過去の事件以来、花嫁を持つことを不安視する声が一族内で上がっていたが、それは玲夜に柚子以外の者を妻に迎えさせようとする一部の者たちによるものであった。玲夜はこれらの声を一族の中で封じ込めようとし、父・千夜と共に一族の中での影響力を強める。

一方で、一龍斎家の孫娘ミコトが玲夜に一目惚れし、見合いの話が持ち上がる。千夜からの要請で玲夜は一龍斎家との顔合わせに応じたが、見合いをするつもりはなかった。そこで一龍斎の当主・護からミコトとの婚姻を勧められるが、玲夜は断固拒否し、柚子以外の伴侶を迎える意思がないことを明言した。

護は一龍斎の娘には龍の加護があり、あやかしとの結婚が可能であると説明するが、玲夜は柚子以外の者を妻とするつもりはないと再度強調する。千夜は玲夜に一龍斎の歴史を語り、彼らの持つ龍の加護がいかに強力であるかを伝えた。玲夜はその話を聞きつつも、一龍斎が柚子に何かしようとするならば、断固として守る決意を固めた。彼にとって、柚子を守ることが最優先であった。

4章

柚子は大学のカフェで課題をしていたが、周囲からの悪意のある視線を感じ、心が乱れていた。ミコトとの鉢合わせを避けることができず、彼女の存在と龍の記憶が柚子の心に重くのしかかっていた。そんな中、突然ミコトが柚子に接触し、挑発的な態度を取った。

ミコトは、玲夜とお見合いをしたことや、自分が彼の花嫁になると宣言し、柚子を侮辱した。柚子は動揺し、言い返すことができずにいると、桜子が現れ、柚子を守るためにミコトに立ち向かった。桜子は毅然とした態度でミコトに対して鬼龍院の権威を示し、彼女を退けた。

その後、桜子は柚子を医務室に連れて行き、彼女の頬を冷やすなど手当を行った。桜子は柚子に、自信を持って玲夜の花嫁であることを強調し、彼女を励ました。柚子はまだ自分の弱さを感じていたが、桜子の言葉に支えられ、自分の立場を再確認した。

透子と東吉も心配して駆けつけたが、一龍斎の令嬢であるミコトに対して、個人的に報復するのは得策ではないと諭され、鬼龍院家に任せるべきだという結論に至った。柚子は透子と東吉の支えに感謝し、今後の対処について考えを深めていた。

柚子は透子と東吉と医務室で話をしていたが、桜子が血まみれで運ばれてきたため、驚きと混乱で息を呑んだ。桜子は突然窓ガラスが吹き飛び、その下敷きになってしまったという。桜子の怪我は重く、教員たちは止血と応急処置に追われていた。柚子は急いで玲夜に連絡し、事情を伝えた。

玲夜と高道が到着し、桜子は鬼龍院の本家に移送された。玲夜と高道は、桜子が怪我をした場所を調査したが、原因は不明のままだった。その中で、柚子は龍の幻影を見て、助けを求める声を聞いた。彼女は龍の鎖を外そうとしたが、強い痛みを感じて手を引いた。その後、玲夜が治療を試みるも、柚子の手の傷は癒えなかった。

屋敷に戻った後、玲夜は桜子の容態について柚子を安心させたが、柚子の手の傷が治らないことに対して困惑した。しかし、霊獣であるまろとみるくが柚子の手を舐めたことで、不思議にも傷が治った。ふたりは霊獣の力の存在に驚き、霊獣たちの力を再認識することとなった。

玲夜は、柚子が一龍斎のミコトに叩かれたという報告を受けてから、大学へ急いで向かった。到着すると、桜子が窓ガラスの下敷きになり重傷を負ったことを知った。玲夜と高道は霊力の痕跡を探したが、何も見つからなかった。柚子が龍の姿を見たと主張するが、玲夜には見えなかった。龍は霊力で柚子の手を傷つけたが、玲夜の治療でも治らなかった。その後、霊獣の猫たちが傷を癒したため、玲夜は猫たちの強い霊力に驚いた。

さらに、玲夜は子鬼たちから、龍が霊獣であり、一龍斎に囚われていると聞かされた。柚子の先祖が一龍斎と関わりがあったことを知り、龍が柚子に助けを求めている理由が見えてきた。桜子が怪我をしたのも龍の仕業だと推測した。

その後、一龍斎のミコトが玲夜に接触し、龍を使って桜子を攻撃したことを認めた。ミコトは龍の加護を持ち、玲夜に対しても威圧的な態度を取った。玲夜はミコトを拒否し続けたが、ミコトは自分の願いが必ず叶うと言い残し、去って行った。玲夜は、今後の対処を考えながら、ミコトから渡された紙を握り潰した。

5章

玲夜が部屋を出てから戻ってくるまでの間、柚子は桜子と雑談をしていたが、玲夜が戻った時の様子が少しおかしいことに気づいた。その後、玲夜が何か悩んでいる様子を見かけることが増えたが、玲夜は何も話さず柚子を心配させまいとする態度を見せていた。柚子は自分が役に立てないと感じ、落ち込むことが多くなった。

そんな中、瑶太の幼馴染である菖蒲と大学で出会い、柚子は嫌味を言われてしまう。菖蒲の言葉に傷ついた柚子は、その場から離れたが、子鬼が菖蒲に仕返しをしに行った。子鬼が行ったことで、柚子はますます状況が悪化しないかと不安に思ったが、仲間たちはそれに理解を示し、励ましてくれた。

また、瑶太が柚子に謝罪し、菖蒲を説得すると約束したことで、柚子は少し安心した。その後、菖蒲は柚子に絡んでくることはなくなり、子鬼の存在を恐れている様子が見られた。柚子は、子鬼にもう少し控えめにしてほしいと伝えたが、子鬼たちは元気よく応じた。柚子は過去に囚われず、前向きに変わる決意を新たにした。

柚子が日常を取り戻した矢先、一龍斎ミコトが再び現れた。ミコトは、玲夜との結婚を目指して柚子に退くよう言い、侮辱的な言葉を浴びせた。ミコトと柚子の友人透子の間で激しい言い争いが始まり、透子はミコトに対して強い口調で反撃した。ミコトが去った後、透子は自分の行動が一龍斎家に対する無謀な挑戦であったことに気づき、東吉に叱られた。彼らは状況を冷静に考え、玲夜に助けを求めることを決めた。

その後、クレープを食べに行く途中で、透子が横断歩道で体が動かなくなり、トラックが迫ってくるという危機に直面した。柚子は透子を救うためにトラックの前に飛び出し、トラックにぶつかったが、奇跡的に大きな怪我を避けた。救急車が到着し、柚子は念のため病院で精密検査を受けることになった。

病院に着いた柚子は検査を受けた結果、膝の傷以外に問題はなかったが、念のため一日入院することになった。透子と東吉に無事を伝えたところ、二人は安堵の表情を浮かべた。しばらくして玲夜が病室に駆けつけ、柚子の無事を確認すると安堵のあまり抱きしめた。柚子が事故の詳細と龍の存在について話すと、玲夜は悩みながらも「俺がなんとかする」と言い残して部屋を出ていった。翌日、退院した柚子は玲夜の屋敷に戻ったが、玲夜は不在で連絡も取れなかった。彼女は玲夜が何か重大なことを考えていると感じ、彼のことを心配し続けた。

6章

玲夜が一週間も帰らないことに柚子は不安を抱いていた。雪乃に尋ねても「仕事が忙しい」という答えしか返ってこず、柚子は玲夜に避けられているのではないかと感じていた。そんな時、透子からランチの誘いがあり、柚子は気分転換に出かけることにした。ランチ中、透子に玲夜のことを相談すると、透子は柚子が玲夜に対して遠慮しすぎていると指摘した。後で街を歩いていると、柚子はジュエリーショップでミコトと一緒にいる玲夜を見かけ、ショックを受けた。さらに二人がホテルに向かう姿を見て、玲夜に裏切られたのではないかと心を痛めた。透子はそんな柚子を励まし、「玲夜を信じて自分の気持ちをぶつけるべきだ」と説得した。柚子は玲夜と話す決意をしたが、玲夜が屋敷に帰ってこないため、透子に助けを求めることにした。

柚子は透子に連れられて猫田家に向かった。透子は玲夜に連絡を取るため、あえて高道に柚子が「玲夜の浮気現場を見て動揺している」と嘘の電話をかけた。すぐに玲夜が駆けつけ、透子は玲夜を部屋に引き入れ、柚子と二人きりにした。柚子は玲夜に「どうして何も話してくれないのか」と問い詰めたが、玲夜は「心配をかけたくないから」と答えるだけであった。柚子は怒りと悲しみから「玲夜の花嫁をやめる」と告げると、玲夜も感情を露わにし始めた。柚子は「一緒に悩みたいし、同じものを共有したい」と玲夜に伝えた。玲夜はその思いを受け止め、柚子に謝罪し、「すべてを話す」と約束した。柚子の気持ちは玲夜に伝わり、二人は再び絆を深めることができた。

柚子を事故から守れなかったことに強いショックを受けた玲夜は、柚子の安全を守るため一龍斎を倒す決意を固めた。事故の背後には龍の存在があり、ミコトの干渉が原因と確信した玲夜は、千夜の協力を得て、一龍斎に対抗するための作戦を進めていた。猫たちと子鬼の協力で、龍が現れればチャンスがあることを知り、玲夜はミコトを挑発して龍を出現させる計画を実行した。計画の一環でミコトと接触し、意図的に彼女を怒らせようとしたが、その状況を柚子に誤解される。最終的に柚子に自分の本音を伝えられたことで、玲夜は柚子をもっと信頼し、協力し合う必要があると反省し、彼女との関係を見直すことを決意した。

柚子と玲夜は、透子と高道に一龍斎の娘ミコトとの関係とトラック事故の背景を説明した。ミコトは透子に怪我をさせようと龍を使って事故を引き起こしたことが判明した。玲夜はミコトの行動を止めるため、ミコトを挑発し、龍を解放する計画を立てた。そのため、柚子と透子たちは協力し合いながら、計画を進めることにした。玲夜はミコトと会い、彼女を怒らせることで龍を引き出す作戦を実行し、柚子たちはその結果を待ちながら屋敷で備えることとなった。

ミコトは、自分の思い通りにならない柚子に対して激しい怒りを抱いていた。彼女は幼少期から一龍斎の直系の娘として特別扱いされ、龍の加護を受けて育ったため、自分の欲望が叶わないことを許せなかった。玲夜に一目惚れしたミコトは、柚子を排除しようと龍を使って嫌がらせを行ったが、玲夜から厳しい拒絶と侮辱の言葉を浴びせられた。その結果、ミコトの怒りはさらに激しくなり、ついに柚子を殺すように龍に命じた。龍は苦しみながらも命令に従い、空へ飛び立った。ミコトは、柚子に不幸が訪れることを期待し、不気味な笑みを浮かべていた。

その夜、柚子たちは広間で食事をしている最中、突如龍が屋敷に現れ、玲夜たちの結界を破って侵入した。龍は苦しみながらも柚子に助けを求め、まろとみるくが龍の鎖を攻撃して解放した。その後、龍は柚子に感謝し、一龍斎の家に報復するために去った。翌朝、龍は小さな姿で柚子のもとに現れ、加護を約束した。大学では、龍の加護により周囲が騒ぎとなった。ミコトは柚子から龍を取り戻そうとするが、拒絶される。龍は一龍斎に戻ることを拒み、今後は柚子を守ることを誓った。

その日、柚子は玲夜に誘われて本家の桜の木の下に来ていた。玲夜は柚子に、これまでの行動が柚子を悲しませたことを謝罪し、今後はお互いに隠し事をせず、率直に話し合うことを提案した。柚子もまた、玲夜に対してもっと近づきたいと告げ、これからは遠慮せずに言いたいことを言うと誓った。

玲夜は柚子に対する想いを深め、共に歩む未来を見据えていた。そして、玲夜はポケットから小さな箱を取り出し、婚約指輪を柚子に渡した。指輪には一年かけて玲夜の霊力が込められており、柚子を守るための強力な守りとなっていた。

柚子は感動し、玲夜の深い愛情に感謝した。玲夜のキスを受けながら、柚子はこれからも玲夜のそばで生きる決意を新たにし、ふたりは桜の花びらが舞う中で未来を誓い合った。

子鬼と猫と、そして龍と

玲夜が柚子のために作った使役獣である子鬼たちは、まろとみるくから霊力を分け与えられたことで、言葉を話せるようになった。最近、屋敷の新しい住人となった龍は、一龍斎から解放されて自由を楽しんでいたが、その動きが猫たちの本能を刺激し、よく追い回されていた。

ある日、子鬼たちは龍を助けるため、まろとみるくに「龍を襲うのはだめ」と注意し、猫たちは大人しく従った。龍は子鬼たちに感謝し、彼らに霊力を分け与えることを決めた。その結果、子鬼たちは以前よりも流暢に話せるようになった。

その時、大きな霊力を感じた玲夜が現れ、龍が子鬼たちに霊力を与えたことを知った。玲夜は少し怒ったが、子鬼たちが柚子を守るために強くなったことを考慮し、そのままにすることにした。ただし、柚子の前では話さないようにと指示した。子鬼たちは頷き、再び龍を助けるために動き出した。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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