小説「鬼の花嫁 新婚編 四 ~もうひとりの鬼~(九)」感想・ネタバレ

小説「鬼の花嫁 新婚編 四 ~もうひとりの鬼~(九)」感想・ネタバレ

どんな本?

現代の日本では、あやかしが人間社会に溶け込み、政治や経済、芸能などで活躍している。
そんな中、あやかしの玲夜と人間の花嫁・柚子の物語が続く。
玲夜はあやかしの本能を失ったが、柚子への愛情は変わらない。
しかし、柚子は友人の芽衣から玲夜の浮気現場を目撃したと伝えられ、動揺する。
証拠写真に写っていたのは玲夜にそっくりな別の鬼のあやかしだった。
その男は鬼龍院への復讐を誓っており、柚子を攫おうと襲いかかるが、玲夜が柚子を守る。

鬼の花嫁』は、クレハ氏著作の小説で、あやかしと人間が共生する日本を舞台にした物語。
主人公は平凡な高校生・柚子で、妖狐の花嫁である妹と比較され、家族にないがしろにされながら育ってきた。

しかし、ある日、類まれなる美貌を持つひとりの男性と出会い、柚子の運命が大きく動き出す。
「見つけた、俺の花嫁」と言ったその男性の名は鬼龍院玲夜で、あやかしの頂点に立つ鬼だった。

この物語は、絶大な権力を持つあやかしの花嫁に選ばれることが憧れであり、名誉なことだとされている。
シリーズは大ヒットを記録し、累計400万部を突破。
また、コミカライズもされている。
この物語は、和風あやかし恋愛ファンタジーとして人気を博している。

読んだ本のタイトル

鬼の花嫁 新婚編四~もうひとりの鬼~
著者:クレハ 氏
イラスト:白谷ゆう 氏

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あらすじ・内容

玲夜に瓜二つの男が現れ、柚子に襲い迫るが…!?「決して離さない。俺の花嫁」

あやかしの本能を失った玲夜だったが、柚子への溺愛っぷりは一向に衰える気配がない。しかしそんなある日、柚子は友人・芽衣から玲夜の浮気現場を目撃したと伝えられる。驚き慌てる柚子だったが、その証拠写真に写っていたのは玲夜にそっくりな別の鬼のあやかしだった。その男はある理由から鬼龍院への復讐を誓っていて・・・!?花嫁である柚子を攫おうと襲い迫るが、玲夜は「柚子は俺のものだ。この先も一生な」と柚子を守り・・・。あやかしと人間の和風恋愛ファンタジー第四弾!!

鬼の花嫁 新婚編四~もうひとりの鬼~
野いちご・ベリーズカフェチャンネル

第一章

柚子は友人の結婚式後、久しぶりに祖父母の家を訪れる。
祖父母は柚子が無事であることに安堵し、喜んで迎え入れる。
柚子は祖父母との時間を大切に過ごし、家族の絆を再確認する。
その一方で、玲夜は仕事を続けながら柚子を思い、彼女の無事を確認する。
玲夜の秘書である高道と副社長の桜河が登場し、玲夜の状況をサポートする。
玲夜は柚子への愛情が本能に頼らないものであることを確認する。

第二章

柚子が祖父母の家から戻ると、玲夜が迎えに来る。
玲夜は仕事を早めに切り上げて柚子を迎えるが、その仕事の負担は桜河に押し付けられる。
柚子は玲夜に対して桜河にもう少し優しくするよう提案するが、玲夜は軽く受け流す。
学校の授業が始まり、柚子は料理学校に通う。
芽衣から玲夜の浮気の疑いを聞かされるが、柚子は玲夜を信じて疑わない。
玲夜は浮気の疑いを否定し、柚子も彼を信じ続ける。

第三章

柚子と玲夜は大規模なパーティーに出席する。
そこで、あやかしの上流階級と交流し、柚子は玲夜の支えを受けながら社交の場に適応しようとする。
パーティーでは、杏那や柊斗との会話があり、あやかしの社会や神器に関する話題が展開される。
玲夜は柚子を守るために、彼女が神と対話できる唯一の存在であることを公にし、あやかしの反対意見を抑える計画を進める。

第四章

パーティー後、柚子のもとに菜々子が訪れる。菜々子は神器の貸与を懇願し、藤史郎との離婚を考えていることを告白する。
柚子は菜々子の訴えを聞き、玲夜や撫子の意見を求めることにする。
藤史郎が撫子の屋敷を訪れ、菜々子との関係を見直すための話し合いが行われる。
最終的に、藤史郎と菜々子はお互いの愛情を再確認し、関係が修復される。

第五章

撫子が神に神器を返すために訪れる。
神は玲夜と柚子に対して助言を与え、子鬼に「蒼」という名を与える。
神との対話を通じて、柚子と玲夜は関係を再確認し、子鬼たちも成長する。

第六章

玲夜が不在の間に来客があり、派手な女性と玲夜に似た五歳の男の子が訪れる。
女性は男の子の養育を柚子に託し、玲夜が父親だと断言する。
玲夜は男の子が自分の子ではないと説明し、混乱は一時的に収束するが、疑問は残る。
その後、柚子たちは本家を訪れ、朝霧の正体についての議論が行われる。

第七章

柚子は玖蘭と共にお茶を楽しむ。お茶会では先代当主とその花嫁の話が話題になる。
柚子は玲夜との関係を確認し、帰ることにするが、朝霧が柚子にしがみつく。
玲夜と千夜が駆けつけ、柚子の無事を確認する。
侵入者の男が捕らえられ、柚子を連れ去ろうとした理由が明らかになる。

外伝

透子が猫田家での生活に適応し、友人の柚子の誕生日にパーティーを開く。透子はあやかしの社会に適応し、東吉との関係を深める。

感想

本書は、あやかしと人間の恋愛ファンタジーとして非常に魅力的である。
玲夜があやかしの本能を失ったにもかかわらず、柚子への愛情が変わらないことが物語の中心に据えられている。
柚子は友人の芽衣から玲夜の浮気現場を目撃したと聞かされ、証拠写真を見せられるが、それが別人であることが判明し、柚子と玲夜の絆が強化される様子が描かれている。
小鬼ちゃんは区別が付かなかった模様。

本書の印象としては、物語の展開が非常にスリリングであり、次々と新しい出来事が起こるため、読む者を飽きさせない工夫が感じられる。
特に、柚子が玲夜を信じ続ける姿勢や、玲夜が柚子を守る決意が強調されており、二人の愛情が深まる様子が感動的である。

また、柚子と玲夜の関係だけでなく、周囲のキャラクターたちの物語も並行して進行するため、全体のストーリーに厚みが増している。
菜々子と藤史郎の両方思い合ってるのに離婚しようと奈々子が動き出し柚子が巻き込まれるエピソードや、神との対話など、サブプロットも興味深く描かれている。
これにより、単なる恋愛物語にとどまらず、幅広いテーマが取り上げられている点が面白い。

一方で、物語の終盤にかけて新たなキャラクター(隠し子?&叔父?)が登場し、次巻への期待を高めてくれる。

総じて、本作はあやかしと人間の恋愛ファンタジーとして非常に楽しめる作品であり、キャラクターの成長や絆の深まりが感動的であり。
次の展開が待ち遠しく感じられる、続巻への期待も高まる一冊である。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

プロローグ

世界大戦後の日本の復興には多くの時間と労力が必要であった。
そんな中、人に紛れて生きてきたあやかしが現れ、彼らの美しい容姿と特異な能力を活かし、復興に大きな力を提供した。
現代では、あやかしは政治、経済、芸能など様々な分野で活躍している。
彼らは時に人間の女性を花嫁として選ぶが、これは人間にとって栄誉あることである。
あやかしにとって花嫁は特別な存在で、選ばれた女性は大切に愛される。
しかし、花嫁は必ずしもあやかしを愛しているわけではなく、中には名声や財力を求めて花嫁になる者もいる。
花嫁になったがために簡単にあやかしを捨てる可能性もあり、そのような選択をした花嫁があやかしをどんな感情で置き去りにするかは計り知れない。

一章

友人の結婚式後、柚子は久しぶりに祖父母の家を訪れた。
長い間会えていなかった間に、柚子はいくつかのトラブルを経験していたが、祖父母は彼女が無事であることに安堵し、喜んで迎え入れた。
柚子はこの訪問を通じて、再び大丈夫だと伝えるとともに、家族との時間を大切にしたいと考えていた。
祖父母と柚子は家の中で楽しい時間を過ごし、過去の心配事についても話し合った。
特に、柚子が行方不明になった際には、祖父が非常に心配して裸足で探しに行こうとしたエピソードが語られた。
その後、柚子が安全であることを確認し、一家は和やかな雰囲気で過ごした。
祖母は柚子を深く愛しており、彼女の幸せを心から願っていることが伝わるエピソードであった。

柚子が祖父母の家に無事到着したことを知らせるメッセージが、玲夜の携帯に届いた。
このメッセージは柚子の護衛からのものであり、玲夜はそれを確認して一安心したが、柚子と離ればなれになる寂しさも感じていた。
玲夜は柚子の家族との時間を尊重し、彼女に会うのを自制しながら仕事に集中した。
その間、玲夜の秘書である高道とのやり取りがあり、玲夜が少し機嫌を悪くしている様子を高道は察したが、あまり深くは立ち入らなかった。

その後、副社長の鬼山桜河が部屋に入ってきて、玲夜に対して礼節を保ちつつも親しげに振る舞った。
桜河は玲夜に退院祝いとして柚子への贈り物を渡した。
これは女性秘書に人気のお店の限定スイーツであった。
玲夜は柚子が喜ぶことを想像して感謝の意を示したが、話題があやかしの本能を失ったことに移ると、玲夜はかなり感情的になった。
その神器による影響で、玲夜は柚子への感情に変化があったことを認め、その状況に不快感を覚えていることを表明した。
その後、玲夜と桜河、高道はこの新しい状況について話し合い、柚子に対する玲夜の愛情が本能によらないものであることを確認し合った。

柚子が祖父母の家に無事に到着したことを知らせるメッセージが玲夜の携帯に届いた。
このメッセージは柚子の護衛からのもので、玲夜は安心したが、同時に寂しさも感じた。
玲夜は祖父母との水入らずの時間を邪魔しないため、柚子と同行せずに会社で仕事を続ける選択をした。
その間、玲夜の秘書である高道とやりとりがあり、玲夜が少し機嫌を悪くしているのを察していた。
その後、副社長の桜河が部屋に入り、玲夜へ退院祝いとして柚子への贈り物を渡した。
これは人気のお店の限定スイーツだった。桜河は玲夜から柚子に渡すよう提案し、玲夜はこれを受け取り、感謝の意を表した。
その後、桜河が玲夜に神器による本能の喪失について質問し、玲夜は本能を失ったことによる感覚の変化を説明し、柚子への愛情が変わらなかったことを強調した。
また、本能の喪失が柚子との関係に良い影響をもたらした可能性についても述べた。

副社長室に戻った桜河は、自分の独り言をつぶやく。玲夜の本当の感情について考えると、桜河は玲夜がまだ強く柚子に執着していると認識している。
桜河は、玲夜が「本能が薄れた」と言っていたが、その言葉の真意に疑問を抱いており、柚子に何かあれば玲夜は変わらずに暴走するだろうと予想している。
その後、秘書が入室し、玲夜が女性と町を歩いているところを目撃されたと報告する。
この報告に対し、桜河は強く否定し、玲夜が柚子以外の女性と関わることはあり得ないと断言する。
秘書もこれに安心し、桜河はこの話は高道に伝えることに決めたが、玲夜自身には問題ではないと考えている。

二章

祖父母宅から戻った柚子を、普段ならまだ仕事中であるはずの玲夜が迎える。
玲夜は仕事を早めに切り上げて柚子を迎え、その仕事の皺寄せは桜河に押し付けられていることを柚子は知る。
桜河がいつか反発することを懸念する柚子の声に、玲夜は桜河に気概がないと返答する。
柚子は玲夜に桜河に対してもう少し優しくするべきだと提案するが、玲夜はそれを軽く受け流す。
玲夜から渡された紙袋には人気スイーツが入っており、柚子は喜ぶが、桜河の負担を思うと複雑な心境になる。
夕食時、柚子はまろとみるくと一緒に食事をし、鬼よりも強いかもしれないと考えられる二匹に普通の猫とは異なる食事を与えることを玲夜は許可する。
その後、学校への通学を続けることに対する玲夜の微妙な反応に、柚子は苦笑しながら感謝を伝える。玲夜は柚子が幸せであればそれでよいと心から思っている。

学校が始まり、料理学校に通う柚子は残り数カ月で卒業を迎える。
料理実習で多くの食事を作り、その試食によって体重が気になり始めていた柚子だが、玲夜は柚子の体型を問題視しない。
柚子は美意識を保ちながら、玲夜の隣に立ち続けたいと思う。
学校では、柚子の作った料理を食べるために龍が必要不可欠な存在になっており、多くの生徒が食べ物を与えるために龍を求める。
しかし、柚子に敵意を持つ者からの料理は龍も受け付けない。
クラスメイトの芽衣は、過去に敵意を持っていたが、現在は表面上友好的に接しており、実際には完全には信頼していない。

柚子は料理学校に行く際、芽衣から龍を必ず連れてくるよう圧力を受けている。
芽衣は柚子に浮気の疑念を持ちかけるが、柚子は玲夜が浮気することを信じられず、確認するために写真を見ることにする。
芽衣が提供した写真には玲夜と思われる人物が写っており、その様子から芽衣は玲夜の浮気を疑っていた。
しかし、柚子は玲夜の忠誠と信頼を疑っていないため、写真の内容に動揺しながらも、その真実を探求することになる。

芽衣がSNS上で見つけた玲夜に似た人物の画像を見せると、それを見た龍が怒りを露わにする。
しかし、柚子はその人物が玲夜ではないと確信している。
画像に写る人物は玲夜に似ているが、柚子は日常的に玲夜と接しているため、違いをはっきりと認識している。
玲夜に似た人物の存在について、芽衣は親戚かもしれないと推測する。

柚子は芽衣からの情報を受け、画像を玲夜に送信する。
玲夜は画像の件についてある程度把握しており、すでに関係者から報告を受けていたと語る。
玲夜は柚子に対して、自分が浮気をするわけがないと断言し、柚子も玲夜を信じて疑っていないことを強調する。

このやり取りから、玲夜がどれほど柚子を信じているかが明らかになり、柚子も玲夜を疑うことなく、全ての誤解が解消される。
また、学校での柚子の友人関係についても触れられ、芽衣との友情が深まる一方で、他の生徒とは距離がある様子が描かれる。

三章

学校の授業が始まった最初の週末、柚子は玲夜と共に大規模なパーティーに出席する。
そこではあやかしの上流階級が多く集まり、柚子は玲夜の伴侶としての立場に圧倒されながらも、必死にマナーを思い出して対応する。
玲夜は柚子の疲れを察し、二人で食事スペースへと移動する。
この間、玲夜は堂々と周囲を制し、柚子の優先を主張する。
その言動があやかしの鋭い聴覚にも聞こえていたが、玲夜はそれを承知の上で発言していた可能性が高い。

パーティーでの交流は柚子にとっては依然として難しいものであるが、玲夜はその場をスムーズに乗り切る手助けをしている。
柚子は自身の不慣れさに落ち込みつつも、玲夜の支援と理解により少しずつ適応しようと努力している。
このような社交の場での柚子の成長と、玲夜の支えが感じられるシーンが描かれている。

杏那が柚子に会い、両親と柊斗の両親が話していることを知らせる。
杏那と柊斗はその場を離れ、柚子、透子、東吉は会話を交わす。
彼らは杏那の冷気の発生について話し合い、杏那と蛇塚の結婚式で問題が起きないように対策を考える。
透子からは杏那が蛇塚家で大事にされていることが明かされ、以前の花嫁との比較が話題になる。
透子と東吉は以前の花嫁に対して強い感情を持っており、それが話の中で顕著に表れる。
最後に、東吉は神器を使って蛇塚の苦しみを和らげたいと提案するが、柚子は神器がもう使えないことを説明する。
この間、神器の存在や影響について議論が行われる。

千夜と撫子が神の存在について説明すると、多くのあやかしが戸惑いを隠せずにいた。
神器の行方についての質問があがり、千夜は神器が神に返されたと回答する。
また、柚子が神子としての素質があること、神が柚子を気に入っているため彼女が神の相手をするのが最適であると千夜は語る。
その場にいる多くのあやかしは神の存在を完全には信じきれていない様子だった。
玲夜は、柚子を神と対話できる唯一無二の存在として公にすることで、あやかしの本能がないことを理由に彼女との離婚を進言する者たちを黙らせる計画を説明する。
この計画は柚子の価値を高め、彼女への反対意見を抑えるために必要であると玲夜は考えていた。

柚子と玲夜、その他のあやかし達は千夜と撫子の間で重要な会話を耳にしていた。
その内容はあやかしの本能を奪う神器に関連し、重要な問題を抱えている烏羽家やその他の家族にも影響があるものであった。
菜々子は公の場で藤史郎との間に緊張が走り、彼女の婚約が破談になった経緯が明らかになった。
また、菜々子が元の婚約者との関係を解消して喜んでいたことも判明し、それが新たな複雑さを加える。
会話は撫子と沙良の間で途中で切り上げられ、柚子は疑問を抱えたままであった。

四章

パーティー後数日、柚子のもとに菜々子が訪れた。
玲夜が不在の間、屋敷の決定権を委ねられている柚子は、菜々子が単独で来訪したことに驚く。
護衛もなく訪ねてきた菜々子は、正座しながら一礼し、神器の貸与を懇願する。
彼女は神器を使って藤史郎との離婚を考えており、そのために神器が必要だと訴えた。
柚子は菜々子の要求に対し、自分一人の判断では難しいと回答し、玲夜や撫子の意見も聞く必要があると述べた。
菜々子は必死の形相で柚子に詰め寄り、その熱意に動かされた柚子は撫子に連絡を取ることを決めた。
その後、玲夜と撫子が到着し、事情を聞いた後、撫子は菜々子を慰め、彼女が自らの意志で行動していることを評価した。

子鬼が柚子の耳元でヒソヒソと会話する様子が描かれている。
菜々子は自信のなさを表明し、自分が藤史郎の隣に立つ資格がないと感じている。
菜々子は、花嫁である必要がなければ藤史郎が自分を必要としないだろうと悩む。
柚子は同じ葛藤を感じつつも、玲夜が本能を失っても自分を選んだことから、真の絆を感じている。

撫子は菜々子の自信喪失に対処しようとするが、菜々子に無礼な発言をした藤史郎の元婚約者について後で対処することを示唆する。
撫子は柚子に神器の使用について協力を求めるが、柚子は神器があやかしにどんな影響を及ぼすか分からないため躊躇する。
菜々子は神器のリスクについて知り、使用に対してさらにためらうようになる。

この間、神器が子鬼とまろによって持ち込まれるという突発的な事態が発生する。
神器を使うことのリスクが不明であるため、柚子と玲夜はどう対応すべきかを検討する。
撫子は菜々子と藤史郎が神器の使用について夫婦で話し合うべきだと提案し、その場で話し合いが行われることになる。

藤史郎が撫子の屋敷を怒って訪れる。
藤史郎は菜々子以外の存在に気が付かないほど興奮しており、撫子の介入を疑って非難する。
撫子は、藤史郎に対し自身の行動を省みるよう厳しく指摘し、自分と菜々子への誠意を求める。

撫子が柚子から受け取った神器を提示すると、藤史郎はそれがあやかしの本能を奪う道具であることを知る。
菜々子はその神器を使って藤史郎から離れることを考えている。
この事実を知り、藤史郎は動揺する。

撫子は藤史郎に対し、菜々子との関係を見直すよう促す。
藤史郎は自分が愛されているか疑問を持ちつつ、自らの行動を省みるよう撫子に促される。
一方、菜々子は藤史郎が自分のことを本当に愛しているか疑問を持っており、そのことが二人の間の葛藤の原因になっている。

最終的に、藤史郎は自分の愛情を示すために神器を使い、それによって自分の本能が影響されるかもしれないリスクを冒す。
これにより、菜々子と藤史郎はお互いの愛情を再確認し、関係が修復する。
藤史郎は自らの行動について家族としての支持を得て、夫としての自己改善を約束する。

五章

撫子が神に神器を返すために一龍斎の元屋敷に来た。
柚子は慣れた様子で、草木が自動的に道を開けるが、初めてこの場に来た玲夜と撫子は驚いていた。
撫子は柚子の神子としての力を称賛する。

社に到着すると、周囲の木々が桜に変わり、神が現れる。
神と初対面の撫子は感激し、その場に跪く。
神は狐雪家の当主としての撫子の信仰心に感謝を表し、撫子との会話を終えると、玲夜に目を向ける。
玲夜は神に対して敵意を隠さない。

その後、まろが神の前に神器を置くと、神器は消える。
神は柚子と玲夜に対して、柚子が嫌になったら助けると言い、玲夜は柚子を独占し続ける意志を示す。
神と玲夜は張り合うが、撫子は玲夜の態度に少し苦言を呈す。
神は子鬼に「蒼」という名を与え、子鬼は新しい名前に喜ぶ。

この訪問で、柚子と玲夜は神との関係を再確認し、子鬼は新たな名前を得て、神の存在とその力により一層強くなる可能性を感じる。

六章

数日後、玲夜が不在の際に来客があり、案内する雪乃が困惑していた。
来客は派手な容姿の女性と、玲夜に似た五歳の男の子であった。
女性は男の子の養育を柚子に託すと言い、男の子の父親が玲夜だと断言した。

女性は、男の子の名前を朝霧と紹介し、その母親が亡くなったため、玲夜が父親であるとして、柚子に子供の世話を任せようとした。
女性は柚子に父親が責任を取るべきだと主張し、場を去った。
混乱する柚子は、男の子が玲夜の隠し子である可能性に驚き、否定した。
しかし、子供の外見が玲夜に似ていることから、状況は複雑に思えた。

その後、玲夜が帰宅し、男の子が自分の子ではないと柚子に保証した。
玲夜は、あやかしと人間との間に子供ができるはずがないと説明し、混乱は一時的に収束した。
しかし、男の子の出生についての疑問は残ったままである。

柚子たちは真偽を確かめるために本家へと向かった。
本家では既に沙良が千夜に対して激しく詰め寄っていた。
柚子の隣には問題となる少年がおり、彼は柚子を気に入り、離れようとしなかった。
玲夜は、その場で小さな子供に嫉妬しながらも、朝霧を本家まで連れてきたのである。
沙良は朝霧が玲夜に似ていることを指摘し、千夜の子である可能性を示唆した。
しかし、玖蘭と天道は朝霧の出生について知っており、玖蘭はそれが千夜の知らない過去の話であることを明かした。
先代当主には別の花嫁がおり、彼女は烏羽家に拉致され、その後消息を絶った。
玖蘭はその後当主と結婚し、千夜を授かった。
朝霧の正体については不明だが、スパイの可能性も考慮し、本家で預かることとなった。

七章

柚子は玖蘭からお茶のお誘いを受け、沙良と共に玖蘭の住む離れを訪れた。
玲夜と千夜は別の場所で仕事の話をしていた。
純和風の建物はレトロな雰囲気でお洒落であった。
玖蘭は女子会を楽しむように二人に呼びかけた。
お茶会では様々なお菓子が用意されていた。
話題は雑談から先代当主とその花嫁の話へと移った。
先代当主は花嫁を非常に大事にしていたが、花嫁は先代当主を愛しておらず、財力目当てであった。
その花嫁は先代当主を裏切り、烏羽家に残ることを選んだ。そのため、先代当主は精神的に病んでいったという。
玲夜に花嫁ができた際、玖蘭や天道たちは先代当主の例を引き、反対したが、玲夜の心配もしていた。
その背景を知った柚子は複雑な気持ちになり、反対される理由を理解したが、それでも少し不快感を覚えた。

柚子は玲夜と共に帰ることに決めたが、朝霧は柚子にしがみつき、離れようとしない。
朝霧は母を失っており、人恋しさを感じている。
柚子は同情するが、玲夜の存在により長居はできない。
朝霧を置いていった親戚の女性について調査しても、鬼龍院の力を使っても見つけられなかった。
その後、柚子は月夜に心を惹かれ、気がつくと神の前にいた。
神は柚子に警告し、あやかしの本能と使役獣をそばに置くよう忠告する。
その後、柚子は玲夜に抱きしめられながら、神の言葉について考えていた。
突然の揺れがあり、千夜の結界が破られたことが明らかになる。
この危機的状況にも関わらず、千夜は冷静で、玲夜に援助を求める。

柚子は鬼龍院の本家にいたが、屋敷内の慌ただしい足音が彼女に不安を抱かせた。
アオとソウが励まし、柚子が龍の居所を尋ねるも、子鬼たちは知らないと答える。
突然、部屋に玲夜のようで玲夜でない男が現れ、自らを鬼の花嫁の子で本来の当主だと名乗り、鬼と天狗の両方への恨みを語る。
男は柚子を連れ去ろうとするが、アオとソウの蒼い炎が彼を撃退する。
その後、玲夜と千夜が駆けつけ、柚子の無事を確認する。柚子から男の事情を聞き、男が柚子を連れていこうとした理由を理解する。
玲夜は侵入者を捕らえ、柚子の方が本命だったことを明らかにする。

龍は空を飛んで本家を見渡していた。
子鬼たちがいるため、龍は柚子の側にいなくても大丈夫だと判断し、結界を確認した後に立ち去る。
一方、捕まった男は座敷牢に入れられ、柚子と玲夜は一度だけ彼に会いに行く。
男は自分の母親に対して情がなく、天狗の一族が母をもてなすとは思わないと語る。
柚子と玲夜は男の言葉に何も言わずに去り、玲夜は先代の花嫁について考える。
柚子は玲夜への愛を確認し、玲夜も同じように柚子を愛していると信じている。

外伝  猫又の花嫁 ~初社交界編

透子が猫田家での生活を始めて一カ月が経ち、その日々は怒涛のように過ぎ去った。
猫田家の生活は最初はお客様対応のようであったが、今はくつろげる空間となっており、透子は適応能力の高さに感心している。
透子は友人の柚子の誕生日には簡素なパーティーを開催していたが、東吉が誘うパーティーはあやかしと人間の親交を深める大規模な創立記念のパーティーであることを知る。
透子はあやかしの社会的階層について学び、東吉の頼みを受け入れてマナー講師の厳しい指導を受けることになった。

透子は付け焼刃のマナーでパーティーに挑み、東吉の手を取りながら会場に入った。
透子が着るには少し派手なピンク色のAラインのチュールドレスを身に纏い、自身の場違い感に戸惑う。
東吉は自然に透子をエスコートし、完璧に彼の花嫁としての役割を果たそうと決心する。
五つ星ホテルの会場に入ると、透子はその絢爛豪華さに圧倒される。
しかし、パーティーの空間や社交の圧迫感に少しびっくりし、一時的に自分の選択を疑う。
東吉は透子のつぶやきを聞き逃さず、彼女の不安を感じ取り、今後の社交の場への慣れを促す。
東吉は重くても構わないと言い、透子を愛していることを強調するが、透子はその重さに少し引いてしまう。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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