どんな本?
「乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル」は、春の日びより原作、ひたきゆうがイラストを担当した作品。
剣と魔法の世界シエルで孤児として生きていた少女アーリシアが、自分が“乙女ゲームのヒロイン”であると知り、その運命(シナリオ)をぶち壊す爽快バトルファンタジー。
アーリシアは、両親の死がただのストーリーの一部だったことを知り、ヒロインの役割を「くだらない」と一刀両断。
その後、冒険者『アリア』を名乗り、次第に複数の武器と魔法を操る「殺戮(さつりく)の灰かぶり姫」へと成長して行く。
しかし、“悪役令嬢”の護衛依頼を受けたことで、気付かぬ間に貴族同士が争うゲームの舞台に巻き込まれて行く。
「私は“私”だ。ゲームの登場人物じゃない!」というアーリシアの強い意志と、武器を作り、技を鍛え、強敵との戦いに生き残り、乙女ゲームをぶち壊す壮絶&爽快な異世界バトルファンタジーが展開される。
読んだ本のタイトル
乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 8巻
(The Otome Heroine’s Fight for Survival)
著者:春の日びより 氏
イラスト:ひたきゆう 氏
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あらすじ・内容
魔族との激闘から数週間。アリアはエレーナとともにクレイデール王国への帰還を果たした。
乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル8
魔術学園も再開されてまた以前のような日々が始まる――と思いきや、二人の平穏は長くは続かない。
自ら女王となる決意を示したエレーナを狙った攻撃は激化する一方なうえ、偽ヒロインによる王太子らの篭絡はとどまるところを知らず。更には何者かが召喚した悪魔の学園と王宮への襲撃事件までも発生したのだ!
数多の思惑が絡み合い誰が敵かもわからない状況において、彼女の答えはいつも通り。
――友のため、立ちはだかるものは斬り捨てる。
際限なく歪みを加速させるシナリオで、最強主人公【ヒロイン】の振るう刃が煌めく!
壮絶&爽快な異世界バトルファンタジー第8巻!
第四章 銀の翼に恋をする・前編帰還
エレーナは魔族の襲撃を逃れて無事帰国し、王城で好意的に迎えられた。
彼女の評判は上昇していたが、誘拐されたという噂もあり、信憑性には欠けていた。
彼女は王太子エルヴァンを廃して女王になる決意を固め、エルヴァンがダンジョンに潜る中、エレーナの帰還が進んだ。
カルファーン帝国からの帰途、アリアはエレーナを支えるために新たな魔法を使用し、二人はクレイデール王国に到着した。
それぞれの報酬
エレーナの帰国を称えられ、彼女の隣には実母である第二王妃がいた。アリアは特別な謝意を受け、政治的圧力から守られるように提案された。宰相ベルトはアリアを高く評価し、彼女にクレイデールの紋章が刻まれた魔導具を与えた。
心の癒し
魔術学園の再開が遅れており、エレーナはその準備に追われていた。王太子エルヴァンの公務放棄により彼女が代わりに仕事を引き受け、学園が再開されれば、彼女は三年生からの招待を期待していた。
魅惑の少女
アリアは砂漠戦での装備修理のためにエレーナの側を離れたが、セラからは早急に戻るよう要請されていた。カルラの危険な存在が問題となっており、アリアは彼女に対抗できる数少ない人物とされていた。
少年たちと一年次の終わり
アリアは魔術訓練での成功を収め、ロークウェル・ダンドールから戦い方の指導を求められた。彼との協力関係が進み、アリアは次の行動について計画を練った。
王立魔術学園の卒業パーティー
エレーナとアリアは新たに側近になった卒業生のためにパーティーに参加した。エレーナはこれを通じて自身の政治力を貴族たちに示し、その地位を固めた。
蠱惑の聖女
冬季休暇中、ハイラム司祭がファンドーラ法国から来訪し、リシアという少女に聖女としての資質を見出した。リシアは彼の支持を得て、共に歩むことを決めた。
悪魔の影
ビビはかつての訓練場を訪れ、そこでキーラと再会し喜んだ。一方、学園では悪魔が目撃され、エレーナとミハイルは対応に苦慮していた。
悪魔の住む町
ジャンが操られているかのような状態であり、アリアは彼の奇妙な行動に対処しながら、町での不審な状況を調査した。
貌のない夜
エルヴァンがカルラを攻撃し、彼女が反撃した。二人の間で激しい戦闘が展開され、最終的にカルラが勝利し、彼女の力を認めざるを得ない状況となった。
乙女ゲームに憧れて
六歳の少女が乙女ゲームの世界に転生したことに気付き、新たな人生を始める。彼女はヒロインになる方法を探求し、その道を進んだ。
船上の戦い
アリアが「虹色の剣」と合流し、カルファーン帝国からクレイデール王国へ帰る途中、船上での時間を楽しみながら帰国の準備を進めた。
感想
『乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル』は、壮大な異世界バトルファンタジーの第8巻であり、死の砂漠へ強制転移された主人公のアリアとエレーナが再び王国へ帰還し、平穏な生活を送ることを期待していたが、すぐに新たな試練に直面する。
エレーナが女王となる決意を固める中、王太子を支持する派閥が彼女を狙う攻撃が激化し、ついには悪魔の召喚が発生するなど、謎と陰謀が渦巻く展開が続く。
アリアは変わらぬ強さと決意で友のため、そして彼女の尊厳のために戦うことを誓う。
本巻の特徴は、登場するキャラクターたちの心情の深堀りと、複雑に絡み合う人間関係にある。
アリアの成長と彼女の選択が物語の進行に大きな影響を与える点も見逃せない。
エレーナや他のキャラクターたちもまた、それぞれの立場で苦悩や葛藤を抱えつつ、自らの信じる道を歩む姿が描かれていた。
それぞれのキャラクターに感情移入しやすく、彼女らの運命の過酷さに慄く。
この巻はシリーズの中では戦闘は大人しめだったが、情緒的な山場が多い一冊であった。
それぞれのキャラクターが直面する内的な試練と外的な脅威が見事に描かれており、最後まで目が離せそうにない。
物語の終盤に向けての布石も感じられ、次巻が非常に楽しみであり、ファンタジー愛好家にはおすすめの作品である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
同シリーズ
乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル シリーズ
その他フィクション
備忘録
第二部 学園編
鉄の薔薇姫 VIII
第四章 銀の翼に恋をする・前編
帰還
エレーナが魔族の襲撃から無事に帰国することになり、その報告がクララに届いた。
王城ではエレーナの留学と帰国が好意的に受け止められており、彼女の評判は上昇していた。
一方で、エレーナが誘拐されたと噂する貴族もいたが、証拠がないため信憑性に欠けていた。
クララは自らの「加護」で未来を予見し、エレーナの影響が限定的であることを知っていた。
エレーナは王太子エルヴァンを廃して女王になる決意を固めていたが、エルヴァンの未来はまだ不確かであった。
エルヴァンは学園の近くのダンジョンに潜っており、その際、王弟アモルやナサニタルも同行していた。
彼らは多数の騎士と共に潜り、王家だけが知る裏道を利用していたが、この行動は王家にとって失態であり、エレーナによるエルヴァンの廃嫡の可能性を高めていた。
クララは元暗殺者ギルドのヒルダ、ビビ、ドリス、ハイジという四人の女性に命じていた。
これらの女性はかつての窮地をクララに救われ、彼女に忠誠を誓っていた。
彼女たちは当初は打算的な関係であったが、クララに情が移り、彼女を守ることに尽力していた。
クララはエルヴァンを守るためにあらゆる手段を用いる決意をしており、エレーナの帰還と同時にエルヴァンもダンジョンから戻る予定であった。
カルファーン帝国の港町から出航する船に、王女エレーナとアリアが乗っていた。
エレーナの見送りにはロレンス第三王子や少数の官僚が参加しており、計画されていた国賓級の盛大な見送りは実現しなかった。
エレーナはアリアに何か問題を起こしたか尋ねるが、アリアはそれを誤魔化した。
アリアがある商人を暗殺したことが、見送りが簡略化された主な原因だった。
この事件はカルファーン帝国内の政治勢力に影響を与える可能性があり、宰相はセラに対して異常に腰が低かった。
エレーナは帝国内で起きている騒動を避け、クレイデール王国へと速やかに帰国することを選んだ。
アリアは、エレーナの王位継承をサポートするために新たに習得した虚実魔法【拒絶世界】を使用し、現実と虚像を操作する能力を得た。
船上でアリアはエレーナと共に過ごす時間が多かったが、エレーナが公務で忙しい時はジェーシャと模擬戦を行っていた。
ジェーシャはアリアのグループに加わり、共に訓練を積んでいた。
帰国後、エレーナとアリアはクレイデール王国の港町に到着し、故郷に戻ることを実感した。
それぞれの報酬
エレーナがクレイデール王国に無事帰国した際、国王が彼女とレイトーン夫人、冒険者たちを称賛した。
エレーナの隣にいた第一王妃は公式行事以外ではほとんど何もできない存在で、実際に王妃の仕事はエレーナの実母である第二王妃が行っていたが、彼女の姿は見えなかった。
エレーナは自分が女王となる動きを知った母が暴走する可能性があると考えていた。
アリアが国王から特別な謝意を示され、彼女の功績を称えられたが、昇爵に関しては慎重な扱いが示された。
これは他の貴族からのやっかみを避けるためである。
エレーナはアリアを「王女の友人」として保護下に置き、余計な政治的圧力から守ることを提案した。
これによりアリアはエレーナと共に学園での時間を過ごすことになる。
エレーナのこの申し出は、アリアにとって政治的な保護だけでなく、友情の証としても意味があった。
宰相のベルト・ファ・メルローズは、アリア・レイトーンと冒険者集団「虹色の剣」の活躍を感謝し、国王からの報酬を約束する。
アリアは、エレーナ王女を守り抜き、その功績によりランク5の竜殺しとして名を馳せている。
ベルトは、アリアが自分の亡くなった娘に似ていることに気づき、彼女に対する血の繋がりを感じている。
宰相はアリアを王家の護衛として認め、王女の囮としての役割も含め、彼女に高い信頼を寄せている。
また、アリアには王家の象徴であるクレイデールの紋章が刻まれた魔導具を与え、その地位を保証する。
ベルトはアリアに対する深い個人的な興味を隠しながらも、彼女の選んだ道を尊重する姿勢を示す。
心の癒し
クレイデール王国の夏が終わりに近づく頃、魔術学園は王女エレーナの帰国により再開されると思われたが、実際には再開の目処は立っていなかった。
多くの下級貴族は王都に屋敷がなく地元に戻っており、魔導具での連絡を待っていたが、地方貴族が戻るには一ヶ月以上かかるため、再開は容易ではない。
冬の休暇が長いため、通常は社交のために王都に残る貴族の子弟が多いが、下級貴族は地元を優先する場合もあるため、すぐには戻らない貴族もいた。
しかし、今年卒業予定の三年生たちは既に学園に戻っている。
中級以上の貴族は、卒業パーティーの参加資格があり、それに出席することが誇りとされている。
卒業生はパートナーとして一人をパーティーに招待できるが、多くは生徒の婚約者である。
エレーナは学園が再開されれば、三年生からのお誘いがある可能性があるが、彼女の立場は政治が絡むため、簡単には誘いを受けることができない。
また、エレーナは砂漠に飛ばされていた際も、王太子エルヴァンが公務を疎かにしていたため、その仕事を引き受けていた。
現在も多くの面会があり、選別するだけでも多くの時間が必要である。
エレーナは内面的な疲労が表に出ているが、表向きは完璧な王女を演じている。
カルラは筆頭宮廷魔術師の末娘であり、王太子の第二妃に内定している少女である。
彼女は過去に聖教会の関係者を皆殺しにし、神殿を焼いた事件で知られており、この事件は聖教会が裏の顔を隠すために不問とした。
カルラに対して罪を問う貴族家もあったが、彼らは文字通り一夜にして消滅した。
カルラの行為は貴族社会に大きな衝撃を与え、彼女の死を望みつつも表立って声を上げることはなかった。
王家は子を望めないカルラを第二妃とすることで、宮廷魔術師団が王家派であることを示そうとしたが、結果的に宮廷魔術師団を引き込む以上の緊張を生じさせた。
カルラは貴族家を滅ぼすことで『茨の魔女』として知られ、多くの貴族から忌避されている。
彼女の現れる場では、その圧倒的な存在感と危険性が感じられた。
エレーナはカルラに対して心を閉ざすが、カルラの機嫌が良いのはアリアが戻ってきたからである。
カルラは『まともな会話』ができる相手を価値ある存在とみなし、それ以外は家畜同等と見なしている。
ある日、カルラがエレーナと対峙する場面で、エレーナの妹であるアリアが登場し、カルラを制止する。
カルラはアリアに挑戦するが、アリアの冷静な対応に一時退くことになる。
この一件から、カルラはさらに力をつけようと決意し、学園での再会を楽しみにしている。
魅惑の少女
アリアは砂漠戦で傷んだ装備を修復するため、エレーナの側を離れる許可を得ているが、カルラの存在が安全に関わる大きな問題であるため、できる限り早く戻るようセラから要請されている。
カルラは暴力的な傾向があり、彼女の力は国内でも特に強大で、そのためエレーナやクララを直接害する気はないものの、彼女の周囲は安全とは言えない。
セラはアリアが唯一カルラに対抗できる力を持っていると考え、抑止力として彼女の早期帰還を望んでいる。
アリアはエレーナの側近としても必要とされ、特にカルラのような高位貴族に対抗できる立場の人物が不足していると感じている。
アリアは冒険者ギルドでの用事を終えた後、セオとともに馬車に乗り合わせ、彼と会話を交わしながら王都に向かう。
少年たちと一年次の終わり
アリアはレベル5の闇魔術【浮遊】を使って訓練場での演習を行い、その技術に対する職員の賞賛を受けた。
彼女の前にロークウェル・ダンドールが現れ、妹クララの問題について謝罪し、自分の責任を感じていることを語る。
アリアは彼の気持ちを受け入れつつ、その場の貴族としての態度を保ちつつ、対話を続けた。
ロークウェルは自分の限界を感じつつも、アリアに戦い方を教えてほしいと依頼する。
その後、エレーナに報告し、彼女はダンドール家からの正式な申し込みについて語り、アリアへの依頼を提示する。
アリアは自分の立場を理解しつつ、次の行動を計画する。
王立魔術学園の卒業パーティーが王城で開催され、男爵家以上の貴族とその関係者のみが参加した。
エレーナとアリアはこの場に主役としてではなく、新しく側近に迎えた卒業生二人、ミハイル・メルローズとロークウェル・ダンドールのために参加していた。
エレーナはこの行動で、彼女が王太子を超える政治力を持つことを貴族に示し、次の女王としての立場を強化した。
ロークウェルはエレーナの側近としての望みを半分叶え、ミハイルとアリアも側近として近づいた。
最終的に、エレーナとアリアは王城での役割を果たし、エレーナが権力を握る過程での重要なステップを踏んだ。
蠱惑の聖女
冬季休暇中の王都にある聖教会の神殿で、ファンドーラ法国から来た司祭のハイラムが、アーリシア・メルシス子爵令嬢と名乗る少女と会った。
彼は聖女を見極めるためにクレイデール王国を訪れていた。
少女は魔力が低く、外見からは通常の貴族の子としては幼く見えるが、彼女には人を惹きつける魅力があった。
過去には【加護】による魅了能力を持つ者もいたが、その代償は大きかった。
ハイラムはこの少女に真の聖女としての資質はないものの、政治的な聖女としては十分な可能性を感じていた。
そして彼は彼女の存在を法国の神殿で認め、共に歩むことを望んだ。少女は「リシア」として呼ばれることを望んだ。
年が明けると、王城のテラスで王族が年始の顔見せを行った。
エレーナは王太子エルヴァンとの間で進退問題が影響し、彼女の側にはダンドール家とメルローズ家の嫡子が付いた。
エルヴァンは評価が低く、エレーナは彼との格の違いを明らかにし、女王としての地位を固めようとした。
彼女は国内外の動向を見極めながら、自身の立場を強化し続けている。
学園が始まるまでの間、リシアはメルシス家の屋敷ではなく、神殿に与えられた部屋で過ごしていた。
彼女は男性に頼るがために女性からは反感を持たれやすく、貴族令嬢としての日々を面倒に感じていた。
リシアの【加護】である『魅惑』は、相手の感情に影響されるため、神殿での初対面の人々には効果的だったが、メルシス家のメイドたちには効果が薄かった。
ハイラムも最初は疑っていたが、リシアの笑顔で好感度を高めていった。
しかし、その魔力の最大値は魅惑を使うごとに減少しており、リシアの容姿は幼いままであった。
リシアの目的は「愛されること」であり、そのために聖女としての役割を利用していた。
王太子妃の座はエルヴァンが成長しないために怪しくなっていたが、リシアは彼を成長させることには興味がなく、他を落とすことで問題を解決しようとしていた。
彼女はナサニタルと親密な関係を築き、彼に影響を与えながら、神殿で貴族たちに影響力を行使し続けた。
リシアの力と魅力によって、多くの人々が彼女に惹かれていった。
悪魔の影
ビビはかつて最大の礼拝堂が存在した場所で、地下廃炭坑への入り口を見つけた。
そこは幼少期に育った場所で、暗殺者としての訓練を受けていたが、仲間からは孤立していた。しかし、彼女を支えてくれたのは、少女であった。
記憶の場所には災害で壊れた痕跡が残っており、その破壊者に対する怒りを覚えながらも、偶然その場所にいたキーラと再会し、喜びを感じた。
一方、学園では「悪魔」が目撃されたが、学園の閉鎖はなく、状況を見守ることが決定された。
エレーナとその側近ミハイルは、国王陛下と宰相の間での議論によるこの決定に静かに同意し、更なる警備強化の予定もあるという。
ただし、学園周辺で「悪魔」が出現した事実に対してロークウェルは納得しておらず、この状況に不安を抱いている。
悪魔の住む町 1
若い少女が夜中に恐ろしい夢から目覚め、それが現実よりも恐ろしいものではないと感じる描写で始まる。
この少女は遠くへ行くことを夢見るが、夢にも現実にも逃れられない感じがする。
一方、王宮は正体不明の強大な魔物に襲われ、多くの騎士や魔術師が戦闘で重傷を負う。
エレーナはこの事件の真実を追い求め、犯行が貴族派によるものか他国の陰謀かを解明しようとする。
犯行の背後にはより大きな計画があることが示唆され、エレーナたちはこの謎を解明するために様々な仮説を立てる。
アリアは森でネロと共に急いでいる。
暗部の密偵が戻らなかった場所に向かっており、その地点は悪魔がいる可能性がある。エレーナは心配していたが、アリアは単独で行動することに決めていた。
アリアは高度な防具を身につけ、特別な矢を装備しており、不死者に対しても有効だと考えている。
途中で逃げている二人の少女に出会い、追跡中のオークから彼女たちを守る。
その後、少女たちを連れてルドの町に向かう。
町では、コレットとキャラが、墓地から瘴気が漏れていると報告する。
彼らの話によれば、彼らは急に現れた敵によって逃げることを余儀なくされた。
町に着いたアリアは、冒険者ギルドでオークゾンビの情報を聞き出し、調査を続けることにする。
貌のない夜 1
王都での日常は通常通り続いていたが、王都を離れたアリアの留守中に動き出す者たちもいた。
王都では貴族たちが集まり、情報交換や顔の売買を目的とした夜会が頻繁に開かれていた。
特に伯爵家所有の屋敷では多くの貴族たちが集まり、王家派、貴族派、中立派を問わず交流していた。
焼失した神殿の再建のための寄付金を募る夜会が、王弟アモルの主催で何度も行われており、新たに認められた聖女による支持もあり、多くの貴族たちが寄付に応じていた。
夜会での会話の中には、神殿焼失事件に関連する噂が飛び交い、関与が疑われる高貴な令嬢についての議論も含まれていた。
貴族たちの間ではこの事件が聖教会や王家によってどのように扱われているかが注目されていたが、具体的な真相や動機は公にされていなかった。
それでも、王太子エルヴァンが婚約者として関与しているとの噂があり、その背後にはさまざまな政治的意図が存在する可能性が示唆されていた。
このような状況の中、カルラに関する誤解や偏見が飛び交い、彼女を直接知る者は少ないにもかかわらず、彼女に対する評判は一部で否定的なものとなっていた。
彼女に近づく若い貴族たちも、表面的な礼儀をもって接しているが、その実、彼女を軽視している態度を取っていた。
これらの複雑な社会的な背景の中で、カルラは夜会に出席し、そこで王太子エルヴァンとの再会を果たす。
しかし、その再会は思わぬ形で幕を閉じることになる。
悪魔の住む町 2
アリアが混乱するジャンを無力化する場面から始まる。
ジャンは一部で操られているかのような行動を見せ、アリアに向かって不可解な発言を繰り返す。
彼は「違う」と叫びながら攻撃を試み、アリアは彼を制圧するために手段を選ばない。
その後、彼が何かに操られているかのような状態であることが示唆されるが、彼の意識はある程度は残っているようである。
アリアはその場でジャンを問い詰めようとするものの、彼の状態は正常ではない。
ジャンの行動に混乱した他の仲間たちも彼を守ろうとするが、アリアはジャンが普通ではないことを感じ取り、様子を見ることにする。
ジャンが言及した「約束」という言葉が何を意味するのかは不明であり、アリアはこの謎を解明するためにさらなる調査を行うことを決意する。
彼女は町の不審な状況を探る一方で、不死者の存在とその背後にある力についても調査を進める。
貌のない夜 2
カルラが王太子エルヴァンを攻撃する場面から物語は始まる。
エルヴァンは火炎槍による攻撃を受けるが、意外にも生き延び、カルラを問い詰める。
彼の行動に対し、神殿騎士たちが介入し、カルラを制止しようとする。
彼らは「夢」でのお告げを受け、カルラが悪魔に魅入られていると信じていた。
エルヴァンは回復後、カルラに対し愛情を表現するが、彼女は冷たく応じ、彼を攻撃する。
屋敷内の人々と神殿騎士たちがカルラを取り囲み、彼女を討伐しようとするが、カルラは強力な魔術で抵抗する。
エルヴァンが彼女に立ち向かい、壮絶な戦闘が展開される。
最終的にカルラは屋敷を壊し、エルヴァンとの一騎討ちになるが、彼女は逃走する。
エルヴァンと彼を支持する騎士たちは、カルラを追い詰めようとするが、カルラの力は予想以上に強大で、最後には彼女が勝利する。
周囲の貴族たちはカルラの力を認めざるを得ず、彼女の勝利を認める。
悪魔の住む町 3
ジャンは同じ夢を繰り返し見ており、その夢の中で自身が見知らぬ「誰か」と約束を交わす様子を第三者の視点から見ていた。
この夢は他の人も見ているようで、夢を見た人々だけがその内容を共有している。
ジャンは、この夢が関係しているのではないかと感じつつも、他人事のように思っていた。
彼らが住む町は閉鎖的であり、外部から来た人間がなじむまでには時間がかかる場所であった。
ジャンとその仲間たちは、町で冒険者として活動していたが、冒険者としての認知度は低く、彼らのランクは2に過ぎなかった。
ある日、コレットがランク3の冒険者パーティーから勧誘されるが、彼女はそれを断る。
ジャンは彼らが才能があると信じていたが、実際にはコレットが彼らを支えていた。
ジャンはある夢を見始めてから、自分たちの間に微妙な変化が生じ始めることを感じる。
コレットも変わり始め、より自立した冒険者として成長する。
一方でジャンは、夢の中での「約束」に悩まされ続けていた。
これが彼の行動に影響を与え、最終的には悲劇へと繋がっていく。
ジャンの夢には「白い女」が登場し、彼は彼女に魂を売り渡してしまう。
その結果、彼は「約束」を果たすために行動し、不死者と化してしまう。
この過程で、町の他の住民も影響を受け、多くの人々が不死者となる。
この事件は、コレットを含むジャンの仲間たちにも大きな影響を与え、彼らの間に存在した「嫉妬」という感情が悪魔に利用されたことが明らかになる。
貌のない夜 3
異形の姿をした王太子エルヴァンが、貴族の若者たちを焼き尽くす光景が見られた後、自らを「悪魔」と主張し、周囲に攻撃を命じる。しかし、彼の声を聞いた人々は混乱し、エルヴァンが悪魔であるかどうかを疑う中でも、彼の命令に従う者が出た。カルラはこれを面白く見ており、彼女が放った魔法により、反撃しようとした者たちは倒された。エルヴァンが悪魔に見える瞬間もあったが、人々は彼の言葉に従ってカルラを攻撃することを選んだ。カルラとエルヴァンの戦いは激しさを増し、カルラが魔力で彼を攻撃する中、エルヴァンは魔力を蓄えて反撃するが、カルラは炎の中から再び立ち上がり、戦いは続いた。
エルヴァンは異形の姿に変わり、その姿でカルラを攻撃するも、彼女は容易には倒れず、戦いは王都の上空まで及んだ。魔力と技量の戦いで、カルラはエルヴァンと互角に渡り合うが、彼女はエルヴァンが最後に自分を倒すために戦っていることを理解する。最終的に、カルラはエルヴァンの攻撃を避けつつ、彼との戦いを楽しむような態度を見せた。
悪魔の住む町 4
アリアは不死者たちを殲滅するために戦っていた。
受付嬢を始めとする不死者たちを斬り、さらに迫ってくる冒険者の死体や一般人の不死者たちも倒していく。
その過程で、コレットと再会し、彼女からはアリアの躊躇なく人を殺す行為に対する疑問が投げかけられた。
アリアは、戦う必要があるために戦っていると答える。
さらにコレットの言葉から、礼拝堂についての不審点を指摘され、アリアはそこへ向かうことを決意する。
礼拝堂に向かう道中、アリアは多くの不死者と戦いながら進む。
そこで、悪魔との決戦が始まる。
骨の悪魔との激しい戦いの中で、アリアは自身の魔力を限界まで使い果たしながらも、ネロの助けを借りて悪魔を倒すことに成功する。
悪魔の消滅と同時に住民の死体も消滅し、戦いは終結を迎えた。
この戦いを通じて、アリアは多くの不死者を救い、自身の使命を果たすことができた。
骨の悪魔が滅びた後、アリアは疲労から一時の休息を取りながら、町の状況を見守る。
町は以前の閉鎖性を失い、新たな『嫉妬』が生まれるかどうかは不明である。
町の中でアリアは自分を睨む少女に遭遇し、彼女の視線に苦しむも、少女は涙を堪えながら父親のもとへと駆け寄る。この光景からアリアは人間の強さを感じ取る。
その後、ネロと共に悪魔の気配を確認し、周辺にはもう悪魔はいないことを知る。
アリアはエレーナへの報告と町の復興のために動き出す。
一方で、王都の聖教会では、火災による神殿の焼失後の再建が進められている。
ナサニタルは、疲れと倦怠感に襲われつつも、リシアの膝枕で安らぎを見出す。
ナサニタルはリシアによって安心させられながらも、不穏な夢にうなされ、自身の役目に対する重圧を感じている。
しかし、彼を見守るリシアの表情は、彼の苦悩を楽しむかのような笑みを浮かべており、彼女の真意や彼に与えられた「役目」には何か不吉な背景がありそうである。
交差する思惑
アリアが地方から戻ると、エレーナによって迎えられる。
エレーナはアリアに地に悪魔がいたかを確認し、アリアは頷いてその存在を肯定する。王都にも悪魔が現れ、多くの犠牲者を出していた。
カルラが実際に悪魔を倒したが、王太子エルヴァンが名声を得たという話がある。
エレーナは王太子を支える派閥を抑えることが難しくなり、聖女が正妃になる動きもあることを懸念している。
エレーナの陣営は王太子エルヴァンの地位を揺るがすために動いており、聖教会が関与している可能性がある。
ミハイルはエレーナの計画に協力し、情報収集と調整を担当する。
エレーナは王太子や聖女の排除を最終手段として検討しており、聖女の排除には世論を説得する理由を探る必要がある。
エレーナは王太子エルヴァンと直接話し合うことを望んでおり、アリアには聖教会を観察してもらうことを望んでいる。
アリアの役割は聖教会の実情を確認し、その情報をエレーナに提供することである。
これにより、エレーナは聖教会との関係を正確に把握し、対応策を練ることができる。
王国に淀む闇
エルヴァン王太子が王女宮のテラスで待機していた際、過去の疎遠になった人々との関係を思い出し、心を落ち着ける時間を求めていた。
エレーナ王女からの招待を受けて、彼は一人で訪れ、精神的に追い詰められた状態であった。
幼少期からの友人や信頼していた家族との関係が変化し、新たに交流を深めた者たちにも苦しい状況が見受けられた。
エルヴァンが婚約者クララと久しぶりに再会する場面では、お互いに戸惑いつつも、話を進めようとする。
その後、エレーナがエルヴァンとクララに自らの王位への意志と国の未来について話す。
エレーナは王族としての責任感を強く訴え、エルヴァンに王位を目指す意志が本当にあるのか問いただす。
エルヴァンは、自分が王になるべきか、またそれに伴う重責に悩むが、エレーナは断固として王位を望んでおり、必要であれば命をかけてでも国を守る決意を示す。
その中で、エルヴァンは逃げ続ける自分自身に気づき、その現実に直面する。エレーナは兄に王位を譲るか、自分の立場を明確にするよう促す。
エルヴァンとクララの関係は、お互いに支え合う姿勢を見せつつも、エルヴァンが王太子としての自信を失い、クララがそれを受け入れる様子が描かれる。
最後に、エレーナは突然の報告を受けて驚くが、その内容は明かされない。
この会話から、エルヴァンとクララの関係の行方やエレーナの王としての覚悟が浮かび上がる。
アリアは朝から冒険者の姿で再建されたばかりの聖教会の神殿を訪れる。
新しい神殿は、多額の資金と労力が注がれたことで、早期に再建された。
アリアは神殿内部に深く入ることができ、多くの信者が聖女と呼ぶ女性について学ぶ。
この聖女はかつてレベル1か2の光魔術しか使えなかった人物で、アリアは彼女がなぜ聖女として慕われているのか疑問を抱く。
神殿の奥へと進もうとするアリアを、神殿騎士が止めるが、聖女自身が彼女を認識し、歓迎する。
アリアは聖女が王太子に付きまとい、混乱を招いたことを知っているが、直接会った印象はただの少女で、魔力も低いことから、彼女がどうして聖女と認められたのか理解できない。
彼女の人柄や容姿が信者たちに愛される理由であるとアリアは考える。
しかし、その時、突如下級悪魔が現れ、神殿内で騒動が起きる。
アリアはペンデュラムを使って悪魔を撃退し、神殿騎士と共に悪魔を倒す。信者たちは聖女と騎士の行動を讃え、歓声を上げる。
アリアは聖女に対する信者たちの盲目的な信頼を目の当たりにし、その影響力に警戒を強める。
アリアは、聖女が自らを「本物」と称する瞬間を見て、彼女が自分を「本物のヒロイン」と思っている可能性に気づく。
この発言と聖女の行動から、彼女が自分にとって脅威であると確信し、彼女を排除するための計画を立てる決意を固める。
聖女リシアは、重病を患うナサニタルを前に、彼の魂を犠牲にした契約を結んでいた。
彼女はナサニタルの病が魂を削るものであると認識し、治療が無駄であることを悟りながらも、彼の生命を少しでも延ばすために慰める。
リシアは「桃色髪の女」を殺すことを決意し、彼女が物語の真の主人公であることを確信する。
一方、アリアは裏社会で恐れられる存在として知られ、彼女の死亡や離反の噂が流れる中、彼女は姿を消していた。
しかし、彼女の姿が見えないことによるさまざまな憶測が流れる。
アリアは街の暗部で、情報を集める外国のスパイと対峙し、彼らとの衝突が避けられなくなる。
アリアとエレーナは互いに重要な役割を持ち、王城に戻るアリアはエレーナと再会し、彼女の戦いを支える決意を新たにする。
アリアはエレーナの囮として機能しながら、彼女自身も敵と戦うことを選ぶ。
エレーナはアリアに過剰なリスクを冒さないよう訴えるが、アリアは自らの信念に従い、彼女の安全を確保しつつ、戦い続けることを誓う。
乙女ゲームに憧れて
六歳で熱中症に倒れた少女が目覚めると、前世の記憶を取り戻していた。
前世では乙女ゲームに没頭し、その世界に傾倒していたが、その性格は転生後も変わらず、新たな人格を形成していった。
異世界に転生したことに気づき、そのゲームの世界に生きることになる。
彼女はその世界で学び、知識を深め、冒険者や魔術師を目指す。しかし、彼女の計画は順調に進まず、多くの困難に直面する。
最終的には、彼女は自身がヒロインになる方法を模索し、それを実現させるための魔術を発展させようとするが、その過程で多くの障害に遭遇し、苦悩しながらも自分の道を進む。
魔石は現在、それを拾い知識を得た少女の許にある。
その魔石は呪術を介して作られ、術者の心を引き裂くようなその魂の断片をわずかに宿している。
失った情報の分だけ小さくなり、情念だけとなった彼女の魂の断片が、「私がヒロインになるのだ」と叫んでいる。
新たな契約者からその魔石を預かった夢魔は、白い髪を揺らし、耳元まで裂けた笑みを浮かべている。
船上の戦い
アリアが冒険者パーティー「虹色の剣」と合流し、カルファーン帝国からクレイデール王国への帰途にあった。
船上での暇つぶしとして、アリアや仲間たちは模擬戦やカードゲームに興じていた。
特に船内の一室では、斥候ヴィーロ、エルフのミランダ、暗部の騎士セラが賭けカードゲームをしており、セラがほぼ一人勝ちの状態であった。
そのゲームには山ドワーフのドルトンや執事のヨセフ、剣士のフェルドも参加し、それぞれが銀貨を賭けていた。
最終的には第一王女エレーナが参加し、彼女が一人勝ちとなる。
エレーナは砂漠の地でいかさまを学んでいたことがアリアによって暴露されたが、それは内緒だと彼女は微笑んでいた。
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