小説「地獄の沙汰も黄金次第 1」感想・ネタバレ

小説「地獄の沙汰も黄金次第 1」感想・ネタバレ

どんな本?

物語の概要

世界と「フロンティア」と呼ばれる異世界が繋がってから30年。各国は新たな資源を求めてフロンティアを探索し、民間人でも資格があればゲートを通じてフロンティアに行けるようになった。資源を持ち帰り売却する職業「冒険者」も誕生している。主人公・沖田は突然会社を解雇され、生活のために冒険者となる。初めての冒険で「錬金術」というチートスキルを手に入れた彼は、この能力を駆使して人生の逆転を目指す。

主要キャラクター
沖田:主人公。会社を解雇された後、冒険者となり、錬金術のスキルを得て新たな人生を歩み始める。

物語の特徴

本作は、現代社会と異世界が交錯する独特の世界観を持ち、錬金術というチートスキルを得た主人公が、冒険者として成り上がる姿を描いている。現代のリアルな問題とファンタジー要素が融合し、読者に新鮮な物語体験を提供する。

出版情報
:出雲大吉
イラスト :カリマリカ
レーベル:Mノベルス
出版社双葉社
発売日:2023.06.30
ISBN:9784575246452
関連メディア展開:コミカライズ版が連載中

読んだ本のタイトル

地獄の沙汰も黄金次第 1 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
著者:出雲大吉 氏
イラスト:カリマリカ  氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889458714 小説「地獄の沙汰も黄金次第 1」感想・ネタバレBookliveで購入gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「地獄の沙汰も黄金次第 1」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890540720 小説「地獄の沙汰も黄金次第 1」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

世界とフロンティアと呼ばれる世界が繋がり30年。世界中の国々は新たなる資源を求め、フロンティアを探索し始めた。現在は資格があれば、民間人でもゲートをくぐり、フロンティアに行けるようになっていた。そして、資源を持ち帰り売却する職業、冒険者が誕生する――。突然会社をクビになった沖田。ロクに貯金もないので、生活をするために冒険者となることに。沖田は、初めての冒険で錬金術というスキルを手に入れる。この瞬間から沖田ハジメの人生は黄金に輝き始める。それと同時に世界の常識を壊す【黄金の魔女】が誕生した。

地獄の沙汰も黄金次第 1 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~

感想

現代とフロンティアが交差する冒険譚

本作は、錬金術を手に入れた主人公が、現代社会とフロンティアが融合した世界で新たな人生を切り開く物語である。突然の失業から始まるストーリーは、主人公のユーモラスな性格や冒険者としての成長を描きつつ、錬金術というチートスキルを駆使して成功を掴む過程が興味深かった。

1. 魅力的な設定と錬金術の可能性

物語の舞台は、現代社会とフロンティアがつながり、ダンジョンが生活の一部となった世界である。この設定は新鮮であり、冒険者の資格取得やギルドでの手続きといったリアリティある描写が、物語に説得力を与えていた。特に、錬金術を用いて回復ポーションやアイテム袋を作成し、それを高額で取引する展開は、主人公の才能とそのスキルの魅力を存分に示していた。

一方で、錬金術の描写があまりに簡略化されており、現実味に欠ける部分も感じられた。例えば、性転換ポーションや翻訳ポーションのアイデアは面白いものの、その効果や活用方法についてもう少し詳細な説明があれば、物語全体に深みが増しただろう。

2. 主人公のキャラクターとコミカルな要素

主人公・沖田は、おバカでどこか憎めない性格であり、後輩のカエデとの掛け合いが物語を軽快に進めていた。カエデの冷静なツッコミと、主人公の突拍子もない行動が対比的に描かれ、笑いを誘う場面が多かった。特に、性転換ポーションを使って「エレノア」として活動する展開は、彼の大胆さと軽率さが垣間見える印象深いエピソードであった。

また、錬金術を使って得た財産を豪快に使う一方で、彼の無邪気な性格が状況を混沌とさせる場面が多く、そのギャップが魅力となっている。物語全体の明るい雰囲気を支える重要な要素と言える。

3. 展開のスリルと今後の期待

物語は主人公の成長と成功を中心に展開し、錬金術の多様な応用が見どころとなっていた。回復ポーションを売却して巨額の利益を得たり、アイテム袋を作成してオークションで高値を付けたりする場面は、読者にカタルシスを提供した。特に、アイテム袋が「黄金の魔女」としての彼の評判を高める契機となり、物語にスリルと期待感を生んでいた。

しかし、物語がチートスキルに頼りすぎている点は否めず、敵との緊張感ある戦闘や大きな困難が少ないことが物足りなくも感じられた。今後の展開では、錬金術を活かした新たな挑戦や、強敵との対決による緊張感の高まりが期待される。

4. 全体の感想と評価

本作は、現代社会と異世界の融合という斬新な設定の中で、主人公が錬金術を駆使して冒険しながら成長していく物語である。ユーモラスなキャラクター同士の掛け合いや、チートスキルによる爽快な展開が、物語全体をテンポ良く進めていた。一方で、設定や描写が簡略化されている部分もあり、もう少し説得力を持たせる工夫が欲しかったと感じた。

カエデをはじめとする周囲のキャラクターたちとの関係性や、錬金術のさらなる可能性が物語を彩っており、今後の展開への期待感が高まる。読者に軽快さと笑いを届ける本作は、エンターテインメントとして十分に楽しめる作品である。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

第一章

上司からの解雇通告と動揺

沖田は朝から上司に呼び出され、不本意ながらも上司の席に向かった。上司は軽い口調で彼を解雇すると告げた。突然の出来事に沖田は動揺しつつも、次の仕事が見つかる保証もない中で、自主退職に同意せざるを得なかった。その後、自宅に戻りヤケ酒をあおりながら、会社や上司への不満を口にしつつ、今後の生活について思案していた。

冒険者への興味と講習への参加

テレビの広告で冒険者の存在を知った沖田は、その自由な生き方に魅力を感じる。過去の剣術経験や若さを頼りに冒険者としての再出発を目指すことを決意した。早速、冒険者資格を得るための講習に申し込み、高額な受講料に不満を抱きながらも講習を修了した。

冒険者ギルドでの再会と準備

講習後、池袋の冒険者ギルドを訪れた沖田は、受付嬢が大学時代の後輩である朝倉カエデであることに気付く。彼女との軽妙なやり取りの中で、自分が専属受付嬢として彼女に割り当てられることになった。朝倉の助言に従い、沖田はギルド内で必要な武器を購入することを決意するが、予算に見合わない価格に頭を悩ませていた。

フロンティアへの期待と不安

朝倉の説明を受け、フロンティアの危険性を再確認した沖田は、自身の生存を誓いながら冒険への期待を膨らませた。しかし、朝倉から「犠牲者の多くがクビになった人や脱サラ組である」という厳しい現実を聞かされ、不安を抱きつつも冒険者としての一歩を踏み出す覚悟を固めた。

武器の購入とゲートへの初挑戦

沖田はギルドの武器屋で最も安い五万円のショートソードを購入した。それを手に奥のゲートへ向かい、初めてその巨大な門を目の当たりにした。教科書でしか見たことのなかったゲートをくぐると、そこはフロンティアと呼ばれる別世界であった。草原と森が広がるエデンの森を選んだ彼は、軽やかになった体を確かめつつ冒険を始めた。

ステータスカードと錬金術スキルの発見

ゲートを通った先でステータスカードを拾い、自身のジョブが剣士であり、剣術レベル5という達人級のスキルを持っていることを確認した。また、「錬金術」というスキルを発見し、その詳細を調べた結果、素材を組み合わせて新たなアイテムを作る能力であることが判明した。このスキルを試すため、薬草を探し始めたが、森の中で薬草の種類が分からず断念した。

モンスターとの初遭遇と戦闘

森を探索しているとスライムと遭遇し、剣で簡単に斬り倒した。さらにゴブリンとも戦闘し、首を一撃で落とすなどの成果を上げた。だが、準備不足から持ち帰るアイテムを収納する袋がないことに気づき、草やナイフを手にしたままギルドへ戻ることにした。

初めての錬金術と成功

ギルドに戻った沖田は、初めて錬金術を試みた。薬草と水を使い「回復ポーション」を生成すると、その価値が五十万円もすることを知り驚愕した。さらなる検証のため「性転換ポーション」と「眠り薬」を作成し、それぞれの効果を確認した。

冒険者としての課題と準備

初めての冒険を通して準備の重要性を痛感した沖田は、次の冒険に向けて装備や道具を整えることを決意した。また、錬金術の有効活用について深く考えながらも、このスキルの特異性に興味を抱いていた。ギルドの朝倉との交流を通じ、冒険者としての道を模索しつつ、新たな挑戦への意欲を高めていた。

目覚めと性転換ポーションの効果確認

沖田は眠り薬の効果で深い眠りについた後、目を覚ました。起きると性転換ポーションの効果で女性の姿のままだったことに気付き、その変化を改めて確認した。鏡に映る美しい姿を見た彼は、この姿を利用して回復ポーションを売れば、自分の正体がバレないと考えた。

準備と変装のための美容院訪問

翌日、沖田は必要な道具をネットで購入し、美容院を訪れた。髪を腰まである金髪に染め、目立たないように変装を整えた。帰宅後、性転換ポーションの再確認を行い、男性に戻った際には髪が黒に戻る特性も把握した。これを利用して完全に別人として行動する計画を進めた。

回復ポーションの作成と販売の試み

沖田は回復ポーションを10本作成し、そのうち5本を販売する計画を立てた。変装を終えた姿で素材買取店を訪れたが、冒険者の認証番号が必要とされ、提示できなかったため、販売は失敗に終わった。新たな策として、自身の別人としての身分を正式に登録するため、冒険者としての手続きを行った。

冒険者登録と二度目のフロンティア挑戦

沖田は新たな名前「エレノア・オーシャン」で冒険者登録を済ませ、再びフロンティアへ向かった。エデンの森でステータスカードが新たに発行され、別人としての存在がシステム的にも認められたことを確認した。その後、時間を潰してギルドへ戻り、作成した回復ポーションを提出した。

回復ポーションの売却と計画の成功

ギルドの受付嬢であるカエデに回復ポーションを鑑定させ、全てが本物であると確認された。総額275万円で売却し、現金を手に入れることに成功した。大金を得た沖田は内心で歓喜しながらも、今後の行動計画を練りつつ、ギルドを後にした。

金髪女の帰還と疑念

朝倉は金髪ローブ姿の女性を見送りながら、内心で先輩の可能性を考えた。その女性は剣術レベル5という異常な数値を持つ冒険者で、行動や所持物からして先輩と酷似していた。さらに、彼女が納品した回復ポーション5本という異例の事態にも違和感を覚えた。盗品や不正の可能性を排除できない状況に、朝倉は報告の必要性を感じた。

ギルマスへの報告と問題の深刻化

朝倉はギルマスに回復ポーションの件を報告するため、彼女の執務室を訪れた。ギルマスはその報告を聞くと即座に頭を抱え、状況の異常さを指摘した。さらに、以前の通報で認証番号を確認され逃げた女性との一致も疑われ、ギルマスはその女性の身元や行動に懐疑的な態度を示した。

エレノアの正体とギルド内の対応

朝倉が提出した情報から、金髪ローブの女性がギルドに新規登録した「エレノア・オーシャン」であることが判明した。その行動や経歴の不自然さからギルマスは疑念を深めたものの、明確な証拠がないため、対応を保留する方針を示した。朝倉には引き続き状況を見守り、情報収集を依頼した。

先輩との関連性と朝倉の決意

朝倉はエレノアが先輩である可能性をほぼ確信していたが、直接問い詰めるのは得策ではないと判断した。誘導尋問や機会を利用して情報を引き出す計画を立てる中で、先輩から届いたメッセージがその推測を裏付けた。先輩の浮かれた態度に呆れつつも、その状況を逆手に取り、有利に進めるべく行動を決めた。

今後の対応と個人的な期待

朝倉はエレノアの再来に備えつつ、自分も冒険者として活動を再開する可能性を模索し始めた。さらに、先輩の得た大金に目をつけ、その関係性を利用して自分の利益を得ようとする決意を固めた。

回復ポーションの売却と新たな収益

沖田は回復ポーションの売却で得た二百七十五万円の現金を目の前にし、成功を実感していた。気分良く酒を飲んでいると、ギルドの受付担当であるカエデからメッセージが届いた。二人は月曜日の食事の約束を取り付け、沖田は彼女との会話を楽しみながら準備を進めることにした。

エデンの森での三回目の冒険

翌日、沖田はギルドを訪れ、受付でカエデと話を交わした後、エデンの森へと向かった。今回は慎重に地図と杭を頼りに進みながらスライムやゴブリンを狩り、収益を確保していった。途中で遭遇したウルフを難なく倒し、その牙をドロップとして入手した。

冒険の成果と新たな発見

森での探索中、沖田は新しい工夫としてペットボトルを使った錬金術に挑戦した。これにより、軽くて扱いやすい回復ポーションを作成することに成功した。また、ステータスカードを確認するとレベルが3に上がり、新たにアイテム袋のレシピを得た。これにより、さらなる収益の可能性を模索することができた。

冒険の終了と今後の計画

探索を終えた沖田はギルドへ戻り、ドロップ品や収集したアイテムを売却した。カエデからの助言を受け、エデンの森を卒業し次の段階へ進むことを決意した。売却後はギルドのシャワーを利用し、夜に予定されているカエデとの食事に備える準備を整えた。

先輩への疑惑と確信

カエデは更衣室に向かった沖田を見送りながらため息をついた。沖田の行動や言動から、エレノアと沖田が同一人物であるという確信を持った。特にステータスカードのレベルが連動していることが決定打となった。証拠は揃ったが、この日の飲み会では詰問せず、翌日に対応を決めることにした。

ギルドでのシャワーと準備

沖田はフロンティアから戻り、ギルドのシャワー室で汗を流した。その後、着替えを済ませ、ロビーを抜けてギルドの外に向かった。ギルドの入り口では、私服姿のカエデが待っており、沖田はその姿を褒めながら居酒屋へ向かった。

居酒屋での会話と愚痴

居酒屋に到着すると、二人は乾杯しながら仕事や日常の話題で盛り上がった。カエデはギルド受付の大変さや客層の質の悪さについて愚痴をこぼしつつも、沖田との会話を楽しんだ。一方で沖田は冒険者としての新しい生活に手応えを感じつつ、カエデの学生時代の冒険者経験についても話を聞いた。

飲み会の終盤と帰宅の準備

飲みが進むにつれ、カエデは酔いが回り、楽しい雰囲気の中で冗談を交わした。沖田は彼女の状態を見てタクシーを呼び、解散することにした。カエデをタクシーに乗せた後、沖田も買い物を済ませ、自宅に帰った。彼にとって、この日が大学卒業後で最も楽しい一日となった。

第二章

翻訳ポーションの実験

沖田は飲み会後、自宅で翻訳ポーションを試作した。ペットボトルの水と砂糖で完成させたポーションを飲み、外国語のウェブサイトや動画を確認したところ、全ての言語を理解できることに驚いた。しかし、効果時間が24時間であることや、新規アイテムの申請の難しさから販売は難しいと判断した。

アイテム袋の製作と発見

次に沖田は輪ゴムを素材にしてアイテム袋を作成した。カバンに輪ゴムを投入し、容量を調整可能なアイテム袋を作成した結果、売却価格が1,000万円を超える可能性があることを知った。さらに、袋の中身が空であれば別のアイテム袋に収納可能な仕様も発見した。

カエデとの会話と協力

カエデは沖田の錬金術スキルの有用性に驚きつつも、アイテム袋やポーションの販売計画を支持した。特に、カエデは沖田が性転換ポーションでエレノアに変身している事実を把握し、その活用法を提案した。二人はギルドの支部長である桜井サツキとの協力に向けて準備を進めた。

ギルマスとの交渉と計画

ギルドの支部長サツキはエレノア(沖田)の錬金術スキルを確認し、今後の商売展開について協議を行った。回復ポーション50個の売却契約が成立し、アイテム袋はギルドのオークションに出品することとなった。また、サツキは沖田に自身のクレジットカードを渡し、今後の売上を管理する方針を決定した。

新しい武器と装備の準備

交渉後、沖田はギルドの施設で新しい武器と防具を購入するため、二階の武器売り場に向かった。サツキの提案で遠距離攻撃が可能なマジックワンドを購入する計画を立て、さらに防具の見直しも検討した。新たな装備で冒険に備えつつ、今後の計画を進めることとなった。

エレノアの武器選びと部屋の状況

エレノアの姿をした先輩は、部屋に大量の回復ポーションとアイテム袋を残し、早速武器や防具を選びに出かけた。ギルマスであるサツキは、残された品々を見て「本当にすごい」と感嘆していた。これほどのスキルを普通に受け入れられる先輩の順応性に驚きつつも、彼女は冷静に評価していた。

先輩の性格とカエデの不安

カエデは先輩の性格について、「明るい人で、しゃべり始めるとよく話す」と説明した。ただし、ぼろを出しやすい性格に対する不安を口にした。特に酔った状態では、エレノアの姿で「カエデちゃん」と口走るのではないかと危惧していた。サツキは「大丈夫だ」と楽観的だったが、カエデは先輩が酒で簡単に正体を明かす可能性を懸念していた。

先輩への信頼とギルドの新たな展望

サツキは「気を許している相手だからこそ、ぼろを出したのだろう」とし、先輩とカエデの関係性の良さを評価した。そして、今回のスキルとアイテムの発見をギルドにとって大きなチャンスと捉え、これからの展望に意欲を示した。

カエデの業務とサツキの態度

サツキは、カエデに回復ポーションやアイテム袋の鑑定を任せ、自身はスマホでソシャゲを始めた。カエデは「多いな」とため息をつきながらも業務に取り組んだが、早く仕事を辞めたいという本音を漏らしていた。

第三章

武器と防具の選定

沖田は、武器と防具の選定を行った。エアハンマーを発射する杖と百万円のショートソードを武器として選び、防具にはインナースーツと白と水色のコートを決めた。このコートは新撰組の羽織を思わせるデザインであり、沖田はその厨二感を受け入れた上で選んだ。

クーナー遺跡への出発準備

武器と防具の選定を終えた沖田は、受付に戻りカエデから回復ポーションの売上を確認した。振り込まれた大金を確認しながら、クーナー遺跡への準備を進めた。新たに購入した黒ローブを身にまとい、ゲートを通じて遺跡へと向かった。

クーナー遺跡での探索と戦闘

クーナー遺跡に到着した沖田は、スケルトンとの戦闘を開始した。エアハンマーを試し、スケルトンを圧倒的な力で撃破した。その後、剣術の向上を目指してショートソードを使用しながら戦闘を続けた。遺跡を探索する中で他の冒険者ともすれ違ったが、特に交流はなかった。

危機に陥る若い冒険者たちとの遭遇

遺跡を進む中、若い冒険者の四人組がスケルトンに苦戦している場面を目撃した。沖田は助けるべきか迷った末に行動を起こし、スケルトンを瞬時に撃破して四人を救った。しかし、助けた冒険者の一人から感謝されるどころか、「ハイエナ」と非難されることとなり、失望を覚えた。

カエデとの焼肉での愚痴と反省

遺跡から帰還した沖田は、カエデと共に高級焼肉店で食事を楽しんだ。そこで、助けた冒険者に非難されたことを愚痴りながらも、遺跡の探索自体は充実していたと振り返った。カエデとの会話と食事を通じて、沖田は気分を切り替え、ストレスを発散することに成功した。

謎の納品者の登場

本部長は部下からの報告を受け、池袋支部にレベル1の回復ポーションが50個納品されたと知らされた。信じ難い報告に再確認を求めたが、部下は調査済みであると主張した。このポーションはスライムを倒した際にドロップしたとされているが、その確率や数量に対し本部長は疑念を抱いた。

納品者エレノア・オーシャンへの関心

部下の報告によれば、納品者は以前にも回復ポーションを納品していた謎の女性、エレノア・オーシャンであった。彼女の身元情報は全てでたらめであり、政府や一部議員も彼女の動向に注目しているという。本部長は、優秀な冒険者を国外に流出させたくない思いから慎重な対応を指示した。

渋谷支部での目撃情報

渋谷支部の報告によれば、エレノアはクーナー遺跡で高校生たちを救出していた。彼女はスケルトン五体を瞬時に倒し、負傷した生徒に回復ポーションを使用したが、その後、救われた生徒の一部から暴言を浴びせられた。渋谷支部長は謝罪と接触を試みているが、彼女の足取りはつかめていない。

オークション申請と魔女の正体

部下から池袋支部長がアイテム袋のオークションを申請していると知らされた。本部長はアイテム袋の出品者がエレノアであると聞き、驚愕した。彼女の製品は高い価値を持ち、国内外で注目を集める可能性があるため、本部長はやむを得ず申請に署名した。

黄金の魔女への期待

本部長はエレノアを「黄金の魔女」と呼び、彼女の能力がユニークスキルに起因していると推測した。彼女の正体やスキルの詳細は不明であるが、その影響力は非常に大きいと考えられた。本部長は彼女の活動がギルドや国に利益をもたらすことを期待しつつ、国外からの圧力に備える必要性を痛感していた。

引っ越しの悩み

沖田は収入の増加に伴い、部屋探しに苦戦していた。広すぎる部屋の管理が面倒だと感じていたが、オークションの結果が出るまでは引っ越しを先延ばしにすることにした。その間、嫌々ながら掃除を進め、翌日の準備を整えていた。

オークションの驚異的な価格上昇

翌日、カエデが沖田の家を訪れ、百キロのアイテム袋が二千万円を超える値を記録したと報告した。沖田はその価格に驚きつつ、自分が「黄金の魔女」としてネットで話題になっていることを知り、影響力の大きさを実感した。

一億八千万円の収益確定

オークション終了時には、合計一億八千万円の収益が確定した。予想を超える金額に、沖田とカエデは慎ましい生活ではなく、豪遊する人生を選ぶ決意を固めた。この収益を元手に、新たな生活を築こうと考えていた。

絆の深まりと未来への期待

深夜まで飲み明かした沖田とカエデは、今後の計画を語り合う中で絆を深めた。カエデは沖田に「一生ついていく」と誓い、千キロのアイテム袋がもたらすさらなる収益の可能性に期待を寄せ、新たな未来への希望を共有していた。

オークション結果とその影響

渋谷支部のギルマスは、黄金の魔女が一晩で二億近い金を稼いだオークションの結果に驚愕していた。彼は冒険者の流出を懸念し、本部長に対策を求める予定であった。一方で、高ランカーたちの間では黄金の魔女の勧誘を望む声が高まりつつあった。

黄金の魔女への関心とリスク

ギルマスは、黄金の魔女が得体のしれない存在であることを警告しつつも、彼女が剣術や魔法に秀でているという情報に触れた。さらに、彼女が回復ポーションを大量に納品している事実が明かされ、その重要性が一層際立った。他支部との競争が激化する中、彼は他支部への牽制を指示した。

渋谷支部の動向と対策

渋谷支部では、Aランク冒険者が黄金の魔女との接触を望んでいたが、ギルマスは慎重な行動を求めた。彼は、黄金の魔女が持つ影響力が支部間の争奪戦を引き起こす可能性を指摘し、最悪の事態を避けるための対応策を模索していた。

本部の動きと高ランカーの参入

ギルマスは、本部長の子飼いであるAランク冒険者三枝ヨシノがすでに動いていることを明かし、彼女が黄金の魔女の重要性を察知していることを示唆した。他の高ランカーたちも次々と動き始めており、黄金の魔女を巡る競争が一層激化していく兆しを見せていた。

アイテム袋オークションの結果

アイテム袋のオークションで百キロサイズが五千二百万円という驚異的な金額で落札された。相場が一キロ十万円とされる中、この結果は希少価値と話題性によるものと考えられる。宅配業者や引越し業者が落札者に含まれることも推測された。

黄金の魔女への注目

黄金の魔女エレノア・オーシャンは、その神秘的な存在感からネットで注目を集め、多くの憶測を呼んでいた。アイテム袋の均一なサイズと数が意図的に設定されていることから、アイテムの作成者である可能性が議論されていた。また、彼女の正体については、日本人かフロンティア人かという議論も交わされていた。

フロンティア人説と謎の深まり

一部では彼女がフロンティア人ではないかとする説が挙がった。未知の技術を用いてアイテム袋を製作した可能性や、フロンティアのゲートを利用して現れたのではないかと考えられていた。この説に基づき、彼女が持つ回復ポーションやアイテム袋の技術がさらに注目された。

盗撮写真とその影響

ネット上には、エレノア・オーシャンの写真が多数出回り、電車やコンビニ、ケーキ店での姿が捉えられていた。これにより、彼女の私生活やファッションが話題となり、さらに興味を引き立てていた。盗撮の増加が問題視される一方、彼女の人気はますます高まっていった。

クーナー遺跡での目撃情報

エレノア・オーシャンがクーナー遺跡に現れるとの情報が流れ、多くの冒険者が訪問を計画していた。彼女の初心者らしい立ち回りや派手な服装が目撃者の証言と一致し、さらなる混雑を招く可能性が指摘された。このように、彼女の存在はフロンティアの話題を席巻していた。

第四章

カエデの仮病と二日酔いの朝

カエデは電話で仮病を使い、休みの連絡を入れていた。二日酔いの状態だったが、沖田が差し出した回復ポーションを飲み、すぐに元気を取り戻した。彼女は帰宅を希望し、沖田もそれを見送った。その後、沖田はシャワーを浴びて昼過ぎまで休むことにした。

アイテム袋オークションの話題

ネットニュースでは、アイテム袋が驚異的な金額で落札されたことが話題になっていた。沖田は「エレノア・オーシャン」という名義が注目されていることを確認しつつ、翌日は目立たない「沖田ハジメ」として活動することを決めた。

カエデとの部屋探し計画

カエデとのルームシェアの提案を真剣に受け止めた沖田は、部屋探しを開始した。メッセージで確認したところ、カエデも本気で一緒に探したいと応じ、予定を立てることになった。

ギルドでのマスコミとの接触

池袋のギルド前には多くのマスコミが集まり、エレノア・オーシャンを探していた。沖田は自分が関係ないことを装い、「沖田ハジメ」として取材をかわすことに成功した。その後、ギルド内でカエデと話し合い、今日はクーナー遺跡で冒険をする計画を立てた。

クーナー遺跡での出会い

遺跡に到着した沖田は、多くの冒険者が集まっているのを目撃した。探索中、後ろから声をかけられ、振り向くと有名な Aランク冒険者三枝ヨシノ が立っていた。彼女はエレノア・オーシャンについての情報を求めており、沖田と連絡先を交換した。

三枝ヨシノとの交流

三枝ヨシノは冒険者としての経験を語り、沖田の剣術に興味を示した。彼女の美貌に気圧されつつも、沖田は冷静に対応し、自分の活動方針を語った。最後に、三枝はエレノア・オーシャンの目撃情報を共有するよう沖田に依頼し、立ち去った。

沖田の心境の変化

三枝ヨシノとの交流を経た沖田は、彼女の魅力を認めつつも、カエデの素直でかわいい性格をより好ましいと感じた。彼は引き続き、自分のペースで冒険と生活を進めることを決意した。

三枝の評価と沖田の剣技

三枝は、沖田との会話を終えて建物の裏手に戻ると、待っていた部下に剣技の感想を語った。沖田の剣技は非常に高いレベルで、池袋支部で最も注目すべきルーキーであると評価した。彼がアイテム袋を所持している可能性や、スケルトンの剣を拾わなかった理由についても推測を重ねた。最後に、沖田の注意力と警戒心の高さを称賛しつつ、人の胸を見た際の隙を減らすべきだと内心で指摘した。

ギルドでのカエデとの食事計画

沖田は夕方、ギルドに戻るとカエデと居酒屋へ向かった。個室でビールを飲みながら、三枝との出会いについて語った。三枝の美しさや実力について話しつつ、カエデがやや不機嫌になる場面もあったが、沖田はカエデを癒し系として絶賛した。さらに、三枝との連絡先交換について語り、彼女が初めから沖田の正体を知って接触してきた可能性を示唆した。

翌日のギルド訪問の準備

カエデから翌日のギルド訪問の要請を受けた沖田は、エレノア・オーシャンとして対応することを決意した。また、カエデとのカニ旅行の計画が進み、宿泊や食事の予約に前向きな態度を見せた。その後、カエデとの飲み会を早めに切り上げ、明日の準備に集中した。

透明化ポーションを使った移動

翌日、沖田はエレノア・オーシャンの姿に変身し、透明化ポーションを活用して移動を開始した。透明化の効果に助けられつつも、途中でマスコミに見つかる場面があった。注目を集める中、沖田は記者たちの質問に適当に応じながら、ギルドへの道を進んだ。

マスコミとの対応とギルド到着

ギルド近くではさらに多くの記者が待ち構えており、沖田は彼らの質問攻めを受けた。アイテム袋の出品理由やモデル経験の有無など多岐にわたる質問に対し、沖田は軽快に答えつつも、ギルド内への侵入を拒否した。最後に、アイテム袋の出品予定があることだけを告げてギルドに入った沖田は、マスコミ対応の疲れを感じつつも、次の行動へと意識を切り替えた。

剣術レベル5の評価

サツキは沖田のステータスカードを手に取り、彼の剣術レベルが5であることを確認した。その驚異的な数値について、カエデに「これまで日本で剣術レベル5の持ち主は自分一人だけだった」と説明した。さらに、体格差による優位性を挙げつつも、剣術において沖田の方が自分より優れている可能性があると認めた。

ステータスカードの管理をカエデに委託

サツキは、エレノアと沖田の二枚のステータスカードをカエデに管理させることに決めた。エレノアが注目を集める中、沖田の剣術レベル5が余計な注目を浴びないようにするためである。また、カエデに対してアイテム袋を沖田から入手するよう命じたが、すでに彼女がそれを入手済みであることが判明した。

性転換ポーションの可能性の検討

サツキは沖田とエレノアが同一人物であるかどうかを疑い、ステータスカードが二枚存在する理由をカエデと話し合った。性転換ポーションの効果の検証について話題に上ったが、どちらもそれを試すことを拒否した。

沖田への初歩的な依頼の提案

サツキは、沖田に初歩的な依頼を経験させるべきだとカエデに指示した。年齢的に時間が限られる沖田が討伐ばかりに注力することで、後々他の仕事で困らないようにとの配慮である。特に採取などの簡単な依頼から始めることを提案した。

エレノアの到着を待ちながらの雑談

サツキは、カエデとの話を終えると、スマホのゲームアプリを起動させた。沖田のオークション成功により得たボーナスを使い、推しキャラの強化に励む姿勢を見せた。沖田を「アホな金づる」と心の中で揶揄しつつも、彼に対する期待を抱いていた。

マスコミとの攻防

沖田はギルドに入ると、カエデに駅でマスコミに囲まれたことを報告した。カエデもネットで沖田の写真を見ており、沖田は今後タクシーを利用することを決意した。その後、サツキの部屋に案内され、オークションの収益や今後の展望について話し合った。

オークション収益の詳細

サツキは、オークションでの収益が一億六千三百八十万円に達したと報告した。この高額収益に沖田は驚きつつ、サツキとともに今後の戦略を練った。さらに、千キロのアイテム袋をオークションに出品する計画が立てられた。

テレビ出演の依頼

サツキは沖田にテレビ出演を提案し、世間にエレノアとしての存在を周知するよう勧めた。沖田はこれを了承し、出演番組としてカエデが推薦した女子アナが出演する番組を選んだ。

エデンの森での採取依頼

カエデからヤナの実の採取依頼を受けた沖田は、透明化ポーションを使ってギルドを出発した。エデンの森に到着後、刀で木を切り倒して実を収集したが、環境破壊を懸念し、ギルドに戻る際には慎重に行動した。

ギルドでの報告と問題解決

沖田がヤナの実を大量に持ち帰ると、サツキから採取方法を咎められた。しかし、最終的にこの件は「何もなかったこと」とされ、カエデが実を精算することで落着した。

北海道での休息とカニ料理

その後、沖田とカエデは札幌に向かい、高級カニ料理を楽しんだ。観光はほとんどせず、料理と会話に没頭した二人は同居の話題も交わし、次の生活の計画を練り始めた。

テレビ出演の反響

テレビ番組では、沖田がエレノアとして優雅に振る舞い、アイテム袋のオークション計画を宣伝した。評論家の厳しい質問にも巧みに答え、視聴者や参加者に強い印象を与えた。これにより、オークションの成功がさらに期待される展開となった。

カエデとの関係の深化

番組終了後、沖田とカエデは前祝いとして酒を楽しんだ。二人の距離はさらに縮まり、北海道での特別な時間を満喫した。

黄金の魔女への注目と疑惑

エレノア・オーシャンがテレビ番組に出演したことで、視聴者たちは彼女の魅力やアイテム袋のオークションについて議論を交わしていた。視聴者の多くは、千キロのアイテム袋が現実離れしていると感じ、驚きと疑念の声を上げていた。三村の専門家としてのコメントにも批判が集まり、一部の視聴者は彼の発言を軽視していた。

緊張とミステリアスな態度

番組冒頭ではエレノアが緊張している様子が見られたが、途中からは足を組み直しながらもミステリアスな態度を装い、堂々とした対応を見せていた。視聴者の中には、彼女の態度を「魔女そのもの」と評する者もおり、その個性的な振る舞いが話題を呼んでいた。

千キロアイテム袋への疑問

視聴者の多くが、千キロのアイテム袋がいかに実現不可能に思えるかを議論していた。これまでの最大容量が三百九十キロであることから、千キロの袋が2個も存在することは「あり得ない」とする声が多かった。エレノアがドロップしたと主張するこのアイテムについては、「自作の可能性」や「魔法の産物」といった推測が飛び交った。

言語に関する謎

番組放送後、視聴者の一部からエレノアが話す言葉についての疑問が持ち上がった。彼女の言葉が日本語や英語、さらにポルトガル語にも聞こえるという奇妙な現象が指摘され、これは単なる音声の問題なのか、それともエレノアの能力によるものなのかという新たな謎が浮上した。

恐れと憧れの混在

エレノアに対する視聴者の反応は、「本物の魔女ではないか」という恐れと、「美人で魅力的な存在」という憧れが混在していた。特に彼女の能力が視聴者に与える影響力は絶大であり、彼女を巡る議論は今後も続くことが予想された。

番外編

寒空の解散と偶然の会話

居酒屋での飲み会が解散となり、カエデは友人たちと別れた後、タバコを吸う沖田を見つけた。彼は夜景を見ながらタバコを吸う姿を「ダンディー」と思い描いていたが、カエデにそのダサさを指摘され、すぐにタバコを消した。その後、沖田は友人たちが彼氏や予定について話す様子に驚きつつ、カエデと何気ない会話を続けた。

二次会の誘いと軽い雑談

沖田は解散後も飲む予定を話していたが、カエデが「一緒に行こう」と誘い、新たな居酒屋で飲み直すことになった。店内ではお酒や合コンの話題が出たが、カエデは自分が過去に合コンで失敗した経験を語り、沖田は高校時代の剣道部での思い出を話した。沖田のユーモラスな発言や行動が会話を和ませ、二人は楽しい時間を過ごした。

飲みすぎた沖田と帰宅の提案

お酒を飲みすぎた沖田がふらつきながらも、カエデを送ると提案した。彼の真面目な姿勢にカエデは少し呆れつつも了承し、二人でアパートへ向かった。歩きながら沖田は軽い冗談を交えつつ、カエデの安全を気遣った。

トイレ問題とアパート訪問

アパートの近くに到着した沖田が急にトイレを探し始めたが、「その辺で済ませる」と言い出したため、カエデは慌てて自分の家のトイレを貸すことを提案した。沖田は一度遠慮したものの、結局カエデの提案を受け入れ、彼女のアパートに入ることになった。

夢から目覚める朝

カエデはふと目覚め、見慣れない部屋の中で上半身を起こした。隣には沈んでいる沖田の姿があり、彼女は状況を思い出した。昨晩は沖田の家で百キロのアイテム袋のオークションを見ていたのだ。大学時代の沖田との飲み会を思い出す夢を見ていたが、その内容は最悪だった。

過去の記憶と沖田の変わらぬ性格

夢に出てきた沖田は、トイレを借りた後、部屋で包丁を振り回したりベッドを羨ましがったりして、散々な行動を取っていた。カエデは現在の沖田について考え、酒癖が少しは良くなったものの、基本的な性格は昔と変わらないと感じていた。彼のバカさと調子に乗りやすさはそのままだった。

オークション結果の確認と現実の決断

カエデはスマホでオークション結果を再確認した。画面に表示された膨大な金額に目を向けながら、「先輩でいいか」と心中で結論を出した。彼女にとって重要なのは気が合うことと経済的な安定であり、それを沖田が提供できると考えた。

二度寝と将来への期待

カエデは再び眠ることに決め、沖田の横に転がり目を閉じた。現在の住環境に不満を抱きつつも、沖田のお金で豪遊し、より良い生活を送る未来を心の中で描いていた。

特典 S S  笑顔が似合う子

テレビ収録後の憂鬱な朝

沖田はテレビ収録翌日、自室でテレビを眺めながらため息をついていた。収録は緊張と罵声に晒される大変な経験だったが、司会者とスタイリストが優しかったことが唯一の救いであった。疲労から翌朝まで寝続け、起きた後も特にやることがなく、ただ無気力に過ごしていた。

ケーキへの衝動と過去の思い出

テレビで流れるケーキの食レポを見て、彼は以前エレノアの姿で訪れたケーキバイキングを思い出した。一人で訪れることに若干の後悔はあったが、ケーキそのものは非常に美味しかったという記憶が蘇った。しかし、現在の「黄金の魔女」という立場では目立ちすぎるため、外出を控えるべきだと考えた。

カエデとの約束と準備

過去の約束を思い出した沖田は、カエデを誘うメッセージを送った。カエデから「午後には行ける」という返信を受け取り、彼はシャワーを浴び服を整えた。準備を済ませた彼は最寄り駅でカエデを出迎えた。カエデは可愛らしい姿で現れ、ナンパに遭ったと愚痴をこぼしつつも楽しそうな様子だった。

ケーキバイキングでの楽しみ

二人はタクシーでホテルに向かい、ケーキバイキングを楽しんだ。カエデは「色んな種類を楽しむのが大事」と力説し、沖田にケーキの取り分担を指示した。席に戻ると、カエデは満面の笑みでケーキを味わい、沖田もその様子に癒されていた。

収録の話題と森の出来事の後始末

ケーキを食べながら、カエデは昨日の収録について尋ねた。沖田は「荒れた収録だった」と答えたが、具体的な内容は放送を待つよう促した。また、以前の森での「間伐事件」についてカエデが触れると、彼は再発防止を約束し話題を変えた。沖田はカエデの笑顔を見て、説教されるよりその表情が一番だと改めて感じていた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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