どんな本?
俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~ は、鍋敷 氏が小説家になろうで連載しているライトノベルです。
アース・スターノベルから単行 本が発売されており、現在第7巻まで出ている。
また、KRSG氏がコミカライズを担当しており、コミック アース・スターで連載中。
この物語は、才能なしの少年と呼ばれて職業養成所を去った男・ノールが、ひたすら防御技【パリイ】の修行に明け暮れた結果、世界最強クラスの力を手にしているのに、一切気がつかないまま強敵を打ち倒していく英雄ファンタジー。
ノールは、魔物に襲われた王女を助けたことから、王国の危機に巻き込まれていく。
しかし、彼は自分の能力に全く自覚がなく、常に謙虚で真面目に振る舞う。
そのギャップが面白く、読者の共感を呼んでいるらしい。
この作品は、TVアニメ化も決定している。
読んだ本のタイトル
俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~ 6巻
(英語名:I Parry Everything: What Do You Mean I’m the Strongest? I’m Not Even an Adventurer Yet!)
著者:鍋敷 氏
イラスト:カワグチ 氏
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あらすじ・内容
「私と一緒にサレンツァに向かっていただけないでしょうか?」
俺は全てを【パリイ】する 6 ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~
リーンの誘いを受け、砂漠の旅路に出たノール。
一行には『狩人兵団』副団長【雷迅】のシレーヌが加わった。
しかし砂漠地帯に入ってすぐに謎の盗賊団の襲撃が!
彼らの目的は、いったい…!?
新章「商業自治区編」、突入!
感想
『俺は全てを【パリイ】する 』の舞台は、魔法と剣のファンタジー世界。
主人公のノールは、冒険者である。
物語は、ミスラ教の教主アスティラが信徒たちに姿を現し、過去の誤りを認め新たな協力を呼びかけるシーンから始まる。教主の率直な告白と提案に、信徒たちは動揺しながらも新たな道を歩むことを決意する。
物語の中で、ノールは新型水路の竣工式や様々な訓練、そして大衆浴場での交流を経て、多くの友人や仲間との絆を深めていく。特に、巨大なエビ、神獣との戦いは、ノールと彼の仲間たちにとって大きな試練となる。この神獣はかつて地域を荒らし、多くの苦しみをもたらした存在であり、ノールたちはこれを倒すことで地域の平和をもたらそうとする。
そして帰国したノール達に、次なる相当が勃発する。
次なる舞台は砂漠の国、サレンツァ。
商売が盛んな国らしいが、それが行きすぎておかしくなっており。
サレンツァにたどり着く前に、盗賊に襲われるが捕まえると幼い子供ばかり。
彼等から話を聞くと、彼等は虐げられてる住民で、水がほぼなく、土が悪く畑も出来ない状況。
そんな彼等のためにノールは、懐にある全財産を彼等に渡すが、あまりの金額に彼等が辞退。
それならとノールは労働力として、色々と奔走する。
結末では、ノールと仲間たちが襲って来た神獣を料理する「神獣鍋」を作り、村全体でその肉を共有することで、苦難を乗り越えた絆を確認し合う。
この行為は、ただの戦い以上の意味を持ち、共に生きることの大切さを村人たちに教える。
物語全体を通じて、ノールはただ強いだけでなく、周囲と協力し、ともに成長することの重要性を学んでいく。また、彼の冒険は読者に多くの楽しみを提供しながら、友情や協力の価値を再認識させる。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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アニメ
PV
OP
ED
同シリーズ
俺は全てを【パリイ】する
その他フィクション
備忘録
107 神託の玉
教皇アスティラの演説と信者たちへの告白
• アスティラ教皇は「神託の玉」を通じ、全ミスラ教会の信者たちに向けて演説を行った。
• 彼女は聖ミスラが実は討伐されていない魔物であったと告白し、自身の過ちを謝罪した。
• さらに、ミスラ教国と長年敵対してきた「魔族」の少年ロロの協力により、首都ミスラを救えたことを報告した。
教皇の過ちと信者たちの反応
• 教皇は自分の過ちを認め、信者たちに引き続き信頼を寄せてほしいと頼んだ。
• 信者たちは一時的に困惑するも、教皇の言葉に引き込まれ、彼女への信仰を新たにすることを決意した。
• 信徒たちは、家に掲げていた聖ミスラの肖像を外し、代わりに教皇アスティラの肖像を飾ることを提案した。
演説の成功と新たな方針
• 演説を終えたアスティラは、ティレンス皇子と【魔聖】オーケンの協力を称えた。
• オーケンは、演説が成功したのは「神託の玉」のおかげだと述べ、ミスラ教国に利益をもたらしたことを喜んだ。
• ティレンス皇子は、この演説が国の未来を変える重要な一歩であると確信した。
クレイス王国との友好関係の確認
• クレイス王国の王とアスティラは互いに感謝の言葉を交わし、良好な関係を築くことを誓った。
• クレイス王は、娘であるリンネブルグ王女の無茶な行動に対する感謝をアスティラに伝えた。
• アスティラはリーン王女の無事を喜び、王との間に信頼関係を築いた。
謎の贈り物と困惑
• クレイス王はアスティラに奇妙な熊の木彫りの置物を贈った。
• この贈り物には「魔除け」の意味があるとされるが、詳細は不明だった。
• アスティラ、ティレンス皇子、クレイス王はこの置物の意味を理解できず、困惑しながらもそれを受け取った。
108 竣工式
新型水路の完成と竣工式
• 王都を巡る『新型水路』が完成し、記念の式典が開催された。
• 工事に参加したノールは、瓦礫撤去から始まり、水路を通すための掘削作業まで関わり、多くの貢献をした。
• ノールの持つ『黒い剣』が、岩の削り取りや部品加工に活躍し、工期の大幅な短縮をもたらした。
黒い剣の新たな使い方の発見
• 当初は戦闘に不向きとされた『黒い剣』が、石材の加工に適していることが判明した。
• ノールは『黒い剣』を使い、他の職人たちよりも短時間で部材を大量に生産した。
• これにより、工房からも高く評価され、石材加工の職人として勧誘を受けたが、ノールは丁重に断った。
式典での再会と記念品の贈呈
• 式典の場で、ノールはリーン王女の兄と再会し、竣工を祝う会話を交わした。
• リーンの兄から、記念品として硬貨の入った木箱を受け取ったノールは、工事の成功を誇らしく思い、仲間と水路の水の流れを見届けた。
冒険者ギルドでの報酬と進む争奪戦
• ノールは冒険者ギルドに報告を行い、生活費を受け取った。
• ギルドマスターから、今回の工事で得た莫大な報酬が話題に上り、ノールへの高待遇を巡って各ギルドでの争奪戦が始まっていることが明かされた。
• ギルドマスターはノールに、冒険者以外の道も考えるよう助言したが、ノールは自分の信念に従い続けることを決意した。
旅の商人への興味と将来の夢
• ノールは「旅の商人」という新たな生き方に興味を抱きながらも、自らの力で冒険するという理想を諦めたくないと感じた。
• サレンツァへの旅に憧れを抱きつつも、治安の悪さとリスクを考慮し、一人での旅は控えるべきだと判断した。
• 最後に、さらなる成長を目指してノールは訓練場所へと急ぎ、『黒い剣』を担いで走り出した。
109 入浴券
訓練の開始:ギルバートとの再会
• ノールは訓練場所に到着し、ギルバートと再会した。
• 二人は毎朝の訓練を続けており、ギルバートは金色の槍を手にノールの剣技と対峙する。
• ノールは自らの『黒い剣』を使い、ギルバートの高速な槍技を次々と弾きながら訓練に励んでいた。
激しい槍と剣の応酬
• ギルバートの「竜滅極閃衝」に対し、ノールは『黒い剣』を用いて槍を弾き返す「パリイ」を成功させた。
• ノールは槍の勢いをうまく逸らす技術を身に着け、相手の次の攻撃に備える余裕を得た。
• 訓練によって互いの技はますます鋭くなり、周囲の地面には無数の亀裂が入るほどの激闘となった。
槍の亀裂と訓練の中断
• 訓練中、ギルバートの黄金の槍に大きな亀裂が入り、槍の修復が必要となったため訓練は中断された。
• ギルバートの槍は『還らずの迷宮』で発掘された特別なものであり、通常は自己修復能力を持っているが、大きな亀裂には一日を要するため、その日の訓練はここで終了した。
訓練後の会話と入浴券の贈呈
• 訓練後、ノールはギルバートに「大衆浴場」の入浴券を贈った。
• 入浴券は水路の開通記念で街中に配られていたもので、ノールは余った分をギルバートに渡した。
• ギルバートは槍を肩に担いでその場を去り、次の訓練を楽しみにしていた。
一日の締めと今後への意欲
• ノールはギルバートを見送った後、一人で残りの訓練を終わらせた。
• その日の訓練を振り返り、今後も強くなり続けることを決意したノールは、汗を流しに街へ向かうことで一日を締めくくった。
110 大衆浴場
再会と浴場での再会
• 新規オープンの大規模浴場の入り口で、ノールは工事現場で共に働いていた同僚と再会した。
• その男は自称『大衆浴場マスター』であり、以前から王都の隠れた名湯を紹介していた人物である。
• 男は過去に浴場での失態を反省し、自ら『禁浴』を課していたが、新しい浴場のオープンを機にその禁を解くことを決意した。
浴場の歴史と新施設の紹介
• 男は新しい浴場について熱心に解説し、王都初の『半官半民』で運営される施設であることを伝えた。
• この浴場には『湧水の円筒』という王都の給水施設に関わる貴重な遺物が展示されており、市民が直接見られる初めての機会であった。
• 男の詳しい説明により、ノールは次第にその歴史と施設への興味を深めた。
衛兵による制止と同行要請
• 入浴前に、男は衛兵に制止され、他の客に迷惑になるとして連行された。
• ノールは衛兵から『黒い剣』を預けるよう指示され、荷物預かり所に剣を預けることで入浴を許された。
• 男は自らの連行を受け入れ、ノールに「心配するな」と笑顔で送り出した。
浴場内の体験と楽しみ
• ノールは広々とした浴場で、さまざまな種類の浴槽を体験した。
• その中には『水竜風呂』など、風の魔法を使った変わった浴槽もあり、子供たちに人気があったため、ノールは入浴を諦めた。
• 多彩な浴槽に囲まれたこの新しい施設を楽しみながら、ノールは人から聞くだけでなく、体験することの大切さを実感した。
浴後の安らぎと友への思い
• 入浴を終えたノールは広間で冷たい飲み物を楽しみ、『湧水の円筒』を心ゆくまで観賞した。
• 夜になっても再び男に会うことはなかったが、ノールは彼への感謝と無事を祈りながら帰路に着いた。
• ノールは新しい浴場にまた訪れることを心に決め、星空の下で一日の終わりを迎えた。
111 サレンツァからの使者
王の帰国とミスラでの教皇演説の評価
• 隣国ミスラから帰国した王は、王子レインに演説の成功を伝えた。
• ミスラの新教皇の人柄とティレンス皇子による巧妙な脚本が、民衆の受け入れに寄与したと評価された。
• 新体制のミスラが今後も要注意であると王は語り、外交戦略に対する警戒を示した。
サレンツァからの不審な書簡
• レイン王子は、商業自治区サレンツァからの公式な書簡の内容を父に報告した。
• 書簡には「貴国の活躍に感銘を受け」「無償での協力を申し出る」など、不自然な内容が含まれていた。
• 王はこの書簡が単なるカマかけであり、クレイス王国の動向を探る目的があると推測した。
サレンツァへの対応方針
• 書簡に対して無視を決め込む案も浮上したが、肯定と取られないよう慎重に対応する方針が示された。
• 王はこの件を【六聖】の会議にかけて、結論を出すよう指示した。
ノールと「黒い剣」の活用
• レイン王子は、「黒い剣」を与えられたノールが、その剣を王都の下水掃除や水路の掘削工事に使用していたことを報告した。
• 王はこの報告に大笑いし、「黒い剣」が実用的に使われ、民の役に立っていることを喜んだ。
ノールへの褒賞とその難しさ
• ノールの貢献に対し、既に冒険者ギルドを通じて多額の報酬が支払われていたことが確認された。
• 王は更なる褒賞を考えるも、金銭を断られる可能性を考慮し、慎重な対応を求めた。
• 王は「何か困ったことがあればいつでも力になる」とノールに伝えるよう指示を出した。
王の冗談と熊の置物
• 王は冗談として、ノールをサレンツァに送りつける案を提案し、レイン王子を困惑させた。
• 最後に、王は「熊の置物を渡した」ことを伝え、再び愉快そうに笑い声を上げた。
112 王都六兵団の副団長たち
副団長クラスによる代理会議の開始
• 王が【六聖】を緊急招集したため、副団長クラスが代理で会議を行うこととなった。
• 【狩人兵団】のシレーヌは会議の目的を確認し、【神盾】イネスから「有事ではなく通常の報告会議である」との説明を受けた。
ギルバートとマリーベールのやり取り
• ギルバートは訓練中の怪我を【聖女】マリーベールに癒してもらっていた。
• マリーベールは彼の腕の重傷に驚愕しながらも治療を行い、ギルバートは彼女に感謝を伝えた。
メリジェーヌの突然の退出
• 会議中、メリジェーヌが「納期がやばい」と呟きながら工房に戻ったことが明らかになった。
• 彼女はミスラ教国への『神託の玉』の大量納品を担当していたため、会議からの欠席が許容された。
レイの存在感の薄さ
• 『隠密兵団』の副団長レイが最初から会議室にいたにもかかわらず、他の参加者に気づかれなかった。
• レイは自分の存在に気づかれなかったことを悲しむが、「いつものことだから大丈夫」と皆に伝えた。
イネスの進行による会議の再開
• イネスは会議を速やかに進行させ、まずギルバートに『剣士兵団』の業務報告を依頼した。
• ギルバートは資料を忘れたが、イネスが事前に準備していたため、会議は滞りなく続行された。
副団長会議の終了
• 参加者たちの雑談や混乱がありながらも、イネスの的確な進行によって会議は無事に終了した。
• 会議全体は一見まとまりがないものの、各部門の報告が順調に行われ、必要な情報が共有された。
113 司書メリジェーヌ
【神託の玉】の製造とその苦難
• メリジェーヌは魔導具研究所で、突然の追加注文に対応することを余儀なくされていた。
• 【魔聖】オーケンから五百個の『神託の玉』を追加製造するよう命じられ、彼女はその無茶な要求に対して不満を抱いていた。
• 『神託の玉』の仕組みは既存の通話魔導具に似ていたが、技術的な課題が多く、製作は過酷なものだった。
• 上司オーケンが「給料十倍」という条件を提示したことで、メリジェーヌは仕事を引き受けざるを得なかった。
過酷な作業と上司への不満
• メリジェーヌは納期に間に合わせるため、他の工員に部分的な作業を任せつつも、重要な部分は自ら取り組んでいた。
• 『神託の玉』には高品質な魔石『悪魔の心臓』が使用され、予算は潤沢だったが、技術の難しさから常に故障や爆発のリスクがあった。
• オーケンが外出していたため、彼女は工房の責任を一手に引き受けることになった。
過去の経緯と魔導具研究所への転身
• 元々、メリジェーヌは図書館司書として働いており、普通の生活を送ることを夢見ていた。
• ある日、彼女は趣味が合う老人(オーケン)と出会い、その縁で魔導具研究に没頭することになった。
• オーケンからの甘い条件に惹かれ、工房に出入りするようになったが、いつの間にか『魔術師兵団』副団長の肩書きを与えられてしまった。
• 彼女は工房の高品質な設備に慣れてしまい、元の生活に戻れなくなったことを悔やんでいた。
オーケンとの再会と新たな依頼
• 深夜、メリジェーヌはオーケンと再会し、不満をこぼしながらも彼とのやり取りを楽しんだ。
• オーケンは彼女の望みに応え、研究費の倍増と新たな工作設備の増設を約束した。
• メリジェーヌは再び彼の魅力に屈し、追加の注文書を受け取ることとなった。
再び訪れる仕事の波
• 彼女は一度は仕事を終え、積んでいた盤面遊戯を開封して休息を取ることを決意した。
• しかし翌日、オーケンは新たな分厚い注文書を持って再び現れ、彼女の休息は束の間のものとなった。
114 ロロと魔竜
ライアスの店でのロロの成長と料理の魅力
• ロロはミスラからの帰国後、ライアスの店で働くことになった。
• 最初は皿洗いや掃除から始めたが、ライアスの勧めで料理の基礎を学び始めた。
• 初めての料理が好評だったことで、ロロは料理に没頭し、日常的に店の料理に取り組むようになった。
• シレーヌやマリーベールが常連客となり、ロロの料理に対する評価が徐々に高まった。
ララへの餌やりと不思議な食の好み
• ロロは魔竜ララの餌やりを担当し、彼女との意思疎通を図った。
• 食肉が不足することもあったため、店の余り食材をララに提供するようにした。
• ララはその食材を非常に気に入り、それ以外の餌を拒むようになった。
• ララの食の好みは奇妙で、時折、岩を囓って美味しいと感じることもあった。
シギルからの贈り物『巨人の籠手』
• ロロはシギルから銀色の『巨人の籠手』を贈られ、生活が大きく改善された。
• 籠手を使うことで、ロロは力強く物を扱うことができるようになり、料理もよりスムーズに行えるようになった。
メリジェーヌとの出会いと魔導具研究所への誘い
• メリジェーヌは店でロロが『巨人の籠手』を使用しているのを見て驚愕した。
• 彼女はロロの潜在的な才能を見抜き、魔導具製作に興味を持たせようとした。
• メリジェーヌの説得により、ロロは彼女と共に魔導具研究所で働くことを決意した。
新たな挑戦への旅立ち
• ライアスはロロの新たな挑戦を応援し、スープの仕込みは後日に持ち越された。
• メリジェーヌは急ぎの仕事のため、ロロを連れて魔導具研究所に向かった。
• その日以来、ロロはライアスの店の手伝いと並行して、メリジェーヌの研究所でも働くことになった。
115 王都の市場
王都の復興後の日常と市場散策
• 王都の復興工事が完了し、ノールはほとんど仕事がなくなった。
• 建築ギルドの職人たちが休暇を取り、冒険者ギルドの仕事依頼も少なくなったことで、ノールの日常は暇を持て余すようになった。
• 退屈を紛らわすため、彼は市場を散策し、商売への興味を深めていった。
市場での出会いと『呪叫草モドキ』
• ノールは市場の専門店で農業用品を扱う店に立ち寄り、店主と交流した。
• 店主から『呪叫草モドキ』という珍しい作物を紹介され、試食したノールはその甘さに感心し、購入を決めた。
• 市場での体験を通じて、ノールは改めて商売や物流に興味を持ち始めた。
サレンツァへの興味とリーンの提案
• 市場での経験から、ノールは南にある『商業自治区サレンツァ』への興味を抱いた。
• サレンツァの市場が王都の数倍の規模であると聞き、一度訪れてみたいと思い始める。
• そこへ偶然、リーンが現れ、彼にサレンツァへの同行を依頼する。
旅の準備と計画
• リーンの提案はノールにとってまさに願ってもない機会であり、彼は即座に同行を承諾した。
• ノールは旅費を自分で負担しようとするが、リーンはすべての費用を彼女の家で負担することを約束した。
• ノールは個人的な買い物用の資金を準備するため、冒険者ギルドへと向かう。
サレンツァへの旅立ち
• ノールとリーンは、できるだけ早くサレンツァに向けて出発することを計画した。
• 仕事が再開する前に旅を終えたいと考えるノールにとって、この計画は理想的であった。
• 新たな冒険に期待を膨らませながら、ノールは旅の準備を整え、リーンとの再会に胸を躍らせた。
116 旅の軍資金
冒険者ギルドでの資金引き出しと準備
• ノールは冒険者ギルドで「預けていた全額の引き出し」を依頼したが、準備が必要との理由で翌日に再訪することとなった。
• 翌日、ノールはギルドマスターに案内され、警備員に囲まれながら、ギルドの奥の部屋で資金を受け取ることになった。
資金の受け取りと通貨の価値の説明
• ギルドマスターはノールに全財産を革袋にまとめて手渡し、その中にはさまざまな種類の硬貨が含まれていた。
• 通貨には銅銭、小銀貨、大銀貨、小金貨、大金貨、白金貨、そして王金貨が含まれ、その価値の違いを詳しく説明した。
• 特に王金貨は希少で、命の危険を伴うほどの価値を持つため、取り扱いには注意が必要であると忠告された。
ギルドマスターの忠告とノールの決意
• ギルドマスターはノールに、全財産を持って旅に出る危険性を何度も警告したが、ノールはすでに決意を固めていた。
• ノールは「金を使い切ることが最も安全」と考え、旅先での買い物を通じて財産を減らす方針を立てた。
• ギルドマスターは、「白金貨以上の通貨を持っていることは誰にも知られるべきではない」と再度念を押した。
旅立ちの準備とリーンとの再会
• ノールは革袋に詰まった全財産を受け取り、旅の準備を整えた。
• 旅の危険を理解しつつも、ノールは「欲しいものを見つけて使い切る」という気持ちで前向きに旅に出る決意をした。
• ギルドを後にしたノールは、待ち合わせ場所でリーンたちと合流し、サレンツァへの旅に向かう準備を整えた。
117 忘却の迷宮
リーンのサレンツァ行きと王族の懸念
• 王女リンネブルグは「王位継承の試練」を名目に、サレンツァへの旅を希望した。
• クレイス王国とサレンツァは長らく国交が断絶していたが、今回の申し出は貴重な外交機会でもあった。
• 王と王子は、王女の主張が理にかなっていることを認めたものの、彼女を危険な任務に送り出すことに悩んだ。
忘却の迷宮の探索とその意義
• 王女の目的地「忘却の迷宮」は、サレンツァにおいて重要な魔導人形の技術が眠る場所であった。
• 王位継承に必要な「破格の成果」を得るには、迷宮の探索が適していると判断された。
• また、サレンツァから提供される「魔族」の情報がロロにとって重要な手掛かりとなるため、彼も同行を希望した。
サレンツァへの同行者とパーティの編成
• リーンとロロの他、護衛役として【神盾】イネス、冒険者ノール、そして危機察知役として【狩人兵団】副団長シレーヌが選ばれた。
• さらに、【魔術師兵団】副団長メリジェーヌが開発した携帯用の『神託の玉』を持たせ、王都からの連絡体制を確保することが決まった。
六聖の会議と決断
• 【六聖】を交えた会議で議論が重ねられた結果、王女たちを少数精鋭のパーティでサレンツァに送り出すことが決定された。
• 王は当初渋い表情を見せたものの、「可愛い子には冒険をさせよ」という格言を引用し、最終的に王女の旅を認めた。
• こうして、王都からのバックアップを受けながら、リンネブルグ王女一行のサレンツァへの旅が正式に決まった。
118 サレンツァへ
待ち合わせと出発の準備
• ノールは冒険者ギルドを出て、待ち合わせ場所に到着した。
• そこでロロと再会し、彼もサレンツァへの旅に参加することを知った。ロロは自身の過去と関係する人々に会えるかもしれないという期待を抱いていた。
• その場で初対面のシレーヌとも挨拶を交わした。シレーヌはミアンヌ団長の推薦を受けて同行することになり、礼儀正しく自己紹介をした。
シレーヌとのやり取り
• シレーヌが背負う弓に興味を持ったノールだったが、彼の噂を知る彼女は警戒し、弓を触れさせなかった。
• ノールは視線だけで弓を触ろうとするが、シレーヌも巧みに弓を隠すやり取りを繰り広げた。
リーンとイネスの合流
• 後にリーンとイネスが合流し、旅の準備が整った。リーンはシレーヌに丁寧に挨拶し、王族としてではなく冒険者としての立場を強調した。
• シレーヌは礼儀正しく返答し、旅のメンバーとしての準備が整ったことを示した。
別れの場面と出発の決意
• その後、ロロに強い執着を見せるメリジェーヌが登場し、彼との別れを惜しんだ。彼女はロロがいないと業務が回らないと嘆きながら、他の者に引き離されていった。
• 出発準備が整い、リーンが旅の馬車を紹介。内部は狭いと言いながらも、五人が快適に過ごせる広さであった。
出発と新たな期待
• ノールは旅先での土産物について話し、今回はみんなが喜ぶものを慎重に選ぶことを決意した。
• イネスが馬の手綱を握り、彼らはサレンツァに向けて王都を出発した。旅の目的地での新しい発見と経験への期待を胸に、彼らは長い旅路に踏み出した。
119 砂漠の旅路 1
砂守の砦での通過とサレンツァ入国
• ノールたちはクレイス王国と商業自治区サレンツァを分かつ『砂守の砦』を通過した。
• 入国の際、砦の兵士に馬車を止められるが、リーンが書類を提示することで無事に通過できた。
• 壁周辺の暑さに驚き、鎧を着ていない兵士たちの理由に納得した。
砂漠の旅と馬車の工夫
• 馬車は砂漠の過酷な環境に合わせた特別な設計で、魔導具の力により車内は涼しい環境を保っていた。
• 外は灼熱の砂漠が広がっており、三頭の馬も特別な魔法装備により疲労なく走り続けた。
• 広大な砂漠の単調な風景にノールは退屈を覚えつつも、砂漠の特殊な植物や生物に興味を持った。
盗賊との遭遇と警戒
• 馬車の道中で砂漠に潜む盗賊団が現れ、馬車を取り囲んだ。
• シレーヌが盗賊の動きを即座に察知し、武装した一団を分析した。
• 馬車を無理に逃走させることを避けるため、イネスが馬車を停車させた。
盗賊との戦闘とシレーヌの活躍
• シレーヌは敵の放った矢をすべて撃ち落とし、自らの矢で盗賊たちの服を地面に縫い付けた。
• 覆面の下から現れたのは獣耳の子供たちで、ノールたちは驚きつつも対処を続けた。
• リーダー格の少年がリーンに襲いかかるが、リーンは即座に反撃し、少年のナイフを折った。
獣耳の子供たちへの対応と拘束
• イネスは獣耳の子供たちを手加減しながら次々と砂の中に埋め、抵抗を封じた。
• リーンは彼らを聖銀製の鋼糸で縛り、安全を確保した。
• シレーヌが周囲の安全を確認し、リーンは彼らをどうするか相談することにした。
事件の収束
• 盗賊団が子供たちであることに驚きつつも、ノールたちは慎重に状況を収束させた。
• 砂漠の過酷な環境での遭遇を乗り越え、旅の続行に備える準備が整った。
• こうして一連の盗賊事件は女性陣の的確な判断により解決し、次の目的地への道が開かれた。
120 砂漠の旅路 2
獣耳の子供たちとの対峙
• ノールたちは縛り上げられた獣耳の少年少女たちを観察し、全員が10歳前後の幼い子供であることに気づいた。
• リーダー格の少年は抵抗を続け、「殺せ」と叫びながらも村の情報を漏らすことを恐れていた。
村の存在の発覚とリーンの対応
• リーンの【探知】スキルにより、獣耳の子供たちが住む村が南南西にあることが判明した。
• 村の存在を察知した子供たちはパニックに陥り、場所がバレたことを恐れた。
• リーンは彼らの行動がサレンツァの法律で重罪に当たることを説明しつつも、全員の命を救うために村へ向かうことを提案した。
子供たちへの教訓とリーンの魔法
• リーンは【土人形創造】で子供たちに似た人形を作り、その首を飛ばす魔法で彼らに厳しい教訓を与えた。
• 子供たちは恐怖から二度と盗賊行為をしないと誓い、その場の空気が一転して落ち着きを取り戻した。
ロロによる村の事情の説明
• ロロは、獣耳の子供たちが家族の病気と貧困のために強盗に手を染めたことを説明した。
• 村には若い健康な大人がいないため、病に倒れた家族だけが残されているという。
村への移動の決定と馬車の準備
• ノールたちは子供たちを馬車の屋根に乗せ、灰色のマントで覆い、冷却用の氷で日差しを和らげる工夫をした。
• リーンたちは、子供たちを村まで運ぶことで彼らの事情を確認し、その後の対応を決めることにした。
出発と次なる目的地
• ノールたちは子供たちを乗せた馬車で村を目指し、これからの旅が新たな展開を迎える準備を整えた。
121 獣人の集落 1
村への到着と獣耳の老人との対話
• ノールたちは獣耳の少年少女の村に到着し、村人との最初の接触で年老いた長が出迎えた。
• 老人は子供たちの罪を謝罪し、命乞いをするも、ノールたちは彼らに罰を与えたことを伝え、問題を不問とした。
村の状況と金銭の提供
• 村は病に苦しむ住民が多く、医者も薬も不足していることが明らかとなった。
• ノールはサレンツァでの土産物用に持参した金を村の長に手渡し、医者や生活に必要なものを購入するよう勧めた。
リーンによる病の診断と治療
• リーンは村人たちの病が毒の蓄積による衰弱であると判断し、【癒術】を用いて全員を治療した。
• 村人たちは驚きと感謝を示し、リーンの善意に対して恩返しを誓った。
村の栄養状態の問題とロロの活躍
• リーンは病気の再発防止のために村の栄養状態を改善する必要があると指摘した。
• ノールの金銭提供に加え、ロロが村人たちのために料理を作り、村の広場で食事を振る舞うこととなった。
感謝と出発の準備
• 村人たちは振る舞われた食事に喜び、村は活気に溢れた。
• 長老はノールたちの善行に深い感謝を示し、いつか必ず恩を返すと約束した。
次なる目的地への準備
• ノールたちは村の人々との交流を終え、広場での出来事を見守りながら、次の旅路に備えた。
• 村の中に和やかな空気が広がる中、ノールたちはリーンや仲間と共に次の行き先へと思いを馳せた。
122 獣人の集落 2
広場での活気と村人たちの感謝
• 村の広場で料理の準備が進み、活気に満ちた雰囲気が広がった。
• 村人たちは長年忘れていた活気と笑顔を取り戻し、病から回復した家族との再会を喜んだ。
• 村の若者たちは、旅人たちの善行を「神獣イ・ゴル」と戦った英雄のようだと讃えた。
革袋の中身の確認と驚愕
• ノールから預かった革袋の中に、大量の金貨が含まれていることが判明した。
• 小金貨と大金貨だけでなく、白金貨や虹色の硬貨も含まれており、若い獣人と長老は驚愕した。
虹色の硬貨「王金貨」の発見
• 虹色の硬貨が「王金貨」であり、その価値が非常に高いものであることが判明した。
• 王金貨の価値に驚いた長老は、それが小国同士の戦争を引き起こすほどのものであると説明した。
葛藤と理性の保持
• 長老は王金貨の価値を知りつつも、ノールからの贈り物として受け取るか返すべきかで葛藤した。
• 若い獣人の助言を受け、長老は最終的に袋を返す決断を下した。
袋の返還と周囲への警戒
• 長老は若い獣人に警戒を促し、袋の中身を誰にも悟られないようにと指示した。
• 二人は全速力で広場に向かい、袋の持ち主であるノールのもとへ返却に向かった。
次の展開への布石
• 村人たちは旅人たちとの交流を続ける中、今後の発展の可能性を見据えた。
• 王金貨の存在が村の未来にどう影響を及ぼすのか、旅の一行と村の関係が深まる兆しが見え始めた。
123 砂漠の宴 1 大きな鍋
料理の準備と広場の活気
• ロロ、イネス、シレーヌの協力で、馬車に積まれた食材を使って村人のための料理が開始された。
• 村に集まった人々の人数は約300人と判明し、長年使われていなかった大鍋が使用された。
• 料理の準備が整うまで、村の人々は静かに待ち続け、次第に活気を取り戻していった。
村人たちの謝罪と状況の理解
• 獣耳の子供たちとその家族が、昼の強盗未遂を謝罪し、頭を下げた。
• シレーヌの説明から、子供たちの矢は威嚇目的であったことが明らかになった。
• 家族の病気を治療するための行動であったことが理解され、村人たちの罪は不問とされた。
村の窮状と過酷な歴史
• 老人は、獣人たちが長年追いやられ、過酷な土地で生活を余儀なくされている状況を語った。
• 水源の消失と森の枯渇によって、村の暮らしが悪化した歴史が明らかになった。
• 他の土地に移住しようとするも、高額な使用料や借金により失敗するケースが多かったと説明された。
料理の完成と村の希望の光
• ロロたちが完成させた具沢山のスープが村人に振る舞われ、村全体が一時の幸福感に包まれた。
• 幼い子供たちも料理を堪能し、苦しい生活の中で久しぶりの喜びを味わった。
老人との対話と贈り物の返却
• 老人は、ノールからの金貨の袋を危険と判断し、ほとんどを返却した。
• 村人たちは身の丈を超えた富が不幸を呼ぶと考え、少額だけを受け取った。
• 老人は、村に残った困難に対しても感謝の気持ちを伝え、火を焚いて宿を用意することを約束した。
食事の味と未来への思案
• ノールも料理を楽しむが、老人の話を聞いた後では心から味を楽しめなかった。
• 村の窮状に思いを馳せながら、今後の行く末に思いを巡らせる夜となった。
124 砂漠の宴 2 宴のあと
宿泊の準備と村のもてなし
• 旅人たちは村の中央にある集会場で一晩を過ごすことになった。
• 建物は掃除が行き届いており、村人たちのもてなしの意図が感じられた。
• 砂漠の暑さに慣れないノールは、馬車の魔導具を利用してお湯を作り、体を拭くことで清潔を保った。
• 村人たちは貴重な水を使うその様子に驚き、普段の生活との違いを強く感じた。
砂漠の厳しい環境と村の生活状況
• 村は水源がなく、住民たちは遠くから水を購入する生活を強いられていた。
• 痩せた土地では作物が育たず、収入源は乏しい狩りや採集に限られていた。
• 異国の環境との違いにノールは驚き、過去の自分の生活が恵まれていたことを再認識した。
新たなアイデアの発見と計画
• ノールは王都で出会った種屋から得た「呪叫草モドキ」の種を試すことを決意した。
• 【ローヒール】を使うと芽が出ることを確認し、その応用で痩せた土地でも作物が育つのではないかと考えた。
• 地域に井戸を掘る計画も浮かび、水の確保が可能になれば作物の栽培が現実味を帯びると期待した。
村の未来に向けた対策の協議
• ノールは村で数日滞在し、試験的な畑を作る計画をリーンに相談した。
• リーンは旅程に余裕があることから提案に賛同し、父親の協力を得ることも勧めた。
• ノールとリーンは遅くまで話し合い、村の未来に向けてできることを模索し続けた。
125 砂漠の畑 1
砂漠の寒夜と宿泊準備
• 村人たちのもてなしで、旅人たちは集会場で夜を過ごした。
• 砂漠の夜の寒さが予想以上に厳しく、暖炉の必要性を痛感した。
• 旅の疲れから遅くまで語り合い、明け方に就寝したが、ノールは早朝に目を覚まし、イネスと共に火の番をした。
村人の見送りと新たな提案
• シレーヌの警戒で、外の人だかりが村人の見送りであることが判明した。
• 獣人の村人たちの優れた身体能力に驚かされる。
• ノールは村の長老に、畑作りの提案と数日の滞在許可を求めた。
畑作りと水源の計画
• ノールは「呪叫草モドキ」を使った畑の試作を提案し、リーンが魔法のサポートを約束した。
• 水源確保のために井戸を掘る計画を立て、長老から協力者カイルを紹介される。
• 地下の水脈を探るため、リーンのスキルが活用されることが決まった。
魔導具と王都への使者
• イネスが王都へ急行し、必要な物資とリーンの父への連絡を行うことになった。
• 軽くなった馬車が砂漠を疾走する様子に、一行は驚きと感心を示した。
• 馬車の特殊な構造と馬の育成背景が、その速さの理由として説明された。
「神域の森」への向かう準備
• カイルの案内で、かつて「神域の森」と呼ばれていた場所へ向かうことが決まった。
• 村の歴史と環境の変遷を踏まえ、豊かな土壌の可能性を探るための調査を開始することとなった。
126 砂漠の畑 2
「神域の森」への探索
• ノール、リーン、カイルの三人は「神域の森」とされる荒地を調査したが、そこには痩せた土壌と汚染の兆候が広がっていた。
• リーンのスキルで地中に蓄えられた水を発見し、その水が農業に利用できる可能性が浮上した。
伝承と「神獣」の正体
• カイルから「神獣イ・ゴル」の伝承が語られ、その特徴と村の伝承が一致することが判明した。
• リーンは「巨神殻類」として記録される生物が、この「神獣」と同一である可能性を示唆した。
• 伝承に登場する「休眠毒」に関連する魔法薬の解毒方法も判明し、村の病問題の解決に繋がる希望が見えてきた。
井戸掘りと地中の異変
• ノールは「黒い剣」を用いて力任せに穴を掘り進めた。
• 作業を続けるうちに、通常の岩よりも硬い半透明の灰色の物質に突き当たった。
• この物質に違和感を覚えたノールがさらに強く叩くと、突然地面が揺れ、大規模な振動が発生した。
巨大生物との遭遇
• 振動の原因は「神獣」と推定される巨大なエビ型の生物であり、それが地中から姿を現した。
• 獣人の集落を脅かすほどの巨大な姿に、ノールたちは危機感を抱きつつも、伝承の正体と向き合うことになった。
127 神獣イ・ゴル
『神獣イ・ゴル』との遭遇
• 巨大なエビのような生物『巨神殻類』が地中から姿を現し、リーンたちはその驚異的な大きさに圧倒された。
• 伝承で語られる『神獣イ・ゴル』の特徴と一致し、周囲の土地と村人の衰弱の原因がこの生物であることが判明した。
• 長期間にわたって大地の養分を吸収して成長した個体であり、その巨大さと硬い外殻により討伐が困難であることが理解された。
危機的状況と戦略の模索
• イネスの不在により、直接的な攻撃手段が限られたリーンたちは戦術の選択を迫られる。
• 伝承に基づき、怪物の眼を攻撃することが討伐の鍵となる可能性が示唆されるが、怪物は巧妙にその弱点を隠しながら動いていた。
• 『巨神殻類』が天高く跳躍し、獣人の村を壊滅させる危険性が差し迫る中、ノールはロロに協力を求め、特異な計画を立てた。
ノールの計画と『黒い剣』の奇策
• ノールは、巨大な怪物を「畑の肥料にする」と発言し、独自の戦術を示唆した。
• 急遽リーンにロロを呼ぶよう指示を出しつつ、自身は空中に跳躍し、怪物に立ち向かう。
• 『黒い剣』を用いたノールの一撃により、怪物の硬い外殻が粉々に打ち砕かれ、戦局が一気に変わる兆しが見えた。
128 俺は岩エビをパリイする
『巨神殻類』との空中戦
• ノールは空中の巨大な『岩エビ』を相手に、スキル【投石】を使い『黒い剣』を投げつけた。
• その一撃により相手の外殻をわずかに砕くことに成功したが、完全なダメージには至らず、ノールはその硬さに苦戦を強いられた。
• 空中での戦闘を続ける中、ノールは相手の構造が自身の知る『岩エビ』に酷似していることに気づき、殻を剥がすことが勝利への鍵であると判断した。
戦略の変更と外殻の剥離
• ノールは『岩エビ』が地面に逃げ込むことを防ぐため、何度も空中に押し上げる戦法を取った。
• 回転しながら繰り出した『黒い剣』で外殻を次々と剥がし、空中での攻撃を繰り返した。
• やがて敵の外殻が完全に剥がれ、無防備な状態となった『岩エビ』は灼熱の太陽の下で弱り果てていった。
戦闘の終結と命の尊重
• 約三十回目の攻撃で『岩エビ』はついに動かなくなり、ノールはその絶命を確認した。
• かつて多くの犠牲を生んだ凶暴な生物であったものの、ノールはその命を無駄にしないと誓い、その身を食材として大切に扱う決意を固めた。
• 彼はリーンたちの助力を求め、獲物の解体作業を行うため、急いで仲間の元に向かった。
129 王都の仕入れ
王都への帰還と目的
• イネスは軽くなった荷馬車で王都に戻り、三つの目的を果たすための準備を開始した。
• 目的は、リンネブルグ王女から依頼された覚書に記載の品の入手、国宝級遺物『湧水の円筒』の持ち出し許可の確認、そして特定の男から託された金での買い物である。
旧市街地での種屋探し
• イネスは、ノールから受け取った独特な地図を頼りに旧市街地に向かったが、地図の曖昧な表現に戸惑いながらも市場の人々に聞き込みを行った。
• 無事に目的の『種屋』に到着し、店番の青年に荒地でも育つ種子を見繕うよう依頼した。
種屋の青年との交渉
• 青年はノールが持っていた『黒い植物の根』を見て、荒地向けの種を見繕うことを了承した。
• イネスが大金を預かってきた袋を差し出すと、青年は驚愕し、最小限の費用で見積もりを行うと提案した。
砂漠での栽培計画と店主の夢
• 青年は砂に近いサンプル土を見て、挑戦しがいのある環境だと語り、自身の夢を重ねて協力を約束した。
• 彼は乾燥に強い作物や改良剤、堆肥を組み合わせた計画を提案し、納品の準備に意欲を示した。
メリジェーヌからの連絡
• 交渉中、イネスの耳飾り型通話魔導具からメリジェーヌの声が入り、王女の滞在先での緊急の話があると告げられた。
• イネスは王城での直接会話が必要と判断し、青年に納品準備を任せて王城の会議室に向かうことにした。
130 湧水の円筒
リンネブルグ王女からの要請と王子の胸騒ぎ
• レイン王子はリンネブルグ王女から『神託の玉』を通して『湧水の円筒』を求められたことを知り、胸騒ぎを覚えた。
• 『湧水の円筒』はクレイス王国の国宝に等しい重要な遺物であり、農業と水源管理において不可欠であったため、国外持ち出しの要請に戸惑った。
『湧水の円筒』とサレンツァの過去
• クレイス王国はかつて、『湧水の円筒』をサレンツァに提供したが、その水は住民ではなく一部の富裕層の私腹を肥やすために使われ、住民の苦境は改善しなかった。
• この経緯により、クレイス王国とサレンツァは対立関係に陥り、砂漠地帯に築かれた『砂守の砦』も獣人奴隷を逃がさないためのもので、両国の不和を象徴するものとなった。
王の決意と王子の不安
• クレイス王は『湧水の円筒』をノールに渡す決断をし、それを「民間人への贈呈」として問題視しない姿勢を見せた。
• 王子は、サレンツァの反発を懸念しつつも、王の方針に従うことを決意し、王がノールへの謝礼として円筒の贈与を強行する意思を固めたことに驚いた。
サレンツァ内でのノールの試みと王の見解
• ノールはサレンツァの砂漠に獣人の自立を支えるための農地を創る意向であり、王もそれを「地域の自立支援」として黙認する構えであった。
• ノールの行動がサレンツァの経済と権力基盤に影響を及ぼす可能性について、王と王子は深く考慮した。
独立の可能性と王の策略
• 王は状況次第ではノールと獣人たちの共同体を正式な国家として認める選択肢も考え、ミスラや魔導皇国との外交を視野に入れて根回しを示唆した。
• 王子はこの提案に驚き、国家のような自治を行う共同体として認められる可能性が高まることに警戒を抱いた。
『湧水の円筒』の贈与決定と波乱の予兆
• 王は、万が一ノールの行動が問題視された場合、全責任を「王命」に帰するとし、その場しのぎの対応策を整えた。
• リンネブルグ王女からサレンツァ北部の砂漠化の原因である『神獣』討伐の知らせが届き、その討伐により耕作に適した肥沃な土地が広がることに、王は笑みを浮かべたが、王子は先行きへの不安を増した。
131 神獣鍋
『神獣』の処理と調理の計画
• ノールとその仲間たちは『神獣』の処理について相談し、食材として使える部分を切り分け、リーンの氷魔法で冷却しながら村へ運搬することにした。
• 残った部分は肥料として利用する予定であり、イネスの到着を待って本格的な解体作業に入ることとした。
村人と『神獣鍋』の試食
• リーンがスキル『浄化』で毒を抜き、ロロが調理を担当して、岩エビのスープを大鍋で煮ることにした。
• 調理が進むにつれて、漂う香りに惹かれて村人たちが集まり、完成したスープが広場で振る舞われた。
• ノールが毒味役を務め、絶品の味わいに感動した。
食材への感嘆と村人たちの反応
• ノールがスープの一口目で圧倒的な旨味を感じ、過去の豊かな森のイメージが脳裏に浮かび、自然の豊かさと命の連鎖を再認識した。
• 村人たちもスープの味に驚嘆し、宴は夜まで続き、彼らは『神獣鍋』の美味しさに酔いしれた。
イネスの帰還と新たな農業計画
• 夜遅く、イネスが王都から戻り、ノールの頼んだ作物の種と、種屋の青年が作成した詳細な『栽培計画書』を持参した。
• 計画書には痩せた土地での育て方や、必要な土壌改良の手法が詳細に記されており、ノールはその内容に感銘を受けた。
『湧水の円筒』と新たな挑戦への決意
• ノールは、クレイス王家から送られた『湧水の円筒』を受け取り、計画書に基づいた農作業を開始する決意を新たにした。
• 夜明けと共に、豊かな自然のビジョンを胸に抱きながら、ノールは新しい農業の挑戦に向けて動き出した。
【最高の環境と最高の素材】
『巨神殻類』の外殻の検査開始
• 魔導具研究所のメリジェーヌは、上司オーケンから数百年前に収集された希少な『巨神殻類』のサンプルを受け取った。
• リンネブルグ王女が討伐後に保存した超希少素材の調査が可能となり、その殻を用いた新たな武具の可能性を模索するため、検査を開始した。
王族の英才と『巨神殻類』の知識
• リンネブルグ王女は『巨神殻類』についての深い知識を持っており、その希少性を認識して討伐後すぐに保存措置を行った。
• メリジェーヌは、優秀な王女と王子を持つクレイス王国の将来に感心し、研究への意欲を新たにした。
ノールと『黒い剣』の謎
• リンネブルグ王女の情報によれば、ノールが空中に浮かぶ巨大な『巨神殻類』を剣で連続的に攻撃し、外殻を破壊して討伐したとされる。
• メリジェーヌはノールの異常な力と『黒い剣』の謎の物性に疑念を抱き、剣と彼の力について解明が難しいことを認識した。
『巨神殻類』の外殻の性質と使用可能性の検討
• メリジェーヌは『巨神殻類』の外殻を検査し、異常な硬さ、軽さ、弾性の優れた特性を確認したが、熱と衝撃に弱いという欠点も明らかになった。
• 武具としての利用を検討し、防具や槍、弓などの可能性を考えたが、それぞれに独特の欠点があり、慎重に実験する必要があると判断した。
『夢の素材』としての新たな挑戦
• メリジェーヌはこの素材の可能性に興奮し、改良と工夫次第で最強の武具を創り出せるかもしれないと考えた。
• 研究所での自由な環境と十分な資金を活かし、まだ見ぬ革新的な魔導具の開発に向け、さらなる研究を続けることを決意した。
研究所の生活と仮眠への充足感
• メリジェーヌは研究所の快適な環境に長期的に身を置き、充実した設備の中で研究と生活を続けている。
• 彼女は新たな『夢の素材』を手に入れた喜びを感じながら、次の仮眠を楽しみにしつつ一日を終えた。
特別書き下ろし 若かりし王の冒険譚
王子と剣士シグの出会いと修行
• クレイス王国の第一王子は、名高い剣士シグに挑み、敗北したが、その実力に感銘を受け仲間に加えようと決意した。
• 何度も勝負を挑み、修行を重ねた末、ついに王子はシグに認められ、二人は共に迷宮探索を目指すこととなった。
大食い勝負での仲間募集と盾役ダンダルグの加入
• 王子は次の仲間として、大柄で金に困っているダンダルグを見つけた。大食い勝負でダンダルグを下し、「盾」としての役割を担わせることに成功した。
奇妙な賭博師カルーのスカウト
• 王子は酒場で、イカサマとスリの技術を持つカルーを発見し、賭け事で彼を誘うことに成功した。
• カルーは情報収集に精通しており、王子の冒険を支援する斥候役として加わることになった。
修行僧セインの仲間入り
• カルーの情報をもとに王子は修行僧セインに出会い、共に厳しい修行を通じて信頼関係を築いた。
• 最終的にセインは王子の誘いに応じ、癒しの力を持つ仲間として加わる決意をした。
王子の恩師【魔聖】オーケンとの再会と説得
• 王子はかつての家庭教師であり、優れた魔術師であるオーケンを訪ね、迷宮探索の旅に同行するよう頼んだ。
• オーケンは喜んでその申し出を受け入れ、パーティの魔術師として加わることとなった。
弓の名手ミアンヌの勧誘
• カルーの案内で王子は獣人族の少女ミアンヌに出会い、彼女の持つ鋭敏な感覚と弓の腕を見込んで誘いをかけた。
• 王子は彼女に平等な社会を約束し、信頼を得て、彼女を最後の仲間として加えることに成功した。
迷宮遺物『黒い剣』の発見とパーティの試練
• 迷宮の深層でパーティは浮遊する謎の黒い剣を発見した。王子はそれを無事に取得し、「黒い剣」と命名した。
• この遺物は後に迷宮探索の重要な武器となり、パーティ全員での絆をさらに深めた象徴となった。
冒険の終焉と『黒い剣』の役目
• 王位を継承した王子は『黒い剣』を玉座の後ろに置き、冒険の終わりを迎えた。
• 二十年にわたり『黒い剣』は静かに王座を守り、いつか訪れる新たな出会いを待ち続けることとなった。
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