どんな本?
俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~ は、鍋敷 氏が小説家になろうで連載しているライトノベルです。
アース・スターノベルから単行本が発売されており、現在第7巻まで出ている。
また、KRSG氏がコミカライズを担当しており、コミック アース・スターで連載中。
この物語は、才能なしの少年と呼ばれて職業養成所を去った男・ノールが、ひたすら防御技【パリイ】の修行に明け暮れた結果、世界最強クラスの力を手にしているのに、一切気がつかないまま強敵を打ち倒していく英雄ファンタジー。
ノールは、魔物に襲われた王女を助けたことから、王国の危機に巻き込まれていく。
しかし、彼は自分の能力に全く自覚がなく、常に謙虚で真面目に振る舞う。
そのギャップが面白く、読者の共感を呼んでいるらしい。
この作品は、TVアニメ化も決定している。
読んだ本のタイトル
俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~ 7
(英語名:I Parry Everything: What Do You Mean I’m the Strongest? I’m Not Even an Adventurer Yet!)
著者:鍋敷 氏
イラスト:カワグチ 氏
あらすじ・内容
サレンツァ家の長男・ラシードの誘いで、「時忘れの都」を訪れたノール一行。
俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~ 7
そこで砂漠の村の徴税権をめぐって『裁定遊戯』に参加することに。
しかしそれは巨額の金が動く地獄の賭けだった…
感想
商業自治区編.2
神獣による土壌改良が進行中。砂漠の民の集落にノール、イネス、リーンは水を生み出す魔道具を設置し、広大な水路と畑を開拓した。
この環境改善の努力が実を結び始めたところ、サレンツア家の長男ラシードが徴税を目的に現れる。ラシードは税金として農作物の9割を要求し、水の管理権も求めた。
権力者が何もせずに利益だけを搾取しようとする姿勢に、砂漠の民とリーンたちは反発した。ラシードは「守っていたから税金を払うのは当然」と主張する。
リーンが反論する中、ラシードがリーンの兄と同級生だったことが判明。
解決策として「裁定遊戯」での決着を提案する。賭博はノールとクロンの「三賽子」から始まる。
一方がサイコロを振り、もう一方が出目に賭けるルール。
ノールはサイコロの音を聞き分けて目を予測するが、当初は誤解があり引き分けが続く。しかし、最終的にはノールが正確に出目を当て、勝利を収める。
クロンがサイコロの目を公開していたら、4、4、4のゾロ目で配当は1000倍、合計2兆の損害が生じるところだった。
この勝利により、ノールの非凡さが際立つ。
第二試合の「消失男」では、リーン、シレーヌ、ロロが参加。
相手はラシード、メリッサ、クロン。
数合わせ」ゲームで、プレイヤーは自分のターンに山札からカードを引き、2枚以上数字が一致するカードがあれば「ロスト」と宣言して捨てる。
最初に手札を使い切ったプレイヤーが勝者となる。このゲームにはポーカーの要素があり、「ロスト」と宣言して捨てたカードが実際には揃っていなくても、それが嘘でない限り有効となる。
このゲームでもリーンたちが優位に立ち勝利する。
しかし、ラシード側は資金がマイナスになったので、現金を注入してゲームを続行させて第三試合へと移行。
第三試合目、「死の九賽」
プレイヤーはノールとシャウザ。
これは「三賽子」と似ているが、プレイヤーは交互に9つのサイコロを振り、相手はその出目を当てる。
振り直しは許されず、当てた目の数の差によって配当が決まる。
1つの差で10倍、2つの差で100倍、3つの差で1000倍と、差が大きくなるほど配当率が上がルール。
特に珍しいケースでは、片方が9つ全てを当て、もう一方が0だと配当は10億倍になる。
勝敗はノールが勝利し。
以下の通りとなる。
時忘れの都(ラシード):《負債9兆9827億7903万》 クレイス王国(ノール):《10兆、34億2097万》
清算協議では、主要な交渉はラシードとリーンが主導する。
交渉する部屋は高価な調度品で飾られていたが、ノールとシャウザがゲーム中に暴れ過ぎで彼方此方にヒビが入っている状況。
ノールが勝ち取った莫大な金額(約10兆ガルド)の使い道について議論される。
ラシードは『時忘れの都』の所有権と経営権の譲渡を提案し、これには従業員の命令権も含まれていた。
ノールは当初迷うが、最終的に施設の所有権を受け入れる。
これにより、彼は施設内で農業活動や食料の貯蔵を行うことができるようになる。
残りの資産チップに関しては、ラシードが手形での支払いを提案する。これは実質的な紙幣であり、使用には手続きが必要となる。
さらに、ラシードは交易許可証を提供し、ノールは国内で自由に取引が可能となる。
結論として、ノールは「獣人の村への免税百年」、『時忘れの都』の所有権、かなりの現金、資産チップの手形、そして交易許可証を手に入れる。
この交渉はノールにとって非常に有利な結果となり、ラシードもこの結果を楽しんでいるようだった。
「あれ?パリイを使っていない、、」
最後までお読み頂きありがとうございます。
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アニメ
PV
OP
ED
同シリーズ
俺は全てを【パリイ】する
その他フィクション
備忘録
132 土壌改良
1. 神獣の解体作業の開始
• イネス、ノール、そして語り手は早朝、神獣の解体作業のために村を出発した。
• 神獣の巨体に圧倒されるも、ノールは冷静にその生態と特性を見抜き、食料や肥料として有効活用できると判断した。
• ノールの冷静な分析力に語り手は感銘を受け、自らの未熟さを反省した。
2. 神獣の外殻とその保存・活用法
• 神獣の外殻は非常に硬く、貴重な素材とされているが、生物としての生命が失われると急速に劣化する性質があった。
• 残っている硬度の高い部分を氷で保存し、王都の魔導具研究所へと送ることにした。
• 魔導具研究所のメリジェーヌもこの素材の価値を認識し、研究素材としての提供を強く求めたため、イネスが素材を王都に持ち帰ることになった。
3. 神獣の遺骸が持つ肥料としての可能性
• ノールは神獣の外殻が土壌改良に役立つと判断し、肥料として活用することを提案した。
• 神獣の外殻には植物成長に必要な栄養素が豊富に含まれており、土地を肥沃にする力があると見なされ、過去の伝承とも一致していた。
• ノールの卓越した見識により、神獣は恵みをもたらす存在であることが明らかになった。
4. 土壌改良のための魔法の使用
• 語り手は風や氷、炎、雨の魔法を使い、神獣の外殻を砂漠に散布するための作業を行った。
• 各種魔法により細かくされた外殻は、土壌改良に適した状態に加工され、砂漠に降り注ぐこととなった。
• 魔法の力により砂漠に一時的な雨が降り、作業が完了した。
5. 神獣の外殻の運搬準備とイネスの出発
• 作業後、イネスは神獣の外殻を王都へと運ぶため、馬車で出発する準備を整えた。
• 前日の食事が効いたためか、イネスは元気な様子であり、語り手は彼女の体調を気遣いつつ見送った。
6. 農作物の実験的な植え付け
• ノールは作業が早く終わったため、農作物の実験的な植え付けを提案した。
• 「聖気」を込めた治癒魔法で種を即座に発芽させ、さらに魔法の力で作物を成長させて実を結ばせた。
• 語り手は、種から一気に果実が実る様子に驚き、ノールの力を目の当たりにした。
7. 村への帰還と朝食の準備
• 作業を終えた語り手とノールは、村への帰路についた。
• 集落で待つ朝食を楽しみにしつつ、語り手は早朝の作業を振り返り、ノールの実力に改めて驚嘆していた。
133 砂漠の水路建設
1. 集落での朝食
• 村に戻ったノールとリーンは、集落広場でロロが準備した朝食を楽しんだ。
• 朝食には神獣のスープが使われており、村人たちに大変な人気を博していた。
• ノールは朝食を五杯もおかわりし、その美味しさに幸せを感じた。
2. シレーヌの不在と朝の準備
• ノールは、朝食を取りながらシレーヌが姿を見せていないことに気づいた。
• リーンはシレーヌに特別な依頼をしており、彼女は村の弓の得意な者たちと朝から出かけていた。
• 村人たちは引き続きロロの料理を楽しんでいたが、シレーヌ不在の理由を理解している者は少なかった。
3. カイルとの打ち合わせ
• 朝食を終えたノールとリーンは、次の作業についてカイルと打ち合わせを行うため、彼の元を訪ねた。
• カイルは村の見取り図を用意しており、これを使って農地用の水源の設置場所について相談を行った。
• ノールとリーンは村の中央の高台に水源を設ける計画を立て、カイルから許可を得た。
4. 村の長老との交渉と湧水の円筒
• ノールとリーンは村の長老に「湧水の円筒」を使った水源設置の計画を説明した。
• 長老は円筒から水が湧き出る様子に驚愕し、その場で協力を快諾した。
• 長老は夢の実現に涙を浮かべ、協力する意思を示し、円筒の使用を喜んだ。
5. 水源の設置作業
• ノールとリーンは村の高台に穴を掘り、リーンの魔法で焼いた砂を使って貯水池を作成した。
• 砂を焼いてガラス質の層を形成し、貯水池の下地を整えた。
• リーンは風の魔法で熱を冷まし、貯水池が安全に完成するまで待機した。
6. 農地の区画作り
• ノールとリーンは農地の区画を整えるため、リーンが前夜に作成した農地計画図に基づき、作業を進めた。
• 木片と紐を使って畑の範囲を計測し、八列×八列の合計六十四区画の広大な農地を準備した。
• 準備した区画には王都から持ち帰った種を植える予定であり、今後の収穫に期待が寄せられた。
7. 水路の整備
• リーンの魔法で砂を焼いてガラス質のラインを作り、ノールは黒い剣を使ってそのラインを掘り、農地の水路を形成した。
• 王都での「どぶさらい」の経験を活かし、適切な水の流れを確保するために勾配を調整した。
• ノールは作業に充実感を感じ、リーンと共に畑の水路を無事に整備した。
8. 昼食と次の作業の打ち合わせ
• 一連の作業を終えたノールとリーンは、畑を見渡しながら昼食をとり、午後の作業について話し合った。
• ロロが用意したお弁当を楽しみながら、二人は作業の進捗とこれからの予定を確認した。
134 シレーヌの弓
1. シレーヌの幼少期とサレンツァへの避難
• 幼少のシレーヌは母と共にサレンツァへ避難し、父と兄は彼女たちを送り出し別れた。
• シレーヌは兄の「いつか迎えに行く」という約束を信じ、長年待ち続けたが、兄たちからの便りはなかった。
• 新天地では母が懸命に働き生活を支えたが、体調を崩してしまい、生活は貧しかった。
2. 王国での教育と兵士への憧れ
• シレーヌは王立図書館で読み書きを学び、母の支えで不自由なく育つ。
• ある日、「弓聖」と呼ばれる同郷の女性ミアンヌの存在を知り、弓の技術と【狩人兵団】への憧れを抱いた。
• 母の協力で練習用の弓を手に入れ、弓の技術向上に励んだ。
3. 弓の師との出会いと成長
• シレーヌは森で金色の弓を持つ女性に出会い、弓の指導を頼み込んだ。
• 彼女の助言を受け、シレーヌは弓の技術を磨き続けた。
• その後も彼女との交流を通じ、練習を積み重ねることで技術を着実に向上させた。
4. 【狩人兵団】への入団と副団長任命
• シレーヌは15歳で【狩人兵団】の試験に挑み、最年少で合格。
• 試験後、彼女に弓を教えていた女性がミアンヌ本人であったことが明らかとなる。
• 入団直後に副団長に任命され、驚きつつも【狩人兵団】での役割を果たし始めた。
5. 畑を守るための弓の教練
• シレーヌはサレンツァの村で畑を守るため、村人たちに弓の技術を指導する役目を引き受けた。
• 王命としてその任務に尽力し、村の大規模な畑を守るべく、彼らに弓術の基本を伝えた。
• 矢の不足という困難もあったが、村人たちの期待に応え、彼らの弓技術を高めることに成功した。
6. 村人の急速な成長とシレーヌの葛藤
• シレーヌの指導を受けた村人たちは短期間で驚異的な成長を遂げ、弓の名手に匹敵する技術を身に付けた。
• その成長に驚くシレーヌは、過剰な軍事力が形成されつつあることに一抹の不安を抱いた。
• しかし、王の命に忠実であることを信じ、彼らの指導を続ける決意を固めた。
135 砂漠の水路の開通式
1. 水路と貯水池の建設
• 俺とリーンは畑から集落に水を引くための水路を作成し、貯水池に繋げた。
• 火の魔法を用い砂を固めたリーンと共に頑丈な簡易水路を完成させた。
• 貯水池と集落の住民のための水路も作り、予定された作業を終えた。
2. 村の地下貯蔵庫の案内と宝物庫の存在
• 長老と補佐のカイルに案内され、村の地下にある貯蔵庫へと降りていった。
• 地下深くには冷たい空洞が広がり、物資の保存に適した環境が整えられていた。
• 長老は村の宝物庫の存在を明かし、過去に価値ある物品が保管されていたが、食料のために売却されたと説明した。
3. 湧水の円筒と新たな水供給システムの提案
• 俺は貯水池から水を直接引き上げるために、王都で見た加圧送水方式を提案した。
• リーンが王都に連絡し、聖銀製の管を取り寄せる手配をした。
• 湧水の円筒の威力を見たカイルは驚愕し、村にとって価値ある宝であると認識した。
4. 村への恩返しの提案
• 俺は村への水供給の見返りとして、収穫物の管理や畑の維持を依頼した。
• 長老とカイルは俺の提案に感銘を受け、長期的に感謝の意を示す考えを持った。
• ただし、俺は村が十分に自立した段階で初めてお礼を受け取るという条件をつけた。
5. 簡易水道の開通式と村人の反応
• 王都からの部品到着前にリーンの魔法で仮の水道を開通し、村人を集めて式を行った。
• 村人たちは清らかな水が流れる様子に驚きと歓喜を見せ、手や足を水に浸して喜びを表した。
• 水が貴重な村では大いに祝福され、俺たちは水道と飲用水場の必要性を再確認した。
6. シレーヌの訓練と獣人たちの成長
• シレーヌは村の獣人たちに弓術の指導を行い、皆が達人のように成長した。
• 獣人たちはシレーヌへの敬意を抱き、彼女と強固な絆を築いた。
• シレーヌは訓練の成功に喜びながらも、予想以上の成果に不安を抱いた。
7. 夜の包囲と危機の訪れ
• 夜が更けた頃、村が何者かに包囲され、シレーヌとリーンがその危機を察知した。
• 集落全体が取り囲まれており、リーンが俺を緊急で起こした。
• 警戒不足を悔やみつつも、俺たちは事態の深刻さを把握し、対応を迫られた。
136 真夜中の来訪者
1. 集落の周囲に現れるゴーレムの群れと異様な雰囲気
• 夜、リーンのスキルによって集落を囲む異変が察知され、俺たちは宿から急いで外に出た。
• 集落の周囲には無数の巨大なゴーレムが整然と並んでいた。ゴーレムは陶器のような質感を持ち、動物や竜の形状をしており、不気味さを醸していた。
• 村人たちは弓や短刀を手に取り、緊張感を漂わせていた。
2. 謎の青年ラシードの登場と自己紹介
• ゴーレムの上に座った青年が現れ、リーンに挨拶をした。彼はサレンツァ地方の領主ラシードであり、徴税官として村を訪れたと述べた。
• 青年はリーンの兄の旧友で、彼女の存在を知っていたと説明した。
3. 村への新たな課税の告知
• ラシードは、この村の農地や新設された水路、さらに水源に対し、新たに税を課す必要があると告知した。
• 特に水は貴重な資源であり、税金の額も非常に高額であると査定書を提示した。
• 支払えない場合には、低金利の借金を提案し、税の支払いが困難な者への融資もあると説明した。
4. 青年の提案とリーンとの対話
• リーンは青年に対して税に対する疑問を呈し、庇護の義務について言及したが、青年は外敵から村を守ってきたと主張した。
• ノールは青年に対して「村が自立できれば税は不要か?」と問いかけ、青年は面白い考えだと評したが、剣を交える可能性についても示唆した。
5. シャウザの攻撃と青年の評価
• 青年の命令で片腕の獣人シャウザがノールに不意打ちを仕掛けたが、ノールは見事に防御した。
• 青年はノールの価値を「査定」し、興味を抱いている様子を見せたが、リーンは攻撃の理由について問い詰めた。
• 青年は興味本位からの行動だと釈明し、商人として情報の価値を知りたかったと述べた。
6. 「裁定遊戯」の提案
• 青年は争いを避けるために「裁定遊戯」という古来の裁判方式を提案し、税の免除を条件とすることを申し出た。
• リーンは青年の提案に迷いつつも、ノールの賛同を得てこの方法での決着に同意した。
• 青年は明日、正午に「時忘れの都」で待つと約束し、村から去っていった。
137 商人の息子ラシード
1. リーンの報告と王子レインの反応
• 集落を囲んだゴーレムが去った後、リーンは小型の『神託の玉』でレイン王子と連絡を取り、ラシードという人物に遭遇したことを報告した。
• レインはラシードがサレンツァ家の長男であると確認し、彼との再会は望ましくないと述べた。
2. サレンツァ家の影響と『湧水の円筒』についての懸念
• レインは、サレンツァ家が『湧水の円筒』の価値を理解していることに疑念を抱き、ラシードがその存在に気付いている可能性があると推測した。
• リーンは『湧水の円筒』がサレンツァ領内に複数存在することを知り、その一つが富裕層向けの施設に使用されていると理解した。
3. ラシードの目的に対する疑念
• レインは、ラシードが集落を直接支配するために行動しているのではなく、別の意図がある可能性を示唆した。
• ラシードの言葉通りに行動することは信頼できるが、発言外の意図については常に疑いを持つようリーンに忠告した。
4. サレンツァの『裁定遊戯』についての説明
• レインはサレンツァの古い裁判形式『裁定遊戯』が依然として存在し、表面的には公正なルールに基づいた遊戯とされているが、実際にはイカサマや買収が横行する厳しい競争であると説明した。
• リーンは公平な勝負を期待しないよう促され、盤外戦術や仕込みが多いと忠告を受けた。
5. 今後の指針と王の意向
• レインはリーンに対し、サレンツァとの交渉は自主的に解決すべきであり、必要に応じて状況に備えた心構えを持つよう求めた。
• リーンは王の期待も受け、ノールに伝える旨を約束し、深夜の連絡を終了した。
138 出発前
1. 畑管理の指導と村人への引き継ぎ
• ノールは『時忘れの都』への出発を前に、村の人々に畑の管理方法を指導し、長老とカイルに『栽培計画書』を託した。畑の管理は家族単位で行い、収穫物は村の自由に使えると告げた。
2. 畑と警備の役割分担
• リーンの提案で、村の仕事は『農業』と『警備』に分けられた。ノールとリーンが『農業』を、シレーヌとロロが『警備』を指導した。警備チームは櫓の建設に着手し、ゴルバを中心に士気を高めて作業を進めた。
3. 防衛準備と魔法の活用
• リーンは村の周囲に石壁を立てて防壁を築き、ロロは罠を設置してカイルに使用方法を説明した。村人達はリーンの魔法に驚きながらも、彼女の防衛計画に協力した。
4. イネスの到着と出発準備
• イネスが馬車で到着し、予定通り出発の準備が整った。リーンとシレーヌが話し合い、シレーヌの首飾りの出自について長老に尋ねることを提案した。
5. シレーヌの首飾りの謎と長老の説明
• 長老はシレーヌの首飾りが「ミオ族」の紋章であると見抜き、その部族が過去に反乱を起こし、獣人社会での立場が悪化した背景を説明した。シレーヌは自分の出自と家族について新たな手がかりを得たが、複雑な感情を抱えた。
6. 出発の決意
• シレーヌは家族探しへの期待を胸に秘め、気持ちを整理しつつ『時忘れの都』への出発に臨むことを決めた。ノール一行は村人に別れを告げ、馬車に乗り込んで砂漠へと出発した。
139 時忘れの都 1
1. 馬車での移動と苦難
• ノールはイネスの警告を受けて馬車での急速な移動に備えたが、実際には激しい揺れに見舞われた。彼は道中で気分が悪くなりながらも耐え、目的地の『時忘れの都』に無事到着した。
2. 時忘れの都の外観と初印象
• ノールとリーンは、白く輝く『時忘れの都』の街並みを目にし、その美しさと壮大さに驚嘆した。街には高い防壁と広がる市場があり、白い漆喰で覆われた建物が砂漠の強い日差しに反射していた。
3. 巨大な館への到着と歓迎
• ノールたちは、街の中心に位置する巨大な白い建物に到着し、守衛に身分証を見せて中に入った。館内の案内役クロンから丁重な歓迎を受け、ラシードの命により最大限のもてなしが用意されていると伝えられた。
4. 館内の驚異的な自然環境
• 馬車を降りたノールたちは、館内に広がる豊かな自然環境に驚嘆した。多種多様な動植物が生息し、川や森林が再現されていた。天井の透明なガラスと優れた空調技術により、快適な環境が保たれていることを知り、サレンツァの建築技術の高さに感銘を受けた。
5. 武具の預け入れと職員の挑戦
• ノールたちは館内の安全規則に従い、全ての武具を預けることを求められた。ノールが『黒い剣』を職員に渡す際、剣の重さに職員が耐えきれず床に剣がめり込む事態となった。ノールは職員に怪我がなかったことを確認し、剣をその場に残して館内の奥へと進んだ。
140 時忘れの都 2
1. 圧巻の廊下と動植物の展示
• ノールたちは長い廊下を案内され、その両脇には透明な壁を通して見られる多種多様な動植物が展示されていた。廊下の奥には巨大な水槽があり、その中には様々な魚が泳いでおり、一同はその壮大な景色に驚いた。
2. 館支配人メリッサとの出会いと水場への案内
• 館の支配人メリッサが現れ、一同に水着を用意し、館内の特別な水場で自由に過ごせると案内した。リーンたちは一度は疑問を抱きながらも、用意された衣装を確認し、着替えを済ませることにした。
3. 湖での遊泳とシレーヌの泳げない事実
• 一行は館内の湖に到着し、リーンやイネスは堂々とした様子で水場に向かった。しかしシレーヌは泳げず、不安を抱えて水に入ることを躊躇した。リーンがシレーヌを水に入れるも、彼女は沈んでしまい、リーンが救助する形となった。
4. 突然の偏見と騒ぎ
• 湖で遊泳を楽しむ人々の中で、ある女性がシレーヌを見て突然悲鳴を上げ、獣人に対する偏見から汚らわしいと非難した。周囲の人々も次々と同調し、騒然とする中でリーンとシレーヌは戸惑い、緊迫した空気が場に漂った。
141 時忘れの都 3
獣人への偏見とシレーヌの決意
• 貴族区画で獣人のシレーヌが罵声を浴びるも、静かにその場を離れようとした。
• リンネブルグは理不尽な態度に反発しようとしたが、シレーヌは問題を起こさないために身を引くことを決意した。
ロロの機転と魚たちの水柱
• ロロは獣人への偏見を目にし、水面から魚たちの協力で巨大な水柱を発生させ、周囲を驚かせた。
• 人々の注目を集めたロロは、敢えて自身が「魔族」であることを公表し、周囲に動揺を与え、彼らが自発的に去るよう促した。
ロロとリーンの策略で水浴び場を独占
• ロロの言葉に驚いた貴族たちは次々と水浴び場から退場し、彼とリーン、シレーヌは静かな空間を得た。
• シレーヌはロロの計らいに感謝し、ロロとリーンは親指を立てて笑い合った。
ノールの水遊びとリラックス
• ノールはロロの飛び込みに触発され、自身も大胆に水中へ飛び込んで水遊びを楽しんだ。
• 湖の底で幻想的な光景を満喫し、水遊びの心地よさに浸った。
リーンによるシレーヌの水慣れ
• リーンはシレーヌを抱え、高く跳び一緒に水に飛び込み、シレーヌの水への恐怖心を和らげようとした。
• シレーヌは少しずつ水に慣れ、次第に楽しむ様子を見せ始めた。
ロロとノールの再度の跳躍と小騒動
• ノールとロロは再度湖に跳び込み、大きな波を立てようとしたが、力加減を誤り周囲に被害が及んだ。
• ロロとノールはすぐに魚を水に戻すなど対応し、その後は控えめに水遊びを楽しむことにした。
ラシードの登場と謝罪
• 最後に湖のある部屋に現れたラシードは、先ほどの不快な出来事について謝罪し、関係者の追放処分を伝えた。
• 彼の配慮により、シレーヌたちは心地よい環境で引き続き水遊びを満喫することができた。
142 時忘れの都 4
シレーヌとロロに対する処分とリーンの疑問
• リーンはラシードがシレーヌとロロに罵声を浴びせた者たちを「私財没収・砂漠追放」という厳しい処分にしたことに驚き、それが必要であったか疑問を呈した。
• ラシードは、国賓に対する侮辱は死罪に値するが、減刑した上での処置であり、問題の再発防止のためでもあると説明した。
ラシードによるノールへの興味と対話
• ラシードはリーンに許可を得て、ノールと個別に対話するための場を設けた。
• ラシードはノールに、この都での滞在を楽しんでいるかと問いかけ、ノールは人工湖での体験が印象的であると答えた。ラシードはさらにノールに興味を示し、彼に対してさらなる質問を重ねた。
ノールの雇用に関する交渉と彼の無欲さ
• ラシードはノールに、自分の側につくよう誘い、そのために王金貨一枚を日給とする提案を行った。
• ノールはその金額に対して無欲であり、サレンツァの異文化体験が最大の報酬だと伝えた。ラシードはノールの返答に驚き、無欲さを評価した。
「黒い剣」に対するラシードの関心
• ラシードはノールの「黒い剣」に強い関心を示したが、管理の手間が増えるため自分の手元に置く必要はないと述べた。
• しかし、ノールと「黒い剣」のセットなら話は別だとし、ノールを仲間にするためなら都を建設できる資産も惜しまないと話したが、ノールはこれも断った。
ラシードとの会話の終わり
• ラシードはノールとの対話を楽しんだと感謝を伝え、次の「裁定遊戯」を楽しみにしていると述べた。
• 彼はノールに別れの挨拶をし、上機嫌のままその場を去っていった。
143 サレンツァの遊戯場 1
1. 豪華な食事の提供と警戒
• リーンとイネスは食事に警戒していたが、ノールが全種類を試食して安全を確認すると、全員で食事を楽しんだ。ノールは珍味が期待外れだったことを少し残念に思った。
2. 『裁定遊戯』の会場「遊戯場」へ案内
• メリッサの案内で『裁定遊戯』の会場へ向かう際、ドレスコードのため衣装室を通過し、ミスラに行った時と似た格好に着替えた。
• 遊戯場は夜の街のように薄暗く広大で、様々な遊戯が並ぶ中、老若男女が多様なゲームに興じていた。
3. 闘技場の見学とラシードの登場
• 道中、大勢の人々が集まる「闘技場」が目に入り、ラシードがリーンに闘技場の観戦を提案した。
• ラシードは、観戦者が勝者を予測し賭けを楽しむ施設であることを説明し、設計者としての誇りを見せた。
4. 賭けのシステムと王者『碧玉の緑竜』と挑戦者シンの紹介
• 賭けの仕組みについて、ノールはラシードから説明を受け、勝者の予測が集まるほど賞金が増えるシステムを理解した。
• 闘技場の王者『碧玉の緑竜』と挑戦者『不動の放浪者シン』の対戦が告知され、会場は大いに盛り上がった。
5. 試合の開始と王者の圧倒的な強さ
• 試合が開始されると、シンは初め機敏に動いて竜の攻撃をかわしていたが、次第に疲弊して追い詰められた。
• ノールはシンの安全を危惧し、試合を止めるようラシードに求めたが、ラシードは「どちらかが死ぬまで続ける契約である」と返答した。
6. ノールの参戦決意と書類へのサイン
• ノールはラシードから「サインをすれば試合に介入できる」と言われ、契約書にサインし、即座に闘技場へ飛び込んだ。
• 会場のシステムにより、試合が「異例のタッグ戦」として再開され、賭け金が再集計された。
7. シンへの応急処置と奴隷契約の事実
• ノールは負傷したシンを救い、応急処置として【ローヒール】を使用した。
• シンから「闘技場の出場者は全員奴隷契約を結んでいる」という事実を聞き、驚いた。
8. ノールと緑竜の再戦開始
• ノールはシンから借りた剣を手に取り、緑竜と対峙した。
• 青い光の檻が消え、緑竜が動き出し、ノールは竜との再試合に臨んだ。
144 サレンツァの遊戯場 2
1. ノールと竜の対峙
• ノールは借りた剣を構え、緑色の竜と向き合い、過去の経験から恐怖を感じなくなっていた。
• 竜の攻撃を受けたノールは剣で防御しようとしたが、力加減を誤り、剣を粉砕してしまう。
• 竜はノールに対し怯えの様子を見せ、戦意を失ったように後退していった。
2. 観客の不満と罵声
• 戦意を失った竜の様子に観客は不満を抱き、罵声と共に様々な物を舞台へ投げ始めた。
• ノールは観客席の罵声や非難に晒されるが、事態を見守っていた。
3. ラシードとリーンの対話
• 観客席でラシードはリーンに向かい、この興行の失敗が『時忘れの都』の評判に傷をつけると語り、状況を楽しんでいる様子を見せた。
• リーンは血腥い試合には関心がないと述べ、ラシードとの会話を冷静に進めた。
4. リーンによる契約書の処分
• ラシードから受け取ったノールとの契約書を、リーンは【滅閃極炎】で燃やし、契約を無効にした。
• 突然の火柱に観客は驚愕するが、ラシードは笑顔を絶やさなかった。
5. ロロの介入と狂化魔法の解除
• ロロはラシードに、竜にかけられていた狂化魔法を解除したことを告げた。
• ラシードはロロの行動を称賛しつつ、魔族の噂が悪化しないようにと警告したが、ロロは逆にラシードに抑制を求めた。
6. 舞台上での罵声と試合の中止
• 舞台上でシンと共に罵声を浴びるノールに対し、ついに試合中止がアナウンスされた。
• ゲートが開かれ、ノールとシンは舞台を後にして控室へと戻った。
7. リーンとの再会と契約書の焼却の報告
• リーンはノールに契約書を焼却したことを報告し、ノールもそれを了承した。
• ラシードはノールと仲間たちに興味を示し、今後は正々堂々と勝負を挑むことを宣言した。
8. 『裁定遊戯』への案内
• 遊戯場の照明が一斉に消え、場内が暗くなり、観客は騒然とした。
• ラシードの指示でメリッサが案内役となり、ノールたちは『裁定遊戯』の会場へと向かうことになった。
145 裁定遊戯 1 事前協議
1. 裁定遊戯の会場へ案内される
• ノールたちはラシードによって「裁定遊戯」の会場へ案内された。部屋には遊戯用のテーブルが並び、奥には巨大な「裁定の天秤」の壁画が飾られていた。
• メリッサが進行を担当し、遊戯の事前協議が開始された。
2. 遊戯者と公平性の確認
• メリッサが参加者を確認し、ラシード側は職員一同、ノールたち側は5名であることが確認された。
• リーンは多数の職員の参加に不安を抱くも、公平な遊戯が行われることを確認し、了承した。
3. 裁定官の兼任と信頼の確保
• ラシードが裁定官を兼任することが発表され、リーンが疑問を投げかけた。
• ラシードは不正をしないことを誓い、双方で合意された。
4. 争点の確認
• 「裁定遊戯」の争点が「砂漠の村の徴税権」であることが確認された。
• リーンは徴税額が不当であると抗議したが、ラシードは「湧水の円筒」の価値に基づき、査定額が妥当であると主張した。
5. 価値の等しい賭け物の提示
• ラシードは徴税権を賭け物として提示したが、リーンの短刀では価値が不足していると判断された。
• ラシードは代替案として「王金貨五枚」か、ノールたちの支配権を提示するよう求めた。
6. ノールの金貨の提供
• ノールは手持ちの王金貨五枚を提示し、価値の問題が解決した。
• イネスがノールの資産についてリーンに説明し、リーンはこれを了承した。
7. 遊戯内容の選定
• リーンがノールに遊戯の選定を任せ、ノールは「三賽子」を選んだ。
• ラシード側も同意し、三番勝負の第一戦として「三賽子」が決定された。
8. 物見の鏡による館内中継
• 裁定遊戯の内容が「物見の鏡」で館内全体に映し出され、観客も賭けに参加できる形となった。
• リーンはこの演出に不満を表明するが、ラシードはこれを興行として楽しんでほしいと述べた。
9. 第一戦の対戦相手の登場
• ノールの対戦相手としてラシード側からクロンが登場した。
• クロンはノールに全力で挑む意志を示し、第一戦「三賽子」が開始された。
146 裁定遊戯 2 三賽子
1. 三賽子のルール説明
• ノールが「三賽子」のルールを知らないと述べたため、クロンが基本ルールを説明した。三つの賽を使い、出目を当てることで賭け金を得る遊戯であった。
2. クロンの疑念と試合の開始
• クロンはノールが素人を装っているのではないかと疑念を抱いたが、やり取りの結果、ノールが本物の素人だと確信した。クロンは先攻となり賽を振り、ノールは「番号指定」を選択した。
3. 初回の賭けと奇妙な結果
• ノールが賭けに失敗するも、結果は「勝負なし」となり、罰金が発生しなかった。クロンは驚愕し、偶然と考えつつ次の賽を振ったが、再び「勝負なし」となった。
4. ノールの「番号指定」の連続成功
• クロンが何度も賽を振るが、ノールが再び「番号指定」で二つの出目を当て、結果は連続して「勝負なし」となる。クロンはこの現象に疑念を抱き、ノールがイカサマをしているのではないかと疑ったが証拠が見つからなかった。
5. ノールの説明とさらなる賭けの増額
• ノールが賽の音を聞き分けることで勝敗を予測していたと説明し、クロンは疑念を抱きつつも納得した。その後、ノールは賭け金を倍増させ、さらなる勝負を挑む。
6. クロンの降参と勝負の終結
• クロンは賽を振るも、ノールが再び「番号指定」で正確な予測を行ったことで恐怖を感じ、ついに降参を宣言した。これによりノールの勝利が確定した。
7. 勝利の確認とラシードの反応
• ラシードがクロンの降参を称賛し、賽の結果を確認すると、ノールの予想通りの「4」のゾロ目であった。ラシードはクロンの命拾いを喜びつつ、ノールの勝負の腕前に驚嘆した。
147 裁定遊戯 3 消失男
1. 第一試合『三賽子』の結果発表と勝利
• 『クレイス王国』側が第一試合の『三賽子』で勝利し、資産は「時忘れの都《八億二〇九七万》 対 クレイス王国《八八億二〇九七万》」に変動した。
2. 第二試合『消失男』のゲーム選定と参加者
• リンネブルグは次のゲームを『消失男』とし、クレイス王国側はリンネブルグ、ロロ、シレーヌが参加。対する時忘れの都側はラシード、メリッサ、クロンで構成された。
3. 『消失男』のルール確認と試合準備
• カードが公平に揃っているか確認の後、ラシードがカードを配る役をメリッサに任せ、観客の楽しみも考慮したショーが行われた。シレーヌがすり替えを見破り、ゲーム開始前に不正が露見した。
4. 『消失男』の基本ルールと戦略
• ゲームの基本ルールは「数合わせ」だが、噓の宣言も可能で、虚偽が見破られなければ『消失』が成立。噓が見破られると罰金が発生し、カードの引き直しとなる。
5. 第三者の監視と双方の準備
• クレイス王国側はロロの能力で心を読み取る仕組みを活用し、ラシード側も観客にカードを見せることで優位に立とうとした。リンネブルグ側は兄レインの協力で通信装置を設置し、公平を保つ形でゲームを進行した。
6. 初期のゲーム展開とシレーヌの失格
• ゲーム開始後、クレイス王国側が優位に立ったが、ラシードの連続的な『虚偽』宣言により、シレーヌが失格。相手側の反撃が始まった。
7. ラシードの不正とリンネブルグの対応
• リンネブルグが相手の不正を指摘し、再び勝利を確実にするため、ラシードの戦略を真似つつ冷静にゲームを進行。観客を利用した不正を抑えるため、リンネブルグ側も同様の準備を整えた。
8. ラシードの降参と勝利確定
• 最後まで観察し続けたリンネブルグ側が、残りのカードを消失させて勝利を確定させた。ゲームの結果は「時忘れの都《負債:七億七九〇三万》 対 クレイス王国《一〇四億二〇九七万》」に。敗北側のラシードは悔しげな表情を見せることなく、愉しそうに拍手をした。
148 裁定遊戯 4 死の九賽 1
1. 第三戦の準備と負債解消
• 『時忘れの都』側が大きな負債を抱えていたため、メリッサが虹色の硬貨十一枚で資金を追加し、負債を解消。資産額が「時忘れの都:《一〇二億二〇九七万》 対 クレイス王国《一〇四億二〇九七万》」となり、次の勝負が可能となった。
2. 最終種目『死の九賽』の決定
• ラシード側が最終勝負を決定し、ゲームは『死の九賽』に。九つの賽を使い、出目の当て数を競う高倍率のギャンブルで、勝敗の倍率は出目の差で上昇。クレイス王国側からはノールが参戦することとなった。
3. 『死の九賽』のルール確認
• 『死の九賽』の基本ルールは、九つの賽を投げた後、相手が出目を当てる形式で、振り直しは禁止。相手の出目をより多く当てた方が勝利し、差が大きいほど配当倍率も高くなるという過酷な勝負。
4. シャウザの先攻とノールの挑戦
• シャウザが先攻で賽を振り、ノールが出目を当てるも、全てシャウザの言う通りとなり、ノールは不正解となった。ラシードは満足げに笑いながらカップをノールに渡し、次のターンへ移行。
5. ノールの振り方と予想外の展開
• ノールが賽を振るが、力が入りすぎてテーブルに亀裂を入れ、部屋全体が揺れる事態に。カップはテーブルに食い込んだものの、賽は正しく置かれていたため、彼は賭けを続行し、次の展開へ。
149 裁定遊戯 5 死の九賽 2
1. 勝負の緊張と不穏な空気
• クレイス王国側のノールと対戦相手が賽を振るたび、館内の設備や構造物が破損し、来館者やスタッフが異常な状況に戸惑いと恐怖を覚えた。資金が巨額なことから、勝負が戦争の引き金になる可能性も危惧された。
2. 『死の九賽』の勝負とノールの苦戦
• ノールは幾度も挑戦するが、出目の当て合いで相手の獣人にわずかに劣り、負けが続いた。カップの音を消して賽の目を予測しようとするも、相手に全ての目を当てられる結果となり、次第に焦りを感じた。
3. 相手のイカサマの発見
• ノールは対戦相手が巧妙に賽をすり替えていることを見破った。しかし、ルール上この行為に反則はなく、相手に対抗するためにノールはさらに工夫を重ねる必要があった。
4. ノールの反撃と独自の作戦
• ノールは【しのびあし】と【筋力強化】のスキルを駆使して建物中を逃げ回り、カップの中の賽を見えにくくする作戦を実行。建物の壁や床を破壊しながら進む異様な光景に、周囲も驚愕した。
5. 勝利の瞬間とラシードの拍手
• ノールが工夫を重ね、ついに獣人の男が賽の目を全て外すことに成功し、ノールが勝利。結果、ラシード側が莫大な負債を負うこととなり、ラシードは負けを認めつつ拍手でノールを称賛した。
6. 勝負の終了と清算手続きの開始
• 最終的に『裁定遊戯』の勝敗が決まり、ラシード側は「負債九兆九八二七億七九〇三万」を抱え、清算の準備を開始することとなった。
150 清算交渉
1. 清算協議の開始
• ラシードは、観客のいない非公開の会議室にノールとリーンを案内し、清算協議を始めた。彼は『裁定遊戯』の契約は絶対であり、必ず履行されると説明し、支払いの信頼性を保証した。
2. 免税交渉
• リーンの要求に応じ、ラシードはノール達が望む村への「百年分の免税」を約束し、その分の資産から五〇〇〇億を差し引くことで合意が成立した。
3. 『時忘れの都』の提案
• ラシードは、資産の現金化が難しいため『時忘れの都』の所有権と経営権の譲渡を提案。ノールが望むならば施設の管理や改修が自由にできるという条件で、二兆ガルドでの譲渡を申し出た。リーンの助言もあり、ノールは譲渡を受け入れた。
4. 剣闘士たちの自由の要望
• ノールは、闘技場の剣闘士たちを自由にすることを提案。ラシードは、それには『時忘れの都』の経営権が必要だと説明し、ノールが所有権を得たことで剣闘士たちの解放が可能となった。
5. 残り資産の手形化と交易許可証の授与
• 残りの資産のうち八兆ガルド分を『手形』で受け取ることで合意。また、サレンツァ家の権限でノールに「交易許可証」を与え、国内での取引を容易にする措置が取られた。
6. 協議の終了
• 交渉が終了し、ラシードは勝負に満足している旨を伝えた。ノールとリーンは、免税、施設の所有権、現金と手形、さらに交易許可証を手にして会議室を後にした。
151 密室の反省会
1. 清算後のラシードの申し出
• 清算協議が終わり、ラシードは新経営者となったノールに、自分の私物を回収するため部屋を借りたいと申し出た。ノールが許可すると、ラシードは黒服の従者シャウザとメリッサを伴い、奥の防音室へと向かった。
2. ラシードの心残りと最後のひととき
• 防音室に入り、ラシードは「時忘れの都」を去ることに一抹の寂しさを感じつつ、最後に茶会を開くことにした。従者シャウザとメリッサに茶器を選ばせ、お茶の準備を進めた。
3. シャウザの疑念とラシードの真意
• 茶会の準備中、シャウザはラシードに遊戯の結果に対する疑問を投げかけた。ラシードは全て計算通りであり、シャウザの働きに満足していると述べ、彼の行動を称賛した。
4. メリッサの不安とラシードの意図
• メリッサは、ラシードが全ての資産を異国のノールに譲渡したことに不安を感じていたが、ラシードは「面白さ」を理由に挙げた。彼はノールの人物像に強い興味を持ち、今後の展開を期待していると語った。
5. 調査書とラシードの賭け
• メリッサはノールに関する税務調査書を手に取り、ノールの異常な行動力と影響力を確認した。しかしラシードは、それこそが彼に「賭け」の価値を与える理由だと説明し、自身の賭けに対する期待を表明した。
6. シャウザへの確認と新たな来客
• ラシードはシャウザに対し、ノールと共にいた少女に対する関心を問うも、シャウザは関心を示さなかった。直後に部屋の呼び鈴が鳴り、扉をノックする音が聞こえた。ラシードが扉を開けると、そこには獣人の少女が緊張した様子で立っていた。
【神盾】イネスの水泳教室
1. 訓練の開始
• 【戦士兵団】の兵士たちは重い鎧を着たまま、隊列を保って泳ぐ訓練を行った。副団長である【神盾】イネスは彼らを見守り、指導を行った。新兵も含め、厳しい訓練に励んでいたが、疲れが見える者も多かった。
2. ダンダルグの登場とさらなる試練
• 訓練の指導に義父であり団長のダンダルグが現れ、兵士たちに新たな試練を課した。鎧姿のまま水に飛び込み、波を起こして兵たちの体力と隊列維持力を試した。彼の豪快な行動により脱落者が続出し、イネスは彼らを安全な場所に運び出した。
3. 訓練の終了とリラックス
• ダンダルグは訓練を終わらせ、兵士たちに遊ぶよう指示した。兵士たちは鎧を脱ぎ捨てて水場で楽しみ、訓練場は歓声に包まれた。イネスに遊ぶよう誘うダンダルグに対し、彼女は遠慮して断った。
4. イネスの葛藤
• イネスは泳ぎが得意であり、体力的にも水場で鎧を着たまま耐えられる自信があった。しかし、「鎧なし」で泳ぐことへの抵抗感があった。特に大勢の前で肌を晒すことに強い抵抗があり、その原因を理解しつつも克服できない自分に後ろめたさを感じていた。
5. 夜の自主訓練
• 訓練が終わり誰もいなくなった後、イネスは水泳場で自主訓練を行った。専用の訓練用水着に着替え、一人で水に入って泳ぐことで心を落ち着かせた。泳ぎへの愛情と、自己の課題克服のため、夜遅くまで練習を重ねた。
6. 決意とその後
• イネスは次回こそ皆と共に訓練に参加しようと心に決めたが、結局その決断に至ることはなかった。その代わり、夜中に一人での訓練を繰り返し、彼女の泳ぎの技術はさらに向上していった。
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