どんな本?
リビルドワールドは、ナフセ氏によるライトノベルで、2017年2月から日本の小説投稿サイト「カクヨム」や「小説家になろう」での連載が開始されている。
2023年7月の時点で、累計発行部数は75万部を超えている。
物語は、高度な科学文明の旧世界が滅んでから長い時間が流れた時代が舞台。
その旧世界の遺跡には現在では再現不可能な先進技術の遺物があり、これらのアイテムは高価で取引されている。
しかし、その遺跡には旧世界からの危険な自律兵器、モンスターが徘徊しており、遺物を回収しに来る者たち、ハンターと呼ばれる人々は、命をかけてこれらの遺物を求めている。
物語の中心には、クガマヤマのスラム地区で生きる若いハンター、アキラがおり。
彼は装備が不十分な中、危険な遺跡での探索を始めるが、途中で諦めかけていた時、突如として現れた美しい女性、アルファと出会う。
彼女はアキラに、彼女の目的を果たす手助けをする代わりに、一流のハンターへと育て上げるという取引を提案。
アキラは彼女の提案を受け入れ、アルファが持つ先進技術の知識やサポートを受け取りながら、数々の危険を乗り越えて成長していく。
この物語は、綾村切人による漫画版として『電撃マオウ』 (KADOKAWA) で2019年9月から連載が始まり。
そして、2023年7月にはテレビアニメ化の発表もあった。
最初にこの本と出会ったのは、Amazonの日替わりセールで1巻が販売されており興味を引かれて購入。
読んでみるとマッドマックスのような世界観での遺跡探索の物語。
設定やキャラクターたちが魅力的で面白く。
続きのこの巻も購入して読む。
読んだ本のタイトル
リビルドワールド V 大規模抗争
著者:#ナフセ 氏
イラスト:#わいっしゅ 氏
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あらすじ・内容
スラム街を牛耳る二大徒党VSアキラ。三つ巴の戦いの行方は――!
スラム街に君臨する二大徒党、エゾントファミリーとハーリアスは、莫大な金を生み出すスラム街の裏経済を巡って長年対立していた。
リビルドワールドV 大規模抗争
その情勢の中、シェリルはアキラと一緒にヨノズカ駅遺跡から持ち帰った遺物を換金するために、遺物販売店の立ち上げを計画する。
だがそれは、アキラとシェリルが二大徒党の大抗争に巻き込まれる切っ掛けとなってしまった。
暗躍する情報屋ヴィオラ。意外な理由でアキラと再会したキャロル。二大徒党に狙われるシェリルの運命は――!?
巨大な人型兵器まで現れた大抗争の中、二大徒党を同時に敵に回したアキラが、新たな装備で暴れ回る!!
感想
スラム街の裏経済を巡る二大徒党、エゾントファミリーとハーリアスの争いにアキラが巻き込まれる。
シェリルと共にヨノズカ駅遺跡から持ち帰った遺物を換金するため、遺物販売店を立ち上げる計画が二大徒党の抗争に火をつけることになった。
アキラはシェリルの徒党を守るため、そして自身の利益を守るために二大徒党との戦いに挑むことになる。
その過程で、情報屋ヴィオラや前巻に出会ったキャロルとも再会し、彼女たちもまたこの抗争に関わってくる。
抗争はエスカレートし、最終的には巨大な人型兵器が投入されるほどの激しい戦いに発展する。
アキラは新たな装備を手に入れ、その力を活かして戦闘に挑む。
彼の戦い方は以前とは一線を画し、相手を圧倒するほどの強さを見せつける。
しかし、アキラ一人の力だけでは解決できない問題も浮上し、彼は仲間との協力の重要性を再認識する。
シェリルはアキラの支えとなり、また彼女自身も独立して行動し、遺物販売店を守るために奮闘。
つにはドランカムを援軍にして遺物販売店を警護してもらう。
彼女の知恵とアキラの力が組み合わさり、二大徒党に立ち向かう。
最終的に、アキラとシェリルは二大徒党との抗争を終結させることに成功する。
しかし、この戦いが新たな問題を引き起こす可能性も示唆されており、彼らの前途は決して平穏ではないことが暗示される。
アキラはこれまで以上に強力な敵との戦いに備え、自身の力をさらに磨いていく決意を新たにする。
この巻では、スラム街の抗争を背景にしたアクションとドラマが展開される。
アキラの成長と彼を取り巻く人間関係、特にシェリルとの絆の深まりが描かれる。
また、新たなキャラクターの登場により、物語に新たな風が吹き込まれる。
アキラとシェリルの挑戦はまだまだ続くことを予感させ、次なる物語へと引き込んでくれる。
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備忘録
第124話 遺物販売店
アキラは賞金首の騒ぎが終わり、遺跡探索を再開する。旧世界製の装備を持つモニカとの戦いで、アルファのサポートにより勝利し、その装備の性能を実感する。アルファはアキラに、今後の挑戦にはより高性能な装備が必要だと告げる。モニカ撃破による賞金はまだ手に入れておらず、所有権を巡る交渉が続いているため、アキラは装備購入のための賞金を待つ。一方で、アキラとシェリルは遺物販売店を計画しており、アキラは自宅で保管している遺物をシェリルに預けることに同意する。アキラはカツラギに対して、何かあれば責任を取るよう要求するが、シェリルはアキラに全責任を負う覚悟を示す。アキラは自分の金銭感覚が変わってきたことに気づく。シェリルはアキラに価値を認められるよう、遺物販売店の成功に向けて決意を新たにする。
カツラギとシェリルの徒党がアキラの自宅から遺物を取りに来た際、ヨノズカ駅遺跡で収集された高価な遺物が大量にあることにカツラギは驚愕する。アキラは遺物の出所についてあいまいな答えをし、カツラギはそれ以上深く追求しない。遺物は倉庫に運び込まれ、リスト作成のための準備が始まる。作業中、アキラの遺物についてカツラギの商売仲間たちも大きな関心を示すが、遺物の出所やアキラとシェリルの関係については明確な答えが与えられず、様々な憶測を呼ぶことになる。カツラギはシェリルの服が旧世界製の素材を用いた現代製であることを認め、これがさらに仲間たちの驚きを誘う。結局、カツラギもアキラも実際の事情を知らないまま、遺物の取り扱いについては進められる。
アキラはエレナからの連絡で、賞金首として扱われるモニカの賞金についてドランカムが立て替えるという意外な提案を受ける。賞金の額は6億オーラムであり、ドランカムの意向で交渉の場から外れることと引き換えに、先払いで受け取れる状況になっていることを知る。エレナはこの提案がアキラにとって有利な条件だと説明し、アキラもこれを受け入れる。その背景にはドランカムと都市の間で行われる複雑な交渉があり、ドランカムが交渉の主導権を握りたいという意図があった。アキラは賞金を早期に受け取ることで装備の更新を望むが、シェリルはアキラが短期間で6億オーラム稼いだことに大きな驚きと焦りを感じる。シェリルは遺物販売店の成功がアキラに追い付くための重要な一歩であると認識し、その成功を固く心に誓う。
第125話 続く賭け事
アキラはシェリルと別れてシズカの店に向かい、ドランカムからの6億オーラムの振込み完了通知を受け取る。シズカの店で装備の相談を行うが、シズカはアキラの金の使い方に懸念を示す。アキラがこれまでのハンター稼業での無茶や無理を繰り返し、得た報酬を次の賭け事の賭け金として装備に注ぎ込んでいることに対し、シズカは心配していた。一方、カツラギはアキラからの遺物を使った遺物販売店の計画を進めており、トメジマがアキラとの過去のトラブルのために計画から外される。トメジマは遺物販売店での利益を失うことを惜しみ、コルベに示談の仲介を頼むが、コルベはその仲介を拒否する。トメジマは遺物販売店の成功に向けて悪い方法も検討していた。
アキラは浴室で湯に浸かりながら、アルファのサポートで表示された大量の銃器の選択に悩んでいた。これらの銃はシズカから提案されたもので、予算6億オーラムの範囲内でアキラが興味を持ったり、要望に合った銃を選ぶ過程にあった。特に、強力な弾を使用でき、連射や狙撃、擲弾も撃てる多機能銃に焦点が当てられていた。アキラはシズカの助けを借りて装備を選ぶ大切さを再認識し、自分の装備に万全を期すことの重要性を感じていた。シズカからのアドバイスを受け、アキラは大物殺しに特化した銃選びを考慮し始める。特に、標的の防御を突破する貫通力を重視した選択が推奨された。この過程で、強化服に4億オーラム、銃に1億オーラム、弾薬費に1億オーラムの予算配分がされていたことも明らかになる。最終的に、アキラは威力重視で銃を選び直し、入浴を楽しみながら慎重に装備選びを進めることにした。
クガマヤマ都市の雑居ビルの一室で、ヴィオラがトメジマと情報端末越しに会話をしている場面である。トメジマはアキラとの交渉の場を設けることをヴィオラに依頼しているが、示談交渉の代行までは求めていない。ヴィオラは楽しげな声で交渉の代行を勧めるも、トメジマは自分たちで行うと断る。しかし、ヴィオラはアキラに狙われているトメジマの命の保証を別料金として提案し、トメジマを不安に陥れる。結局、トメジマはヴィオラの頼み事を引き受けることになり、その内容は難しくないものだった。
第126話 ある地雷原
アキラはシェリルからの要請を受け、自宅を出発する。彼は強化服を身に纏い、改造された強力な銃を二挺装備し、予備の弾薬を携えてシェリルの拠点があるスラム街へ向かう。この装備は荒野に出るには軽装備であるが、スラム街では明らかに過剰な武装であるため、通りを行き交う人々の間でアキラは危険人物として扱われる。その中で、ある男が近づき、アキラの財布を盗もうとするが、アキラは直ちに気付き、男を摑み、路地裏に蹴飛ばす。アキラは男に重傷を負わせてしまいながらも、財布を取り返し、その場を離れる。男は半死半生の状態で呻き声を上げるが、その声は誰にも聞こえない。
シェリルが徒党のボスとして自室で仕事をしていた際、部下のアリシアからアキラが来訪したことを知らされる。アリシアはアキラの様子がおかしいとも伝え、シェリルは気を引き締めてアキラのもとへ向かう。応接間ではアキラと徒党の幹部たちが待っていた。シェリルはアキラの落ち込んでいる様子に気づき、その理由を尋ねる。アキラは、来る途中でスリに遭ったことを話し、自分が弱そうに見えるのかとシェリルに問う。シェリルはアキラの強さを褒めつつ、アキラが弱そうに見えるのは装備や知識のせいかもしれないと説明する。ルシアも、強化服や銃の知識がないためにアキラの強さを見分けられないと述べる。アキラはこの話から、自分の装備がどの程度強そうに見えるのかを再考する。
その後、カツラギたちが遺物販売店の話をするために訪れることになり、シェリルはエリオたち幹部を退出させる。幹部たちは、アキラとの直接の関わりを避けようとする徒党の子供たちの気持ちを理解しながらも、自分たちの立場を守り続ける決意を新たにする。シェリルはアキラの相手を続ける自分の役割について、幹部たちから尊敬と困惑の入り混じった評価を受けている。
カツラギはアキラに対して、6億オーラムも稼いだなら自分の店で装備を購入してほしいと不満を表明している。アキラとの取引でシェリルに協力したことを持ち出し、お得意様になってもらいたいという期待を述べる。アキラは最終的にカツラギに協力し、2000万オーラム分の回復薬を購入することに同意する。続いて、アキラは浴室で強化服を選んでおり、4億オーラムの強化服について考える。シズカが選んだリストの中から、着用時に筋肉が際立つ薄手の強化インナーに関心を示さない。その後、キャロルから連絡があり、アキラがスリに狙われたことに裏があると伝えられる。キャロルはアキラに会う約束を取り付け、明日詳細を話すことになる。キャロルはその通信後、友人との会話でアキラとの会合について触れ、明日の計画について余裕の態度を示している。
第127話 稼いだ金の使い方
都市の下位区画の商店街で、アキラはキャロルと待ち合わせをしていた。この地区は警備員も配慮した武装をしており、スラム街の住人や過剰に武装した者の立ち入りは禁止されている場所だが、アキラは強化服と突撃銃を身に着けて立っていた。キャロルは清楚な服装で現れ、アキラと食事をしながら話を進めることになる。キャロルは、アキラがスリに狙われた件に裏があることを告げ、詳細を知る情報屋との交渉の仲介を提案する。この交渉を受けることでアキラは裏の情報を得られることになるが、トメジマという人物との交渉には危険が伴う可能性がある。アキラはこの提案を受け入れ、情報屋との交渉に臨むことにする。
食事をしながら、キャロルはスラム街の遺物販売店が非常に儲かるビジネスであることをアキラに説明する。これらの店は裏市場の需要を満たし、ハンターの間では遺物を安価で手に入れる手段として利用されている。また、高ランクハンターはハンターオフィスから支援を受けて安価で強力な弾薬を手に入れることができ、これはランク50からの特典である。キャロルはアキラと組むことで彼もこのような弾薬を容易に手に入れられるようになると提案するが、アキラは一人で動くことを好むため断る。
話は空の遺跡に移り、キャロルはそこに向かう際の危険性と、西の空から進む理由をアキラに説明する。東部ではモンスターの強さが場所によって大きく異なり、特に空には非常に強力なモンスターが棲息しており、高速で移動すると遭遇率が上昇する。このため、空の遺跡を目指す際は、遠回りでも安全を考慮して西の空から近付くのが基本である。アキラはこの話に興味を持ちつつも、自分が依頼されている遺跡が地上にあることを願っている。
第128話 断る理由
都市の商店街で、アキラはキャロルとの待ち合わせに備えていた。この地域は防壁に近く、高級店が立ち並び、富裕層が客層を形成している。警備員は、過剰な警戒感を与えないような配慮した武装をしている。アキラは場違いな強化服と突撃銃を装備しており、目立つ存在であったが、警備員は彼を排除する必要はないと判断していた。キャロルは清楚な服装で現れ、アキラの格好をからかう。アキラはキャロルの提案に「考える」と答えた。
キャロルは、アキラがスリに狙われた件に裏があることを伝え、その情報を知る情報屋との交渉を仲介することを提案する。交渉を受け入れれば、裏の情報を得ることができるが、トメジマという人物との危険な交渉が伴う。アキラはこの提案を受け、情報を求めて交渉に臨むことを決める。
キャロルはスラム街の遺物販売店の話をし、これらが裏市場の需要を満たし、大きな利益を生み出していることを説明する。また、ハンターオフィスからの支援により、高ランクのハンターは強力な弾薬を安価で手に入れることができるが、これには一定の制限がある。キャロルはアキラと組むことで彼にも同様の利点を提供すると提案するが、アキラは一人で行動することを好むため、この提案を断る。
空の遺跡について話が及び、キャロルはそこに至る道のりの危険性について説明する。特に、東部の空を高速で移動すると、非常に強力なモンスターとの遭遇率が上昇するため、空の遺跡を目指す際は比較的モンスターの弱い西の空から近付くのが一般的な方法である。アキラはこの話に興味を持ちながらも、自身が依頼されている遺跡が地上にあることを願っている。
アキラは都市の下位区画の商店街でキャロルを待っており、その場には富裕層向けの高級店が立ち並び、過剰な武装が禁止されているにもかかわらず、アキラは強化服と突撃銃を身につけていた。アルファとともに、彼は少し場違いな存在だったが、警備員は彼を排除する必要がないと判断した。キャロルが現れ、彼女は清楚な服装であり、アキラに対して服装をもう少し考えるべきだと諭した。キャロルはアキラに対し、稼いだ金を有意義に使うことの重要性を説き、アキラもそれを受け入れた。二人はその後、高級レストランで食事を楽しんだ。
キャロルはアキラに、彼がスリに狙われた件に裏があると説明し、それについて知る情報屋との取引を提案した。アキラはこの提案に同意し、取引を受けることにした。また、キャロルはスラム街の遺物販売店がいかに利益を上げているかを説明し、アキラにチームを組むことを提案したが、アキラは一人で行動することを好むため、この提案を断った。
空の遺跡についての話題が出ると、キャロルは東部の空には旧世界の浮遊要塞や巨大な航空機などが存在し、これらを目指すハンターたちがいることを説明した。しかし、東部の空を高速で移動することは非常に危険であり、空の遺跡を目指す際には比較的安全な西の空を通って近づくのが基本であるとも語った。アキラはこの話に興味を示したが、彼が依頼されている遺跡が地上にあることを願っている。
第129話 短慮なハンター
アキラはキャロルから指定された情報受取場所へ向かおうとしていたが、その場所はシジマの拠点であった。シェリルから連絡があり、遺物販売店の件でシジマとの交渉にアキラの同行を求められる。アキラはそれを受け入れる。一方、シジマはヴィオラからアキラが裏の情報を知ったことについて怒り、しかし状況をどう処理するか悩む。ヴィオラは、アキラを利用してシジマを脅すが、アキラとシェリルが到着すると話をまとめるために自らが説明しに行くと提案する。シジマは破滅を避けるため、結局ヴィオラの提案を受け入れることにする。
アキラとシェリルはシジマの拠点で待たされていたが、スリの件について話すための準備が整っていないことに気づく。シジマはアキラとシェリルの立場を確認し、特にアキラが重武装ではないことから戦意が薄いと判断する。シェリルはアキラに対して遠慮がちな態度を見せつつ、自身の目的である遺物販売店の開店について話し始めるが、アキラが先に自分の用事を済ませたいと願う。シジマはアキラにスリの件の裏情報を提供する予定であり、その情報を提供するヴィオラが間もなく到着することを告げる。
ヴィオラはアキラのスリ被害について説明し、実際にはアキラ本人を狙ったわけではなく、アキラの偽物を狙っていたスリが誤ってアキラを標的にしてしまったと説明する。シジマは自身の行動が原因でアキラを巻き込んだことを認めつつ、アキラにも問題があると指摘する。アキラは話を聞くことの大切さを再認識し、シェリルと共に状況を理解する。
結局、この誤解は解消され、アキラとシェリルはシジマとの関係を改善する方向に進む。ヴィオラとキャロルはこの事態を楽しんでおり、問題が平和的に解決へと向かうことに安堵している。
アキラとシェリルが帰宅後、シジマとヴィオラはシジマの拠点で対峙していた。シジマはアキラに行った説明が実際にはほとんど嘘であったことを内心認めている。シジマは本来、アキラを試す目的でスリの事件を仕組んだが、その後のアキラの活躍により計画を中止していた。しかしこの計画が継続していたことに対し、ヴィオラが関与していた疑いをシジマは持っていた。ヴィオラはこの疑念に対して何事も無かったかのように振る舞い、シジマの疑念を深めさせなかった。
シェリルはトメジマからの仲介依頼をアキラの代わりに受け、トメジマとの間でアキラとの遺恨がないことを確認する。トメジマは感謝の意を表して金銭を提供しようとするが、シェリルはそれを断り、遺物販売店への協力を勧める。この過程で、シェリルがスラム街での重要人物としての地位を確立していることが示される。
全体を通して、スリの件の背後にはシジマの誤解と計画があり、それがヴィオラによって利用されていたこと、またシェリルがアキラや他の商売人との間で重要な役割を果たしていることが明らかになる。
第130話 倉庫の関係者達
シェリルたちはスラム街の境にある倉庫に遺物販売店の商品を保管していた。この倉庫の警備には、借金の返済のためにカツラギの提案を受け入れたレビンたちがあたっている。レビンたちは借金返済のため、高難度の遺跡での遺物収集を余儀なくされており、高性能な装備の購入で借金が増える一方だった。その中で、アキラがシェリルの依頼で倉庫に現れ、子供たちと共に警備に交じっていた。子供たちはアキラの偽物として、シェリルの指示でハッタリのために配置されていたが、実際には戦力にはならない。
アキラは遺物販売店の倉庫で過去の知り合いであるデイルと再会する。デイルはヨノズカ駅遺跡で集めた遺物がここにあることを知り、アキラにシェリルとの仲介を頼む。アキラはシェリルに連絡し、デイルが望む仲介を許可する。デイルは喜び、アキラは自分が何か詐欺に加担したような微妙な気持ちになるが、デイルにはその気持ちを伝えなかった。
アキラに呼ばれたシェリルは倉庫に向かい、偽物達の中にアキラが交じっていることを惑わすための役割を果たしていた。しかし、シェリルがアキラの側にいると簡単に本物を見分けられてしまうため、敢えて別の場所で仕事をする予定だった。デイルとの会話では、シェリルが企業の令嬢であるというデイルの誤解を強め、アキラはシェリルの交渉技術に感心していた。一方で、倉庫の警備に加わったレビンは不満を抱えており、さらにトメジマ経由で加わった少年ティオルは金のために遺物を調査していた。しかし、ティオルはシェリルに一目惚れし、そのことが彼を疑惑から救った。シェリルの魅力に圧倒されたティオルは、シェリルからの質問を真剣に受け止めず、彼女に見惚れてしまう。その結果、ティオルは重要な情報を漏らさずに済んだが、トメジマが後で問題を指摘するまで、彼の顔は緩んだままだった。
スラム街と荒野の境にある大邸宅で、ハーリアスの幹部達が集まり、シェリル達の倉庫内の映像を見ていた。この映像はティオルの情報収集機器から送信されたもので、遺物の質と量について話し合っている。彼らはアキラが遺物をどのように手に入れたかについて疑問を持ち、ヴィオラから情報を引き出そうとする。ドーラムはハーリアスのボスとして、アキラが持つ力とその遺物販売店がエゾントファミリーに利益をもたらす可能性に注目し、対策を話し合っていた。ヴィオラはティオルを通じて倉庫の情報を得ていたが、他の情報については明かさなかった。ドーラムはヴィオラの情報を信じつつも、彼女自身を信じてはおらず、裏取りを指示する。最終的にはアキラと遺物販売店に対する対応を決めるための会議が始まる。一方、ヴィオラは邸宅を離れ、キャロルと共に別の計画を進めていた。
第131話 不可解な侵入者
シジマが部下を連れてシェリルたちの遺物販売店に到着し、アキラの振りをしている子供たちに堂々とするよう指示する。シジマは遺物販売店の計画に参加しており、シェリルと共同でアキラを利用する計画を立てていた。しかし、店を狙う襲撃者が予想以上に多く、それを減らすためにアキラが後ろ盾である情報を流したが、効果は限定的だった。シジマとシェリルは、遺物販売店を守るための対策を話し合い、トメジマが参加する交渉についても触れられる。トメジマは、遺物販売店の後ろ盾としてアキラを使う計画に疑問を持ちつつも、シジマとの会話からエゾントファミリーとハーリアスの抗争に巻き込まれないよう慎重に行動することを決める。
アキラはシズカから連絡を受け、注文していた強化服を受け取りに行く。シズカの案内で、黒を基調とした強化服と防護コートが収められた格納棚を見せられる。この高性能強化服一式は4億オーラムと非常に高価で、力場装甲や高い防御力、専用の情報収集機器が特徴だ。アキラはこの新しい装備に嬉しそうな反応を示す。シズカはアキラに対して、装備は無茶をするためではなく、無茶をしないためのものであると忠告し、ハンター稼業を再開するには全ての装備が揃ってからにするように言う。アキラは自宅に戻り、強化服の格納棚を設置し、アルファと次の計画を話し合う。次はクズスハラ街遺跡の奥部に挑む計画で、アキラは強化服とともに強くなった自身に自信を持つが、シズカからの忠告を思い出し、無茶はしないと誓う。
スラム街のある倉庫で、武装した男たちが集まっていた。これらは犯罪組織に雇われているハンター崩れたちで、荒野で遺物を集めるより人を狙う方が楽しいと感じている者たちだった。彼らにはある仕事が割り当てられ、自由に行動する許可が与えられていた。その一方で、シェリル達の倉庫では、襲撃者による被害が増加しており、シジマは対処に頭を悩ませていた。侵入者たちは借金返済のために遺物を盗もうとしており、その死体は倉庫の外に積み上げられていた。一方、ティオルはシェリルに一目惚れしており、倉庫の警備を通じて彼女に近づこうとしていた。そんな中、ザルモたちはアキラが不在と判断し、シェリル達の倉庫に対する攻撃を開始した。
第132話 4億オーラムの強化服
シジマから倉庫にアキラを常駐させることは難しいと提案されたシェリルは、それが無理であることを伝える。しかし、その議論は倉庫に突撃してきた大型トラックとそれに続くモンスターの襲撃によって中断される。この襲撃は人間ではなく、モンスターによるものであり、倉庫の警備員たちは混乱する。襲撃されたモンスターは強力で、通常のハンターが想定する相手ではなかったため、レビンやデイルを含むハンターたちは苦戦しながらも対抗する。一方、ティオルを含む戦力として雇われた子供たちは、この状況においても勇敢に戦い、エリオたちシェリルの部下は戦いながらもモンスターに恐怖する。最終的には、エリオは一部の仲間と共に戦場に留まり、残りの仲間は安全な場所へと避難することになった。
シジマとシェリルは、倉庫内で襲撃者に侵入されたことを知り、厳しい状況に直面していた。襲撃者たちは倉庫内の遺物を盗み始め、シジマの部下たちは武装しているものの、襲撃者たちに押されていた。一方で、アキラはシェリルからの救援要請を受け、現場に急行していた。アキラは新しい強化服を着ており、その性能を試す機会として襲撃者たちとの戦闘を捉えていた。
倉庫へ向かう途中、アキラとアルファは、白い人型兵器が倉庫から少し離れた場所で起動するのを目撃する。この兵器はスラム街では見かけない異例の存在で、アキラに向けて大口径の銃を発砲する。アキラは強化服の性能を駆使して、この巨大な敵を倒すために戦うことになる。
アキラは強化服の特性を活用し、人型兵器に対して有効な戦術で応戦する。接地機能を使って高速で移動し、対機徹甲弾で敵の装甲を貫くなど、自身の強化服と戦闘スキルをフルに活用する。最終的にアキラは、強化服の能力を用いて人型兵器を圧倒し、勝利を収める。
この戦いは、アキラにとって新しい強化服の性能を確かめ、自己の成長を実感する機会となった。アキラとアルファは、今回の戦闘を通じて更に強い絆で結ばれていく。
デイルやレビンなど、アキラが人型兵器に単身突撃して圧倒するのを見て、彼の強さに驚愕する。デイルはアキラの強さからシェリルが高い資金力を持つ企業の令嬢ではないかと推測し、レビンはアキラに取り立てられることへの不安を感じる。ハザワはアキラの成長を嬉しく思う。
アキラは対機徹甲弾で人型兵器を攻撃し続け、撃破しようとするが、敵の狙撃により一時退避する。敵、ザルモから通信を受け、第2ラウンドの開始を告げられる。アルファはアキラにサポートを約束する。
一方、倉庫内では、コルベが襲撃者たちを単独で圧倒し、シジマの部下たちに助けを求められる。コルベは過去の挫折を乗り越え、襲撃者たちを撃退する。シジマの部下たちはコルベの行動に感嘆し、ハンターの実力を再認識する。
第133話 予想外
アキラは、車両を投げつけてくるザルモの攻撃を回避し、至近距離での銃撃戦に入る。互いに回避しつつ、致命的な一撃を狙う激しい攻防を繰り広げる。ザルモはアキラの攻撃を力場障壁で防ぐが、アキラもアルファのサポートでザルモの反撃を効率的に防ぐ。一撃を交わした後も戦いは続き、アキラはザルモと白い人型兵器に対して有効な攻撃を仕掛ける。ザルモはアキラの強さと適応力に驚くが、撤退を考えた後、アキラを殺害することを目的として戦いを継続する決断を下す。
アキラはザルモの戦術変更に警戒しつつも、ザルモが白い人型兵器の操縦者を交代するために距離を詰めてきたことを察知する。ザルモは人型兵器に乗り込み、その動きを一変させ、アキラに対して圧倒的な攻撃を加える。アキラはアルファのサポートを受けつつ、ザルモと人型兵器との戦闘に挑む。戦いは一進一退の攻防を繰り返し、アキラはザルモの技量の高さに驚くが、アルファの助けを借りてザルモに挑戦し続ける。アキラは最終的に、アルファの指示に従って勝利を目指す決意を固め、激しい戦いを展開する。
ザルモがアキラの戦術変更に気づくも、それが自分にとって不利に働くことには気づかなかった。アキラはアルファの指示に従い、より精密にザルモの攻撃を避けつつ反撃する。結局、アキラは白い人型兵器の頭部を破壊し、ザルモに決定的なダメージを与えた。戦いの最終局面では、アキラがザルモを銃撃し、完全に戦闘不能にした。アキラはアルファのサポートを受けつつも、実質的には自力で勝利をおさめた。アルファはアキラのサポートに対する貢献度を約20%と評価し、アキラはその事実を受け入れながらも自分の成長を感じた。
第134話 八林診療所
アキラは襲撃後の倉庫へ向かい、シェリルと合流する。襲撃による被害の状況を確認し、負傷者の救助に協力する。特に重傷を負ったエリオには、アキラが持参した高価な回復薬を使用し、劇的な回復をもたらす。この行動でアキラは周囲から感謝される。その後、アキラとシェリルは負傷者の治療費の交渉のために診療所を訪れる。診療所の担当医であるヤツバヤシとの再会があり、アキラは簡単な診察を受ける。ヤツバヤシはアキラの体内に残留するナノマシンの数値が高いことに注目し、超人への道を示唆するが、アキラはそれを断る。最終的に、アキラとシェリルは診療所を後にし、倉庫へ戻る。途中、シェリルはアキラの回復薬の使用により多くの負傷者が助かったことを伝えるが、使用された緑色の回復薬に対する患者の不安も語られる。
アキラたちが診療所にいる間、シジマたちは襲撃者たちを尋問していた。シジマたちの厳しい尋問にも関わらず、襲撃者たちは余裕の態度を見せていた。彼らの態度はシジマを不安にさせ、さらに悪化させる。尋問中、襲撃者たちは自分たちがエゾントファミリーもしくはハーリアスからの指示で行動していることを示唆するが、その話は食い違っていた。この矛盾に気づいたシジマはますます混乱する。
その後、情報屋のヴィオラが登場し、襲撃者たちからの損害賠償金の換金を提案する。ヴィオラは手数料として請求額の半分を要求するが、シジマはそれを強欲だと拒否する。しかし、ヴィオラは都市の襲撃関係者の換金を他の換金屋が引き受けることはないと指摘し、その実情を突き付ける。シジマたちには他に選択肢がなく、ヴィオラに換金を依頼することを余儀なくされる。この事態は、シジマたちにとってさらなる衝撃となった。
第135話 換金
ヴィオラから、襲撃に都市が関与している可能性を指摘されたシジマは、襲撃者達の換金をヴィオラに依頼することに決める。ヴィオラは、襲撃者達だけでなく、人型兵器も含めた全ての関連物を高値で換金する計画を持ち出すが、シェリルは人型兵器を残すよう求める。ヴィオラはその人型兵器を非常に高く売れると主張するものの、シェリルとアキラはそれを証拠として残すことを選ぶ。アキラが戻ると、襲撃者達が連行される様子を目撃し、その後キャロルとの会話を通じて、借金とその危険性について議論する。キャロルとアキラは過去の経験を共有しており、その経験が彼らの関係に深い絆を生んでいることが示される。シェリルはアキラとキャロルの親しさに戸惑い、アキラの過去の経験とその影響について考えを巡らせる。
キャロルとヴィオラは、襲撃者達を乗せたトラックで荒野に向かい、怪しげな相手との取引を行う。この取引で、襲撃者達は生死問わず売り渡されることになるが、彼らは最終的にサイボーグの男によって全員殺害され、トラックは爆破される。この男は、襲撃者達が企業の犠牲になることを防ぐため、自らの手で彼らを殺害し、証拠を隠滅する。ヴィオラとキャロルはこの事態に関与しないことを決め、都市に戻る。
一方、シェリルはアキラへの依存と不安を抱えながら彼に支えられている。彼女はアキラが自分に対して何も求めないことに不安を感じ、その繋がりがいつか失われることを恐れている。アキラとキャロルの関係を見て、シェリルは自分の位置づけに対する不安を強く感じ、アキラに寄り添うことでその不安を紛らわせようとする。
第136話 ヤナギサワの用事
ミハゾノ街遺跡で発生した機械系モンスターの騒動は、クガマヤマ都市の努力により収束しつつあった。しかし、セランタルビル周辺は依然として厳重な封鎖が続けられている。この封鎖を担当しているのはドランカムとカツヤ達の部隊で、彼らはビルから出現する機械系モンスターを食い止めるために簡易拠点を建てて戦っていた。
ユミナは、新たに支給された総合支援強化服が自分に合わないのではないかと感じ、自己責任を問うていた。カツヤからは激励されるが、ユミナは自身が足を引っ張っていると感じており、カツヤの言葉が心に響いた。
ある日、クガマヤマ都市の幹部であるヤナギサワが部下を連れて簡易拠点を訪れ、セランタルビルへの突入を宣言する。ネリア、強力な義体の女性が簡易防壁を斬撃で破壊し、ヤナギサワは彼女と共にビル内へ進入する。ミズハはその場に残され、セランタルビル内で何が起きても自分の責任になるのではないかと心配する。
セランタルビルの簡易防壁がネリアによって破壊された後、ヤナギサワとネリアはビル内に入る。ビルの管理人格セランタルによって迎えられたが、ヤナギサワの60階への来訪予約は受理されていなかった。ヤナギサワは特別なカードを提示し、60階への訪問を許可される。
60階では、ヤナギサワが拡張現実を介して旧領域の接続者と交渉を試みるが、ネットワークへの接続が確認できないため、交渉は不成功に終わる。ヤナギサワは自分が旧領域接続者に戻るか他の接続者を介して認証を試みることに悩むが、どちらの方法もリスクが高いと判断し、撤退を決意する。
ネリアはこの一連の出来事を傍観し、ヤナギサワの失敗を楽しげに見ていたが、彼女は以前からヤナギサワを信用しておらず、旧領域の情報を彼には伝えていなかった。
第137話 猛毒入りの大金
アキラは、襲撃後にキャンピングカーでの生活を始め、倉庫周辺の警備を行っていた。その最中、人型兵器の残骸を見て、スラム街の変化に驚く。アルファもアキラのスラム街脱出を肯定する。ユミナとの再会は互いに気まずいものだったが、過去のお礼を言い合い、和やかな雰囲気になる。ユミナは倉庫の警備依頼を受けており、面談のために現地を訪れていた。ユミナは模擬戦で足を引っ張った後、一人で訓練を積むことを決め、この警備の仕事を選んだ。ユミナが依頼主との面談を決意する中、アキラは彼女を倉庫内の依頼主のもとへと案内した。
ユミナたちはドランカムの拠点へと向かい、トメジマとミズハの交渉が行われた。移動中、カツヤは倉庫で見た大金について話題にするが、ユミナは一人で依頼を受けることにカツヤが心配してきたことを問いただす。カツヤは心配していたことを認め、ユミナはそれに対して感謝しつつも、もう少し考えて行動するようアドバイスする。交渉では、トメジマが予算の問題を理由に難色を示す一方で、ミズハは警備強化の必要性を訴える。トメジマは実際にはアキラ一人で人型兵器を撃破した映像を見せ、その報酬が高額であることを説明する。最終的に、ミズハが提案した打開策にトメジマが同意し、前向きな交渉が続けられた。
第138話 数と質
早朝、キャンピングカーで眠っていたアキラが目を覚ますと、外に出たところでユミナから携帯コーヒーを受け取る。二人は軽く会話を交わし、ユミナはアキラとの友好を深めることを目的としていた。一方で、シェリルは自室でアキラとユミナが親しげに会話する様子を端末で見て溜め息をついていた。シェリルは理性的にはユミナを雇うことの利点を理解しつつも、感情的にはアキラとユミナの仲の良さに苦しんでいた。
トメジマとミズハの交渉により、ドランカムからユミナのみを雇うことになり、費用は大幅に抑えられた。この状況はシェリルにとっては理性的には受け入れがたいものの、感情的にはアキラとの関係を悪化させないためにも受け入れざるを得ない状況だった。
一方、ハーリアスの幹部たちは、アキラが人型兵器と戦う動画を見て、その実力に驚きを隠せなかった。その中で、ハーリアスのボスであるドーラムは、エゾントファミリーとの抗争に向けてより多くの人型兵器を購入する計画を立てる。彼は八島重鉄の営業から、即金での支払いを条件に、人型兵器の購入を決定する。ドーラムは八島重鉄との取引後、幹部たちに対して、抗争に必要な資金をどんな手段を使ってでも集めるよう厳命する。
このエピソードは、アキラとユミナの関係、シェリルの葛藤、そしてハーリアスとエゾントファミリーとの抗争に向けた準備という三つの異なる視点を通して、キャラクターたちの心情や抗争前の緊張感を描いている。
エゾントファミリーのボス、ロゲルトは吉岡重工の営業ハラジと話し合い、人型兵器の納入を巡って交渉を行っていた。全額前払いの要求に対し、ロゲルトは不満を示すが、ハーリアスが八島重鉄から大量の人型兵器を調達している情報を知り、納得するしかなかった。ロゲルトは入金を済ませ、武装も含めた購入を決定する。この取引を仲介したヴィオラは、ロゲルトに迅速な支払いを勧めており、ハーリアスとの抗争における準備の大切さを示唆していた。
一方、民間警備会社の警備兵は、スラム街の異常な状況に対して「異常無し」と報告していたが、この判断に疑問を感じていた。彼らの主な任務はモンスターの出現に備えることであり、人型兵器の暴走には対処しない方針であった。この状況に対する疑問や不満はあるものの、都市側の都合や方針に従うしかない現実が描かれている。
シェリルがエゾントファミリーとハーリアスの幹部二人から同時に要求され、自分たちの側につくことを迫られている。シェリルはこの二大徒党から中立の立場を保ってきたが、アキラの実力が明らかになったことで、両組織はシェリルに対して強硬な態度を取るようになった。シェリルにとって、どちらの側につくか選択することは、選ばなかった方を敵に回し、選んだ側にも利用されるリスクが高い。特に、アキラとの関係を考慮すると、どちらを選んでもアキラに見放される恐れがあったため、シェリルは非常に難しい立場に置かれていた。この状況で、ヴィオラが登場し、幹部たちを巧みに誘導して退場させる。これにより、シェリルはヴィオラからの「良い話」を聞くことになるが、この選択がどのような影響をもたらすかは未知数である。
第139話 準備完了
シェリルはヴィオラと共に倉庫に向かい、トメジマにドランカムとの交渉を依頼している。ヴィオラは二大徒党の抗争が3日以内に始まり、勝敗が決まることでシェリルたちへの圧力が弱まると説明した。これに基づき、シェリルは倉庫警備のためにカツヤたちを雇う計画を立てているが、その資金はアキラから投資されたものであるため、アキラに説明し説得する必要があった。アキラはこの計画に同意し、シェリルはヴィオラの協力に感謝しつつも、その真意が掴めずにいる。一方、アキラは二大徒党の構成員たちが自分を侮っていると感じて不機嫌だったが、シェリルの慰めによって気持ちが和らぐ。シェリルはアキラのキャンピングカーを使う許可を得て、騒ぎが収まるまで倉庫に滞在することにする。
翌朝、シェリルはアキラ、ユミナとともに、ドランカムの部隊の到着を待っていた。アキラはドランカムの車両が来た後、一度倉庫を離れることにした。カツヤ達を雇ったため、アキラは倉庫に常駐する必要がなくなり、自宅で休んだ後、注文した銃を受け取りに行く計画であった。シェリルとユミナは、アキラとカツヤが会わないようにすることで、二人の間のトラブルを避けようと協力することになった。
アキラが自宅に戻り、注文していたSSB複合銃を受け取るシーンでは、シズカとの間でアキラの成長と彼女からの期待が語られた。アキラはハンターとして高度な装備を使うレベルに達しているが、シズカはアキラに無事を願い、彼が常連となることを望んでいる。アキラはこの期待に応えようと、今後の活動での安全を心掛けることを約束した。
一方、アルファはアキラの反応を試すために、自身の外見を変えるなどして彼を驚かせた。これによってアキラのアルファに対する感情や彼女に対する反応が探られ、二人の間の信頼や関係の深さが示されている。アキラはアルファの変化に動揺を隠せなかったが、彼女の意図を理解し、その場を受け入れることにした。
アキラが倉庫に戻る際、ドランカムの部隊に道を遮られ、不快な視線を受ける。倉庫に戻ったアキラをシェリルが出迎え、アキラの持つ1億オーラムのSSB複合銃に驚く。アキラはその銃を大物殺し用と説明し、シェリルはその装備の見た目の分かりやすさが敵の戦意を挫くのに役立つと褒める。アキラはドランカムの部隊から受けた視線を心配し、シェリルはカツヤ派のハンター達と調整することを約束する。
一方、キャロルは副業の客としてハーリアスの幹部とその部下達を迎えるが、彼らはキャロルとヴィオラを殺すために来ていた。キャロルは身体強化拡張者であり、裸のままでも高度な身体能力で男達を次々に倒す。キャロルは強化服を着用する理由として、身体への負荷を下げることを挙げ、結局ヴィオラと共に事件の後始末を進める。
第140話 大抗争開始
夜明け前、アキラはアルファに起こされ、人型兵器が接近していることを知らされる。アキラはシェリルを起こし、状況に備えるよう告げる。シェリルは他の人に警戒を促し、アキラは新しい武装で人型兵器に対峙する準備をする。カツヤも部隊に警告し、迎撃の準備を命じる。カツヤ派の部隊は総合支援システムのもと、敵を迎撃するが、敵の数と強さに苦戦し、防衛線を下げる決断を下す。一方、ユミナは倉庫に残り、カツヤの指示に従い、シェリル達の避難を準備する。ユミナはシェリルに襲撃の可能性について尋ね、シェリルは抑止力としてカツヤ達を雇ったことを説明する。戦況は厳しいが、倉庫側の簡易防壁のおかげでまだ持ち堪えている。ユミナは情報収集機器を通じて戦況を確認し、アキラが一人で人型兵器と戦っている様子を見つけ、驚く。
アキラはスラム街を駆け、強化服を駆使して人型兵器「白兎」を撃破する。1億オーラムの銃、SSB複合銃とA4WM自動擲弾銃を用い、敵機を効率良く倒していく。しかし、倉庫が破壊されると白い機体たちは撤退し、黒い新手の機体が登場する。この黒い機体はエゾントファミリーのもので、白い機体達と戦闘を始め、アキラは状況を理解しながらも、戦闘の中で自己の位置を再確認する。
シェリル達は倉庫の瓦礫を前に立て直しを誓うが、アキラは自らの力を過小評価されたことに苛立ち、復讐の意志を固める。ヴィオラは、敵の真の目的が遺物の奪取ではなく、敵に遺物を利用させないことにあったと説明する。アキラはこの説明を受け、自分が侮られ続ける状況に対する殺意を抱く。
アキラの殺気に気付いた周囲の人々は、恐怖や緊張を感じていた。特にシェリルはアキラの変化に怯えるが、その殺気が自分に向けられたものではないことを理解していた。アキラは突然、自分に用事ができたと言い残し、周囲に振りまかれた殺気を消し去りながら立ち去る。この状況から解放された周囲の人々は一時の安堵を感じるが、カツヤはアキラに対して不満を漏らす。ユミナは、警備の任務に集中するようカツヤを促す。一方、シェリルはアキラに対する自分の愛情や依存が、恐怖を感じないための防御反応ではないかという不安を感じていた。
第141話 優先順位
スラム街を飛ぶ黒い人型兵器「黒狼」が、白い機体を次々に破壊していく。黒狼を操るロゲルトは、高い技量を持ち、敵機を容易に撃破するが、その一方で自身も苦戦を認めていた。エゾントファミリーのロゲルトとハーリアスのボス、ドーラムは共に劣勢を自認しつつも、勝利を目指していた。戦いは均衡状態にあったが、予想外の要素としてアキラが白い機体を撃破し、三つ巴の戦いが始まる。アキラはロゲルトにもドーラムにも死を宣告し、二大徒党の両方を敵に回すことになった。ロゲルトとアキラの間で激しい戦いが展開され、ハーリアス側も戦闘を再開することになった。
スラム街の戦闘において、アキラは極端な劣勢の中、エゾントファミリーとハーリアスの双方と戦っていた。彼の目的は単なる勝利ではなく、多数の敵を倒すことにあった。アキラはその激情に駆り立てられ、必死に戦いを挑んでいたが、敵の強力な攻撃によって一時は被弾し、倒壊した建物の瓦礫に埋もれる。しかし、アキラは生き延び、アルファのサポートにより立ち直り、戦闘を再開する。その過程で、キャロルから対力場装甲弾を受け取り、アルファと共に再度敵に立ち向かうことを決意する。一方、エゾントファミリーのロゲルトはアキラに対する攻撃を続けるも、アキラの反撃により自身の機体が大きな損傷を受ける。アキラはロゲルトとドーラムの部隊を同時に相手に戦いを挑み、ロゲルトが最終手段として小型ミサイルを使用し、スラム街を更なる破壊へと導く。
ハーリアス側は、戦闘の激化を受けてドーラムの指示で戦術を変更し、一時的に距離を取り、エゾントファミリーとアキラを潰し合わせる方針に転換する。この戦い方は、ハーリアスの数による戦いの強みを活かし、徒党の威信への影響も最小限に抑えることができる。一方、エゾントファミリーのロゲルトはアキラの予想外の強さに対処するため、自らが操縦する黒い機体で直接戦いを挑む。小型ミサイルの攻撃後、ロゲルトはアキラの生存を確認し、彼に勧誘の意を示すが、アキラはそれを断る。最終的に、ロゲルトはアキラを優先的に排除することを宣言し、アキラもその挑戦を受ける構えを見せる。ドーラムとロゲルトの対照的な戦術や組織運営の方法が、この戦いの行方に大きな影響を与えている。
第142話 満足に欠ける決着
黒い機体の操縦者ロゲルトは、銃器を全て捨て、チェーンソー型の近接武装のみを携えてアキラに直接攻撃を仕掛ける。アキラは必死にその攻撃を回避しつつ、反撃を試みるが、黒い機体の強固な力場装甲に阻まれる。ロゲルトはアキラを殺すことに特化した戦法を選び、アキラもロゲルトの猛攻を躱しながら戦闘を続ける。エネルギー消費を抑えるため、ロゲルトは短期決戦を選択し、アキラに対する攻撃を一層激化させる。戦闘中、ロゲルトの機体はエネルギー切れの危機に陥り、彼は一時撤退しエネルギー補給を試みるが、アキラはそれを阻止しようとする。ロゲルトは機体から降りて直接アキラに挑む。アキラは、ロゲルトの撃破か、ロゲルトによる SSB複合銃の破壊、または黒い機体のエネルギー補充完了を阻止することが勝利条件となり、両者は最後の勝負に臨む。
ドーラムは自分の策略が上手く進んでいると満足していたが、アキラとロゲルトの戦闘は激化し、ロゲルトは加速剤を使っていたが、その効果が切れ、アキラに敗れる。その後、ネリアが突如現れ、ロゲルトを殺害し、エゾントファミリーとハーリアスが壊滅することを宣言し、アキラに退くよう頼む。アキラはネリアの要請を受け入れ、戦場を去ることを決める。その後、ネリアは移動式機体整備場であるトレーラーでエネルギー補充作業を行い、再び戦闘が始まることを示唆する。
第143話 みっともない強さ
シェリルはアキラの帰りを心配しつつ、彼が持ち帰るかもしれない殺気に怯えていた。彼女はアキラが変わらず優しい笑顔で帰ってくることを願っていたが、アキラは戦いの疲れからか、普段よりも素っ気ない態度を示す。シジマはアキラにエゾントファミリーとハーリアスの両方に喧嘩を売ったことについて問い詰めるが、アキラは彼らが今日中に壊滅すると断言する。その情報がどこから来たのかは言えないが、ヴィオラからではないことは確かだと話す。シジマは半信半疑であり、もしヴィオラが関与しているならば、彼女の企みに巻き込まれている可能性を懸念する。アキラはヴィオラに直接話を聞くことを決め、再び強化服を着て外出する準備をする。
アキラたちはヴィオラとの会合のため、都市の下位区画にあるビルへ向かう。ビルの前でキャロルに迎えられ、アキラたちは中へと案内される。ビル内はハーリアスの兵士の死体で散乱していたが、アキラたちはヴィオラの待つ事務室へ進む。ヴィオラに対し、エゾントファミリーとハーリアスの壊滅が自身の仕業かと問うと、ヴィオラはそれが噓ではないと返答し、アキラたちを巻き込んだことを認める。ヴィオラは死後報復依頼プログラムを使っていることを明かし、自分を殺せばアキラも賞金首になると警告する。キャロルはアキラとの直接対決を避け、ヴィオラはアキラの遺物販売店の経営を手伝うことで自分を生かしておく価値を示すことを提案する。アキラはこの提案を受け入れ、ヴィオラを生かすことにする。キャロルはヴィオラを病院に連れて行き、この異例の取引は一区切りとなる。
ヴィオラとの会話を終えたアキラたちは、一度倉庫に立ち寄った後、シェリルたちの拠点に戻る。シェリルとアキラが無事であることに、拠点の子供たちは安堵する。アキラは再び元気のなさを見せ、シェリルは彼が疲れていることに気づき、休むことを勧める。アキラはその日のうちに帰ることを提案し、シェリルはアキラがいるだけで安心すると伝える。シェリルの言葉はアキラにとって心強く、自分の強さが他人の助けになっていることを知り、気持ちが楽になる。シェリルはアキラの気持ちが楽になったことを喜び、彼女の抱きつく行為は恋人同士のように見えるが、それは防御反応ではなく、純粋な気持ちからのものだと自覚している。
第144話 ハンター稼業再開
クガマヤマ都市の画策による大抗争を生き延びたヴィオラは、アキラによって撃たれたものの、高額な治療により完全に回復している。彼女の病室には、吉岡重工と八島重鉄の営業担当者が、彼女に対して不満を述べに来ていた。これらの企業は、都市の防衛隊への人型兵器の販売を画策しており、大抗争をそのプレゼンテーションの場として利用していたが、アキラの介入によりその計画は台無しになった。
ヴィオラは自身が依頼された仕事には成功したと主張し、都市の目的である二大徒党の壊滅とスラム街からの集金に成功したことを強調する。一方で、八島重鉄と吉岡重工は、アキラによる介入が彼女の仕業であると疑っていた。
ヴィオラは、自分がアキラと結託していた訳ではなく、実際には彼に殺されかけた事実を示し、自身の無実を訴える。彼女はまた、アキラが八島重鉄と吉岡重工の人型兵器を撃破したことは、その機体の性能が都市防衛隊への納入に不適切であることを示すものだと指摘する。
結局、八島重鉄はヴィオラの主張を受け入れ、彼女が提出する報告書に期待を寄せることとなる。一方、吉岡重工の営業担当者はヴィオラからの更なる工作を期待していたが、彼女はそれを拒否する。
この一連のやり取りの中で、ヴィオラとキャロルの間には、共謀者としての信頼関係が示されている。ヴィオラの生き残りは、彼女自身の策略とキャロルとの関係によるものであることが強調されている。
アキラはシェリルたちの拠点の屋上から周囲を警備しており、大抗争の最中であるが、敵の襲撃はない。アキラが警備に出るのは、彼がシェリルたちの後ろ盾であることを示すためである。シェリルは情報端末でカツラギと連絡を取り、倉庫から遺物を回収する作業を調整していた。カツラギは二大徒党が壊滅するという情報の真偽を確かめようとするが、シェリルはヴィオラに連絡することを提案する。カツラギはシェリルに感心し、彼女のビジネスパートナーとしての地位を再評価する。
10日後、アキラはハンターとしての活動を再開し、荒野をバイクで駆ける。このバイクはカツラギから購入したもので、アキラがシェリルに投資した資金の返済として受け取った。カツラギはアキラの実力に見合うバイクを用意し、アキラはそのバイクでクズスハラ街遺跡の奥部を目指す。アキラの冒険は、アルファのサポートを前提に、まだまだ続いていく。
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