小説【歴悪】「歴史に残る悪女になるぞ 3」感想・ネタバレ

小説【歴悪】「歴史に残る悪女になるぞ 3」感想・ネタバレ

どんな本?

歴史に残る悪女になるぞ 3 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!』は、大木戸いずみ氏によるライトノベルシリーズの第3巻である。本作は、悪役令嬢への転生を望んでいた主人公が、実際にその立場となり、悪女としての道を歩む物語である。

第3巻では、主人公アリシアがデュークから突然記憶を消されるという事態に直面する。さらに、聖女リズへのこれまでの振る舞いを糾弾され、国外追放の処分を受けることとなる。しかし、アリシア自身はこれを「悪女として最高の展開」と捉え、男装してラヴァール国へ向かう。そこで彼女は新たな出会いや試練を経験し、物語は進展していく。

本作は、カドカワビーズログ文庫より2021年9月15日に発売された。
メディアミックス展開も行われており、保志あかり氏によるコミカライズ版が『B’s-LOG COMIC』で連載中である。また、2024年10月からはテレビアニメ化もされている。

読んだ本のタイトル

歴史に残る悪女になるぞ 3 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!
著者:大木戸 いずみ 氏
イラスト:早瀬ジュン 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889458714 小説【歴悪】「歴史に残る悪女になるぞ 3」感想・ネタバレBookliveで購入gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説【歴悪】「歴史に残る悪女になるぞ 3」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890540720 小説【歴悪】「歴史に残る悪女になるぞ 3」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

デュークから突然アリシアの記憶だけが消えた。
今まであんなに情熱的な目を向けていたのに……。
記憶を奪った犯人の疑いをかけられたアリシアは、さらに聖女リズへのこれまでの振る舞いを糾弾され、とうとう国外追放されてしまう! 
しかし当の本人は“悪女として最高の展開”と大興奮!! 
令嬢だとバレないよう男装してラヴァール国へ向かうが!?

歴史に残る悪女になるぞ 3 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!

感想

国外追放という新たな幕開け

アリシアは、デュークの記憶から自分の存在が消えたことで、冤罪を着せられ国外追放された。
追放先であるラヴァール国へ向かう道中、彼女は悪女としての新たな展開を楽しむ姿勢を崩さなかった。
この姿勢が彼女らしいと思いながらも、あまりにも理不尽な状況に心配する。

闘技場での試練と絆の形成

ラヴァール国では、アリシアがまず闘技場で試されることとなった。
過酷な環境の中で、彼女は毒の沼地を利用しつつ、巨大なライオンを従えた。
この場面では、持ち前の機転と強さが発揮され、観る者を驚嘆させた。
は?(; ・`д・´)

第二王子ヴィクターとの出会い

男装したアリシアは、ラヴァール国の第二王子ヴィクターに仕えることになった。
最初は彼の気まぐれに振り回されているようでありながら、最終的にはアリシアがヴィクターをも振り回してしまうという展開に発展した。
この関係性が物語を一層面白くしているが、ヴィクターが間男に見えてしまっている。

デュークの思惑と別れの余韻

一方で、アリシアを送り出したデュークは、彼女のいない日常に戸惑いながら、彼女を支えてきた叔父ウィルを迎え入れるために奔走していた。
彼の中で芽生えるアリシアへの思いと、やってる事実のギャップにウィル爺さんに喝を入れて貰ったら良いのにと思ってしまった。

物語の伏線と次巻への期待

本巻では、アリシアの国外追放という大きな転機が描かれた。
その背景には複雑な伏線が張り巡らされており、次巻でこれらがどう回収されるかが期待される。
さらに、彼女が次にどのような手段で悪女としての地位を築いていくのか、興味をそそる内容であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

アニメ

PV

歴史に残る悪女になるぞ

OP

歴史に残る悪女になるぞ

ED

歴史に残る悪女になるぞ

備忘録

現在十五歳  ウィリアムズ家長女  アリシア

デュークの言葉とアリシアの決意

ベッドの上で、デュークの「いつか必ず俺のものにする」という言葉が何度も蘇り、アリシアは動悸と熱を覚えていた。彼の真剣な感情に向き合うべきだと考えながらも、悪女としての使命を果たす覚悟を新たにしていた。同時に、ラヴァール国についての情報収集の必要性を感じ、次の日に向けた準備を進めることを決意した。

ラヴァール国への疑問とジルとの対話

学園の廊下を歩きながら、アリシアはジルにラヴァール国の魔法について質問した。ジルは「魔法を使える者はデュルキス国が特殊」と答え、ラヴァール国では魔法使いが極めて稀な存在である可能性を示唆した。アリシアはさらに疑問を深め、ラヴァール国の内情を探る必要性を感じていた。

デュークの異変

歩いていたアリシアとジルの前にデュークが現れた。しかし、彼はアリシアに冷たく接し、彼女の存在をまるで忘れたかのような態度を見せた。デュークの態度に困惑するアリシアとジルは、彼が何者かによって記憶を改ざんされたのではないかと推測し、原因を探る必要性を感じた。

新たな悪女としての印象作り

デュークに再び自己紹介をしたアリシアは、悪女らしい振る舞いを見せようと挑発的な言葉を投げかけた。しかし、デュークの反応は冷たく、彼女はこの状況を利用して新たな悪女像を築こうと考えた。一方で、彼の記憶喪失の原因に疑問を抱き、犯人の特定に向けて行動を起こすことを決めた。

デュークの記憶喪失と容疑者としての疑惑

翌朝、父公爵からデュークがアリシアを記憶喪失の犯人として疑っていることを告げられた。デュークが記憶を失った原因として、彼女の魔法力が指摘されていた。アリシアは無実を証明する決意を固め、堂々と衛兵に連れられていく覚悟を示した。

冤罪に立ち向かう決意

アリシアは父親の心配をよそに、「私は強い」と自身を鼓舞しながら出発した。悪女としての矜持を胸に、冤罪を晴らし、真実を明らかにするため、前を向いて進むことを決意していた。

衛兵の忠誠とアリシアの移送

アリシアは城の衛兵に連行され、檻のついた馬車に乗せられた。衛兵達は、彼女が容疑者扱いされる状況に謝罪しつつも、「何があっても味方でいる」という言葉を告げた。その背景には、何者かが彼女を守るよう命じた存在があった。移送中、道中の町の人々から好奇の目で見られ、さまざまな噂や誤解が飛び交ったが、アリシアは堂々とした姿勢を崩さなかった。

王城への到着と尋問の準備

王城に着いたアリシアは、その広大さを皮肉りつつも、移送の不条理さを楽しむ余裕を見せた。城内では町の人々が集まり、アリシアに対する尋問が行われる手筈となっていた。デュークの指揮で始まるこの場に、アリシアは悪女としての振る舞いを貫こうと決意を固めた。

町の人々の糾弾とアリシアの冷静な応対

町の人々は、アリシアが聖女リズを虐めているとの噂を元に、激しい非難を浴びせた。彼女の貴族としての態度や振る舞いに対する憤りが次々と噴出したが、アリシアはそれを受け流しつつ、冷静に答えた。その態度は、悪女としての自覚と矜持を示すものだった。

ジルの登場とアリシアへの支援

尋問が進む中、ジルが現れ、町の人々やデュークに対し怒りを露わにした。彼はアリシアを擁護し、「もっと自分を利用して良い」と告げるなど、彼女への信頼を示した。その言葉にアリシアは感謝を述べつつも、状況を逆手に取り、自ら国外追放を望む宣言を行った。

デュークの策略とアリシアの理解

デュークはアリシアの望みに応じ、国外追放を決定した。しかし、彼の耳元での言葉や笑みから、全てが彼の計略であることが明らかになった。アリシアの国外への希望を叶えるため、デュークは自ら記憶喪失を演じ、民衆を巻き込むことで追放の正当性を作り上げたのである。

国外追放への覚悟と新たな展望

アリシアはデュークの策略に気付きながらも、それを受け入れ、堂々と部屋を後にした。国外追放という結果を手にし、新たな冒険の幕開けを迎える彼女は、自身の成長と悪女としての矜持を胸に、未来への期待を秘めていた。

現在十一歳  ジル

デュークの策略と国外追放の決定

デュークがアリシアを国外追放とした決断に対し、ジルは憤りを覚えた。だが、アリシアが部屋を出る際に彼女がデュークの耳元での囁きに微笑んだ瞬間、記憶喪失は策略であると気づいた。ジルはその裏にアリシアのラヴァール国への願望を叶えるための計画があったと察した。

リズとの対峙と意見の衝突

アリシアが城を出る直前、聖女リズが現れ、彼女の国外追放を止めると提案した。リズはアリシアを友人だと主張し、助ける意志を示したが、アリシアは冷たく退けた。リズの善意に見せかけたエゴを突き、欲と野心に対する持論を展開したアリシアの姿に周囲は圧倒された。

兄弟たちの沈黙とリズの嫉妬

その場にいた兄たちは何も言えず、ただ事態を見守った。一方でリズはアリシアへの嫉妬を露わにし、彼女を見送る表情に妬みが滲んでいた。アリシアはリズに別れの挨拶を述べ、自分の信念を曲げることなく、国外追放の道を選んだ。

ジルの感情とアリシアの別れ

ジルはアリシアに対して「行かないでほしい」と涙ながらに訴えたが、アリシアはそれを静かに受け止め、彼を「最高の宝物」と称えた。最後に彼女はジルを抱きしめて別れを告げ、毅然とした態度で馬車に乗り込んだ。その後、アリシアを乗せた馬車は静かに城を後にし、ジルや兄たち、そしてリズはそれぞれの思いを抱えながら馬車を見送った。

現在十五歳  ウィリアムズ家長女  アリシア

デュークとの別れと国外追放の始まり

馬車の中でアリシアはラヴァール国への期待に胸を膨らませていたが、馬車が急停止したことで思考を中断された。馬車の扉を開けたのは息を切らしながら現れたデュークだった。彼は突然アリシアにキスをし、彼女の思考を完全に停止させた後、国外追放の計画が彼女の望みを叶えるためのものだったと説明した。

デュークの真意と再びのキス

デュークは記憶喪失が演技であり、彼女の望みを叶えるための策略だったと明かした。彼の力強い言葉と優しさにアリシアは動揺しながらも、自分を貫く姿勢を見せ、彼を挑発するように妖艶な笑みを浮かべた。その挑発に応じたデュークは再び彼女にキスをし、「さすが俺の惚れた女だ」と彼女を称賛した。

旅立ちの決意とデュークの言葉

デュークは「ジルのことは任せろ」と言い、アリシアを送り出す覚悟を見せた。彼女は彼の真剣な眼差しを受け止めつつも、ラヴァール国での目標を再確認し、他の誰にも心を奪われないと宣言した。馬車に戻ったアリシアは、デュークとの別れが一つの区切りであることを悟りながら、新たな地への旅立ちに希望を抱いた。

国外追放に向けた準備と変装

アリシアは馬車に揺られながら、ラヴァール国での行動計画を練っていた。貴族であることを隠すため、彼女は男の子に変装することを決意し、衛兵にボロ布の服や泥、炭を手に入れてもらった。馬車の中で身支度を整え、泥や炭で自らを汚し、見事に貧しい少年の姿へと変貌した。

国境検問所での遭遇

馬車が国境の検問所に到着すると、衛兵は彼女の変装ぶりに驚きを隠せなかった。検問所の建物では他の国外追放者たちと合流し、アリシアは自分が特別ではないことに気づいた。追放者たちは殺人などの重大な罪を犯した者たちで、彼女とは異なる背景を持つ者ばかりだった。

追放者との交流

アリシアは追放者たちと会話を始め、自分を「リア」という名前の少年と偽った。追放者たちはそれぞれ重い過去を抱えており、特にフィルという大柄な男は、もう会えない娘のことを語った。アリシアは彼らの話を聞きながらも、ラヴァール国での計画を再び考え始めた。

馬車での移動と新たな決意

再び馬車が動き出し、アリシアは移動中の御者の会話から自分の追放の噂が広まっていることを知った。貴族として特別扱いされるとの推測を耳にしつつも、彼女は他の追放者と同じ扱いを受ける覚悟を決めていた。そして、ラヴァール国での真の目的を遂行するため、忍び込む方法を模索しつつ体力を温存することにした。

闘技場への到着

馬車が到着し、アリシアたちは闘技場の地下に降ろされた。周囲には異臭が漂い、暗く不衛生な環境であった。現れた眼鏡の支配人が、ここがラヴァール国の闘技場であることを告げ、追放者たちが観客の娯楽として戦うことを説明した。フィルは翌日の戦いに選ばれ、飢えたライオンとの戦いが決まった。彼の動揺に対し、支配人は冷たく突き放す態度を取った。

牢での緊張感

追放者たちはそれぞれ別の牢に入れられ、フィルは特別な部屋に隔離された。残された者たちは彼の生存の可能性について話し合ったが、ミルは絶望的な様子を見せた。一方、アリシアは自分の目の特性を活かし、観察によって他の追放者の強さを推測していた。坊主頭の男が訓練を受けた暗殺者である可能性を感じ取った。

アリシアの申し出と支配人の興味

アリシアは支配人にフィルとの代わりを申し出た。最初は子どもという理由で却下されたが、彼女の視覚の特殊性に興味を持った支配人が最終的に承諾した。彼女は自らを追い込むことで闘技場の観客と支配人を驚かせる計画を練りつつ、牢内で準備を進めた。

闘技場での登場

翌日、アリシアは観客席の騒がしさの中で闘技場に現れた。予想外の少年の姿に観客は驚き、一時的に静まり返ったが、その後再び野次や嘲笑が飛び交った。アリシアは布越しの魔法で観客席を観察し、国王や王妃、王子たちの姿を確認した。彼女は彼らの注目を集めることを目的にしつつ、ライオンとの対決に集中した。

ライオンとの戦いの始まり

ライオンの柵が開き、獣の鋭い視線がアリシアを捉えた。会場内の緊張感が高まる中、アリシアは短剣を手に闘技に臨む覚悟を固めた。観客の歓声がさらに激しくなる中、彼女は目の前の獣に意識を集中し、次の行動を計画していた。

現在十一歳  ジル

アリシアを思うデュークの決意

デュークは窓の外を眺めながら、アリシアの国外追放を選択した自らの決断を振り返っていた。彼の独占欲の強さにもかかわらず、彼女の自由を尊重する姿勢は王子としての器の大きさを示していた。ジルとの会話で、デュークは「蝶は飛ぶものだ」と述べ、アリシアがどれだけ美しく成長しても自分のもとに戻ってくると確信していた。

アリシアの特異な才能とデュークの計画

ジルは、アリシアの特異な才能を改めて認識した。彼女は相手の本質を見抜き、交渉を優位に進める能力を持っている。デュークもまた彼女の天性を理解しつつ、彼女の成長を信じていた。さらにデュークは、祖父シーカー・ウィルをロアナ村から連れ戻す計画を明かした。彼の政策に着目し、現状の国をより良くするために必要な存在だと考えていた。

キャザー・リズへの疑念

ジルとデュークは、キャザー・リズの能力についても議論を交わした。彼女の影響でアルバートたちが変わってしまったことに疑念を抱き、彼女の行動の背景を調べる必要性を感じていた。リズを嫌う派閥に属するデュークたちは、彼女の真意を明らかにすることで状況を変えられる可能性を探っていた。

デュークの幼少期とアリシアの逸話

ジルはデュークから、アリシアの幼少期の逸話を聞いた。彼女は7歳の頃、アルバートの剣を抜き取り、落下するリンゴを正確に切ったという驚くべき出来事を成し遂げていた。この話から、アリシアの非凡さが改めて浮き彫りとなった。ジルは彼女の努力と才能に感嘆しつつ、彼女の存在がどれほど特別であるかを再認識した。

現在十五歳  ウィリアムズ家長女  アリシア

ライオンとの対決と国王の関心

ライオンは慎重に距離を詰め、観衆の緊張感が高まる中でアリシアと向かい合った。彼女は挑発して相手を動かし、自らの敏捷性を活かして攻撃を回避しつつ、短剣で前足を負傷させた。ライオンが倒れ、観衆の歓声が沸き起こる中、アリシアは彼の目に悲しみを見つけた。ライオンが人間に囚われ薬物で操られていた記憶が、アリシアに伝わる。国王が彼女の行動に関心を示し、ライオンを殺す代わりに従える提案を許可した。

ライオンの救出と変貌

ライオンを小屋に運んだアリシアは、魔法で治癒を施した。その結果、ライオンは黒い毛並みと金色の瞳を持つ猛々しい姿に変わった。アリシアは「ライ」と名付けて彼を従え、新たな同伴者として絆を深めた。黒い姿から元の毛色に戻る力を持つ彼に、アリシアは驚きと感動を抱いた。

ヴィクター王子との初対面

国王に気に入られたアリシアは、第二王子ヴィクターのもとに案内された。彼は初対面からアリシアを厳しく試すような態度を取り、彼女の目隠しや男装に疑念を抱いた。王子の追及により、アリシアの女である可能性が指摘されたが、彼女は挑発的な態度で応じた。ヴィクターは不本意ながらもアリシアの能力を認め、彼女が宮廷で異端児として注意を引く存在になると警告した。

王宮での新たな生活の始まり

ヴィクターはアリシアを風呂場に案内し、不満をこぼしながらも手を差し伸べた。彼の言動には不機嫌さとともに隠れた優しさが感じられた。アリシアは新たな環境に身を置き、密偵としての役割を遂行しつつ、周囲の人物たちと関わりを深めていくことを決意した。

風呂場での正体発覚

ヴィクター王子に案内され、大浴場で体を清めたアリシアは、目隠しの布が紛失していることに気付いた。布を手にするヴィクターに詰め寄られ、彼女は思わず蹴りで反撃したが、咄嗟の行動で顔を晒してしまう。黄金の瞳を見たヴィクターは驚愕しつつも、彼女の正体に興味を持った。アリシアは自分が女であることを認め、ヴィクターに本名を明かしたが、貴族出身であることはぼかした。ヴィクターは彼女を「退屈しのぎ」として利用すると告げ、アリシアの身元についての秘密を守ると約束した。

兵士としての初訓練と信頼の獲得

アリシアは王子直属の特別部隊に配属され、マリウス隊長のもとで早速厳しい訓練に参加した。入隊直後の試練として課された腕立て伏せ五百回を、彼女は軽々とこなし、兵士たちの驚きと賞賛を得た。隊長や副隊長からも一目置かれ、チームの一員としての信頼を築いた。訓練は過酷であったが、アリシアは自らを奮い立たせ、順応していく決意を固めた。

塔への興味と謎

翌朝、アリシアは王宮で最も高い塔に足を向けた。ヴィクターが「近づくな」と警告した塔は螺旋階段が続き、頂上への到達は困難を極めた。途中で引き返した彼女は兵士ジェイコブと会話し、塔に関する噂を耳にした。登り切れば褒美が与えられるという話に興味を抱きつつも、この国に魔法を使える人間がいないことを確信した。塔の存在や謎めいた雰囲気により、アリシアの探求心はますます刺激された。

ヴィクターの指示と監視の発覚

ヴィクターは部下に「リア」を監視し、情報を集めるよう命じていた。彼はリアの異端性を強調し、その背後に何かが隠されていると感じていた。一方、リアは偶然その会話を盗み聞きし、自分が監視対象となっていることを知る。監視する側からされる側になった状況に複雑な思いを抱きつつも、自分の動きを見極めるべきだと冷静に判断していた。

部屋からの脱出と謎の人物

リアはヴィクターの部屋に侵入しようとしたが、中から足音が聞こえたため、窓から脱出し木の枝に身を隠した。そこに現れたのはオールバックの黒髪に紫色の瞳を持つ年配の男性であった。その姿を見たリアは、彼が自分の祖父ではないかと推測したが確証を得られず、さらに調査が必要であると考えた。

祖父の可能性と国外追放者の謎

リアはこの男性が、自身の祖父である可能性に思いを巡らせた。もし彼が国外追放された三人の一人であるなら、残る二人を見つけ出し、この国での立場を明確にすることが重要であると結論づけた。疑念を胸に抱えながら、リアはさらなる行動を起こす決意を固めた。

現在十一歳  ジル

ロアナ村での決意と出発

デュークの計画とジルの訪問

デュークは「じっちゃん」をロアナ村から出す計画を立てていたが、先に村を訪れたのはジルであった。ジルはじっちゃんにデュークの意図を伝えたが、村の住人であるネイトやレベッカが反発し、村の未来を懸念していた。ジルはアリシアがこの村に与えた恩恵を説き、じっちゃんに決断を促した。じっちゃんはその話を聞いて覚悟を決め、村を出る決意を固めた。

デュークとジルの協力

ジルは学園でデュークと合流し、じっちゃんの決意を伝えた。デュークはホッとした表情を見せつつも、じっちゃんの自由を喜んでいることが明らかであった。その後、ヘンリも加わり、彼らはアリシアやデュークの計画について情報を共有した。ここで、デュークの記憶喪失が偽装であったことが判明し、ヘンリは驚きながらも次の行動を模索することを決めた。

キャザー・リズの存在と聖女の役割

ピンク髪のメルが現れ、キャザー・リズが持つ「誘惑の魔法」の存在を報告した。メルは聖女が一人ではなく複数存在する可能性を示唆し、アリシアも聖女に匹敵する実力を持つと説明した。これにより、キャザー・リズの信者が異常な忠誠心を持つ理由が明らかになったが、彼女自身は無自覚であった。

国王との対話とアリシアの過去の使命

国王は五大貴族やリズを集め、アリシアの国外追放にまつわる真実を語った。アリシアは国王の指示で「悪役」としての役割を演じており、これは聖女を正しく導くための計画であった。この発言は衝撃を与え、特にアリシアを信じていた者たちに大きな影響を与えた。

じっちゃんの解放と新たな展望

ロアナ村では、じっちゃんが村を出る準備を整え、住民たちが見守る中、解放の瞬間を迎えた。ピンク色の魔法薬を飲んだじっちゃんは霧の壁を抜け、外の世界へと踏み出した。その背中を見送るジルは、この一歩が新しい未来への始まりであると確信し、村の変革に希望を抱いた。

現在十六歳  ウィリアムズ家長女  アリシア

誕生日と日常の訓練

リアはラヴァール国で十六歳の誕生日を迎えた。前世では高校生にあたる年齢に思いを馳せつつも、訓練の日常に戻った。雨の降る中、いつも通りの隊列に加わるが、その場にヴィクター王子が現れ、遠征隊の選抜が行われた。リアは予想外にも選抜隊に選ばれ、翌日の遠征に備えることとなった。

ヴィクターとおじい様たちとの出会い

遠征の準備中、ヴィクターはリアを城の奥深くへと案内した。リアはそこで三人の老紳士──ウィリアムズ・アルベール、ハドソン・マーク、エバンズ・ケイトと対面した。彼らは国の重鎮であり、リアの実力を評価する者たちであった。ケイトには自身が女性であることを見抜かれ、彼らがリアの教育係になる可能性が示唆された。

死地林への遠征と謎の湖

遠征隊は「死地林」と呼ばれる薄暗い森を進んだ。隊の雰囲気は緊張感に包まれていたが、リアはその環境に慣れた様子を見せた。やがて一行は灰色の毒の湖に辿り着いた。この湖は、王位継承に関わる重要な秘密を秘めているとされており、ヴィクターは湖の源を探ることを目的としていた。

湖への潜入と決意

ヴィクターの命令により、リアは湖に潜ることを余儀なくされた。毒性があり危険な湖であるにもかかわらず、王位を目指すヴィクターにとっては避けて通れない挑戦であった。リアは不満を抱きつつも覚悟を決め、仲間たちの支援のもと、灰色の湖へと飛び込んだ。この行動は、彼女自身の成長と試練の象徴であった。

現在十一歳  ジル

じっちゃんと国王の再会

じっちゃんはロアナ村から王宮へ向かい、久方ぶりに国王と再会した。かつて兄弟であった二人の間にはぎこちない空気が流れたが、国王は兄に対して深い尊敬と懺悔の念を抱いていた。国王は謝罪の言葉を口にし、じっちゃんはその謝罪を受け入れると共に、自身の過去を語った。国王は父親の最期の手紙をじっちゃんに渡し、その内容を通して父がじっちゃんに対して抱いていた深い愛情が明かされた。

デュークの秘密とアリシアの影響

じっちゃんとデュークは過去に手紙を通じて連絡を取っていたことが明かされた。この連絡により、アリシアがロアナ村を訪れる下地が作られた。デュークはアリシアを守るために行動し、彼女がじっちゃんと出会うことで運命が動き出したことを語った。デュークの周到な準備とアリシアの行動が、じっちゃんを外の世界へと引き戻すきっかけとなった。

父王の手紙とじっちゃんの決断

国王は、亡き父の最期の手紙をじっちゃんに託した。手紙には、父が正妃カレンとその息子であるじっちゃんを深く愛していたことが綴られていた。じっちゃんは父の手紙に対して静かに感謝を示し、その内容を受け止めた。そして、自身が国王になる可能性について考え始める。

新たな王への道筋

国王は再びじっちゃんに王になる意志があるか問うた。じっちゃんは自分の魔力を失った過去や、王となるにはラヴァール国に追放された三人が揃っている必要があると話した。この三人には、アリシアの祖父も含まれている。じっちゃんの答えは未定だったが、彼の決断がこの国の未来を左右する鍵となることが示唆されていた。

現在十六歳  ウィリアムズ家長女  アリシア

ケイトとアルベールの会話

ケイトはアルベールに、リアという少女に将来性があるかと問いかけた。アルベールは「まだ分からない」と短く答えたが、ケイトは彼女が化けると確信している様子であった。マークはそのやり取りを黙って聞いていた。

湖の探索と挑戦

リアは目隠しをした状態でヴィクターに手を引かれながら湖に潜った。濁った水の中で進む苦労を感じながらも、彼女は目的地を目指した。途中で岩に空いた穴を見つけ、ヴィクターの指示でその中に入った。水流に押されながらもなんとか上陸地点に到着し、同行したヴィクターや他の隊員たちも無事に着いた。

洞窟内の分岐点

洞窟の奥で道が二手に分かれていた。ヴィクターはリアとペアを組むことを宣言し、隊長たちの反対にも構わず決定を押し通した。リアは不安を覚えつつも、彼女なりの決意を胸にヴィクターと行動を共にすることになった。

ヴィクターとの対話と緊張感

進む道中でヴィクターはリアにアルベールとの関係を探るような質問を投げかけた。リアは自身の素性が明かされることを恐れつつも、挑発的な態度で彼の質問に応じた。ヴィクターは彼女の言葉に一瞬困惑したものの、最終的には笑みを浮かべて歩き始めた。

新たな試練の予感

二人は洞窟の奥へ進み続けた。リアの感覚が周囲を察知し、彼女の推測通り、水場が近づいていることが確認された。ヴィクターはリアの能力を評価しながらも、その先に待ち受ける未知の試練に対する期待を胸に進み続けた。

兵士たちの会話と暗い道への進行

マリウスとジュルドは、ヴィクター王子がリアに興味を示している理由について話し合いながら暗い洞窟を進んだ。途中、暗闇に続く階段を見つけ、躊躇いながらも下りて行った。一方、ヴィクターとリアは光が強まる道を進み、狭い通路を抜けると滝のある幻想的な空間にたどり着いた。

妖精との遭遇と湖の源の発見

ヴィクターとリアは滝の中心に人の形をした物体を発見した。それが妖精であり、湖の源であるとヴィクターが説明した。ヴィクターは妖精を手に入れることで王になる野望を語り、彼自身の兄への対抗心を露わにした。しかし滝に入ろうとしたヴィクターは見えない力で跳ね返され、リアだけが滝の中に入ることができた。

魔力と妖精の力を使った突破

リアは自身の魔力を使い、滝の中の見えない壁を壊すことに成功した。その後、ヴィクターも滝に入ることが可能となり、妖精に接触。リアは魔力で眠る妖精を目覚めさせた。妖精「キイ」は最初こそ人間に協力を拒んだが、リアの強引な態度に折れ、脱出の方法を示すことになった。

滝の崩壊と脱出の試練

妖精が目覚めたことで滝の周囲が崩壊を始めた。リアとヴィクターはキイの導きで水中を進み、出口を目指した。同時に、別のルートを探索していたマリウスとジュルドも異常事態に巻き込まれ、頭蓋骨が迫る中で必死に逃げていた。最終的に全員が合流し、キイの案内で出口を発見した。

リアの毒への侵されとヴィクターの行動

脱出直前、リアは湖の毒に影響を受けて倒れた。ヴィクターは彼女を抱えながら泳ぎ続け、なんとか出口まで運び出した。地上に戻ったリアは毒の影響で嘔吐し、体力を失ったが、周囲の助けで一命を取り留めた。最後におじい様が現れ、リアを治療するような描写の中で彼女は眠りについた。

密談とアリシアの正体への議論

ヴィクターが部下たちを遠ざけ、アルベールと共にアリシアの状態について話し合った。アルベールは、アリシアが潜在的に持つ強大な魔力の影響で毒を消し切れなかったと説明しつつ、魔力を注ぎ込むことで回復させたと明かした。妖精キイも加わり、アリシアの魔力の規格外さを評したが、アルベールは彼女の出自について多くを語らなかった。結界を解いた後、ヴィクターたちは休息に移った。

アリシアの性別への気付き

マリウスたちは、アリシアが実は女性であると気づき驚きを見せた。ヴィクターは冷静にそれを認めつつも、「今まで気付かなかった方がおかしい」と呆れた様子を見せた。隊員たちは彼女の女性らしさに改めて注目し、ヴィクターが彼女を助けた理由について問い詰めたが、彼は「父のものだから」とだけ答えた。

ヴィクターの葛藤と夜の静けさ

アリシアがぐっすり眠る様子を見つめながら、隊員たちは休息に入った。ヴィクターは彼女に惹かれているのではないかと冷やかされるも、それを否定しつつ独り言で「ガキになんか惚れてたまるか」と呟いた。アルベールはその様子を見守りながら、月の美しさに感嘆した。

月明かりに包まれるアリシア

月光に照らされるアリシアの姿を見て、ヴィクターは思わず「月に選ばれし少女」と囁いた。その神秘的な光景が彼に特別な印象を与え、心の内に複雑な感情を抱かせた。

現在二十歳  シーカー家長男  デューク

アリシアの国外追放計画と彼女への想い

デュークは、アリシアがラヴァール国に興味を抱いていることを知り、その願いを叶えるため、彼女を国外追放する計画を立てた。無実の彼女に罪を着せることに葛藤を抱えつつも、アリシアが強い意志を持つことを信じて計画を実行した。彼女が自身を記憶喪失にした犯人役を快く引き受けたことに、デュークは複雑な感情を抱いたが、最終的には彼女の旅立ちを後押しした。

ジルとの会話と彼の決意

アリシアのいない日々を過ごす中、デュークはジルと共に廊下を歩きながら、アリシアについて語り合った。ジルは「アリシアが戻らなければラヴァール国に行く」と語り、デュークにとって彼女の存在の大きさを再認識させた。ジルの大人びた態度と揺るぎない信念にデュークは感心しつつ、彼との間に芽生える友情とライバル心を実感した。

メルの登場とデュークの独占欲

デュークがアリシアのペンダントを見つめていると、メルが窓から現れた。彼女はデュークの独占欲を指摘しつつも、アリシアの信念や強さを称賛した。メルの明るい態度と自由奔放な言動に、デュークは呆れつつも、彼女の忠誠心を認めていた。メルとの会話の中で、デュークはアリシアへの思いを再確認し、彼女のいない国を良くする決意を新たにした。

旧図書室での仲間たちの対話

ジル、メル、ヘンリと共に旧図書室で過ごすデュークは、アリシアへの思いを語り合う仲間たちの様子を見守った。全員がアリシアとの繋がりを主張し合い、その愛情の深さを競う中、デュークは自身が彼女とキスをした事実を告げ、場の空気を固まらせた。仲間たちの驚きと嫉妬を受けつつ、彼はアリシアへの特別な絆を再び実感していた。

『現在十七歳  レベッカ』

アリシアのロアナ村での活躍とレベッカとの絆

村人たちの疑念とアリシアの評価
アリシアがロアナ村に現れてから、彼女への評価は賛否両論であった。村人たちは彼女が救世主か、それとも貴族の計略であるかを疑った。しかし、彼女の行動は徐々に村人たちの信頼を得た。命を救われたレベッカも最初は警戒していたが、アリシアの真摯な姿勢に触れることで次第に信頼を寄せた。

アリシアの信念と村の変化
アリシアは「強い者は弱い者に期待は抱かないが、守らねばならない」と語り、その言葉に感銘を受けたレベッカは努力を続けた。彼女の言葉には厳しさと同時に優しさがあった。アリシアの行動により村の雰囲気は一変し、未来への希望が生まれた。一方で、彼女は褒められることを嫌い、悪女として評価されることを喜ぶ独特な一面も見せた。

マカロンを巡るやり取り
ある日、アリシアはレベッカに高級菓子のマカロンを渡した。その際、「毒が入っている可能性を考えたことはないの?」と冗談めかして話し、レベッカを驚かせた。アリシアは悪女としてのイメージを楽しむ様子を見せたが、レベッカが「毒を盛られても良いかも」と言うと、彼女は即座に否定し、レベッカの身を案じる姿勢を示した。

レベッカの決意
アリシアの真剣な心配を目にしたレベッカは、彼女への感謝と愛情を深めた。レベッカはアリシアに救われた命を彼女に捧げ、何があっても支え続けることを心に誓った。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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