どんな本?
物語の概要
本作は、悪役令嬢としての地位を目指す主人公アリシアが、策略と行動力で王宮内外の事件を解決しながら、自身の目標を追い求める異世界ファンタジーである。国外追放後の隣国ラヴァール国での生活を描きつつ、政治的駆け引きや新たな人間関係が紡がれる物語である。悪役令嬢を名乗りながらも人々の信頼を集めていくアリシアが、予期せぬ恋愛模様や陰謀に巻き込まれながら成長していく姿が魅力である。
主要キャラクター
• アリシア:主人公。悪役令嬢を目指して国外追放を大喜びで受け入れるも、次々と困難を解決し、魅力的な行動で周囲を引きつける。
• ヴィクター:ラヴァール国の第二王子。アリシアをこき使いつつも、信頼を寄せる。直情的な性格が災いしてトラブルを招くことも多い。
• ヴィアン:第一王子。冷静かつ聡明な性格で、アリシアを皇后に誘うほど彼女を高く評価している。王族の責務に縛られた複雑な立場の持ち主。
• デューク:アリシアの元婚約者。誘惑魔法を解除するため奔走し、アリシアへの想いを再確認する場面が描かれる。
• 聖女リズ:聖女の称号を持つが、誘惑魔法を無自覚に使い周囲を困らせる。覚醒を経て変化しつつある。
物語の特徴
本作の魅力は、悪役令嬢という立場を逆手に取り、持ち前の行動力と知略で周囲を巻き込みながら困難に立ち向かうアリシアの活躍にある。さらに、悪役令嬢という目標に反して聖女と呼ばれるほどの人徳や能力を発揮する点がユニークである。また、王族や他国のキャラクターたちとの関係性の変化が丁寧に描かれており、個性豊かな登場人物たちが織りなす物語の奥深さも特筆すべき点である。加えて、恋愛要素や策略が交差する展開が読者を惹きつける。
出版情報
• 出版社:KADOKAWA
• 発売日:2023年08月12日
• ISBN:9784047376052
• 電子書籍版:主要電子書籍ストアにて同日発売予定
• 関連メディア:アニメ化、ドラマCD化企画進行中
読んだ本のタイトル
歴史に残る悪女になるぞ 5 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!
著者 大木戸 いずみ 氏
イラスト 早瀬ジュン 氏
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あらすじ・内容
悪女の涙を見られる男は……王子様だけ! 悪役転生記、号泣必至の第5弾!
ラヴァール国で為すべきことがある。
その一心で崖の上に咲くマディ採取にやってきたアリシア。
難所を乗り越えどうにか手に入れたと思いきや、魔力が尽きて崖から転落!!
そんなアリシアを助けたのは――どうして彼がここに!?
一方、デュルキス国では、アリシアの師ウィルの死期が迫っていた。
その事実をアリシアが知る時、悪女の歴史がまた動く!
感想
ウィルおじいさんとの別れに涙する一冊
アリシアとジルがそれぞれの使命のため動く姿が感動的であった。
アリシアは命をかけてマディを採取し、ジルはウィルおじいさんの病気を治すため研究に没頭した。
その中で描かれるウィルおじいさんとの別れは、心を深く揺さぶった。
彼の最後の言葉や、アリシアへの想いが胸に響き、物語全体に重みを与えていた。
あと、デュークが駆けつける展開には驚きがあったが、彼の一途な行動が、ご都合展開過ぎて笑えた。
デュークの行動とアリシアの成長
デュークが他国までアリシアを助けに行くという展開は、彼の執着心と愛情の強さを感じさせた。
一方で、アリシアはクシャナ(ナウシカ?)との戦いを経て一層成長し、悪女としての覚悟を新たにした。
クシャナのエピソードが物語の流れに必然性を持たせ、アリシアが新たな力を得る伏線となっていた点も評価できる。
某少年誌のようにさらに強くなるのか…
デュークとの再会シーンは彼女の弱さと強さが交錯し、彼女の人間性を浮き彫りにしていた。
ジルの成長と未来への希望
ジルがウィルおじいさんのために行った数えきれない挑戦は、彼の決意と優しさを決意を表していた。
失敗を乗り越え完成させた薬は、彼が常識を超えた存在であることを示していたが、ジルの望んだ結果とはならなかったのが悲し過ぎる。
そして、ウィルおじいさんとの最後のやりとりは、彼の中で一つの区切りとなり、彼の未来が希望に満ちていることを感じさせたが、本人は絶望の中に居る。
ぜひ立ち直って欲しい。
魔法に頼らないジルの存在が、物語に新たな可能性を広げた。
悪女としての覚悟と聖女としての矛盾
アリシアの行動は一見無鉄砲であるが、その背後には仲間や国を思う深い意志があった。
彼女がウィルおじいさん(偽)との戦闘を通じて見せた覚悟は、悪女としての道を突き進む彼女の象徴であった。
ただし、彼女の行動や考えは「聖女」に近い部分も多く、物語のタイトルにある「悪女」という言葉とのギャップを感じる部分もあった。
むしろリズの行動が悪女的であるという意見も理解できる。
まとめ
今巻の物語では、アリシアやジル、デュークといった主要人物たちが、それぞれの道で大きく成長を遂げた。
一方で、ウィルおじいさんとの別れや、ラヴァール国での困難な状況が物語に深みを与えていた。
次巻では、帰国したアリシアが母国でどのように動くのか、今後の展開にも期待したい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
現在十二歳 ジル
「学園の事件と新たな規則」
学園内での問題の発覚
ヘンリやデューク、メルとともに、アリシアの祖父の病気を治すための方法を模索していたジルは、学園内の混乱が悪化していることを感じていた。リズ派とアリシア派の対立が深刻化し、その影響で学園は騒然としていた。その中、旧図書室で病気について調べる間、リズ派の暴挙が露呈する事件が発生した。
教室での悲惨な光景
カーティスの知らせを受け、教室へ駆けつけたジルたちは、リズ信者による残酷な行為を目の当たりにした。鼠の死骸と、暴力を受け重傷を負ったアリシア派の女子生徒エマの姿が教室内にあった。リズの魔力によってエマは回復したが、信者間の争いの深刻さが改めて浮き彫りとなった。
校則制定の提案
事件を受け、メルは「思想の押しつけを防ぐ新しい規則を作るべきだ」と提案した。当初は法律として制定する案が浮上したが、ジルの提案により学園内の校則として取り入れる方向へと話が進んだ。最終的に「アリシア派とリズ派の暴力による争いを禁止する」という校則が成立し、争いを未然に防ぐ手段として採用された。
新たな問題への兆し
校則の名称には個人名が含まれるという珍しい形で決定され、ジルはその展開に戸惑いを隠せなかった。しかし、学園内の平和を維持するための一歩として、全員が協力し合う姿勢を見せた。この出来事が学園全体の秩序回復につながるのか、さらに注目されることとなった。
「学園掲示板に新校則が掲示される」
朝、学園の掲示板には新たな校則が貼り出された。そこには「アリシア派とリズ派の暴力的争いを禁じ、破った者は唇を縫い合わせ停学処分とする」と記されていた。この内容は、前日に決定されたものであり、リズ信者たちは怯えた様子でその場を立ち去った。ヘンリとジルは、アリシアの強さを思い返しながら彼女の存在の大きさを再認識していた。
「デュークの成果とマディの情報」
デュークは学園の校則変更だけでなく、祖父の病気を治すために必要な薬草「マディ」の成分を突き止めていた。この情報は、彼とメルが王宮の図書室での調査を通じて得たものであった。デュークの努力にジルは感謝し、成分表をもとに新薬の開発に向けて動き出す決意を固めた。
「植物屋ポールとの交渉」
ジルは植物屋ポールを訪れ、マディに必要な三種の植物を入手した。最初はジルを疑う態度を見せていたポールも、ジルの真剣な思いを感じ取り、植物を譲渡した。ポールの「助かるといいな」という言葉に、ジルは静かに感謝を述べた。
「孤独と決意」
帰路の馬車の中で、ジルはアリシアや祖父との思い出に浸りながら、彼らを守りたいという決意を再確認した。花畑を眺めながら彼は、遠く離れたアリシアを想い、彼女も同じように強く生きていると信じることで自分を支えていた。
現在十六歳 ウィリアムズ家長女 アリシア
「熊との遭遇と魔法の使用」
森に入ったアリシア一行は、予想外に巨大な熊と遭遇した。熊の殺気を感じたアリシアは、魔力の温存を意識しながらも咄嗟に魔法を使用し、熊の動きを封じた。魔法の力を目の当たりにしたヴィクターとレオンは、アリシアの能力に感心しつつも、その危険性を認識していた。
「崖を目指して進む一行」
熊をやり過ごした後、一行は目指すマディが咲く崖へと向かった。険しい森の中では動物や虫たちが多く生息し、不安を抱きながらの道中であったが、ヴィクターの指示のもと進行は順調であった。険しい岩場を前にしたアリシアたちは、それぞれの体力と覚悟を試される状況となった。
「崖登りの試練」
崖を登る最中、アリシアは危機一髪の場面を迎えたが、集中力を発揮して持ち直した。ヴィクターの先導とレオンの軽やかな動きが一行を支え、無事に頂上にたどり着いたものの、そこにマディは見当たらなかった。ヴィクターは崖の中腹に咲くマディを発見し、その難易度の高さを一行に伝えた。
「マディの採取計画」
アリシアはヴィクターとレオンを制し、自らマディの採取に挑むと宣言した。小鳥やリスに変身する魔法を駆使し、毒植物の間を慎重に進んでいく。魔法を多用したことで疲労が募りつつも、アリシアは集中力を保ちながら、ついにマディを採取することに成功した。
「悪女としての覚悟」
アリシアは危険を顧みず、自ら行動を起こすことで結果を出した。この一連の行動は、彼女の誇りやプライドによるものであり、悪女としての覚悟を再確認する場面でもあった。マディを手にした彼女の姿は、同行者たちに深い印象を与えた。
「毒植物の中でのマディ採取」
アリシアは毒植物に囲まれた中でマディの採取を試みた。植物の棘に阻まれたアリシアは、魔法で成分のみを摘出し、橙色の液体をキューブ状に固めることに成功した。しかし、魔法の多用による疲労で体力を失い、小鳥の姿から人間に戻り、崖から落下してしまった。
「命の危機と想い」
落下する中でアリシアは、自分がもう助からないと悟り、最期にデュークの顔を思い浮かべた。彼への感謝と再会への未練が胸を締めつける中、崖上から喧噪が聞こえたが、内容を確認する余裕はなかった。
「デュークの救出」
アリシアの視界に、急降下する青髪の人物が映り込んだ。それはデュークであり、彼はアリシアを救うために身を投じていた。デュークの腕に抱えられたアリシアは、混乱しつつも彼の匂いと温もりを感じながら、共に森の中へ落下していった。
現在十九歳 ラヴァール国第二王子 ヴィクター
「アリシアの魔力とその存在感」
ヴィクターはアリシアの異質な魔力と能力を改めて実感していた。魔法を多用しても枯渇しない力と優れた技術に驚きを覚えつつ、彼女が自らの行動を主導する姿を見て「とんでもない女だ」とつぶやいた。彼の隣にいるレオンも、それを当然のように認めた。
「過去の兄弟関係と思索」
ヴィクターはレオンとの会話の中で、自らの兄ヴィアンとの関係を思い返していた。幼少期に兄へ投げつけた罵声や、反抗しなかった兄の態度を今になって大人の対応だったと理解するも、どこか複雑な思いを抱えていた。
「アリシアの危機とヴィクターの決意」
アリシアの魔法が解け、彼女が崖から落下する場面に直面したヴィクターは、迷うことなく彼女を助けるべく行動を起こした。しかし、飛び込む直前に物凄い速さで別の人影がアリシアのもとへ向かうのを目撃した。
「猪の襲撃と緊迫する状況」
その時、背後から猪が三頭襲いかかってきた。ヴィクターは咄嗟にレオンへ状況を知らせ、二人で対応を迫られることとなった。冷静さを保ちながらも、突進する猪の猛威に対して緊張を隠せない中、ヴィクターは「アリシアが死ぬわけがない」と信じ、自分たちの命を守るべく敵に向き合った。
現在十六歳 ウィリアムズ家長女 アリシア
「デュークとの再会」
アリシアは崖から落ちた瞬間、デュークに抱きとめられて命拾いをした。彼の熱い抱擁と「無事で良かった」という言葉に、彼が本物だと確信した。デュークの行動は普段の冷静な彼らしからぬもので、アリシアは驚きと安堵の中で再会を喜んだ。
「デュークの真意と行動」
アリシアが彼の突然の登場に疑問を抱くと、デュークは「惚れているから」と笑みを浮かべながら答えた。彼は魔法でラヴァール国に転移し、第一王子ヴィアンからアリシアの居場所を聞いたと説明した。この行動力と魔法の力がデュークらしさを際立たせた。
「デュルキス国の現状」
デュークはアリシアの家族や国の近況を語り、学園の管理を他の者に任せたことや、ロアナ村がなくなり、伯父が王宮に移ったことを伝えた。これらの情報にアリシアは驚きつつも、デュークが国を大きく動かしていることを実感した。
「ヴィクターとレオンの登場」
そこへヴィクターとレオンが現れ、アリシアの無事を確認した。しかし、デュークはアリシアを守るように振る舞い、ヴィクターに「触るな」と厳しい態度で牽制した。二人は互いに鋭い視線を交わし、緊張が高まった。
「デュークの決意と対立」
ヴィクターがアリシアを「ガキ」と揶揄すると、デュークは「彼女は何よりも大切な女だ」と即答した。この発言にヴィクターは不快感をあらわにしたが、デュークの確固たる態度は揺るがなかった。アリシアは二人のやり取りに戸惑いながらも、自分の存在の重みを改めて感じていた。
現在十二歳 ジル
「研究への挑戦と葛藤」
ジルはマディの代替薬を作るため、数百回の融合実験を繰り返していた。食事と睡眠以外の全てを研究に捧げ、失敗を恐れずに挑戦を続けていた。火事になりかける危険な状況もあったが、じっちゃんを救いたい一心で挫けることはなかった。
「デュークの訪問と誘い」
ある日、デュークがジルを訪ねてきて、ラヴァール国にいるアリシアに会いに行くと告げた。デュークに同行するか問われたジルは、一瞬心が揺れたものの、研究を優先する決意を固めて断った。デュークはジルの選択を尊重し、彼の頭を優しく撫でてその場を去った。
「薬の完成と成功の兆し」
ジルは研究を再開し、ついにオレンジ色の液体を生成することに成功した。この液体が正しいものであると確信したジルは、感極まりながら薬を瓶に移し、じっちゃんのもとへ急いだ。
「じっちゃんとの再会」
じっちゃんの部屋に入ると、彼の弱り切った姿にジルは衝撃を受けた。じっちゃんはジルの持ってきた薬を見て、その成分が成功していると確信した。彼の言葉と優しい手の温もりに、ジルは涙を流しながら喜びを噛み締めた。
「感謝の言葉と深い絆」
じっちゃんは「大物になった」とジルを称え、彼がアリシアと肩を並べる存在であると告げた。その言葉にジルは救われ、彼の感謝の言葉に胸が熱くなった。二人の深い絆が改めて確認される中、ジルはじっちゃんの命を少しでも延ばすことを願いながら薬を託した。
「ジルの薬とウィルの決意」
ウィルは、ジルが完成させたドッテン病の治療薬を飲み、その効果を実感していた。ジルが常識を覆し、奇跡を成し遂げたことに感嘆しながらも、自身の命が助からないことをルークに告げた。彼の生存の理由はジルを支えるためだったが、ジルにはもう多くの仲間がいると安心していた。
「ジルの未来とウィルの願い」
ウィルはジルが奇跡の薬で多くの人々を救い、歴史に名を刻む存在になると信じていた。彼が成長し、新たな世界を切り開く姿を見届けられないことを惜しみつつも、ジルには明るい未来が待っていると確信していた。
「デュークとアリシアの動向」
ルークはデュークがアリシアのもとへ向かったことを報告した。ウィルはそれを当然と受け止め、二人が築き上げる未来の国を見てみたかったと述べた。ルークもまた、ウィルが築いた国の完成を見ることを望んでいた。
「過去と重なるアリシアの存在」
ルークはアリシアがウィルの正妃であったアメリアに似ていると語った。彼女は強く賢い女性であり、メルビン国からデュルキス国に嫁いだ際も堂々としていた。ルークの回想は彼女への深い愛情と喪失感を物語っていた。
「ウィルの願いと別れの準備」
ウィルは自らの死を覚悟しつつも、残されるジルやルークが前へ進むことを願っていた。彼らが抱える喪失感を思いやりつつ、自分の役目が終わりに近づいていることを静かに受け入れていた。
現在十六歳 ウィリアムズ家長女 アリシア
「ヴィクターとデュークの緊張感」
ヴィクターはデュークがデュルキス国の王子であることを察していたが、特に深く追及せず、興味も示さなかった。一方でレオンはデュークを他国の王子として素直に受け入れていた。移動の際、馬がないデュークにレオンが自分の馬を譲り、ヴィクターの馬に同乗する形となったが、この配置にヴィクターは不満を露わにしていた。
「デュークの独占欲とアリシアへの想い」
デュークはアリシアと同じ馬に乗ることを主張し、移動中もアリシアを守る姿勢を見せた。ヴィクターはデュークの強い独占欲に皮肉を述べつつも、それを受け流していた。デュークの発言は時折アリシアへの深い愛情を感じさせ、アリシア自身もその態度に動揺していた。
「猪との戦いの余波」
移動中、レオンが猪と戦った話をさらりと明かし、アリシアはその話に驚きつつも、仲間の無事に安堵していた。疲労の中でアリシアが眠りにつくと、デュークとレオンの間でメルビン国の話題が出た。デュークは自分の母アメリアについて語り、彼女が強い女性だったと懐かしむ様子を見せた。
「突然の襲撃」
移動中に突然石が飛んできて一行を襲った。アリシアが反射的にその石を摑み、デュークを守ったことで場が一瞬静まったが、その後、木々の間から正体不明の集団が現れた。赤やオレンジの仮面をつけた敵たちに囲まれ、一行は戦闘態勢を取った。
「仮面の女との対峙」
アリシアは頭と思われる敵と直接対決を始めた。敵の正体が女性であると判明し、驚きを隠せなかったが、古語を話す彼女とのやり取りを通じて戦いの緊張感はさらに高まった。敵の女性はアリシアに強い興味を示し、「簡単に死ぬなよ」と挑発的に告げた。アリシアも笑みを浮かべながら応じ、再び戦闘に身を投じた。
「敵の襲撃とレオンの戦闘能力」
敵の猛攻の中、レオンは素早い動きで敵を仕留めながらデュークとヴィクターに質問した。二人が古語で会話していることに驚きを見せつつも、状況に集中していた。彼の冷静さと戦闘能力は高く、周囲の信頼を得ていた。
「アリシアの激闘と尊敬」
アリシアは強敵である仮面の女と対峙し、攻撃を受けながらも隙をついて反撃を試みた。相手の実力に驚きつつも、彼女に対する尊敬の念を抱いた。戦闘中にもかかわらず、敵としての姿勢を崩さず、自らの信念を貫いていた。
「クシャナとの対話と意志の力」
仮面の女の正体が森の女王クシャナであることが判明した。クシャナはアリシアに戦闘技術を教える提案をしたが、アリシアは敗北した相手に鍛えられることへの屈辱を述べつつも、自らを高めるためにその提案を受け入れる意志を示した。彼女は「利用できるものを利用する」という悪女としての覚悟を新たにした。
「ヴィクターとレオンの協力」
ヴィクターとレオンはクシャナに対し、マディを譲らない理由を真摯に伝えた。レオンは弟を救うためのマディの必要性を訴え、クシャナもその誠意に耳を傾けた。クシャナは彼らの覚悟を認めつつ、自らの村へ案内することを決断した。
「デュークの告白とアリシアの葛藤」
デュークはウィルおじいさんが末期のドッテン病に侵されている事実をアリシアに告げた。アリシアは大切な人を失う恐怖と目の前の使命との狭間で苦しみながらも、自らの責任を優先する意志を示した。彼女は自身を「悪女」と称しながらも、その裏に隠された強さと葛藤を抱えていた。
「涙の再会と新たな決意」
アリシアはデュークの優しさに触れ、ついに感情を爆発させた。涙ながらにウィルおじいさんへの想いを語り、彼への感謝と愛を胸に秘めつつも、リオを救うための行動を選んだ。デュークの腕に抱かれながらも、アリシアはジルや自身の使命への責任を再確認し、新たな決意を胸に抱いたのだった。
現在十四歳 暗殺者 レオン
「雨の中の主と王子の動揺」
激しい雨が降り注ぐ中、デュークとアリシアを遠くから見守るヴィクターとレオンは、それぞれ複雑な心情を抱えていた。レオンはアリシアの涙に胸を痛めつつも、彼女の強さと尊敬を語った。一方でヴィクターは自らの感情を持て余し、苛立ちながらもその正体には気づいていなかった。
「クシャナの指摘と主の本質」
クシャナはアリシアがマディを摘みながらも立っていられることに驚きを示し、その自己犠牲的な性格を「彼女の性」と評した。彼女の言葉にレオンは疑問を抱きつつも、主の献身的な行動に改めて感嘆していた。
「デュークの決意と主の休息」
アリシアの慟哭が止むと、デュークは彼女を抱きかかえ、クシャナの村で休息を取ることを提案した。眠りに落ちたアリシアの顔には疲労の色が濃く、デュークはその身をしっかりと支えながら彼女を守り抜く覚悟を新たにしていた。
「ヴィクターの告白とデュークとの対立」
馬を進める途中、ヴィクターはデュークにアリシアを国外追放したデュルキス国への不満を吐露した。彼はアリシアの存在を評価し、「自国の王として彼女を隣に立たせたい」と発言するが、直後にその言葉を冗談として取り繕った。デュークはその本心を見抜き、ヴィクターに対抗心を燃やしながらアリシアへの強い想いを示した。
「クシャナの仲裁と村への移動」
二人の緊張が高まる中、クシャナが冷静に二人を制し、村への移動を促した。レオンは、アリシアを巡る対立やデュルキス国で起こる問題に不安を感じつつも、前を向いて進むことを選んだ。各々が抱える感情を胸に秘め、旅は次の展開へと進んでいった。
現在十六歳 ウィリアムズ家長女 アリシア
「目覚めとシーナとの出会い」
アリシアは目を覚まし、初めて見る木材で作られた温かな家の中にいた。目の前にはシーナという女性がおり、クシャナの双子の姉だと名乗った。シーナから渡されたスープを飲むと、アリシアはその美味しさに癒され、疲れを少しだけ忘れることができた。
「鍛錬場の話と民族衣装の着替え」
シーナから他の仲間が鍛錬場に移動していると聞いたアリシアは焦るが、シーナの勧めで村の民族衣装に着替えることになった。その衣装は動きやすく、アリシアはその機能性に感動した。髪を整えてもらった後、彼女はクシャナと再会する準備を整えた。
「村の風景とクシャナとの再会」
アリシアが外に出ると、そこには美しい村の風景が広がっていた。遊牧民族のような雰囲気を持つその場所で、彼女は澄んだ空気と穏やかな景色に心を奪われた。やがてクシャナが姿を現し、民たちは敬意を込めて彼女に頭を下げた。威厳あるクシャナの姿に、アリシアは再び感嘆の念を抱いた。
「神の花と交換条件」
クシャナは神の花であるシャティを既に鷹のカイを通じて城へ送ったと告げた。その代わりにアリシアたちの魔力を借りたいと求めた。その条件に戸惑いつつも、アリシアは了承し、代わりにクシャナの武術を全て教えることを条件に加えた。
「武術修得の交渉と決意」
アリシアが武術を学びたいと宣言すると、周囲の民たちは敵意を露わにしたが、彼女は気に留めず強い意志を見せた。クシャナはその度胸に感心しつつも、武術の習得がいかに困難であるかを告げた。アリシアは確固たる覚悟を示し、その言葉にクシャナはシーナに視線を送り、彼女の決意を認めた。
現在二十歳 キャザー・リズ
「実家への帰省と母との再会」
リズは久しぶりに実家へ戻り、母親の温かい歓迎を受けた。母の甘いシナモンの香りとパン焼きの音が懐かしく、リズは短い間だけでも「聖女」の肩書きから逃れ、普通の娘として過ごそうと決めていた。しかし、自分の役割を再確認するたび、再び重いプレッシャーが胸にのしかかるのを感じていた。
「弟マックスとの初対面」
リズが自分の部屋を訪れると、そこは弟マックスの部屋に変わっていた。母から養子として迎えられたマックスの話を聞き、リズは驚きつつも表面上は喜びを装った。しかし、内心では家族の中での自分の居場所がなくなったように感じ、複雑な思いを抱いた。
「倉庫での懐古と自己反省」
リズは幼い頃の思い出が詰まった倉庫を訪れ、過去の自分と現在の自分を振り返った。光の魔法を初めて使った時の失敗や、アリシアへの嫉妬と憧れ、叶わぬ恋心を抱いたデュークへの想いが胸を締め付けた。孤独感の中でリズは涙を流し、自分がまだ未熟であることを実感した。
「カーティスとの対話」
倉庫から出たリズは、裏庭で偶然カーティスと出会った。彼の優しい言葉にリズは心を開き、家族への葛藤や叶わぬ恋、そしてアリシアへの想いを正直に打ち明けた。カーティスの率直な励ましとジルからのメッセージを聞き、リズは自分の役割を全うしようと再び決意を固めた。
「新たな一歩と前向きな決意」
カーティスの軽妙な一言にリズは笑みを浮かべ、今の自分にできることを全力で行う決意を新たにした。「聖女」としての使命を受け入れ、家族との一時的な別れにも強く向き合う覚悟を胸に秘めたのだった。
現在十六歳 ウィリアムズ家長女 アリシア
「滝の異空間への招待」
アリシアはシーナに連れられ、美しい滝の前に立った。滝には魔力に似た「気」が漂い、神秘的な雰囲気があった。シーナは滝を真っ二つに割り、その奥の道へとアリシアを導いた。滝を越えた先は暗い通路であり、壁を叩くと明るくなった。アリシアはこの場所がただの自然現象ではなく、特別な力が働く「神域」ではないかと推測した。
「長い通路と試練の予感」
アリシアはシーナと共に長い通路を進んだが、その終わりは見えなかった。途中で彼女は自分が何らかの試練に直面する可能性を感じた。やがて通路の終点に辿り着くと、シーナは地面を叩き、隠された通路を開いた。アリシアは不安を抱えながらも、その通路を降りていった。
「花畑での鍛錬の開始」
アリシアが辿り着いたのは、一面に花が咲き誇る美しい場所であった。この場で鍛錬を行うとシーナに告げられる。アリシアはこの穏やかな風景に鍛錬の場としての実感を持てなかったが、シーナの言葉を受け入れ、気持ちを引き締めた。
「現れた対戦相手」
鍛錬相手として現れたのは、アリシアが深く敬愛するウィルおじいさんの姿であった。彼は優しさに満ちた表情を浮かべつつも、戦いへの覚悟を固めていた。アリシアは戸惑いながらも、自らの成長を証明するために全力で挑む決意をした。
「ウィルとの激闘と戦術」
戦闘は激しさを増し、アリシアはウィルの圧倒的な魔力に圧される。しかし、彼女は狡猾さと頭脳を駆使して、一手一手を計算しながら立ち向かった。ウィルおじいさんの技量を前にアリシアは窮地に追い込まれたが、自ら考案した魔法陣で逆転を狙う。
「最後の切り札と試練の突破」
アリシアは自らの記憶と感情を基にした特殊な魔法陣を発動させ、ウィルの弱点を探り当てる。この魔法陣はアリシア自身の犠牲を伴うものであったが、それを受け入れることで彼女は一歩成長することができた。最後にアリシアはウィルの記憶の中に入り、彼の過去と向き合うこととなった。
「王宮の幼き記憶」
アリシアが見たのは、ウィルの少年時代の記憶であった。彼は幼いながらも透き通る瞳と強い意志を持つ少年で、父である前国王と温かな親子関係を築いていた。父の前では無邪気に甘え、勉学から逃げ出す姿も見せたが、その瞳には「守りたい」という強い決意が宿っていた。王族としての責務と家族の愛に包まれた記憶は、ウィルが未来に向けて志を抱く原点となっていた。
「牢獄での絶望」
場面は一変し、薄暗い牢の中で絶望に沈むウィルの姿が映し出された。彼は無実の罪を着せられ、両目を奪われてなお生きる意味を見失いかけていた。同じ牢に囚われていたアルベールが「生き続けてほしい」と語りかけるも、ウィルは苛立ちと疲弊を隠せなかった。しかし、「未来に希望を託せ」という言葉に少しずつ心を動かされていった。
「奇跡への誓い」
アルベールがウィルに「奇跡が起きればどうするのか」と問うた際、ウィルは「その奇跡をもたらした者に人生を捧げる」と誓った。その誓いが、彼が再び目を取り戻したアリシアとの関係を深く象徴するものとなっていた。この言葉が持つ重みは、アリシア自身に驚きと責任感を与えるものであった。
「戦いの終焉と感謝」
現実に戻ったアリシアは、戦いを通じてウィルの記憶を目撃し、その存在の大きさを再認識した。ウィルはアリシアに感謝を述べ、自らの人生をアリシアに捧げたことを伝えた。彼は最後に「人を信じる強さ」と「裏切りへの覚悟」を教え、彼女にさらなる成長を期待した。
「別れと永遠の絆」
ウィルが去った後、アリシアは深い悲しみに襲われた。彼との別れは彼女にとってかけがえのない存在を失うことを意味していた。それでも、彼から受け取った愛と教えを胸に、アリシアは自身の道を歩み続けることを決意した。彼女は涙ながらに感謝の言葉を空に向けて呟き、ウィルとの絆を永遠に心に刻んだ。
現在十二歳 ジル
「じっちゃんの最期」
容態が急変したシーカー・ウィルのもとに、国王やヘンリ、メル、ジル、ネイト、レベッカが集まった。彼の息遣いは荒く、既に言葉を発することも困難な状態であった。ジルはじっちゃんの手を握りしめながら「もう楽になっていい」と語りかけた。その言葉に、ウィルは微かに手を握り返し、「アリシアに会ってきた」と呟いた後、「くだらない人生だと思っていたが、とても面白かった」と告げて静かに息を引き取った。
「皆の別れと敬意」
ウィルが息を引き取ると、国王をはじめその場にいた全員が彼に深々と頭を下げ、最大の敬意を表した。その光景は貴族も平民も分け隔てなくウィルを讃えるものであり、彼がいかに多くの人々に影響を与えたかを示していた。ジルはウィルの体にしがみついて涙を流し続けたが、誰もそれを止めなかった。ウィルは歴史に残る存在として、人々の記憶に刻まれた。
「兄弟としての別れ」
誰もいなくなった部屋で、国王ルークは一人ウィルの遺体に向き合った。彼は「兄弟としての別れ」を告げるべく、涙をこらえながら静かに語りかけた。「貴方の弟で幸せでした」と告げた後、ルークはその場を立ち去ろうとしたが、ウィルの首元に光るものを見つけた。
「遺された謎の鍵」
ルークがウィルの首元から取り出したのはペンダントに付けられた古びた鍵であった。その鍵が何を意味するのかは分からなかったが、ウィルが遺した最後の謎であることは間違いなかった。彼の死の余韻が部屋に漂う中、その鍵の存在が新たな展開を予感させた。
現在十六歳 ウィリアムズ家長女 アリシア
「滝のそばで目覚めるアリシア」
アリシアは滝の近くで目を覚ました。疲労困憊で気絶した彼女を、クシャナがここまで運んだのだと察した。左目が戻ったことで現実を再認識し、クシャナの優しい「おかえり」の言葉に心を落ち着けた。彼女の手に瞼を触れられ、そのまま深い眠りに落ちた。
「復活と新たな決意」
目覚めたアリシアはベッドの上にいた。休息により体力と魔力が回復したが、心の痛みは癒えていなかった。彼女は仮面を装い、自分の感情を隠すことを決意した。着替えを終えた頃、シーナが訪れ、アリシアの体調を気遣った。丸一日眠っていたと知らされ、彼女は周囲の配慮を感じつつも、自分を奮い立たせ外に出る決意を固めた。
「仲間たちとの再会」
部屋を出たアリシアは、デューク公子に力強く抱きしめられた。彼は「生きていてよかった」と安堵を漏らした。ヴィクターやレオンもアリシアの瞳の変化に気づき、ウィルの死を察した。アリシアは頭を下げて謝罪し、自分の夢のためにウィルを利用してしまった後悔を吐露したが、デュークは「伯父上に幸せを与えたのはアリシアだ」と慰めた。
「別れの決断」
ヴィクターはアリシアに帰国を命じ、レオンもその決断を支持した。アリシアは迷いながらもデュークの言葉に従い、デュルキス国への帰還を決意した。彼女は、ラヴァール国での出会いや成長を振り返りつつ、ウィルへの別れの挨拶を心に秘めた。
「ラヴァール国への感謝と新たな旅立ち」
出発を前に、アリシアはライをヴィクターたちに託した。デュークの用意した馬で彼と共に旅立ちながら、アリシアはラヴァール国での経験を思い返した。彼女は新たな覚悟を胸に刻み、「ウィリアムズ・アリシア」として次に戻る時の新たな挑戦を心に誓った。
現在二十歳 ケンウッド家長男 カーティス
「学園内の緊迫した空気」
アリシアが国外追放されて以降、学園内は殺伐とした雰囲気に包まれていた。旧図書室ではデューク、ヘンリ、フィン、そしてカーティスがエマの事件について議論していた。エマは鼠の頭を切り離され、身体を傷つけられるという残虐な目に遭っていたが、犯人を特定する糸口は掴めていなかった。
「デュークの行動と推測」
デュークはエマを学園に登校させていたが、それは犯人を心理的に追い詰めるためであった。犯人がエマの登校に恐怖を覚え、動揺する可能性を狙った策であった。さらに、エマが事件の犯人を知っていないことをデュークは明言し、彼女が被害者である一方で、事件の動機に疑念を抱いていた。
「エマとの対話と自作自演の告白」
フィンがエマを連れてきた後、デュークとカーティスが彼女に質問を重ねた。エマは次第に動揺し、事件が自作自演であったことを告白した。その理由は「アリシアに戻ってきてほしい」という切実な願いからであった。しかし、その背後には誰かの扇動があった可能性が浮上した。
「事件の余波とリズ派・アリシア派の対立」
エマの行動はリズ派とアリシア派の対立をさらに悪化させる結果となった。事件が彼女一人の計画であったかは定かでなく、裏で彼女を操る存在がいる可能性が議論された。カーティスはエマを慰めつつ、事件の真相究明に向けて新たな決意を固めた。
「エマの感謝と再出発」
休憩室前で、エマはカーティスに感謝の意を伝えた。カーティスは「秘密は守る」と彼女を安心させたが、事件が学園全体に及ぼす影響に胸を痛めた。彼女の背後にいる影を探ることが、次なる課題となった。
「旧図書室での会話」
カーティスが旧図書室に戻る途中、扉越しに中からフィンやヘンリの会話が聞こえてきた。フィンが「アリシアに会いたい」と言ったことに対し、ヘンリが冗談交じりに「足を折れば会える」と返し、二人が笑い合っていた。その会話を耳にしたカーティスは、冗談とはいえ不謹慎だと内心でツッコミを入れていた。
「デュークからの評価」
会話の中でデュークがカーティスに感謝の意を述べていた。デュークは「今回の件はカーティスのおかげだ」と語り、その能力を評価していた。特に、人との関わりが多いカーティスだからこそ、人を見抜く力が優れているとして信頼を寄せていた。この言葉を聞いたカーティスは感動しつつも、その場では感情を抑えていた。
「明るい再登場」
感情を胸に秘めながらも、カーティスはいつもの明るさを装い、扉を開けながら「ただいま〜〜」と旧図書室に戻った。そこで彼は仲間たちと合流し、再び日常の雰囲気を取り戻していた。
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