どんな本?
物語の概要
本作は、乙女ゲームの悪役令嬢に転生した主人公・アリシアが、「世界一の悪女」を目指して奮闘する異世界転生ファンタジーである。第6巻では、アリシアが生まれ故郷であるデュルキス国に帰国し、過去と向き合いながら自身の成長を確認する姿が描かれる。また、彼女を支えるデューク王子との関係も深まり、物語は新たな展開を迎える。 
主要キャラクター
• ウィリアムズ・アリシア:乙女ゲームの悪役令嬢に転生した主人公。「世界一の悪女」を目指し、強さと知性を兼ね備えるために努力を重ねる。
• シーカー・デューク:アリシアを深く愛し、彼女を支える王子。アリシアの帰国に同行し、彼女の気持ちに寄り添う。
• ジル:アリシアの忠実な従者。彼女の成長を見守り、常にサポートする。
• キャザー・リズ:物語のヒロイン的存在。アリシアとは対照的なキャラクターで、物語に深みを与える。
物語の特徴
本作は、主人公が悪役令嬢としての役割を積極的に受け入れ、「悪女」としての道を突き進む点が他の作品と一線を画す。また、アリシアの努力や成長、彼女を取り巻くキャラクターたちとの関係性が丁寧に描かれており、読者にとって共感しやすい物語となっている。特に、第6巻ではアリシアの過去との対峙やデュークとの深まる関係が見どころである。 
出版情報
• 出版社:KADOKAWA
• 発売日:2024年10月1日
• メディア展開:本作はアニメ化され、2024年10月よりTOKYO MX・BS11ほかで放送中である。 
読んだ本のタイトル
歴史に残る悪女になるぞ 6 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!
著者 大木戸 いずみ 氏
イラスト 早瀬ジュン 氏
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あらすじ・内容
悪女の休息は【恋バナ】で決まり! そして王子様の溺愛にとうとう陥落!?
最後に一目、恩師ウィルに会おうとデュークと共にデュルキス国に戻ったアリシアは、悪女らしく(?)ウィルを見送る。
懐かしの面々とも再会し、彼らの変化に驚きつつ束の間の休息を楽しむアリシアだったが、彼女の周囲でやたらと恋の話が浮上!
数々の『恋バナ』を機に、これまでデュークの気持ちに向き合えなかったアリシアはある決意をすることに!?
感想
ウィルとの別れと涙の再出発
ウィルおじいさんの葬儀では、アリシアが感情を露わにした姿が印象的であった。燃え上がる棺に泣きすがる彼女の姿は、普段の堂々とした態度とは異なる一面を見せた。フェニックスの出現がウィルの魂の象徴となり、アリシアの新たな覚悟を引き出した点は感動的である。このシーンは、彼女が単なる悪女ではなく、深い人間性を持つことを示していた。
恋愛の話題とアリシアの変化
今回は恋愛に関する話題が随所に盛り込まれていた。メルの恋心やデュークの溺愛が描かれ、物語に柔らかさを添えていた。アリシア自身もデュークへの想いを省みる場面があり、「なんだかんだ相当好き」と自覚する姿は微笑ましかった。特にペンダントをつけてもらうシーンの親密さは、読者に彼女たちの関係性の進展を感じさせた。
町での邂逅と悪女らしい行動
町でのカス貴族との対峙では、アリシアの機転と強さが際立っていた。店主を守るために毅然とした態度を見せた彼女は、悪女としての矜持を発揮していた。この場面では彼女の言動にユーモアが加わり、物語に軽快さをもたらしていた。
物語の整理と次巻への期待
今回の巻は、デュルキス国とラヴァール国での出来事が整理され、これまでの流れがより明確になった。ウィルや祖父たちを追放したジュリー様の存在が物語の新たな焦点となり、次巻への期待を高める展開である。アリシアの涙もろさや、デュークの嫉妬がほのかに描かれるなど、登場人物たちの内面の描写も見逃せない。
総評
アリシアの成長や周囲との関係性が丁寧に描かれた一冊であった。感情を露わにした彼女の姿や、恋愛を通じた変化が見どころである。次巻ではジュリー様との対峙がどのように描かれるのか楽しみであり、アリシアの悪女としての活躍に引き続き注目したい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
備忘録
現在十六歳 ウィリアムズ家長女 アリシア
「帰還と追憶の旅路」
検問所の突破と魔法の力
デュークはアリシアを連れ、国境の検問所を静かに越えた。魔法の力で守衛たちを眠らせたことで、誰にも気づかれず通過することができた。アリシアは自身の武力依存を反省しつつも、魔法の効率性を実感していた。
変わりゆく故国の風景
デュルキス国に足を踏み入れたアリシアは、懐かしさとともに国の変化を感じ取った。自身の成長と同様に、国にも新たな動きがあることを予感していた。
王宮への急行と悲しみの光景
空に浮かぶ白い光に気づいたデュークは馬の速度を上げ、王宮へ急いだ。その光景はウィルの死を悼む人々の心を表していた。アリシアは涙をこらえながら、その場面に心を痛めた。
ウィルの葬儀とアリシアの行動
王宮の丘に到着したアリシアは、棺に向かう勇気を絞り出した。彼女は火葬の最中にウィルの遺体に駆け寄り、感情を爆発させた。デュークの支えを受けながらも、最後の別れを告げた。
フェニックスの出現と新たな決意
ウィルの魂を象徴するフェニックスが現れ、空へと羽ばたいていった。その姿を見つめる中、アリシアはウィルから受け取った教えと夢を胸に抱き、再び前を向くことを決意した。
仲間たちとの再会
棺の前での行動を通じてアリシアの姿が皆に知られることとなった。ジルやリズ、兄たちとの再会を果たし、それぞれの変化に驚きつつも、彼らの言葉や態度から自身の立ち位置を再確認した。
アリシアの覚悟と未来への一歩
仲間たちから歓迎を受けつつも、アリシアはラヴァール国でやり残したことへの思いを強くしていた。悪女としての生き方を貫くため、彼女は再び旅立つ意志を固めていた。
「帰還後の疲労と決意」
怒涛の一日の終わり
アリシアはラヴァール国からの帰還、ウィルおじいさんの葬儀、懐かしい人々との再会を経て、深い疲労を感じていた。馬車の中で眠りに落ち、誰かに部屋まで運ばれたことに気づかぬまま翌朝を迎えた。
変わらぬ部屋と心の喪失感
目を覚ましたアリシアは、自室の変わらぬ様子に安堵しつつも、ウィルおじいさんを失った心の空虚を感じていた。彼女は自らを奮い立たせ、悪役令嬢としての復活を決意した。
侍女ロゼッタとの再会
久しぶりに現れたロゼッタと抱き合い、幼い頃から自分を支えてきた侍女の変わらぬ忠誠心に胸を熱くした。ロゼッタとの何気ない会話は、アリシアに安らぎと新たな自信を与えた。
新たなドレスと母の配慮
アリシアはクローゼットに並ぶ新しいドレスに驚き、それが母の手配によるものだと知った。普段は厳格で感情を見せない母の思いやりに触れ、彼女は静かな感謝を抱いた。
書斎での家族との対話
父と兄たちとの再会では、アリシアに向けられた謝罪や感謝の言葉が続いた。彼女は自らの行動が家族に与えた影響を再認識しつつも、国外追放の結果に満足し、自身の立場を再確認した。
ロアナ村の変化とジルへの思い
父から、ロアナ村の障壁が解除され住民が解放されたと聞いたアリシアは、ジルの偉業と成長に感銘を受けた。しかし同時に、彼がまだ12歳の少年であり、支えが必要だという父の言葉に心を動かされた。
ジルの元への決意と行動
ジルの元へ向かうべきだと決心したアリシアは、父の静止を振り切り屋敷を後にした。美しいドレスと化粧を施していたにもかかわらず、衝動に駆られて走り出す姿は、彼女らしい自由奔放な悪女としての姿を象徴していた。
「ロアナ村での再会」
村の変貌と懐かしさ
アリシアが久しぶりに訪れたロアナ村は、以前の荒れた印象を一新し、清らかな空気に満ちていた。村の人々が改革に尽力した結果であり、建物はまだ残るものの、軍事利用のため近く更地になる予定であった。
ジルの行方と再会
ウィルおじいさんの家を訪れたものの、ジルは不在であった。村を探し回った末、アリシアは閑散とした場所でジルを見つけた。彼は家が跡形もなく消えた地を見つめながら、亡きウィルおじいさんへの想いと、自分の帰る場所を見失った感覚を語った。
感情の衝突と決意
ジルはアリシアの冷静な態度に怒りを覚え、感情をぶつけた。アリシアはそれを受け止めつつ、上に立つ者としての責任を説き、過去に囚われるのではなく未来を見据えるべきだと諭した。二人の間には緊張が走ったが、ジルは自分も成長する決意を固め、アリシアへの信頼を新たにした。
悲しみを共有した夜
アリシアとジルはその夜、大きなベッドで手を繫ぎながら眠りについた。失った人への悲しみを共有することで、互いに心の整理をつける時間を過ごした。
新たな朝と決意
早朝、目を覚ましたアリシアは庭で剣の稽古をするアルバートお兄様の姿を見つけた。自分の言葉で刺激された兄の努力に触発され、彼女も稽古着に着替えて剣を手に取った。
兄との稽古と認識の変化
アリシアはアルバートお兄様との手合わせで互いに剣を交えた。勝利を収めた彼女に、兄は昔より成長した姿を認め、喜びの表情を見せた。アリシアも兄の真剣な姿勢に触れ、互いに変わりつつある関係性を実感した。
予期せぬ訪問者たち
稽古中にカーティスとフィンが現れ、二人はヘンリからの呼び出しで訪れたと告げた。軽口を交わしながらも、アリシアの成長や剣の技術を認める会話が続き、場の雰囲気は次第に和らいでいった。
未来への展望
アリシアは自身の成長を改めて感じつつ、これからも悪女としての道を進む決意を胸に刻んだ。家族や仲間との絆が少しずつ深まる中、彼女の歩む道には新たな挑戦と可能性が待っていると感じた。
「客間での対話と新たな展望」
強引な連行と居心地の悪さ
アリシアはフィンとカーティスに半ば強引に客間へ連行され、稽古着のままソファに腰掛けていた。アルバートも同行し、彼らの行動に疑問を抱きつつ場に留まった。ヘンリが二人を呼んだため、居心地の悪さを感じながらも、彼女は場を和ませるための話題を模索していた。
恋愛話の発端と混乱
アリシアは唐突に恋愛について尋ねるも、周囲を驚かせる結果となった。フィンはこの質問を面白がり、カーティスとアルバートも笑いを堪えられなかった。アルバートの提案で再び恋愛の話題が掘り下げられ、フィンが曖昧な態度で恋について語り始めたが、具体的な内容は語られないままヘンリの登場により中断された。
ヘンリの提案と家族の想い
ヘンリはアリシアをラヴァール国へ行かせない意向を明かした。その理由を尋ねるアリシアに対し、ヘンリははっきりとした回答を避けたが、アルバートが「妹を心配しているからだ」と代弁した。この発言にアリシアは拍子抜けしたものの、兄たちの優しさに複雑な感情を抱いた。
ラヴァール国での経験の披露
アリシアはラヴァール国での出来事を語り始めた。王国軍の一員になった経験や、ライオンと仲良くなれる国の文化について触れたが、その発言にヘンリたちは驚きを隠せなかった。さらに、アリシアが国王に気に入られて王宮に招かれたことも語られ、客間は驚愕と笑いに包まれた。
ジルの欠席と今後の物語
ジルが疲れから眠っていることが語られると、フィンは「ジルもアリシアの話を聞くべきだ」と提案した。カーティスもジルを呼ぶことに意欲を示し、彼らの間にジルへの親近感が芽生えつつあることが感じられた。客間では、アリシアの語る物語が新たな展開を迎える予感が漂っていた。
現在十二歳 ジル
「ラヴァール国への再出発と家族の葛藤」
ジルの目覚めとカーティスの訪問
ジルはアリシアの部屋で目覚めたが、隣に彼女の姿がないことに気付いた。そこへカーティスが訪れ、アリシアが客間でヘンリたちとラヴァール国の話をしていると告げた。ジルは自分がアリシアの部屋にいたことが外部に知られる状況を複雑に感じながらも、カーティスに導かれて客間へ向かった。
アリシアのラヴァール国での冒険
客間では、アリシアがラヴァール国での出来事を語り始めた。彼女は闘技場でライオンと戦い、第二王子の部隊に配属され、毒の湖で妖精を手に入れるなど波乱万丈の冒険を繰り広げていた。さらに、国外追放された祖父たちの教えを受けたり、森の女王と対決したりするなど、壮絶な体験を重ねていた。デュークの登場を経て彼女は再びデュルキス国へ戻ってきたが、その過程は常軌を逸した内容だった。
家族の反応と葛藤
ヘンリはアリシアがラヴァール国を良く見せようとしていると指摘し、正直に話すよう求めた。一方、家族たちは彼女の波乱万丈な物語に圧倒されつつも、彼女の真意を理解しようとしていた。ヘンリはアリシアをもうラヴァール国へ行かせたくないという想いを抱き、葛藤を見せたが、アルバートはアリシアの決意を尊重する姿勢を示した。
アリシアの決意と条件
アルバートは、アリシアがどうしてもラヴァール国に行くならジルを同行させるよう条件を提示した。ジルはその提案に感動し、アリシアも当然のようにそれを受け入れた。家族の中で複雑な感情が渦巻く中、アリシアはラヴァール国で果たすべき約束があることを説明し、再出発への準備を進める意思を示した。
フィンとカーティスの観察
最後にフィンとカーティスは、アリシアの性格について「令嬢としての安穏な生活を捨て、いばらの道を進む彼女は変わっている」と評した。彼らの言葉には、アリシアへの興味と感嘆が含まれていたが、その視線の裏には、彼女を見守る温かい思いが滲んでいた。
現在十六歳 ウィリアムズ家長女 アリシア
「アリシアとジルの会話、そして悪女としての覚悟」
ジルの問いかけとアリシアの決意
ジルはアリシアに「アリシアがいなくなったら自分はどうすればいいのか」と尋ねた。アリシアはその問いに即答せず、自身がジルの人生を背負う覚悟を決めた日を思い出していた。彼女はジルの苦しみを受け止め、依存を否定するのではなく、それを糧にし共に生きる道を選んだ。彼女は悪女としての立場を貫き、ジルに忠誠を求めることで彼を支えようとした。
旧図書室での緊急悪女会議
アリシアとジルは学園の旧図書室に向かい、デュークやメル、キャロルと合流した。メルとキャロルはアリシアの帰還を心から喜び、賑やかな雰囲気が広がった。アリシアは彼女たちに、ラヴァール国に戻る決意を語ったが、皆は彼女の短期間の滞在を惜しんだ。特にデュークは寂しげな表情を見せたが、アリシアを応援する姿勢を崩さなかった。
メルの恋愛告白とアリシアの配慮
メルはカーティスへの恋心を告白したが、恋愛に積極的に行動するつもりはないと語った。その姿勢にアリシアは少し驚きつつも、彼女の気持ちを尊重した。アリシア自身も恋愛に対して不器用であり、デュークの思いを受け止めきれない自分に戸惑いを覚えていた。
悪女としての自分と周囲への思い
アリシアは悪女としての道を進む決意を改めて確認した。彼女はジルを含む周囲の人々を思いやりながらも、自分自身の目標を最優先に据えて行動することを決めた。悪女としての立場から、他人の領域に過剰に干渉せず、彼らの自由を尊重する姿勢を見せた。デュークの想いに応えるかどうか迷いながらも、ラヴァール国への再出発を胸に刻み、静かにその日を待つことにした。
「アリシア、街中での邂逅と新たな情報」
街への訪問とハンカチ店での出会い
アリシアとジルはカーティスに関する情報を得るため街に向かった。道中で美しい刺繡のハンカチが飾られた店に惹かれ、立ち寄ることにした。店内にはイザベラという品のある少女とその父親がいた。店はデュルキス国にない斬新なデザインの刺繡を扱っており、その独自性にアリシアは感嘆した。
失礼な客との対峙
突如現れた豪華な装飾を纏った男女が店を嘲笑し、刺繡を「パクリ」呼ばわりするなど、店主とイザベラに侮辱的な態度を取った。アリシアは彼らの無礼を看過できず、毅然とした態度で応対した。特に、ハンカチを汚されたイザベラを守るため、アリシアは悪女としての矜持を見せつけ、相手を論破した。
オージェス商会の会長との接触
騒ぎの中、店に現れた男性がオージェス商会の会長であり、失礼な男性の父親であることが判明した。会長は息子の振る舞いを恥じ、アリシアに謝罪した。その際、彼はウィリアムズ家のアリシアを認識し、その立場に敬意を示した。さらに、会長は「情報の売買」を手掛けていることを明かし、国王の母ジュリーに関する情報を持つと告げた。
アリシアの決断と帰路
名刺を受け取ったアリシアは、その内容に動揺しつつも冷静さを保った。ジュリーの名が出たことから、彼女はこの接触を重要な機会と見なし、即座に帰路に就いた。ジルもその緊張感を察し、アリシアの行動を支持した。転移魔法を用いて二人は迅速にその場を離れた。
「悪女アリシアの新たな計画と学園訪問」
ジュリー様への疑念と状況整理
アリシアは部屋に戻り、転移魔法の疲労を感じながら、ジュリー様に関する情報を整理していた。彼女がウィルおじいさんや三賢者に対して行った陰謀を思い返しつつ、現在の消息を辿るべきか迷った。ジルから「アリシアはヒーローだ」と称されるも、自身が復讐者ではなく、悪女としての道を歩むと心に決めた。
メルの恋愛観を巡る議論
アリシアはメルの恋愛を応援する方法を模索し、告白が「共犯者を作る行為」であると語った。ジルとの会話を通じ、キャザー・リズの一途な想いに感嘆しつつ、自身もデューク様と向き合う必要性を感じた。
図書室での魔本との出会い
図書室で謎めいた魔本を発見したアリシアは、鍵のかかったそれを開こうと奮闘したが失敗した。本から放たれる魔力に魅了され、持ち出すことを決意。これが新たな課題となった。
デューク様との再会と訪問理由
翌朝、デューク様とアルバート兄の訪問を受けたアリシアは、彼らの誘いで再び学園を訪れることとなった。デューク様から「悪女の晴れ舞台」を用意したと告げられたが、詳細は明かされず、学園内での新たな役割に胸を躍らせた。
学園での歓迎とデューク様の真意
学園内では以前の嫌悪感が薄れ、生徒たちから歓迎される中、アリシアはその変化に戸惑った。デューク様が仕組んだことに気付き、挑発を受け入れて新たな挑戦に挑む決意を固めた。
学園の曖昧な卒業制度とデューク様の影響力
デューク様は学園の卒業制度が曖昧であることや、学園が貴族の社交場として機能していることを明かした。さらに、自身が学園を牛耳る立場にあると語り、アリシアを驚かせた。彼の影響力の大きさに、アリシアはただ感心するばかりであった。
「ウィルおじいさんの日記とジュリー様の謎」
ティータイムでの穏やかな会話
デュークとアリシアは、生徒会室で初めて静かな時間を共有した。トラブル続きの日常に比べて穏やかな時間に違和感を覚えるアリシアは、デュークの独占的な態度に心揺らぎ、彼への想いを再確認していた。軽い会話の中で、アリシアは冗談めかして「いなくなったら退屈でしょう」と口にしたが、デュークの真剣な反応に圧倒され、初めて彼の深い執着を感じた。
ウィルおじいさんの魔本発見
図書室で見つけた魔本が鍵となり、デュークとジルを交えた話し合いが行われた。魔力で封じられた本をデュークが持ち込んだ鍵で開けると、その中身はウィルおじいさんの日記であった。本には彼の苦悩や覚悟、ロアナ村での生き様、そして国を変えようとした壮絶な意志が記されていた。
日記を通じての発見
日記にはウィルおじいさんがジュリー様に警戒していたことや、ジルとの出会いに感謝していたことが記されていた。さらに、ロアナ村の現状を詳細に描き、村を救うための提案や改革の意思が込められていた。アリシアは涙を流しながら日記を読み進め、ウィルおじいさんの深い愛情と強い信念に心を打たれた。
ジュリー様の登場と謎の深まり
日記の後半にはジュリー様がウィルおじいさんを訪ねた際の記録が残されていた。彼女の態度は憎悪と安堵が入り混じり、その真意は掴みづらいものであった。アリシアはジュリー様の目的や本当の意図を知るため、直接会う必要性を感じた。
デュークとの協力と次の行動
アリシアはデュークとジルに相談し、ジュリー様に会うための手段を探ることにした。デュークは協力を約束したが、ジュリー様との接触が容易ではないことを告げた。アリシアはジュリー様に関する謎を解明し、ウィルおじいさんの遺志を継ぐべく、新たな計画を練る決意を固めた。
「ウィルおじいさんの日記とアリシアの決意」
疲労の中の回想と日記への感謝
アリシアは疲れた体をベッドに投げ出し、手に持っていたウィルおじいさんの日記を天井に掲げた。その日記は誰にも開けられないよう強力な魔法で守られており、さらに彼の死後ウィリアムズ家に転送される仕掛けが施されていた。祖父のその計画性に感嘆しつつ、自分が彼の孫であることを誇りに思っていた。
ウィルおじいさんの信頼と国への想い
日記には、これからのデュルキス国の未来と、元ロアナ村の住民たちへの対応が記されていた。ウィルおじいさんはネイトとレベッカへの信頼を綴り、彼らがアリシアを信頼し尊敬していることも書かれていた。また、「理想の国を見ることが出来ないのが残念だ」という言葉に、アリシアは必ず祖父の理想を実現すると決意を固めた。
悪女としての覚悟
アリシアは、ウィルおじいさんの理想を実現することこそが、歴史に残る悪女としての道だと確信した。どれほどの反対があろうとも、国を根本から変える計画を貫く覚悟を胸に秘めた。
ジュリー様の謎とウィルおじいさんの記憶
日記の中にジュリー様への言及が現れ、彼女の裏での影響力と野心が描かれていた。ルーク国王の背後で糸を引いていたジュリー様は「傀儡政権」という言葉にふさわしい存在だったと記されていた。その存在感にアリシアは警戒しつつも、対峙する覚悟を見せた。
最後に記された言葉
ウィルおじいさんが追放される際、ジュリー様から最後に言い放たれた「生き残りなさい」という言葉が記されていた。アリシアはその弱々しい筆跡を読み上げながら、ジュリー様の意図を理解しようと心を巡らせていた。
現在二十一歳 シーカー家長男 デューク
「デュークとアリシアの特別な時間」
生徒会室での静かなひととき
デュークはアリシアと生徒会室で穏やかな時間を過ごしていた。彼女の笑顔や仕草に心を奪われ、触れたくなる衝動を抑えられなかった。彼女の国外追放の罪が虚偽であると国王へ働きかけ、罪を帳消しにしたのも、すべて彼女を守りたい一心からであった。
伯父の死とアリシアの立ち直り
シーカー・ウィル伯父の死は、ジルとアリシアに深い影響を与えた。伯父の葬儀では、アリシアが感情を爆発させる姿を見たデュークは、彼女を守る決意を新たにした。アリシアは辛さを乗り越え、今ではジルを励ます存在となっていた。その強さに、デュークは改めて感嘆していた。
ロアナ村の開拓計画
アリシアはロアナ村の軍事開拓計画について質問したが、デュークは具体的な内容を話せる段階ではないと答えた。デュルキス国がラヴァール国と対等な関係を築くには軍事力が必要だと考え、計画を練っていた。
デュークの独占欲とアリシアの気持ち
アリシアはデュークを「雲の上の存在」と評し、彼を驚かせた。しかしデュークにとって、自由に舞うアリシアこそが手の届かない存在であった。そんな中、彼女がデュークにペンダントを「預けた」理由を明かした。それは「戻るべき場所は貴方の元」という意味だった。彼女の言葉にデュークは最高の喜びを感じた。
ジルとの会話と未来への約束
アリシアが自室に戻った後、デュークはジルと応接間で語り合った。ジルはアリシアの魅力やデュークの存在を認め、彼らの関係を応援していた。ジルから「ハッピーエンドを望む」と告げられたデュークは、それを確約し、未来への希望を語った。
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