小説「汝、わが騎士として」王道なストーリー 感想・ネタバレ

小説「汝、わが騎士として」王道なストーリー 感想・ネタバレ

どんな本?

『汝、わが騎士として』は、異世界を舞台にした壮大なファンタジー物語である。この作品は、バルガ帝国から亡命しようとする没落貴族の娘ホーリーと、彼女を護衛する情報師ツシマ・リンドウの逃避行を中心に展開される。

ツシマは、特殊な力を持つ「情報師」として、超常現象を駆使しながら戦う戦士である。彼はホーリーを護衛するための仕事を引き受けるが、二人が逃亡を始めるや否や、帝国の最強部隊である『六帝剣』や数多くの刺客が彼らを追い詰める。ホーリーの正体にはある重大な秘密が隠されており、そのために彼女を狙う者が次々と現れるのだ。

物語は、緊張感あふれる戦闘シーンや巧妙に張り巡らされた陰謀、そして二人の主人公が絆を深めていく姿を描いている。ツシマは過去の戦争で負った心の傷と向き合いながらも、ホーリーを守るために戦う姿が魅力的であり、彼の成長と変化が物語の大きな見どころである。一方、ホーリーもまた、自身の運命と向き合い、強く成長していく。

『汝、わが騎士として』は、アクションや冒険、そして人間ドラマが融合した作品で、緊迫感あるストーリー展開と魅力的なキャラクターが読者を引き込む。また、情報師たちの独特な設定や世界観も魅力のひとつであり、ファンタジー好きにはたまらない要素が詰まっている。

初めてこの作品を手に取る読者にとって、二人の主人公がどのように困難を乗り越え、絆を深めていくのか、その過程をぜひ楽しんでほしい。彼らの冒険と成長を見守りながら、物語の世界に浸ることができるだろう。『汝、わが騎士として』は、熱い戦いと感動のドラマが織りなす、新たな騎士物語である。

読んだ本のタイトル

汝、わが騎士として
著者:畑 リンタロウ 氏
イラスト:炎ノ 氏

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あらすじ・内容

二人が誓いを交わす時、全ての絶望は消え失せる。異端の騎士物語、開幕!

 超常現象の使い手にして戦争の道具である『情報師』。平凡な情報師ツシマ・リンドウは、没落貴族の娘ホーリーをバルガ帝国から亡命させる仕事を請ける。しかしそれは、渦巻く陰謀の始まりであった――

 二人の逃避行は帝国正規軍だけでなく、帝国最強と名高い情報師『六帝剣』までもが襲撃してくる過酷な旅路となる。ただの没落貴族を相手に動き出す強大な力と影。その訳はホーリーの隠された正体にあった。

 圧倒的な強敵、幾重にも渦巻く陰謀、蘇る過去の因縁。膝を折るには十分すぎるほどの絶望。だが――それが、どうした?
 取引の関係でしかなかった二人が最後の誓いを交わす時、全ての絶望は消え失せる!
 騎士というにはあまりに遠い、異端の騎士物語。ここに開幕!

汝、わが騎士として

感想

『汝、わが騎士として』は、異端の騎士物語として始まる壮大なファンタジー作品である。物語は、亡命を目指す少女ホーリーと彼女を護るために戦う情報師ツシマの二人を中心に展開される。彼らの逃避行は単なる冒険にとどまらず、追手として立ちはだかる帝国の特殊部隊や最強の情報師『六帝剣』との戦いを通じて、彼らの絆が深まっていく姿が描かれている。

ツシマは、過去の戦争で深い傷を負いながらも、ホーリーを守るために立ち上がる姿が印象的である。彼が抱えるトラウマと、ホーリーに対する保護者としての使命感が交錯する様子は、読者に深い共感を与える。特に、ホーリーが持つ秘密や過去が明かされるたびに、物語は新たな展開を見せ、緊張感が途切れることなく続いていく。キャラクターたちの人間関係や成長が、物語の中心に据えられている点も魅力的である。

新人作家らしい粗さが感じられる一方で、文章の硬さが独特の雰囲気を作り出している点も特筆すべきである。シンプルで硬めな文章ながら、情景描写やキャラクターの感情が鮮明に伝わり、読者の想像力をかき立てる。場面ごとに背景が鮮やかに浮かび上がり、物語の世界に引き込まれていく感覚を味わうことができた。

設定面でも、超常現象を操る「情報師」や、亡命を巡る陰謀など、独自の世界観がしっかりと構築されている。ツシマとホーリーが織りなす物語は、王道のファンタジーでありながら、新鮮な要素が随所に散りばめられている。特に、情報師としてのツシマの能力や彼の過去にまつわる秘密が少しずつ明かされることで、物語はさらに深みを増している。

本作の最大の魅力は、アクションと人間ドラマのバランスである。緊張感あふれる戦闘シーンと、キャラクターの内面に迫る描写が絶妙に融合している。ツシマとホーリーが互いに助け合いながら成長していく姿は、読者の心に響き、物語に厚みを持たせている。彼らの関係性やそれぞれの葛藤が丁寧に描かれていることで、物語全体がより豊かになっている。

次巻への期待も高まる内容である。ツシマとホーリーの冒険がどのように展開していくのか、新たな敵や味方との出会いがどのように描かれるのか、楽しみにしている読者は多いだろう。新人作家としての今後の成長にも注目しつつ、これからの展開を楽しみにしたい作品である。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録


プロローグ

ある夜、一台の車が幹線道路を走り抜けていた。車内は無線の声で混乱しており、「四班の撃沈を確認」「六班はもう限界だ」といった声が飛び交っていた。助手席に座る男は無線のチャンネルを合わせながら、「もう半分がやられた」と呟いてバックミラーを見た。後部座席にはホーリーという少女が座っており、彼の視線を感じて顔を曇らせていた。彼女はこの混乱の原因が自分であることを自覚していたが、どうすることもできなかった。

車はバルガ帝国北部の大河沿いをヘッドライトもつけずに疾走していた。大河の上には回転翼機がスポットライトを落とし、水面を走る高速艇を追っていた。無線はその追跡の様子を伝えていた。ホーリーを逃がそうとする仲間たちが次々と消えていく中、彼女はやりきれない思いで唇を噛んだ。

車はようやく目的の港に到着したが、突然の銃声でフロントガラスが割れ、運転手が倒れた。残された男たちはホーリーを連れて車から飛び降り、彼女を守りながら走り出した。しかし、次々と仲間が倒れていき、彼女を取り巻く状況はますます絶望的になった。

彼女たちの前に立ちはだかったのは、バルガ帝国の指揮官だった。彼はホーリーに「ここで終わりだ」と諦めるように命じた。ホーリーが乗り込む予定だった船も爆破され、彼女の希望は絶たれた。

その時、突然現れた情報師、ツシマ・リンドウが圧倒的な力で敵を撃退した。彼はホーリーを救うために現れたが、その方法は冷酷で、彼の振る舞いは恐怖を誘うものであった。ホーリーは彼の助けに感謝しつつも、その冷徹な態度に困惑し、彼に従わざるを得なかった。

ツシマはホーリーに対して、「こいつらはお前を守るために死んだのだ。それが使命だ」と冷たく言い放ち、彼女を連れて現場を離れた。ホーリーは彼の背中を追いながら、その非情な態度に戸惑いと恐れを感じつつも、生き残るために彼に従うしかなかった。

一章

雪がまだ残る細い道路沿いにある人気のない地域の衣料店の前に、小さな車が止まっていた。曇天の下で、ツシマは煙草を吹かしていた。その煙は重たく、空に舞い上がることもなかった。彼は「この国でガキのお守りとは」と独り言をつぶやきながら、積もった雪の中にそれを消していった。

その時、店の扉のベルが鳴り、ツシマは煙草を捨てて店の出入り口を見た。そこには白銀の髪と青い瞳の少女ホーリーが立っていた。彼女は新調した服を不満げに確認していたが、それは古着の白シャツによれたスカートという服装で、彼女の細い骨格には少し合っていなかった。ツシマと目が合うと、ホーリーは敵意をむき出しにして「どこか変?」と問いかけた。ツシマは「問題ない。血まみれの服よりはましだ」と返し、車に乗るよう促した。ホーリーは彼と目を合わせることなく車に乗り込み、ツシマはため息をついて「これだから子供は嫌いだ」と呟いた。

二人は昨晩の事件があった港から一睡もせずに車を走らせており、ホーリーの汚れた服を買い替える余裕ができたのもそのおかげであった。車内が暖まる頃、ホーリーは「昨日は助けてくれてありがとう」とぶっきらぼうに感謝を述べた。ツシマは「仕事だ」と素っ気なく返し、彼女の質問にも淡々と答えた。ホーリーはエルバル独立都市への亡命を希望していることを明かし、ツシマはそれを確認するために質問を続けた。

ツシマが煙草を取り出すと、ホーリーは「煙草は遠慮して」と不快感を示したが、ツシマは「我慢しろ。短い付き合いだ」と言い放ち、煙草を吸い始めた。ホーリーは彼に対して不満を抱きつつも、彼の説明に従って地図を広げ、これからの逃亡計画について確認した。

ツシマは彼女をエルバル独立都市へ亡命させるために計画を説明し、ホーリーに休息を取るよう促したが、彼女は彼を警戒してなかなか眠ろうとしなかった。最終的にホーリーは座席に横たわったが、その態度にはツシマも困惑していた。

ホーリーは彼の隣で寝ることに不安を感じ、ツシマに警戒心を抱いていたが、ツシマは「お前みたいな小娘に欲情するほど愚かではない」と言って彼女を安心させようとした。しかし、その言葉が裏目に出て、ホーリーはさらに不満を募らせた。

彼女が眠りにつくまでの間、ツシマは車のラジオをつけて気を紛らわせていた。そして、ようやくホーリーの寝息が車内に響き始めた。ツシマは彼女を守るために彼女の眠りを見守りつつ、車を走らせ続けた。

ツシマは数時間車を走らせた後、牧草地の奥にある廃屋を見つけた。車の振動で目を覚ましたホーリーは、ツシマが「今晩の宿だ」と説明すると驚いた様子で廃屋を見つめた。バルガ帝国に合併されたばかりの北部地域では、このような廃屋は珍しくなかった。戦争の名残を感じさせる場所だったが、一晩を過ごすには十分だった。

ツシマは廃屋の安全を確認し、ホーリーに「大丈夫だ」と告げた。ホーリーは不安そうにしていたが、ツシマに説得されて渋々車を降りた。廃屋の中は思ったよりもきれいで、いくつかの家具も残されていた。ツシマはホーリーに「ここで休んでろ」と指示したが、彼女は一人になるのを嫌がり、彼と一緒に部屋を確認することを選んだ。

ツシマはホーリーと一緒に廃屋の各部屋を調べたが、彼女は怖がりながらも彼の背中にしがみついていた。すべての部屋の確認が終わると、二人はリビングに腰を落ち着けた。ツシマはホーリーに毛布を渡し、彼女は感謝の言葉を述べながら体を丸めて休んだ。

その後、ホーリーはツシマに彼の過去について尋ね始めた。ツシマはかつてバルガ帝国の傭兵として戦争に参加していたことを明かし、ホーリーは彼の話に興味を持って聞いていた。彼女はまた、ツシマが情報師としての実力を隠しているのではないかと感じ、さらに質問を続けたが、ツシマは冷静に答えていた。

ホーリーは自身の過去についても触れ、「つらい記憶をどうやって忘れるか」と問いかけた。ツシマは「忘れることも大事だ」と答え、彼女を慰めようとした。ホーリーはその言葉に少し安堵し、ツシマに感謝の気持ちを示した。

最後に、ホーリーはツシマに少し個人的な質問をし、彼が独り身であることを知ると軽くからかうようにした。ツシマはそれに対して「余計なお世話だ」と返し、彼女に毛布を被せて眠るよう促した。ホーリーは笑いながら彼に感謝を述べ、ツシマは新しい煙草に火をつけながら外の様子を見守っていた。

ホーリーは繰り返し悪夢を見ていた。それは平穏な日中のはずなのに、屋敷の中で銃声と悲鳴が響き渡り、目の前には血の海が広がる夢であった。彼女を守ろうとする警護役の男たちは次々と倒れ、彼女の上に覆いかぶさるようにして命を落としていった。ホーリーは全身に血を浴びながら、ただ呆然とその光景を見ているしかなかった。

彼女の目の前には、騎士の誓いを交わしたはずの情報師が正気を失ったように兵士たちを殺していた。青白い眼を持つその情報師は、かつて彼女を守る存在であったが、今では裏切り者となっていた。ホーリーは血まみれの指輪を握りしめ、「どうして裏切るの?」と涙ながらに問いかけたが、その問いは届かず、彼女は目と耳を塞いでその場に立ち尽くしていた。

夢から目覚めると、ツシマがホーリーを揺さぶり起こしていた。彼女は額に汗を浮かべながら目を覚まし、うなされていたことを認めた。彼女が繰り返し見る悪夢について、ツシマは深入りしないよう気を遣った。

ホーリーが水を取りに行こうとしたとき、ツシマは屋外の気配に気づき、「追手だ」と警告した。彼は情報師が近くにいると察し、ホーリーに暖炉の中に隠れるよう指示した。ホーリーは嫌がったが、状況の緊迫感から従わざるを得なかった。

その後、二人の情報師が屋敷に侵入してきた。ツシマは巧妙な戦術で迎え撃ち、一人の情報師を盾にしてもう一人を倒した。彼の迅速かつ精確な行動により、二人の情報師は戦闘不能になった。

ホーリーはその一部始終を見て、「ツシマ、本当にあなたは何者なの?」と問いかけた。ツシマは「ただの情報師だ」と答え、ホーリーを急かしてその場を離れる準備を始めた。ホーリーは遺体から距離を取りつつも、ツシマの冷静な態度に驚きを隠せなかった。ツシマは「死んだ人間をあまり見るな」と言い、彼の非情な一面を垣間見せた。

その日は前日の曇天とは打って変わり、晴天であった。前日からまともな食事をしていなかったツシマとホーリーは、ガソリンスタンドで買った食事で空腹を満たすことにした。ツシマは移動中に食事をしようと考えていたが、ホーリーの「食事の時くらいはのんびりしたい」という要望に根負けし、車を停めることにした。

ホーリーは車を降りて大きく伸びをしながら、ツシマの煙草に対する執着を指摘した。ツシマは「これは一種の呪いだ」と答えたが、その説明を途中でやめた。ホーリーはそれ以上追及せず、ツシマがそういう性格の人間であると理解した様子であった。

ホーリーは車のボンネットに座り、スナック菓子やジャンクフードを取り出した。ツシマはその選択に驚き、少しまともな食事を勧めるが、ホーリーは「こういうジャンクなものに憧れていた」と言い訳をした。ツシマは仕方なく彼女にサンドイッチを渡し、「野菜も食べるべきだ」と助言した。

食事をしながら、ツシマはホーリーに彼女の過去について質問した。ホーリーは貴族の末子でありながら、「嵐の丘」という反政府組織との関わりについて説明した。彼女は嵐の丘が亡命の支援をする組織であるとし、反政府活動をする理由があると語った。しかし、ツシマは嵐の丘に内通者がいる可能性を示唆し、ホーリーを警戒させた。

ツシマは今後の計画を変更し、嵐の丘の協力を求めず、独自に行動することを決めた。ホーリーは不安を感じながらも、ツシマを信用するべきか悩んでいた。ツシマは彼女に「簡単に人を信用するな」と言い、あくまで仕事として彼女をエルバルに連れて行くことを強調した。

ホーリーはツシマの態度に少し混乱しながらも、彼の配慮に気づき、少しだけ元気を取り戻して微笑んだ。二人は引き続き旅を続ける準備を整えた。

二章

首都バルガの書斎で、金髪の男は嵐の丘や第四師団が役に立たないことに苛立ちを見せ、電報を握りつぶしていた。彼は血の気の多い少年に「お前が行け」と命じ、必要ならば対象を排除するよう指示した。少年はその命令を喜んで受け入れ、部屋を後にした。金髪の男は「屑は屑同士で潰し合えばいい」とつぶやき、少年の行動を見守った。

シェルンの街では、ツシマが公衆電話で連絡を終え、ホーリーと合流していた。ホーリーは学生服風の服装を楽しみながらも、ツシマは彼女の目立つ容姿を隠すため、控えめな服を選ぶよう指示した。ツシマはホーリーにもう一着服を買わせ、慎重に行動するよう促した。

その後、ツシマはジョーと呼ばれる旧知のエージェントと再会した。ツシマはジョーにホーリーの護衛と必要な準備を依頼し、報酬として前金を支払った。ジョーは依頼を引き受け、必要な準備ができていることを伝えた。ツシマとジョーは、かつての仲間としての絆を感じながらも、ビジネスに徹し、今後の行動を計画した。

シェルンの鉄道駅で、ツシマとホーリーは追手から逃れるために行動していた。駅内には監視カメラが多数設置されており、ツシマは追手が近づいていることを察知していた。彼らは従業員通路を使って追手から逃れようとし、ツシマは職員を一時的に無力化し、その無線を使って援護を要請した。これにより時間を稼ぎ、ホーリーを一人で列車に乗せる計画を立てた。

一方、第四師団の司令官たちは監視カメラを使ってツシマたちを追跡しようとしたが、ツシマの偽装人形に惑わされた。最終的にホーリーが乗った列車に尾行班が乗り込むも、それもまた囮であることが判明した。司令官はその事実に苛立ちながらも、追跡を断念することを決定し、後の対応を別の者に任せることにした。

ツシマとホーリーは、追手から逃れるために寝台特急シュビランドに乗っていた。車掌の格好をしたツシマは、途中で車掌の服を捨て、東シェルン駅で待つジョーと合流した。ツシマとジョーは偽装人形を使った陽動作戦に成功し、ホーリーと再び列車に乗り込んだ。

しかし、列車内で待っていたのは、バルガ帝国の強力な情報師「六帝剣」のカヌス・ミーレスであった。彼はツシマにホーリーの正体がバルガ帝国皇帝の娘であることを明かし、彼女の引き渡しを求めた。ツシマは困惑しながらもホーリーを守る決意を固め、カヌスと対峙することにした。

カヌスは異常な能力を持つ情報師で、自身の背後に巨大な化け物を召喚し、ツシマに攻撃を仕掛けた。ツシマは化け物の攻撃をかわし、反撃して化け物を倒したが、それはカヌスの本体ではなかった。カヌスの策略により、ツシマはさらなる戦いに挑むこととなった。列車の屋根の上で繰り広げられる激戦の中、ツシマはカヌスとの勝負に臨んでいた。

走る列車の屋根の上で、ツシマとカヌスの激しい戦いが繰り広げられていた。列車の中で不安に駆られるルプス(ホーリー)は、突然現れたカヌスに対峙した。カヌスは彼女に対し、第二皇子ロス・ルーベルの命令で彼女を排除しようとしていると語った。彼の言葉から、ルプスは自分が嵐の丘に利用され、全てが仕組まれていたことを知り、ショックを受けた。

怒りに駆られたルプスがコードを発動しようとした瞬間、ツシマがカヌスを襲撃し、間一髪で彼女を守った。ツシマはカヌスに傷を負わせたが、自身も負傷していた。カヌスは激怒し、ツシマを攻撃しようとしたが、ツシマは煙草に仕込んだ光のコードを使ってカヌスを妨害し、列車の窓から大河に飛び込んだ。カヌスは怒りに満ちた叫び声を上げるも、ツシマはそのまま川に沈んでいった。

寒い冬の日、少年がシオンという少女を抱きしめていた。シオンは腹から大きな怪我を負っており、命が尽きようとしていた。少年はシオンを助けたいと願ったが、彼女の命は尽きてしまった。シオンの死は少年に深い悲しみと怒りをもたらし、彼はその日から世界と戦う決意を固めた。

その後、ツシマは夢から目覚め、ルプス(ホーリー)と森の中にいることに気づいた。彼は大河を潜り抜け、カヌスの追跡を逃れてここまで来た。ルプスはツシマに助けられ、彼の傷を治療していた。

ルプスは自分がバルガ皇帝の第三皇女であること、そして帝国の後継者争いから逃れようとしたことを明かした。彼女は、自分の信じていた騎士に裏切られ、亡命のために嵐の丘という組織に利用されていたことを知って絶望していた。

ツシマは彼女の話を聞き、彼女をエルバル独立都市へと導くことを決意した。彼はルプスに基本的なコードの使い方を教え、自分が彼女を守ると約束した。ルプスはツシマの優しさに感謝し、彼の指導を受け入れた。

翌朝、ツシマとルプスは目的地へ向かって山道を進んでいたが、体力のないルプスは苦戦していた。ツシマは彼女を急かしながらも、午後の暑さを避けるため早く進む必要があると説明した。彼らは山奥に住むツシマの知人に助けを求めるために向かっていた。

日が暮れる頃、彼らは古びたガレージハウスとロッジにたどり着き、ツシマの知人である老人に迎えられた。老人はツシマとルプスをロッジに招き入れ、ルプスに休息を提供した。ツシマは老人に、彼とルプスを中海近くまで運んでもらうよう依頼し、老人はそれを了承した。

その後、老人はシオンという女性について話し始めた。シオンはツシマにとって特別な存在であり、彼女の死はツシマに深い影響を与えていた。ルプスはツシマの過去に興味を持ち、彼の姉シオンやエルバル独立戦争について質問した。ツシマは、シオンの死が彼に復讐心を植え付けたと語ったが、その感情が現在の彼の行動に影響を与えていることも認めた。

夜、ツシマはルプスを守る決意を新たにし、彼女をエルバルへ送り届けるための計画を進めていた。ルプスもまた、ツシマの気持ちを理解し、彼の側にいることを決意していた。彼らは翌日、中海へ向けて出発する準備を進めた。

ルプスとツシマは老人が操縦する小型飛行機で、エルバルへの密航を試みていた。機内でルプスは希望に満ちた様子で、エルバル到着後の計画について楽しそうに話していた。ツシマは彼女を落ち着かせつつ、エルバル到着後の計画を聞き出そうとしていた。

飛行機がエルバル近くの小島を通過する頃、突然、飛行機が攻撃を受けて大きく揺れた。攻撃は情報師によるものであり、その中でも最高峰の「光芒の情報師」として知られるフィーネ・プリムスが現れた。彼女はツシマとルプスを無力化し、二人を拘束するために来たことが判明した。

フィーネは強力なコードを執行し、飛行機を制御してバルガ帝国の首都へと向けた。ルプスは希望を打ち砕かれ、絶望の中で震えていた。ツシマもまた、彼らが最も避けたかった場所へと強制的に戻されることを感じ、舌打ちをした。飛行機は光に包まれ、彼らは再び過酷な運命に向かっていった。

三章

首都バルガの屋敷に軟禁されていたルプスとツシマは、ルプスが泣き続ける中で次の手を考えていた。突然現れたフィーネに呼ばれ、彼らは第一皇子カウサ・インサニアと対面することになった。カウサはルプスに対し、彼女の亡命が第二皇子ロス・ルーベルによる策略であったことを明かし、ルプスを精神的に追い詰めた。

ツシマはカウサから、ロスとその騎士カヌス・ミーレスを暗殺するよう求められ、その見返りとしてルプスをエルバルへ亡命させる約束を交わした。しかし、ルプスは自身の戦いであると主張し、ロスを自らの手で倒す決意を固めた。ツシマは彼女の決意を受け入れ、二人は互いに生き延びることを誓い合った。

バルガ帝国の皇女ルプスは、兄であるロス・ルーベルを暗殺するため、御所の中にある彼の書斎へと向かった。ルプスは、ロスが自分の亡命計画を妨害し、彼女を裏切り者として追い詰めようとしたことを知っていた。彼女は恐怖と緊張を抱えつつも、決意を持ってロスと対峙した。

ロスとの対話で、ルプスは冷静な態度を保ちながらも、最終的には彼を殺害することを決意し、サーベルで彼の命を奪った。その後、ルプスはカウサの助けでエルバルへの亡命を果たすはずだったが、カウサの裏切りにより、ツシマがカヌスと対峙している間に彼を抹殺する計画が進行していた。

カウサはツシマの正体に疑念を抱き、彼を排除するための策を講じていた。ルプスはこの計画を知り、ツシマを救おうとしたが、カウサの策略によって意識を失わされ、無力化された。カウサは、ツシマを抹殺し、自分の野望を実現しようとしていた。

ツシマは、旧ジャバル市街地の廃墟でカヌス・ミーレスと対峙した。かつての紛争地であるこの場所は、帝国の見せしめとして放置されており、戦場の痕跡が色濃く残っていた。ツシマはそこで亡くなったシオンを悼みながら、彼女の遺骨が風化して消えてしまったことに思いを馳せた。

その時、カヌスが現れ、彼と激しい戦いを繰り広げた。カヌスはかつてツシマによって負った傷の恨みを晴らすため、ツシマを追い続けていた。戦いは激しさを増し、カヌスは膨大な騎士団を生成する力を見せつけたが、ツシマは彼の攻撃をかわしながら、最終的に彼を打ち倒すことに成功した。

カヌスは最期にツシマの正体を問うたが、ツシマは「ただの七等位情報師」と答えた。カヌスは自身の敗北を認め、最期の瞬間に亡き両親との再会を夢見ながら息を引き取った。ツシマは彼の最期を見届け、祈りを捧げた。

その後、ツシマは新たな敵の出現を感じ取った。彼の上空には光輝く存在が現れ、それは六帝剣の一人、フィーネ・プリムスであった。ツシマは彼女との新たな戦いの予感を抱きながら、立ち向かう準備を整えた。

四章

フィーネ・プリムスは空から降り立ち、ツシマと対峙した。彼はカヌスを倒したが、フィーネは彼を殺すために現れた。ツシマは逃げることなく戦いに臨む理由を説明し、カウサの策略について話した。フィーネは無表情で聞き流し、戦闘態勢に入った。

一方、エルバル独立都市の市長タチバナは、皇女ルプス・フィーリアの要請を受けていた。ルプスはツシマをエルバルに帰還させるよう求め、彼を助けるための条件を提示した。タチバナは彼女の強気な態度を評価し、条件を受け入れるも、いくつかの制約を課した。

その後、タチバナはエルバルに戻ってきた初老の男と話し、ツシマが順調に任務を遂行していることを確認した。彼はツシマを支援するよう初老の男に指示し、過去の仲間との思い出を振り返りながら、ツシマの安全を祈った。タチバナは、ツシマがかつての戦友であり、今もなお変わらぬ存在であることを感じていた。

ツシマとフィーネはジャバルの荒野で対峙していた。フィーネは、ツシマの攻撃を受け、彼が彼女を暗殺する命令を受けていたことを知り驚いたが、その後ツシマを圧倒する。しかし、ツシマは戦いを諦めず、自らの限界を超えた攻撃を放った。彼は過去の恨みと復讐の念に燃え、フィーネの最大攻撃を受けながらも立ち上がった。

フィーネはツシマを倒そうと更なる攻撃を準備したが、ツシマの執行した特殊なコードにより、自身の右腕を消失し、身体が崩壊していくことを感じた。彼女は最後の力を振り絞って戦ったが、結局ツシマの執行した存在消滅により致命的なダメージを受け、敗北した。

戦いの末、ツシマも限界を迎え、意識を失った。戦場には静寂が訪れ、ジャバルの土地には雪が静かに降り積もっていった。

雪で覆われた荒廃した街並みの中、初老の男アイマン・ドルーグが現れ、瀕死のツシマを見下ろして呆れた様子で話しかけた。しかし、そこに突然、アマノミカミという女性が現れ、彼と会話を交わした。アマノミカミはツシマに興味を示し、彼を回復させるための行動を取った。

アイマンは彼女の行為に感謝しつつも、フィーネというもう一人の負傷者に対しては彼女の処遇について意見を述べた。しかし、アマノミカミはフィーネを救うことを選び、アイマンと対立することなく彼女を連れて去った。

アイマンはツシマを引きずり、時空を割いて別次元空間に移動していった。雪が降り続く中、彼らの姿は消え去り、静寂だけが残った。

エルバル独立都市の中央会議場で、タチバナとカウサ・インサニアが対峙していた。バルガ帝国のカウサは、反逆の皇女事件や六帝剣の失敗による帝国の損失を認めつつ、タチバナに対して対話を試みた。タチバナは、帝国が受けた打撃について理解を示しつつも、エルバルがその状況を利用していることを示唆した。

カウサは、エルバルがルプスの亡命のために送り込んだツシマ・リンドウの正体について質問した。タチバナはツシマを「戦術兵器」として説明し、その能力と危険性をほのめかしたが、具体的な情報は明かさなかった。カウサはその回答に納得せず、さらなる情報を引き出そうとしたが、タチバナは巧みに話を逸らした。

会談の終わりに、カウサはエルバルでのある女性の状況について尋ね、タチバナは彼女がエルバル学園で順調に過ごしていると伝えた。会談を終えたタチバナは、新たな敵との駆け引きを楽しみつつ、未来の挑戦者の登場を期待して会場を後にした。

エピローグ

ルプスはエルバル学園の入学式の日、桜の木の下でツシマのことを考えながら学生生活の新たな門出を迎えていた。彼女は過去の出来事により、ツシマが戻らないのではないかという不安と、彼を失ったことへの後悔を感じていた。しかし、彼女の不安はアイマンから渡された手紙により一変した。その手紙はツシマからのもので、彼の生存を知らせる内容だった。

ルプスはアイマンにツシマの状況を尋ね、彼がまだ回復中であることを知った。彼女は急いでツシマに会いに行き、再会の感動からツシマに抱きついて泣いた。ツシマもまた、彼女の感情を受け入れ、温かい言葉をかけた。

再会の喜びが収まった後、ルプスはツシマに助けを求める。彼女はまだ解決すべき敵がいると告げ、ツシマに協力を依頼した。ツシマはその言葉を聞き、彼女の瞳の奥に深い決意と覚悟を感じ取った。

登場人物

ツシマ・リンドウ
ツシマ・リンドウは、冷徹な情報師であり、超常現象を操る特殊な能力を持つ「情報師」としての実力者である。彼はバルガ帝国からホーリーを亡命させる任務を受け、その中で幾度となく強大な敵と対峙した。ツシマは戦場での経験から心に傷を抱えており、非情な態度を取ることが多かった。しかし、彼の行動はすべて任務に忠実であり、彼の冷静な判断と計画的な行動は幾度もホーリーを危機から救った。ツシマは「ただの情報師」と自称していたが、彼の能力は並外れており、強敵である六帝剣とも互角に渡り合った。物語を通じて、ツシマはホーリーとの絆を深め、彼女を守る決意を固めていった。

ホーリー(ルプス・フィーリア)
ホーリーはバルガ帝国の没落貴族の娘であり、実は皇帝の第三皇女ルプス・フィーリアという隠された身分を持つ。彼女は帝国内の権力争いに巻き込まれ、命を狙われる身となったため、ツシマの助けを借りて亡命を目指した。物語の中でホーリーは自らの立場や過去に苦しみ、また、追手に対する恐怖と戦いながらも、次第に成長し、強い意志を持つようになった。彼女はツシマに対して感謝の気持ちを抱きつつも、時には反発しながらも互いに助け合う関係を築いていった。

カヌス・ミーレス
カヌス・ミーレスはバルガ帝国の六帝剣の一人であり、異常な力を持つ情報師であった。彼はルプスを追跡し、ツシマと激闘を繰り広げた。カヌスは非常に狡猾であり、召喚した巨大な化け物を駆使してツシマに襲いかかったが、最終的にツシマの策によって敗北した。彼は最後にツシマの正体を問うが、ツシマから「ただの情報師」と答えられ、敗北を悟った。

アイマン・ドルーグ
アイマン・ドルーグはツシマの古くからの知人であり、彼を助ける存在として登場した。アイマンは初老の男性で、ツシマが危機に陥った際に助け船を出し、彼を別次元空間に移動させた。アイマンは物語の中で重要な役割を果たし、ツシマの命を救うとともに、彼の回復を支援した。

フィーネ・プリムス
フィーネ・プリムスは光芒の情報師と呼ばれ、非常に強力な能力を持つ人物であった。彼女はツシマと対峙し、彼を無力化しようとしたが、最終的にツシマとの激戦の末に敗北した。フィーネはツシマによって致命的なダメージを負い、そのまま戦場を去ることとなった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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