どんな本?
『佐々木とピーちゃん』とは、ぶんころり 氏による日本のライトノベル。
イラストはカントクが担当しています。MF文庫J(KADOKAWA)より2021年1月から刊行されている。
この作品は、冴えない中年会社員(社畜)の佐々木が、ペットショップで購入した文鳥が異世界から転生した高名な賢者だったことで人生に大きな転機が訪れることになるというストーリー。
佐々木と文鳥のピーちゃんは、異世界と現代を行ったり来たりしながら、理想のスローライフを目指す。
しかし、彼らの前には異能者や魔法少女、ご近所JC、同僚JK、貴族、ロリババア、王子など、様々なトラブルメーカーが現れる。
この作品は、異世界ファンタジーと異能バトルと年の差ラブコメ(?)をミックスした、属性ジャンル全部乗せのエンターテイメント作品。
魔法や異能力、商売や交渉、恋愛やデスゲームなど、多彩な要素が盛り込まれている。
この作品は、2024年1月よりテレビアニメが放送予定。
このライトノベルがすごい2022 単行本・ノベルス部門 1位 獲得!
さらにアニメ化もする。
このラノベがすごい!2023でも安定の評価。
読んだ本のタイトル
佐々木とピーちゃん3 異世界ファンタジーなら異能バトルも魔法少女もデスゲームも敵ではありません ~と考えていたら、雲行きが怪しくなってきました~
著者:ぶんころり 氏
イラスト:カントク 氏
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
佐々木とピーちゃん(文鳥・ペット・賢者)は、今日も今日とて異世界と現代を行ったり来たり。理想のスローライフを求めて商売に精を出す。
佐々木とピーちゃん 3 異世界ファンタジーなら異能バトルも魔法少女もデスゲームも敵ではありません ~と考えていたら、雲行きが怪しくなってきました~
現代では二人静の協力を得たことで、異世界の金品を現代の貨幣に変える手段を手に入れた。
魔法の鍛錬も進み、異能力者や魔法少女を相手に異世界の魔法で無双。
あとはたっぷり稼いで、悠々自適なリタイア生活を目指すのみ。
だが、彼らの行く手を阻むように各所では騒動が巻き起こる。
異世界では国王の跡目争いが本格的に勃発。
貴族に取り立てられて領地経営がスタート。
現代では連日のように異能バトルが発生。
魔法少女注意報、発令中。
そして、デスゲームに巻き込まれたお隣さんは、悪魔と共に天使の使徒たちから狙われることに。
いよいよ各界の交錯が始まり、佐々木の身の上が混迷を迎える、完全書き下ろしの第三弾!
感想
「佐々木とピーちゃん 3」は、前作を上回るカオスと面白さだった。
元社畜で現在公僕の佐々木と、ペット兼任異世界の賢者のピーちゃんは、理想のスローライフを目指しつつ、現代と異世界を行き来する日々を送っていた。
今巻では、異世界の国王の跡目争いや、現代での異能バトル、魔法少女との邂逅など、複数の物語が複雑に絡み合って行く。
特に、天使と悪魔の代理戦争やデスゲームに巻き込まれるシーンは、佐々木が瀕死になってしまう圧巻の展開。
一方で、佐々木の身近な関係者たち、特にお隣さんのヤンデレ度が深刻になり。
呪いで便利使い出来る二人静にドンドン依存していく佐々木達。
終盤では次巻で大暴れする巨大怪獣が登場。
魔法少女と共に天使と悪魔のデスゲームに巻き込まれるなど様々なキャラクターとの関係に相互作用を与えていくり
佐々木が希望する平穏なスローライフとは裏腹に、彼を取り巻く環境は更にカオスな状況へと進んで行く。
最後には複数のヒロイン達が一箇所に集結して、お互いに牽制しあっている状態で今巻は終わる。
混ぜたら危険な人達が混ざってしまった、、
次巻
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
備忘録
〈領地と爵位〉
リザードマンの出現と会議の招集
佐々木は異世界での任務を終えて日本に帰還し、平穏な日々を過ごしていたが、テレビニュースにリザードマンが映し出されたことで状況が一変した。局からの急な呼び出しに応じて会議室を訪れると、既に星崎と二人静も招集されていた。課長の阿久津は、リザードマンの映像と異世界の言語との一致を指摘し、これが以前に二人静が連れてきた異能力者の言語と酷似していると説明した。
二人静の対応と調査任務の発令
課長は映像の音声を翻訳するよう二人静に依頼したが、彼女は知らぬ存ぜぬで通した。異世界由来の生物の出現に関する調査は、佐々木・星崎・二人静に命じられた。星崎は能力向上を認められ、佐々木との連携が指示された。直後、星崎はすぐに現地調査へ行こうと主張したが、佐々木は日没間近であることを理由に延期を提案した。
調査方針の調整と二人静の提案
意見が対立する中、二人静が調停に入り、星崎に現地調査を任せ、佐々木は局に残って言語解析に従事する案を提案した。星崎は新型の水筒に興味を持って同行者を譲らず、二人静は単独行動を選択したため、佐々木は局に残った。その後、佐々木は自宅でピーちゃんと合流し、異世界の拠点へ向かう予定を立てた。
帰宅時の隣人との遭遇と異常な欲求
自宅へ戻った佐々木は隣人の女子高生と再会した。彼女とのやり取りの最中、突如として異常な性欲に襲われ、理性を失いかけた。慌てて部屋へ逃げ込んだ佐々木は、回復魔法で異常を抑えた。自身の反応に困惑しつつ、医療検査の必要性を感じた。
少女の視点とアバドンの介入
一方、隣人の少女の視点からは、佐々木への執着が描かれた。彼女は悪魔アバドンと契約し、佐々木の性欲を刺激する術を試していた。佐々木の抑制された反応に戸惑いながらも、彼女は執着を強めて待ち続けた。アバドンもその異常性を指摘したが、少女は彼の拒絶と葛藤こそが悦びの源であると語った。
新たな拠点への移動と阿久津への警戒
その後、佐々木は二人静と共に新たな拠点へ移動した。車中ではピーちゃんと異世界と現実世界の状況について意見を交わし、阿久津への警戒も話題に上がった。二人静はかつての人脈を活かして阿久津の調査を担当することになった。
新拠点の設営と今後の物流
到着した拠点は相模湾沿岸の倉庫であり、輸送や貿易の利便性を考慮した設計であった。そこには砂糖やチョコレートなどの物資が既に用意されており、今後の異世界への輸送準備が整っていた。佐々木は海産物の輸出案なども検討した。
異世界の情勢とミュラー伯爵の依頼
異世界に渡った佐々木一行は、まずミュラー伯爵を訪問した。ミュラー伯爵からは、第二王子派にディートリッヒ伯爵が鞍替えしたとの報告があり、佐々木自身の名も貴族間で注目されていると伝えられた。そして、伯爵の一人娘エルザがアインハルト公の手で人質に取られたことが明かされ、王都への同行を要請された。
王族の陰謀と決意の同行
伯爵の懇願に対し、佐々木とピーちゃんは同意を示した。伯爵が自己を責める姿に対して、ピーちゃんは冷静に状況を把握し、協力の姿勢を崩さなかった。エルザが囚われているのは首都アレストの公爵邸と推測され、彼女の救出が急務とされた。佐々木は己の関与に責任を感じ、伯爵に同行する決意を固めた。
再訪の決意と互いの信頼
文鳥の姿のピーちゃんは、異世界の政治と現実世界の関係を見据え、佐々木との協力関係を改めて認めた。二人の間には確かな信頼が築かれており、そのまま王都へと向かう準備が整えられた。佐々木は、毎度異世界を訪れるたびに事件が起こる現状を自覚しつつも、逃げることなく立ち向かう姿勢を見せた。
王都への移動とミュラー家の屋敷
ミュラー伯爵と一行は、空間魔法によってヘルツ王国の首都に移動した。王都では有力貴族たちが邸宅を構える区域に、ミュラー家の屋敷も存在していた。その屋敷は本邸に比べると小規模ながらも立派な石造りであり、多くの使用人が働いていた。伯爵はその邸宅を自由に使ってよいと申し出た。一方、ピーちゃんがかつて住んでいた屋敷は敵対する貴族に没収されており、ミュラー伯爵はこれを語る際、痛切な表情を見せた。
アドニス殿下との邂逅
屋敷を案内される途中で、第二王子アドニス殿下と遭遇した。彼はエルザの人質事件が解決したことを察し、さらに今後について話したいことがあると申し出た。応接室に場を移し、殿下はササキに男爵位の授爵とレクタン平原の下賜が予定されていることを明かした。この提案は、ササキのルンゲ共和国での商会設立を受けて、王国として彼を囲い込む意図があると説明された。
レクタン平原下賜をめぐる議論
ミュラー伯爵は、レクタン平原が無人の緩衝地帯であることから、そこを領地として与えることに強く異議を唱えた。アドニス殿下もこの案に反対していたが、父王とアインハルト公との間で話が進んでいると明かした。アインハルト公は殿下の派閥内で最も力を持つ貴族であり、この処遇はミュラー伯爵への牽制でもあった。
ピーちゃんの意見と進展
議論の中、ピーちゃんはその土地に民がいないことをむしろ好都合とし、中央から距離を取る機会と捉えた。防衛施設の建設についても、自身が対応するので問題ないと語った。喧騒から離れた生活を望む一行にとっては、望ましい環境であると再確認された。
国王との謁見と爵位授与
翌日、アドニス殿下の導きにより、ササキとピーちゃんは国王との謁見に臨んだ。王宮では多くの貴族が見守る中、国王からササキに男爵位とレクタン平原の下賜が正式に言い渡された。だが、アインハルト公が異議を唱えたことから、王は譲歩する形でレクタン平原の領地下賜案を採用した。公爵の発言により、ササキは領地に防壁の建設を命じられた。
ササキの嘆願と王の承認
ササキは機を逃さず、ミュラー家の復権を願い出た。アインハルト公からの非難を受けつつも、王はアドニス殿下の信頼を重く見てその願いを認めた。これにより、ミュラー家の面目が回復する見込みが立った。
第一王子の登場と謁見の終幕
その場に同席していた銀髪の青年が第一王子ルイスであることが明かされ、謁見は滞りなく終えられた。王宮内の勢力図や貴族の思惑が交錯する中、ササキたちは次の一手を考え始めた。
夕餉の席での再会と防壁の話題
その夜、ミュラー家での食事の席にて、エルザと再会を果たした。彼女は解放された経緯に感謝を示し、ピーちゃんの活躍に驚嘆していた。ミュラー伯爵は防壁建設について協力を申し出たが、ピーちゃんは必要時に声をかけるとし、それまでは心配無用と告げた。伯爵はその言葉に喜びを隠せなかった。
ピーちゃんの信頼と静かな夜
エルザが不思議がる中、ピーちゃんに対する伯爵の丁重な態度は、文鳥の姿に隠された真の存在を物語っていた。食卓でのやりとりは穏やかに進み、ササキは文鳥を見つめながら、再び新たな一歩を踏み出す決意を新たにした。
ドラゴンによる国境防衛と商会との連携
ドラゴン召喚と国境防衛の構想
ササキ一行はミュラー伯爵の屋敷を発ち、レクタン平原へと向かった。目的は、マーゲン帝国との国境防衛における不安要素を取り除くことであった。現地には巨大な穴が存在し、過去に星の賢者の魔法で開けられたものであった。この穴を利用し、敵勢力を牽制する手段として、ピーちゃんはドラゴンを使い魔として召喚する計画を示した。
ゴールデンドラゴンの召喚
魔法陣を展開したピーちゃんは、黄金の鱗を持つ巨大なドラゴンを召喚した。このドラゴンは西洋風の姿を持ち、外見だけでも圧倒的な威圧感を放っていた。咆哮とともに姿を現したその存在は、軍事的な抑止力として十分な威力を示した。ササキはその強大さに驚きつつも、ペットには適さないと感じた。
複数のドラゴンによる抑止力の確保
ピーちゃんは更に一、二体の同種のドラゴンを召喚し、国境地帯の安全確保を進めた。彼の制御下にあるそれらは人間を襲わず、特にヘルツ王国民には危害を加えないよう配慮されていた。これにより防壁建設の準備が安全に進められる環境が整った。
ケプラー商会との再会と取引の継続
レクタン平原での任務を終えた一行は、ルンゲ共和国のケプラー商会を訪れた。ヨーゼフとマルクと再会し、事前に取り決めた物資の受け渡しを行った。量の増加に伴い、今回は商会近くの倉庫を利用して対応することとなった。マルクは体調もよく、衣服の質も向上し、順調な近況が伺えた。
マルク商会への新たな依頼
ササキはマーゲン帝国との国境防壁建設について相談し、必要な人員や物資の調達をマルク商会へ依頼した。防衛策として、野良のドラゴンが二体巣食っているという事実も共有し、これによって作業の安全が確保されていることを説明した。マルクは恩返しの機会としてこれを快諾した。
ヨーゼフの後援と商会連携の強化
ヨーゼフもまた、ササキの商品に対する市場の需要を評価し、マルク商会への支援を表明した。この協力により、今後の取引も円滑に進む見込みが強まった。ササキは自身が表に出過ぎないよう配慮しつつも、継続的な連携を望んでいた。
エイトリアムでの調整と資金提供
ケプラー商会との取引後、一行はエイトリアムへ移動し、ハーマン商会やフレンチに計画内容を説明した。フレンチからは町のためとして協力の申し出があり、信頼の輪が広がった。資金面では、ササキが大金貨五百枚をマルクに預け、作業開始に向けた準備が整えられた。
次なる訪問に向けた期待と余裕
防壁建設の大義名分により、今後数年間はミュラー伯爵領に滞在する予定となった。今回の異世界滞在は忙しく、魔法の練習すらできなかったため、次回はもう少し余裕を持って異世界を楽しみたいと願っていた。ササキとピーちゃんはそんな思いを共有しつつ、現代への帰還を果たした。
〈合流 一〉
天使と悪魔の代理戦争に巻き込まれた日常の変化
帰還直後の朝の描写と局からの連絡
佐々木は異世界から現代に戻り、自宅のアパートで早朝を迎えた。愛鳥であるピーちゃんとの会話から、世界間の時差の変化に言及された。局支給の端末を確認したところ、阿久津課長からの連絡はなかったが、二人静氏からの不在着信があった。佐々木は連絡を取ることにし、迎えに来た二人静氏と合流する約束を交わした。
二人静氏との再会と上司の調査報告
コンビニで落ち合った佐々木と二人静氏は、彼女の運転する高級外車で移動を開始した。車中で、二人静氏は阿久津課長に関する新たな情報を明かした。ボウリング場での騒動が課長による自作自演であるという事実、さらにその背景には過去の因縁や複数の関係者の関与があることが語られた。佐々木は驚きを隠せず、慎重にこの情報を扱う決意を固めた。
新たな騒動の発生と局からの指令
移動中、道路での大規模な渋滞と逃げ惑う人々の姿が目撃された。直後、阿久津課長からの出動要請が入り、魔法少女による騒動の対処を指示された。現場はすぐ近くであり、佐々木と二人静氏は対応に乗り出すこととなった。
隣人視点のデスゲーム再開
一方、佐々木の隣人である少女はアバドンとともに通学中、突然始まった天使と悪魔の代理戦争に巻き込まれた。アバドンの助力を得て、彼女は相手の天使と使徒を察知し、先制攻撃によって一組を瞬時に無力化させた。敵の動揺を誘い、戦況は一時的に彼女たちに有利に傾いた。
少女の成長とアバドンとの対話
戦闘の後、少女はアバドンとの対話を通じて、この長期的なデスゲームにおける立ち回り方を学んでいく。使徒としての仲間作りの必要性や、戦略的判断の重要性を痛感しつつも、アバドンの助言を受け入れながら、精神的にも成長していく兆しが見られた。
現場到着と魔法少女との再会
騒動の現場に到着した佐々木と二人静氏は、魔法少女と再び対峙した。彼女は異能力者に強い敵意を示し、交渉は不調に終わった。再び戦闘の気配が漂う中、突然、世界から音が失われ、周囲の人々や喧騒が一瞬にして消失した。
音の消失と新たな存在の登場
音が失われた現象に戸惑う中、遠くの空に羽の生えた人物が飛ぶ姿が確認された。この存在の出現と前後して、世界の異変が発生した可能性が高く、事態はさらに不穏さを増した。直後には炸裂音が遠くから響き渡り、より大きな危機の予感が漂った。
魔法少女との一時休戦と追跡の開始
佐々木は魔法少女に対し、一時的な協力関係を提案し、状況の解明を優先する姿勢を示した。最終的に魔法少女もこれに応じ、三人は羽の生えた人物の痕跡を追って、未知の事態に向けて共に行動を開始した。
人の消えた世界と異能力者たちの邂逅
静寂の街と現場への移動
人影の消えた世界で、佐々木は鍵のかかっていなかった自転車を接収して現場へ向かった。魔法少女は空を飛んで先行し、二人静氏も俊敏に移動していたため、体力のない佐々木は取り残されていた。現場付近に炸裂音が響き、三人が注意を払う中、突如として若い女性が現れ、魔法少女を悪魔、佐々木を使徒と勘違いして敵意を露わにした。
直美と貴好の登場と誤解
女性は直美と名乗り、続いて現れた若い男性・貴好に助けを求めた。彼女は自らを襲おうとしていると虚偽の報告をし、貴好は直美を守ろうと意気込んだ。二人は誤解と偏見から魔法少女を悪魔と断じ、従者である天使風の男・アルケーを呼び出して戦闘に移った。
天使の敗北と二人静氏の対応
アルケーは魔法少女を攻撃しようとするが、二人静氏が立ち塞がって異能力で迎撃した。相手の生命力を吸収する力によりアルケーは崩れ落ち、無力化された。これにより、貴好と直美は狼狽し、直美は貴好を裏切って差し出す発言をした。
空飛ぶ少年の襲撃
突如現れた空飛ぶ少年が、二人を使徒と認識して攻撃を開始した。少年は格闘能力に秀でており、貴好と直美の首を爆ぜさせて瞬時に葬った。その圧倒的な暴力性により、現場の空気は一変し、魔法少女や佐々木、二人静氏も警戒を強めた。
お隣さんの観察視点と隔離空間の理解
別視点として、使徒である少女が登場し、自身に与えられた生命力吸収の力や、少年=アバドンとの関係を内省していた。隔離空間内では悪魔や天使の分霊が戦っており、敗北した者は強制送還されるというルールも明らかとなった。少女はアバドンの指示を受け、次なる敵の撃破を許可した。
現実世界への回帰と混乱
少年が戦いを終えると同時に隔離空間は解け、現実世界に戻った。通行人や車の往来が再開され、騒然となる中、遺体を見た人々が動揺した。魔法少女は撤収し、局員が現場管理のために到着した。佐々木が警部と呼ばれ、現場指揮を任されたことで、昇進していた事実も判明した。
異常事態の整理と警察の到着
時間が戻っていたことや、自転車の消失など、現実と隔離空間の間に起こった齟齬が発覚した。二人静氏と佐々木はその事態に戸惑いつつも、魔法少女の退場を見送り、局員たちとともに現場の処理にあたった。情報隠蔽のため、監視カメラ対応や周囲への説明を進める中、通行人たちの注視も続いた。
少年との対峙と撤退
返り血を浴びた少年が問いを投げかけたが、佐々木は冷静に応対し、その場の状況をごまかしつつ時間を稼いだ。少年は深く追及せず、群衆に紛れて姿を消した。彼の実力と立場が不明なまま、緊急車両とヘリの音が響き、局の正式対応が始まった。
現場指揮と役職の認識
局員から現場指揮を要請されたことで、自身が「警部」であることを再認識した佐々木は、二人静氏の存在に助けられながら周囲の調整を始めた。今後も昇進した立場を活かしつつ、異能力者との戦いに備える必要性を感じ取っていた。
〈合流 二〉
エルザ様の決断と現代への旅路
異能力者との交戦と時間の異変
佐々木は魔法少女と野良の異能力者による衝突に巻き込まれ、時間外対応を行った。事後処理に半日を要し、局に戻る頃には日も傾いていた。食事も取れぬまま課長からの打ち合わせに呼ばれ、二人静氏と共に会議へ臨んだ。異能力者の襲撃と時間が過去に戻るという不可解な現象を報告し、課長はその信憑性と対応の正当性について確認を求めた。佐々木と二人静は、それが偶発的な干渉によるものであったと推測しつつも、核心に迫る情報は伏せた。
異世界への再訪とミュラー家の事情
局での勤務を終えた佐々木とピーちゃんは、二人静氏と合流し、異世界へ向かった。訪問先のミュラー家では、伯爵の一人娘エルザが第一王子ルイスから側室筆頭として婚姻を申し込まれていることを知らされる。伯爵は動揺し、家の立場と娘の幸せの間で揺れていた。その矢先、エルザが自害未遂を起こし、館内は混乱に包まれた。ピーちゃんの回復魔法により彼女は命を取り留めるが、心情は変わらず、父の重荷になりたくないと語った。
現代への一時避難計画
ピーちゃんは、エルザを一時的に死んだことにして現代で匿う案を提示した。伯爵は苦悩の末、娘の意志を尊重することを決断し、佐々木とピーちゃんに託す。エルザは現代の知識を学び、それを異世界へ持ち帰り町の発展に役立てたいと語った。伯爵はその覚悟に理解を示し、二人に最大限の信頼を寄せた。
ルンゲ共和国での取引と異世界ビジネスの発展
翌日、佐々木とピーちゃんはルンゲ共和国に渡り、ヨーゼフらと商談を行った。薬品や工業製品を売り込み、収益は防壁建設費の倍額に達した。この資金の一部をマルクへの謝礼として託し、関係の継続を図った。精神安定剤などの需要が高く、今後の収入も見込まれる情勢であった。
エルザの現代渡航と偽装作戦の実施
佐々木たちはミュラー家の手配した護衛部隊と共に首都へ向かう形で出発し、途中で幻惑と睡眠魔法を用いた偽装襲撃を実行。混乱に紛れ、エルザを現代へ転移させた。馬車の破壊など周到な演出が施され、彼女の死亡が信じられる形での偽装が成功した。
現代での新生活と二人静氏の協力
転移先は都内のホテルであり、エルザは二人静氏の支援を受けて滞在を開始した。ピーちゃんは通訳を務めつつ、インターネットによる現代知識の取得を促した。佐々木は日中の業務を終えてから彼女の生活環境を整え、今後の生活支援を約束した。エルザの存在を隠すため、外出を控えることとし、二人静氏も滞在に協力する構えを見せた。
未来への希望と新たな始まり
エルザは佐々木とピーちゃんの庇護のもと、異世界と現代の狭間で新たな生活を開始した。彼女の覚悟と周囲の支えが交錯し、未来に向けた静かな決意が築かれていった。
潜入捜査と星崎の影
局への出勤と調査指令
佐々木はエルザの迎えを終えた後、自宅を経由し、二人静と合流して局に向かった。到着後すぐに課長に呼び出され、前日の騒動で死亡した少年・貴好が通っていた高校へ調査に赴くよう命じられた。彼が異能力者であった可能性があるため、その確認と周辺の異能力者の調査が目的であった。
星崎と調査対象の関係性
星崎もその学校に通っていると知らされ、彼女に情報を漏らさぬよう厳重な注意を受けた。局の方針として、関係者に近い局員には同様の案件を担当させないという原則があり、佐々木が派遣される理由もここにあった。星崎と貴好の接点の有無についても局内では注目されていた。
局内人事と阿久津課長の野心
移動中、二人静から課長の出世に関する情報が伝えられた。先の騒動で責任を取らされた上司が更迭され、課長がその後釜に収まる可能性があるという。課長は過去に偽情報を流し、意図的に局員を動員した疑いもあったが、その行動は上層部の責任とされ、自らは利を得ていたようである。
高校への潜入と視察
学校側には既に視察の名目での訪問が通達されており、佐々木は名刺と身分証を提示して応接室に通された。校長は熱心に学校の魅力を語ったが、施設自体には大きな特色はなかった。校長の案内のもと学内を巡った後、佐々木は単独での調査を申し出て許可を得た。
貴好の教室周辺での聞き込み
校内では貴好に関する会話をしている男子生徒のグループを偶然目撃し、カメラで顔を撮影。局にデータを送信し、個人特定を依頼した。会話から貴好は新しい交際相手と一緒にいる可能性が示唆された。局としても彼の失踪は公にしておらず、関係者が逃走するのを防ぐ狙いがあった。
星崎の告白現場の目撃
調査中、星崎が男子生徒に告白される場面を偶然目撃。彼女は即座に断り、「気になる人がいる」と述べた。男子生徒の外見は整っており、周囲では人気がある様子だったが、星崎は中身を重視していた。佐々木はこの様子を見て彼女の別の一面に触れた。
校内での星崎への集団詰問
放課後、星崎はクラスメートの女子たちに袋小路で詰め寄られた。告白を断った理由や彼女の態度について責められるが、星崎は動じることなく応じた。女子たちは星崎が男子生徒を誘惑したと非難したが、星崎は毅然と反論し、自身は処女であると発言して誤解を払拭しようとした。
異能力の発動と隔離空間
その直後、周囲の音が消失し、世界が異能によって遮断された。佐々木の障壁魔法に反応した結果と判明し、障壁を張っていなかった二人静とは通信が断絶された。調査は一時的に中断され、佐々木は再び未知の異能力に巻き込まれる形となった。彼は電波の届かない空間に取り残され、単独での行動を余儀なくされた。
〈天使と悪魔〉
天使と悪魔、使徒の交錯する隔離世界
人の消えた世界での独り歩き
佐々木は、誰もいない住宅街を一人で歩きながら、昨日ともに行動した二人静や魔法少女の存在の有り難さを痛感していた。襲撃してきた少年との再遭遇を想定し、戦闘ではなく交渉による解決を決意する。空を飛び、身体能力に優れる相手には正面からの対峙は無謀と判断したためである。
天使と少年との誤認遭遇
住宅街で羽を持つ女性と少年に遭遇し、佐々木は「使徒」と誤認され敵意を向けられた。交渉も拒否されたため、仕方なく先手を打って攻撃魔法を放ち、女性の片脚を吹き飛ばした。倒れた彼女に対し、少年は取り乱しながらも敵意を維持したが、佐々木は敵意を示さず対話を試みた。
異なる価値観の相違と情報収集
少年との対話の中で、佐々木は「天使」「悪魔」「使徒」などの用語の意味を探ろうとするが、少年には「異能力者」などの言葉が通じなかった。これにより、佐々木はこの隔離世界が異世界や妖精界と同様の、異なるルールが支配する場所だと推測した。
天使の自己再生と撤退判断
天使の女性は自身の足を自己治癒し、佐々木はその回復力の異常性に驚く。彼女は佐々木を危険な使徒と認識し、本隊への報告を優先すべきと主張。少年は未練を残しつつも撤退を決断し、佐々木はその場で天使と悪魔の出現条件を尋ね、その答えから隔離世界の発生メカニズムを理解するに至った。
お隣さんとアバドンの迎撃戦
一方、別視点で描かれたお隣さんとアバドンは、天使たちの集団から奇襲を受けていた。二人は校庭に誘き出され、アバドンは肉体を変化させて迎撃態勢を取る。大規模な魔法による攻撃を防いだ直後、アバドンは反撃に出て天使数体を捕縛。だが、熾天使と思しき強敵の存在により戦況は不利となる。
佐々木の観察と異変への気づき
佐々木は騒音を聞きつけ、戦闘現場に近づいた。現場には若者たちと天使たちが集結し、戦闘が進行していた。天使に追い詰められるお隣さんとアバドンの様子を確認し、彼女が「使徒」であり、悪魔と契約している事実を確信する。だが、戦況は次第に悪化し、佐々木は介入を決断した。
強力な魔法の行使と佐々木の反撃
佐々木は自らが学習中であった強力な魔法の呪文を詠唱し、天使たちの放つ大魔法と拮抗。その光線は互いにぶつかり、天使側の陣形を貫いた。戦況を一変させたが、六枚羽の天使が降下し、お隣さんを狙って攻撃を再開したため、佐々木は彼女を庇って盾となり、自らの下半身を失う重傷を負った。
救援と意識の消失
佐々木の魔法によって形勢は逆転したものの、代償は大きかった。彼はお隣さんのために肉体を犠牲にし、その場で倒れた。回復魔法を使うも進行は遅く、視界が闇に閉ざされていくなかで、お隣さんの涙に包まれながら意識を手放した。
アバドンの防衛と脱出の模索
戦況はなお混沌としていたが、アバドンはお隣さんの命令に従い、敵対する天使の使徒を排除すべく動き始めた。二人は脱出の機会を伺いながら、戦闘の激化する現場からの撤退を模索していた。佐々木の犠牲は、彼女たちの戦いの運命を大きく変える契機となった。
〈領地と開拓〉
エルザ様歓迎と佐々木の報告準備
ホテルでの作戦会議
佐々木たちはお隣との別れを経て、二人静の運転でホテルへ戻った。天使と悪魔の代理戦争に関する調査はほぼ完了しており、報告をどうまとめるかが課題であった。ホテルの客室でピーちゃんやエルザを交えて意見交換が行われた。二人静は慎重な報告を主張し、佐々木もその方針に同意した。異能力報告の形式としては、「固有の空間を生み出す能力」とすることで一致を見た。
歓迎会の準備と実施
緊張を続けるエルザを和ませるため、佐々木は歓迎会の開催を決定した。会場はホテルのダイニングルームで、和洋折衷の豪華な料理が用意された。ピーちゃんやエルザも料理を楽しみ、終始和やかな雰囲気に包まれた。異世界のお嬢様に現代の食事と文化が受け入れられる様子は印象深く、佐々木にとっても安心材料となった。
食後の交流と時間の経過
食事後、佐々木は異世界への移動を検討していたが、ピーちゃんがエルザにインターネットを説明したいという意向を示したため、予定は延期となった。その間、二人はリビングに移動し、パソコンを囲んで会話を交わした。一方、佐々木はダイニングに残り、二人静と酒を酌み交わすこととなった。次第に酔いが回り、床に横たわってそのまま就寝してしまった。
酔い潰れた翌朝の混乱
翌朝、佐々木は床の上で目覚め、時刻がすでに午前九時を過ぎていることに気づいた。部屋を確認すると、エルザとピーちゃんも眠っており、全員が酔い潰れていたことが判明した。ピーちゃんは回復魔法を使う予定だったが、酔いの影響で失念していたと反省の弁を述べた。佐々木は気を取り直し、ピーちゃんの空間魔法で自宅へ戻り、急ぎ局に出勤する準備を整えた。
局での報告と課長との会議
局に到着した佐々木は、星崎から位置情報の履歴について問いただされるが、それをやり過ごしつつ、課長への報告を開始した。報告の要点は「空間を生み出す異能力者による干渉」というものであり、これまでの経緯と併せて説明がなされた。課長はこの内容を受け、案件の難易度再評価や今後の対応方針を再考する姿勢を見せた。また、しばらくの現場対応は他の局員に任せ、佐々木には報告書の作成と庶務を優先するよう指示が出された。
業務終了と余韻
会議終了後、星崎とのやり取りの中で佐々木は、彼女が言いかけた言葉の意図を確認しようとしたが、はぐらかされる結果に終わった。その後は報告書の作成と溜まっていた庶務を片付け、気づけば定時を迎えていた。異世界訪問の機会は見送られたが、全体を通して業務は円滑に進み、次なる展開への布石が整えられた。
異世界拠点での進展と新たな波紋
異世界滞在の開始と物資搬入
佐々木は局勤めを終えて帰宅したのち、ピーちゃんと共に高級ホテルで二人静と合流し、世界間貿易の商品を確認した。前回の穴埋めとして三倍の物資を用意し、ミュラー伯爵への報告のため異世界へ出発した。伯爵家ではエルザの近況報告を目的にビデオレターを再生し、伯爵に安心感を与えることに成功した。
ササキ領の急速な変貌
異世界に移動した一行は、レクタン平原に築かれつつある城壁を上空から確認した。作業は急速に進んでおり、数百人規模の作業員に加え、大小様々なゴーレムが運用されていた。ピーちゃんはこの進捗の背景にフレンチの活躍があることを知り、佐々木も驚きを隠せなかった。
フレンチの指揮と職人たちの連携
現地に降り立った一行は、フレンチと面会した。彼は飲食店の常連客たちの協力を得て現場を統率していた。中でも厳つい棟梁らが作業を支えており、佐々木の人柄を確認した彼らは安心して作業を続ける決意を固めた。また、ゴーレムの提供は冒険者ギルドによるものであり、その代表もフレンチの店の常連であった。
公爵派閥からの圧力と拒絶
ルンゲ共和国での商談を終えた後、佐々木はミュラー伯爵宅でアインハルト公の使者であるオーム子爵と対面した。子爵は城壁建設への介入と指揮権の要求を伝えたが、佐々木は毅然とこれを拒否した。怒声を上げる子爵に対し、佐々木はケプラー商会との関係を盾に交渉を退けた。ミュラー伯爵もその判断を支持し、騎士の増派を申し出た。
文鳥殿の秘密と伯爵の忠告
交渉の後、ミュラー伯爵は佐々木に対し、ピーちゃんが酒に弱く記憶を失うことがあると告げ、注意を促した。映像に映っていた飲酒の様子を見ての忠告であった。佐々木はこの一面を理解し、文鳥殿の意外な弱点に愛着を覚えた。
穏やかな結束と未来への期待
フレンチを中心に職人たちの士気は高く、佐々木の真摯な態度が彼らの信頼を得る結果となった。異世界での拠点整備は順調に進行しつつあり、関係者の協力によって城壁建設が加速していた。佐々木は計画の進行に慎重さを求めつつも、現地との連携に感謝しつつ歩みを進めていた。
〈流出〉
帰還と異世界魔法の訓練
佐々木はオーム子爵との接触後、拠点となる高級宿で数日を過ごし、異世界で魔法の練習に励んでいた。練習内容は隔離空間で会得したビーム魔法であり、ピーちゃんから安全な扱い方を学びつつ応用力を高めていった。一方で新たな魔法の習得は進まず、特に出社魔法に関しては発現の兆候すら見られなかった。
帰還後の混乱とピーちゃんの進化
現代に戻った佐々木は、自宅でピーちゃんの驚くべきITスキルの進歩に直面した。ゴーレムを操りスクリプトを操作する姿は、かつての彼の能力を遥かに凌駕していた。同時に、上司である阿久津課長からの未対応の呼び出しや、私用端末に届いた二人静氏からの着信により、事態がただならぬものであることを悟った。
ネット上の動画とその波紋
二人静氏から送られたソーシャルメディアの動画には、ピーちゃんと異世界の少女エルザの姿が映っていた。映像はライブ配信によって投稿され、多くの注目を集めていた。佐々木はこの動画が公開された理由に疑問を抱き、ピーちゃんが録画と配信を誤った可能性を考えた。加えて、映像は宿泊中の高級ホテルで撮影されていたことから、事態は深刻化した。
文鳥の過失と佐々木の対応
事態を把握した佐々木は、ピーちゃんの失態を優しく受け止めながらも、影響の大きさを理解し対応を迫られた。ピーちゃんは酒に酔った勢いで配信ボタンを押し、さらに寝落ちしていた可能性が示唆された。彼の過失に対して佐々木は責めることなく、代わりに上司への対応に向かうことを決意した。
上司との対決と情報戦
局に出向いた佐々木は、会議室で阿久津課長と対面し、動画に映るエルザの正体や自身の関与について追及された。佐々木は冷静に応じ、ホワイトボードを使って課長の過去の行動や組織内の構図を指摘することで対抗した。公安の関係者かと疑われつつも、あくまで局員としての身分を守る姿勢を貫いた。
互いの弱みと妥協の成立
佐々木は阿久津課長に対し、互いに弱みを握り合うことで共存する道を提案した。ピーちゃんの失敗によるリスクを最小限に抑えるため、自身も課長の行いに関与しないと明言し、現状の立場を維持することで合意に至った。課長は最終的に佐々木の申し出を受け入れ、事態の追及を控えることを約束した。
お隣さんの覚醒と疑念
一方、佐々木の隣人である少女は、テレビで放送された動画から文鳥の声に既視感を覚えた。映像に映るブロンドの少女と文鳥が、隣人の飼っている文鳥と酷似していたことから、真相を探るべく母親の生命力を奪って昏倒させ、スマートフォンを奪って調査を開始した。映像の撮影地が都内のホテルであることを突き止め、現地へ向かうことを決意した。
新たな飛行物体の出現
課長との対話を終えた佐々木は、ホテルへの帰路で謎の飛行物体を目撃した。周囲の通行人たちも注目し、SNSへの投稿が始まる中、佐々木はそれが異世界と関係ある可能性を感じつつも、報告するのは躊躇った。宇宙人や侵略者の存在も完全に否定できず、現実とフィクションの境界が曖昧になりつつあることを実感した。
佐々木と異能力少女たちの邂逅
ホテル侵入の計画とアバドンの力
少女は佐々木の動向を探るため、自宅アパートから電車に乗って都心のホテルへ向かった。警備員の目を避けるため、彼女はアバドンの助力を借り、姿を消す能力を得た。人に触れるとバレる制約はあったが、これで正面から堂々とホテルへ侵入することに成功した。彼女は高級ホテルの雰囲気に戸惑いながらも、エレベータを探して目的の階を目指した。
スーツの女との遭遇と嫉妬心
途中でエレベータに乗り込もうとするスーツ姿の女性と遭遇した彼女は、その女が口にした「佐々木」という名に反応し、こっそり同じエレベータに乗り込んだ。女の外見や言動から、彼女は佐々木の職場の同僚であり、親密な関係にある可能性があると少女は推察した。その言葉に彼女の感情は揺さぶられ、女の動向を追跡する決意を固めた。
最上階での尾行と正体の判明
女が向かった先はホテルの最上階であり、少女は距離を保ちながら追いかけた。途中、内装の豪華さに貧困育ちの自分とのギャップを痛感するも、それを振り払いドアの前まで同行した。女は警察手帳を見せることなくカードキーでドアを開け、少女は彼女が本当に警察関係者であると確信した。
部屋の中での邂逅と異能力者たち
部屋に入ると、そこにはニュース映像で見たブロンドの少女と文鳥がいた。ブロンド少女の言語は異なっていたが、明らかに緊張しており、彼女もまた異能力を持つ存在であると察せられた。そこへ、さらに黒髪の和服姿の少女が登場し、彼女もまた佐々木と行動を共にしていた人物であると明らかになった。部屋には次々と関係者が現れ、少女の不安と嫉妬はさらに膨らんだ。
空からの襲撃と魔法少女の出現
突然、空に浮かぶ魔法少女のような姿の少女が現れ、建物の窓ガラスを破壊してリビングに侵入した。その姿は子供ながらも攻撃的で、異能力者の排除を目的としていた。彼女の出現は他の少女たちにも動揺を与え、場の空気は一層緊張感を増した。
姿を現した少女と緊迫の対峙
それまで姿を消していた少女は、アバドンの能力を解除して自身の姿を現した。その瞬間、部屋にいた全員が一斉に反応し、武器を構えて臨戦態勢を取った。唯一、和服姿の少女だけが場を収めようとする素振りを見せたが、事態はそれを許さなかった。化粧女は拳銃を構え、魔法少女とブロンドの少女もそれぞれの異能力を行使する構えを見せた。
対立する主張と噛み合わぬ会話
リビングには各々の叫びが飛び交い、それぞれが佐々木や異能力者に対する思いを主張した。少女は佐々木を誰にも渡したくないと宣言し、他の少女たちも互いの存在を拒絶した。だが、誰一人として他者の言葉に耳を傾ける者はなく、場の空気は次第に混沌としていった。
決意と執着の表明
少女はこの混沌の中でも揺るがぬ決意を胸に抱いていた。佐々木は彼女のものであり、他の誰にも譲る気はなかった。その執着心と愛情は、彼に依存しきった彼女の生きる理由そのものであり、どんな障害が立ちはだかろうとも、彼の隣を譲る気は毛頭なかった。
【番外編】〈歓迎会〉
異世界からのお客様と食文化の交流
歓迎会と料理への称賛
二人静が用意した高級ホテルのスイートルームにて、異世界からの客人エルザを迎える盛大な歓迎会が催された。食卓に並ぶ料理はどれも豪華かつ手の込んだものであり、エルザはその味と見た目に深く感動し、満面の笑みで賞賛していた。フレンチ料理やビール、日本酒に至るまで、彼女にとって初めての味覚と懐かしさの混ざった体験となった。
ビールと日本酒に関する発見
エルザは父親が愛飲していたビールに似た酒を見つけるが、味が異なることに気づき、それがエールとラガーの違いであると説明された。また、甘口で飲みやすい日本酒にも満足し、それが入手困難な純米大吟醸であることが判明した。これらの飲み物が彼女の感動をさらに深めた。
刺身と食文化の違い
生魚を食べる文化に最初は戸惑いを見せたエルザも、実際に食すことでその美味しさに魅了された。ウニやイクラ、ホタテの肝など高級食材が並ぶ中で、刺身は日本酒と共に絶品の組み合わせとして楽しまれた。食卓の豊かさは、彼女の異世界における食文化への理解を一層深める契機となった。
言語の壁と会話の不便さ
エルザと二人静の間には言語の壁があり、通訳を介した会話が続けられた。二人静はその不便さに不満を漏らすが、異世界の秘密保持という観点から、通訳の存在は都合がよいと判断された。情報の流出を防ぐためにも、今の状況は維持すべきとされた。
人工甘味料の導入と商機
エルザの「甘くて美味しい日本酒」という一言から、現代世界にある「食べても太らない砂糖」こと人工甘味料の話題が広がった。ピーちゃんはその概念に興味を示し、実物を味わって驚きの声を上げた。彼の提案により、異世界の貴族層向けに高級品として少量販売するビジネス構想が立ち上がり、協力者である二人静との合意も得られた。
異世界ビジネスへの意欲
ピーちゃんは商売の成功を視野に入れた戦略を即座に構築し、偽物対策としてのパッケージ強化や販売対象の限定などを提案した。佐々木もそれに同意し、人工甘味料の異世界導入に本腰を入れることを決意した。日常の買い物にもビジネスの視点を持ち込むようになり、新たな商材の開拓に喜びを感じていた。
文鳥殿との絆と決意
文鳥殿であるピーちゃんとの連携は、商売における大きな支えとなっていた。甘味料を巡るやり取りの中で見せた彼の愛らしさや真剣さに、佐々木は深い愛着を感じていた。異世界での商売を通して、文鳥殿との生活をより豊かにするべく、今後も努力を続けていく所存であった。
アニメ
PV
二期制作決定
◣◥◣◥◣◥◣◥◣◥◣◥◣◥◣◥
— 『佐々木とピーちゃん』公式@TVアニメシーズン2決定!【小説8巻発売中!】 (@sasaki_pichan) March 24, 2024
TVアニメ「佐々木とピーちゃん」
シーズン2制作決定!!
◣◥◣◥◣◥◣◥◣◥◣◥◣◥◣◥
👔お待たせいたしました🕊
先ほどAJステージにて公開となりましたPV
ご覧ください
高画質👉
https://t.co/qsfTm71l93#ささピー #sasapi pic.twitter.com/my3FUl5oOE
OP
ED
同シリーズ
佐々木とピーちゃん シリーズ










漫画版



西野 学内カースト最下位にして異能世界最強の少年 シリーズ

その他フィクション

Share this content: