小説「セブンス 1 」先祖達が五月蝿いww 【感想・ネタバレ】

小説「セブンス 1 」先祖達が五月蝿いww 【感想・ネタバレ】

読んだラノベのタイトル

セブンス 1
著者:三嶋与夢 氏 イラスト:ともぞ 氏

あらすじ・内容

小説家になろう超人気ファンタジー。七人の先祖は敵か味方か!? 宝玉をめぐる剣と魔法のバトルロワイヤル!!

女神を崇め、剣と魔法が存在する世界で、領主貴族の嫡男として
生まれたライエルは15歳で家を追い出される。
理由は――妹のセレスに敗北したから。
過去には天才、麒麟児ともてはやされ期待されたライエルだが、
セレスによって屋敷では徐々に冷遇され軟禁生活を送っていた。
傷ついたライエルは、屋敷の庭に住み込む老人に助けられ、
宝玉のついた首飾りを受け取る。
老人が先代――ライエルの祖父から預かっていた、
【アーツ】が記録された青い玉は、ウォルト家の家宝とも言うべき物だった。
歴代当主七人のアーツが記録された宝玉を託されたライエルは、
それを持って屋敷を去るのだった――――。

(以上、Amazonより引用)

感想

10巻を読んでたら大分忘れてたので再読。
出だしはあらすじの通り。

七人の先祖は味方です。
世間知らずのライエルを教え導く存在だが、、
生きた時代が違う先祖が7人もおり、それぞれが好き勝手に自身の考えを言うものだからライエルは誰にの意見を聞いたら良いのか判らないww
それがこのラノベの面白い処とも言える。

先祖達のエピソード。
初代【バジル・ウォルト】は、宮廷騎士の家柄の三男に生まれる。開拓団に志願し、魔物が住み着いた森を切り開いてウォルト家の基礎を作った。
二代目【クラッセル・ウォルト】は、初代から受け継いだ土地を維持し、三代目である【スレイ・ウォルト】に託す。
その三代目であるスレイは、バンセイム王国の歴史に残る有名な戦い──レムラントの撤退戦で、少数で大軍の侵攻を止めたバンセイムの【義将】として、人々に知られている。ウォルト家がバンセイムの歴史に名を刻んだのは、スレイが初めてだった。
四代目【マークス・ウォルト】は、父であるスレイ・ウォルトの功績を受けて、男爵位を得た。
真に貴族と認められ、ウォルト家の繁栄はとどまるところを知らない。
だが、五代目【フレドリクス・ウォルト】は、そんな祖父や父とは対照的に、好色で名を知られていた。男爵家から子爵家に陞爵はしたものの、妻を娶った数年の後には、四人の妾を迎えていた。
六代目である【ファインズ・ウォルト】は、バンセイムが暗黒時代に突入したとあって、自領の拡大に精を出した。宮廷貴族と繋がりを持ち、周辺領地を奪い始めたのだ。混乱するバンセイム王国で、ウォルト家の家名も地に落ちたと言われるようになる。
だが、七代目である【ブロード・ウォルト】が誕生すると、ウォルト家に光が差す。
当時、バンセイムは内乱が続き、他国の侵略を許していた。
陞爵して伯爵家になったウォルト家。
それを率いるブロードは、バンセイムを窮地から救うために、獅子奮迅の活躍を見せる。王家の相談役という地位まで得て、ウォルト家に栄誉を取り戻したと言われていた。
(プロローグより引用)
初代、二代目は開拓村の村長。
三代目は戦死するが功績が認められて、四代目で男爵になる。
五代目はその基盤を強固にして子爵に任じられ、六代目で領土を拡大して、七代目で伯爵になる。
そして今は八代目だが、娘のセレスに魅了されており九代目のライエルを追放してしまう。

その妹、セレスは「邪神の子」と呼ばれる存在で。
過去に民衆を魅了して何百万、何千万もの人間が死ぬ戦乱を起こした傾国の美女アグリッサが取り憑いており、家族、家臣を魅了して、魅了出来ないライエルを軟禁し、遂には追放してしまう。

追放されたライエルは失意のまま、初級冒険者の街に行こうとするのだが、世間知らず過ぎてマトモな生活すら送れない状態。
そこに元婚約者のノウェムがある程度の資金を携えてライエルと同道する事になる。
その資金はノウェムの嫁入り道具を買うための資金であり、それを聞いた先祖達は悲鳴を上げて何処かに向かって謝罪しまくる。

でも、それを元手に冒険者としての常識を習うためベテラン冒険者の指導を受けるのだが、、

最初は全く上手くいかない。
それに落ち込んだライエルは、煽る初代に嫌気がさして宝玉を投げ捨てたら、たまたま通りかかった女性に当たってしまう。

その女性、アリアと不思議な縁が出来てしまい彼女が働くスイーツ屋に冒険者の友人と通うようになってしまう。
そのアリアの父親が盗賊団の盗品を売り捌く犯罪行為に手を染め、その盗賊の金を横領した事でアリアを攫い奴隷商に売られそうになる。

その盗賊団の討伐に先祖達が知恵を貸す。
領主から交渉で金を分捕り、盗賊を翻弄し捕縛、人質を救出。

その後、アリアは父親の罪のせいで娼館送りにされてしまうのだが、あくまでも書類上はであり、実際は娼館送りの判決の直後にライエルが身請けした事となりアリアは実質的には無罪放免となる。

そこで一巻は終わり。
こんな親戚が多く居たら楽しくてウザいだろうな。。
羨ましい。

ちなみに、ウォルト家には嫁取りの家訓があり初代が決めた事になってるが、本人は失恋と酔っ払った時の勢いで言っており。
素で覚えないと言った初代に、二代目から七代目はブチギレたww

ウォルト家嫁取りの家訓
一つ、容姿に優れていること。  
二つ、健康であること。  
三つ、体が丈夫であること。  
四つ、頭がいいこと。  
五つ、肌が綺麗であること。  
六つ、魔法に関して優れていること。

二、三は同じじゃね?ww
初代が酔った勢いで言った事だし良いかww

セブンスシリーズ

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セブンス 1
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セブンス 2
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セブンス 3
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セブンス 4
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セブンス 5
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セブンス 6
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セブンス 7
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セブンス 8
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セブンス 9
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セブンス 10

その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

バンセイム王国は、建国から三百年の歴史を持つ大国である。かつてのセントラス王国を打ち倒し建国されたこの国では、貴族たちが国を治めていた。中でもウォルト家は、領主貴族として二百五十年の歴史を持ち、初代から続く家系である。初代バジル・ウォルトは森林を開拓し、家の基礎を築いた。その後、三代目スレイ・ウォルトはバンセイム王国の名を高め、四代目マークス・ウォルトが男爵位を得て家の繁栄を築いた。

しかし、五代目フレドリクス・ウォルトは享楽的な生活を送り、六代目ファインズ・ウォルトはバンセイムの混乱に乗じて領地を拡大したため、ウォルト家の名声は地に落ちた。だが、七代目ブロード・ウォルトが誕生し、バンセイムを危機から救ったことでウォルト家の栄誉を取り戻した。しかし、八代目マイゼル・ウォルトの代になり、再び家には暗雲が立ち込めた。

マイゼル・ウォルトの息子、ライエル・ウォルトは、妹セレス・ウォルトに才能と愛情を奪われ、冷遇されるようになった。ライエルはかつては家族から期待され、ウォルト家を継ぐとされていたが、セレスが優れた才能を示し始めると状況は一変した。彼は家族に認められたいと努力を続けたが、その努力も虚しく両親の愛情は妹に移っていった。セレスはライエルを見下し、彼を貶めるような行動をとった。

ある日、セレスは誕生日に贈られたレイピアを使って、ライエルと戦った。ライエルは必死に戦ったが、妹に勝つことはできず、最後には妹の魔法によって倒された。周囲の大人たちはセレスを称賛し、ライエルを冷たく見下した。彼はもはや家族の中で居場所を失ったと感じ、悔しさを抱えながら意識を失った。

ライエルは、過去に両親から与えられたサーベルの破片を見つめ、かつての家族の温かい思い出を思い出しながら、孤独と絶望に包まれた。最後に、祖父母の優しい顔を思い浮かべながら、彼の意識は途切れていった。

ライエルが意識を失っている間、フォクスズ家でも動きがあった。フォクスズ家はウォルト家に隣接する領地を持ち、忠義を尽くす家であった。当主であるジェラード・フォクスズは、娘のノウェム・フォクスズに、ライエルが廃嫡され追放されること、そして婚約が解消されることを伝えた。ノウェムは動じることなく、ライエルの元に行くと告げた。ジェラードは娘に路銀を渡そうとしたが、ノウェムはフォクスズ家がウォルト家に疑われる可能性を考え、それを拒否した。ジェラードはフォクスズ家の家宝である魔具をノウェムに手渡し、彼女を送り出した。

一方、意識を失っているライエルは、暗い世界で体の痛みを感じていた。遠くから複数の声が聞こえてきた。声は粗暴なもの、面倒くさそうなもの、豪快なものと様々であった。それらの声は歴代のウォルト家の当主たちであると推測された。ブロードという名前が出てきたとき、ライエルは祖父の名前を思い出した。声が若く感じられたが、確かに祖父の声であった。

歴代当主たちの声は、ライエルがウォルト家の血縁者であることを確認し、彼の存在を歓迎した。ライエルは、祖父や曾祖父の声を聞きながら、混乱して意識を失っていった。彼が聞いた声は、まるであの世で歴代当主が彼を待っているかのようであった。

第一話  宝玉

ライエルは過去の夢を見ていた。彼はかつて、誰かに認められたいと望みながらも、自らを追い込んで剣を振るっていた。婚約者として現れた少女に対しても、冷たい態度をとっていたが、彼女はそれでも彼のもとを訪れていた。目覚めたライエルは、命を救ってくれた庭師のゼル爺さんに感謝しつつも、家を追い出されて何も持たない自分を情けなく感じていた。

ゼル爺さんはライエルを励まし、ウォルト家の異常な状況を憂いていた。ライエルは家を出る決意を固め、冒険者になると告げた。ゼル爺さんは心配しつつも、彼の選択を支持した。ライエルは冒険者の仕事や、冒険者ギルドの仕組みについても話を聞き、未知の世界に挑むことを決意した。

ライエルはまた、死後の世界かのような夢を見たことを思い出し、ウォルト家の歴代当主たちの声を聞いたことをゼル爺さんに話した。ゼル爺さんは真剣に受け止め、満足した様子でライエルに休むように促した。ライエルは、新たな一歩を踏み出す準備を進めていくのだった。

ライエルは翌朝、屋敷を出るための準備を整えていた。ゼル爺さんから古い服を借り、彼の息子の古い服を着ていた。ゼル爺さんはライエルに硬貨を入れた革袋を渡し、彼が無一文で旅立つことを心配した。ゼル爺さんは、ライエルがウォルト家の先代と交わした約束を果たすために宝玉の首飾りを手渡した。

宝玉は魔具の一種で、アーツを記憶するものであった。ライエルはこの宝玉を受け取り、ゼル爺さんに感謝しつつ恩返しを誓った。ライエルは都市を離れる前に、行商人に頼んで荷馬車に乗せてもらうことになった。行商人はライエルが魔法を使えることを見て、料金を取らずに護衛として荷馬車に乗せることを決めた。

しかし、ライエルが旅立とうとしたその時、聞き慣れた女性の声が彼を呼び止めた。それはノウェム・フォクスズであり、彼の元婚約者であった。ノウェムは旅支度を整え、ライエルと共に行くことを望んでいた。ライエルは驚きつつも彼女の姿を見て、彼女の決意を感じた。

第二話  元婚約者ノウェム

ライエルは荷馬車の上でノウェムと共に座っていた。彼はノウェムの視線を感じながら、彼女の優しさに対して少々不安を覚えていた。ノウェムはライエルの傍にいることを望み、自らの意志で彼についていくと告げた。ライエルは彼女の決意を受け入れつつも、自分が不幸をもたらすのではないかと心配していた。

ライエルはノウェムに冷たく接し、彼女を帰らせようとしたが、ノウェムの強い意志に動かされてしまった。ノウェムは実家に帰らないと断言し、家族から自由にするように送り出されたと説明した。

ライエルはノウェムの固い意志を前に説得を諦め、「勝手にしろ」と言った。ノウェムは微笑んでその言葉を受け入れた。その時、ライエルは周囲に誰もいないのに声が聞こえることに気づいた。ノウェムにはその声が聞こえていなかったため、ライエルは自分が幻聴を聞いているのではないかと考えた。

ライエルは疲れを感じ、精神的に追い詰められていることを実感した。彼はしばらく休もうとしつつ、声の正体を考えながら不安を抱えていた。

その日のうちに宿場町に着いたライエルとノウェムは、行商人と相談して明日以降も同行させてもらうことに決めた。宿場町は賑わっており、空いている宿を探し回ったが、どこも満室であった。ようやく見つけた宿で、一部屋しか空いていないと言われたが、ノウェムはそれで構わないと部屋を予約した。

宿屋の主人から部屋の説明を受けたライエルは、荷物を置いて食事に出かけることにした。ノウェムと共に食堂で食事をしている間、ライエルはまたもや幻聴のような声を聞くようになった。周囲に誰もいないのに、彼に対して批判やアドバイスをする声が聞こえたが、ノウェムにはその声が聞こえていなかった。

宿屋に戻ったライエルは、ノウェムが用意してくれたお湯で体を拭いてもらい、髪を洗ってもらった。ノウェムは宿の設備やお金の使い方についてアドバイスをし、ライエルは彼女の親切心に感謝した。しかし、再び声が聞こえ、彼はその声に従って部屋の外に出ることにした。

廊下で一人になったライエルは、声の正体に悩みながらも、疲れを感じて椅子に座った。慣れない旅の疲れや、セレスとの戦いでの消耗が影響しているのかもしれないと考えた彼は、少し休むことにした。

ライエルは突然、宿屋の廊下から円形の部屋に移され、混乱していた。円卓を囲むように椅子が並んでおり、中央には青い石が埋め込まれていた。周囲には、20代後半から30代前半の男性たちが座っており、それぞれ異なる服装をしていた。

目の前にいた蛮族のような男は、自分たちがライエルに話しかけていた声の主であることを告げた。さらに、彼らはライエルの先祖であることが判明した。ライエルの祖父、ブロード・ウォルトも若い姿で現れ、彼を歓迎したが、他の人物たちはそれぞれ不満や無関心な様子を見せていた。

ウォルト家の歴代当主たちは、それぞれ自己紹介を始めた。初代のバジル・ウォルト、二代目のクラッセル・ウォルト、三代目のスレイ・ウォルト、四代目のマークス・ウォルト、五代目のフレドリクス・ウォルト、六代目のファインズ・ウォルト、そして七代目のブロード・ウォルトであった。

ライエルは、ウォルト家の歴代当主たちと対面し、何が起きているのか理解できずに混乱していた。

第三話  歴代当主

ライエルは、椅子に座って寝てしまった後、知らない部屋でウォルト家のご先祖様たちと対面する状況に遭遇した。ウォルト家の初代であるバジル・ウォルトは、ライエルを「死んだ魚みたいな目をしている」と叱責し、祖父のブロード・ウォルトと口論になっていた。彼らはウォルト家の歴代当主であり、ライエルの今後について話し合っていた。

クラッセル・ウォルトやスレイ・ウォルトといった歴代当主たちは、ライエルが家を追い出された経緯や妹セレスのことについて尋ねた。ライエルは、妹セレスがすべてを完璧にこなす才能を持ち、屋敷の雰囲気が彼女中心に変わっていったことを話した。

ご先祖様たちは、セレスのアーツの発現の可能性について議論したが、それが原因でライエルが家を追い出された可能性は低いと判断した。ライエル自身も支援系のアーツを発現していることが判明したが、具体的な効果はまだ分からなかった。

その後、ファインズ・ウォルトはウォルト家の家臣であるフォクスズ家との関係について尋ね、ウォルト家とフォクスズ家が特別な関係にあることが明らかになった。クラッセル・ウォルトはフォクスズ家に感謝の意を示し、歴代当主たちはフォクスズ家との付き合いを大事にしてきたことを語った。

話し合いの中で、ライエルはご先祖様たちの意見を聞きつつも、現実とのギャップに困惑していた。そして、疲れを感じ始めたライエルに、ノウェムの声が遠くから聞こえてきた。

ライエルは目を覚まし、椅子に座って寝ていたことに気づいた。ノウェムが体を拭き、頭を洗ってくれたことを知り、彼女のサポートに感謝した。彼女は洗濯もしてくれ、ライエルは疲れていたため、フラフラとしながら部屋までノウェムに連れて行かれた。

ノウェムの手助けでベッドに横たわったライエルは、夢ではない現実を思い出しながら、彼の首に下がった宝玉を見つめた。心の中でご先祖様たちとの対話が夢でないことを確認したが、疲労がひどく、詳細を考える余裕はなかった。

ノウェムが優しく毛布をかけてくれる中、ライエルは再び眠りに落ちた。彼女の優しい声が最後に聞こえてきたが、ライエルはすぐに深い眠りに入った。

第四話  世間知らず

ライエルは翌朝、疲れを感じながらも目を覚まし、ノウェムの助けを借りて朝の準備を整えた。彼はノウェムの支えに感謝しつつ、買い物の計画を立てた。ノウェムは必要なものをほとんど揃えていたが、ライエルにはまだ揃っていない道具が多かった。彼は丸腰であることを気にし、サーベルなどの武器を探すことを考えた。

ノウェムは行商人と一緒に旅を続けることを提案し、ライエルもそれに同意した。彼女は武器に詳しくなかったが、彼のサポートをしっかりと続けていた。ライエルはノウェムの魔法の能力を称賛し、彼女の献身に感謝した。

数日後、ライエルたちは街に到着し、行商人から助力に対する感謝として大銅貨を受け取った。行商人はオーランで冒険者を目指すのは困難かもしれないと忠告し、代わりにダリオンという場所を勧めた。ダリオンは冒険者に寛容で治安も良いとのことで、ライエルはノウェムと相談し、その提案を受け入れた。

最後に、行商人は連結馬車でレムラントからセントラルに向かうことを提案し、ライエルとノウェムの成功を祈った。ライエルは感謝の意を示し、二人は新たな目的地に向けて準備を進めた。

ライエルたちはレムラントに到着し、宿を探していた。その途中で彼はウォルト家の三代目、スレイ・ウォルトの名前が刻まれた記念碑を見つけた。スレイはバンセイムの英雄として称賛されていたが、本人はその評価に不満を抱いていた。ノウェムはライエルにスレイのように立派になれると励まし、ライエルはスレイのイメージが崩れるのを感じながら、宿を探し続けた。

その後、ライエルは宿に入り、部屋が満室になる前にチェックインした。彼は風呂がないことに不満を漏らすが、ご先祖様たちは時代の違いに関する議論を始めた。彼らは、風呂のある宿が増えたことに感心しつつも、未だに戦争が続く時代を嘆いていた。

夜になり、ライエルは宝玉の中でご先祖様たちと対話した。彼らはライエルの魔力の消耗を気にしつつ、話し合いのルールを決めようとした。初代バジルはライエルの妹、セレスについて「邪神の子」と推測したが、他のご先祖様たちはそれを真面目に受け止めず、議論は散会となった。ライエルは混乱しつつも、翌日に備えて現実に戻ることにした。

第五話  魅入られた者

ライエルとノウェムは、レムラントからセントラルに向かうために高価な連結馬車を利用した。馬車には馬に魔具が装着されており、早く安全に目的地に到着するため、料金は高額であった。ノウェムはチケットを用意し、ライエルに渡した。ライエルは金額の大きさに驚いたが、ノウェムがしっかりしていることに安心感を覚えた。

旅の途中、ノウェムはライエルの肩に寄りかかり眠った。ライエルは彼女に感謝しつつ、自分がもっとしっかりしなければならないと感じていた。宝玉内の歴代当主たちは、馬車の速度や護衛の姿に興奮し、自分たちの時代の自慢話を始めた。ライエルは彼らの話を聞き流しながら、旅を楽しむことにした。

数日後、セントラルに到着したライエルは、街の喧騒と砂埃に驚いた。四代目の指示でノウェムと一緒にダリオン行きのチケットを購入し、宿を探した。ノウェムはライエルの提案に感謝し、彼の気持ちを嬉しく思ったが、自分が支払うことを申し出た。ライエルはその優しさに感動しつつ、自分の未熟さを痛感した。歴代当主たちはノウェムを称賛し、ライエルには辛辣な評価を下したが、ライエルはそれを受け入れ、成長しようと決意した。

ライエルは豪華な宿で休むも、宝玉内で初代と対面することになった。初代はライエルの態度に不満を持ち、彼を叱責した。初代は、セレスが邪神の子かもしれないと考え、ライエルにその可能性を告げた。ライエルは自分の立場を理解し、どうすべきかを考えるよう求められたが、答えを見つけることはできなかった。

次の日、ライエルとノウェムは連結馬車でダリオンに向かっていた。ライエルは旅の間に自分の無力さを痛感し、落ち込んでいた。しかし、ノウェムの励ましを受けて、立派な人間になる決意を新たにした。ノウェムは彼の決意を支持し、共に頑張ることを誓った。ライエルは周囲の視線を意識しながらも、ノウェムとの未来を見据え、成長することを誓った。

第六話  冒険者ギルド

ライエルとノウェムは、冒険者の街ダリオンに到着した。ダリオンはかつて寂れていたが、領主の代替わりによる改革で活気を取り戻しつつあった。街を見ながら、歴代当主たちはそれぞれの価値観で意見を交わしていた。

到着後、ライエルとノウェムは宿を探し、翌日、冒険者ギルドを目指して出発した。ギルドへの道中で出会ったロンド、レイチェル、ラーフの三人組は、親切にギルドの場所を教えてくれた。彼らも冒険者であり、ダリオンでの活動を経て、一流の冒険者を目指すことを目標としていた。

ギルドの建物に到着したライエルは、一階部分が市場のようになっていることを不思議に思った。これに対し、四人や宝玉内の歴代当主たちは溜息をつき、ライエルの質問をおかしなものとして受け止めていた。ライエルは自分の無知を改めて感じ、これからの冒険者生活に不安を抱くのだった。

ライエルとノウェムは、冒険者ギルドで冒険者登録を行うために訪れていた。そこで出会ったロンド、レイチェル、ラーフの三人に、ギルドについての説明を受けた。ギルドは魔物の素材を取り扱うが、特に魔石という資源の管理に重きを置いているという話であった。

ホーキンスという強面の受付係に登録を依頼し、手続きを進めた。登録料は金貨一枚であり、ノウェムはその場で支払いを済ませた。ギルドカードを受け取り、冒険者としての基本的な説明を受けた後、掲示板に掲載されたベテラン冒険者による指導プログラムに興味を持った。

ノウェムは、専属指導員による高額な指導を申し込み、これがライエルの将来への投資であると考えた。ライエルはノウェムの意志の強さに圧倒され、結果としてノウェムの決定に同意することとなった。

ライエルは、ノウェムの支援に頼りながら冒険者生活をスタートさせることとなったが、歴代当主たちはライエルの姿勢に疑問を抱き、ノウェムの支えに頼りすぎていると感じていた。

第七話  折れた心

ライエルとノウェムは、ギルドで配布された冊子を読みながら、冒険者としての基礎知識を確認していた。しかし、歴代当主たちの意見が分かれる中、ライエルはノウェムが自分に尽くしてくれる理由を尋ねた。

ノウェムは、自身の嫁入り道具を売り払ってライエルの旅を支えていることを明かし、それにより歴代当主たちはライエルに対して自分の夢を実現することを促した。

ノウェムの思いを知ったライエルは、彼女の尽力に対して感謝の意を示しつつ、過去のトラウマからくる不安を打ち明けた。ノウェムはライエルに寄り添い、彼の価値を信じていることを伝え、共に頑張ることを誓った。

ライエルはノウェムの言葉に涙を流し、彼女に支えられながら眠りについた。ノウェムの存在が、ライエルにとっての心の支えとなったのである。

ライエルは宝玉内で、初代、二代目、三代目が肩を組んで歌っている姿を見ていた。彼らはライエルをからかうような歌を歌いながらも、彼にもっと自信を持つように勧めた。四代目や七代目は、ライエルにノウェムを幸せにするように促し、ノウェムとの結婚を推奨した。ウォルト家の家訓が話題に上がり、初代がその家訓を作ったことを忘れていたことが明らかになると、二代目は初代に怒りをぶつけた。初代は家訓を作った覚えがないと言い訳をしたが、周囲は初代を助けることなく、二代目に殴らせるべきだという意見で一致した。ライエルは、彼らのやり取りを見守りつつ、ノウェムと共に頑張る決意を新たにした。

第八話  続いてしまった家訓

ウォルト家には「嫁取りの家訓」があり、厳しい条件が課せられていた。その条件は容姿、健康、体の丈夫さ、頭の良さ、肌の綺麗さ、そして魔法の才能であった。これらの家訓を守ることが重要視されていたが、実際には初代が作った覚えはないという事実が明らかになり、初代を含む歴代当主たちは驚いていた。

ライエルとノウェムは、ダリオンの冒険者ギルドで専属指導員として選ばれたゼルフィーと出会った。ゼルフィーは十年以上の経験を持つベテラン冒険者であり、二人に冒険者としての基本を教えた。彼女は、冒険者として必要な能力はその土地によって異なることを伝え、自分たちに必要な人材を探す重要性を説いた。

ゼルフィーは指導の条件として、自分の方針に従うこと、依頼の選り好みをしないこと、そして仲間を少なくとも一人増やすことを挙げた。仲間を集める際には、ダリオンを出る意志のある者を選ぶよう勧めた。ライエルはサーベルを好んで使うと伝えたが、ゼルフィーは実用的な選択肢として他の武器も考慮するよう提案した。

指導初日は座学で始まり、基本的なマナーや今後の予定について教えられた。ゼルフィーは冒険者は体が資本であり、休むことを怠らないよう指導した。彼女は初めての依頼として「溝掃除」を勧めたが、その依頼は多くの冒険者が避けるものであった。ゼルフィーは、この経験が冒険者としての基礎を築くために重要であると説明し、ライエルとノウェムに受けるよう促した。

ライエルは、ダリオンの街で溝掃除の依頼を受け、泥だらけになって作業をしていた。ノウェムはゼルフィーの指示で見守っていたが、冒険者としての経験がないライエルは初めての溝掃除に苦労していた。

その間、宝玉内の歴代当主たちはライエルの血筋について議論していた。ライエルはかつて大陸を統一していたセントラス王国の王族の血を引いていることが判明し、七代目の祖父はその血統を誇りに思い、ウォルト家を公爵家に昇進させる計画を持っていた。しかし、三代目は現状を直視し、ライエルは冒険者としての道を歩む必要があると主張した。

歴代当主たちはそれぞれの意見を述べる中、ライエルは作業の疲れから体力を消耗し始めた。ノウェムは心配して交代を申し出たが、ゼルフィーはライエルの体力不足を指摘し、今後の指導方針を考えていた。ライエルは、初代の声を聞きながら、もう少し静かにして欲しいと思った。

第九話  初恋の人……の子孫

ライエルはダリオンの街で冒険者としての日々を送っていた。彼はゼルフィーの指導の下、冒険者としての基本を学びながら、毎日肉体労働系の依頼をこなしていた。ゼルフィーは、評価を『B』以上にすることを目標にライエルを指導しており、その過程で評価の低い冒険者に厳しい態度を見せる場面もあった。

ノウェムは別の依頼で代筆の仕事をしており、その成果を評価されていた。レイチェルはノウェムの仕事ぶりを褒め、彼女の字や文章の上手さを称賛した。しかし、ノウェムが自分の収入を実際より少なくライエルに報告していたことが明らかになり、初代の指摘でライエルは自分の稼ぎの少なさに落胆し、その場を立ち去った。

ライエルは、ノウェムの配慮を理解しつつも、自分の現状に失望し、悩みを抱えながら走り去っていった。

ライエルはダリオンの街を歩いていた。彼はノウェムが自分を気遣って稼いだお金を少なく報告していることを知っていたが、自分の不甲斐なさに悔しさを感じていた。彼は宝玉を外し、それを投げ捨てようとしたが、誤って赤い髪の少女アリアにぶつけてしまった。アリアは彼に宝玉を返し、自分の働く店に誘った。

ライエルはアリアの誘いに乗り、彼女の手を引かれて店に向かった。店の周囲にはいかがわしい店が並び、男性たちが集まっていた。アリアの紹介で店に入ることになったライエルは、宝玉内で初代がアリアを自分の初恋の人アリス・ロックウォードに似ていると興奮していたが、他の歴代当主たちは困惑していた。

一方、ギルドの受付では、ホーキンスとゼルフィーがライエルのことを話していた。ゼルフィーはライエルが元貴族の子弟でありながらも、真面目に仕事をこなしていることに好感を持っていた。また、ノウェムはギルドで代筆の仕事をしており、評判が良かった。

数日後、ゼルフィーはノウェムとレイチェルからライエルの行動について相談を受けた。ライエルが仕事の後にフラフラと出かけ、何をしているのか曖昧に答えることを不安に思っていたノウェムとレイチェルは、ライエルがロンドとラーフと共に遊びに行っていることを知り、心配していた。

ゼルフィーは二人の不安を和らげるために、男性が欲望を適度に発散することも必要であると諭し、ノウェムとレイチェルに対し、ライエルたちを尾行して様子を確認することを提案した。ノウェムとレイチェルは真剣な表情でゼルフィーの提案に耳を傾けた。

第十話  アリア

ライエルはアリアの招待で秘密のスイーツ店を訪れ、その後、知り合いのロンドとラーフと一緒に通うようになった。店は女性従業員がミニスカートで接客する、隠れ家的なスイーツ店であった。ラーフは甘い物が大好きで、実家では味わえなかったスイーツを楽しんでいた。ライエルもスイーツを楽しんでいたが、ノウェムに対して後ろめたさを感じていた。

ある日、ノウェムとレイチェルが店に訪れ、ライエルたちの秘密を知ることになった。ノウェムは驚いた様子だったが、ライエルに銀貨を渡し、「毎日頑張っているから息抜きが必要」と優しく許した。ノウェムの優しさに、ライエルは罪悪感を覚えた。

宝玉内の初代は、ノウェムの反応を喜んだが、五代目が「ライエルはノウェムのヒモではないか」と呟き、ライエルもその指摘を認めざるを得なかった。ノウェムは、「毎日の報酬では足りないでしょう」と言い、ライエルが友人たちに奢ることを促した。

ノウェムの優しさと支援を受けたライエルは、彼女への感謝と共に、より一層の努力を誓った。彼はノウェムの寛大さに感動し、今後も誠実に行動しようと心に決めた。

翌日、ライエルはアリアの店を訪れた。アリアが笑顔で迎えてくれると、ライエルはロンドたちに渡すお土産としてパイを注文した。アリアはノウェムの話を聞いて少し驚いていたが、ライエルが新人冒険者としてゼルフィーの指導を受けていると知り、安心した様子だった。ライエルは昨日の出来事を思い出しながら、アリアの励ましに元気を取り戻した。

その夜、ライエルは宝玉内で歴代当主たちと会話をしていた。初代はアリアの店にライエルを通わせ、ノウェムに気を遣わせたことで他の当主たちから責められていた。初代は初恋の相手であるアリスに未練があり、アリアがその子孫である可能性に心をときめかせていた。歴代当主たちは、初代の行動を非難しつつも、ライエルに初代のアーツを教えることの重要性を説いた。

七代目は、初代のアーツ「フルオーバー」がライエルにとって有用であると説明した。歴代当主たちは、ライエルがそのアーツを習得することで魔力の消費問題を解決し、彼らのアーツを使いこなせるようになると考えていた。しかし、初代は頑なにライエルにアーツを教えることを拒否していた。ライエルと他の当主たちは初代の態度に呆れつつも、どうにかしてアーツを習得する方法を模索することにした。

ライエルがゼルフィーの指導を受け始めて三週間が経ったある日、彼は仕事を終えた帰りにゼルフィーに呼ばれ、街の喫茶店で飲み物をご馳走になりながら話を聞いた。ゼルフィーは翌日を休みにし、明後日には街の外での冒険に向けた準備を整えるよう指示した。装備を揃えたライエルとノウェムは、ようやく冒険者らしい活動を始めることができると安堵した。

一方、アリアは酔いつぶれた父を連れてダリオンの路地裏を歩いていた。彼女の父は元貴族でありながら無職の酔っ払いとなり、アリアの稼いだお金を酒や博打に費やしていた。アリアは父の借金を返済するために働いていたが、店主からは父の危険な借金先について忠告された。アリアは、いつか父が真面目に戻ることを信じていたが、現実は厳しかった。元々セントラルの貴族だったロックウォード家は、父の横領によって全てを失い、今ではダリオンの安アパートで二人暮らしをしている。アリアは、父がまともだった頃を思い出しながら、いつかまた父が立ち直ることを信じて日々を過ごしていた。

第十一話  実力

ライエルたちはギルドで待ち合わせをし、冒険に出る準備を整えていた。ノウェムはギルドに顔を出す理由について、冒険者たちが命懸けで偵察を行うことでギルドが異変を把握できるためだと考えていた。ギルドに書類を提出し、ライエル、ノウェム、ゼルフィーはダリオン周辺の街道を歩き始めた。

街道で負傷した旅人から情報を得たゼルフィーは、効率的に魔物の群れを見つけるために安価な薬を渡して情報収集を行っていた。途中で若い冒険者たちがスライムと戦っているのを見たが、ゼルフィーは彼らに助言を与えることなく、ライエルたちの指導に専念することを選んだ。

森に近づくと、スライムの群れを発見したゼルフィーは、ライエルに狩りの指導を行った。ライエルはスライムを倒し、素材の回収を試みたが、手際が悪く時間がかかってしまった。ゼルフィーはライエルに改善点を指摘し、ノウェムもまた次の挑戦に備えていた。

その時、初代と二代目の警告により、ライエルたちはゴブリンの襲撃に備えた。ゼルフィーはゴブリンを次々と倒し、ライエルも魔法と剣技を駆使して残りのゴブリンを撃退した。しかし、魔力の使いすぎでライエルは体力を消耗し、ノウェムとゼルフィーの助けを借りて休息を取った。

戦闘後、ゼルフィーはゴブリンの素材を回収しながら、これほど多くのゴブリンが出現するのは異常であると考え込んでいた。結局、ライエルたちは回復せずに街へ戻ることになった。ゼルフィーの指導の下、ライエルたちは冒険者として成長し続けることを目指していた。

第十二話  認めたくない

ライエルはダリオンにある隠れ家的な店「シエル」でロンドに相談していた。魔力切れを防ぐ方法を模索していたが、ロンドはこれに対し、魔力は地道に鍛えるしかなく、体力のようにはすぐに増えないと答えた。アリアも店に立ち寄り、ライエルの様子を気にかけていたが、ロンドとラーフが帰るとライエルとアリアは少し話をした。アリアは冒険者になりたいが、家庭の事情でそれが叶わず、ライエルに羨ましさを感じていると告白した。

その夜、ライエルは宝玉内で歴代当主たちと会話していた。初代はアリアのために何かしたいと主張したが、他の当主たちは今のライエルにはその力がないと反対した。ライエルはアリアを好意的に思っているが、それは恋愛感情ではなく、はっきりと伝えた。

翌日、ライエルはギルドに行き、迷宮が新たに発生したという噂を聞いた。彼はまだ挑むつもりはなく、ホーキンスからはまず仲間を増やすことを勧められた。

一方、アリアの生活は厳しいものであった。父親は酒に溺れ、アリアは家計に苦しんでいた。父がロックウォード家の婿養子だったことが影響し、アリアは冒険者や娼婦として働くことを考えていたが、迷っていた。しかし、そんな時、借金取りの男たちがアリアの家に押し入り、彼女を連れ去った。男たちはアリアを金で売る計画を立てており、アリアはさらなる困難に直面していた。

第十三話  半人前

ライエルは外からギルドに戻り、ゼルフィーとノウェムと共にスライムの素材を商人に売った。商人はスライムの素材の状態を評価し、適正な価格で買い取った。続いて、魔石をギルドに売却し、報酬を受け取った。ライエルとノウェムの収入は銀貨五枚分となり、ゼルフィーはこの稼ぎに満足していた。

ギルドに戻ると、ホーキンスがゼルフィーに名指しで依頼をしてきた。依頼人はアリアの父親であり、アリアが盗賊団に攫われたと主張した。父親は盗賊団と関わりを持ち、大金を賭けで失い、アリアが売られる可能性があるという。ゼルフィーは怒りを抑えながらも、アリアを助けるために動こうとした。

ライエルは、初代の圧力によりアリアを助ける決断を迫られた。初代はアリアを助けることを強く主張し、ライエルに対して「動かなければ一生認めない」と迫った。ライエルはその言葉に圧倒され、心に深い傷を受けた。緊張と魔力の消耗でライエルは意識を失い、その場で倒れてしまった。ノウェムやホーキンス、ゼルフィーが心配し駆け寄ったが、ライエルは意識を失ったままだった。

ライエルはギルドの医務室で休んでいた。ノウェムが看病し、ゼルフィーが見守っていた。ゼルフィーはライエルとノウェムの関係が主従関係に近いと感じ、領主に報告していた。ライエルの疲労は診断されたが、アリアの件で悩んでいたゼルフィーは領主への依頼を考えていた。

ノウェムはゼルフィーにアリアの父親の依頼を受けるか尋ね、ゼルフィーは奴隷売買を取り締まることを決意した。ホーキンスとゼルフィーは盗賊団の特定に苦労し、対応に悩んでいた。ノウェムは二人の会話を聞いていた。

宝玉内で初代はライエルを責められ、二代目以降の当主たちは冷静に状況を見ていた。五代目はライエルに自分の意志を尋ね、ライエルはアリアを助けたいと決意した。歴代当主たちはライエルに協力を申し出、初代もアーツを教えることを決めた。

ライエルは目を覚まし、ノウェムにアリアの件を尋ねた。ノウェムはゼルフィーが領主と連携して動いていることを説明した。歴代当主たちはライエルに助言し、盗賊団を倒し、アリアを助けるための方法を考えることを提案した。ノウェムはライエルの決意を受け入れ、共にアリアを助けることを約束した。

第十四話  貴族の馬鹿息子

ライエルは、ゼルフィーを喫茶店に連れて行き、ダリオンの領主に面会したいと依頼した。アリアを救う方法があると主張し、領主に伝えてほしいと頼んだ。ゼルフィーは最初は反発したが、ライエルの強い決意に動かされて話を聞くことにした。

ゼルフィーはライエルとノウェムをダリオン領主のベントラー・ロベーニアのもとに案内した。ライエルは、自分を冒険者として雇い、盗賊団を倒す計画を説明した。彼は金貨二百枚を前金として要求し、ベントラーは彼の提案に興味を示した。

ライエルは冒険者ギルド前で演説し、盗賊団を成敗するために仲間を募った。周囲の人々は懐疑的だったが、ノウェムはライエルの決断を支持し、ゼルフィーも彼を見守っていた。ゼルフィーはライエルの大胆な行動に驚きつつも、ノウェムと共に彼の計画を見守ることにした。ライエルは、ダリオンの冒険者たちを雇い、盗賊団問題を解決しようとしていた。

鉱山跡地では、ダリオンの前領主が開発に失敗した場所に盗賊団が拠点を構えた。35名からなる盗賊団は、略奪を繰り返しつつ、逃げて追手を撒くことに成功していた。盗賊団の頭であるボラズは、傭兵団を立ち上げる計画を持っていた。ボラズは、アリアを人質として利用することを決め、彼女を高値で売るつもりでいた。

一方、ライエルはダリオンの冒険者たちを集め、盗賊団を討つ計画を進めていた。彼は兵を集め、見せかけの武装を施し、盗賊団を脅す作戦を立てた。ダリオンの門には、多くの冒険者が集まり、ロンドやノウェムと共に準備を整えた。ライエルは、盗賊団を引きつけるために、多くの物資を用意し、戦わずに勝つことを目指していた。

鉱山跡では、ボラズがライエルの計画を知らずに、貴族の馬鹿息子と軽視していた。しかし、ライエルは着実に準備を進め、盗賊団との決戦に向かっていた。盗賊団は、ライエルの一団を油断して迎え撃つ構えだったが、ライエルの策略に気づいていなかった。

第十五話  初代

鉱山跡へ向かう途中で、ライエルは宝玉内で初代と対面し、初代の記憶の中で彼の過去を見た。初代は貧しい家の三男として育ち、出世を目指して戦場で活躍したが、上官に手柄を奪われ、開拓団に参加することを決意した。初代は青い宝玉を手に入れ、それを使って限界を超える力を得るアーツ「リミット・バースト」を習得した。

ライエルは初代からアーツの教えを受け、心に変化を感じた。彼は自分の行動に自信を持ち始めたようで、ノウェムに「今までお行儀が良すぎたのかもしれない」と語った。到着後、ライエルは準備を整えて、本番に臨む決意を新たにした。

ライエルは夜に盗賊団を討伐する計画を立て、冒険者たちとともに鉱山跡に向かった。盗賊団のリーダーであるボラズはライエルたちを侮り、夜襲を仕掛けようと計画していたが、ライエルは煙を使って先制攻撃を仕掛けた。

ライエルは、初代や歴代当主たちのアーツを駆使し、敵の動きを見抜きながら冒険者たちに指示を出した。ノウェムや他の冒険者たちの協力で、次々と盗賊団を捕らえていった。

その後、ライエルはボラズと対峙し、アーツを使って彼の攻撃をかわしつつ戦った。ボラズはライエルを追い詰めようとしたが、ライエルは最後に初代の声援を受け、反撃に出る決意を固めた。

第十六話  宝玉の力

ライエルは盗賊団のリーダー、ボラズと対峙し、初代から教えられたアーツ「リミット・バースト」を発動してボラズを倒した。ボラズは赤い玉を使って力を得ていたが、ライエルの戦術により敗北した。ボラズは地面に叩きつけられ、その後意識を失った。

戦いが終わると、隣国の騎士たちが現れ、ボラズたち盗賊団の処遇を決めた。騎士は盗賊たちを隣国に引き渡し、裁くことを宣言した。ライエルは盗賊団から奪われた戦斧を持っていたが、それがラウリ家の形見であることを知り、ラウリ家の娘、ソフィアに無償で返却した。

ソフィアは代金を支払う意志を示したが、ライエルはそれを断り、盗品も全て返却した。ライエルは自身が追放された貴族の息子であることを告げ、今回の戦いは道楽として受け取るように促した。最終的にライエルはノウェムと合流し、さらなる道を進むこととなった。

ライエルは、盗賊団を討伐した後に救出されたアリアと再会し、彼女に家宝である赤い玉を返却した。アリアは涙を浮かべて喜びながらも、自身が父と共に罰を受けることを覚悟している様子であった。

そんな中、ノウェムがライエルの報酬としてアリアを身請けすることになっていると説明し、その発言にライエルは驚いた。実際には形式的なものであると考えたライエルであったが、ノウェムは本気でアリアをライエルに相応しい女性として見ていた。周囲の冒険者たちは、この事態に驚きと戸惑いを見せ、ライエルはノウェムに説明を求めた。

ライエルはかつて、冒険者になって女を侍らせると言った過去の発言を思い出し、それが誤解を招いていることを理解した。誤解を解こうとしたが、体力の限界が訪れ、倒れてしまった。

騒がしい宝玉内の歴代当主たちは、状況を見守りつつ、誤解を早く解くべきだとアドバイスした。ノウェムはライエルを心配し、周囲も状況の解決に協力しようとする中、ライエルは意識を失い、その場に倒れたのであった。

エピローグ

ライエルは盗賊団を討伐し、赤い玉をアリアに返した後、体力を使い果たして意識を失った。彼が倒れた後、宝玉内の歴代当主たちは彼の実績について話し合っていた。ライエルは今回の件で金銭的な利益はほとんど得られなかったが、実績を得ることで将来に有利になると考えられていた。

その一方で、ノウェムが誤解を広めたことにより、ライエルはアリアを「身請け」する形になっていた。ライエルは本意ではなかったが、周囲の期待や状況に押されてそのまま話が進んでいった。特に、アリアの父親が重労働の刑に処される中で、アリアの将来のためにライエルが彼女を受け入れる流れとなっていた。

ライエルは、アリアを身請けすることが自身の意図とは違うと感じながらも、状況を受け入れるしかなかった。周囲の人々や歴代当主たちも彼の立場を理解しつつ、彼が複数の女性を迎えることになる状況を少しずつ受け入れていった。

ライエルは今後、ノウェムやアリアと共に新たな生活を始めることになるが、その道は決して平坦ではないと考えていた。青い宝玉のもたらす運命に翻弄されながらも、彼は自身の未来を切り開いていく決意を固めた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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