「陰の実力者になりたくて!」は、逢沢大介 氏による日本の小説。
異世界ファンタジーとコメディの要素を持ち、主人公のㇱドが、ヒーローではなく、陰で世界を牛耳る様な「陰の実力者」に憧れているというストーリー。
小説版は、小説家になろうにて2018年1月から掲載され、書籍版はエンターブレイン(KADOKAWA)より2018年11月から刊行。
また、漫画版やアニメ版も制作されている。
特徴は、ストーリー展開がメチャクチャ飛びまくる。
どうやら読者にアンケートして面白い展開を決めてたらしい。
だから展開が予想の斜め上や下に行くからメチャクチャに感じてしまう。
そして、それが面白い。
小説版3巻の後約2年間新刊が出てなかったが。、
アニメ化発表と同時に4巻を発売したのが21年3月くらい。
アニメ1期放映中(2022年12月28日)に5巻を発売。
そして、アニメ2期放映中(2023年10月30日)に6巻を発売。
小説家になろうの分は既に超えており。
いつエタるか判らない。
止まらないでください!!!
アニメ1期(全20話)は1,2巻分が大好評。
小説3巻、4巻部分を2期(全12話)で放送。
4巻後半は映画化するもよう。
4巻の主な出来事
ローズ・オリアナの悪夢
ローズ・オリアナは毎晩、同じ悪夢を見ており、父との残酷な出来事について苦悩している。彼女はシャドウガーデンでの訓練と特別な力に関わる任務に取り組んでいる。
サイショ城砦の任務
サイショ城砦でのローズたちの任務は、敵勢力の動きや遺跡での出来事を追跡することであり、特別な力を持つ仲間との対峙や母の関与も含まれている。
マリーと無法都市の出来事
無法都市での出来事では、主人公がクアドイの支配下にあるオリアナ王国に潜入し、マリーとの出会いや戦闘の結果について記述されている。
イプシロンの提案
主人公はオリアナ王国の王都に到着し、イプシロンから王城に入る提案を受ける。彼女の協力により、主人公は王城に潜入することを決める。
演奏会と少年の才能
イプシロンの弟子として演奏会に参加した少年は、驚異的な演奏で聴衆を魅了する。その後、イプシロンは少年の才能を賞賛し、彼に感謝を示す。
ローズの苦悩
ローズは結婚と王国の危機による苦悩に悩まされる。シドとの再会で心が揺れ動き、ドエム公爵との関係に苦しむローズの姿が描かれる。
イプシロンとウィクトーリアの会話
イプシロンとウィクトーリアはミツゴシデラックスホテルの超ロイヤルスイートルームで会話を交わし、失敗や重要な情報について話し合っていた。
レイナ王妃の計画
主人公はレイナ王妃とドエム公爵の親密な関係を目撃し、レイナ王妃の計画が進行中であることを知る。
ローズの苦悩とシドの愛(?)
”ローズは”自分の過去や現在の苦悩に直面し、シドの愛を受け入れる決意をする。また、結婚指輪を通じて真実の愛を感じ取る。
ドエム公爵の指輪
ドエム公爵は『継承の指輪』を手中にし、『継承の指輪』の主がローズ・オリアナに変更されたことが判明する。教団内部に敵がいることを疑い、モードレッド卿に殺される可能性を恐れる。
ローズの結婚式
ローズは結婚式でドエム公爵を国家大逆罪で断罪し、指輪をはめた瞬間に亡きオリアナ国王の姿が映し出される。モードレッドの登場で会場は恐怖に包まれ、ローズは獣との戦いを挑む。
シャドウガーデンの戦い
シャドウガーデンと『七陰』がモードレッドとの戦いに挑む。最終的に、シャドウと『黒キ薔薇』が消失し、オリアナ王国の戦いは終結した。
アカネと影野実
西野アカネは桜坂高校の二年生で、嫌いなクラスメイトの影野実との関係に悩んでいる。影野は彼女の名前を繰り返し間違え、「西村」と呼ぶことが多く、アカネの怒りを引き起こしている。
アカネの対応
アカネは学校での人気者であり、若い女優としても活躍しているため、影野に対して表面上は友好的に振舞っているが、内心では大きな不満を抱えている。彼女は公的な立場を考え、目立つことを避けるため、影野の間違いに笑顔で対応している。
スタイリッシュ暴漢スレイヤー
スタイリッシュ暴漢スレイヤーはアカネを襲った大男と戦い、彼女を助けた。彼はアカネに「今度は帰り道に気をつけなよ」と言い残して去った。アカネはその声にどこかで聞いたことがあるような気がした。
主人公とベータの服選び
主人公とベータは荒廃した町で服を選びながら、食料不足や遺体の発見などさまざまな出来事に遭遇し、次第に適切な服を選ぶようになる。
西野大学への旅立ち
主人公とベータは水と食料を確保し、次の目的地として西野大学を選び、そこで高度な技術や資料を探索することを目指す。
西野アカネの病院への冒険
西野アカネと仲間たちは廃病院を訪れ、魔獣との戦いや特殊な力を駆使して、失踪した騎士たちの捜索を行う。
アキラによる報告とナツメの発見
アカネたちは失踪した騎士三人の遺体を発見した後、アキラに報告し、その後、ユウカが覚醒者であるナツメを発見した。ナツメの世話を引き受けることを申し出るが、ミノルはナツメの意向も確認する必要があると反論した。
西野アカネとの再会
主人公はアカネと再会し、彼女が過去の出来事と現在の状況を説明した。アカネは騎士であり、彼女が主人公の元学校の制服を着ていたことが明らかになった。
ユウカ先生の警告とアカネとの共同生活
ユウカ先生はスタンピードが発生する可能性や未討伐の魔獣の危険性を説明し、アカネと主人公は共同生活を始めることになった。彼女は主人公を信頼し、新しい生活の中で彼女と共に過ごすことを決めた。
アカネの夜勤
アカネが夜勤に向かう際、騎士団の活動が活発になるため、危険な時間であることが伝えられる。アカネは騎士団の詰所に到着し、魔獣の襲撃に遭遇し、犠牲を減らすために奮闘する。
漆黒の騎士の出現
アカネは魔獣に囲まれた瀬戸際で漆黒の騎士によって救われる。漆黒の騎士の存在が注目され、彼の行動や関与について議論される。
アカネの疑惑と真実の追求
アカネが疑惑をかけられる中、ミノルは真相を追求し、アカネの無実を証明するために奮闘する。ミノルはゴリラ殺人事件の再調査を通じて真相に迫り、アカネの解放を期待する。
魔法と戦い
西野アキラは魔法を使い、ナツメを最強の騎士にしようとしたが、襲撃に遭い失敗。漆黒の騎士シャドウが現れ、騎士たちを助ける。
復讐と裏切り
医師のユウカは復讐のために行動し、アルカディアの裏切り者として暴露される。アカネは自分の過去を受け入れ、新たな使命を感じる。
新たな使命
アカネは自分の過去に向き合い、新たな使命を受け入れる。シャドウとベータは計画を進め、新たな展開が待ち受けている。
読んだ本のタイトル
#陰の実力者になりたくて ! 04
著者: #逢沢大介 氏
イラスト: #東西 氏
あらすじ・内容
父を殺め、国に背いたローズは、母・レイナ王妃を守るため、ドエム公爵の軍門に下った。
戦争の気配が濃厚に漂う芸術の都・オリアナ王国では、ローズとドエムの結婚が噂されている。
「許さんーーッ」
結婚なんて絶対にさせない。
たとえ親が許しても、僕が許さない。
なぜなら……
「ローズが『覇王』になれば僕の『陰の実力者』プレイが捗るのだから!!!!!」
感想
父親であるオリアナ国王を殺した元オリアナ王女ローズはシャドーガーデンに入り、名前を剥奪され666番と呼ばれるようになった。
チームに664番と呼ばれる委員長タイプのエルフの少女と665番と呼ばれるノンビリしてそうなエルフの少女とスリーマンセルで日夜訓練に励んでいた。
そんな彼女達の今回の任務は、559番をチームリーダーにサイショ城砦へ調査に行く。
ドエム派と反ドエム派の抗争でサイショ城砦はドエム派の手に堕ちた。
その調査をした結果。
近隣に遺跡があった。
そこで、ディアボロス教団が怪しげな儀式をしており。
祭壇には666番ローズの母親おり559番が母親を殺そうとしたので、母親を庇ったら559番はローズを裏切り者にしてしまった。
さらに母親をドエム派に人質にされローズはドエム派に連れて行かれてしまった。
そして、559番達は教団と3日間戦い最後はサイショ城砦で調査していたシャドーが救援に現れ。
シャドウは559番からローズが裏切ったと聞かされ、さらにドエムと結婚するというチラシを読み、、
絶対に許さないと言ってローズの下に行くのだが、、
王城に行くと七陰のイプシロンがピアニストとして招待されていたので便乗。
イプシロンの弟子として王城に潜入しようとするとドエムから、申請の無い者は王城に入れないと言われ。
王城に入りたければ、ピアニストなのだからピアノを弾けと言われて多くの人達の目の前でピアノを弾かされ見事にクリア。
そしてピアニストの弟子として王城に入る事が出来た。
ついでにドエムの懐から指輪をスッてしまう。
その指輪が非常に重要なキーアイテムとは知らずにシャドウことシドはポケットに入れてしまう。
そしてシドとしてローズに出会い、彼女の前で指輪を落としてしまう。
それをローズはシドが全てを理解しながらも指輪を贈ってくれたと思い覚悟を決める。
そんな母のためにドエムの言う事を聞いていたのにローズの母親はドエムと不倫してた。
それをシャドウから教えられたローズは、、
自爆覚悟で結婚式でドエムを断罪する。
そして、偶然にもシド(シャドウ)が贈った(落とした)指輪がローズが殺した父王がまだ正気だった頃に記録した映像が出て来てドエムの悪事を暴く。
さらにローズはドエムに斬りかかりドエムを圧倒。
そしたら、ドエムはアッサリ殺されて彼の上役のモードレッドが暴れてローズの母も死亡。
そしてモードレッドはオリアナ王国の伝説になっている黒き薔薇を始動。
多くの黒い存在が暴れて民衆を襲い出す。
それを止めるためにローズは孤軍奮闘していたが、そこにシャドウガーデンのメンバーが救援に駆け付ける。
ローズにはチームメイトの664番、665番が側で戦い。
さらに、ディアボロス教団幹部のモードレッドにはイプシロンとベータが斬りかかる。
そして、黒き薔薇から出て来る燃える蝙蝠、ラグナロクが出て来るのだが、、
どうやら黒き薔薇は異世界を繋げる事が出来て、向こう側から色々な物が呼び込まれたりする。
そんな説明をしながらモードレッドは喋っていると。
モードレッドが頼みの綱にしていたラグナロクはシャドウがアッサリと倒してしまう。
モードレッドもシャドウガーデンに達に打たれてしまう。
そして、、終わったと思ったら、、
黒き薔薇が開けた次元の穴にシャドウがノリで落ちてしまう。
何も考えずにノリだけで穴に飛び込んだ、、
アホ過ぎる。
そして気が付いたら荒廃した日本に、影野だった時の日本に帰って来ていた。
そんなシャドーに同行したのはベータのみ。
ただ、彼女は日本語が話せず文字も読めもしなかった。
ただ、そこは文学に強いベータ。
凄い速度で文字、言葉を覚えていく。
最後の方では掲示板に書き込むくらい日本語に堪能になってしまうが、、
本人曰くペラペラらしいww
でも、日本が何処かおかしいww
しかも、煽り耐性皆無で垢バンされた。
でも、日本語を数日で覚えてしまうとは、、
ベータ恐ろしい子!
そして地球は、影野だったシャドウ(シド)が死ぬ直前に魔力と思っていたモノだったのが、世界が変わった原因だったようだ。
その時に異世界と繋がって死んだ影野の魂はシドとなり。
地球には魔力が流れ込んで魔獣が溢れ出した。
その魔獣もオリアナ王国に出て来た魔獣に似ている。
そして地球は混乱し、小さいコミュニティーに分裂して情報の共有も無い。
そんな世界で付章の主役、西野アカネが魔力を獲得して騎士となり魔力の無い人達を守護していた。
そんなアカネの前に難民が発見された。
銀髪エルフのベータを見て覚醒者と呼んでいた。
そして、アカネ達はベータと地味な高校生を保護して拠点に連れ帰った。
そして、彼女は地味な高校生ミノルを過去に嫌っていた影野を思い出して、居住地の無い彼を保護するために同居までしてしまう。
ちなみにベータはシャドウの妹のナツメとして病院に保護されている。
その間にミノルことシャドウ(シド)は元の世界に帰るために付近を探索する。
そんな世界をミノルことシャドウ(シド)はお散歩感覚で魔獣の巣を破壊しまくる。
シャドウとベータにしては魔物は弱い部類だった。
そんな魔物をシャドウは軽く振り払って、内紛を力ずくで解決。
さらに魔物のスタンピードを壊滅させて、、
ベータと合流。
黒い薔薇のような穴が出来たので、そこに飛び込んで今いる世界に帰る。
そして、色々な情報を手に入れるならと、、ベータが人を拉致ってきちゃった。。
おいおいオイオイ!!!
サラッと人を拉致るなよww
しかも、パソコンとデジカメ。そして人。。
気絶しているアカネを攫いやがった。
人の方が情報を多く持ってるって思考のベータがマジでヤバい。
その後のアカネの居た世界ってどうなったのだろうか?
滅んでそうだな、、
アニメ PV
そして、アニメ2期制作決定
2023年10月から放送開始!!!
同シリーズ
陰の実力者になりたくて! シリーズ
小説版
漫画版
その他フィクション
陰の実力者になりたくて グッズ
備忘録
序章
ローズ・オリアナは毎晩、同じ悪夢を見る。夢の中で彼女は父に剣を突き立て、刃がゆっくりと父の体を貫く。
この残酷な行為は彼女の記憶に深く刻まれ、彼女は毎朝自分の声で目覚める。
彼女が暮らすのはオリアナ王国内のシャドウガーデンの拠点で、彼女の番号は666番である。この番号は入隊順に与えられるもので、実力順ではない。
彼女はシャドウガーデンで訓練を受け、魔力伝導率が高く伸縮自在のスライムボディスーツを着用し、魔剣士としての訓練を受けている。
シャドウガーデンでは高度な技術が開発されており、その技術で作られた照明や建築技術は市場でも高い評価を受けている。
ローズはその技術力に圧倒されつつも、父の最期の言葉が彼女に何を伝えたかったのか、その真意を探求している。
彼女の日々は訓練と共に、彼女を取り巻く仲間と共に過ごしているが、内心では彼女は自身の使命と役割について深く考えている。
深夜の雪原を駆けるローズたちの目的はサイショ城砦である。559番が彼らをリードしている。
559番はピンクブロンドの髪を持ち、非常に美しい少女である。オリアナ王国は内戦状態にあり、ドエム派と反ドエム派に分かれて争っている。
サイショ城砦は重要ではないが、ディアボロスチルドレンという精鋭部隊が城砦を占拠しており、ローズたちの任務はその目的を探ることである。
ローズはサイショ城砦をよく知っているために任務に選ばれたが、559番はそれだけでないと言い、ローズにシャドウからの特別な力が与えられていることを明かす。
シャドウガーデンでは、シャドウから力を授けられることは非常に特別なことであり、559番もまたその力を受けていることを明かす。
559番はローズがシャドウにふさわしいかどうかを見極めるような視線を向ける。
サイショ城砦の内部で、ローズは多くの兵士の死体を見て苦悩する。
彼女はこの戦争の一因であると自覚し、何もできない自分に絶望を感じている。
559番は教団の動きを監視し、黒ローブの人影が城砦から出てくるのを目撃する。
ローズたちは559番の指示で、森の中へと進む。彼らは遺跡に辿り着き、黒ローブの集団が何かを行っているのを見る。遺跡の祭壇から魔術文字が浮かび上がり、小さなリングが現れる。
このリングが重要であると認識される中、559番は戦闘準備を命じる。
その場にはローズの母、レイナ王妃もおり、教団に従う形で魔術を行っていた。
ローズは559番がレイナ王妃を狙うときに、母を抱きしめて刃を避ける。しかし、クアドイと教団の幹部に囲まれ、彼らは559番が単なる一兵卒ではなく、非常に強力な存在であることを認識する。
559番は冷酷な態度を崩さず、ローズとレイナ王妃が教団に囲まれる状況にも動じない。
最終的にローズとレイナ王妃は教団に連れ去られるが、559番は戦いを続ける姿がローズの最後の記憶となる。
サイショ城砦の城下町の酒場で、リンゴジュースを飲みながら話を聞いていた主人公は、デルタから逃亡し、オリアナ王国に潜入していた。城下町はクアドイによって占領され、多くの住民が命を落としていた。
酒場の店主、マリーは新しく店を始めたばかりであり、男性客の多くは彼女目当てであるという。
オリアナ王国は国王が不在で、二つの派閥に分かれて争っていた。そのとき、兵士が三人、酒場に入ってきて、売り上げを要求し、マリーに暴力をふるうと脅迫した。主人公はマリーを守ろうと立ち上がるが、すぐに倒されてしまう。
マリーは、兵士に売り上げを渡し、事なきを得る。
彼女は倒れた主人公に対して優しく接し、彼女自身が無法都市出身であり、過去に多くの困難に直面しながらも諦めなかったことを語る。
主人公はマリーに感謝され、彼女に見送られながら去っていく。
寒い夜道を歩いていた三人の兵士が、話しながらお金が入った袋をジャラジャラと鳴らしていた。
彼らは住民を口封じのために排除する計画を持ち、重要な遺跡の存在を楽しむ前提で話していた。そのとき、一人の少年が現れ、兵士たちと対峙した。
平凡な外見の少年は、兵士の攻撃を避けながら、突如彼らの背後に現れた。兵士たちは驚愕し、少年に攻撃を試みたが、少年は消えてしまった。
再び現れた少年は、兵士の背後から現れ、彼らの心臓を素手で握り潰した。生き残った最後の一人の兵士は少年に助けを求めたが、少年は彼をも排除した。
事件後、少年は心臓を捨て、兵士たちのお金が入った袋を拾い上げ、遠くの城砦を眺めていた。
クアドイと664番は、559番が中心となり多くの死体が散乱する場にいた。
559番は長い戦いの末、多くの敵を討ち、自身も重傷を負っていた。
クアドイは、559番の無力さを嘲笑いながら攻撃を加えたが、予想外に559番は立ち上がり、クアドイの足を切断した。
驚きながらも逃れようとするクアドイであったが、559番の周囲には青紫の魔力が渦を巻き、彼女の傷は癒された。
クアドイが逃走を試みるも、559番の攻撃により命を落とす。
その後、漆黒のロングコートを纏った男が現れ、559番と664番はその男に跪いた。
サイショ城砦が留守だったため、森で魔力を感じた男は行ってみると、ピンクブロンドのウィクトーリアがピンチにあるのを発見した。
ウィクトーリアは過去に男に治療され、アルファに預けられていたが、現在は血まみれで戦っていた。
男はウィクトーリアを治療し、彼女を苦しめていた者を処分した。
ウィクトーリアはディアボロス教団の計画に関連するトラブルを抱えていたと語った。
その場には他にも少女がおり、男は彼女たちも治療した。
ウィクトーリアは裏切り者である666番の話を持ち出し、誤解であると主張された。
突然、ローズ・オリアナ王女の結婚が決定したとの知らせが飛び込み、男はこれに激しく反応した。
男は書状を破壊し、ローズが王になることを望み、その計画を支持する意志を示した。
深夜に目を覚ましたマリーは、開いているはずのない窓を発見する。
そこには人の影が見え、その影は黒いロングコートを着ていた。
窓の近くに駆け寄ったが、影はすでに消えていた。泥棒だったのかもしれないが、マリーは常に過去のある人物を探している。
ある日、酒場で黒髪の少年にその人物の面影を見た。
その後、窓を閉めようとした時、床に金貨が入った大きな袋が落ちているのを見つける。袋はまだ温かく、マリーは涙を流しながらそれを抱きしめた。
一章
芸術の都として知られるオリアナ王国の王都に主人公が到着した。
冬季には美しい白壁と赤屋根が雪に覆われ、町は観光客が少なく住民の間には緊張が漂っている。
この状況の中で、主人公は戦争の危機や王位継承の動きを聞きつけ、ローズ先輩を説得するため王城への侵入を試みる。
門を突破しようとした瞬間、かつての知人であるイプシロンに声をかけられる。
彼女はピアニストとして王国に招待されており、主人公を自らの弟子として王城に入れる提案をする。
主人公はこの提案に同意し、イプシロンの弟子として王城に入城することに決めた。
イプシロンの協力により、主人公はオリアナ王国の城に顔パスで入城し、美しい装飾に感嘆する。
イプシロンと共に廊下を歩きながら、人々からの敬意を受けている。
イプシロンのボディはスライム整形技術により日々アップデートされている。彼女は微笑みながら、潜入任務の進捗を主人公に報告する。
その後、ドエム公爵と遭遇し、イプシロンは昼食会での演奏を予告する。
ドエムは主人公の存在に気づき、入城許可の有無を問いただすが、イプシロンの提案により、主人公がピアノを演奏することでその場をしのぐことに決める。
ホールはシロンの弟子が現れると瞬く間に人で溢れかえった。
シロンはオリアナ王国で広く知られた世界最高峰のピアニストであり、その斬新な楽曲と演奏技術で音楽会を独占している。
シロンの弟子として登場した黒髪黒目の少年は、誰もが知る存在ではなかった。
高名なピアニストとしての評判を持つシロンの師事を受ける彼に対し、妬みや敵意を持つ者たちも現れた。
しかし、少年がピアノを弾き始めると、その演奏は聴衆を虜にした。
彼が選んだ「月光」の演奏は、研ぎ澄まされた音であり、聴衆はその美しさに目を閉じ、音楽に没入した。
演奏を終えた少年が席を立つと、聴衆から熱烈な拍手が贈られた。
イプシロンは感動のあまり涙を流し、少年の演奏を絶賛した。
「月の光が降り注いでくるかのような美しい演奏でした」と彼女は言い、少年を疑ったことを謝罪した。
ドエムは少年の名前を尋ねたが、イプシロンは「彼はまだ修行中の身です」と答え、名前の公表は避けた。
一方、少年はドエムのポケットからさりげなく指輪を盗み出し、質屋に売ることを考えた。
その後、指輪の箱だけをポケットに返却した。
トラブルの後、イプシロンの弟子として城の音楽室にいる主人公は、イプシロンの練習を手伝うふりをしながら抜け出すチャンスを窺っていたが、常にメイドたちが見守っていたために難しい状況であった。
城内を見学したいという主人公の希望に対し、即興の三文芝居で抜け出しを試みたが、茜色の髪のメイド、マーガレットの登場によって計画は失敗した。
マーガレットはローズの部屋を担当するベテランであると紹介され、主人公を案内することとなった。
その間、イプシロンはマーガレットをにこやかに睨んでいた。
オリアナ城の自慢である花園が美しい場所として紹介される。
暖かい気候を保つためのアーティファクトが地中に存在しており、冬であるにもかかわらず様々な色の花が咲いている。
マーガレットは主人公の演奏に感動したと伝え、彼が一流のピアニストになれると称賛する。
パロトン伯爵やナリキン侯爵が彼に興味を持っており、それぞれが高額の年俸を提供するという話も持ち出される。
この会話中、マーガレットは主人公に自身の実家も推薦するが、主人公は音楽家ルートに進むことに興味がない。
彼はその場から逃れようとするが、ケビンという衛兵に呼び止められる。
ケビンは音楽家としての彼に不満を抱き、彼を罵倒する。
この間にマーガレットが彼女との愛を主張するケビンとの関係について主人公に説明し、状況はさらに複雑になる。
最終的に主人公はその場を逃れてローズ先輩に会うために向かう。
ローズは窓辺に座り、物憂げに灰色の冬空を見上げていた。
彼女は母の無事を条件にドエムとの結婚を約束していた。
シャドウガーデンとディアボロス教団が動き出すだろうことから、オリアナ王国がこの両組織の衝突の舞台になることは明らかであった。
この状況で、ローズは自分が籠の鳥のように感じていた。
ある日、彼女が心を許す少年、シドが窓を叩いた。窓の外には、彼がいた。
ローズは彼との再会を喜んだが、彼が国を越えて彼女に会うためにピアニストの弟子として王城に潜り込んだことに心を痛めた。
彼女はドエムとの結婚は嘘ではないと彼に告げ、涙を隠すため顔を伏せた。愛する人を傷つけることが辛かった。
ローズはシドの立ち去りを求めたが、彼は彼女の生き方に疑問を投げかけた。
彼女は返答することができず、彼を窓の外に追い出し鍵を閉めた。
部屋の外ではドエム公爵が現れ、ローズが涙を拭いているのを見て、彼女が泣いていたのは聞き間違えたと考えた。
ドエムはローズの頰を平手で叩き、彼女の態度を咎めた。
そして彼はローズを結婚式のドレスの試着に連れて行った。
二章
イプシロンはオリアナ王国の夜景を見ながらワイングラスを手にしていた。
彼女の背後にはウィクトーリアがおり、二人はミツゴシデラックスホテルの超ロイヤルスイートルームで会話を交わしている。
イプシロンはウィクトーリアの最近の失敗を指摘し、しかしウィクトーリアには『七陰』に次ぐ立場を期待していると伝えた。
イプシロンは、ローズと彼女の母、レイナ王妃がサイショ城砦で再会したことを自身の過ちと認めた。
さらに、シャドウがこの件を引き継いでおり、シャドウが666番と接触したが、すぐには処分しなかったことを報告した。
二人は、遺跡で発見された「鍵」とされる指輪の重要性について議論し、それが開かれるとオリアナ王国に大きな危険が及ぶ可能性があると考えている。
その後、シドがバスローブ姿で部屋に現れ、リラックスした様子で会話に参加した。
イプシロンはシドに飲み物を提供し、彼と共に食事の注文を行った。
シドはこの瞬間だけの安らぎを楽しんでおり、イプシロンは彼に寄り添って尽くそうとしていたが、シドはすぐに仕事の話を始めた。
イプシロンは彼の頭にスライムを押し付けながら、悲しい気持ちを抱いていた。
朝日を浴びながら王城に向かった主人公は、贅沢な一夜を過ごし、友人からの好待遇を受けていた。
これは友人が富裕層向けに開くビューティーサロンの試みの一環であった。
主人公は、イプシロンの仕事が午後からであるため、一人で行動することになる。
前日の調査で、ローズ先輩が母を人質にされていたことが明らかになり、レイナ王妃を救出すれば問題が解決すると確信していた。音楽室でピアノの調律を担当し、マーガレットと遭遇。
マーガレットは主人公を支える意志を示し、イプシロンも登場して心配を示す。主人公とイプシロンは、レイナ王妃の居場所を探し出すことになる。
黒い薔薇は見つからなかったが、レイナ王妃の部屋は容易に発見された。
窓から内部を覗いた主人公は、レイナ王妃とドエム公爵が親密な関係にあることを目撃した。
二人は愛を語り合い、未来の計画を立てている様子であった。
この情報から、レイナ王妃を救出する計画が無意味であることが明らかとなった。
代わりに、騙されていたローズ先輩に真実を告げる計画を立てることにした主人公は、彼女を連れ去り、ドエム公爵とレイナ王妃の密会を目撃させることを計画した。
その後、イプシロンが何かをしているのを目撃し、接近した主人公は彼女が鍵を探していることを知った。
しかし、ピッキングに成功したため鍵は不要であると説明した。
二人はその夜の準備が整っていることを確認し、それぞれの仕事に戻ることにした。
茜色の髪のメイド、マーガレットがお茶を入れるのをローズは緊張した面持ちで待っていた。
おいしいと感じるが、マーガレットは無言で部屋を出ていった。
ローズはマーガレットの昔の笑顔が懐かしいが、その笑顔が再び自分に向けられることはないと感じていた。
窓から冷たい夜の風が吹き込み、ローズはかつての恋人であるシドを思い出していた。
しかし、部屋の灯りが消えると、異質な存在が現れたのはシャドウであった。
シャドウは裏切りの処分で来たのかとローズは思い、謝罪するが、シャドウは「真実を見せてやろう」と言って手を差し出した。ローズはその手を拒否できなかった。
シャドウに連れられて王城のバルコニーに到着したローズは、母、レイナ王妃の寝室を覗き見た。
そこで彼女は衝撃の光景を目の当たりにした。レイナ王妃とドエム公爵が暖かな暖炉の光のもとで抱き合っていた。
二人から漏れる話し声によれば、オリアナ王国を手に入れる計画が進んでおり、レイナ王妃はその計画に喜んで参加していた。
この現実に打ちのめされたローズは、カーテンの隙間から二人が熱く口づけを交わすのを見て絶望し、崩れ落ちた。
意識が遠のく中、シャドウは彼女に真実を受け入れるよう迫ったが、ローズはその重圧に耐えられずに気絶した。シャドウは彼女を抱えてバルコニーから去った。
ローズは自室のベッドで涙を流しながら過去を振り返っていた。
父の死に顔と兵士たちの顔が蘇り、自分が何のために戦っていたのか疑問に思っていた。
母とドエムとの親密な関係を知り、彼女の世界は崩壊した。
ミドガル魔剣士学園での幸せな日々を懐かしむ中で、彼女はシドと過ごしたいと願った。
シドはピアノで『月光』を演奏し、ローズに近づいた。
彼は大切なものとそうでないものに世界を分け、自分の全てを大切なものに捧げる決意を語った。
ローズに対する彼の愛が明らかになったが、彼はその愛を重荷にしたくないと考えていた。
シドの旋律と言葉により、ローズは自分が何を大切にすべきかを見失っていたことに気づかされた。
彼が去った後、彼からの結婚指輪が残されており、ローズはそれを胸に抱きしめ、彼からの真実の愛を感じ取った。
露天風呂に浸かりながら、指輪を失くしてしまったことについて嘆く人物がいる。
しかし、その指輪は拾い物であったため、大きなショックは感じていない。
ローズに対して説得を試みた結果を委ね、彼女が立ち上がらなければ、結婚式に乱入し意味深な言葉を告げ王女を連れ去る計画を立てている。
イプシロンと一緒に湯船に浸かりながら、その日の出来事について話し合う。
イプシロンの進化したスライムボディに驚きつつ、その魔力制御を賞賛する。
結婚式での決戦を控え、その日を迎える準備を整えることになる。
三章
ドエム公爵は、式場を二階から見下ろしている。警備が厳重に行われている中、騎士に扮した教団のエージェントがシャドウガーデンが動く可能性について警戒している。
教団はシャドウガーデンについての情報が不足しており、ドエムはその不足を教団の怠慢と断じている。
教団は未だに自身が世界を掌握していると信じているが、ドエムは既に『継承の指輪』を手中にしており、その継承権を手に入れることが目前に迫っている。
しかしながら、想定外のトラブルが多く、レイナ王妃を利用した計画が進行中、『継承の指輪』の主がローズ・オリアナに変更されていたことが判明する。
ドエムは、この計画を成功させればラウンズの十二席に昇格することが内定しているが、その道のりは決して容易ではない。
教団の派閥争いに巻き込まれる可能性が高く、彼の実績はラウンズでも最下位であり、上位派閥に取り入る必要がある。
結婚指輪ではなく、『継承の指輪』を持つことが彼の勝利の鍵であるが、その指輪が箱から消えていたため、教団内部に敵がいることを疑い、モードレッド卿に殺される可能性を恐れる。
そのため、ドエムは一人で指輪を探すことになる。
ローズは結婚式当日、純白のウェディングドレスで王城の階段を登っていた。
彼女の美しさに多くの国民が見惚れていたが、同時に罵声も聞こえていた。
式では、新郎のドエム公爵が待っており、どこか顔面蒼白で落ち着きがなかった。
ローズは清々しい表情で誓いの言葉の最中、「誓いません」と宣言し、ドエム公爵を国家大逆罪で断罪した。
この時、指輪をはめたローズの手から眩しい光が放たれ、空には亡きオリアナ国王の姿が映し出された。
国王は自身が薬物によって精神を蝕まれ、ドエムによる国家の裏切りがあったと証言した。
これにより、ドエムは衝撃を受け、会場は一時的に静まり返った。
しかし、突如、レイナ王妃がドエムの頭部を拾う一幕もあった。
それは、燃える赤髪の男、モードレッドによって場はさらに混乱し、彼はレイナ王妃も含めた周囲を斬り、周囲に不気味な赤い炎を放った。
彼の登場で、「黒キ薔薇」と呼ばれる伝説の闇が広がり、異形の獣たちが現れた。
これにより、会場は恐怖に包まれ、ローズはマーガレットを救出するなどして獣と戦いを挑んだ。
モードレッドが鋭い視線で闇の中を見つめていた時、漆黒の少女たちが現れ、獣を狩っていた。
ローズに馴染み深い番号の少女たちも含まれており、彼女たちはローズに微笑みを投げかけた。『七陰』のベータとイプシロンも現れ、モードレッドと対峙する。
モードレッドは彼女たちを軽視し、何かを『黒キ薔薇』に投げ入れた。それによって巨大な腕が現れ、血のような炎を放ちながら闇空を支配し、ラグナロクと呼ばれる存在が現れた。
この脅威にローズは圧倒されていた。
しかし、シャドウが登場し、青紫の閃光とともにラグナロクの片翼を切り落とし、彼の姿を制御した。
モードレッドはシャドウの実力に驚き、二人の対立が激化する。
シャドウは青紫の魔力を使い、さらに動きを加速させていた。
その後、ベータとイプシロンがモードレッドと戦う場面になり、ベータがモードレッドに挑む中で、彼女たちが使用する技術の高さが示された。
イプシロンの能力により、モードレッドは圧倒され、その実力の差が明らかになる。
ベータとイプシロンは、モードレッドに対して上手に立ち回り、彼から情報を引き出そうとしていた。
異世界で、主人公は燃える巨大な蝠と対峙していた。
この戦いは、覇王誕生を妨げるための闇の反抗勢力の襲撃と認識していた。
主人公は、この獣との戦いにおいて、単なる力任せの戦いを避け、巧みに回避行動をとりつつ情報を集めていた。
彼は獣の攻撃パターンを把握し、微細な魔力を利用して戦略的に対処していた。
その過程で、獣の鋭い尾が彼の前を通り過ぎ、魔力の大爆発に見舞われたが、主人公はそれを巧みに避けて反撃の準備をしていた。
最終的に、主人公は微細な魔力の糸を使って燃える蝠を制圧し、その攻撃を痛烈に回避しながら戦いを支配下に置いた。
主人公は「デルタ未満の知能」という称号を燃える蝠に与え、その戦い方は彼の知能の限界を示していた。
最後に、彼は戦いを終えるために腕を斬り飛ばす計画を立てていた。
モードレッドは『七陰』の二人に対して敗北し、屈辱を感じていた。
彼は自分が数的優位に立てる状況で戦っており、それを活かさないと考えることが愚かであると主張していた。
しかし、ベータはそのような戦い方に興味が薄く、教えられたことを忠実に実行していることから、彼女には個人的な戦闘スタイルや癖が希薄であった。
この戦闘の後、モードレッドは魔界との関連について深い知識を持っていることを明らかにし、異世界の存在やその影響について説明した。
彼は魔界との接触が魔力の流入を引き起こし、地球上の生態系に大きな変化をもたらしたと主張し、人間や他の生物がこれにどのように適応したかを述べた。
また、モードレッドは、オリアナ王国が魔界との接触による問題から保護されていると同時に、教団によって搾取されている状況を説明した。
彼はオリアナ王国が教団の支配下にあること、そして王国が教団に多大な対価を払っていることを認めた。
ローズはこの全ての情報を新たに知り、自身が王国の未来を担う決意を新たにした。
最終的に、モードレッドが教団の目的や計画について更に詳しく説明し、彼らがどのようにして魔界とのゲートを管理しているかを明かした。
これにより、ローズとシャドウガーデンはオリアナ王国と魔界との間の複雑な関係を理解し、今後の行動を計画するための重要な情報を得た。
青紫の光が消えた後、空は晴れわたり、冷たい冬の空気が流れていた。
シャドウは漆黒の刃を空に向け、『黒キ薔薇』が砕け散る様子を見ていた。
この瞬間、変異したモードレッドの頭部のみが残り、彼は漆黒の渦に吸い込まれていった。
シャドウもまた『黒キ薔薇』に飲み込まれ、それを目の当たりにしたベータは涙目で飛び込んだ。その後、『黒キ薔薇』は完全に消失した。
ローズはその場でシャドウの深い考えを信じていると感じたが、彼女の結婚指輪も砕け散り、彼女の想い人の運命を暗示するかのように思えた。
この出来事により、オリアナ王国の戦いは終結した。
付章(アニメ 第1期1話)
桜坂高校の二年生、西野アカネには嫌いなクラスメイトがいる。
その生徒は影野実であり、彼は平凡な顔立ちの生徒だが、いつも眠たげな瞳で目の下にクマがある。
影野は成績も運動も中の下で、部活にも入っておらず、友人は少ないが、話をする程度の知り合いはいる。
アカネは当初、影野を特に嫌ってはいなかったが、彼と交流するうちに許せないことが発生した。
それは、彼が毎朝の挨拶でアカネの名前を「西村」と間違え続けることだった。
アカネはこの間違いに気づいているが、表面上は笑顔を保ちながら対応している。
この間違いはゴールデンウィークが過ぎても続いており、アカネはようやく彼に名前を訂正した。
西野アカネは桜坂高校の二年生で、クラスメイトの影野実とのやり取りで苦悩している。
影野はアカネの名前を繰り返し間違え、「西村」と呼ぶことが多い。
アカネが訂正しても、影野はまたすぐに間違った名前を使う。
これがアカネの怒りを引き起こし、彼女は影野のことをより嫌うようになる。
しかし、アカネは自身の公的な立場を考え、目立つことを避けるため、表面上は穏やかに対応している。
アカネは学校での人気者であり、若い女優としても活躍しているため、変な噂が広まることを極力避けたいと考えている。
彼女は過去にスキャンダルで活動を一時停止した経験もあり、教師や生徒に好かれるよう努めてきた。
そのため、影野に対しても表面上は友好的に振舞っているが、内心では大きな不満を抱えている。
アカネは部活に所属しておらず、通常は授業後すぐに帰宅するが、その日は補習を受けていた。
彼女は仕事のためしばしば授業を欠席しており、補習を通して出席日数を確保している。
その日は学校を出た後、スマホの電池が切れていたため専属運転手を呼ぶことができず、徒歩で帰ることに決めた。
普段は運転手付きの車で送迎されているが、久しぶりに歩くことを楽しんでいた。
しかし、その楽しさが原因で警戒心が薄れてしまい、突然現れた黒塗りのワゴン車から大柄な男に襲われた。
男に首を締められ、意識が薄れていく中、駆け寄ってくる黒髪の少年を見たのが最後だった。
アカネが目を覚ますと、そこは薄暗い倉庫で、両手足は縛られ口には猿轡が噛まされていた。
まだ意識がはっきりせず、黒塗りの車から降りた男に首を絞められた記憶があった。
その男ともう一人の共犯者はアカネの家族に脅迫状を送り、身代金を要求していた。
その時、倉庫の窓が割れ、黒い服装の不審人物が現れた。
彼は「スタイリッシュ暴漢スレイヤー」と名乗り、共犯者と戦い始めた。
バールを武器にして大男との格闘を繰り広げ、最終的には大男を打倒した。
彼はバールをトンファーのように使い、効果的に大男を制圧する。
その後、スレイヤーはアカネの拘束をナイフで切り裂き、彼女を解放した。
彼女は自分を助けた彼が何者であるかを考えながら、彼が立ち去るのを見送った。
スレイヤーはアカネに「今度は帰り道に気をつけなよ」と言い残して去った。アカネは、彼の声がどこかで聞いたことがあるような気がした。
次の日、アカネは両親に心配されつつも通常通りに登校した。
前日の出来事に怖さは残っていたが、スタイリッシュ暴漢スレイヤーのことを思うと笑いがこみ上げてきた。
校門を抜けると、普段嫌っている影野に出会った。彼は珍しくアカネの名前を正しく呼び、その視線もアカネを直接見ているように感じられた。
驚いたアカネは彼の後を追い、「待って!影野くん!」と声をかけ、少しだけ話してみようと思った。
四章
黒い穴に飛び込み、意図せずに荒廃した日本の町に着いた主人公は、現状を不思議に思いつつ、環境を観察した。
崩壊した住宅や錆びた乗用車を見て、自身がかつて住んでいた町に戻っていたことを確信した。
主人公は何か大災害が起こったと推測している。
そのとき、ベータが現れ、驚いている。
主人公はベータに日本という国にいることを説明し、自らの知識を披露した。
その後、二人は目立たないように田中さん家で着替えることにした。
田中さん家が荒廃していた中、食料は腐敗しており、食べられるものはなかった。
主人公とベータは部屋を物色し、適当な服を見繕ったが、ベータが選んだスクール水着は防寒性がなく、再選択を迫られた。
その後もベータは不適切な衣装を選び続けたが、最終的には普通の服を選ぶよう指示された。
家の中を探索する中で、三つの白骨化した遺体が発見され、大型の肉食獣によるものと推測された。
この発見後も、ベータは衣装にこだわり続けたが、最終的にはより適切な服を選ぶようになった。
ベータと主人公は家を出発し、水分確保のために川を目指した。
ベータの観察により、彼らが見た電柱が高度な電力供給システムの一部であることが判明した。
彼らは日本がなぜ荒廃したのかを疑問視し、主人公はその原因を魔力の影響であると推測した。
川で水を確保し、食料も豊富であることを確認した後、彼らは文化的知識を活かしながら次の目的地として西野大学を選んだ。
西野大学はあくどい金持ちによって建設された研究機関とされ、彼らはそこで高度な技術や資料を探索することを目指した。
日が暮れると、茜色の秋空が美しい風景を提供していた。ベータは日本の文字に見覚えがあると主張し、以前主人公が渡した暗号が日本語であったことから、解読されたかもしれないと心配した。しかし、15歳のエルフにそんな能力があるわけがないと考えた。一方、ベータが世界の文字を理解してしまうと、主人公が開発したと教えた知識の真実が露呈する恐れがあった。そのため、主人公は元の世界に帰還する必要性を感じた。突然、主人公は帰る方法を失念してしまい、動揺した。
病院に到着した二人は、強い死臭に遭遇し、魔力の痕跡を探るため内部に入った。
彼らは病院の中で血痕や争った形跡がある病室を発見し、近くで死体を見つけた。
その死体は獣に食べられた痕跡があり、ベータは観察を行った。
その後、黒い獣と遭遇し、二人はそれを倒した。
この獣は日本の環境が変化し、動物がパワーアップした結果であると推測された。
夜が訪れると、多数の同様の魔物が現れ、主人公たちはこれらを次々と倒した。
戦闘中、彼らは人の気配を感じ、病院内に他の生存者がいるかもしれないと気づいた。
西野アカネは四人の仲間と共に市内の廃病院を訪れ、五日前に魔獣が棲み着いたとされる場所で消息を絶った三人の騎士の捜索を行った。
アカネは自らの兄の反対を押し切り、救出に向かった。
彼女は昼間は監視が厳しいため、夜に行動を起こした。
病院に着くと、強い死臭が漂い、仲間たちは武器を抜き、戦闘準備を整えた。アカネは長い刀を使い、魔力を流して魔獣を撃退した。
その後、アカネは病院の上の階を調査し、病院には彼女たちの気配を感じ取る魔獣が待ち構えていた。
天井からの攻撃により、騎士が怪我を負う中、アカネは冷静に指示を出し、魔獣との戦いを乗り切った。
戦いの末、アカネは多くの魔獣を倒し、その後、彼女と仲間たちは更に上の階に進んだ。
アカネは、過去の噂に操られていることを自覚しつつ、彼女が持つ特殊な力で多くの魔獣を倒している。
五章
アカネたちは失踪した騎士三人の遺体を発見した後、西野大学に帰還した。
その夜、騎士たちによって厳重に警備されている拠点の門で、魔獣ではなくアカネたちが見つかった。
アカネは白衣にメガネをかけた兄、アキラに報告を行い、無断での夜間行動の責任を認めた。
しかしアカネは仲間に命令して行動させたわけではなく、むしろ彼らが自主的に同行したのである。
アキラは、難民を二人連れ帰っていると聞き、そのうちの一人が覚醒者であることを確認し、彼らを直ちに見るようアカネに命じた。
アカネは、彼らがまだ意識を失っていることを伝えたが、アキラは直ぐに案内するよう要求した。
アカネが二人を運んだ場所は居住エリアにある診療所であった。
居住エリアは過密化しており、人々が廊下で寝ている姿も見られた。
診療所に着いたアカネを、白衣を着たユウカが出迎え、少年が目を覚ましたことを伝えた。
少年はミノルと名乗り、記憶に混乱がある中、ナツメと呼ばれる少女が自分の妹であることを思い出した。
ナツメは話せないがジェスチャーで意思疎通ができると説明された。
アキラはナツメの世話を引き受けることを申し出たが、ミノルはナツメの意向も確認する必要があると反論した。
アキラはその場でミノルを労いつつ、彼らが「メシア」の仲間であることを伝え、部屋を出ていった。
新しい朝が到来した際、主人公はベータを西野アキラに託し、清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
これにより、ベータは自由に動けなくなり、日本語の習得も遅れるため、主人公の嘘がすぐには露呈しないと考えられる。
一方、彼女は頭が良いため、おそらく三カ月ほどで日本語を覚えるだろう。
その間に、主人公は元の世界に戻る方法を探す予定である。
また、この世界が彼の前世とほぼ同じであることを確認し、半壊した自宅や元クラスメイトである西野アカネとの再会から、彼が亡くなってから数年が経過していることが明らかになった。
アカネは彼の元学校、桜坂高校の制服を着ており、彼女が騎士であるという事実が語られた。
部屋にノックがあり、アカネが登場するシーンで、主人公は彼女の変わり果てた外見と、制服が騎士の標準装備であることに驚く。
彼女は彼を朝食に誘い、記憶が混乱している彼を励ます。
大学のピロティーでは多くの人々が炊き出しのために長い列を形成していた。
その場には発電設備があり、最新のプラントを稼働して食料を生産しているため、治安も安定し人口の多い拠点となっていた。
しかし、騎士の数が不足しており、騎士一人が百人以上の住民を守る必要があるため、負担が大きく死傷者も増加していた。
彼女は兄が発電機やプラントを管理していること、その設備が他の拠点から狙われていることを明かした。
彼らは戦力の拡大を急いでいる状況だった。
会話を続けながら彼女は玄米と野菜のお粥を誇らしげに食べていたが、主人公はまだ食べ終わっていなかった。
彼女は三年前に突然魔獣が現れた事件から話を始め、人類が魔獣と戦ってきた過程を説明した。
最初に魔力の存在に気づいたのは海外の研究者であり、その後日本でも魔力の研究が始まった。
一年前には日本に初の「騎士」が誕生したが、彼女は覚醒者であり、魔力の影響で人格が崩壊し「アルカディア」の住人を虐殺した後に姿を消した。
アルカディアは多くの研究者や騎士が集まる拠点であったが、彼女によって滅ぼされ、その後、拠点間での争いが始まった。
彼女は兄が「アルカディア」の生存者であり、研究を通じて人々を助けようとしていることを信じていた。
また、彼女はミノルと過去を思い出すことで懐かしい気持ちになり、安心感を覚えていた。
診療室に戻ると、ユウカが待っており、アカネが情報を共有してくれなかったことについて心配していた。
彼女は、近くでスタンピードが発生しそうな状況を説明し、魔獣が暴走することを懸念していた。
スタンピードとは、魔獣が群れで繁殖し数を増やした後に暴走する現象である。
食料を確保し新たな巣を作るために人間を襲う。
ユウカは、発見された病院の位置を地図に示し、その病院が魔獣の巣だったことを説明した。
彼女はまた、西野大学周辺には未討伐の魔獣の巣がまだ多く残っており、これらの巣が巨大化すると討伐が困難になると説明した。
彼女は西野大学から一キロメートルの桜坂高校に大きな巣があり、そこから定期的にスタンピードが発生し『メシア』を襲撃すると警告した。
スタンピードには上位種と呼ばれる強力な魔獣が含まれる可能性があり、その存在がスタンピードをさらに危険にしている。
外での騒ぎが聞こえる中、ユウカは怪我人の手当てのために診療所を離れた。
日が暮れ、アカネはその日の仕事を終えて一息ついていた。
彼女の勤務は拠点内の見回りで、普段よりも仕事が多かった。
これはスタンピードが近づいているためで、暴動などのトラブルが多発していた。
疲れを感じつつも、ユウカが声をかけ、互いにその日の苦労を慰め合った。
ユウカはミノルの世話について相談し、彼の記憶が戻るのを待っていると説明した。
アカネはミノルの面倒を見ることを申し出たが、彼の住む部屋を手配する必要があった。
ユウカは、記憶が混乱しているミノルに『メシア』のルールを教え、彼が仕事を始められるようサポートすることを提案した。
アカネはミノルの面倒を見ることに決め、その夜のうちに部屋の掃除をすると述べた。
白い無機質な廊下を歩いている西野アカネは、無表情で一定のリズムで進んでいた。
彼女が一つの白い扉の前で止まり、暗証番号を入力してロックを解除し、部屋に入ると、目が覚めたと言って微笑んだ。
部屋には、覚醒者である銀髪の美しい少女ナツメがいた。
ナツメは言葉を理解していないことが分かり、研究者が絵本を読み聞かせていた。
ナツメは新しい物事に興味を示しており、液晶時計に触れると楽しそうに遊んでいた。
彼女は純粋で無垢な存在であるようだった。
その後、ナツメが驚いて時計を落とし、部屋の扉が開いて西野アキラが入ってきた。
彼は記録用のカメラを探していたが、部屋にはなかった。
アキラはナツメの変異について尋ねられると、スタンピードが迫っていることと、ブルートゥルの新たな痕跡が見つかったことを述べた。
彼は戦力を強化するために新たに発見された怪物の頭部を利用することを考えていた。その後、彼らは部屋を出て行った。
ナツメは一人部屋に残され、ノートパソコンの前で一晩中何かを打ち込んでいた。
彼女の青い瞳は暗闇の中で動き、何かを探求している様子であった。
ユウカ先生の診療所が満床となったため、主人公は診療所から退去することとなった。
昨日の暴動によりベッドが足りなくなったからである。
しかし、主人公にとっては、診療所からの退去が悪い話ではなかった。
診療所に人が溢れることで抜け出す隙が減り、昨夜は抜け出す時間が限られてしまったのだ。
結局、小学校にあった巣を吹き飛ばすに留まった。
新たな情報を探すか、もう少し魔物の巣を潰してみるか、蝠おじさんの頭を探してみることも検討していた。
予想外に、西野アカネが主人公の保護者となることになった。
しばらくは彼女の部屋で同居することになる。彼女は元クラスメイトだが、彼女は主人公のことに気付いていない。
彼女は以前、主人公が『陰の実力者』として無様な勝利を重ねていたと感じていたが、今は『陰の実力者』としての実力が向上している。
この状況を、やり直す機会として捉え、不在になる彼女の抜け出す機会を増やす計画である。
彼女が主人公の顔が誰かに似ているとコメントし、何かを考えている顔が似ていると話した。
主人公は、彼女の誘いに応じて、これから彼女と同居することになる。
彼女は敬語をやめるよう求め、もっと普通に話すことを望んだ。
彼女は主人公を信頼しており、彼のことをよく理解していると感じていた。
この新しい生活の中で、主人公は彼女とどうでもいい雑談をしながら生活することになり、彼女の部屋で新しい日々が始まるのだった。
六章
アカネが夜勤に向かう際、ミノルには部屋から出ないよう伝えられた。
夜は最も危険な時間であり、スタンピード前のため魔獣の活動が活発になっている。
騎士団の詰所に着いたアカネは、遅れて到着するも灰谷団長によって時間通りと言われる。
詰所では、騎士団のリーダーたちが集まり、最近の魔獣襲撃やブルートゥルの情報などが共有された。
会議で、ブルートゥルが関与したかもしれない新たな事件の写真が示される。
写真には、数百匹の魔獣が一太刀の切り口で殺されている様子が写っていた。
この技術は上位種でも不可能で、もしかすると日本に存在したかつての強力な騎士、「はじまりの騎士」が関与しているのではないかという憶測が交わされる。
その後、襲撃の警報が鳴り響き、全員が警戒状態になる。夜勤は過酷であり、特にスタンピードが近いこの時期には、アカネや他の騎士たちの負担は一層増している。
拠点を囲む防壁の上で、多数の魔獣が防壁によじ登ろうとしており、騎士たちは数に対して不足していた。
アカネは防壁に登り、数多くの魔獣を両断するが、騎士たちの犠牲が増えていくのを防ぐため、アカネは先頭に立って魔獣を引きつけ、自ら飛び降りた。
戦場ではアカネが多くの魔獣に囲まれ、鋭い爪と牙から逃れながら戦っていた。
しかし、アカネが絶体絶命の状況に陥った瞬間、漆黒の刀を持つ漆黒の騎士が現れ、魔獣を一掃する。
漆黒の騎士は漆黒の風のように現れ、魔獣の群れを一掃した後、何も言わずに去っていった。
灰谷団長はこの漆黒の騎士が西野小学校の巣を壊滅させた可能性があると推測し、彼の存在について議論された。
漆黒の騎士が一人で全ての魔獣を両断するその技術は誰にも真似できないものだった。
拠点は深夜にもかかわらず慌ただしさが収束せず、多くの人々が活動していた。
その中で、冴島という騎士団の副団長が慌ただしさから離れていた。
彼は不快そうに暗い校舎裏を歩き、「漆黒の騎士」の行動に不満を漏らしていた。目的地に向かう途中で、冴島は背後からの足音に気付き、振り返る。
その瞬間、彼の胸が何かによって貫かれ、血飛沫が舞い、路地裏に倒れ込んだ。足音は再び聞こえ、去っていった。
夜間に西野大学内を駆け回っていた一人の学生は、突然の魔物襲撃イベントに遭遇し、心地よい高揚感を味わっていた。
彼が言いたかったセリフを言い終えると、帰宅し服を着替えてベッドに潜り込んだ。
同時に彼の彼女であるアカネが帰宅し、彼は寝たふりをして安堵した。
彼女は着替えながら血の臭いを放ち、彼に話しかけたが、彼は死にたいと思ったことがないと答えた。彼女は記憶に穴が開いていると感じていると述べた。
その後、彼女は彼に人を殺したことがあるか尋ね、冗談だと明かした。
そして、誰かを待っていると呟き、夜が明けるまで動かなかった。
その朝、冴島副団長が殺されたことを告げる騎士団の人物が訪れた。
事件が発生し、アカネが疑いをかけられていた。
彼女は冴島副団長との言い争いが目撃され、死亡推定時刻にアリバイがなかったため疑われる状況にあった。
彼女の部屋で、彼女の友人であるミノルが彼女の無実を証明しようとしていた。
ユウカ先生はアカネの精神的な支えであり、彼女が昔の事件によるトラウマを抱えていることを明かした。
現場の死体の傷が不自然であることから、彼女が犯人でない可能性が示唆された。
最終的に、ユウカ先生は騎士団に真相を伝えることを約束し、ミノルにも彼女の側にいることを勧めた。
ミノルはアカネに対する疑惑を持ちつつも、彼女が犯人でないことを信じている。
彼は大学の構内で食事を済ませた後、校舎の脇で騎士団が集まる現場を遠くから観察する。
その場には近づかず、ベンチに座る男がノートパソコンを操作しているのを見つける。
その男が大学内の限定回線を使用していることを知り、彼に話しかけるが追い返される。
しかし、ミノルは手早く男を気絶させパソコンを手に入れる。
パソコンで掲示板にアクセスし、アカネや漆黒の騎士についてのスレッドを見つける。
ユーザーたちはアカネの無実を主張したり、漆黒の騎士の噂を語り合っている。
ミノルはこの情報をもとにさらに調査を進めるつもりである。
翌日、ミノルは大学の奥にある小さな研究棟に向かう。
その場所は林に囲まれており、暗く寒い。
掲示板の書き込みによれば、ここにゴリラの遺体が運ばれたとのことである。
ミノルは騎士が見張るエントランスを気配を消して突破し、地下へと進む。
鉄製の扉をスライムソードで切断し、室内に入る。
そこは死体安置所であり、シートに包まれた遺体が複数横たえられている。
ミノルは特にゴリラの遺体を探し出し、シートを剝がすとバラバラになった肉塊が現れる。
魔力痕跡はほとんど残っておらず、切断面は雑で、斧やノコギリで切断されたと推測される。
彼は遺体の解体が通常の死体処理と異なり、何かを隠すためだったことに気付く。
遺体の複数の部位から肉が意図的に削ぎ落とされており、切断された腕には弾痕が見つかる。
これにより、犯人はゴリラが油断する顔見知りで、騎士ではない人物が騎士の犯行に見せかけて殺害したと推理される。
これでアカネに対する疑いは薄れる。ミノルはその場を後にすることにする。
ミノルは帰宅後、アカネが不在であることを知る。
ユウカはアカネが検査のため戻らないと説明する。
ミノルは、アカネに対する疑いを晴らすための重要な証拠、すなわち弾痕の情報をユウカに報告する。
この情報は、知り合いの情報屋から得たものだと述べる。
ユウカはこの情報を基に騎士団に連絡し、遺体の再調査を試みることにする。
彼女はこの情報を秘密にするようミノルに忠告し、部屋を後にする。
ミノルはこの進展によってゴリラ殺人事件が解決し、アカネが解放されることを期待しつつ、真実を追求することも考慮する。
その後、彼はベッドに入り、夜更けを待つ。
深夜、ある人物が外からの物音に気づき、部屋にいると突然銃撃が始まり、窓ガラスが割れる。
この状況に直面し、彼は自身が射殺される体験を最後に奥義を使う機会と見なす。
彼の技「モブ式奥義──ハチの巣にされ躍るモブ」は、銃弾に踊る肉体を演出し、自身の死を芸術的に表現する。
しかし、彼が実際には死んでいないことを確認しに来た二人の男によって明らかにされる。
彼らは彼の死を確認しようとするが、彼は生きており、二人を制圧する。
その後、騎士団が接近している中、外からスタンピードが始まったとの警報が鳴り、彼は二人の首をへし折り、事件現場から逃れる。
終章
スタンピードの警鐘が響く中、西野アキラは研究棟の奥にある病室へと急いだ。
彼は抱えていた白い箱を開け、中から冷凍保存された生首を取り出した。
この生首は強大な魔力を秘めており、ナツメという銀髪の少女を最強の騎士にするために使用される予定だった。
西野はナツメに融合を試みるが、その瞬間、何者かに撃たれてしまう。
背後から現れた人物によりナツメも射殺され、西野はその場で命を落とす。
その人物は生首と注射器を回収して去り、西野は自分の研究の結果を見届けることなくこの世を去った。
拠点の防壁で、騎士たちは魔獣の大群に対峙していた。
数が圧倒的に多く、絶望が広がる中、団長の灰谷は住民避難を指示した。
その時、巨大な魔獣ブルートゥルが現れ、防壁に深い亀裂を入れた。
しかし、漆黒の騎士が現れ、一撃でブルートゥルを両断。
騎士たちは彼の力に圧倒される。漆黒の騎士は青紫の刃を発生させ、魔獣を一掃。
灰谷は漆黒の騎士を拠点に招き入れ、彼の言葉に畏敬の念を抱く。彼の名はシャドウ、陰に潜み陰を狩る者と名乗り、去っていった。
漆黒のロングコートをまとった人物が、闇の中へ姿を消した。
彼は圧倒的な力で魔獣を殲滅し、人々に謎の言葉を残した。
その後、屋上で彼はベータと名乗る人物に会う。
ベータはシャドウモードで跪き、ぎこちない日本語で話しかけた。
彼女はスライムの大きな袋を持ち、知識を集めたと報告した。
彼女の日本語はまだ不十分であったが、意思の疎通は可能であった。
ベータは次の計画の準備が整ったと伝え、彼はその方向に興味深い魔力を感じた。
地下道を走る女性が、頻繁に後ろを確認しながら生首を抱えていた。
彼女は地下道の端にある大きなキャリーバッグの前で立ち止まり、懐中電灯を取り出してバッグを開けた。中には西野アカネという少女が眠っていた。
女性はアカネに対し、彼女の行為が原因で現在の状況があると語りかけ、生首を置いた後、注射器を取り出した。
その時、少年ミノルが登場し、彼女が犯人であることを指摘する。
女性は医師のユウカであり、ミノルを殺すよう指示したことを認めた。
彼女は冴島も殺したことを淡々と告白し、理由は彼が内通者であったからと説明した。ユウカは「同盟」のスパイであり、彼女の本当の目的は復讐であった。
彼女はかつてアルカディアで暮らしており、夫と共に覚醒者の研究をしていたが、夫は「はじまりの騎士」の暴走により亡くなった。
彼女は西野アキラと「はじまりの騎士」を追い、アカネが「はじまりの騎士」であることを明かした。
ユウカはアカネに体液を注入し、その結果アカネは覚醒し、黄金の魔力を放った。
アカネはユウカの心臓を貫き、ユウカは復讐を果たしたと笑いながら息絶えた。
アカネは自らの行為に悲痛な叫びを上げ、黄金の粒子が拡散し、周囲を爆発させた。
西野アカネは、自身の右腕でユウカを貫いた感触と、その崩れ落ちる姿を痛感していた。
かつての記憶が蘇り、街を破壊し、人々を殺した経験を思い出した。
彼女の魔力は制御不能となり、金色の魔力が爆発し、周囲を破壊した。
黒髪の少年は巻き込まれ消え、瓦礫の上に立つ漆黒の騎士が現れた。
漆黒の騎士は過去を断ち切る夜だと告げ、アカネに戦いを挑んだ。
彼女は黄金の魔力を放ち、騎士を貫いたが、それは残像であった。
振り返ると、騎士は無傷で立っており、アカネの四肢は黒い鎖に拘束されていた。
彼女は騎士の強力な魔力に圧倒され、自らの終わりを悟った。
青紫の光に包まれる中で、彼女は懐かしい声を聞き、意識を失った。
ベータは瓦礫の隙間から、青紫の魔力で癒やされるアカネの様子を観察していた。
彼女は右手にデジタルカメラ、左手にシャドウの戦記を執筆しながら、主の姿を撮影していた。
ベータはカメラと戦記を片づけ、主に準備が整ったことを告げた。
主は計画が終わったと確認し、ベータは瓦礫から回収した生首を取り出した。
ベータは生首を魔力で貫き、黒い穴を広げることに成功した。
主に褒められた彼女は感動し、すぐに黒い穴に飛び込むよう促された。
ベータは黒い袋を背負っていたが、穴が小さく袋ごと通るのは難しかった。
彼女は袋の中身を取り出し、持ち帰れそうなものを選んでいると、地面に倒れている少女に気づいた。
ベータは少女を持ち帰ることを決意し、スライムで包み込んだ。
彼女は小さな道具とデジタルカメラを回収し、黒い袋を穴の中に押し込み、自身も飛び込んでいった。
アルファは、シャドウが帰還したとの報告をミツゴシデラックスホテルの社長室で受けた。シャドウが『黒キ薔薇』に飲み込まれた直後、アルファはオリアナ王国に急行し、事後処理を指揮していた。隣で作業していたイプシロンが驚いて立ち上がったが、アルファは冷静に彼を落ち着かせた。
アルファはシャドウの帰還を予期しており、その術を持っていることを確信していた。
シャドウは現在、ミドガル王国に向かっているとの報告があった。
ウィクトーリアによれば、ゼータがシャドウの側に付いているが、いつ戻ってきたかは不明である。
アルファはゼータの優秀さを認めつつも、報告が少ないことにため息をついた。
次に、ベータが興味深いものを持ち帰ったとの報告があり、ベータが大きな黒い袋を引きずって現れた。
ベータは電子機器を次々と取り出し、その便利さを説明したが、アルファは人型の大きな塊について質問した。
ベータは、それが異世界生命体であると推測したが、詳細は不明であった。
アルファはベータにその生命体の世話を任せるよう指示した。
ベータは最初は躊躇したが、責任を取ることを受け入れた。アルファは、ベータに対して詳細なレポートを提出するよう命じた。
その後、666番に関する議題が続き、シャドウガーデンの幹部会議は夜遅くまで続いた。
アカネは白い部屋で目覚めた。
体調も心も非常に落ち着いており、久々に良い目覚めであった。
部屋を見回すと、大学の研究室のように見えたが、設備が非常に原始的であった。
壁には見慣れない言語で文字が書かれており、アカネはそれを読めなかった。
自分が犯した罪、死を覚悟した瞬間、最後に包まれた優しい光と彼の声を思い出したアカネは、落ち着いた心でそのすべてを受け入れた。
アカネは、アルカディアの人々やユウカに対して謝罪した。
自分の心の弱さが被害を拡大させたと感じており、過去を受け止める強さがなかったことを認めた。
しかし、今ならそれを受け止められると思った。
彼の声を聴いたアカネは、彼が生きていることを確信し、一筋の涙を流した。
彼が生きているなら、自分も強くなれると信じた。
アカネは、殺してしまった人たちよりも多くの人を助けたいと誓い、彼女の周囲には黄金の粒子が漂った。
Share this content: