小説【shieldhero】「盾の勇者の成り上がり 3」感想・ネタバレ

小説【shieldhero】「盾の勇者の成り上がり 3」感想・ネタバレ

どんな本?

物語の概要

『盾の勇者の成り上がり』は、アネコユサギ氏による日本のライトノベルで、異世界に召喚された盾の勇者となった大学生の岩谷尚文と、彼の仲間である亜人の少女ラフタリアや鳥型の魔物フィーロの冒険を描いた物語。
この作品は、小説投稿サイト「小説家になろう」にて2012年から連載されており、2013年からは書籍化もされている。
また、藍屋球氏による漫画版や、にぃと氏による外伝『槍の勇者のやり直し』などのコミカライズもある。
さらに、2019年からはアニメ化もされており、第1期は2019年1月から6月まで放送され。
その後、第2期は2022年4月から6月まで放送。
現在、第3期は2023年10月より放送中。

主要キャラクター

岩谷尚文:盾の勇者として異世界に召喚された青年。数々の困難に直面しながらも、不屈の意志で立ち向かう。

ラフタリア:尚文の最初の仲間であり、信頼できる剣士。彼を支え続ける存在。

フィーロ:尚文が孵化させたフィロリアルの女王種。明るく元気な性格で、仲間たちを盛り上げる。

メルティ:メルロマルク王国の第二王女。尚文たちと行動を共にすることになる。

出版情報

• 出版社:KADOKAWA

• 発売日:2013年12月25日

• ISBN:9784040661667

読んだ本のタイトル

盾の勇者の成り上がり 3
著者:アネコユサギ 氏
イラスト:弥南せいら  氏

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あらすじ・内容

どんな困難も乗り越える不屈の成り上がりファンタジー第三弾!

ドラゴンゾンビの始末を終えた尚文、ラフタリア、フィーロの一行は、クラスアップのため『龍刻の砂時計』へと向かうことに。だがそこで、尚文はまたもや蔑(さげす)みの言葉を浴びせられることになる。
「盾の勇者のクラスアップは不可能」という、王直々の指令が下っていたのだ。
「なんで俺だけ……!?」
不屈の意志で別の国へと向かう尚文だったが、折も折、そこで『第三の波』が起こってしまう。さらには第二王女と呼ばれる少女がついてきてしまい、「誘拐犯」の指名手配までされる始末。国から追われる身となった尚文の運命は如何に……!?
邪魔するものは排除する! どんな障害も己の力で乗り越えていく、不屈の成り上がりファンタジー第三弾!

盾の勇者の成り上がり 3

感想

『盾の勇者の成り上がり 3』は、尚文(ナオフミ)、ラフタリア、フィーロの一行がドラゴンゾンビとの戦いを終え、護衛と逸れたメルティーと共に次なる冒険に挑む物語です。ドラゴンゾンビを討伐した影響でラフタリアとフィーロのレベルがクラスアップ可能レベル40となりました。

物語は、一行が次なる目的地である王都の『龍刻の砂時計』へ向かう場面から始まります。フィーロと仲良くなったメルロマルク王家の第二王女メルティーと共に王都に向かいます。

しかし、彼らが目的地に辿り着いたところで、明らかな差別を受ける事になります。王自らの指令により、「盾の勇者のクラスアップは不可能」と告げられたのです。

これにより尚文は、再び差別と蔑視の言葉を浴びせられる運命に立ち向かうことになります。だが、そんな尚文にリュート村出身の兵士達が尚文に協力したいと言って来ました。彼等は盾の勇者と共に災厄の波から民を護りたいと言いますが、メルロマルクの民を全く信じていない尚文は、兵士達に信用して欲しければ金を払えと言います。盾の勇者の名声を利用しようとしていた奴等を篩にかけてから兵士達を編成に加えました。

それでも尚文は、別の国へ向かう決心をし、一行は次なる冒険へと進みます。しかしその途中で、「第三の波」と呼ばれる謎の災厄が発生し、異世界からの魔物が溢れる事象が勃発します。

盾の勇者一行は、波の戦場に召喚され、リュート村の兵士達を率いて周辺住民を波から溢れ出るモンスターから護る戦いに身を置きます。しかし、剣、槍、弓の勇者達は波のボスを探し出すことができず、他の勇者たちとも連携がうまく取れずに苦戦します。

それに焦れた尚文が勇者たちの主張を聞き彼等の言って事の共通項を探し、自身の考察で相手を攻撃したら第三の波のボス、ソールイーターが出て来ましたが、ソールイーターの攻撃に勇者達はダウンしてしまいました。ソールイーターを討伐したのはカースシリーズをグローアップさせた尚文のアイアンメイデンでした。ボスを倒して波が終わると思ったら、異世界から来た扇の眷属器の使い手グラスが襲って来ました。
尚文以外の勇者はグラスの牽制攻撃で撃沈しました。
そのせいでグラスは尚文のみを勇者と認識して戦闘に入ります。尚文の最大火力のアイアンメイデンを使った攻撃は効かず、尚文は時間切れまでグラスから逃げる事を決めました。
それを見たグラスは次こそ逃さないと言って自身の世界に帰還して行きました。

災厄の波を乗り越え、被害を受けた人々の怪我を治療し、壊れた建物等の再興の手伝いをしていた尚文達の前に、1日遅れで現場に到着した騎士達が尚文に勝手に兵士を連れて来たと文句を言って来ました。

必要な時に必要な兵力を持って来れなかった無能が何を言ってると言い返す尚文。
さらに他の勇者達は役に立たなくて、負傷していると教えると騎士団は勇者達を王都に連れて帰りました。
ついでに尚文にも国王に報告しろと言って来ました。
国王とは会いたく無いので報告したく無いと言う尚文でしたが、兵士達から懇願されて国王に報告をした後に。

国王が、尚文に強くなった秘密を全て話せと言って来ました。
弱い他の勇者達を強くしたい国王の意図を察した尚文は、国王に土下座して教えを乞えと言いました。
国王は激怒して尚文を殺せと周りの騎士に命じましたが、尚文はこの中の誰よりも強く、誰の攻撃も効ません。
国王を殺そうと思えば殺せると言うと、国王達は黙り込みました。
悔し紛れに国王は、尚文に出て行けと言いました。
ちょうど別の国に行こうと思っていた尚文は、これ幸いとメルロマルクから出て行くつもりで準備をしていたら、

メルティーが彼らの前に現れ、国王に謝れと言って来ました。
最初は相手にしていなかった尚文でしたが、マルティーからメルティーの暗殺を命じられた護衛の騎士がメルティーを襲い、尚文は咄嗟に騎士からメルティーを護りました。
襲った騎士を拘束して、彼等の持ち物を調べたら盾の勇者以外の勇者を信仰する三勇教の信者だと判明しました。

尚文が民のために東奔西走していたせいで、三勇教の勢力が弱まり、王位継承権がメルティーより低いマルティーと結託して。

尚文がメルティー誘拐をしたと冤罪をでっち上げてメルロマルク国中に指名手配してしまいました。

尚文は自分の無実を証明しようとするものの、国から追われる身となってしまいました。

それでも彼は、仲間を守るため、そして自らの冤罪を晴らすために戦い続けます。様々な障害や差別を乗り越え、尚文は不屈の意志と勇気を持って前へ進みます。

物語は、尚文の成長と向き合いながら、彼の強い意志と勇気、そして仲間との絆が描かれています。
彼が自らの力で立ち向かい、成り上がる姿は、読者の心を打ち、感動と共感を呼び起こすことでしょう。『盾の勇者の成り上がり 3』は、不屈の成り上がりを描いた感動的なファンタジー作品であり、読者に勇気を与えてくれる素晴らしい作品です。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

プロローグ

魔物討伐の依頼と旅の始まり

尚文たちは東の村から魔物討伐の依頼を受け、山に向かった。ドラゴンゾンビ討伐後の影響で村に近づく魔物たちを退けるため、尚文は用心棒としての役割を果たすことにした。盾の力を使いながら、仲間であるラフタリアやフィーロと協力して戦いに挑んだ。

盾の呪いとラフタリアの治療

討伐中、尚文はかつて使った憤怒の盾による呪いの影響でラフタリアに傷を負わせてしまった。ラフタリアはその痛みを隠しながらも、尚文の信頼に応えようと奮闘した。彼女の治療を最優先にするため、尚文たちは大きな教会がある城下町へ向かう決断をした。

フィーロと新たな友人メルとの出会い

帰り道で尚文たちはフィーロと親しげに話す青髪の少女メルと出会った。メルはフィロリアルと話すことが夢だったと言い、フィーロとすぐに打ち解けた。彼女は迷子になった護衛たちと逸れてしまい、尚文たちに城下町までの同行を依頼した。尚文は渋々ながらもそれを引き受け、旅路が新たに始まった。

村での恩返しと聖人としての評価

魔物討伐後、尚文は村人たちから感謝され金銭を受け取った。その一部を治療師に渡すことで感謝の意を示しつつ、自身の正体が知られないよう注意を払った。村を後にする際、尚文はフィーロとラフタリアを連れて次の目的地へ向かった。

旅の困難と希望

城下町への道中、尚文はフィーロとメルの無邪気なやりとりに心を和ませつつも、ラフタリアの治療や自身の立場について考えを巡らせた。彼の背負う困難は多いものの、仲間たちとの絆がその重荷を支えていた。

一話  フィーロの友達

焚き火の夜とフィーロの秘密

野宿とフィーロの宝物

尚文たちは野宿をし、翌日の城下町への到着を待つこととなった。フィーロとメルは無邪気に駆け回り、楽しそうに過ごしていた。フィーロが大切にしていた「宝物」をメルに見せる場面では、壊れた剣やガラス片などが登場し、その中にはフィーロの排泄物「ペリット」も含まれており、尚文を驚かせた。

焚き火のひとときと魔法の勉強

尚文は焚き火を囲みながら食事を作り、簡素ながらも美味しい料理でメルを感心させた。食事後、尚文は初級魔法書を読み進め、魔法の習得に努めた。一方で、フィーロとメルは遊び疲れて静かになった。

メルの行方不明疑惑とフィーロの羽毛の秘密

夜、ラフタリアが目覚めるとメルの服が脱ぎ散らかされ、姿が見当たらなかった。尚文とラフタリアはフィーロがメルを食べたのではないかと疑ったが、フィーロの羽毛の中からメルが無事に現れた。フィーロの体内のように深い羽毛構造が明らかになり、尚文はその異様な生態に驚かされた。

二話  行商の成果

城下町での取引と新たな情報

武器屋での商談とメルの別れ

尚文たちは城下町に到着し、馬車を武器屋の親父の店に預けることにした。親父は尚文にとって信頼できる数少ない人物であり、防具や武器の相談を進めた。一方で、メルは親元に戻るためフィーロと共に武器屋を後にし、別れ際に感謝の言葉を残して去った。

装備の選定と親父の提案

親父はラフタリアのために魔法銀の剣や防具を提案し、高度な加工技術を説明した。尚文は素材の有効利用やコスト面を考慮し、蛮族の鎧にドラゴンの骨や腐竜の核を用いた新装備の制作を依頼した。親父はその注文に応え、二日後の完成を約束した。

クラスアップの情報と龍刻の砂時計

親父から、尚文たちのレベルに付いた星がクラスアップの条件を満たしたことを示すものであると教えられた。クラスアップは龍刻の砂時計で行えると聞き、尚文はラフタリアの治療が終わり次第、フィーロと合流して砂時計を訪れることを計画した。

教会での聖水購入

尚文は教会を訪れ、ラフタリアの呪いを解くために高品質な聖水を購入しようとした。教会の対応に不満を抱きながらも、最終的に金貨一枚で高品質の聖水を手に入れることに成功した。宗教的な押し付けを感じつつも、尚文は教会を後にし、次の行動に向けて準備を進めた。

三話  天使萌え

城下町での騒動と新たな出会い

兵士との追走劇

教会を出た尚文は、兵士の少年が駆け寄るのを見て逃げ出した。罪を着せられる恐れを感じ、ラフタリアと二手に分かれて城下町内で逃走を図った。路地裏を抜けて兵士を撒いたが、安心したのも束の間、元康一行に発見される。

元康との口論と決闘

尚文は元康から突然、フィーロを解放しろと迫られる。元康はフィーロを理想の天使だと語り出し、突如決闘を仕掛けた。元康の攻撃で城下町に被害が出る中、尚文は防戦しつつ一般市民を守ろうと努めた。周囲の混乱が広がる中、ビッチ王女( マルティ=S=メルロマルク)が決闘を正当化し騒動を助長した。

メルティの介入と騒動の収束

混乱の最中、メルティが現れ、槍の勇者と姉であるビッチ王女を制止した。彼女は民衆の安全を守る重要性を訴え、元康に決闘を止めるよう説得した。これにより騒動は沈静化し、元康はフィーロに反撃されて大きな屈辱を受ける。

フィーロの功績とメルティとの会話

元康を撃退したフィーロは尚文から褒められ、満足そうな様子を見せた。一方、メルティは尚文に協力を申し出るとともに、ビッチ王女の行動を非難した。その後、尚文は兵士たちやメルティとともに落ち着いた場所で話を続けることにした。

四話  志願者

武器屋での対話と新たな提案

武器屋での会議とメルティの正体

尚文は武器屋を会議の場に選び、同行してきたメルティに正体を問うた。メルティは自らがメルロマルクの第二王女であり、王位継承権の第一位であると明かした。これに対し、尚文はビッチの妹であることから信用できないと断言し、彼女との対話を拒否した。その後、王家の騎士たちが現れ、メルティを迎えに来たため、彼女は不満を抑えつつ店を去った。

兵士たちの申し出と尚文の疑念

メルティが去った後も、兵士たちは尚文に対し「波の間だけでも共に戦わせてほしい」と懇願した。リユート村出身の兵士は、以前の波で尚文が村を救ったことに感銘を受けたと語ったが、尚文はその申し出に裏があると考え、彼らを試すことにした。アクセサリーを高額で購入させる形で本気度を確認するという手法をとったのである。

兵士たちの本気と尚文の判断

兵士たちは仲間内で募金を募り、要求された金額を集めて再び現れた。この行動に尚文は彼らの本気を認め、アクセサリーを渡したうえで、編隊の分隊長権限を兵士に与えた。彼は「裏切れば報いを受ける」と警告しつつも、彼らの志を一部信じる姿勢を見せた。

次なる目的地への移動

兵士たちを送り出した後、尚文は武器屋を後にし、ラフタリアとフィーロとともに次の目的地であるクラスアップを目指すこととした。武器屋の親父は尚文の試みを評価しつつも、その手段の厳しさに驚きを隠せなかった。

五話  王直々の命令

龍刻の砂時計でのクラスアップの試み

クラスアップに向けた準備と意志確認

尚文はラフタリアとフィーロを連れ、クラスアップのために龍刻の砂時計を目指した。道中で尚文はラフタリアに自らの未来を選択する重要性を説き、フィーロにも希望するクラスアップを尋ねた。フィーロの「毒を吐けるようになりたい」という突飛な発言に尚文は呆れつつも、一行は期待を胸に砂時計の施設へと足を運んだ。

クラスアップの拒否と怒り

施設に到着すると、シスターからクラスアップの費用として法外な金額を提示された。しかし、尚文はそれを受け入れラフタリアの分を支払おうとしたが、盾の勇者一行のクラスアップは禁止されているとの命令が下されていた。尚文は王の意図的な妨害に激怒しつつも、騎士たちが現れたため仕方なく施設を後にした。

今後の対策と次なる行動

尚文は、現状ではクラスアップを諦めるしかないと判断し、別の手段を模索することにした。ラフタリアたちを信頼できる冒険者に託す案や、奴隷商を利用する方法を検討し、波までの時間を有効に使う計画を立てた。その後、一行は奴隷商の元を訪れるため、施設を離れた。尚文は元康に蹴りを食らわせたフィーロの行動を思い出し、笑顔を浮かべる場面もあったが、クラスアップの問題が尾を引き、不快な状況は続いていた。

六話  ウェルカム

奴隷商との交渉と装備購入

奴隷商の繁栄とクラスアップの相談

尚文は奴隷商のもとを訪れ、奴隷商が繁盛している様子に驚いた。フィロリアル・クイーンやラフタリアの評判が奴隷商の売上向上に貢献していた。尚文は、奴隷商にクラスアップの斡旋を依頼したが、奴隷商は紹介状を持っていないと答えた。代わりに、隣国でクラスアップが可能であると助言を受け、亜人の国シルトヴェルトなどへの移動を検討することとなった。

フィーロの武器購入と試し装備

奴隷商の提案で、フィーロ用の武器としてツメを購入することになった。魔法鉄製のツメを特別価格で入手し、早速フィーロに装備させた。フィーロは新しい武器に興奮し、攻撃力の向上を実感したが、尚文は安全面を考慮して使用時の注意を促した。

下水道での試し戦闘

奴隷商から提案された討伐依頼を受け、尚文たちは下水道で暴れている魔物「クリームアリゲーター」と対決した。尚文が魔物の動きを封じ、ラフタリアが新しい剣で尻尾を切断し、最後にフィーロがツメでとどめを刺した。戦闘は成功し、フィーロの武器の性能を確認する良い機会となった。

武器屋での新しい馬車の相談

討伐後、奴隷商から報酬を受け取り、尚文たちは武器屋へ戻った。フィーロが使用する馬車の老朽化が問題となり、新しい馬車を作ることを決定した。予算を金貨十枚とし、実用性を重視したデザインを依頼した。武器屋の親父の助言で、フィーロも納得し、注文が進められた。

行商への準備

新しい装備や馬車が完成するまでの時間を利用して、尚文たちは行商を再開する計画を立てた。波までの時間を有効活用するため、必要な準備を整えつつ、日々の活動を進めることとなった。

七話  副将軍……

南西の村での作物調達

尚文たちは、飢饉が起きている北方地域で作物を高値で売る計画を立て、かつてバイオプラントの問題を解決した南西の村で作物を安く購入した。村人たちは恩人である尚文を歓迎し、改造されたバイオプラントの成果で豊作を迎えていた。トマトのような赤い実が畑に広がり、村全体が活気に満ちていた。

検問所でのトラブル

北へ向かう道中、立ち寄った町で検問所にて通行税と商業税を求められた。リユート村発行の商業通行手形を提示したが、見張りに受け入れられなかった。領主の命令で拒否している様子が見て取れた尚文は、無理に交渉せず金を支払い町に入ることを選んだ。町内では物価が非常に高く、商業活動も衰退していた。

弓の勇者との偶然の遭遇

尚文は酒場で弓の勇者・樹を見かけた。樹は領主が課している高額な税と賄賂問題について仲間と議論しており、領主を懲らしめると決意していた。翌日、領主は失脚し、町では樹の正義感が評価される一方で、尚文は樹の行動が表面的な正義感に基づく自己満足だと感じた。

隣国の飢饉と物資交換

隣国との国境付近の村に到着した尚文たちは、飢饉に苦しむ住民たちと出会った。彼らは金ではなく薬草や木工品などで物々交換を希望した。尚文は食料を分け与え、住民の事情を聞くと、悪政の王を倒した後、元レジスタンスが税を引き上げ、状況が悪化していることが判明した。

バイオプラントの種の提供

尚文は状況を改善するため、改造されたバイオプラントの種を住民に提供した。住民に種の扱いを注意深く説明し、次回訪問時に礼を求めると約束した。後日、この種によって隣国の飢饉は解消され、住民たちは飢えから救われることとなった。

八話  嵐の前の

宿でのラフタリアの治療

尚文たちは宿を取り、ラフタリアの治療に専念した。聖水を染み込ませた包帯を巻くと黒い煙が上がり、皮膚は徐々に回復していった。ラフタリアは痒みと共に凝りが取れるような感覚を覚え、尚文の治療に感謝していた。フィーロは尚文とラフタリアの様子を見てじゃれつき、治療中の静けさを台無しにしたが、二人は笑って受け流した。

ラフタリアの呪いの完治と城下町への移動

数日後、ラフタリアの呪いは毎日の聖水の使用により完全に治癒した。尚文たちは行商を一区切りとし、防具の受け取りと波への備えのために城下町へ向かった。

防具の受け取り

武器屋で尚文は新しい防具を受け取った。それは「蛮族の鎧+1」と呼ばれる鎧で、防御力や耐性が大幅に向上していたが、尚文の望むデザインとはかけ離れた外見であった。親父の配慮が感じられたものの、尚文はこの見た目に納得がいかない様子であった。

アクセサリーの提案

尚文はラフタリアとフィーロへの褒美としてアクセサリーを作ることを提案した。フィーロは変身しても肉に食い込まないヘアピンを希望し、ラフタリアは付与効果のある実用的な腕輪を求めた。尚文は二人の要望に驚きつつも、それに応えるため善処すると約束した。

九話  成り済まし冤罪

武器屋前での衝突

尚文が武器屋を出ると、弓の勇者・樹と剣の勇者・錬が取り巻きを伴い駆け寄ってきた。樹は尚文が自身の依頼の報酬を横取りしたと非難し、錬も同様の理由で糾弾した。尚文は錬の依頼については心当たりがあったが、樹の主張には覚えがなかった。樹は自身が正義感で悪政を裁く英雄として活動しているつもりだったが、その秘密主義が問題を引き起こしていた。尚文は冷静に反論し、証拠を求めるが樹は何も具体的な証拠を示せなかった。

錬との疫病の問題

錬の主張に対して尚文は、疫病の原因が錬が討伐したドラゴンの死骸であったことを指摘した。錬はその事実を知らず動揺したが、尚文が問題を解決したことを聞き、非を認めて謝罪した。錬の仲間が死骸を放置することを提案した経緯を説明し、尚文は今後の適切な処理を助言した。

樹のしつこい追及

樹は尚文の反論に納得せず、証拠を探すと宣言した。尚文は樹の活動に問題があることを指摘しつつ、冤罪を避けるよう求めた。樹の態度に苛立ちながらも、尚文は一旦この件を保留とした。

宿での打ち合わせ

宿に戻った尚文の元へ志願した兵士たちが訪れ、波への備えについて相談した。尚文は前回の波の経験をもとに、民間人の避難誘導を最優先とするよう指示した。また、兵士たちに役割を分担し、ラフタリアとフィーロの協力を得て計画を整えた。しかし、国の兵士たちが十分に編成されていない状況を知り、不安を抱えながらもその場をまとめ上げた。

十話  第三の災厄

アクセサリーの完成と贈呈

尚文はラフタリアに翡翠のブレスレットを、フィーロには琥珀のヘアピンを贈った。それぞれ魔力上昇(中)と敏捷上昇(中)の付与効果があり、二人ともその性能を喜んだ。尚文はアクセサリー作成に協力してくれたラフタリアへの感謝も伝えた。

波の発生と転送

波の発生時刻になると、尚文たちは周囲の景色が一変し、転送された。転送先は以前訪れた村の近くであった。志願兵たちと合流し、尚文は近隣の村を守るために行動を開始した。

他の勇者たちとの衝突

尚文は剣、弓、槍の勇者たちが波の本体に向かおうとするのを阻止した。彼らに村や町を守る重要性を説き、騎士団の到着が遅れることを指摘したが、勇者たちは理解に乏しく、自分たちの役割に固執した。尚文は志願兵たちを指揮し、近隣の村を守る行動を優先させた。

村での戦闘と老婆の活躍

尚文たちは最初の村で、次元ノリザードマンシャドウや次元ノゴブリンアサルトシャドウなどの魔物と戦った。その中で、尚文が薬を与えた老婆が驚異的な戦闘能力を発揮し、敵を次々と倒していった。志願兵たちと協力しながら、尚文たちは村を守り抜いた。

次の村での激戦

次の村では家屋が燃え、被害が大きかったが、尚文たちは魔物を討伐しつつ村人の避難を進めた。長時間にわたる戦闘で志願兵たちの疲労が見え始めたが、尚文は志願兵と冒険者たちに村の防衛を任せ、波の本体へ向かう決断をした。

波の本体への移動

尚文はラフタリアとフィーロを伴い、波の本体へ向かった。志願兵たちの善戦を後にしつつ、三人で次の戦いに備えた。

十一話  グロウアップ

幽霊船との遭遇

尚文たちは波の大本で幽霊船のような魔物に遭遇した。船からは次々と魔物が湧き出しており、三人の勇者とその仲間たちは船内外で戦闘を繰り広げていた。樹、錬、元康がそれぞれ別々の方法で幽霊船を攻略しようとしていたが、効果的な連携が取れておらず、戦闘は長引いていた。

次元ノソウルイーターの出現

尚文はラフタリアの光の魔法で幽霊船内に潜んでいた影の正体を炙り出し、ソウルイーターと呼ばれる魔物が姿を現した。さらにソウルイーターたちは一体に融合し、次元ノソウルイーターという巨大な存在となった。錬や元康の物理攻撃もほとんど通じず、次元ノソウルイーターの反撃による広範囲の黒い魔法攻撃が周囲を圧倒した。

戦局の悪化と尚文の決意

錬たちのスキルも決定打とならず、次元ノソウルイーターとの戦いは消耗戦の様相を呈していた。長期戦による被害の拡大を避けるため、尚文はカースシリーズの力を解放する決断をした。憤怒の盾を装備した尚文は、自身の内に渦巻く怒りに飲まれないよう、信頼する仲間たちのために最後の力を振り絞る覚悟を固めた。

十二話  アイアンメイデン

憤怒の盾による反撃

尚文は憤怒の盾Ⅱを用い、次元ノソウルイーターとの戦いに挑んだ。セルフカースバーニングによる呪いの炎で次元ノソウルイーターを攻撃したが、決定打には至らなかった。錬、元康、樹の援護も功を奏さず、尚文はスキル「アイアンメイデン」による一撃必殺を試みた。アイアンメイデンは次元ノソウルイーターを串刺しにして撃破し、波の魔物を退けることに成功した。

新たな脅威の出現

戦闘が収束しかけた直後、尚文たちの前に黒い着物を纏った女性・グラスが現れた。彼女は次元ノソウルイーターを一撃で倒し、尚文たちに挑戦を宣言した。グラスは圧倒的な力で勇者たちを次々と退け、尚文たちに戦いを挑んだ。

グラスとの対決と撤退

尚文は憤怒の盾Ⅱを駆使しグラスに挑むも、彼女の力に押され続けた。ラフタリアとフィーロの連携攻撃も通用せず、苦戦が続く中でグラスが時間切れを理由に撤退を宣言した。彼女は尚文に「次の波での再戦」を告げ、波の亀裂に消えた。

戦闘後の後始末

グラスの撤退により波は収束したが、尚文たちはその圧倒的な力の前に敗北を喫した。勇者たちは再び強敵に備えるための準備を決意し、次の波までの課題として戦力強化とクラスアップを目指すこととなった。

十三話  決別

幽霊船の素材収集

尚文は次元ノソウルイーター撃破後、幽霊船に戻り、魔物の素材を盾に吸収した。ゴブリンアサルトシャドウやリザードマンシャドウなどの影の魔物は吸収できなかったが、次元ノソウルイーターから新たな盾「ソウルイーターシールド」を得た。この盾はSP回復効果や精神攻撃耐性を持つものの、防御力は他の盾より劣っていた。

村の復興と騎士団の到着

尚文たちは村の復興に着手し、志願兵と共に炊き出しや治療を行った。翌日、騎士団が到着したが、騎士団長は志願兵の行動を問題視し尚文を責め立てた。尚文は彼らを擁護し、志願兵の尽力が村の被害を最小限に抑えたことを主張した。

王城での問答

尚文は志願兵の懇願により城へ同行し、王との対面を果たした。王は尚文の活躍を渋々認めつつも、他の勇者を出し抜いた理由を問い詰めた。尚文は挑発的に「知りたければ土下座しろ」と返し、王を激怒させた。その結果、尚文は正式に王との関係を断絶した。

次なる波への決意

波の収束後、尚文は今回の戦いで得た教訓を胸に刻み、さらなる戦力強化を目指す決意を固めた。クラスアップを含めた準備が急務であると認識し、次なる波に備えることを誓った。

十四話  旅立ち

クズ王との決別

尚文は玉座の間でクズ王と激しい応酬を繰り広げた。王が命じる処刑の号令にも尚文は冷静に対処し、自らの力と波での功績を盾に脅しをかけた。結果、王は怯えざるを得ず、尚文との口論に敗北した。尚文はクズ王との関わりを断ち切り、玉座の間を後にした。

第二王女との邂逅

玉座の間を出た尚文は城内で第二王女メルティと出会った。彼女との短いやり取りの中で尚文は冷淡な態度を貫き、その場を後にした。この時、彼は彼女が後の騒動の鍵になるとは思いも寄らなかった。

武器屋での馬車の受け取り

城を出た尚文は武器屋を訪れ、依頼していた金属製の馬車を受け取った。フィーロは新しい馬車に大喜びし、早速荷物を積み替えた。武器屋の親父からシルドフリーデンの情報を聞き、尚文はクラスアップのためその国へ向かうことを決意した。

第二王女の追跡

城下町を出発しようとした尚文たちは、第二王女メルティに追いつかれた。彼女は尚文に城へ戻るよう説得を試みたが、尚文はそれを拒否し、父であるクズ王への怒りをあらわにした。最終的に尚文たちはフィーロの力で町を離れ、クラスアップの旅を続けることとなった。

十五話  盾の悪魔

第二王女との対立と協力の模索

尚文は旅の途中、ラフタリアやフィーロと共にこれまでの行動を振り返りながら、第二王女メルティとの関わりを考慮していた。彼女の善意的な行動を認めつつも、彼女が敵の手先である可能性を捨てきれなかった。しかし、ラフタリアの説得により、尚文は必要であれば話を聞くと約束した。

武器屋からの贈り物と装備の準備

武器屋からの餞別を確認した尚文は、親父の心遣いに感動した。贈り物にはラフタリア用の剣や尚文の盾を調査する道具、フィーロ用の装備などが含まれていた。これらの装備を手にしながら、尚文は次の波に備え、さらなる強化の必要性を認識した。

第二王女への襲撃と真相の追求

旅の途中、第二王女が尚文たちに追いつき、父である王との和解を求めた。しかし、突如として王の騎士たちが彼女を襲撃した。尚文は咄嗟に盾で守り、敵の攻撃を阻止した。捕らえた騎士たちを問い詰めると、彼らが三勇教という宗教の信者であり、盾の勇者を悪魔として排除しようとしていることが判明した。さらに、王家内部の権力争いの可能性が浮上した。

女王への期待とシルトヴェルトへの決断

尚文は第二王女と対話を重ね、女王がより理性的な判断を下せる可能性を考慮した。彼女の提案で、女王と接触するため、シルトヴェルトへの逃亡を決意した。亜人を優遇するこの国ではラフタリアが交渉役を務めることになり、尚文たちは新たな計画の下、旅路を進めることとなった。

第二王女の同行と共闘の誓い

第二王女は尚文たちの旅に同行することを決意した。尚文は彼女を守ることを約束し、彼女に父王や姉の行いの真実を知るよう促した。尚文たちは慎重に進路を変え、迫り来る危機に備えながら、シルトヴェルトへの道を目指した。

十六話  指名手配

賞金首となった尚文と状況の把握

尚文は第二王女と共に茂みに隠れ、周囲の様子を確認していた。村には尚文を「盾の悪魔」とし、近衛騎士を虐殺した罪で高額な賞金首として手配する立て札が掲示されていた。水晶玉を使った捏造映像では、尚文が血まみれの状態で第二王女を拘束する姿が投影されており、これにより村人たちが警戒を強めている状況であった。

フィーロの変身と移動計画の変更

尚文は目立つフィーロと別行動を取る案を提案したが、フィーロは自分だけ置いていかれることを拒否した。代わりにフィーロは自らの姿を変え、一般的なフィロリアルに近い大型のダチョウのような姿へと変身した。この姿で目立たず移動することを尚文たちは決定したが、変身したフィーロは声を失い、不満を示して尚文に軽い反抗を試みた。しかし、魔物紋が作動して制止され、尚文はフィーロに静かに従うよう指示を出した。

変装と慎重な移動の開始

尚文たちは移動の安全を確保するため、ラフタリアにみすぼらしい服装をさせ、帽子で顔を隠す簡易な変装を施した。尚文と第二王女は馬車の中に隠れ、フィーロが変身した姿で藁を積んだ荷車を引きながら北東へ向けて進んだ。こうして、一行は追手を避けながら新たな目的地へと向かった。

十七話  第二王女の強さ

盗賊との再戦

尚文たちは数日間野宿しながら北東を目指していたが、途中で盗賊団と遭遇した。以前撃退した盗賊たちが復活しており、新たな仲間と共に襲い掛かってきた。ラフタリアとフィーロが応戦し、盗賊たちを次々に倒していったが、第二王女が突如水魔法を使い盗賊を吹き飛ばす場面もあった。戦闘の末、全員を縛り上げ、アジトの情報を引き出して占拠した。

アジトでの休息と第二王女の能力

占拠したアジトでは物資を使い一夜を過ごした。尚文は第二王女が魔法を使えることに気づき、彼女にどれだけの能力があるかを確認した。第二王女は中級水魔法を得意とし、土魔法も少し扱えると答えた。尚文はパーティーへの参加を提案し、彼女を登録した。また、第二王女にこれまで受けた苦難について詳しく話し、彼女の父と姉への怒りを引き出した。

国境警備の厳重さと回避策

翌朝、尚文たちは国境付近で大量の騎士や兵士が待ち構えているのを目撃した。国境を越えることが困難だと判断し、別の経路を検討した。その途中、隣国の行商人から荷車を譲り受け、フィーロも目立たないように協力した。さらに、志願兵と偶然再会し、騎士団と他の勇者が集結しているとの情報を得た。尚文たちは鉢合わせを避けるため、南へ迂回することを決めた。

十八話  説得

勇者たちとの遭遇

尚文たちが道を進む中、元康、錬、樹の三勇者が待ち伏せしていた。彼らは魔法で尚文の荷車の位置を特定し、元康が「第二王女を解放しろ」と詰め寄った。尚文は第二王女が無事であることを証明しつつ、彼らに陰謀の存在を説明したが、三勇者の中で信じようとしたのは錬のみであった。

ビッチの陰謀と洗脳の盾

第二王女の姉であるビッチが現れ、「盾の勇者が洗脳の盾を使っている」と主張した。この発言により、錬や樹も尚文への疑念を深め、第二王女を守るためと称して尚文に攻撃を仕掛けた。しかし尚文は憤怒の盾の力で応戦し、反撃を繰り返した。ビッチは陰謀を隠そうと必死だったが、尚文は第二王女の継承権をめぐる動機を指摘し、錬たちの動揺を誘った。

フィーロの奮闘と第二王女の奪還

元康がフィーロに特殊な足輪を装着させ、力を封じたものの、フィーロは武器屋のグローブを使って攻撃力を高め、元康を圧倒した。その隙にフィーロはビッチの手から第二王女を奪還し、再び戦線を整えた。尚文とラフタリアは三勇者と取り巻きを引きつけ、フィーロと第二王女が逃げる機会を狙った。

合唱魔法の阻止

ビッチとその取り巻きが第二王女を狙い、強力な合唱魔法を発動しようとしたが、突如ビッチの背後から剣が突き刺さり、計画が阻止された。この一撃により尚文たちは反撃の糸口を得ることとなった。

十九話  親父の道具

ラフタリアの奇襲とビッチの負傷

ラフタリアが魔法を駆使して現れ、ビッチの背後を取り剣で攻撃を加えた。ビッチは激しく非難するが、剣が深く刺さって引き抜けない状態となった。ラフタリアは剣を捨て、予備の魔力剣を抜いて錬と対峙した。錬はラフタリアに反撃を試みるが、ラフタリアの一閃により怯み、その隙を突かれてビッチが再び攻撃を受けた。ラフタリアの魔力剣はビッチの胸に深く刺さり、ビッチは意識を失った。

勇者たちの動揺と攻撃の中断

ラフタリアはビッチを人質に取る形で構え、錬や樹に尚文の話を聞くよう迫った。錬は動揺しつつも状況を見極めようとしたが、樹は敵意を露わにし、ラフタリアに退けるよう命じた。さらに兵士たちの遠距離攻撃が尚文を執拗に狙い続けたため、尚文たちは守勢を強いられた。錬の説得にもかかわらず兵士たちの攻撃は止まず、状況は悪化した。

親父の道具による逆転と脱出の契機

尚文が感情の爆発と共に盾を強化した際、親父から渡された道具が反応を起こし、尚文を中心に光の結界が広がった。この結界は兵士たちの攻撃を防ぎ、黒い炎を撒き散らして敵勢力に大きなダメージを与えた。この隙を突いて尚文たちは陣形を整え、脱出を試みた。

煙幕と謎の声の導きによる脱出成功

突如として現れた煙幕により、尚文たちは勇者たちや兵士たちの目を欺き、混乱を利用して撤退に成功した。謎の声の指示に従い、ローブを身にまとった一行は敵の追跡を振り切った。煙が晴れる頃には十分な距離を稼ぎ、完全に追跡から逃れることができた。

錬の疑念と今後の課題

脱出後、尚文は錬が状況に対して疑念を抱いていることに気付いた。これが今後の突破口になる可能性もあったが、同時に他の勇者たちが対策を講じてくることも予想された。尚文たちは当面の危機を脱したものの、次の戦いに備えて行動を急ぐ必要があった。

二十話  影

影武者との再会と正体の明かし

逃走後、一行を導いた謎の人物が姿を現した。その人物はかつて隣国との国境で目撃された村人であったが、実際にはメルロマルクの秘密警護部隊「影」に属する影武者であると明かした。影武者は、メルティ第二王女を守る任務のため一行を助けたと語り、盾の勇者尚文に女王が滞在している隣国の情報を提供した。

女王への接触と三勇教会の陰謀

影武者は、現在の三勇教会が尚文の活躍によって影響力を失いつつあり、その巻き返しのために暗殺未遂事件をでっち上げたと説明した。また、女王が尚文と面会することで事態の打開を図りたいと願っていることを伝えた。尚文はその提案に疑念を抱きつつも、女王と会うことを決意した。

フィーロの足輪の解除と力の回復

逃走中、フィーロの戦闘力を著しく低下させていた足輪を解除する方法が模索された。尚文は細工技術と魔力を駆使し、足輪の効果を無効化することに成功した。フィーロは本来のフィロリアル・クイーン形態に戻り、再び力を取り戻した。この作業を通じて、一行はさらなる戦闘に備える準備が整えられた。

南西への移動と今後の課題

足輪の解除後、一行は隠密行動を続けながら女王が滞在する隣国へ向けて南西に進んだ。追撃の気配がないことを確認しつつも、尚文は三勇教会や元康を含む他の勇者たちの行動に警戒を怠らなかった。問題が山積する中で、尚文たちは女王との接触に向けて次の一手を模索する状況となった。

エピローグ  名前

フィーロの移動と荷車の問題

一行は南西への移動を続けたが、荷車がないためフィーロに乗る移動が続き、窮屈な状況が続いていた。尚文は荷車を調達する案を提案したが、フィーロが盗んだ荷車を引くことを拒否したため、別の方法を模索することとなった。

メルティの態度の変化

旅の途中、メルティの態度が不自然に感じられた。尚文が作った食事を受け取る際も不機嫌な表情を見せ、理由を尋ねても明確な答えは得られなかった。その後、メルティは突然「第二王女」と呼ばれることへの不満を爆発させ、自分を名前で呼ぶよう尚文に要求した。

メルティの本音と和解

尚文はメルティの不満を受け入れ、彼女を名前で呼ぶことを約束した。これによりメルティの態度は和らぎ、フィーロやラフタリアとの関係も一層和やかになった。名前で呼び合うことが信頼の証と感じた尚文は、これをきっかけにメルティへの信頼を深めることとなった。

フィーロとの特別な関係

フィーロも尚文を名前で呼びたいと主張したが、尚文は「ご主人様」と呼ぶ特別な関係を続けることを提案した。フィーロは渋々納得し、仲間たちの絆が再確認される場面となった。

旅の中で生まれた信頼

尚文は、メルティとの和解を通じて彼女を信頼する気持ちが芽生えたことを実感した。ビッチの妹でありながら、メルティが幾度も助けてくれたことを振り返り、彼女を信じることで苦難を乗り越える意志を新たにした。信頼できる仲間と共に、尚文はこの逃亡の旅を進める覚悟を固めた。

番外編  一番の友達に出会うまで

母との旅と外交の背景

メルティは母親である女王とともに、メルロマルクの外交活動を通じて他国との戦争を避けるための旅を続けていた。波の到来により、各国と会議を開くためフォーブレイへ向かい、勇者召喚の儀式の順序や条件について議論が行われた。そこでメルロマルクが無断で勇者召喚を行った事実が発覚し、国際問題に発展した。

父と姉への複雑な感情

メルティは父オルトクレイと姉マインに対し複雑な感情を抱いていた。父のかつての能力と現在の姉への溺愛、姉の自己中心的な行動に失望しつつも、家族としての愛情は持ち続けていた。知的遊戯での姉のズルを目の当たりにし、彼女の立場と行動に疑念を抱いていた。

外交での母の奮闘

母は各国からの非難を一身に受けながら、強気な態度でメルロマルクを守ろうとした。勇者召喚に関する非難や盾の勇者に対する差別への対応に追われながらも、メルティは母の意志の強さに感銘を受けていた。母の指示を受け、メルティは父に盾の勇者への不当な扱いをやめさせるために極秘任務に就くことになった。

フィロリアルとの出会い

任務の途中、メルティは道中で珍しい空色のフィロリアルを発見し、興味を引かれて追いかけることとなった。追跡中に危険なドラゴンの縄張りに迷い込んでしまい、フィロリアルを守るために奮闘した。魔法で応戦するも力及ばず、危機に陥る中、空色のフィロリアルがメルティと傷ついた仲間を救い出した。

新たな友との邂逅

ドラゴンから逃れた後、メルティは空色のフィロリアルに感謝しつつ旅を再開した。途中で出会った白と桃色の大きなフィロリアル、フィーロと初めて言葉を交わし、その純粋な性格に心を惹かれた。この出会いが、後にメルティにとって大切な友人との関係へと繋がっていくこととなった。

登場キャラクター

盾の勇者のパーティ
岩谷尚文(盾の勇者)
ラフタリア(尚文の仲間、剣士)
フィーロ(フィロリアル・クイーン)

メルロマルク王国
オルトクレイ=メルロマルク(国王、尚文に敵対的)
マルティ=メルロマルク(第一王女、通称「ビッチ」)
メルティ=メルロマルク(第二王女、尚文の味方)
ミレリア=メルロマルク(女王、メルロマルクの最高権力者)
(女王直属の隠密部隊の一員)

四聖勇者
天木錬(剣の勇者)
北村元康(槍の勇者)
川澄樹(弓の勇者)

フィロリアル関連
フィーロ(尚文の仲間、特別なフィロリアル)
空色のフィロリアル(野生の珍しいフィロリアル)

三勇教会
三勇教会司教(三勇教会のトップ、尚文に敵対的)

その他のキャラクター
武器屋のおっちゃん(尚文の協力者)
商人ギルドのメンバー(尚文の行商活動の協力者)

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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