どんな本?
『盾の勇者の成り上がり 9』は、アネコユサギによる異世界ファンタジー小説シリーズの第9巻である。本作は、異世界に召喚された主人公が「盾の勇者」として数々の試練に立ち向かう物語である。
物語の概要
主人公・岩谷尚文は、異世界から自身の世界へ侵攻してきたキョウを追跡するため、異世界間を転戦する。キョウは非道な手段を用いる敵であり、尚文たちは彼の陰謀を阻止すべく戦いを繰り広げる。本巻では、異世界から異世界への転戦編が完結する。
主要キャラクター
• 岩谷尚文:盾の勇者として召喚された青年。策略に長け、仲間と共に困難に立ち向かう。
• ラフタリア:尚文が奴隷として迎え入れた亜人の少女。剣士として成長し、尚文を支える。
• フィーロ:尚文が孵化させたフィロリアルの少女。明るく無邪気で、戦闘では強力な力を発揮する。
• キョウ:尚文の世界を侵攻する敵。非道な手段を用いて目的を遂行しようとする。
物語の特徴
本作の特徴は、主人公が盾という防御的な武器を用いて戦う点である。また、仲間との信頼関係や成長、敵との心理戦が描かれており、他の異世界ファンタジー作品とは一線を画す魅力がある。
出版情報
• 出版社:KADOKAWA(MFブックス) 
• 発売日:2015年2月25日
• 判型:B6判
• ISBN:9784040673554
• メディア展開:本作はアニメ化もされており、2019年1月から6月まで第1期が放送された。さらに、2022年4月から6月に第2期、2023年10月から12月に第3期が放送された。第4期は2025年7月に放送予定である。
読んだ本のタイトル
盾の勇者の成り上がり 9
著者:アネコ ユサギ 氏
イラスト:弥南 せいら 氏
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あらすじ・内容
亡き仲間との約束を果たすため、勇者の反撃が始まる――!
「さあ、私がお前達を成敗してやる! 掛かって来い!」
女武士ヨモギは高速の斬撃と共に尚文達に襲い掛かった。
仲間と散り散りになり、さらにはレベルが1に戻ってしまった盾の勇者尚文は、異世界の四聖の勇者である絆の助けを借りて窮地を乗り切り、仲間との再会を果たした。
仇敵キョウとの戦いに備える尚文達であったが、「キョウのため」と宣言するヨモギの襲撃を受ける。戦いの最中、圧倒的な強さを持つ彼女の不気味な武器の異変に気付いた尚文だったが……!?
全編書下ろしの異世界編完結! 異世界リベンジファンタジー第九弾、ここに登場!
異世界での戦いと波の真実
尚文は次元ノガネーシャ・シャドウとの戦いを繰り広げた。強大な敵の攻撃を盾で防ぎながら、仲間と共に討伐に成功する。異世界の戦士たちとの協力を経て、彼はこの世界の仕組みをより深く理解することとなった。波は単なる災厄ではなく、世界の融合現象であり、異世界の四聖勇者を倒せば波が止まる可能性があるという。ラルクたちが尚文を敵視する理由も、この真実に起因していた。
戦争準備と異世界の技術
尚文はラルクの国でアクセサリー作りに励みながら、次なる戦いに備えた。工房ではロミナの協力を得て、新たな装備を製作する一方、波の対策として転送道具の活用を検討した。絆の世界では波を商機とする者も多く、四聖の参加が波の発生を遅らせる効果を持つ可能性も示唆された。商人アルトの登場により、異世界の四聖たちが波を軽視していることも明らかになった。尚文の世界と同様に、ここでも勇者たちの認識不足が問題視されていた。
訓練と仲間たちの成長
ラフタリアは剣技を磨き、リーシアもまた独自の能力を発見した。彼女は内部の「気」は少ないが、外部からエネルギーを吸収することで瞬発的に強化できる特性を持っていた。エスノバルトは自身の戦闘力の低さに悩みつつも、鍛錬を重ねることを決意する。尚文はラフタリアの刀の鞘を改良し、一定時間蓄積したエネルギーで瞬間加速が可能になる仕組みを導入した。さらに、リーシアには波に関する書物の解読を命じ、彼女の知識が役立つ場面が増えた。
ツグミとの戦闘とキョウの策略
突如として現れたツグミは、強力な槍を操り、尚文たちを襲撃した。彼女の武器は霊亀のエネルギーを利用した危険なもので、時間が経つと暴走する仕組みになっていた。尚文はこの異変に気づき、武器の危険性を指摘するも、ツグミはそれを無視し、さらに力を求める。最終的に武器が暴走し、爆発寸前となるが、尚文は盾の力を用いてその力を封じ込めた。ツグミは命を救われる形となり、尚文たちの前に降伏する。
キョウの研究所と改造された戦士たち
尚文たちはキョウの研究所へと突入し、そこで彼の非道な実験の痕跡を目にする。改造人間や四聖獣の複製体が襲いかかるが、彼らの苦しみを理解しながらも、尚文たちは戦うしかなかった。さらに、研究所にはキョウによって囚われていた鏡の眷属器の持ち主、アルバートの姿があった。彼はもはや自我を失い、戦闘兵器として操られていた。尚文たちは彼を討ち、キョウとの最終決戦へと進んでいく。
キョウとの決戦と最期
キョウは霊亀の力を吸収し、尚文たちを圧倒しようとした。しかし、鏡の眷属器が尚文を助ける形となり、戦況は逆転していく。キョウはなおも抵抗し、波の力を操ろうとするが、尚文たちの総攻撃によってついに敗北。彼の魂は転生を試みるも、リーシアの放った使役札によって封じられ、完全に消滅する。
帰還と新たな課題
戦いを終えた尚文たちは、絆たちの世界での戦争の影響を整理し、元の世界へと帰る準備を整えた。彼の世界では、霊亀以外にも鳳凰や麒麟といった脅威が残されており、波の問題は未解決であった。帰還の際、刀の眷属器がラフタリアを選び、彼女と共に尚文の世界へ渡ることとなる。絆たちとの別れを経て、尚文たちは元の世界へと戻っていった。
感想
本巻では、異世界での戦争や勇者たちの意識の違いが際立っていた。
特に、世界の危機よりも自身の利益を優先するキョウの姿勢には、勇者の在り方を考えさせられる部分があった。
彼のような存在が眷属器に選ばれたことで、戦争の行方はより混迷を極めたと言える。
また、キョウの研究所での戦闘は、これまでの戦いとは異なる感情が絡んでいた。
改造人間たちの苦悩や、彼らを助けたくても助けられない状況は、尚文たちにとっても大きな試練となった。
彼らを救えなかった事実が、戦争の無慈悲さを物語っていた。
さらに、戦闘の中でリーシアの成長が顕著であり、彼女が勇者に匹敵する力を得たことで、尚文たちの戦力が大きく向上した。
彼女の覚醒は物語に新たな可能性をもたらし、今後の展開に期待が持てる。
キョウの敗北は妥当な結末ではあったが、眷属器の意志が尚文を選び、結果的に彼をサポートする形になったことは興味深い点であった。
ご都合主義とも言える展開ではあったが、ファンタジー作品としては許容範囲であり、むしろその要素を楽しむべきだろう。
最後に、キョウをはじめとする敵側の人物は、自己中心的でありながらもどこか孤独を感じさせる者ばかりだった。
転生を願う者たちがこうした人物になりがちなのは、ある意味で必然なのかもしれない。
読後に残るのは、戦争の虚しさと、それでも戦い続ける者たちの強さであった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
プロローグ 異世界の波
次元ノガネーシャ・シャドウとの戦闘
次元ノガネーシャ・シャドウが雄叫びを上げながら尚文へと攻撃を仕掛けた。巨大な数珠のような武器を振り下ろすも、尚文は盾で受け止め、それを握り締めた。敵は不快そうに声を上げ、ラルクが戦いながら尚文の防御力に感嘆の声を漏らす。尚文は盾の勇者として、相手の攻撃を受け止め、妨害することが自身の役割であると認識していた。
異世界での戦いと仲間たちとのやり取り
尚文たちは元いた世界ではなく、波の亀裂を超えた異世界で戦っていた。ラルクと軽口を交わしながらも、戦闘は続く。彼はこの異世界で「坊主」と呼ばれ、それに対抗してラルクを「若」と呼び返すなど、軽妙なやり取りが繰り広げられる。ラフタリアは尚文の戦いぶりに呆れながらも、彼を信頼し、戦いに加わる。
尚文の過去と召喚の経緯
尚文は元々日本でオタクとして大学生活を送っていたが、図書館で見つけた四聖武器書を読んでいるうちに、盾の勇者として異世界に召喚された。召喚した国の人々から「世界を救うために力を貸してほしい」と頼まれたものの、その後の出来事は散々なものであった。
ラルクとの関係と彼の背景
ラルクは尚文に対して妙に理解を示す人物であり、経験豊富な冒険者であった。二十代後半と思われる彼は、大人の貫録を持ちながらも時折子供っぽい一面を見せた。再会時には、新撰組のような装いをしており、その服装の理由について尚文は疑問を抱いていた。
次元ノガネーシャ・シャドウ討伐
尚文が敵の動きを封じる間に、ラフタリアが刀を振るい、瞬刀・霞一文字の技で敵を一刀両断した。彼女は眷属器に選ばれたことで以前よりも格段に強くなっていた。ラフタリアの攻撃により、次元ノガネーシャ・シャドウは消滅し、戦いは次の段階へと進んだ。
波の魔物との戦闘と仲間の協力
フィーロが上空から魔物の接近を知らせ、尚文たちは次の戦闘に備えた。リーシアはキズナとグラスの元にいたが、多数の魔物が押し寄せ、尚文たちへ応援を求めるために走ってきた。尚文はエアストシールドを展開し、リーシアを守りながら状況を整理する。
波の脅威と異世界の戦力
今回の波の魔物は、尚文たちがこれまでに戦ったものよりも格段に強力であった。次元ノギリメカラやアイラーヴァタといった、インド神話に登場するような存在が現れ、激しい戦闘が繰り広げられた。しかし、尚文たちだけでなく、この異世界の戦士たちも戦いに加わり、次第に戦況は収束していく。
波の真実と尚文の目的
尚文は波という現象が単なる災害ではなく、世界の融合現象であることを知る。異世界の四聖を倒せば、自らの世界の存続が可能になるという伝承を聞き、ラルクやグラスが彼を殺そうとした理由を理解した。しかし、キズナはその方法を拒否し、新たな解決策を模索していた。
尚文は異世界での戦いを続けながらも、自身の世界に戻り、キョウに報いを受けさせ、霊亀の力を取り戻すという目的を果たすため、次なる行動へと移った。
一 話 異世界の技術
アクセサリー作りと戦争準備
尚文はラルクの国にある工房でアクセサリー作りに励んでいた。絆たちの武器や防具を作る鍛冶師ロミナのもとで作業しながら、有事の際にはすぐ城へ駆けつけられる状況を整えていた。ラフタリアやリーシア、フィーロはラルクたちと訓練を行い、尚文の周囲にはラフちゃんとテリスが興味津々に作業を見守っていた。
波への対処と転送道具
絆はロミナに波で倒した魔物の素材を使った武器・防具の作成を依頼した後、今後の作戦について尚文と話し合った。波への対処法として、ロミナが大きな宝石がぶら下がったネックレスを取り出した。これは波が発生した際に使用者を転送する機能を持つ道具で、晶人の技術によって再現されたものであった。この道具を活用し、絆の仲間たちは各地で波に挑み、世界を守る役割を果たしていた。
冒険者たちの参戦と尚文の世界との違い
絆の世界では、波の発生を商機と捉える者も多く、冒険者たちが積極的に戦いに参加していた。特別な魔物の素材を狙う者も多く、波への対応は活発であった。一方、尚文の世界では波に関する知識が乏しく、勇者の参加なしには勝利が困難であった。尚文はこの転送道具が自身の世界でも活用できれば、負担を減らすことができると考え、譲ってもらうことを検討した。
四聖の参加と波の周期の延長
グラスの話によると、絆が波に参加したことで、次の波の周期が遅くなったことが判明した。四聖が波に参加することには意味があり、それが波の発生を遅らせる効果を持つ可能性があるという仮説が立てられた。この情報は尚文にとっても重要であり、自身の世界でも同様の検証が必要だと考えた。
アルトの登場と商人の駆け引き
工房に金髪の青年アルトが現れた。彼は商人であり、絆の知り合いだった。尚文は彼を一目見て、信用できるが、必要とあれば平然と裏切るタイプだと直感した。アルトは魂癒水というアイテムを取り扱う冒険者の情報を聞きつけ、尚文のもとを訪れた。しかし、尚文は魂癒水の製造方法を教えるつもりはなく、交渉を拒否した。
他世界の四聖の問題
アルトは、絆以外の四聖が波に対して無関心であることを指摘した。グラスによると、彼らは波を「アップデート」と称し、真剣に取り組んでいなかった。尚文の世界でも同様の問題があり、四聖たちは波をゲーム感覚で捉えていた。この事態に尚文とグラスは深い共感を覚えた。
眷属器の所持者たちの覇権争い
眷属器の所持者たちは国ごとに覇権を争い、波の脅威を軽視していた。そのため、国全体の意識も低く、波の魔物が強くなっているにもかかわらず、戦争の準備ばかりが進んでいた。尚文は、眷属器の所持者たちが団結すれば状況は変わるかもしれないと考えたが、現状では困難であった。
戦争への準備
尚文たちはキョウの所属する国との戦争の準備を進めていた。交渉の末にキョウの引き渡しが拒否され、敵国は近隣の国々を吸収し勢力を拡大していた。秘密裏にキョウを討つ計画もあったが、敵国の動きを見極めながら慎重に戦力を整える必要があった。
アクセサリーの完成と今後の展開
尚文はラフタリアの鞘や、自身の盾に取り付けるキャップ、絆のルアー、グラスの扇の飾りを作成し、それぞれに手渡した。彼らは尚文の技術に感嘆し、絆は自分でも作れるように学ぶべきだと促された。その後、尚文たちは完成した鞘を届けるため、城で訓練をしているラフタリアたちのもとへ向かった。
二 話 居合い斬り
城の訓練場での鍛錬
アルトがラルクのもとへ向かった後、尚文たちは城の庭へ移動した。そこではラフタリアがリーシアに「気」の使い方を教えていた。ラフタリアは逃亡生活の中でラルクやグラスに鍛えられ、さらに成長していた。フィーロもまた、フィトリアから教わった力を試し、魔法を活かした戦い方へと適応していた。
グラスもまた、異世界の技術である「プラーナ」を活用し、力を増す訓練を続けていた。ラフタリアと共に鍛錬を重ね、さらなる強さを追求していた。
リーシアの才能と独特な能力
リーシアは戦闘において特筆すべき才能を発揮していなかったが、グラスの分析によって、彼女には特異な力の使い方があることが判明した。彼女は内部の「気」が少なく、その代わりに外部からエネルギーを吸収し、瞬間的に戦闘能力を高める特性を持っていた。キョウとの戦闘で一時的に覚醒した理由も、感情の高ぶりによってこの能力が最大限に発揮されたからであった。
エスノバルトの葛藤
エスノバルトは、リーシアの成長を羨ましく思いながらも、自身の戦闘力の低さを嘆いていた。彼の種族はレベルによる補正をほとんど受けず、どれだけレベルを上げても戦闘力の向上が極めて少なかった。そのため、戦いにおいては後方支援に回ることが多かったが、彼は眷属器の所持者として戦えるようになりたいと考えていた。
しかし、尚文は彼の考えを甘えだと断じ、リーシアの低ステータスを例に出して努力するよう促した。その言葉にエスノバルトは奮起し、リーシアと共に鍛錬を積むことを決意した。グラスの指導のもと、二人は本格的な訓練に入ることになった。
ラフタリアの刀の鞘の特性
尚文は完成した刀の鞘をラフタリアに渡した。鞘に付けた宝石が徐々に光を蓄積し、一定時間経つと光が満ちる仕組みになっていた。実験のためにラフタリアが抜刀すると、彼女の動きが目にも止まらぬ速さになった。この効果は、鞘に刀を収めて一定時間経過すると発動し、一瞬の加速を可能にするものであった。
尚文と絆は、この効果をさらに活かすための改良案を検討し、より実用的な形にするため、国の付与師と相談することにした。
リーシアへの新たな課題
リーシアには波に関する書物の解読を命じられた。彼女は本を読むことが得意であり、古文書の解読に挑戦することで、波の秘密を解き明かす可能性があった。尚文は、これが彼女の真価を発揮する機会になると期待した。
龍脈法の修得
尚文は、テリスから龍脈法の魔法を学んでいた。この魔法は、霊亀の心の盾を得た際に習得したもので、オストが残した力を活かす技術であった。しかし、尚文はこの魔法を完全に使いこなせず、テリスの指導を受けながら修行を続けていた。
この魔法は、他者の力を借りる特殊な術式であり、高度な援護魔法「アル・リベレイション・オーラ」を使いこなす鍵となるものであった。尚文は、この力を習得し、戦闘で活かすため、日々鍛錬を重ねる決意を固めた。
三 話 ルアー
絆の釣り狂いと呪われたルアー
出発の朝、絆が目の下にクマを作りながら現れた。彼女は前夜、完成したルアーの実験に夢中になり、朝まで釣りを続けていたらしい。釣り竿に付けるだけで魚が次々と釣れるこのルアーにすっかり取り憑かれ、出発を延期しようとさえ言い出していた。グラスが説得し、ようやく諦めさせることに成功したが、絆の執着ぶりには周囲も呆れるばかりであった。
素材収集と船での移動
アルトもまた、遠征に同行することとなった。彼の目的は戦闘ではなく、ドロップアイテムの収集であった。特に「力の粉」や「魔力の粉」といった能力向上のアイテムは貴重であり、高値で取引されるため、商人としての利益を見込んでいた。
移動手段としてエスノバルトの船が使われた。この船は龍脈を利用した高速移動が可能であり、空を飛んで目的地へ向かった。しかし、道中では飛行する魔物の数が異常に多く、エスノバルトは迂回を決断した。
エスノバルトの故郷と図書兎の正体
エスノバルトの提案で、彼の故郷である図書兎の神殿に立ち寄った。そこでは小柄な図書兎たちが暮らしており、彼らはエスノバルトを族長として敬っていた。しかし、図書兎は本来戦闘向きの種族ではなく、彼自身も戦闘能力に乏しいことを自覚していた。
尚文は、図書兎を使役札で育成すれば強くなる可能性があるのではないかと提案した。フィロリアルが勇者によって特別な成長を遂げるように、図書兎も変化する可能性があるかもしれない。エスノバルトはこの考えに奮起し、戦闘訓練への参加を決意した。
魔物の襲撃とアクセサリーの効果
目的地に到着すると、魔物が次々と襲いかかってきた。ラフタリアの新しい鞘の効果により、彼女は高速の居合斬りを繰り出し、敵を迅速に排除した。グラスの扇やラルクの武器にも尚文が作ったアクセサリーが装着されており、どれも大幅な性能向上を見せた。しかし、ラルクの羽飾りは使用を重ねるうちに煙を上げ始め、耐久性に課題があることが判明した。
この戦闘の最中、魔物の異常な数に違和感を覚えた一行は原因を探った。そして、絆が武器に付けていたルアーが魔物を引き寄せていたことが判明した。ルアーの効果を解除すると、魔物の増援はぴたりと止まった。絆はこのルアーを手放すことを拒んだが、グラスやラルクたちによって強制的に没収された。
キャンプと休息の時間
戦闘を終えた一行は、野営をすることになった。尚文はラフちゃんの強化を行いながら休息を取っていたが、いつの間にかエスノバルトやフィーロ、クリスが彼の近くに集まってきた。彼らは尚文を「最も安全な場所」と認識し、本能的に彼のそばで休もうとしていた。
ラフタリアは尚文がラフちゃんを撫でる姿を見て気恥ずかしそうにしていた。ラフちゃんの素材が自分の髪からできていることを意識してしまい、尚文の愛着が妙に照れくさく感じたのだろう。
その後、一行は交代で見張りをしながら休息を取り、翌日には演習を終えて帰還した。
フィーロの進化と歌の力
帰還後、フィーロは自らの成長を尚文に披露した。彼女は「ハミングフェーリー」となり、さまざまな姿に変身する能力を得ていた。フィロリアルクイーンに近い姿から、フクロウ型の「ハミングビッグオウル」、ペンギン型の「ハミングエンペラーペンギン」など、複数の形態を自在に切り替えられるようになっていた。
さらに、フィーロの歌には魔力回復を促進する効果があり、一行の訓練の効率を高める力を持っていた。その能力に驚きつつも、尚文は彼女の成長を見守ることにした。
突如として起こった事件
平和な時間は長く続かなかった。夜、尚文たちが眠りについた頃、突如として事件が発生した。今まで沈黙を続けていたキョウが動き出し、事態は急変した。尚文たちは、この事件を通じて自分たちの油断を痛感することになるのであった。
四 話 猪のような襲撃者
突如の襲撃と謎の剣士
深夜、地震のような揺れと爆発音が響き、一行は目を覚ました。急いで部屋を出ると、絆、グラス、クリスが玄関に向かって警戒態勢を取っていた。玄関は破壊され、そこには袴姿の女が立っていた。
女は「ヨモギ=エーマール」と名乗り、キョウの命を受け、聖武器と眷属器の所有者に天誅を下しに来たと宣言した。彼女の真っ直ぐな物言いは間抜けなほど正直であり、一行は半ば呆れながらも警戒を続けた。
ヨモギとの戦闘
ヨモギは怪しげな剣を構え、すぐに斬りかかってきた。動きは速く、ラフタリアの居合斬りを正確に防ぎ、グラスの攻撃を受け流した。さらに剣には雷を帯びた斬撃を放つ力があり、ただの剣ではないことが明白であった。
尚文はエアストシールドやセカンドシールドを駆使し、ヨモギの動きを封じる戦法を取った。チェインシールドを発動し、ヨモギを束縛しようとしたが、彼女は剣を地面に突き立て、炎を噴き出させて鎖を焼き切った。
ラフタリアは必殺技「瞬刀・霞一文字」を放ったが、ヨモギは「龍点闘技」と呼ばれる技でこれを相殺した。フィーロやグラスも攻撃を繰り出したが、ヨモギはすべてを迎撃し、一進一退の攻防が続いた。
異質な剣の暴走
ヨモギの剣の柄には目玉のような宝石がはめ込まれており、尚文はその異様な動きを察知した。さらに、ヨモギが「もっと力を」と叫ぶと、剣は赤く発熱し、三日月形の斬撃を放った。この攻撃は流星盾を破壊し、尚文も防ぎきるのがやっとだった。
ヨモギは尚文の挑発に激昂し、執拗に彼へ攻撃を仕掛けた。しかし、それこそが狙いであり、ラフタリアが「八極陣天命剣」を準備する時間を稼ぐことに成功した。
闇に紛れたラフタリアの一撃がヨモギを斬り裂こうとしたが、彼女は執念で防ぎ、さらに剣の力を高めようとした。だが、剣はすでに異常をきたしており、柄の目玉が大きく見開き、不吉な気配を発していた。
尚文がヨモギに剣を捨てるよう警告したが、彼女はそれを拒否した。すると突然、リーシアが札を投げ、見事に命中。札は燃え上がり、ヨモギは熱さに耐えかねて剣を手放した。
しかし、剣から蔓のようなものが伸び、ヨモギの腕に絡みつき、血と魔力を吸い始めた。彼女は剣を振り払おうとしたが、すでに制御を失い、意識を奪われかけていた。
剣の処理とヨモギの捕縛
尚文は素早く剣を拾い上げ、外へ投げ捨てた。グラスが「輪舞攻ノ型・花風」で追撃し、剣は空中で爆発した。もし室内で暴発していたら甚大な被害が出ていたであろう。
力を吸い取られたヨモギは立つこともままならず、腕を押さえて苦しんでいた。尚文は彼女を追い詰め、逃げ場がないことを告げると、ヨモギは観念して降参した。
しかし、尚文は冗談めかして「オークの魔物に拷問させる」と言い放ち、ヨモギは驚愕した。周囲からも尚文の発想に対して突っ込みが入ったが、結局、ヨモギは捕縛されることとなった。
こうして、キョウの刺客ヨモギは生け捕りにされ、一行は彼女から情報を引き出す準備を整えたのであった。
五 話 条件付きの同行
ツグミの強襲と圧倒的な力
ツグミは槍を大きく回転させ、強力な衝撃波を発生させた。その一撃でラフタリアとヨモギが吹き飛ばされ、出血を伴うダメージを負った。ヨモギの戦闘力は並外れたものではなかったが、ツグミの槍には異常な力が宿っており、持ち主を強化する効果があると判断された。
ヨモギはその武器の危険性に気付き、動揺した。キョウが仲間たちに渡した武器が危険なものであることを確信し、ツグミに警告を発した。しかし、ツグミは聞く耳を持たず、聖武器の勇者たちを葬るために使うべき切り札だと宣言した。
尚文はその武器が霊亀のエネルギーを用いたものであり、驚異的な力を発揮するが、一定時間後に暴走し爆発する危険があると指摘した。だが、ツグミはその言葉に耳を貸さず、攻撃を仕掛けてきた。
ツグミの猛攻と尚文の迎撃
ツグミの槍による攻撃は凄まじく、尚文の流星盾とエアストシールドを一撃で破壊し、鎧にまでダメージを与えた。その攻撃力は尋常ではなく、彼の防御をもってしても耐えるのがやっとだった。ラフタリアとヨモギが隙を突こうとしたが、ツグミの反射神経は異常に高く、彼女たちの攻撃を紙一重でかわした。
尚文は槍の穂先を避け、セカンドシールドで対抗しながら、ツグミの槍の柄を脇で挟み込んで押さえつけた。槍は接近戦になると扱いにくくなるため、この戦法は有効だった。しかし、ツグミの力は凄まじく、尚文の防御を突き破らんばかりの衝撃を与えた。
テリスの防御魔法により尚文の耐久力はさらに向上したが、ツグミの攻撃は激しさを増していった。フィーロとラフちゃんが飛びかかるも、ツグミの鋭いツメによる攻撃が迫り、危機的な状況に陥った。しかし、ラフちゃんの幻覚魔法によってツグミの攻撃を回避することに成功した。
ツグミの武器の暴走と爆発の危機
戦闘が激化する中、ツグミの槍が発熱し、宝石の目玉が不気味に動き始めた。尚文はこれがかつて教皇が使った勇者武器のコピー品と同じ仕組みであると察知し、さらに警戒を強めた。槍は「貫くもの」と呼ばれる必殺スキルを放ち、強烈なエネルギー波を発生させたが、尚文はラースシールドに変化させ、その攻撃を耐え抜いた。
ツグミの執念は衰えず、さらに強大な力を求めた。しかし、突如としてツグミの体に異変が生じた。体の各所が裂け、白目を剥いて痙攣し始めたのだ。同時に、ツグミとともに戦っていた仲間たちにも異常が発生し、まるで薬の効果が切れたかのように悶え苦しみ始めた。
この事態を見て、絆はツグミの腕に絡みつく蔓を切断しようとしたが、尚文はそれを制止した。下手に切断すれば、暴走の引き金になりかねなかった。ツグミの命が尽きた瞬間、武器が爆発する可能性があったため、慎重な対応が求められた。
その時、武器の目玉の部分から不吉な笑い声が響き、キョウの声が通信越しに聞こえてきた。彼はツグミを駒として使い捨てるつもりであり、尚文たちを巻き添えにする計画だった。武器は完全に暴走し、槍全体が眩い光を放ち始めた。
尚文の決断と暴走の封印
尚文は即座に槍を空へ投げようとしたが、すでに爆発寸前であり、間に合わないと判断した。その時、彼は盾の力を利用して槍を封じ込めるという決断を下した。霊亀の心の盾の力を信じ、暴走する槍を強引に盾へと取り込んだのである。
シールドプリズンを発動し、自らを閉じ込めることで爆発の被害を最小限に抑えようとした。槍は盾の中で暴れ、尚文の体に激痛をもたらしたが、彼はひたすら耐え続けた。彼の意識が遠のきかけたその時、幻のようにオストが現れ、尚文を支えるような感覚を与えた。
やがて槍は淡い光を放ちながら霊亀の心の盾に吸収され、暴走は終息した。尚文はなんとか立ち上がり、周囲を確認すると、ツグミが再び立ち上がり暴れようとしていた。
ツグミの救済と降伏
ツグミの仲間たちは必死に彼女を止めようとしたが、ツグミは完全に理性を失っていた。絆は狩猟具の勇者として、人を殺さずに救う方法を探し、暴走するツグミの体から獣化した部分のみを切除する「解体技・鱗落とし」を発動した。
この一撃により、ツグミの獣の部分だけが削ぎ取られ、人間の姿へと戻った。彼女の命は助かり、取り巻きの女たちは泣きながら彼女の無事を喜んだ。戦意を失った彼女たちは降伏し、尚文は彼女たちに「信じる相手を考えろ」とだけ言い放った。
こうして、ツグミの暴走は終息し、尚文たちは次の戦いへと向かう準備を整えた。城と龍刻の砂時計を守るため、尚文たちはすぐさま移動を開始し、新たな脅威に備えた。
六 話 改造された者達
激闘の幕開け
ツグミと呼ばれる敵が槍を振るい、強力な衝撃波を発生させた。ラフタリアとヨモギはその威力に吹き飛ばされ、辛うじて受け身を取るが、負傷している様子であった。この槍はただの武器ではなく、持つ者の能力を強化する効果を持つと推測された。ヨモギの力は決して低くはないが、決定打に欠けるため、眷属器を持つラフタリアと比べても戦闘力には差があった。それでも、ツグミの攻撃は強大であり、単なる一振りでこれほどの威力を発揮する以上、尋常な武器ではないことは明白であった。
ヨモギの動揺と真実の発覚
ヨモギはツグミの持つ武器がキョウから授けられたものであると知り、衝撃を受ける。ツグミは、聖武器の勇者や眷属器の所持者を討つためにキョウから与えられたと豪語するが、ヨモギはその武器の危険性を察し、ツグミに手放すよう説得を試みる。しかし、ツグミはその言葉に耳を貸さず、再び攻撃を仕掛けた。
戦況の悪化と盾の防御
ツグミの攻撃は圧倒的な威力を持ち、流星盾やエアストシールドをも打ち砕いた。防御を固める主人公であったが、ツグミの猛攻は止まることなく、形勢は厳しくなっていく。ラフタリアとヨモギは隙を突こうと試みるも、ツグミの驚異的な反射神経によってかわされる。戦況は次第に厳しさを増し、主人公は接近戦に持ち込み、ツグミの槍を封じようとするが、それすらも完全には押さえ込めない状況であった。
魔法による強化と新たな脅威
テリスの援護魔法により、防御力が一時的に大幅に向上した。ツグミは主人公を防御一辺倒の存在だと考えていたようだが、実際には攻撃手段も有しており、その誤認識が戦況を左右することとなった。一方、フィーロとラフちゃんはツグミの攻撃を幻覚魔法でかわし、援護に回る。戦いは混戦状態となり、ツグミの取り巻きも主人公を狙い始めるが、リーシアの奇襲が功を奏し、わずかではあるが敵の戦意を削ぐことに成功する。
ツグミの武器の異変と危機的状況
ツグミの槍が異様な輝きを放ち始めた。主人公はその光に覚えがあり、過去に教皇が勇者の武器をコピーした際の現象と酷似していることを察する。ラースシールドに変化させることで対応する決意を固め、戦場の仲間たちには距離を取るよう指示を出す。そして、ツグミの槍から放たれた一撃を真正面から受け止め、耐え抜くことで敵の攻撃を封じた。
ツグミの暴走と槍の暴発
ツグミの武器が暴走し、肉体が変異を始める。改造された肉体が限界を迎えつつある中、ツグミはなおも戦意を失わず、主人公に最後の一撃を加えようとする。しかし、槍の制御が完全に失われ、ツグミ自身が武器に取り込まれるような状態に陥った。このままでは槍が暴発し、周囲を巻き込む危険があった。
暴走する槍の封印
主人公は槍の危険性を理解し、爆発を回避するため、盾に吸収させる決断を下す。シールドプリズンを展開し、自らを防御しつつ、槍の暴発を抑え込む。激しい苦痛を伴いながらも、最終的に槍の力を完全に吸収することに成功した。しかし、その代償として、主人公自身が大きなダメージを負い、一時的に意識を失いかける。
戦闘の終結とツグミの救済
ツグミは完全に力を失い、取り巻きたちも戦意を喪失した。彼女の肉体は限界に達し、暴走していた四聖獣の力は削がれた。絆の解体技によってツグミの獣化部分は取り除かれ、命を取り留めることができた。降参を宣言した敵は、これまでの行いを悔いる様子を見せた。主人公はこれに対し、厳しい言葉を掛けつつも、治療の手を差し伸べる。
新たな脅威と龍刻の砂時計の危機
戦闘が終わり、ようやく事態が収束するかと思われたが、新たな問題が浮上する。敵の別働隊が龍刻の砂時計を占拠しようとしていたのだ。この情報を得た主人公たちは、即座に対処に向かう。龍刻の砂時計ではグラスが戦闘を繰り広げており、侵攻を阻止していた。戦況は混迷を極めたが、絆の呼びかけにより、敵の一部は戦意を失い、戦闘の拡大は防がれた。
戦闘の総括と次なる展開
敵の作戦は三段構えであり、勇者たちを分断しつつ、城と龍刻の砂時計を同時に攻める計画であった。しかし、主人公たちはそれを打ち破り、戦闘を終結させた。最後に主人公は敵に向かって、今後の選択を考え直すよう警告を発し、治療の可能性について示唆する。こうして、長きにわたる激闘は終わりを迎えたが、新たな戦いの予兆が残されていた。
七 話 バルバロイアーマー
捕らえられた者たちの治療
ツグミを含むクズ二号の取り巻きの治療が始まった。ツグミは重傷を負い、武器に吸い取られた影響でまともに立つこともできない状態であった。絆が削ぎ落とした改造部分に治療薬を塗ることで、かろうじて回復の兆しが見えていた。ツグミは助けられた屈辱からか、言葉を発さなかったが、主人公はその態度を気にせず、彼女たちが信じていた者の行動を見つめ直すよう促した。しかし、ツグミは反発し、会話は平行線のまま終わった。
クズ二号の執着心とその影響
取り巻きの一人が、クズ二号は優しさを持っていたが、権力や強さに対する執着が異常だったと語った。その姿勢は、かつての三勇者たちの考え方に通じるものがあった。さらに、主人公はネットゲームで見かける選ばれし者を自称する者たちとの共通点を指摘した。眷属器を選ばれなかったことで処刑しようとする行為は前例がないわけではないが、通常の価値観では理解し難いものであった。交渉の余地があったにもかかわらず、彼が固執した理由は依然として謎のままであった。
クズ二号の実像と周囲の反応
ツグミの仲間たちは、クズ二号が女性を助けることに異常な執着を持っていたと証言した。彼は強引な手法で女性たちを救い、その行動に周囲は何度も苦言を呈したが、聞き入れることはなかった。取り巻きの中には困惑する者もいれば、未だに彼を慕う者もいたが、結局、彼の行動は独善的であり、問題を引き起こすことが多かった。そこへヨモギが現れ、キョウに真実を問い質すために協力すると宣言した。
キョウの実態と二人の共通点
ヨモギはキョウを信じる理由を述べたが、その内容はツグミが語ったクズ二号の姿と酷似していた。主人公はその類似性を指摘したが、ツグミは激しく否定しようとし、体力が尽きて倒れ込んだ。ラルクもまた、キョウとクズ二号が同類であると見抜いており、これ以上の交渉が無意味であることを示唆した。キョウが本当に死者を蘇らせる技術を持っているかは不明であったが、少なくとも信頼に値しない人物であることは明らかであった。
ヨモギの覚悟とキョウの研究所
ヨモギはキョウの真意を確かめるため、情報を提供することを決意した。彼女はキョウが霊亀のエネルギーを利用し、異世界で災害を引き起こしたことを知り、動揺を隠せなかった。さらに、キョウの研究所の場所を明かし、それが首都から離れた森林地帯にあることが判明した。そこは霧に包まれ、人を寄せ付けない要塞のような場所であった。しかし、主人公たちは空からの移動手段を持っており、突入の可能性は十分にあった。
新たな装備の完成
出発の準備を整える中で、ロミナが新たな鎧を完成させた。それはかつての蛮族の鎧を改良したものであり、四聖獣の素材が組み込まれていた。装備の性能は大幅に向上していたが、呪いによる締めつけが発生する欠点があり、試着者の肋骨を折るほどの危険性があった。それでも主人公は防御力の高さを優先し、試しに装備してみることにした。
フィーロ寝巻きの争奪戦
さらに、フィーロ着ぐるみを改造した新装備が完成し、その一部はフィーロの胸当てとなったが、もう一つは寝巻きへと変貌していた。リーシアは顔が隠れる寝巻きを希望するかと思われたが、フィーロが先に着用してしまい、ステータスの大幅な向上が確認された。結果的にリーシアは胸当てを選び、フィーロは寝巻きを装備することとなった。主人公は密かにラフちゃんに着せることを企みつつも、当面の問題を片付けることにした。
出発への準備と決意
こうして、新たな装備と情報を手にした一行は、キョウを討つための準備を整えた。キョウの研究所がある森林地帯へ向かう決意を固め、主人公は装備の呪いに警戒しつつも、それを使いこなす覚悟を決めた。戦争の行方と共に、キョウとの決着が迫っていた。
八 話 二刀流の使い方
武器の受け取り
ロミナとアルトが店の奥から武器を持ち出し、ラルクたちの依頼で預かった品々を紹介した。運ばれてきたのは二本の刀で、それぞれ 白虎ノ太刀 と 朱雀ノ小太刀 と名付けられていた。白虎ノ太刀は四聖獣の素材を用いて作られた逸品であり、その強力さは一目で分かるほどであった。ロミナは白虎ノ太刀を抜き、その輝きと威圧感を示した。ラフタリアは刀の眷属器を通じて武器をコピーし、その強大な性能を実感したが、十分に扱うにはまだ力が足りなかった。
二刀流の習得
白虎ノ太刀には二刀流の技能が内包されており、ラフタリアが試したところ、もう一本の刀が自動的に生成された。しかし、その重さに耐えきれず、地面に刃先をつけてしまった。試行錯誤の末、片方の刀を鞘に収めたまま、もう一方の刀を扱うという戦法が可能であると判明した。この方法であれば、二刀流を維持しつつ、一方を温存することができ、戦闘の選択肢が広がった。
朱雀ノ小太刀の試用と鍛冶師の視点
次に朱雀ノ小太刀を試したが、ラフタリアの能力では変化条件すら満たせなかった。これは高い技量を求められる武器であり、今後の成長が必要であった。一方、ロミナは鍛冶師としての視点から、眷属器による武器の無限増殖の可能性に懸念を示した。主人公は商業的な観点からそれを肯定的に捉えたが、アルトやロミナは困惑した様子であった。
盾の入手とその特性
さらに、ロミナから四聖獣の素材を用いた盾の開発について説明があった。白虎の皮や牙を用いた盾が複数存在し、それぞれ敏捷向上や衝撃吸収の効果を持っていた。しかし、「援護無効」の特性があり、パーティ戦において不利になる側面もあった。主人公はそれらの盾を試しつつ、風圧を発生させる特殊効果を確認したが、単なる風の膜を作るだけで戦闘にはあまり向かないことが分かった。
魔竜の素材と封印の解除
ロミナは黒い鱗や骨、核石といった魔竜の素材を提供した。しかし、主人公がそれらを盾に変換しようとすると、ロックがかかっており、すぐには使用できなかった。一方、ラフタリアの刀には問題なく反映され、強力な武器へと変化した。この現象に主人公は疑問を抱き、盾がこの世界の聖武器ではないため、制限があるのではないかと推測した。やがて、盾の一つだけが解放され 魔竜の盾 が使用可能となった。この盾は全属性耐性を持ち、万能に近い性能を誇っていた。
キョウとの決戦に向けた準備
武器や装備を整えた後、主人公たちはキョウの研究所への突入準備を進めた。エスノバルトの船に乗り込み、移動を開始。道中では飛行魔物や敵軍と交戦したが、事前に渡していたアクセサリーの効果で優位に戦えた。順調な航行を経て、三日目には霧の立ち込める大森林へと到達した。
迷いの霧の突破
ヨモギが持っていた鈴を使い、霧の中へと進もうとしたが、結局同じ場所に戻ってしまった。霧には侵入者を迷わせる効果があり、通常の方法では進入が不可能であった。主人公は強行手段として バイオプラント を撒いて環境を変える案を提示したが、絆は環境破壊の懸念から反対した。そこで、ラフタリアとラフちゃんが幻覚魔法の影響を察知し、道を導くことを提案した。
ラフタリアの指示に従い、飛行船は右、左、斜めと進み、ついには霧を突破。迷宮のように仕掛けられた道を突破することで、ついにキョウの研究所がある屋敷へと到達した。主人公たちは霧の外れた視界の中、決戦の地へと乗り込んでいった。
九 話 キョウの研究所
キョウの研究所への侵入
キョウの研究所は古びた洋館のような佇まいをしており、地下や隠し部屋に彼が潜んでいる可能性が高かった。ヨモギの案内で進むが、キョウの側近とされる女性たちの姿は見当たらなかった。主人公は、彼女たちが戦争に参加しているか、避難した可能性を考えたが、最悪の可能性には触れないようにした。ヨモギはキョウの本性について語り、彼が信頼できる者しか研究所に入れないことを明かした。
ヨモギはキョウの行為を「卑怯」と非難したが、戦争における支配行為もまた卑怯ではないのかと主人公は指摘した。その直後、研究所周辺に潜んでいた四聖獣の複製体や改造人間が襲いかかってきた。彼らの中には自我を失った者もおり、その目は狂気に満ちていた。
四聖獣の複製体と改造人間との戦闘
襲いかかる魔物と改造人間に対し、主人公たちは迎え撃った。絆は改造人間を救おうとしたが、聖武器が彼らを「人間」として認識せず、そのまま斬り伏せる結果となった。改造人間は息絶える直前に感謝の言葉を呟いたが、それを聞いた絆やラフタリアは涙を滲ませた。ラルクも戦いづらさを感じたが、主人公は躊躇するなと告げ、敵を討つことこそが最善であると諭した。
敵の再生能力が異常に高く、単純に四肢を切断するだけでは侵食が進むばかりであった。ラフタリアは仲間たちを鼓舞し、迷いを捨てて戦うことを決意させた。戦争の中では、助けられない命を選ばねばならないと悟り、主人公たちはさらに攻勢を強めた。
エスノバルトの囮作戦
戦闘が続く中、エスノバルトは自身の眷属器である船を中型艦へと変え、敵を引きつける役割を担った。彼は自身の戦闘能力が低いことを理解しつつも、砲撃によって敵の注意を引こうと試みた。しかし、敵の数が多く、四聖獣の複製体たちが船に群がった。クリスがエスノバルトのもとへと跳躍し、共に戦うことを決意した。
絆はエスノバルトを助けたいと訴えたが、主人公は目的を果たすためには前へ進むしかないと告げた。クリスが側にいる限り、最悪の事態にはならないと信じ、仲間たちはエスノバルトの決意を無駄にしないように屋敷へと突入した。
屋敷内の探索と突破
屋敷内には生活の痕跡があり、最近まで人がいたことが分かった。ヨモギによれば、ここに入れるのはキョウの側近の中でも限られた者のみだったという。鍵のかかった扉が行く手を阻んだが、ラルクが躊躇なく鎌で破壊しながら進んだ。絆はこの強引な手法に反発したが、主人公は謎解きに時間を費やすよりも迅速に突破することを優先した。
屋敷内では罠が多く仕掛けられていたが、主人公たちはそれらを容易に回避し、先へと進んだ。地下へ続く階段の前でヨモギが顔を曇らせる。彼はキョウを信じたかったが、改造人間の存在や四聖獣の複製体を目の当たりにし、疑念を拭えなくなっていた。
地下研究所での戦闘と謎の存在
地下に降りた直後、まだ自我を保っている改造人間たちが主人公たちを阻もうとした。彼らは「アルバート様を守るため」と叫んでいたが、主人公はアルバートの名を知らなかった。グラスによれば、彼はかつて鏡の眷属器の持ち主だったという。改造人間たちはキョウによって利用され、寄生機能を持つ武器を手に戦っていた。
絆とグラスは彼らの武器を破壊し、ラルクとラフタリアが追い討ちをかけた。破壊された武器は触手のように蠢き、所持者と融合しようとしたが、主人公の盾によって消滅した。戦闘は終息し、主人公たちはキョウがまだ屋敷内にいると確信した。
ホムンクルスの存在とキョウの登場
研究所の奥には、透明なタンクが並んでおり、その中には人間に似た何者かが浮かんでいた。リーシアはそれをホムンクルスではないかと推測した。中にはクズ二号と瓜二つの男が複数体おり、さらに奥には胸に鏡を抱えた男――かつての鏡の眷属器の持ち主であるアルバートがいた。彼は生け捕りにされ、研究材料として扱われていたようだった。
ホムンクルスたちは目を覚ますと四聖獣へと変貌し、敵として襲いかかってきた。アルバート自身もまた戦意を示し、鏡の眷属器を用いて攻撃を仕掛けた。ラフタリアは彼の魂が欠けていることに気づき、眷属器が彼を無理やり繋ぎ止めていると察した。キョウは彼を「完璧な駒」とし、さらに強化を施していたのだった。
そのとき、アルバートが鏡から満月のような光弾を放ち、主人公の流星盾を粉砕した。さらに、研究所の床が割れ、キョウが光の足場を作って姿を現した。彼の周囲には霊亀の使い魔(親衛型)が控えており、多勢で待ち構える状況となっていた。
十 話 信頼が失われる時
キョウとの対峙
キョウは主人公たちの侵入に苛立ちを見せ、嘲笑しながら迎え撃とうとした。絆はキョウに対し、奪ったものを返すように要求するが、キョウは四聖勇者の存在意義を軽視し、一人減ったところで問題はないと豪語した。さらに、波は管理できるとまで言い放ち、まるで遊ぶかのように自身の力を誇示した。
ヨモギはキョウの所業を問い詰めたが、彼は開き直り、ヨモギ自身を邪魔者扱いする。キョウはヨモギが刺客として利用できるように仕向けたと明かし、さらには彼女を嘲笑するような言葉を投げかけた。ヨモギは信じていたキョウの本性を知り、動揺しながらも彼を討つ決意を固める。そして、絆たちにキョウ討伐の協力を求めた。
戦闘の開始とリーシアの奮闘
キョウはアルバートやホムンクルスたちを操り、攻撃を開始する。主人公は流星盾を展開し、仲間と連携しながら応戦した。ラフタリアは魔法を駆使し、飛散する破片を利用して敵の視界を奪うことに成功する。その隙に、絆とグラスが連携し、アルバートに強力な一撃を加えたが、キョウの本の眷属器がアルバートの傷を強引に修復した。
ラルクやテリスの魔法援護が続き、ホムンクルスたちを一掃するも、キョウは本の力を駆使し、新たな攻撃を繰り出す。彼のスキルは仲間の能力を逆手に取り、魔力や魂力を削り取るものであった。絆がこの攻撃を受け、膝をつくが、主人公がすぐに回復させた。しかし、キョウは次々と新たなスキルを発動し、ラルクやグラスにも甚大なダメージを与えた。
この戦いの中、唯一まともに動けたのはリーシアであった。彼女はキョウの攻撃の影響を受けず、戦闘において重要な役割を果たした。リーシアはキョウの嘲笑を受けながらも冷静に立ち回り、機会を狙った。
アルバートの撃破とキョウの激昂
リーシアは絆と主人公の倍加スキルの支援を受け、アルバートに突きを放つ。キョウはアルバートを盾にして防ごうとするが、攻撃の威力が増幅され、アルバートの胴体が吹き飛んだ。彼の死亡により、鏡の眷属器が解放され、空へと消えていった。キョウはこの結果に動揺し、主人公たちを激しく非難する。
キョウは焦りながらさらなる奥の手を使おうとするが、主人公は霊亀の心の盾を発動させ、キョウの重力操作を無効化した。キョウは驚きながらも反撃を試みるが、主人公たちの連携により次第に追い詰められていった。
キョウの最終手段と波の発動
窮地に追い込まれたキョウは、本の眷属器にしおりを挿し込み、新たな力を発動させる。すると、彼の周囲にさらなる重力場が生まれ、主人公たちは再び動きを封じられた。霊亀の心の盾を使おうとしたが、キョウのスキルによって機能を封じられ、戦況は再び不利な状態となる。
その瞬間、キョウは龍刻の砂時計に仕掛けをしていたことを明かし、「災厄の波・ディメンションウェーブ」というスキルを発動させた。空間が裂けるような音が響き、絆やグラスたちの姿が消え去る。主人公は驚愕しながらも、この戦いが新たな局面へと突入したことを悟った。
十一話 サクリファイス・オーラ
キョウの策略と分断
波の発生により、絆やグラスたちは強制転移し、主人公の側にはラフタリア、フィーロ、リーシア、ラフちゃんのみが残された。キョウの狙いは、主人公を孤立させて霊亀の力を完全に掌握することにあった。さらに、キョウは主人公の盾に本のページを付着させ、盾の変化を阻害していた。この状態での戦闘は不利であり、主人公たちはこの場でキョウを討たねばならなかった。
キョウは霊亀の力を吸収しながら、自身の能力をさらに強化していく。周囲には霊亀の使い魔(親衛型)が出現し、三勇者の聖武器を模した武器を手に主人公たちに襲いかかった。主人公は仲間たちに状況を確認し、戦闘態勢を整えるよう指示を出した。
リーシアの覚醒
戦闘が始まると、キョウはまずリーシアを標的にし、能力比例攻撃を放とうとした。しかし、その瞬間、リーシアは驚異的な速度で動き、霊亀の使い魔を一撃で薙ぎ払った。リーシア自身はこの変化に気付いていなかったが、主人公が彼女のステータスを確認すると、フィーロを凌駕する数値になっていた。彼女は一定のレベルを超えたことで潜在能力が開花し、勇者に匹敵する力を得ていたのである。
キョウはこの状況に激しく動揺し、苛立ちを露わにした。だが、主人公たちは逆にこの誤算を好機と捉え、反撃の準備を整えた。ラフタリアも白虎ノ太刀を手にし、フィーロはフィロリアルとしての力を最大限に発揮しながら、戦闘の補助を担った。
キョウの力とハッタリ
キョウは自身の力を誇示し、聖武器や眷属器の強化方法を知っていると告げた。彼は絆やグラスたちの強化方法に加え、鏡の眷属器の所持者アルバートの技術も取り込んでいた。これにより、自らを圧倒的な存在へと高めようとした。しかし、主人公はキョウの言葉に疑念を抱き、眷属器が彼を認めていないのではないかと指摘した。キョウはこの指摘に反応し、怒りを露わにしたが、その様子から彼の力が完全なものではないことが明らかとなった。
主人公はラフタリア、リーシア、フィーロにそれぞれの攻撃を指示し、キョウを追い詰める作戦を立てた。キョウの防御を突破するには、ババアから伝授された防御比例攻撃や、フィーロの突撃が鍵となる。仲間たちは一致団結し、キョウへと向かっていった。
空間圧縮拘束スキルの発動
キョウは本の眷属器を操り、「ライブラリア」というスキルを発動。これにより、戦闘の場は突然白黒の異空間へと変貌し、主人公たちは閉じ込められた。そこでは、キョウの意のままに強力な攻撃が降り注ぎ、主人公たちは次々と攻撃を回避しながら防御を試みた。バイオプラントを使い脱出を図ったが、キョウのスキルによって阻まれる。ラフタリアやリーシアも壁を攻撃したが、破壊には至らなかった。
このままでは嬲り殺しにされると判断した主人公は、ラースシールドの力を使う決断を下した。呪われた盾であることを承知の上で、ダークカースバーニング S を発動し、空間ごと焼き尽くそうとした。ラフタリアたちをシールドプリズンで守りながら、主人公は盾の力を解放した。
ラースシールドの暴走と脱出
盾の解放により、黒炎が空間を包み込み、キョウのスキルは打ち破られた。主人公たちは元の戦場へと戻り、再びキョウとの戦いに向かった。キョウはこの結果に驚愕しながらも、さらなる攻撃を仕掛けようとした。
ラフタリアたちはキョウへ猛攻を仕掛けたが、キョウは「縛式・四章」や「連式・吊り天井」などのスキルを駆使し、防御を固めながら戦闘を継続した。主人公はシールドを駆使して仲間を守り、少しずつキョウを追い詰めていった。しかし、キョウも決して諦めず、霊亀の力を使いながら戦い続けた。
アル・サクリファイス・オーラの発動
戦闘が続く中、主人公は龍脈法を用いた強化魔法を発動しようとした。しかし、その瞬間、ラースシールドの中から得体の知れない声が響き渡り、主人公に力を貸すと囁いた。その声は、強大な力と引き換えに相応の代償を要求していた。主人公は一瞬躊躇したが、フィーロの言葉に背中を押され、最終的に魔法を発動する決意を固めた。
ラフタリア、フィーロ、そして主人公自身に魔法を施し、戦局を大きく覆そうとした。その時、主人公の中にある未知の存在が力を貸し、その影響で彼の意識が強く揺らいだ。しかし、主人公はその力を抑え込みながら、戦闘に集中した。
ついに「アル・サクリファイス・オーラ」を発動。戦場に新たな力が解き放たれ、決戦の幕が切って落とされた。
十二話 代償の力
サクリファイス・オーラの発動
主人公はリベレイションの発動を試みたが、意図せずサクリファイス・オーラが発動し、黒い炎が自身、ラフタリア、フィーロを包み込んだ。身体が焼けるような痛みが走り、生命力が削られる代わりに莫大な力が湧き上がる。ラフタリアの攻撃によりキョウの結界は容易く切り裂かれ、フィーロとリーシアも続けて猛攻を仕掛けた。キョウは防御する間もなく負傷し、霊亀の力を盾に吸収されていくが、なおも再生しようと足掻いていた。
キョウへの猛攻と決着
主人公はキョウを壁へと投げつけ、シールドプリズンとアイアンメイデンを併用し、彼を串刺しにした。苦痛の叫びを上げるキョウだったが、なおも立ち上がろうとし、禁断の書を手にする。その瞬間、主人公は霊亀の心の盾を解放し、溜めていたエネルギーブラストを放った。キョウも同時に必殺技を放ち、両者の攻撃が激突する。キョウの攻撃は回復効果を伴っていたが、鏡の眷属器の力が主人公を援護し、エネルギーブラストの威力を増幅させていく。次第にキョウの攻撃を押し切り、光の奔流が彼を包み込んだ。
キョウの最期と魂の消滅
キョウは完全に消滅せず、わずかに生きながらえていた。しかし、致命傷を負い、再生能力も限界を迎えていた。主人公はキョウに最後の言葉を問うが、彼は息絶えた。これと同時に重力場は消滅し、戦いは終結を迎えた。
しかし、キョウの持つ本の眷属器が異常な動きを見せ、研究施設の奥へと逃れようとした。フィーロが床を踏み抜き、隠された場所に到達すると、そこにはタンクに保存されたキョウの予備の肉体があった。彼が魂を移し、復活を図ろうとしていることが判明する。
キョウの魂の処刑
ラフちゃんの力により、キョウの魂の動きが可視化され、主人公はリーシアに絆たちから渡された使役札を投げさせた。その札の中に封じられていたのは魂食いという魔物であった。キョウは転生を試みたが、魂食いに捕食され、完全に消滅した。
研究施設の破壊と戦いの終焉
キョウの魂が消滅したことで、彼の研究施設に残された技術も無意味なものとなった。主人公は霊亀の力を完全に解放し、施設の残骸を破壊するようラフタリアとフィーロに指示した。二人は全力で施設を破壊し、キョウの野望が再び蘇る可能性を完全に断ち切った。戦いが終わり、主人公は亡きオストの使命が果たされたことを静かに噛み締めた。
エピローグ 二つの世界の絆
霊亀の力の回収と帰還準備
キョウを討ち、霊亀の力を内包した肉体を破壊すると、そのエネルギーが主人公の盾へと吸収された。その間に絆たちは波を鎮め、主人公たちのレベルも元に戻ってしまった。盾の水晶部分は眩い光を放ち、「霊亀の力の奪還を完了した」との文字が浮かび上がる。これにより、主人公たちはあと三日間だけこの世界に滞在できることが判明した。
帰路につくことにしたが、サクリファイス・オーラの副作用で能力が著しく低下し、戦闘もままならない状態だった。その中、キョウの持っていた本と鏡の眷属器が周囲を漂い、まるで主人公たちを導くように振る舞った。慎重に地下施設を進むと、やがて鏡の眷属器が部屋に飾られた鏡へと吸い込まれた直後、絆たちが鏡から現れた。
絆たちとの合流と状況の整理
絆たちは鏡の眷属器によって転移してきたらしく、研究所の中で主人公たちと合流した。彼らはキョウの所在を尋ね、主人公はすでに討ち取ったこと、さらには魂すらも消し去ったことを説明した。ヨモギは、自身の手で決着をつけられなかったことを悔やみながらも、主人公たちに感謝の意を示した。その後、本と鏡の眷属器は、主人公たちを護衛するように研究所の奥へと飛び去った。
グラスは、主人公たちが四聖獣コピーや罠に遭遇しなかったのは、眷属器の助力によるものだと推測した。キョウの支配が解かれたことで、眷属器たちは新たな主を求めるのではなく、恩義に報いる行動を取ったようだった。
帰還と戦争の影響
エスノバルトの船で安全な国へと戻ると、鏡の眷属器はどこかへと飛び去った。その後、ヨモギが国へ戻り、キョウの非人道的な行為を暴露。ツグミたちも証拠を提示し、本の眷属器がキョウ自身の発言を録音した内容を再生することで、国の上層部は事実を認めざるを得なくなった。結果的に、キョウが支配を強めていた国は内部崩壊し、これにより他の国々が反乱を起こす事態となった。
戦争の混乱を収束させるため、本、鏡、刀の眷属器を持つ三国がラルクの国と同盟を組むことが決定。主人公たちは戦いを終えたものの、サクリファイス・オーラの呪いによって能力が大幅に低下し、治療師の診察では「完治には最低二ヶ月、最長で三ヶ月かかる」と診断された。
今後への展望と波への備え
主人公は、グラスたちの世界で学んだ技術を自身の世界に持ち帰り、波への対処を強化することを考えていた。世界の守護獣は霊亀以外にも鳳凰、麒麟、応竜が残されており、それらの封印が解かれるまでは一時的に波の発生は抑えられると考えられた。しかし、新たな脅威が現れる可能性は拭えず、次なる戦いに向けた準備を進める必要があった。
その中で、ラルクが戦勝会を提案し、国を挙げての祝宴が催された。主人公は呆れながらも、戦いの終結を祝うことを許容し、残りの時間を絆たちとともに過ごした。
帰還の時と別れ
帰還の時間が近づき、城の庭で準備を整えていると、絆、グラス、ラルクらが見送りに訪れた。絆は主人公との出会いを振り返り、今後も勇者としてそれぞれの世界を守っていくことを誓った。グラスは、キズナの救出に対する感謝を述べ、どんな状況になっても話し合う重要性を強調した。
ラルクやテリス、エスノバルトもそれぞれの想いを伝え、主人公はグラスに日本語で書かれたレシピ集を渡した。これには、彼の世界の技術を再現するための研究成果が記されており、絆たちの世界での活用が期待された。
一方、ツグミはキョウの行為に対する謝罪と、仲間たちの犠牲への悲しみを滲ませた。彼女はキョウの眷属器が刀に執着していた理由を問い続け、ラフタリアはその眷属器を返却しようとしたが、刀は彼女の手から離れなかった。どうやらこの武器は、キョウの行為の責任を取るために、主人公たちの世界で戦うことを選んだようだった。
ついに帰還の時間が訪れ、主人公は冗談めかして刀の眷属器を奪うような言葉を放った。絆たちは呆れながらも笑い、最後の別れを交わした。
絆、グラス、ラルクらが一斉に「ありがとう!」と告げた瞬間、主人公たちは元の世界へと転移し、異世界での戦いに終止符が打たれた。
同シリーズ
盾の勇者の成り上がり
小説版















漫画版


























その他フィクション

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