小説「サイレント・ウィッチ 1 沈黙の魔女の隠しごと」感想・ネタバレ 

小説「サイレント・ウィッチ 1 沈黙の魔女の隠しごと」感想・ネタバレ 

簡単な感想

基本的にコメディー。
超人見知りを拗らせて無詠唱魔法を極めてしまった魔女。

そんな彼女に学園に通って第二王子を護衛せよと任務が来た!

超人見知りの彼女が学園で生き残れるのか!?←そこ?

どんな本?

本作は、学園ファンタジーの要素を持つライトノベルである。主人公モニカ・エヴァレットは、無詠唱魔術を操る唯一の魔術師として〈沈黙の魔女〉の異名を持つ。彼女は、第二王子を護衛する極秘任務を受け、正体を隠して学園に潜入する。気弱で臆病な性格ながらも、最強の魔術師としての力を発揮し、王子に迫る悪を密かに裁いていく物語である。

主要キャラクター
• モニカ・エヴァレット:無詠唱魔術を使える世界唯一の魔術師。人見知りで引きこもり気質だが、若くして〈七賢人〉に選ばれるほどの実力者。
• ルイス:モニカの同僚で、彼女に第二王子の護衛任務を依頼する人物。
• 第二王子:モニカが護衛する対象。彼の周囲には多くの謎と陰謀が渦巻いている。

物語の特徴

本作の魅力は、最強の魔術師でありながら極度の人見知りというギャップを持つ主人公モニカのキャラクターにある。彼女が正体を隠しながら学園生活を送り、任務を遂行する過程での成長や葛藤が描かれている。また、無詠唱魔術の描写や、学園内での人間関係、王子を巡る陰謀など、読者を引き込む要素が豊富である。
出版情報
• 著者:依空まつり
• イラスト:藤実なんな
• 出版社:KADOKAWA(カドカワBOOKS)
• 発売日:2021年6月10日
• ISBN:9784040740355
• 定価:1,320円(本体1,200円+税)
• 電子書籍版:あり
• 関連メディア展開: コミカライズ:桟とびによる漫画版が連載中
• アニメ化:2025年7月放送予定

KADOKAWAanime

読んだ本のタイトル

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと
著者:#依空まつり 氏 
イラスト:#藤実なんな 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889458714 小説「サイレント・ウィッチ 1 沈黙の魔女の隠しごと」感想・ネタバレ Bookliveで購入gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「サイレント・ウィッチ 1 沈黙の魔女の隠しごと」感想・ネタバレ BOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890540720 小説「サイレント・ウィッチ 1 沈黙の魔女の隠しごと」感想・ネタバレ 

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あらすじ・内容

〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレット。無詠唱魔術を使える世界唯一の魔術師で、伝説の黒竜を一人で退けた若き英雄。

 だがその本性は――超がつく人見知り!? 無詠唱魔術を練習したのも人前で喋らなくて良いようにするためだった。

 才能に無自覚なまま“七賢人”に選ばれてしまったモニカは、第二王子を護衛する極秘任務を押しつけられ……?

 気弱で臆病だけど最強。引きこもり天才魔女が正体を隠し、王子に迫る悪をこっそり裁く痛快ファンタジー!

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと

感想

7人しか選ばれない超エリートな魔法使いの1人。
沈黙の魔女。

その正体は、人前で魔法を詠唱が出来ないほどの超人見知りな17歳の少女だった。

そんな超人見知りの少女を第二王子の護衛のために、多くの人が通う学園に放り込む鬼畜な同期魔法使い殿。
それ請け負ったの貴方だろう?
何で同期の少女に振る?

まぁ、年齢的にも学園に通っている歳だから丁度良い。
でも問題は超人見知りのコミュニケーション能力。

人に話しかけられても「アウアウ」。
話しかけようとしても「アウアウ」。
終いには人のいない処を求めて彷徨う始末。

学園に放り込んだ同期殿もほとんど期待してなかったのに。

偶然にも護衛対象の王子にしっかりとロックオンされてしまうのが面白いが、、

それを判断してるのが会計記録を読んで修正出来るからってのが面白い。

アレって慣れが必要だからある程度の教養がないと出来ないから手元に置いときたいか。

それが大当たりなのが持ってるわ。。

王子も魔法使いも、、

そんな彼女を影で支える伯爵令嬢も悪役令嬢になるために訓練して、裏ではお姉様と慕うとか、、

それを優しく見守るメイドさんも何とも暖かい。

でも、表では辛く当たる匙加減は巧みw

そんな彼女も沈黙の魔女のお陰で黒竜の襲撃から生き残った1人で、彼女のためなら何でもするという献身さが笑いを誘う。

特に沈黙の魔女の超人見知りを考慮して、彼女の部屋を屋根裏部屋にさせるために悪役を演じる。

彼女がイジメに遭わないために彼女を衆目の前で罵って、他の者が彼女にチョッカイを出したら赦さないと宣言するとか、、

なかなかのナイスアシスト。

それをしている時に、沈黙の魔女にウィンクしてアピールしてるのが何気に可愛らしいww

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備忘録

プロローグ  ウォーガンの黒竜

黒竜の出現とケルベック伯爵家の決意

ケルベック伯爵領のウォーガン山脈に黒竜が出現し、リディル王国全土に激震が走った。黒竜は国の記録でも二度しか出現しておらず、街を焼き払うほどの破壊力を持っていた。十五歳の令嬢イザベル・ノートンは、避難を進言されるも毅然とこれを拒否した。伯爵家に生まれた者として、民を見捨てることはできないという信念に基づいたものである。彼女は、かつて幾度も竜害を目の当たりにしており、その惨状を忘れたことがなかった。

黒竜撃退の報と〈沈黙の魔女〉の登場

イザベルが屋敷を守る決意を固めた矢先、侍女アガサの弟アランが慌てて駆け込み、王都から派遣された魔術師が黒竜を退けたと伝えた。その魔術師は竜騎士団にも同行せず、ただ一人で山脈に入り黒竜を撃退したという。その人物こそ、無詠唱魔術を操る「〈沈黙の魔女〉」であった。イザベルはその報せに安堵しつつも、信じ難い思いに包まれていた。

新たな脅威──翼竜の襲来

しかし黒竜撃退の報せに安堵する間もなく、空には翼竜の群れが現れた。本来、翼竜は単独で行動する種であったが、黒竜という上位種を失ったことで統制を失い、人間への敵意を露わにしたのだ。その数は二十を超え、ケルベック伯爵家でさえ経験したことのない規模であった。イザベルはその脅威に直面しながらも、冷静に対処を考えていた。

精霊王召喚と翼竜の一掃

突風と共に接近する翼竜の脅威の中、空に白く輝く巨大な門が現れた。それは風の精霊王シェフィールドを召喚する門であり、極めて高度な魔術の象徴であった。精霊王の吐息は鋭利な槍となって空を貫き、翼竜たちの眉間を正確に撃ち抜いた。命を落とした翼竜の巨体は光の粒子に包まれ、音もなく静かに地へと降り積もった。

魔術師〈沈黙の魔女〉の真価

翼竜を一掃したのは、金糸のローブを纏い、長い黄金の杖を手にした小柄な魔術師であった。その人物こそ、リディル王国で七人しか存在しない七賢人の一人〈沈黙の魔女〉である。彼女は使い魔の黒猫を従え、魔術の余韻すら残さずその場を去った。イザベルは、その静かで美しい魔術に魅せられ、心を打たれていた。

未知の視線と物語の幕開け

一方、少し離れた場所からこの光景を見つめる一人の男がいた。彼は魔女の魔術に強く心を奪われ、まるで恋に落ちたかのように小さく呟いた。〈沈黙の魔女〉の存在は、王国を救っただけでなく、見る者の心をも揺さぶる新たな物語の中心となったのである。

一章  同期が来たりて無茶を言う

〈沈黙の魔女〉の静かな日常と知られざる素顔

山小屋での隠遁生活


モニカ・エヴァレットは、リディル王国の山奥にある古びた小屋で使い魔の黒猫ネロとともに静かに暮らしていた。人見知りが激しく、他人と接することを避ける彼女は、自ら買い物に出ることもなく、麓の村の少女アニーに物資を届けてもらっていた。生活は質素そのもので、水は井戸から汲み、衣類も自分で洗って干す日々であった。山小屋の中には紙と本が溢れ、寝台すら書類に埋もれており、彼女は椅子で眠るのが常であった。

訪問者アニーとのやりとり

その日もアニーが荷物を届けに現れた。彼女は勝気で賢く、数字にも強い少女であったが、モニカの住居に散乱する数式や資料には理解が及ばず、興味津々で質問を重ねていた。モニカはその都度、小声で説明を返したが、魔術に関する記述に関しては曖昧に答え、アニーに魔術の使い手だとは悟られぬようにしていた。

竜害と〈沈黙の魔女〉の噂

アニーは三ヶ月前に起きた東の国境での竜害について語り出した。二十体を超える翼竜の群れと、それを率いた伝説の黒竜ウォーガン。王国最強の竜騎士団が出動し、さらに七賢人の一人〈沈黙の魔女〉が同行していたという。彼女はたった一人で黒竜を退け、翼竜も撃ち落としたと伝えられていた。アニーの語るその人物こそが、モニカ自身であったが、モニカはそれをひた隠し、ただ黙って話を聞き続けた。

突然の訪問者と正体の暴露

食料の代金を渡し、会話を終えようとしたところに、モニカの「同僚」を名乗る紳士が現れた。彼は七賢人の一人〈結界の魔術師〉ルイス・ミラーであり、王都からモニカに接触するためやってきたのであった。見た目は上品な貴族のような男であったが、その実態は魔術師であり、彼の従えるメイド服の美女は人間ではなく精霊であった。

モニカの異能と七賢人としての地位

モニカ・エヴァレットは、人間では不可能とされていた無詠唱魔術の使い手であった。本来、人間が魔術を行使するには詠唱が必要であるが、モニカはそれをせずに術を発動することができた。その特異な能力の裏には、極度の人見知りとあがり症という事情があり、人前で声が出せなかった彼女は、詠唱自体を不要とする術の習得に挑み、成功させたのであった。

過去の苦悩と異端の努力

魔術師養成機関では詠唱ができず不合格となり、落第寸前であった彼女は「詠唱ができないならしなければよい」という発想に至った。結果として、既存の術の約八割を無詠唱で発動できるほどの技量を身につけた。努力の方向性は一般とはかけ離れていたが、その成果は王国に認められ、十五歳にして七賢人に選ばれるに至った。

沈黙の才女の誕生

モニカの能力は戦場でも特に重宝されるものであった。通常、詠唱中は無防備になるため、その時間が短ければ短いほど生存率が上がる。無詠唱という特性を持つモニカは、そのリスクを完全に排除できる唯一の存在であった。人前ではまともに言葉も発せない少女が、結果的に世界唯一の無詠唱魔術師となった背景には、感動的とは言えぬ異質な動機と突出した才能があった。

モニカはその才能を誇示することもなく、世間から離れた山小屋で、ひっそりと静かに暮らしていたのである。

七賢人モニカ、学園潜入の任務を課される

再会と防音結界の中での依頼


モニカの山小屋に〈結界の魔術師〉ルイス・ミラーが訪れた。彼は無言で結界を張る上位精霊リンを伴い、国王の密命である第二王子フェリクスの護衛任務をモニカに依頼した。任務の内容は、王子に気づかれぬように護衛することであり、ルイス自身が有名すぎて潜入に不向きなことから、世間に顔を知られていないモニカを代役に指名した。

監視目的の魔導具と王子の異変

ルイスは護衛のために自身が作成した高級魔導具を王子に贈っていたが、そのルビーが受けた衝撃によって破損したことから、王子が何らかの危険に晒されたことが示唆された。しかしフェリクス本人は異常を否定し、ブローチの破損を事故と主張した。これによりルイスは不審を抱き、より確実な監視と護衛のためにモニカの潜入を決意した。

過剰な潜入設定とその背景

ルイスはモニカに、伯爵令嬢に仕える使用人という立場で学園に潜入する設定を押し付けた。彼の考案した背景は、孤児として修道院に預けられていた娘が伯爵家に引き取られ、やがて使用人として扱われるというラブロマンス小説のようなものだった。驚くべきことに、その設定は既にケルベック伯爵家にも伝えられており、伯爵もその令嬢イザベルも快く協力を約束していた。

ルイスの強引な説得と任務の強制性

モニカが抵抗を示すと、ルイスは過去の実績や自信のなさを否定しつつ、王の命令であること、そして拒否すれば処刑の可能性もあると釘を刺した。さらに、モニカの無詠唱魔術が気づかれぬ護衛に最適であること、社交界に出ず顔も知られていないことを利点として挙げ、任務の適任者だと強調した。

伯爵家の協力と悪役令嬢ごっこ

ケルベック伯爵は三ヶ月前、黒竜ウォーガンを討伐したモニカに深く感謝しており、今回の潜入作戦にも全面的に協力する姿勢を見せていた。令嬢イザベルもルイスが参考にしたラブロマンス小説に夢中であり、自身が悪役令嬢の役回りを演じることに乗り気であった。モニカはその意外な展開に戸惑いながらも、逃げ道がないことを悟り、覚悟を決めざるを得なかった。

過去の経緯とモニカの劣等感

ルイスたちが去った後、モニカは過去を思い返した。彼女は二年前の七賢人選抜試験において、緊張のあまり倒れてしまい、合格者の追加枠に滑り込む形で選ばれていた。自身を「補欠合格」と位置づけるその劣等感は強く、優秀なルイスと比較してますます萎縮していた。

護衛任務への不安と自信の欠如

王子の護衛という大役に、モニカは「補欠の自分には無理」と思い込み、涙にくれる。使い魔のネロが慰めようと声をかけるも、第二王子の顔すら知らないという致命的な事実に直面し、絶望感を深めていった。ルイスに知られてはならないと分かっていながらも、不安と恐怖に押し潰されそうになっていた。

任務と覚悟、そして迫る旅立ち

ルイスは翌日、モニカを迎えに来ると告げていた。モニカには逃げ場がなく、王命という重圧の下、ただ任務に従うしかなかった。護衛対象の顔も分からぬまま、王都へと向かう日が目前に迫っていたのであった。

二章  悪役令嬢は沈黙の魔女がお好き

王都への移動と協力者との邂逅

童謡の思考と飛行移動中の心境


王都へ向かう途中、モニカは不安から逃れるように童謡「サムおじさんの豚」の謎かけに思考を巡らせ、現実逃避を試みていた。移動は契約精霊リンの風魔術によって行われ、リンは三人と荷物を同時に包み込み高速移動させるという高度な魔術を披露した。人間である自分の無詠唱魔術が評価されるのは、あくまで人間基準であることを痛感したモニカは、引け目を感じつつ任務の重さに押しつぶされそうになっていた。

ルイス邸での歓迎と医師の妻ロザリーの介入

到着したルイス邸は小ぢんまりとした屋敷で、そこにはルイスの妻で医師でもあるロザリーが待っていた。ロザリーは初対面にもかかわらず、モニカの健康状態を厳しく診察し、貧血と栄養失調を指摘した上で、治療として入浴と衣類の交換、栄養補給を即座に実施した。ルイスは構ってもらえず拗ねるが、ロザリーの態度は一貫して冷静で、医師としての役割を最優先していた。

客室での会話と爵位制度の無知の露呈

ひと息ついたモニカは客室に通されるが、ルイスから今後同行する協力者イザベル・ノートン嬢の訪問を告げられる。貴族の呼称に関する知識がないモニカは、爵位の順序すら把握しておらず、ルイスから痛烈な叱責を受けた。モニカ自身も七賢人として「魔法伯」という爵位を持っているにもかかわらず、それすら忘れていたことが判明し、貴族としての自覚の欠如を露呈した。

悪役令嬢イザベルとの対面と誤解からの親愛

イザベル・ノートン嬢は豪奢な装いと高笑いで現れ、悪役令嬢としての演技を披露した。初対面での辛辣な言葉にモニカは涙を浮かべるが、それはあくまで演技であり、イザベルはモニカに深い尊敬と親しみを抱いていた。黒竜ウォーガンの討伐に感謝し、モニカを「お姉様」と呼び慕う態度を見せたイザベルは、護衛任務の成功を助けるため、いじめ役としての配役に全力で臨む覚悟を語った。

誤解と現実の乖離、そして始動する潜入計画

イザベルはモニカを勇敢で謙虚な大魔術師と信じて疑わず、その誤解にモニカは訂正できぬまま圧倒された。黒竜討伐に至ったのも、宴を辞退したのも、すべて人見知りと成り行きによるものだったが、その真実は語られなかった。ルイスはこの誤解を利用して任務を進めようとしており、イザベルも全面的に協力を誓った。こうして、〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレットの学園潜入任務は、熱意と誤解とともに本格的に動き始めたのである。

三章  学園長の高速揉み手

セレンディア学園で始まる潜入任務と不穏な幕開け

学園と生徒会の権威的背景


セレンディア学園は、光の女神セレンディーネの加護を冠した名門校であり、王族・貴族の子女が学ぶ教育機関であった。リディル王国三大名門校の一つであり、王宮勤務や政界進出において優位な肩書きとして扱われた。現生徒会長は第二王子フェリクスであり、生徒会役員は将来の側近候補として特別な意味を持っていた。

会計アーロンの不正と断罪

生徒会の一室では、会計アーロン・オブライエンが帳簿改竄と予算の使い込みを咎められていた。調査によって、少なくとも30回以上の不正が発覚し、特別予算も含めれば50回近くに及ぶとされた。かつて推薦により任命されたアーロンは、貴族間の金銭授受の裏事情に関わっていたが、遊興資金のために手を染めた不正が露見したことで、自身も実家も破滅の危機に直面した。

協力者の記憶の喪失と精神干渉の疑念

アーロンは最後の希望として“協力者”の存在にすがろうとしたが、記憶が霞がかって思い出すことすらできなかった。記憶を探ろうとするたびに頭痛に襲われ、やがて理性を失い、第二王子に暴言を吐いた。副会長シリル・アシュリーの魔術により氷で拘束された彼は、フェリクスから退学と謹慎を命じられた。アーロンの記憶喪失の症状は、精神干渉系魔術の典型であった。

潜入任務と個室獲得のための策略

一方、モニカはセレンディア学園への編入に際し、二人部屋の寮生活に強い不安を感じていた。そこで協力者イザベル・ノートンが“悪役令嬢的解決法”として、学園長を扇動し、モニカを屋根裏部屋へと誘導する策を講じた。学園長室での演技と圧力により、モニカは人目を避けられる理想的な環境を得ることに成功した。

偶然の遭遇とアーロンの錯乱

学園内でイザベルと共に移動していたモニカは、錯乱状態のアーロンとすれ違う。彼は拘束されながらも“覚えていない”“騙された”と喚き、最終的に再び氷の魔術で沈黙させられた。モニカはその姿を見て、精神干渉系魔術が使われた可能性を直感的に察知した。

屋根裏部屋での安息と前日の準備

モニカが与えられた屋根裏部屋は意外にも整えられており、孤独を好む彼女には最適な空間であった。使い魔ネロとともに到着を喜びつつ、父の形見であるコーヒーポットを大切に引き出しへ収めたモニカは、明日から始まる学園生活と護衛任務への不安を抱えながら準備を整えていた。

精神干渉魔術と七賢人としての限界

ネロの軽口とは裏腹に、精神干渉魔術は許可なき使用が禁じられており、後遺症や意識障害といった深刻な副作用を伴う危険な術であった。モニカは知識としては習得していたが、倫理的観点からも行使するつもりはなかった。アーロンの様子を思い返しつつ、誰かがそれを用いたのではないかと危惧する一方で、それ以上の詮索は控えるに留まった。

不安の中で迎える新たな生活の幕開け

学園という閉鎖的かつ高度な人間関係が求められる場において、対人恐怖症のモニカは、自身の正体を隠しながら護衛任務を遂行する必要に迫られていた。平穏な生活など望むべくもなく、始業式前から波乱の予感に包まれた学園生活が、静かに幕を開けであった。

四章  最大の試練(自己紹介)

セレンディア学園での初登校と新たな出会い

人の顔を覚える努力と新任教師との遭遇


モニカは、護衛対象である第二王子フェリクスの顔すら覚えていないことに危機感を抱き、人の顔を覚える努力を始めていた。視覚的にパーツの角度や長さを記憶する独特の方法を用い、彼女は教員の一人であるソーンリーの顔を既に記憶していた。ソーンリーは学園長から紹介された基礎魔術学の教員であり、かつ生徒会顧問を務める名門ミネルヴァ出身の上級魔術師であった。モニカは自己紹介すら満足にできず、彼から厳しい指導と叱責を受けた。

編入初日の試練と同級生ラナとの邂逅

教室での挨拶に失敗し、モニカは早くも周囲の注目を浴びてしまった。休み時間に声をかけてきたのは、亜麻色の髪を持つ少女ラナ・コレットであった。彼女はモニカの髪型や服装を次々と指摘し、令嬢としての常識の欠如を問い詰めた。侍女を持たず、流行にも疎いモニカは何一つ答えることができず、嘲笑や同情の視線に晒された。だがラナは最後にモニカの髪を編み直し、リボンをつけて去っていった。

昼休みの孤独と旧庭園での事件

食堂を避けたモニカは、木の実を手に学園の旧庭園へと足を運んだ。そこで先客の金髪の少年と、彼女を不審者と断じる生徒会役員エリオットに遭遇する。モニカは拘束され、必死に無実を訴えたが信じてもらえず、無詠唱魔術でその場から逃れようとするも転倒してしまう。騒動の中、金髪の青年が彼女を助け、落下してきた植木鉢からも救われた。しかし想定外の出来事が続いたことで、モニカはついに気絶した。

医務室での回復と保健委員との交流

気を失ったモニカは医務室で目を覚まし、保健委員の少女セルマ・カーシュに看病されていた。初対面でありながらも親切に接してくれたセルマに、モニカは感謝の言葉すらうまく伝えられなかった。放課後、寮へ戻る道中で彼女は自分がいかに人と関わることに不器用かを痛感し、屋根裏部屋へと沈んだ足取りで向かった。

ネロとの対話と自己肯定への葛藤

屋根裏部屋に戻ったモニカは、使い魔の黒猫ネロと再会する。ネロは人間に変化し、モニカに「ありがとう」と言う練習を強要した。モニカは震えながらも努力して言葉を紡ごうとし、徐々に感謝の気持ちを口に出す練習を始めた。ネロの支えによって、自分が周囲から受けた小さな親切への感謝の念を再確認していた。

怪しい人影と新たな手掛かり

夜、屋根裏部屋から男子寮の庭を眺めていたモニカとネロは、フードを被った謎の人物を目撃する。モニカは無詠唱魔術で視認能力を強化し、その人物の体型や装いを即座に記憶した。かすかな記憶の手がかりを辿りながら、彼女はその人物と既に一度どこかで会っていたことに気づいたのであった。

五章  沈黙の魔女、黄金比について熱弁を振るう

過去の記憶と朝のひととき

幼少期の記憶と数字への憧れ

モニカは幼い頃、メジャーを欲しがった記憶を思い出していた。当時の彼女は数字への理解が早く、面積や体積を求めることに夢中になっていた。学者である父の影響もあり、「世界は数字でできている」という言葉が心に深く刻まれていた。モニカはメジャーを片手に家中を測りまわり、世界を数字で把握する喜びに満ちていた。

魔術で淹れる朝のコーヒーとネロの挑戦

朝、屋根裏部屋に差し込む光で目覚めたモニカは、コーヒーポットと豆を取り出し、無詠唱魔術で水と火を起こしてコーヒーを淹れた。使い魔のネロは、その様子に呆れながらも興味を示し、コーヒーを少量味見することになった。しかし、その苦味に衝撃を受けて転げ回りながらも、モニカの味覚を称賛した。ネロとの軽妙なやり取りの中で、モニカは亡き父の言葉を思い出し、「無駄なものを削ぎ落とす」という価値観に想いを巡らせていた。

リボンと木の実、無駄の再評価

机の上のリボンと木の実を眺めながら、モニカは「無駄とは何か」について考えを深めた。これまでの彼女であれば無価値と切り捨てていたであろう物たちが、今では大切に思える。木の実をしっかりと味わいながら食べ、ネロに「無駄じゃないものは何か」と問いかけたモニカに、ネロはモニカの褒め言葉だと答えた。その言葉にモニカは静かに喜びを覚え、人生の「無駄」を楽しむ挑戦を始めようと決意した。


編入生モニカとラナの再接近

ぎこちない感謝と髪型の再挑戦

登校したモニカは、前日借りたリボンを手にラナへお礼を伝えた。拙いながらも、ネロとの練習の成果を出して感謝を言えたモニカは、ラナに髪型の再現を求める。モニカの努力にラナは呆れながらも応じ、手早く髪を整えながら、流行の櫛や装飾の話を始めた。

ラナの心の内と共感の言葉

髪を梳かしながら、ラナは突然話を止め、「自分の話はつまらない」と呟いた。それに対してモニカは、数字や魔術の話ばかりして人に退屈がられる自分の経験を話し、共感を示した。ラナは笑い、モニカの髪を整えながら、技術を言葉ではなく手で覚えることの大切さを伝えた。

エリオットの介入と生徒会長の正体

和やかな空気が流れる中、騒ぎと共にエリオットが現れ、モニカを呼び出す。恐れながらも彼に従い、生徒会長室へと連れて行かれたモニカは、そこで旧庭園で助けてくれた青年こそが護衛対象である第二王子フェリクスであると知らされた。

王子の正体と黄金比の暴走論証

意外な再会と記憶の追及

モニカはフェリクスが男子寮を抜け出していた事実を問いただしたが、彼は軽くかわした。モニカは彼が昨夜の不審者と同一人物であると断言し、その体格が「黄金比」に一致していたと証明を試みた。黒板を使い、比率や人体構造の寸法から詳細に説明しはじめた彼女の暴走ぶりに、場は騒然とした。

王子の秘密行動と事件の真相

フェリクスは、アーロン会計の横領と、その後の暗殺未遂事件について説明した。看板が意図的に落とされた現場を偶然にも彼は回避していたが、犯人は逃走したままであった。フェリクスはアーロンが共犯者の存在を仄めかしていると推察し、裏庭で囮捜査を行っていたことを明かした。

モニカへの疑惑と新たな任務

エリオットは、モニカが共犯者である可能性を否定できないと主張し、彼女に真犯人の調査を命じた。モニカは当初の護衛任務から外れた形で、生徒会から新たな任務を託されることとなった。嫌々ながらも、護衛対象の信頼を得るため、モニカは犯人探しに挑む決意を固めた。

六章  ローリング魔女

モニカ、植木鉢事件の真相に迫る

裏庭での調査とネロとの再会

モニカは植木鉢落下事件の真相を探るため、まずは現場である裏庭に向かった。そこでは未だ片付けられていない植木鉢の破片が残されていた。モニカは魔術で落下速度や破片の広がり方から、植木鉢が落ちたバルコニーの位置を特定する。四階の東棟、右から二番目のバルコニーが疑わしいと導き出した。

ネロの叱咤と励まし

調査中、使い魔ネロが現れ、王子を護衛すべきモニカが逆に庇われてしまったことを厳しく指摘した。落ち込むモニカに、ネロは肉球での慰めという独特な方法で励ました。ネロの支えによって、モニカは再び立ち上がり、事件解決へ向けて動き出す覚悟を決めた。

音楽室への潜入とラナの助け

調査対象のバルコニーがある音楽室へ向かう途中、クラスメイトのラナと再会したモニカは、彼女の助けを得て人通りの少ない道を案内された。その途中、保健委員のセルマが女子生徒たちに嘲笑されている場面に遭遇する。挑発的な発言を繰り返すカロラインに対し、ラナが応戦し、カロラインの突き飛ばしによってモニカが階段から落下する事態となった。

無詠唱魔術による防御と副会長シリルとの接触

咄嗟に無詠唱で階段の段差を消す結界を展開したモニカは、衝撃を和らげることに成功したが、その勢いのまま廊下を転がり、偶然通りかかった生徒会副会長シリルと衝突する。彼はモニカの額を冷やして気遣う姿勢を見せた。騒動の中、カロラインはラナに罪をなすりつけようとするが、モニカは必死に否定し、自らの不注意であると主張して場を収めた。

第二音楽室での証拠発見と謎の令嬢

目的の第二音楽室では、美しい令嬢がピアノを演奏しており、モニカは彼女に許可を取りながらバルコニーを調査した。そこには一つだけ逆さにされた空の植木鉢があり、それが落下に使われた可能性を示唆していた。手袋に付着した土汚れからも、操作された形跡が明らかであった。モニカは使用申請制の教室の鍵管理状況を確認し、この教室に出入りした人物に絞って容疑者を絞る手がかりを得た。

生徒会室での報告と意外な宣言

一方、生徒会室では、フェリクスとエリオットが会計記録の改竄処理に追われていた。エリオットはモニカを平民と見下し、調査能力に懐疑的な態度を取っていたが、フェリクスは冷静に状況を見守っていた。そこへモニカが現れ、「犯人が分かった」と静かに告げたことで、一同に緊張が走った。

七章  第二王子の秘密

セルマの犯行の告白とモニカの疑念の確信

セルマの動機と犯行の証拠


セルマ・カーシュは、婚約者であるアーロン・オブライエンの退学に関する噂に晒されていた。地味で取り柄のない彼女にとって、アーロンは唯一の誇れる存在であり、その絆を失うことに恐怖していた。生徒会室に呼び出された彼女は、フェリクスの静かな圧力とモニカの冷静な分析により、植木鉢事件の犯人として追及された。モニカは、植木鉢の落下位置と破片の散乱からバルコニーの特定を行い、使用申請記録と物証でセルマの犯行を立証した。

セルマの告白と感情の爆発

追い詰められたセルマは、泣きながら自白した。看板と植木鉢の落下、生徒会予算の着服、アーロンを唆したことまですべてを認め、アーロンの無罪を訴えた。彼女の懇願にもかかわらず、フェリクスは冷静にアーロンの関与を否定できないと述べ、処分の変更は不可能であると断じた。セルマの歪んだ笑みと涙は、彼女の想いの深さと、理解不能な執着を露わにしていた。

フェリクスの処分とモニカの心情

フェリクスは、王族への暗殺未遂にあたる行為であるにもかかわらず、セルマに対して極刑ではなく「体調不良による自主退学」という穏便な処置を選んだ。理由には、セルマが全てを捨ててアーロンを守ろうとした姿に対する共感が含まれていた。だが、モニカにはその想いが理解できなかった。彼女はセルマの犯行の動機を“怖い”と感じ、人への執着に対する疑念を深めた。

モニカ、会計任命とフェリクスの監視対象に

会計記録の修正とフェリクスの評価


モニカは資料に目を向けたまま、アーロンの改竄部分以外にも不整合を発見し、過去の会計記録のずさんな管理に憤りを覚えた。それに感心したフェリクスは、モニカに過去五年分の会計記録の見直しを依頼した。数字に飢えていたモニカは、その依頼を喜んで引き受け、集中して記録の確認に没頭していった。

鍵の試験とフェリクスの疑惑


フェリクスはわざと資料室の鍵を落とし、モニカが不正に資料を閲覧するかを試した。契約精霊ウィルディアヌを監視役として配置し、彼女の行動を確認した結果、モニカは鍵に触れず、会計記録以外には手をつけなかった。フェリクスは彼女が何らかの目的を持って近づいたと確信しつつも、その行動には矛盾も多く、一般人である可能性も捨てきれなかった。

資料室での一騒動と会計任命

放課後、生徒会の資料室では、モニカが会計資料を読み続けている様子を見たブリジットが彼女を無礼者と判断し、扇子で頬を打った。これによりモニカは現実逃避し、数字の世界へと没入してしまう。騒動を知ったフェリクスが現場に現れ、モニカの分析力と労力を高く評価し、突如として彼女を生徒会会計に任命した。モニカは衝撃で白目を剝いて倒れた。

医務室での動揺とフェリクスの接近

現実への動揺とネロとのやりとり


医務室で目覚めたモニカは、生徒会会計任命が夢ではなく現実であることに衝撃を受け、激しく動揺した。使い魔ネロの慰めも虚しく、彼女は生徒会での苛めを想像し、落ち込んでいた。その様子を見かねたネロは、肉球で癒す作戦を思いつき、モニカを笑わせようと試みた。

フェリクスの訪問と戸惑いの会話

そこへ現れたフェリクスは、モニカと軽妙なやり取りを交わしながら、彼女の不安を取り除こうとした。会計としての責任を恐れるモニカに対し、フェリクスは「采配に不満があるのか」と威圧しつつ、労いの言葉と焼き菓子を贈ってねぎらった。モニカは美味しい菓子に感動し、すっかり会計辞退のタイミングを逃してしまった。

フェリクスの思惑と子リスの観察

一方、フェリクスはモニカに対して依然として警戒を続けていた。モニカの会計としての能力は認めたが、彼女が何者であり、なぜ自分の周囲に現れたのかを探るべく、あえてそばに置くことを選択した。フェリクスにとってこの「子リス」を飼い慣らすことは、退屈な人生における一つのゲームであり、観察対象としての関心を抱いていた。

生徒会の権力争いと新たな火種

女子生徒たちの嫉妬と階級意識


フェリクスの周囲では、モニカが生徒会会計に任命されたことが波紋を呼び始めていた。特に、ノルン伯爵令嬢カロライン・シモンズは、地味なセルマや平民風のモニカが役員になるなど信じられず、苛立ちを募らせていた。フェリクスが第二王子として次期国王候補である現状から、彼の婚約者の座を狙う令嬢たちは、生徒会に並々ならぬ関心を抱いていた。

ブリジットとの対面と資料室での騒動

そんな中、現生徒会役員であるブリジット・グレイアムが資料室に現れ、黙々と資料を読み続けるモニカを発見する。声をかけても反応を示さぬモニカに苛立ち、ブリジットは扇子でモニカを打ったが、モニカは現実逃避を続け、数字の世界に沈み込んでいた。精霊ウィルディアヌを通じて様子を見ていたフェリクスは、モニカが鍵に手を付けなかったことを確認し、ますますその正体に興味を抱いた。

モニカの正体と今後の行方

モニカの正体は依然として謎に包まれていたが、フェリクスはその不可解さに惹かれつつも、用心深く対応していた。夜間の外出をモニカに目撃されたこともあり、しばらくは夜遊びを控える決意を固めたフェリクスは、「臆病な子リス」を如何に飼い慣らし、自らの目的を引き出すかというゲームを心から楽しみ始めていた。

八章  睫毛の力学

生徒会会計としての日常と周囲との関係の変化

資料室でのシリルの違和感と記憶の空白

シリル・アシュリーは、モニカの会計記録の見直しが完璧であったことに苛立ちながらも認めざるを得なかった。だが、ある年度以降に増えた数字の不備の筆跡が、左利き特有の癖を持つ誰かのものであることに気づく。疑念を抱き、証拠資料を手に生徒会室へ向かおうとするが、直前で何をしていたかを失念し、頭痛に襲われる。これは精神干渉の魔術による記憶操作の可能性を示唆していた。

イザベルの悪役令嬢ごっことモニカの葛藤

モニカは生徒会会計任命をイザベルに報告する。イザベルは大喜びし、お祝いとして「悪役令嬢ごっこ」を始める。演技でティーカップを割り、ぬいぐるみを壁に投げつけるなど過激な演出に、モニカは戸惑いを隠せなかった。一方でイザベルは、モニカを「お姉様」と慕い、学園生活での困りごとを陰ながら支えると誓う。モニカはその様子を喜びながらも、自身の立場によってクラスメイトとの関係が壊れるのではと不安を抱く。

ラナとの再会と誤解の解消

翌朝、モニカは校内で噂の的になりながら登校し、教室でラナと再会する。ラナは当初、不機嫌そうにモニカを問い詰めたが、モニカが生徒会役員になった理由を聞いて納得し、彼女の髪を再び整えることを申し出た。ラナは前日の件を気にしており、モニカが怪我をしていないかを心配していた。二人の間には誤解が解け、友好的な関係が保たれた。

フェリクスの登場と教室内の騒動

フェリクスが教室を訪れ、モニカに生徒会のスケジュールを渡す。周囲の生徒たちはその様子に驚き、モニカはさらに注目を浴びる。フェリクスはモニカの髪に触れ、リボンを褒めるなど過剰なスキンシップを取る。動揺するモニカは現実逃避のためにフェリクスの睫毛に集中し、その密度や強度を計算し始める。フェリクスのからかうような態度に、ラナは感情を抑えながらモニカの髪をより華やかに整える決意を固めた。

セルマの退学とモニカの疑問

担任のソーンリー教諭から、セルマ・カーシュが急病により故郷へ戻ると告げられる。だが、セルマがアーロンの不正を知っていたことから、モニカは情報の漏洩や記憶操作の可能性に疑念を深めた。教室ではセルマの退学に様々な憶測が飛び交うが、生徒たちは真実を知らされていなかった。

生徒会役員たちとの初対面と緊張の自己紹介

放課後、生徒会室を訪れたモニカは、庶務のニールと出会い、少し安心する。しかし副会長シリルからは厳しい態度で迎えられる。生徒会では、会長フェリクス、書記エリオット、美貌のブリジットと対面し、自己紹介を行ったモニカは、ブリジットから冷酷な言葉を浴びせられた。シリルも敵意をあらわにし、モニカの生徒会入りに異議を唱えるが、フェリクスは自身の責任であると宣言し、任命を強行する。

シリルによる業務指導と過去の記憶

シリルから会計業務を教わるモニカは、グラスに氷を満たすという彼の行動に疑問を抱く。氷を作ることで体調を保つ可能性が示唆され、彼のブローチや魔力の感覚にモニカは思考を巡らせる。一方で、過去の記録を全て見直したことで仕事が増えたことを謝罪するモニカに、シリルは「必要な仕事である」と断言し、彼女の過度な卑屈さを叱責した。

過去の友情と自己否定の根深さ

モニカはかつての友人との悲しい別れを思い出す。無詠唱魔術の習得によって天才と称され、友人から誤解されて関係が壊れてしまった記憶は、今もモニカの心に重く残っていた。だからこそ、自身の才能を誇れず、卑屈なままでいることしかできなかった。

シリルの公正な対応と新たな評価

シリルは、階段転落事件の真相を調査し、加害者カロラインに対して適切な処分を下していた。モニカの虚偽申告を叱りつつ、当たり前のように真実を調べたシリルの姿勢に、モニカは驚きを隠せなかった。こうした姿勢に触れ、モニカは少しずつ周囲への理解を深め始める。

フェリクスとのやりとりと未来への布石

その後、フェリクスが現れ、行事に関する業務の指示を出す。フェリクスとシリルの間に交わされる言葉の端々から、シリルが氷を作ることで魔力の暴走を抑えている可能性がほのめかされる。モニカはその状況を察し、さらに興味を抱くが、フェリクスのスキンシップにより再び混乱し、現実逃避に走った。

九章  真夜中の来訪者、浮かれポンチについて語る

魔力暴走の夜と〈沈黙の魔女〉の介入

モニカの疲労とネロの慰労

モニカは生徒会での業務を終え、寮の屋根裏部屋へ戻ると疲労困憊のまま寝台に倒れ込んだ。制服を脱ぎ、私服のローブに着替えるも、ラナが編んでくれた髪をほどくことを惜しみ、そのままの状態で休むことにした。ネロが窓から現れて彼女をねぎらい、背中を軽く踏みつけて慰めた。

リンの来訪とルイスからの報せ

まもなく、一羽の小鳥が屋根裏部屋に飛び込み、光の粒子とともにルイスの契約精霊リンへと変化した。リンはまず、ルイスが父親になるという私信を伝達し、次いで重要な任務報告をモニカに求めた。報告を拒否すれば屋根裏部屋に居座ると脅されたモニカは、急いで筆を執った。

異常な魔力反応の感知と出動準備

その矢先、ネロが男子寮裏手から「ヒンヤリした気配」を感じ取り、リンもまた氷の魔力反応を感知した。これは生徒会副会長シリルのものではないかと推測したモニカは、事態を見過ごすことはできないと判断し、リンの風魔法の力を借りて現地へ急行することを決意した。

シリルの暴走と魔力過剰吸収症の発症

森の中では、シリルが氷の魔術を乱発していた。魔力過剰吸収体質を持つ彼は、通常なら魔導具により余剰魔力を放出できるはずだったが、誤作動によって魔力が体内に再吸収され、暴走状態に陥っていた。彼は義父であるハイオーン侯爵への認められたいという強い想いと、自身の存在意義に縋る気持ちから、冷気を乱射し続けていた。

ネロの奮闘とブローチの奪取

シリルを救うには魔導具のブローチを外す必要があった。モニカが近づけば素性が露見するため、ネロが猫の姿でシリルに飛びかかり、ブローチを奪う作戦を決行した。ブローチを奪われたシリルは激昂し、氷の壁と矢でネロを追い詰めるが、その目には正気がなく、執着と絶望が宿っていた。

モニカの登場と圧倒的な無詠唱魔術

そこへ現れたのは〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレットであった。詠唱なしに氷の矢を炎で打ち消し、風の魔術で冷気を受け流し、防御結界でシリルの身体を守るという三重の高度な魔術を同時に操る姿は、シリルにとって理解を超えた光景であった。己の魔術が通用しない現実に直面したシリルは絶望し、ついに意識を失って倒れ込んだ。

シリルの過去と認められたい想い

シリルは貴族の末裔として育つも、家庭では父の横暴に母が苦しむ姿を見続けていた。侯爵家に引き取られたことで母を救えると信じたが、母からは皮肉を浴びせられ、自分の存在意義に苦悩するようになった。努力を重ねても義妹には及ばず、自身の価値を証明するために魔術へ没頭し、魔力過剰吸収症を発症するに至ったのである。

ブローチの修復とモニカの想い

モニカは、誤作動を起こした魔導具に保護術式が施されていなかったことに気づき、術式を修復すると同時に自動調整術式と二重の保護術式を追加した。ブローチの製作者が七賢人〈宝玉の魔術師〉エマニュエル・ダーウィンであることを知り、複雑な想いを抱きつつも、モニカはあえてブローチの機能を最低限の修復に留めた。シリルがその才能を呪いとせず、誇れるようにと願いを込めていた。

ネロの変身とシリルの搬送

回復を待って森に放置するわけにもいかず、ネロは人間の姿に変身してシリルを男子寮の門まで運ぶ役を買って出た。ネロの軽口に困惑しながらも、モニカはその行動に感謝し、夜の闇へと消えていくネロの姿を見送った。こうして、シリルの危機は一時的にではあるが、〈沈黙の魔女〉モニカと仲間たちによって回避されたのであった。

十章  完璧な式

ソーンリーの失脚と〈沈黙の魔女〉の覚醒

ネロとフェリクスの邂逅と警戒


シリルを担いで男子寮へ向かうネロは、途中でフェリクスと遭遇した。フェリクスはネロが持ち込んだ精霊ウィルディアヌを通じて、ネロの正体を探ろうとしたが、逆に精霊を捕らえられ、正体を看破された。ネロは名前を偽りながらも、フェリクスの虚ろな目と本質に気づき、モニカを守るために警告を内心で残してその場を後にした。

シリルの搬送とフェリクスの対応

フェリクスはネロからシリルを引き取り、男子寮に戻して看病を行った。意識を取り戻したシリルは、自分を助けた者について尋ねたが、フェリクスはそれを伏せた。シリルは自らが見た〈沈黙の魔女〉の幻影について語り、その圧倒的な力を「恐ろしく静かで、恐ろしく強いバケモノ」と表現した。

モニカの疑念と裏門での推理

その頃、モニカは女子寮には戻らず、リンとともに裏門へと向かい、シリルの魔導具が誤作動した理由を再考していた。シリルが受けた強力な魔力の正体は、精神干渉系魔術であると断定したモニカは、過去の事件で錯乱したアーロンやセルマの症状と酷似している点に着目し、背後に同一犯がいると推測した。

ソーンリーとの対峙と共犯者の正体暴露

モニカは裏門で教師ヴィクター・ソーンリーと出会う。彼が持ち出そうとしていたのは会計記録の原本であり、モニカはその内容を全て記憶していることを盾に詰問した。動揺したソーンリーはモニカを拘束し、精神干渉魔術を用いて記憶の封印を試みたが、モニカの高度な魔術干渉により術式は崩壊した。

魔術の矜持と〈沈黙の魔女〉の反撃

ソーンリーの未熟な魔術式に怒りを覚えたモニカは、その場で完璧な精神干渉術式を構築。光の蝶へと昇華されたその術式は、かつてソーンリーが夢見た完成形であり、詠唱なしでそれを成し遂げたモニカの正体が〈沈黙の魔女〉であることを、彼に知らしめた。モニカは術式によってソーンリーを幻想の世界へ閉じ込め、24時間の無力化を実行した。

夢の罰と魔術師の末路

モニカの術式によって意識を封じられたソーンリーは、幻想の草原で金に取り憑かれた過去の自分と向き合う。学園の資金を私物化し、王子や生徒会役員すら洗脳しようと目論んだ妄執の果て、彼は無数の豚に追われ、飲み込まれる夢の中に囚われた。その夢は、彼自身の欲望の象徴によって構成された地獄であった。

術後の後悔とリンの冷静な処理

現実に戻ったモニカは、白目を剝いて泡を吹くソーンリーを前に頭を抱え、「やりすぎた」と後悔していた。精神干渉術は準禁術であり、正当な理由なく行使すれば処刑対象となる恐れもあるが、リンは「バレなければ問題ない」とルイスの言葉を代弁し、モニカをなだめた。

後始末と連行、そして夢の意味

リンはソーンリーをルイスの元へ搬送するため担ぎ上げ、後の処理を任された。ソーンリーの発したうわ言に疑問を抱いたリンが夢の内容を尋ねると、モニカは少し恥ずかしげに「とても美しい数列の夢です」と答えた。それは、モニカにとって唯一無二の美学であり、魔術師としての矜持の表れであった。

エピローグ  記憶の中の小さな手

生徒会日常とモニカの新たな一歩

徹夜明けの疲労と欠けた糖分


モニカはソーンリー教諭をルイスに引き渡した後、報告書の作成に没頭し、徹夜となった。かつての山小屋生活では日常茶飯事であったが、今の規則正しい生活においては疲労が顕著であった。食事もおろそかにしていたため魔力消費に見合うエネルギーが不足し、生徒会室で帳簿に突っ伏したまま眠ってしまった。

眠るモニカとシリルの葛藤

最初に登室したシリルは、眠るモニカを目にし、怒声を上げかけるも思いとどまった。彼はモニカの小さな手を見つめ、そこに刻まれた書き手特有のペンダコに、昨夜の魔術の記憶を重ねた。思わず手を重ねようとした瞬間、フェリクスが現れ、慌てて誤魔化したシリルはモニカの額を軽く叩いて起こす。うわ言を呟くモニカの寝言に驚いたシリルを尻目に、フェリクスはクッキーで彼女を餌付けし始めた。

夢と現実の混同と誤爆の告白

寝ぼけたままのモニカは夢の中でルイスに報告書を書いており、誤ってシリルに対してルイスの「奥様のご懐妊おめでとうございます」と祝福の言葉を述べてしまった。これにより、生徒会室は混乱し、シリルは否定に必死となり、フェリクスにはからかわれる始末となった。

ソーンリー逮捕報道と女子トークの裏での焦り

一週間後、ソーンリーの逮捕が新聞で報じられ、クラスメイト達は動揺した。モニカはラナに髪を編んでもらいながら記事の内容に動揺し、七賢人としてのルイスの名が挙がるたびに焦りを募らせた。話題をごまかすため、モニカは自信作の三つ編みを見せ、ラナに褒められることで誤魔化しに成功した。

生徒会の混乱とフェリクスとのやりとり

ソーンリーの逮捕で顧問を失った生徒会では、教員たちの出入りが続き、空気は落ち着かない状態であった。モニカが訪れた日、教員の姿はなく、フェリクスと二人きりとなった彼女は、緊張しながら業務を始めたが、三つ編みの崩れを指摘され、再び手直しを強いられた。櫛もなく焦るモニカに、フェリクスは髪を編んでやると申し出て、その手際の良さでモニカの髪を完璧に整えた。

生徒会の雰囲気の変化と会計としての責任

生徒会役員たちが続々と到着し、ソーンリーの不祥事に関する会話が飛び交う中、シリルは会計としてのモニカの働きを高く評価し、各クラブへの挨拶回りを提案した。フェリクスも賛同し、モニカにリストを手渡して励ました。モニカは初対面の人との接触が苦手であり、怯んだものの、過去に見たシリルの苦しみながらも期待に応えようとした姿を思い出し、自身も応えたいという気持ちを抱くようになった。

ノートン会計としての第一歩

モニカは緊張の中で言葉を噛みながらも、やる気を示す言葉を絞り出した。それを聞いたシリルは鼻を鳴らしつつも満足げに歩き出し、「ノートン会計」と呼びかけた。その新たな肩書きに応えるように、モニカは背筋を伸ばして、力強く返事をした。彼女の中で、生徒会の一員としての自覚が静かに芽生え始めていた。

【シークレット・エピソード】沈黙の魔女の報告書

ルイスの回想と〈沈黙の魔女〉モニカへの評価

モニカからの報告書とルイスの嘆き


ヴィクター・ソーンリーの事件から一週間後、〈結界の魔術師〉ルイス・ミラーは、モニカ・エヴァレットから届いた報告書を読み返していた。内容は丁寧ではあったが、論理の崩れた文と曖昧な表現が多く、理路整然とした論文を書く彼女らしからぬ出来だった。特に「色々あって生徒会の会計になりました」という曖昧な表現にルイスは呆れ返り、「褒められるのは最初の一文だけ」と評した。

任務達成と予想外の成果

生徒会役員に就任し、第二王子の側近として任務を遂行している点において、モニカは予想以上の成果を上げていた。第二王子の周囲にいた不穏分子の排除、王子の信頼獲得、それら全てを短期間で達成した功績に、ルイス自身も驚いていた。彼女の行動は想定を超えた成功といえた。

ルイスとリンの会話と本音の暴露

契約精霊リンの問いにより、ルイスは任務の真意を語り始めた。当初国王から与えられたのは「第二王子の護衛任務」だったが、ルイスはそれを「監視任務」と捉えていた。王子フェリクスは美貌、才知、影響力を持ちながらも「得体の知れない何か」を感じさせる存在であり、警戒すべき対象とされていた。

七賢人選出の裏話とモニカの実力

二年前の七賢人選抜試験において、モニカは面接で過呼吸を起こし白目を剝いて倒れるという失態を犯したにもかかわらず、実戦試験で圧倒的な実力を見せ、ルイスを完封するという驚異的な結果を残した。ルイスは当時の記憶を回想し、彼女の魔術は高威力・広範囲・特殊効果付きにもかかわらず、すべてを無詠唱で発動するという「バケモノ」と称すべき才能を有していたと認めていた。

モニカの卑屈さとルイスの懸念

実戦でルイスに勝利したにもかかわらず、モニカは自らを「補欠合格」と認識しており、その卑屈な性格がルイスには納得できなかった。だからこそ自信をつけさせるために黒竜退治に同行させたが、討伐後もモニカは山に引きこもり、自信を持とうとはしなかった。このままでは敗北した自分の立場がないと、ルイスは苦笑交じりに回想していた。

第二王子フェリクスの本音と警戒心

事件の収束と生徒会の再整備


一方、フェリクス・アーク・リディルもまた、ソーンリー事件の処理が一段落し、生徒会業務が軌道に乗ったことに安堵していた。モニカは極度の人見知りながらも無事に挨拶回りを終え、生徒会役員として順調に活動していた。特に副会長シリルとの相性が良く、モニカの面倒を見る姿にフェリクスも満足していた。

クロックフォード公爵との関係と裏の思惑

フェリクスの母方の祖父であるクロックフォード公爵は、学園の実質的支配者であり、フェリクス自身も傀儡と揶揄される立場にあった。だが、今回の事件に関しては、公爵がソーンリーとアーロンを推挙した張本人であったため、フェリクスに責任を問うことができない状況にあった。

魔導具に込められた監視の意図と対処

ルイスから贈られた魔導具ブローチには、防御結界だけでなく、フェリクスの位置を追跡する術式が組み込まれていた。これを察知したフェリクスは即座に破壊を命じ、ルイスの監視の意図を打ち破った。ルイスの行動が第一王子派あるいは国王の指示によるものであると見抜き、今後の動向に警戒を強めることとなった。

フェリクスの執着と危険な感情

フェリクスは、〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレットの無詠唱魔術を高く評価していた。黒竜や翼竜を単独で討伐したその実力は、彼にとって憧憬の対象であり、ただの護衛役以上の感情を抱いていた。表向きの穏やかさとは裏腹に、モニカに対する感情は熱を帯びており、その内面に潜む執着心が徐々に姿を見せ始めていた。

対照的な二人の思惑と監視者の交錯

ルイスはフェリクスの危険性を感じ取り、モニカを監視役として送り込んだ。一方、フェリクスはルイスの介入を見抜き、その意図に対抗すべく動いていた。両者ともに互いを警戒し、駒として〈沈黙の魔女〉を意識する中で、無自覚にして最強の少女モニカ・エヴァレットは、王国の中心で知らず知らずのうちに渦の核へと近づいていたのである。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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