どんな本?
『狼と香辛料』は、支倉凍砂 氏による日本のライトノベル。
文倉十 氏がイラストを担当。
この作品は、中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、旅の行商人クラフト・ロレンスと狼の耳と尻尾を持つ少女の姿をした狼神ホロの物語を描いる。
物語は、ロレンスとホロが道中で起こる様々な事件を、ユーモア溢れる掛け合いを散りばめつつ描かれている。
特に、交易路での出来事や街での商取引における駆け引き等、経済活動を争いの主軸にした異色作となっている。
また、この作品は2005年に行われた第12回電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006年2月に第1巻が発売。その後もシリーズは続き、漫画化、アニメ化、ゲーム化もされている。
2024年3月には再TVアニメ化を記念して、原作1~17巻の文倉十 氏による描き下ろしイラストを含む新カバー版が発売。
この作品は、その独特な世界観とキャラクターの掛け合いから多くの読者に支持されている。
読んだ本のタイトル
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あらすじ・内容
ホロの故郷・ヨイツを目指し、二人の旅は続く……。
狼神ホロの故郷・ヨイツを探すため、北を目指す行商人のロレンス。異教徒の町・クメルスンで得た情報をもとに、二人は田舎の村・テレオにやってくる。
狼と香辛料IV
テレオの教会にいる司祭は、異教の神々の話を専門に集める修道士の居場所を知っているという。 しかし、教会を訪れたロレンスとホロを出迎えたのは、無愛想な少女・エルサだけだった。 さらにテレオでロレンスたちは、村存続の危機に巻き込まれてしまう。 はたして二人はヨイツへの手がかりをつかみ、無事に村を出立できるのか……。
感想
旅の途中でロレンスとホロはテレオの村で新たな試練に直面する。彼らは村と隣町エンベルクとの間で発生した麦を巡る抗争に巻き込まれる。始まりは、テレオ村に立ち寄った二人が、村とエンベルクの間で麦の取引に関する問題が発生していることを知るところからである。
ロレンスは商人として、この問題を商機と捉える。しかし、彼らの計画は思わぬ方向に転がり、リデリウスの業火と呼ばれる毒麦が原因でエンベルクで死亡事故が発生し、テレオの村がその責任を問われる事態に陥る。エンベルクからの使者が村にやってきて、麦と金の返金を迫るが、その背後には村を支配しようとするエンベルクの裏の意図があった。
ロレンスとホロは、この危機を乗り越えるために行動を起こす。ホロの能力とロレンスの商売の知恵を駆使し、村を救うための計画を立てる。
彼らは、毒麦事件を解決し、村とエンベルクとの間で公平な取引が行われるように交渉を進める。その過程で、彼らは村の人々と深い絆を結び、信頼関係を築く。
最終的に、ロレンスとホロの努力によって、毒麦事件は解決され、村は危機から救われる。
そして、エンベルクとの間で新たな取引が成立し、テレオの村には新たな希望がもたらされる。この一連の出来事を通じて、ロレンスとホロの絆はさらに深まり、彼らは共に新たな旅へと歩みを進める。
この物語では、単に問題を解決するだけでなく、ロレンスとホロが直面する困難を通じて、人々との関係や信頼、信仰について深く掘り下げられている。
そして、彼らが経験する冒険は、ただの旅ではなく、成長と自己発見の旅であることが描かれている。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
アニメ
PV
OP
ED
平成版に引き続きEDカット描かせて頂いております!> https://t.co/m0abEaAcQd
— 文倉十 (@haino) April 1, 2024
備忘録
第一幕
冬の旅路で、ロレンスとホロは寒さと戦いながら進んでいた。
ロレンスがホロの尻尾を毛布として利用してしまい、それが原因でホロが不機嫌になる一幕があった。
ホロの尻尾は彼女にとっての誇りであるため、その扱いには特に敏感だった。
彼らが次に向かったのはエンベルクという町で、ロレンスはここで小麦を売ろうと試みるが、今年はライ麦が豊作で需要がなかったため、商談は成立しなかった。
その後、テレオという町へ向かうことになり、ホロはそこへの到着を急いでいるようだった。
テレオには異教の神々の話を集める修道士に会うために行くことが目的だったが、ホロはそれをあまり口に出さず、意地を張っていた。
結局はテレオへと進む途中で温かい食事を取ることになり、ホロは当然のようにそれを受け入れた。
緩やかな風景から変化し、川沿いの道を進むロレンスとホロは、水車小屋がある場所に到達する。
エンベルクでの休憩を省略したことに対して、ロレンスは若干の後悔を感じている。
彼は修道院に着いたら、ホロをしばらく休ませようと考えていた。そこで、水車小屋から少年が現れ、ロレンスと会話を交わす。
少年は自己紹介をして、テレオに修道女を連れて行くことに反対する理由を述べる。
ロレンスはその理由を尋ね、少年はエンベルクの教会とテレオが何らかの対立を抱えていることを示唆する。
ロレンスはホロに修道女としてではなく、気づかれないように訪れることを提案する。
少年は納得し、ロレンスたちがテレオの教会に行く目的が単に道を尋ねることであると知ると、興味を失う。
ロレンスはこのやり取りを通じて、粉挽きという職業が地域社会でどのように捉えられているかについて考えさせられる。
彼らはその後、テレオへと向かい続ける。
エヴァンによって「ちんけな村」と評されたテレオに到着したロレンスとホロは、村の雰囲気に適応するためにホロがロレンスの外套を着用し、目立たないように工夫する。
テレオは村にしては立派であり、大きな教会があるなど、市壁がない以外は町と呼ぶに足る特徴を持っていた。
村人たちは二人の到来に好奇心を示し、ロレンスたちは教会を訪れるが、門前で教会を預かるエルサ・シュティングハイムと名乗る少女と出会う。
エルサは司祭ではないが、教会の責任者であると自己紹介し、ロレンスが尋ねたディーエンドラン修道院やフランツ司祭については存じ上げないと答え、冷たく扉を閉めた。
ロレンスとホロはその後、宿に滞在することになり、ホロは疲れている様子で早速ベッドに入った。
ロレンスはホロに服をたたむよう指示し、村長に挨拶し、修道院の場所を尋ねるために出かける準備をする。
ホロはロレンスの安全な帰還を願いながら眠りについた。
ロレンスは小分けにした小麦を持ってテレオの村長宅を訪れた。
村長宅は立派な建物であり、村長セムと名乗る老人との対面が果たされた。セムは村を預かる人物で、ロレンスからの小麦の贈り物に驚く。
ロレンスは村長に挨拶をし、またディーエンドラン修道院への道を尋ねたが、セムも修道院の存在については知らないと答えた。
しかし、ロレンスはセムが何かを隠していると感じた。
ロレンスの問いに対してセムは、村長が夏に亡くなり、今はエルサが教会を預かっていることを明かした。
会話中に別の訪問者が来たため、ロレンスは宿に戻ることにした。宿に戻る途中、急いで村長宅に入っていく旅装の男を目撃する。
ロレンスはセムやエルサから修道院の場所を聞き出すことを優先課題と考えていた。
ロレンスが軽い気持ちで横になったところ、気づけば深く眠ってしまい、目覚めた時は部屋が薄暗くなっていた。
ホロが既に起きており、ロレンスを起こさずに優しく毛布をかけてくれていたことにロレンスは感謝しつつも、互いにからかい合う。
夜になり、二人は食事を探しに外出することにしたが、その前にエヴァンが教会に向かうのを窓から目撃する。
エヴァンは教会の扉を叩き、出てきたエルサを抱きしめた。
この様子を興味深く観察していたホロは、人の生活を覗き見することについて言及するが、自分たちが外部からどう見えるかを考えていると語る。
ロレンスはホロの言葉に動揺しつつも、水をこぼしてしまうハプニングに見舞われる。
最終的に、二人は夕食を求めて出かけることにし、ホロの機知にロレンスはやや敗北感を覚える。
第二幕
ロレンスとホロが居酒屋での賑やかな一夜を過ごし、テレオの村の人々と交流を深めた。
ホロは町娘の格好に身を包み、その見た目と飲酒の様子で居酒屋の客たちから注目を集める。
ロレンスは飲みつつも村の情報を集めようとするが、酒に酔いつぶれるわけにはいかないため、ほどほどに留めていた。
居酒屋の女将、イーマ・ラネルからは、彼女の過去やビール醸造にまつわる興味深い話を聞くことができた。
彼女は若き日に海賊の襲撃を逃れ、醸造鍋を背負ってビールを売り歩きながら旅をしていたという。
そんな彼女の話は居酒屋の客たちに愛され、彼らは彼女の過去や彼女がテレオの村に落ち着くまでの物語に興味津々だった。
しかし、楽しい時間も終わり、ロレンスは酒に酔いつぶれたホロを宿に連れ戻す。
宿の女将からは二日酔いに効くという見慣れない果物を受け取るが、それが一番必要なホロはすでに深く眠ってしまっていた。
ロレンスはその果物を試し、その酸っぱさから何となく二日酔いに効きそうな気がしてくる。
その晩、ロレンスはホロとの旅の終わりを考え、別れが近づいていることに寂しさを感じながらも、商人としての次の一手を考えながら眠りにつくのだった。
ロレンスは早朝、自分のくしゃみで目を覚まし、隣のベッドにいるホロが既に起きているのを見つける。
ホロは、前日に宿の女将からもらった、二日酔いに効くという果物を食べた後、そのすさまじい酸っぱさに驚いていた。
ロレンスはホロと共に、テレオの村の静けさや収入の源について話し合う。
村がエンベルクの町から重税を課されているにもかかわらず、村人たちが内職をしている様子が見られないことに疑問を抱く。
二人は、村の経済状況や、エンベルクの教会との関係について興味を持ちつつも、ホロの故郷探しの旅を続けることを優先する。
ホロはロレンスが自分の故郷を探す旅の手伝いをしてくれていることを感謝しつつ、早く修道院に行き、そこから情報を得たいと焦りを感じている。
ロレンスはホロの要望を受けて、エルサが預かる教会について調査をすることになり、昼頃には戻ると約束する。
ホロはロレンスに土産を期待しているが、ロレンスはそれに苦笑いする。
ロレンスは一階に下りて宿の主人に挨拶し、小麦を粉にするため水車小屋へ向かう。
村ではすでに人々が起きており、
ロレンスは前夜の酒場での騒ぎのおかげで親しみを持たれ、挨拶を交わす。
エヴァンの水車小屋に着くと、エヴァンはロレンスの小麦を粉にする準備を始め、二人は昨夜の話や村の様子について話す。
ロレンスは、村の麦がエンベルクに買い上げられること、テレオの村がエンベルクと対等の関係にあることを知る。
また、ロレンスはエヴァンからエルサとの関係や教会の状況についても聞くが、詳細な事情はエヴァンも知らない。
ロレンスは、エヴァンに教会の朝の礼拝の時間について尋ね、エルサが教会に泊まっていることを確認する。
エヴァンは、エルサが通常人見知りで気が短いが、ロレンスに再び話をしに行くことを勧める。
ロレンスは、エヴァンとの会話を通じてエルサに再度接触するきっかけを見つけ、教会と村の関係、フランツ司祭についての情報を求めてさらなる行動を起こすことになる。
エヴァンは、行商人の仕事に興味を示し、ロレンスは自分の経験を語り、商人としての楽しさや苦労を伝える。ロレンスは水車小屋を後にし、エルサへの再接触に向けて動き出す。
朝市には少しの露店があり、村人たちが集まって談笑していた。
この村の麦はエンベルクが定額で買い上げ、村人はエンベルクから商品を無税で買うことができるため、村はのんびりとした雰囲気を保っている。
ロレンスは干したイチジクを買って宿に戻る。ホロが起き出し、食事を要求する。
ロレンスはエヴァンから村の情報を得て、この村がエンベルクと特別な契約を結んでいること、そしてその契約を交わしたのがフランツ司祭であることをホロに説明する。
さらに、この村の教会が問題の修道院である可能性が高いと推測する。
しかし、ロレンスは村の状況が危険であると考え、ホロに修道院を探すことを諦めるよう提案する。
ホロは一旦は諦めることに同意するが、後に自身の願いをロレンスに伝え、共に危険を冒すことを決意する。
ホロは単純な方法を提案し、ロレンスはその大胆さにため息をつくが、ホロの計画に同意する。
第三幕
フランツ司祭がルイズ・ラーナ・シュティングヒルト修道院長である場合、テレオの村の教会に異教の神々の話が記された資料が残っている可能性が高い。
ロレンスたちは、エルサに正面から会い、安全の祈りを願い出るという名目で教会に入る。
ロレンスは懺悔の形を借りて、自分が嘘をついたこととその目的、ディーエンドラン修道院の場所を求めていることを告白する。
さらに、この教会が修道院であること、フランツ司祭がルイズ・ラーナ・シュティングヒルトであることをエルサに迫る。
エルサは動揺し、ロレンスたちが何者かを尋ねるが、ロレンスは直接答えない。
ホロが狼の耳と尻尾を見せることで、彼らがエンベルクの教会の手先ではないことを示そうとする。
エルサはその光景に圧倒され、結局崩れ落ちてしまう。
ロレンスは気を失っていたエルサをベッドに寝かせ、彼女が目を覚ますのを待つ。
エルサが目を覚ますと、ロレンスは彼女に異教の神々の話の記録を見せてほしいと再度お願いする。
エルサは当初疑念を持ちながらも、ホロの真実を聞いてから彼らがエンベルクの人間でないと感じ取り、地下室へと案内する。
地下室にはフランツ司祭が残した記録が保管されており、エルサは聖母の像の下に隠された鍵でそれを開ける。
ロレンスとホロはその記録を見ることを許されるが、教会内でのみという条件を受け入れる。
エルサはこの行為によりフランツ司祭の遺志を継ぎ、自分の信仰にも忠実であることを示す。
ロレンスは感謝の意を示し、銀貨を寄付する。
ホロは記録を読み始め、その中から故郷に関する手がかりを探すことになる。
ロレンスは宿に戻り、エルサからフランツ司祭の残した本を手に入れた後、エルサの安全と村の状況について考える。
彼はホロと共に安全を確保し、エルサがホロの正体を知ったとしても、彼女が怯える様子がないことから、彼女自身が問題を起こすことはないと結論づける。しかし、村長や他の村人たちの反応は予測できない。
地下室には読むべき多くの本があり、ロレンスはホロが満足するまで調査を続けることを望む。
ロレンスは再び教会を訪れ、エルサと再会し、彼女が信仰に関する疑問を抱えていることを知る。
エルサは異教の神々の話が嘘ではない場合、自らの信じる神について疑問を感じ、フランツ司祭の行動についても不明な点が多いと感じている。
ロレンスは彼女の相談に乗り、自らの見解を述べる。
その後、セム村長が教会を訪れるが、ロレンスとホロはエルサの助言に従い、彼の訪問中は教会の奥に隠れる。
ロレンスとホロは、エルサが彼らを信用し、彼らの真意を理解していることを確信する。
夜になり、ロレンスとホロは地下室で見つけた本について話し合い、エルサとの関係についても考察する。
最終的に、エヴァンから夕食の誘いを受け、二人は地下室を後にする。
食事が始まり、エルサはロレンスの寄付で賄われた豪華な食事を提供する。
食事中、エヴァンはマナーに気をつけるようエルサに注意され、ロレンスは船旅の話で興味を引く。
食事後、ロレンスはエルサとエヴァンの関係についてホロと話し、ホロは自らの故郷と未来について考えさせられる。
ロレンスはホロの質問に苦しむが、最終的には二人の絆の深さを再認識し、一緒に本を読むことで問題を一時的に忘れる。
朝の礼拝よりも早い時間、教会ではロレンスが本を読み、ホロが眠っている。
ホロはロレンスの質問を強引にはぐらかし、それに対するロレンスの感情は複雑である。
フランツ司祭がまとめた異教の神々に関する本は、系統だって整理されていて、特に熊の神の話が特別視されていることが分かる。
深夜に聞こえる馬蹄の音を不吉と捉えたロレンスは、ホロを起こし、エルサと共に状況を確認する。
村長セムからエンベルクでの事件を知らされると、ロレンスは商業組合の力を背景に対応を迫るが、セムは紳士的に対応し、村の麦を食べた人の死亡が原因であることを伝える。
第四幕
リデリウスの業火と呼ばれる毒麦による死亡事故がエンベルクで発生し、その麦がテレオ村から出荷されたとされる。
村人たちは、この事態を非常に恐れており、特に収穫された麦全体が使用できなくなることを最大の恐怖としている。
エンベルクからの使者が来ることが予想され、村は返送される麦と金の返金を迫られる状況にある。
村人たちは、この状況をどう対処すべきかを議論し、ロレンスとホロに疑いの目を向ける。
セム村長はロレンスたちを自宅に保護することを決め、村人たちは一時解散するが、エンベルクとの交渉や将来に対する不安が残る。
テレオ村に毒麦が混入された事件について、ロレンスとホロはセムの家で安全を確保されながら状況を分析している。
彼らが考えるに、エンベルクがテレオ村を支配するためにこの事件をでっち上げた可能性が高い。
村長のセムは、彼らがエンベルクの送り込んだ人間ではないかと疑っており、ディーエンドラン修道院への訪問目的を問いただす。
ロレンスは商人としての身分を説明し、彼らの目的が修道院に関するものであること、エンベルクとの争いには無関係であることを強調する。
セムは、ロレンスとホロに協力を求め、身の安全を保証する代わりに、村の危機をどうにかするための知恵と金を提供することを提案する。
ロレンスはこの提案を受け入れるが、事態が好転した場合には適切な報酬を要求する。
セムはロレンスの提案に同意し、村の行く末について詳細な話し合いを行うことになる。
テレオ村に毒麦が混入された事件について、ロレンスとホロはセムの家で安全を確保されながら状況を分析している。
彼らが考えるに、エンベルクがテレオ村を支配するためにこの事件をでっち上げた可能性が高い。
村長のセムは、彼らがエンベルクの送り込んだ人間ではないかと疑っており、ディーエンドラン修道院への訪問目的を問いただす。
ロレンスは商人としての身分を説明し、彼らの目的が修道院に関するものであること、エンベルクとの争いには無関係であることを強調する。
セムは、ロレンスとホロに協力を求め、身の安全を保証する代わりに、村の危機をどうにかするための知恵と金を提供することを提案する。
ロレンスはこの提案を受け入れるが、事態が好転した場合には適切な報酬を要求する。
セムはロレンスの提案に同意し、村の行く末について詳細な話し合いを行うことになる。
フランツ司祭がエンベルクと交わした契約は異常なもので、エンベルクに対してテレオ村が麦を売りつけることができるという内容だった。
司祭は後ろ盾があり、多くの高価な書籍を所持していた。
村はフランツ司祭の契約に甘え、浪費を重ねていた。
ロレンスはこの危機を商機と見て、問題解決に乗り出す。しかし、毒麦事件が発生し、ロレンスとホロは疑われる立場になる。
村人たちはエンベルクに媚び、ロレンスたちを犠牲にしようとするが、イーマの協力を得て、ロレンスたちは地下通路を通じて逃亡を図る。
この過程で、ロレンスたちはエルサとエヴァンも連れて逃げることになる。
ホロはこの逃亡を条件付きで承諾し、その条件とは逃げる様子を夢だと思うことだった。
最終的に、イーマの協力も得て、ロレンスたちは村を脱出しようとする矢先、外から教会に乗り込もうとする声が聞こえてくる。
第五幕
旅慣れていないエルサとエヴァンだが、必要最小限の荷物で準備することができた。
地下室から続く隠し通路を通り、外に出ると、そこは村の外側にある丘の反対側だった。
出口の近くには、トルエオ様が冬眠されたとされる穴の前に供え物が置かれた祭壇があった。
この穴は、トルエオ様を崇める村人たちにとって重要な場所であり、その真実は誰にも気づかれずに教会から外への脱出口として利用された。
ロレンスとホロはエルサ、エヴァンと共にこの穴を抜けて外の世界へと逃れることを決意する。
ホロはその過程で再び狼の姿を現し、彼らを背に乗せてエンベルクを目指して走り出す。
この脱出は彼らにとって新たな旅の始まりとなる。
ホロの背中に乗ったロレンスたちは、エンベルクを目指し速い足で進んだ。
途中でホロは速度を緩め、腹這いになって休憩を取る。
ホロは、自分たちが途中まで来たことを伝え、朝まで休憩することを提案する。
馬での移動距離に相当する距離を走ってきたため、しばらくは安全であると説明した。
ロレンスたちはその場で休むことにし、火を焚くことはできなかったが、ホロの毛皮が暖を提供した。
ホロは自らが親のように三人を温めると述べ、ロレンスたちはホロに寄り添い、やがて眠りについた。
ロレンスとホロはエンベルクを目指し、朝を迎える。エルサとエヴァンはホロの毛皮で暖を取りながら眠っていた。
朝になり、ロレンスは彼らを起こさずに起き上がり、身体を伸ばす。彼の頭の中は今後の計画でいっぱいだった。
一度クメルスンに戻り、商館で保護を受け、その後の行動を決めようと考える。
その後、ロレンスはエンベルク方面からの隊列を偵察し、テレオに麦を運ぶ連中だと推測する。
エルサとエヴァンも起きており、エルサの体調や今後の行動について話し合う。
エルサは村の人たちを見捨てられず、村に戻ることを決意する。
ロレンスはホロの神としての力を借りてテレオの村を救うことを提案する。
ホロは麦から生命を育む奇跡を見せ、ロレンスとともに村に戻る計画を立てる。
村に到着した後、ホロの力を使って毒麦を見分け、村人たちを説得することに成功する可能性があることを示唆する。
ロレンスは商人としての腕を試されることになるが、二人は解決策を見出すことに前向きである。
エルサとエヴァンは、それぞれの決意を胸に村に戻る。
ロレンスとホロは村の問題を解決するために、商人としての知恵とホロの神秘的な力を駆使する準備をする。
エルサはロレンスたちの提案を受け入れ、自分が信じる神への信仰を表明する。
ホロはエルサの勇気ある発言に反応し、しかしすぐに牙をしまい、話は続く。
テレオの村の現状を踏まえ、彼らは村が一番追い詰められた時に介入する計画を立てる。
エンベルクの教会の責任者であるバン司教がテレオを宗教的にも追い詰めようとしていると考えられ、彼が奇跡の証人として最適だと判断する。
計画では、エヴァンが最もリスクを負う役割を担う。
彼はホロの力を信じ、もし毒に当たったら、それが明らかになる前にホロに殺してもらうことを受け入れる。
金銭交渉はロレンスが担当し、エルサは全てがうまくいくことを願う。最後にホロが「来た」と一声で、彼らは計画を実行に移す準備を整える。
第六幕
テレオの村には、荷馬車十六台と槍を持った二十三人、騎士団風の歩兵、そして四人の聖職者が入ってきた。
中心人物にはエンベルクの裕福な粉屋リーンドットがいることが推測される。
ロレンスたちはトルエオの穴から村に戻り、エンベルクからの使者たちが村の広場でセム村長たちと対峙している様子を観察する。
槍を持つ者たちは村人たちの反発に対し、訓練されていることを示す。
セム村長は最終的にバン司教の要求に譲歩し始め、状況は絶望的に見える。
しかし、ロレンスたちが計画を進めることに決めた。
エルサは「私は村を見捨てられません。正しき教えの、僕として」と宣言し、ロレンスたちは教会の扉を開けて外に出る。
彼らは、村の危機をどうにかしようと決心している。
静寂の中、ロレンスたちは村の人々の前でエンベルクからの使者たちと対峙する。
バン司教はテレオの村を異端と断罪し、正しき教会の建立を宣言するが、エルサは異端の証拠として奇跡を求められる。
ホロとエヴァンの助けを借りて、エルサは麦からの奇跡を実現し、それを見た人々は神の奇跡と讃える。
しかし、一つだけ毒麦が示され、リーンドットとバン司教の罪が暴かれる。
リーンドットとの金銭的交渉では、ロレンスがうまく立ち回り、村とエンベルクとの間で不公平な契約を解消することを提案する。
彼はリーンドットに圧力をかけ、最終的には村に有利な条件を引き出す。
さらにロレンスは新しい商売計画の協力をリーンドットに求めるが、その内容はまだ明かされない。
この一連の出来事を通じて、エルサは村の危機を乗り越え、真の信仰心を示し、ロレンスは巧みな交渉術で村を支援する。
そして、ホロはエルサとロレンスを支え、奇跡を実現させることで村の未来に希望をもたらす。
終幕
旅装を整えたロレンスとホロは教会の居間に戻り、食事中のホロとエヴァンの様子を見る。
エンベルクとテレオの争いが解決してから三日が経ち、ロレンスが手がけた取引は大成功を収める。
ロレンスは村の麦を使って、エルサの協力を得てクッキーを作り、それが新しい商売として成功する。
クッキーはパン屋の規制から外れる商品であり、エンベルクで人気を博し、ライ麦粉の需要が増える。
教会での生活を終えて旅立とうとするロレンスとホロは、村人たちから暖かい見送りを受ける。
エルサとエヴァンは新たな生活を始め、村の将来に希望を抱いている。
ロレンスとホロはレノスへと向かい、旅を続けながらも、ホロはクッキーを楽しむ。
ロレンスはホロに次の商売の提案をするが、ホロは寄り道になるとしても、それに乗り気である。
二人の旅は続き、共に新しい未来を模索する。最後に、ロレンスはクッキーの味を楽しみながら、この旅で得た経験と出会いに感謝する。
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