小説「狼と香辛料 Ⅴ 5巻」ホロを質に? 感想・ネタバレ

小説「狼と香辛料 Ⅴ 5巻」ホロを質に? 感想・ネタバレ

どんな本?

狼と香辛料』は、支倉凍砂 氏による日本のライトノベル。
文倉十 氏がイラストを担当。

この作品は、中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、旅の行商人クラフト・ロレンスと狼の耳と尻尾を持つ少女の姿をした狼神ホロの物語を描いる。

物語は、ロレンスとホロが道中で起こる様々な事件を、ユーモア溢れる掛け合いを散りばめつつ描かれている。
特に、交易路での出来事や街での商取引における駆け引き等、経済活動を争いの主軸にした異色作となっている。

また、この作品は2005年に行われた第12回電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006年2月に第1巻が発売。その後もシリーズは続き、漫画化、アニメ化、ゲーム化もされている。
2024年3月には再TVアニメ化を記念して、原作1~17巻の文倉十 氏による描き下ろしイラストを含む新カバー版が発売。
この作品は、その独特な世界観とキャラクターの掛け合いから多くの読者に支持されている。

読んだ本のタイトル

狼と香辛料 5巻
著者:支倉凍砂
イラスト:文倉十

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あらすじ・内容

「ここで旅を終わろう」 2人の関係に急展開が――!?

 テレオの村を後にしたロレンスとホロは、ホロの伝承が直接残るという町・レノスを訪れる。 ホロはのんびりとヨイツの手がかりを探したがるが、ロレンスは商売への好奇心を拭えないでいた。
 そんな中、ロレンスは宿屋で出会った商人から大きな儲け話を持ちかけられる。 それにはホロの協力が必要不可欠だった。 しかし、その商売の方法がとんでもないもので――。
 毛皮と材木の町・レノスを舞台に、2人の関係に大きな転機が訪れる!? ますます絶好調のエポックファンタジー・第5弾!

狼と香辛料V

感想

ロレンスとホロの旅が続く中、二人が新たな町、レノスに足を踏み入れるところから物語が始まる。レノスでは、毛皮の取引を巡る複雑な人間関係や、教会と商人たちの権力争いが渦巻いていた。ロレンスはこの町で商売のチャンスを見つけるが、その過程で出会った女商人エーブとの交渉によって、思わぬ危機に陥る。

ロレンスはホロを質に入れて毛皮取引を行う計画に乗るが、その背後にはエーブと教会の大きな陰謀が隠されていた。エーブは表向きは協力者としてロレンスに接近するが、実は自己の利益のためにロレンスを利用しようとしていた。彼女の真の目的は、教会との密輸取引で得た利益を使い、毛皮市場を独占することにあった。

ロレンスはエーブとの取引が成功するかどうかに一喜一憂するが、エーブから裏切られる形で計画は頓挫する。彼女はロレンスに金を貸し、その金で毛皮を買い占めさせる計画だったが、最終的にはロレンスに金を持ち逃げされる形で終わる。しかし、エーブはロレンスに対して、自己の計画が失敗したことを恨むどころか、彼に宿を譲り、巡礼の旅に出る決意を見せる。

一方、ロレンスとホロの関係は、取引の失敗と成功を通じて、より一層深まる。二人は互いに対する信頼と愛情を再確認し、ホロがロレンスの夢を支え、ロレンスがホロの帰郷を手助けするという、それぞれの目的を改めて誓い合う。しかし、ホロはロレンスとの別れを覚悟し、旅の終わりが近づいていることを感じ取っていた。

物語の終わりには、ロレンスとホロが再び旅を続ける決意を固め、レノスを離れる。彼らはこれからも困難を乗り越えながら、それぞれの夢に向かって進んでいく。そして、ロレンスはホロへの深い愛情を再確認し、彼女との未来を前向きに捉えるようになる。

この巻では、ロレンスとホロの関係性が大きくクローズアップされ、二人の深い絆と互いに対する理解が描かれている。また、商売の世界での冒険だけでなく、人間関係や愛情についても、読者に多くのことを考えさせる内容となっている。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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狼と香辛料Ⅶ

その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

アニメ

PV

TOHO animation チャンネル
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OP

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ED

備忘録

序幕

ロレンスは、孤独がつきものの行商人の生活を送っている。
ひとりでの旅路には静寂が常で、しばしば荷馬に話しかけることで孤独を紛らわせている。

しかし、彼が感じる寂しさは相棒の存在によって払拭されている。
その相棒、ホロは美しい容姿を持つが、真の姿は巨大な狼であり、麦の豊作を司る存在だ。

旅の途中、ホロが微かなサインを送り、ロレンスはそれに応じて彼女の不快を解消する。

二人の間には言葉を交わさなくても、深い絆が存在し、ロレンスはこの静かな共に旅をする生活を寂しいとは感じていない。

第一幕

テレオの村での騒動から一週間後、ロレンスとホロは、ホロの伝承が残るレノスを目指していた。

レノスに向かう途中で彼らは雨に遭遇し、ホロはロレンスに無言の抗議をする。しかし、その雨も幸い霧雨であり、彼らの旅は静かに続いた。

レノスの近くに来ると、彼らは市壁の外に多数のテントが設営されているのを見つけたが、これは市内の政変によるものではなく、レノスへの入り口での通常の検問の待ち行列だった。

ホロはロレンスに対して、彼らの旅や事件に関する自分の役割について冗談交じりに話すが、彼女の不安を感じ取ったロレンスは、ホロが自分にとってどれだけ大切かを内心で認識する。

市壁に到着し、検問を通過する際、二人は夕食について話し合い、肉入りのシチューを食べることに落ち着くが、これも彼らのいつものやりとりの一環である。

レノスに入る際、ロレンスは周囲の目を気にして、ホロへの愛情を隠しつつ、彼女との未来を前向きに考えていた。

霧雨が降る冬の日、ロレンスとホロは人の少ない町を進んでいた。
町の市壁の入り口では、商人と思しき人々がテントを設営し、煮炊きをしている様子が見えた。

検問で、ホロの尻尾が狼の毛皮と間違えられる一幕があり、ホロはその評価に不満を持っていた。
ロレンスはホロの不満に相槌を打ちつつ、外地商人証明札を受け取り、その意味を考えていた。

彼らは宿を求めて、あまり目立たない宿屋に到着し、ロレンスは暖かい部屋を求めていたホロのために、宿屋の三階の窓側の部屋を確保する。
ホロは早々に眠りにつき、ロレンスは衣服を干しに二階へ下り、ひと眠りしてしまう。

目覚めた後、彼は衣服を持ち帰り、ホロの機嫌を取るために肉たっぷりのシチューを求めた酒場へと向かう。結局、彼らは豪華なシチューで夕食を楽しむことになった。

翌朝、晴れた天気の中で暖かい日差しが部屋に差し込んでいた。ホロはまだ眠っており、いつもと違う寝相を見せていた。

ロレンスは毛皮の手入れに行くと言って、部屋を出ようとした。ホロは目を覚まし、機嫌が良さそうに笑った。からかい半分で高値がつくように、とロレンスが言うと、ホロは買い手がつかぬと返答し、再び眠りについた。
ロレンスは苦笑いをしながら部屋を出た。

階段で昨晩目が合った他の宿泊客と挨拶を交わし、その客が持っていたミートパイの香りにホロも食べたいと思うだろうと考えた。

ホロとロレンスは朝食を取りながら、ホロの情報とヨイツの場所を集める計画について話し合う。

ロレンスは年代記作家に当たることを提案し、ホロはそれに同意する。
ロレンスが方法を知っていると言い、ホロは彼が働く理由を知っていると返す。

ホロはロレンスが雇い主になることを示唆し、彼に褒美を提案するが、ロレンスは特に欲しいものがないと答え、ホロの機嫌を取ることが一番だと述べる。
二人は軽妙なやりとりを交わしつつ、宿屋の主人から話を聞くことにする。

ロレンスはホロを出し抜こうとし、彼女の手に口づけする古典的なジェスチャーで彼女を驚かせる。
しかし、ホロはロレンスに甘えるように接し、彼が取り乱す条件を揺さぶる。

ロレンスがホロの挑戦に気づいた瞬間、彼は自分がホロに構って欲しいと宣言しているかのように感じ、恥ずかしさで顔を覆う。

しかし、ホロはその反応を楽しみ、ロレンスの可愛らしさをからかう。

アロルドは宿の厩で作業をしており、ロレンスとホロの会話を聞いていなかった。

ロレンスは町の古い言い伝えを知っている人物を探しており、アロルドはリゴロという人物を紹介するが、彼は五十人会議中であり、会えない可能性が高い。
五十人会議は町の代表者たちが重要な議論を行う場である。

アロルドは他に知識がある人物を思い出そうとするが、疫病や暑さで亡くなった人々が多く、古い知識は書物に頼るしかなくなっていることを嘆く。
この状況にホロは落胆するが、ロレンスは彼女を励ます。

ロレンスは五十人会議で何が議論されているか、そしてその背後にある商機を探ろうとするが、ホロはロレンスに過去の危険な経験を繰り返さないよう注意を促す。
それでもロレンスは町の事情と可能性に興味を示す。

その後、二人は港を観光することに決め、ロレンスはホロとの関係やその変化を振り返りながら港に向かう。

第二幕

ロレンスとホロはレノスの港近くの露店でビールと焦げあとのついた二枚貝を楽しんでいた。

二人は当初、港に停泊する船に感嘆していたが、すぐに食べ物の香りに誘われて露店に足を運んだ。

この町の名物である二枚貝は、ホロの手と同じくらいの大きさで、ビールと共に楽しんでいた。

ロレンスは町で何か問題があるかもしれないと感じつつも、目の前の活気にそれが覆い隠されてしまっていると考えていた。

その後、ホロの観察力を利用して、税金が高過ぎることに関する船乗りと商人間の議論を耳にする。

ロレンスは北の大遠征が中止された影響で町に問題が起きていることに気づき、これが商機につながるかもしれないと考えた。

ホロはロレンスが商売の機会を探ることに熱中しているのを見て、それを楽しんでいるようだった。

ロレンスはホロがいつの間にかいなくならないように気を配りながら、二人で食事と酒を楽しんでいた。

ホロはその様子を見て、ロレンスが商売の種を見つけることに酔っ払っているようだと笑い、自分はその横顔を見ながら酒を飲むことにしたと述べた。

ロレンスは昼前に一人でレノスの町を歩いていた。
疲れがたまっているホロを宿に送り届けた後、ロレンスは自分の時間を楽しんでいた。

ホロがロレンスの商売への関与を嫌がっているが、ロレンスにとっては町を自由に探索できる好都合な状況だった。

最終的には過去に利用したことのある、奇妙な名前の酒場「獣と魚の尻尾亭」へと足を運んだ。

この酒場では、鼠を象った看板があり、肉の焼ける匂いが特徴で、聖職者も利用することが少なくない。
酒場では、赤毛の看板娘との軽妙な会話が交わされた。

ロレンスは魚の尻尾料理を二人前注文し、梨の酒を飲みながら、町の現状について情報を求めた。

看板娘は、現在毛皮の買い付けが阻止されている状況と、それによって町の商人たちや職人たちが困っている様子を説明した。

また、年中行われる北への大遠征が中止されたことで毛皮の服を買う人が減った影響も話した。

看板娘はロレンスが商人であることを利用して、毛皮の売買が停止される可能性が高いという情報を提供した。

これにより、ロレンスは町で開かれている五十人会議の内容が毛皮の輸出入に関連していることを確認した。

会話の最後に、看板娘はロレンスのプライベートに関する質問をし、ロレンスはホロの存在を示唆する返答をした。

ロレンスは熱々の尻尾料理を持ち、港沿いの大通りを歩き、停泊している船を観察した。

酒場の看板娘から得た情報により、毛皮取引が一時的に停止されている現状について考えを巡らせた。

レノスは毛皮取引で知られる町であるが、北の大遠征の中止により毛皮の買い手が減少し、町の職人たちは生計を立てることが困難になっていた。

一方で、毛皮を外地商人に売ることは町にとって短期的な利益にはなるが、長期的には町の毛皮取引の役割が縮小してしまうリスクを孕んでいる。

酒場の看板娘の話では、毛皮の買い付けを阻止しようとする五十人会議の動向が示され、ロレンスはこの問題の背後に大きな権力機構があると推測した。

彼は、町外の商人たちが個々の意思だけで動いているわけではなく、裏で何らかの力が働いていると考え、これが商人たちが積極的に行動しない理由であると結論づけた。

宿に戻ったロレンスは、すっきりしたホロと再会し、彼女がロレンスの顔を見て尻尾を隠したことから、彼女がロレンスが商人として完全になりきっていることに警戒している様子を察した。

しかし、ロレンスはホロの尻尾を売るつもりはないと冗談を言い、ホロは尻尾料理について質問した。

料理の匂いを嗅いだホロは、過去にこの町で体験したことを思い出し、ロレンスとホロは互いの存在の大切さを再認識した。
ホロの提案でロレンスは新たに得た情報を共有し、二人は今後の行動を楽しみにしていた。

ロレンスは、リゴロに会う理由が二つあると考えていた。
一つは、ホロに関する話がこの町に残っているかを調べるため、もう一つは、町の最新状況を聞くためである。

しかし、ホロはロレンスが再び金儲けに関わることに対して良い顔をしなかった。

ロレンス自身も、以前のように危険を冒して金儲けをする必要がないと感じており、のんびりとした生活を望んでいた。

リゴロや五十人会議の参加者に会うのは困難であり、ロレンスもその必要性について疑問を持ち始めていた。

また、ホロが表向きはのんびりとした時間を楽しんでいるように見えたが、ロレンスは彼女も記録を見たがっていると信じていた。

しかし、リゴロに会うためには口利きが必要であり、ロレンスはそれに値するだけの理由が見つからなかった。

ロレンスは、現在の状況から脱却するためには、五十人会議の情報を得る以外にも行動を起こすべきだと考えた。
情報を収集するには信用が必要であり、旧知の人間がいないレノスではそれが難しい。

彼は、毛皮の取引に関する問題を後回しにして、北への道の情報を集めることに焦点を当てることにした。

ロレンスは、ホロとの生活が楽しくて他のことがおろそかになりがちであることに気付き、自身の商人としての理想から逸脱していることを感じた。
最終的に、彼は毛皮の問題を一時的に置いておき、北への旅の準備を始めることを決意した。

宿の一階に降りたロレンスは、荷物をいじっている音がする簡易倉庫の様子を目にした。

そこは多くの商人が利用する場所であり、さまざまな目的で荷物を保管しているようだった。

宿の主、アロルドは客が他人の荷物を開けることを気にしていないようで、ロレンスの質問に対しても、北への道については案内してくれたが、リゴロに関する話題ではぎこちなくなった。

朝の会話でリゴロに会いたいと伝えた後、ロレンスは再びアロルドに北への道について尋ね、アロルドはニョッヒラへの道が今年は雪が少なく、比較的進みやすいと教えた。

アロルドはロレンスの北への旅についてやや否定的であり、人生と財産について哲学的な話をした。
ロレンスはその話を商人の視点から捉え、自分の考えを述べた。

その後、アロルドはロレンスに好意的な様子を見せ、初めてロレンスの名を尋ねた。

この交流は両者にとって意味のあるものだったが、その時、予期せぬ人物が現れる。

ホロが娘だと指摘した女商人が、ロレンスに話を持ちかけ、リゴロに会う用事があることを知っているようだった。

女商人はリゴロについて何か知っている様子であり、ロレンスとの会話を望んでいた。

アロルドはこのやり取りを遠巻きに見守っていたが、リゴロの名が出たとたんに反応を見せ、会話からは距離を置いた。

最終的に、女商人はロレンスに二階で話をすることを提案し、ロレンスはそれに応じた。

女商人とアロルドとの間には何らかの関係があるようだが、それが何であるかは明確ではない。
ロレンスは礼を言って女商人の後を追い、これからの話し合いに臨むことになった。

ロレンスは二階の暖炉前で女商人、エーブと対面した。
エーブは座りながらも良質のぶどう酒を楽しんでいる様子を見せ、ロレンスにも酒を勧めた。

エーブが女性であることについて、ロレンスは既に気づいており、その理由を説明した。
エーブは自分の正体を見抜かれたことに少し動揺し、自己紹介を行った。

彼女は商人としての名前はエーブ・ボランだが、フルール・ボランとも名乗っている。

見た目は若く、精悍であり、話す内容から経験豊富な商人であることが伺えた。

エーブはロレンスがリゴロに会いたいという意向を理解しており、リゴロとの接触を手助けする可能性を示唆した。

エーブは教会と取引があり、その関係でリゴロと知り合い、彼の年代記作家としての仕事についても詳しい。
ロレンスは、エーブにリゴロとの会見を取り次いでほしいと頼んだ。

エーブはその代償として、ロレンスとの雑談の機会を求めた。
彼女にとって、女性であることを隠さずに商人として話せる相手は貴重な存在だという。

エーブは女性ながらに商人の世界で生き抜いており、その過程で孤独を感じている様子が窺えた。

ロレンスは、エーブとの更なる会話に前向きであり、彼女の提案を受け入れる姿勢を見せた。
エーブはロレンスに興味を持っており、ロレンスもエーブとの会話を楽しんでいるようだった。

二人は商人として互いに尊敬し合い、今後もコミュニケーションを取り続ける可能性がある。

ロレンスとホロは、昼過ぎに宿を出発し、リゴロの家を訪ねた。

リゴロの家がある地域はかつて裕福な人々が住んでいたが、時間の経過と共に没落し、現在は職人や露天商などが住むようになっていた。
狭くうらぶれた道を歩きながら、ロレンスとホロは互いの心や魂について話を交わした。

ホロはロレンスの独占欲に触れ、ロレンスは自己嫌悪と共にその感情を受け入れると返答した。
このやり取りを通じて、二人の間の微妙な感情が浮き彫りになった。

ホロはロレンスに対する自身の独占欲を認めつつ、それに対するロレンスの反応を楽しんでいる様子を見せた。
また、ロレンスはホロに過去の恋愛関係について尋ねたが、ホロは具体的な回答を避けた。

この過程でロレンスは自分の感情の繊細さと、ホロへの強い独占欲を自覚した。
二人は相互の感情を探り合いながら、リゴロの家を目指して歩き続けた。

ロレンスとホロはリゴロの家を訪れ、三本足の鶏の象徴が飾られていることを知る。

この鶏はレノスの町の知恵の象徴であり、リゴロの家系は代々年代記作家を務めている。

エーブ・ボランからの紹介でリゴロに会うために訪問した彼らは、意外にも若い修道女に出迎えられる。

リゴロ自身は想像していた難物の隠修士ではなく、若々しい青年で、彼らを自慢の庭園へ案内する。
リゴロは五十人会議で書記を務める人物であり、人の心を見抜く特技を持っている。

ロレンスとホロは、リゴロの案内で彼の持つ古い本が保管されている地下室へ向かう。
リゴロの人懐っこい性格と特技に驚きながらも、二人は彼との交流を楽しむ。

ロレンスとホロは、リゴロの案内で地下の総石造りの倉庫に入る。

この倉庫には管理が行き届いており、貴重な本が年代や内容ごとに整理されていた。
リゴロとの会話で、ホロが自分の起源を探していることが明らかになる。

リゴロは北からの子供たちの話をし、無事故郷に帰れることを願う。
ホロは目当ての本をいくつか見つけ、二人はそれらを借りて一階に戻る。

リゴロはロレンスに、本を大切に扱うように伝え、ロレンスもそれを約束する。
ロレンスたちはリゴロから本を借り、後日返却する約束をしてリゴロの家を後にする。

ロレンスとホロの間では、いつものようにからかい合いが交わされるが、そのやり取りは二人の関係の良さを示している。

ロレンスとホロは夕食に子豚の丸焼きを食べる。

店内の人々はその様子を驚きや羨望の目で見るが、ホロはそれに気にせず美味しく食べ、食後は店内から拍手を受ける。
その後、二人は宿に戻る。

宿ではエーブとアロルドがおり、北への情報を交換する。ロレンスはホロを部屋まで運び、眠りにつかせる。

ホロは眠りながらも何かに怖気づいているようで、ロレンスに恐怖を吐露する。
ロレンスはホロを安心させようとするが、ホロが何を恐れているのかは明確にはわからない。

ロレンスはエーブに礼を言うため、一度下に行くことを決意する。
自分たちの関係を考えながら、ロレンスはホロの隣で過ごした時間を大切に思う。

二階で静かに飲む客たちを見てから、ロレンスは一階に下り、アロルドとエーブと再会する。

エーブとの会話から、リゴロとの会合が無事に終わったこと、そして会議の内容について少し触れるが、具体的な情報は得られない。

エーブは、ロレンスに金銭的な出資を求める。ロレンスが保有する「大きな財産」とは、ホロのことを指していた。

エーブは本名がフルール・フォン・イーターゼンテル・ボランで、没落貴族出身であることを明かす。

フルールは、ホロを貴族の娘として売り込む計画を提案するが、実際は買い占めを防ぐために現金のみでの買い付けを認めるという五十人会議の決定を利用し、毛皮を買い付けるための方便としてホロを使うことを示唆する。

さらに、アロルドが宿を担保に出し、巡礼の旅に出ることを決意していることが明らかになる。

ロレンスは、提案に対して複雑な感情を抱きながらも、商戦と呼ばれる商取引の可能性を検討することになる。

第三幕

ロレンスは、エーブとアロルドから提示された計画によって、一晩中眠れずにいた。

彼らからの提案は、ホロを貴族の娘として一時的に商会に質草として提供し、その金で毛皮を購入して売り捌くというものであった。

計画には大きな利益が見込まれるが、ロレンスはホロを利用することに対して罪悪感を抱いていた。

翌朝、ロレンスはホロと話し合う。ホロはロレンスの悩みを理解しながらも、彼の夢を実現するためには自分を利用することも辞さない姿勢を示す。

ロレンスは、ホロとの関係を金銭や恩で計算するのではなく、新たな形の関係性を築くことの意味を再認識する。

ホロはロレンスに対して、相手の企みがあればそれを逆手に取り、大きな利益を得ることを助言する。

二人はお互いの変化を受け入れ、共に成長していくことを楽しむ関係であることを確認する。

朝食を前にして、ロレンスはホロとの深い絆を再認識し、二人の関係の強さを改めて感じる。

ロレンスはエーブという商人の真偽を確かめるため、町の教会とその周辺の情報を収集し始める。

ホロは宿に残り、ロレンスが町を探索する。教会に関する情報を物乞いから聞き出すことに成功し、エーブが塩を密輸している可能性を掴む。

物乞いからは、教会が金持ちであり、影響力を持っていることや、エーブが教会と何らかの取引をしていることが明らかになる。

教会との関わり方や、物乞いが見ている町の様子から、町の権力構造や経済活動についてもうかがい知ることができる。

エーブが教会と取引をしていた事実と、教会が政治的目的で金を使っていることが判明する。

エーブの取引停止は一度の失敗で決断されたようで、彼が罠にロレンスをはめようとしている可能性が考えられるが、その方法は限られている。
ロレンスは情報を収集し、教会の力が強く、財政的に安定していることを知る。

さらに、教会が有力者たちを晩餐に招いていることから、何か大きな計画があることを察する。

ロレンスは〝獣と魚の尻尾亭〟の娘から、教会が強い権力を持っており、周囲を牽制している状況を聞き出す。

この情報から、教会が大きな権力闘争に関わっており、エーブの取引提案には何らかの別の目的がある可能性が高まる。
しかし、ロレンスは慎重に対応を考えながらも、娘との会話で軽やかな一面を見せる。

ロレンスはホロに、エーブが教会との取引について話し、またその教会が町での権力拡大を画策している可能性についても伝える。

教会の目的はおそらくこの町に司教座を置くことであり、司教座が設置されることの利点や権力の拡大について説明する。
ホロはこの情報を真剣に聞き入れ、ロレンスの判断や考え方を評価する。

ロレンスはエーブとの取引が危険を伴う可能性についても慎重に考慮しつつ、それでも取引を進める価値があるかどうかを自らに問う。ホロはロレンスが取引で失敗した場合のリスクについても指摘し、ロレンスの心配を理解する。

しかし、ホロはロレンスを信じており、彼の計画に協力する意思を示す。最後に、二人は互いに信頼し合い、協力し合うことの大切さを再確認する。

夕暮れ時、ロレンスとホロは日が沈み寒さが増す町の様子を眺めていた。

ロレンスは商人としての独特な緊張感を持ちつつも、ホロとの関係では旅を通じて築いた信頼と親密さを感じている。

ホロは読書を続け、二人はエーブとの交渉に備えている。
ロレンスは交渉のタイミングを見計らい、ホロはその準備を整える。

二人の間では、互いに慣れ親しんだ空気感が漂い、かつての初心を忘れないようにという心遣いも見られる。

しかし、彼らは互いに成長し変化を受け入れながらも、その変化を肯定的に捉えている。

ロレンスは、エーブが教会相手に石像を売り、その後喧嘩別れをした理由を探る。

エーブは、自身が貴族出身であること、司教との取引を通じて地元の大聖堂に石像を供給し、その謝礼として司教の権力基盤を強化するために尽力したことを説明する。

しかし、司教が権力を固める過程で、エーブを切り捨てる決断を下した。エーブの説明は論理的で矛盾がなく、ロレンスはこの話に説得される。

交渉の詳細を決めるために、ロレンスはエーブの提案を受け入れることを決断する。

その瞬間、エーブの肩の動きから彼の緊張が伝わり、ロレンスはエーブが演技していないと確信する。最終的に二人は取引の細部について話し合うことに同意する。

ロレンス、エーブ、ホロの三人は、契約成立のお祝いではなく、現金の手当てをするためにデリンク商会を訪れる。

デリンク商会は外見に反して実力と貫禄を持つ商会であり、エリンギンを始めとする4人の代表者が迎える。

交渉では、ロレンスがローエン商業組合の一員であることや、ホロの身柄を質に入れた取引の条件が話し合われる。

エリンギンは、ロレンスとホロの状況を評価し、トレニー銀貨二千枚ではなく、リュミオーネ金貨60枚での融資を提案する。

これにより、手数料を取らずに満額を融資することとなり、ロレンスはこの提案に同意する。

エーブとのやり取りはやや硬質だが、最終的にはお互いに満足する条件で合意に達する。エリンギンの振る舞いや言葉からは、大金を扱う商人特有の圧迫感と自信が感じられる。

商会を出た後、エーブはエリンギンを不愉快な男と評し、ロレンスは自分の小さな行商人としての立場を実感する。

エーブはロレンスの言葉に反応し、彼らの関係に興味を示す。デリンク商会との取引が一段落した後、三人は港近くで酒を飲みながら交流する。

その中で、エーブは自身の過去、特に没落貴族として買われた経験とその後の成功への願望を語る。

また、ロレンスとホロの関係に羨望の念を抱いていることを明かし、金儲けだけが目的ではないことを示唆する。

取引の成功を祈願しながら、エーブはロレンスとの握手で取引がうまくいくことを信じている様子を見せる。

ロレンスは、ホロとの旅を振り返りながら、彼女が売買されることへの不安を感じる。教会の人身売買を非難する教えが初めて理解できたと思う。

取引が順調に進んでいると感じる一方で、エーブの話に心を動かされ、取引が成功してもホロとの関係に変化があるかもしれないと考える。ホロとの関係の深さを再認識し、旅の終わりについて考える。

また、ホロが過去に体験したことが書かれた本を読んで、彼女の過去や故郷について学ぶ。

ホロは旅が楽しいからこそ、早めに別れを選ぶべきだと考え、その理由をロレンスに説明する。

二人はこれまでと同じようにじゃれ合いつつも、そのやり取りの中に未来への不安と別れの予感が混じり合う。

ホロは、永遠に楽しい旅を続けることの不可能性を認め、ロレンスとの関係をより良いものにするためには、今が別れる時だと感じている。

ロレンスとホロは、リゴロのところに行く前に町を歩きながら、旅の展望や取引の状況について話をする。

ホロは取引が順調であることを再確認し、ロレンスは成功の可能性が高いが、その大きな利益に怖さを感じている。

二人はまた、ホロの体が銀貨でいくらになるか、そしてその金で買える酒の量について軽く冗談を言い合う。

しかし、ホロは話の途中で、一生酔いから覚めないほどの酒を買うことが叶わない夢であることを悟り、話を切り上げる。

過去の酒飲み比べでの敗北をホロが語り、それが見栄っ張りであることから、ロレンスは笑う。

ホロの性格の無邪気さが、このやり取りを通じて伝わってくる。

リゴロの家を訪れた際、リゴロは不在で、メルタが応対した。

ロレンスとホロは、メルタの案内で書庫を利用し、ホロは特に読みたい本がないながらも書庫の奥へと歩いて行った。一方で、ロレンスはメルタにリゴロの庭園を見せてもらいたいとお願いし、メルタは快く承諾した。

ロレンスは、リゴロの庭に注がれる情熱を羨ましく思いながら、庭を眺めた。その後、メルタはロレンスにクワスを勧め、二人は軽く会話を交わした。

そこにホロが現れ、二人は庭に面した部屋で談笑をしていたところに、エーブが急いで入ってきて、「武装蜂起だ」と報告した。

エーブがロレンスたちにリゴロの家を急いで離れるよう促し、毛皮職人と加工に必要な商品を扱う人々が起こした武装蜂起について説明した。

会議の結論に不満を持つ彼らが中央広場で抗議を始め、会議の結論の取り消しを要求する騒ぎが起こっていた。エーブとロレンスは町を抜け、港へと向かった。

そこでは多くの商人が毛皮の買い付けに奔走しており、ロレンスはエーブからデリンク商会へと軍資金を取りに行くよう指示された。

二人は、この取引を成功させるため、全力を尽くすことを決意した。

一方で、ロレンスはホロに対して、この取引の成功が彼らの関係に与える影響について率直に語り、ホロから一瞬の復讐としての対応を受けた。

二人はこれ以上旅を続けられない可能性を認識しつつも、それぞれの思いを胸にデリンク商会に到着した。
最後にホロは、苦しみを静観する全知全能の神の存在に疑問を呈した。

デリンク商会では、外の騒ぎとは関係なく、静かな雰囲気が保たれていた。
ロレンスが訪れると、商会の人々は彼に対し笑顔で現金を手配してくれたが、その笑顔は何を考えているのかわからない不気味さを含んでいた。

金貨は直接ロレンスに渡されるのではなく、まずホロの手を経由して渡された。
この行為には、金貨を借りる者の意欲を高め、持ち逃げを防ぐ意味合いがあると推測される。

ホロは特級のぶどう酒を儲けたら買うことを期待しており、ロレンスはそれに応えた。

商会を出る際、二人はすでに別れの挨拶を済ませていたが、ホロはうつむきながらロレンスを見送った。

ロレンスは金貨を抱えて町を走り、自分の選択が正しいのか疑問に思いながらも、目前に待つ大きな利益に心が躍らない状態であった。

宿に戻ったロレンスは、外の騒動を避けて倉庫から入る。そこでエーブと出会い、エーブは船の手配が完了し、金貨をもとに毛皮の買い付けが可能となったと伝える。
しかし、エーブはロレンスに毛皮取引以外にも別の目的があることを隠していた。

ロレンスがその真意を問う中で、エーブはロレンスを襲おうとするが、結局はその意図を見抜いていたロレンスに反撃される。

エーブの真の目的は塩の密輸で得た莫大な利益を使い、毛皮を買い占めることだった。教会の協力者として、毛皮の取引を通じて更なる利益を求めていたが、その過程でロレンスを利用しようとしていた。

エーブとの直接対決の後、ロレンスはエーブからの意外な贈り物を発見する。
それは、宿をロレンスに引き渡すというアロルド直筆の念書だった。

この行動から、エーブがロレンスに何らかの期待を寄せていることが示唆される。血を流しながらも、ロレンスはエーブの真意を理解しようとし、自分自身の今後の行動を模索する。

最終的に、ロレンスはエーブに対する期待と自らの使命感に動かされ、厩に向かう決意を固める。

終幕

町の中心部は騒動の真っただ中で、ロレンスはその混乱を避けデリンク商会へ向かった。

エーブから毛皮取引について奪われたが、それでもロレンスは受け入れ、自身の夢への道を失っても構わないと考えた。

デリンク商会に戻ったロレンスはホロと再会し、ホロはロレンスが取引を失敗したことを知って怒りを露わにしたが、ロレンスは静かにそれを受け止め、ホロに自分の気持ちを伝えた。

ロレンスはエーブの行為を理解し、その背後にあるエーブの期待や自身に対する信頼を感じ取る。
最終的に、ロレンスとホロは結束を深め、未来への一歩を踏み出した。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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