どんな本?
物語の概要
本作は、SFとラブコメディを融合させた作品である。主人公・山田西南は、極度の不運体質を持つ少年である。
ある日、彼は墜落した宇宙船に衝突するという出来事をきっかけに、銀河警察組織「ギャラクシーポリス(GXP)」に入隊し、宇宙へと旅立つことになる。
彼の行く先々では、数々の冒険と多くの美女たちとの出会いが待ち受けている。
主要キャラクター
- 山田西南:極度の不運体質を持つ少年で、本作の主人公。ひょんなことからGXPに入隊し、宇宙での冒険を繰り広げる。
- 正木霧恋:西南の幼馴染であり、彼を陰ながら支える存在。GXPの職員としても活躍する。
- 雨音・カウナック:GXPの二級刑事で、西南をGXPにスカウトした張本人。明朗快活な性格で、西南の冒険に深く関わる。
- リョーコ・バルタ:宇宙海賊「ダ・ルマー」の幹部。温和な性格で、西南たちと関わる中で重要な役割を果たす。
- ネージュ・ナ・メルマス:宗教国家メルマスの元最高権力者。幼生固定により外見は少女だが、約2000歳の女性。西南を「お兄ちゃん」と慕う。
物語の特徴
本作は、『天地無用!』シリーズのスピンオフ作品であり、シリーズ10周年を記念して制作された。主人公・山田西南の視点から描かれる物語は、彼の不運体質が引き起こす数々のトラブルや、それを乗り越える成長が魅力である。また、多彩なキャラクターとの交流や、宇宙を舞台にした壮大な冒険が展開される点も特徴的である。
出版情報
- 出版社:KADOKAWA
- レーベル:富士見ファンタジア文庫
- 刊行開始:2003年4月
- 既刊数:17巻(2018年6月現在)
- 関連メディア展開:本作はテレビアニメ『天地無用! GXP』として、2002年4月から9月にかけて日本テレビほかで放送された。
読んだ本のタイトル
真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 1
著者&イラスト:梶島 正樹 氏
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あらすじ・内容
人気アニメのノベライズついに登場!
墜落した宇宙船に衝突してしまった最強の”運の悪さ”を持つ少年山田西南。その結果かれはGXP――ギャラクシーポリスに入隊し宇宙に旅立つ事に。彼の行く先には数多の冒険と美女が待ち受けているのだった!!
感想
最強の「運の悪さ」を持つ少年・山田西南は、墜落した宇宙船に巻き込まれるという不運な事故をきっかけに、銀河警察「GXP」に入隊することとなり、宇宙へと旅立つ運命に導かれた。
宇宙の果てには、彼を待つ数々の冒険や個性豊かな美女たちとの出会いが待っていた。
宇宙での新たな生活が始まり、彼の不運と波乱の日々が繰り広げられるのである。
この作品は、2002年のアニメ版『天地無用! GXP』を基にしたノベライズであり、天地無用シリーズのファンには懐かしい作品である。
西南の「不幸体質」を活かした宇宙でのドタバタ劇は、まさに「天地無用」ならではの魅力であり、彼の困難な状況に共感しつつ、その姿に魅了される。
また、梶島作品に共通する「権力に振り回される主人公」の要素がしっかりと描かれており、これがGXPとしての独自の魅力を生み出している。
ノベライズ版では、アニメでは描かれなかった設定やキャラクターの内面描写が追加され、天地無用シリーズの世界観がさらに奥深く感じられる構成となっている。
瀬戸の側近や樹雷皇家の家系図など、複雑な関係性も小説ならではの詳細さで補完されており、シリーズを知っているファンには一層の楽しさがあると思われる。
年上の女性に囲まれるハーレム的な要素やコメディ調の軽快な文体で、テンポよく進む展開が心地いい。
天地無用の世界観とGXPならではの物語が融合し、笑いと冒険が絶妙に絡み合ったこの一冊。
天地無用シリーズを知る者も、知らない者も、多角的な視点で楽しめる作品である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
その他フィクション
備忘録
1「大宇宙へ!」
梅雨明けの帰郷
梅雨が明け、初夏の午後、強烈な太陽の光が田舎道に影を落としていた。広がる積乱雲の下、十四、五歳の少年・山田西南は自転車を飛ばし、学校からの帰宅を急いでいた。急ぎのあまり、彼は柱の角に足をぶつけ、ボタンを掛け違え、廊下で滑り、階段で転け、自転車のペダルを踏み外すなど、一連の不運な出来事に見舞われた。それでも西南は急ぎ、幼なじみの正木海の家へ向かった。彼の目的は、憧れの存在である正木霧恋が帰郷したことにあった。
奇妙な池の出来事
西南は道中、二週間前に自宅の階段で滑り倒れ、入院先で誤って髪を剃り上げられた事件を思い返した。彼は不運に耐えつつも、霧恋に会うため山道を選び進んでいた。途中、柾木天地のことを思い出し、怪異現象について話を聞きたいと考えた矢先に自転車がパンクする。西南は池で水を汲もうとしたが、突然、池の中央に波紋が広がり、轟音とともに不気味な静寂に包まれた。その後、見知らぬ外国人女性に「GPに入らないか」と勧められ、パンフレットを手渡されたが、彼女は瞬時に姿を消した。
霧恋との再会と再びの不運
その後、西南は正木家に到着し、門前で掃除をしていた霧恋に声をかけた。霧恋は温かく迎え入れ、庭で自転車を修理している海の姿に西南は感心していた。縁側で霧恋と共に過ごし、スイカを食べながら楽しい時間を共有するが、西南の不運は続き、彼女への誤解を解くために心を砕く一幕もあった。
帰途と不気味な出会い
帰り道、山間の夜の暗さに物悲しさを感じつつ、西南は霧恋に誤解されていることを気にし、急いで帰路についた。途中、山道で白い影の幽霊に遭遇し恐怖を味わいながらも、家に戻った。家では、湯船でのぼせかけるなどの不運が続き、日常の中でも不運が尽きなかった。食事後、西南はGPのパンフレットに興味を抱き、母親の促しで手を置いた。
異世界の誘い
夜、西南は夢の中で霧恋の姿を追い、彼女への想いと共に過ごした。翌朝、目を覚ますと見知らぬ金髪の女性が現れ、さらに案内人と名乗る男性から自分がGPに入隊したと告げられる。家族のビデオメッセージを見て家計の事情から送り出されたことを知った西南は、宇宙警察「ギャラクシー・ポリス」としての生活に足を踏み入れることとなった。
2「大事な荷物」
驚愕の事実と無重力体験
西南は、案内人からの驚愕の事実を聞いた後、五分刈りの頭を撫で続ける美兎跳という女性と共にブリッジへ向かっていた。彼は未だ宇宙にいる現実に疑念を抱いていたが、無重力体験を通じて少しずつその疑念は薄れていった。浮かぶ自分を確かめながら、これは作り物ではないと感じ、次第に宇宙空間にいることを受け入れ、興奮と好奇心が膨らんでいった。案内人の説明により、「GP」が「ギャラクシーポリス」であると知り、さらに銀河アカデミーの一員として学ぶことも告げられた。西南はこれに納得し、宇宙での新しい生活に心を躍らせていた。
ジャンプ技術の初体験と新たな不運
案内人がワープに似た「ジャンプ」技術について語ると、西南はその話に興奮を隠せなかった。案内人に従って通路へのハッチをくぐろうとした際、彼は振り向いて礼を言った瞬間、ハッチに挟まれてしまった。この出来事を通じて西南は、自身の不運が宇宙でも変わらず続くことを感じ、新生活の幕開けを実感した。
銀河警察の設備と通信
西南は美兎跳に先導されながら自室へ戻る途中、自身の不運を反省し、銀河警察のメンバーかと彼女に尋ねた。彼女は掃除係であると答え、銀河警察の雰囲気とは少し異なる姿で掃除を行っていた。美兎跳は地球と通信できる黒電話を紹介し、これにより西南は霧恋の家に連絡を取ろうと試みたが、応答したのは友人の海であり、彼の勘違いから家中を探し回る結果となった。霧恋が留守であることを知り失望するも、案内人からジャンプ準備完了の報告を受けた。
初のジャンプと遭遇した衝撃
ジャンプ開始のカウントダウンが進む中、西南はシートに身を預けたが、予想に反し何の衝撃も感じなかった。超空間航行に入ったことを知り、現実のワープが静かなものだと悟り少し落胆した。だが突然の衝撃が船を襲い、エマージェンシー音が鳴り響く中、GP艦は通常空間に復帰し、海賊多発地区へ出現してしまった。海賊の存在を知り、西南は宇宙での不運にため息をついた。
海賊との追走と連絡の試み
案内人は西南に部屋で休むように指示したが、彼は霧恋に連絡するため再度電話を試みた。霧恋の自宅にも繋がらず、失望の中で艦は攻撃を受け、緊急事態が発生した。ブリッジに駆けつけた西南はクルーが海賊の攻撃に慌てふためく姿を目の当たりにし、案内人と美兎跳も対応に奔走していた。GP艦はシールドを最大限に活用し逃走を試みた。
海賊との対峙と連合艦隊の救援
マーロン率いる海賊艦はGP艦を狙って攻撃を仕掛け、エネルギーネットを発射して逃走を阻止した。エンジンにダメージを受けたGP艦は、ランダムジャンプでの逃走を試みるも、海賊たちは全ての座標を予測して待ち構えていた。西南の不運によりジャンプする度に新たな海賊と遭遇し、事態はさらに悪化していった。その頃、樹雷国家皇族の神木・瀬戸・樹雷率いる連合艦隊が海賊討伐に動き、GP艦と海賊艦の追走をキャッチした。
連合艦隊による救援と決着
瀬戸の艦隊は海賊艦隊に対して一網打尽の攻撃を展開し、逃走を図る海賊を捕らえた。四百隻を超える海賊艦が撃破され、唯一、リョーコ・バルタの船のみが脱出に成功したが、瀬戸はこの事態に満足し、GP艦のクルーから事情を聞くために接触を決意した。
3「鬼姫」
初対面の緊張
美兎跳がスクリーン越しに水鏡に手を振る中、西南は初めて目にする樹雷皇家の木造船体に圧倒されていた。その船は組み木細工のように見える独特の構造で、多くの海賊を撃破した事実が印象的であった。案内人は「水鏡って樹雷の鬼姫の船?」と驚きの声を上げた。銀河で最強の軍事力を持つ裏の最高権力者とされる神木・瀬戸・樹雷の存在に、ブリッジは一瞬で緊張に包まれた。案内人は西南に「鬼姫と呼ばないように」と注意しつつ、恐る恐る美兎跳とともに瀬戸との接触に臨んだ。待機中、案内人は緊張から薬を服用し、代わりに現れた柾木水穂を見て深く安堵した。
報告と瀬戸の興味
接触した案内人は水穂に、これまでの経緯や銀河警察に入った経緯を報告した。瀬戸は水鏡のブリッジでこの報告に興味を示し、西南が宇宙にいることにも驚いていた。瀬戸は、銀河アカデミーでの西南の保護を申し出るとともに、彼の不運が潜在的な才能と見なされると指摘した。彼女は水穂にGP艦の修理を指示し、西南と美兎跳を自身のもとで保護することを決定した。
異世界の船内探訪
西南は瀬戸の手配で連絡艇に乗り、木造の内部構造を持つ水鏡に案内された。水鏡の中は亜空間に広がる居住区で、広大な自然と一体化していた。この環境に西南は圧倒され、初期文明段階にある地球とは異なる先進的な技術に驚きを隠せなかった。水鏡内のゲストハウスに案内された彼は、地球への連絡を試みるも繋がらず、ここでも自らの不運を感じることとなった。
瀬戸との対話と決意
その後、西南は瀬戸に会うためゲートに案内され、彼女の歓迎を受けた。瀬戸は西南の災難を感謝の念を込めて称賛し、不運を才能と捉えた。その一方で、兼光から宇宙での記憶消去の可能性を示唆された西南は動揺したが、瀬戸の提案により特例申請を受けて宇宙に留まる決意を固めた。瀬戸は西南の決意に満足し、兼光も彼の選択を静かに応援した。
特別な歓迎と新しい体験
西南は瀬戸のもてなしを受け、皇家の果実から作られた特別なジュースや贅沢な食事に感動した。彼はそのもてなしから自分が特別な客人として迎えられていることを感じ、美兎跳との散歩を楽しむ中で異星の自然環境に驚きつつリラックスしていった。
瀬戸との密かな絆
瀬戸は、西南に祖母であることを明かし、彼が地球で出会った樹雷の存在にも言及した。彼らは瀬戸の個室で静かに語り合い、瀬戸の親しみやすさに西南も心を開いていった。この特別な機会に瀬戸は西南を内々にスカウトしようとするも、銀河アカデミーでの成長を見守ることに満足していた。
リョーコとの邂逅と新たな展開
西南の存在に興味を持ったリョーコ・バルタが海賊船のクルーたちに混ざり接触を図ろうとしていた。彼女は瀬戸との対話を思い返し、西南が持つ何か特別なものに引き寄せられる感覚を抱きながらも、今後の出会いが運命を左右するものであることをまだ知らなかった。
4「霧の紛れ、遣らずの雨」
銀河アカデミーへの到着とリョーコとの別れ
西南と美兎跳が乗ったGP艦は、長い航海の末、銀河アカデミーに到着した。案内人は予定以上に時間がかかった航海を不思議に思いつつも、無事の到着に安堵していた。この航海中、海賊の襲撃や樹雷の鬼姫との遭遇など、通常では考えられない出来事が重なり、案内人はこれを本にすればベストセラーになるかもしれないと冗談めかして語った。西南は、再びリョーコと会うことを誓い、アカデミーに進む決意を新たにしていた。リョーコは西南の決意を尊重し、彼と再会する際には敵同士になる覚悟をしつつも、握手を交わして別れた。
記念写真とリョーコの成長への期待
西南は、リョーコとの記念写真を見ながら、彼女と戦いたくないと思っていた。一方、リョーコもまた西南を無理に連れ去ることはせず、彼が将来どう成長するかを見守る姿勢であった。リョーコの副官は彼女を止めることをためらい、娘のように育ててきたリョーコの幸せを願っていた。
アカデミーへの入国と雨音との再会
GP艦が銀河アカデミーの入国管理ステーションに到着し、西南はアカデミーの巨大なリング状ステーションに驚嘆していた。監査官による入国管理を受ける最中、別の艦と衝突し、彼は意識を失った。目覚めた西南は、医療ルームで雨音・カウナックと再会し、彼女の優しさに感謝し、久々の再会を喜んだ。
リニアレールカーでの移動と美兎跳の父との出会い
医療ルームを出た西南は、雨音に案内されてリニアレールカーの乗り場へ向かった。リニアが到着すると、案内人は海賊偽装艦の襲撃について説明し、事件を未然に防げたことを慰めた。ドックで待っていたのは美兎跳の父・九羅密美瀾であり、彼は船の損傷を見た西南を慰め、美兎跳には叱責を加えた。
銀河アカデミー入国と霧恋との再会
銀河アカデミーの入国管理局に到着し、手続きを進める西南の前に、霧恋によく似た監査官が現れた。霧恋が西南に地球に帰るよう頼むも、西南は決意を持ってアカデミーに進む意思を表明し、最終的に入学が許可された。霧恋は彼の安全を心配しつつも、西南の選択を受け入れた。
アイリ理事長との対面とアカデミーでの新生活
アイリ理事長の指示により、西南はアカデミーを訪れ、理事長の宇宙ステーションでの歓迎を受けた。アイリは、霧恋と雨音それぞれの立場を確認しつつ、西南の意思を尊重し、彼のアカデミーでの生活を正式に認めた。西南はアカデミーの新しい環境での生活に希望を抱き、入学が決定された。
新しい友人と銀河の理解
アイリの紹介で、西南はワウ人のエルマと出会い、異星の知的生命体に対する理解を深めた。また、樹雷の皇族や天地の存在、霧恋や村の人々が宇宙人であることに驚きつつも、彼は新たな運命を受け入れる決意を固めた。
新たな冒険の始まり
アカデミーの制服を受け取り、アイリの案内で装備品を整えた西南は、アカデミーでの生活に希望を抱きつつ、未来への一歩を踏み出した。雨音が新しい生活に挑む中、西南もまたアカデミーでの新たな挑戦を前向きに受け入れ、山田西南の冒険が本格的に始まったのであった。
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