小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 3 」感想・ネタバレ

小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 3 」感想・ネタバレ

どんな本?

物語の概要

本作は、SFとラブコメディを融合させた作品である。主人公・山田西南は、極度の不運体質を持つ少年である。
ある日、彼は墜落した宇宙船に衝突するという出来事をきっかけに、銀河警察組織「ギャラクシーポリス(GXP)」に入隊し、宇宙へと旅立つことになる。
彼の行く先々では、数々の冒険と多くの美女たちとの出会いが待ち受けている。

主要キャラクター

  • 山田西南:極度の不運体質を持つ少年で、本作の主人公。ひょんなことからGXPに入隊し、宇宙での冒険を繰り広げる。
  • 正木霧恋:西南の幼馴染であり、彼を陰ながら支える存在。GXPの職員としても活躍する。
  • 雨音・カウナック:GXPの二級刑事で、西南をGXPにスカウトした張本人。明朗快活な性格で、西南の冒険に深く関わる。
  • リョーコ・バルタ:宇宙海賊「ダ・ルマー」の幹部。温和な性格で、西南たちと関わる中で重要な役割を果たす。
  • ネージュ・ナ・メルマス:宗教国家メルマスの元最高権力者。幼生固定により外見は少女だが、約2000歳の女性。西南を「お兄ちゃん」と慕う。

物語の特徴

本作は、『天地無用!』シリーズのスピンオフ作品であり、シリーズ10周年を記念して制作された。主人公・山田西南の視点から描かれる物語は、彼の不運体質が引き起こす数々のトラブルや、それを乗り越える成長が魅力である。また、多彩なキャラクターとの交流や、宇宙を舞台にした壮大な冒険が展開される点も特徴的である。

出版情報

  • 出版社KADOKAWA
  • レーベル富士見ファンタジア文庫
  • 刊行開始:2003年4月
  • 既刊数:17巻(2018年6月現在)
  • 関連メディア展開:本作はテレビアニメ『天地無用! GXP』として、2002年4月から9月にかけて日本テレビほかで放送された。

読んだ本のタイトル

真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP  3
著者&イラスト:梶島 正樹 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889458714 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 3 」感想・ネタバレBookliveで購入gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 3 」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890540720 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 3 」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

大人気シリーズが1年ぶりに刊行。原作者自らの手によるノベライズ第三弾!

アカデミー入学式で新入生挨拶を行った西南。だが、早速とばかりにスピーカーを粉砕し、ついでにコンピューターを破壊して学園を混乱に陥れ、その不運パワーはとどまることを知らない。そして学園生活がスタートする

真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 3

感想

銀河警察アカデミーに入学した山田西南は、新入生挨拶で早速スピーカーを粉砕し、さらには学園のコンピューターまでも破壊してしまうという「不運体質」を存分に発揮する。その影響で学園のシステムが一時ダウンし、彼の学園生活は初日から大混乱で幕を開けた。入学後も、静竜というライバルからの嫌がらせや、彼を見守るために派遣された監視員たちとの騒動が続き、騒がしい日々が続く中で、少しずつ成長の兆しを見せる西南の姿が描かれている。

この巻では、シリーズの特徴である年上の女性キャラたちに囲まれるハーレム展開が引き立っている。西南が年上キャラたちと交流しながら少しずつ頼もしさを見せていく姿が好感を持たせる。また、天地無用シリーズのアニメでは語られなかった裏設定や、サプライズキャラクターが登場することで、作品の世界観がさらに広がり、ファンには嬉しい展開である。コメディとシリアスのバランスも絶妙で、予測不能な展開が続き、飽きさせない内容となっている。

西南が周囲の人々に支えられながらも自立を目指す姿勢や、自らの意思で宇宙に残ると決意する場面は、彼の成長を感じさせる名シーンであった。多彩なキャラクターに囲まれながら、銀河警察アカデミーで奮闘する西南の物語は、笑いと緊張感が交錯する読み応えのある展開が続き、天地無用の壮大な世界観をさらに楽しませてくれる。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

1「地球・柾木家」

魎皇鬼の朝の訪問

魎皇鬼は柾木家で最も早起きする存在であり、この朝も暗闇が白み始める前に起床した。彼は猫ウサギの姿に変身し、砂沙美の頬に頰ずりをして朝の挨拶をした。その後、阿重霞を起こさぬよう廊下を通り、天地の部屋へと向かった。魎皇鬼は慎重に部屋に忍び込み、天地の目覚める前に挨拶しようとしたが、この日は天地が部屋に不在であった。

天地と鷲羽の会話

天地は鷲羽と共に畑の土壌改良の調査に出かけていた。鷲羽が西南のアカデミー入学について話し始めると、天地は西南の運の悪さを懸念し、地球にいたほうが安全だと述べた。彼は過去に何度も西南の不運に巻き込まれてきた経験があり、その度に苦労を感じていたからである。

西南への想いと幼馴染としての絆

天地にとって、西南は霧恋の弟・海と同じくらいの親しい幼馴染であった。幼い頃から共に過ごし、周囲から疎まれることが多かった西南に対して、天地は彼を守りたいという思いを抱いていた。また、彼の素直で純粋な性格を大切に思い、何か力になりたいと感じていた。

鷲羽の提案

鷲羽は天地の心配を和らげるため、「お守り」を造ることを提案した。それは西南の身の安全を願うためのものであったが、鷲羽の悪巧みの含みある表情に、天地は不安を覚えつつも抵抗できなかった。彼は内心で西南に「お手柔らかに」と祈るしかなかった。

魎皇鬼の帰還

最後に、魎皇鬼は天地が不在であることに気付き、寂しさのあまり泣きながら天地のもとに駆け戻った。彼の鳴き声は、天地と鷲羽の話が終わりかけるころに響いたのであった。

2「朝・影と光と」

銀河連盟・海賊ギルド「ダ・ルマー」最高議会

漆黒の暗闇の中に浮かぶ巨大なテーブルの周囲には、銀河連盟領内最大の海賊ギルド「ダ・ルマー」の最高議会が開かれていた。ダ・ルマーの総統と実体映像の副統監が上座に位置し、赤い輪郭だけの人影がそれを囲んでいた。シルエットの一人が、最近の「樹雷の鬼姫」による攻撃で艦船が捕獲された件について不安を吐露し、会場に緊張が漂った。

タラントの登場と会議での対立

遅れて現れたタラントは、返り血を浴びた姿で登場し、海賊たちの反感を煽った。彼は「ダ・ルマー」の議題についても冷笑を浮かべ、メギ・マイアから敵に内通していると非難を受けたが、取り合わなかった。議会のメンバーは、ダ・ルマーが抱える問題を話し合う中で、アカデミーへのスパイが連絡不能となったことに驚愕していた。

タラントの計画とアカデミー襲撃の準備

タラントの部屋では、アカデミーへのスパイ活動が進行しており、副官が報告するも、タラントは「ただの襲撃ではつまらない」と更なる混乱を引き起こす計画を練っていた。アカデミー内部では防衛機構に障害が生じたものの、西南による事態の収束で治安が保たれていた。

アカデミー防衛と樹雷の防衛艦「鏡子」

防衛ラインでは、世二我軍の駆逐艦「088号」が樹雷の第七聖衛艦隊「鏡子」と協力し、侵入する海賊を撃退していた。軍の圧倒的な防衛力で敵の侵入は封じられ、作戦を指揮していた美守も、これを機に戦闘態勢を解除するよう命じた。

西南の朝と新たな一歩

晴天の朝、西南は入学式に臨むため目を覚まし、同室のケネスやラジャウと共に喜びを分かち合った。水穂から激励の通信を受けた西南は、自身の新しい希望に満ちた一歩に期待と不安を感じていた。

アカデミー内部の監視

一方で、瀬戸の命令により珀蓮や火煉、玉蓮、翠簾といった護衛が西南の行動を監視していた。玉蓮は常軌を逸した発言で周囲を困惑させるが、彼らは西南の安全を第一に考え、任務を遂行した。

入学式当日のアカデミー

アカデミーでは、西南と彼の友人たちが朝食をとり、テレビで報道された都市の大事件に驚きつつも、入学式への期待を胸に準備を進めた。ケネスが憧れるアイドル「キルシェ」が家出したニュースにも戸惑いが生じたが、彼らは西南の新しい生活が始まることに胸を躍らせた。

3「入学の儀式」

GPアカデミー入学式当日

壮大な並木道と新入生たちの入場

西南は、雲ひとつない晴天と並木道に咲き誇る雪霞の木の花を見て、その美しさに感動していた。まだ慣れない制服を着た新入生たちが、この広大な並木道を歩き、西南も友人たちと共に進んでいた。新しい環境と未来への期待が彼を胸躍らせたが、いつもの不運も続き、さまざまな小さな出来事に見舞われながら進んでいった。

ケネスとラジャウの支え

ケネスとラジャウは、西南の緊張を和らげるべく冗談を飛ばしながら、紙袋を持ち上げて気合を入れた。しかし、西南は少し恥ずかしさを感じながらも、二人と一緒に並木道を進んで行った。

アイリとの遭遇と救いの美兎跳

入学式の会場に向かう途中で、西南はアイリに出会い、強引に会場とは反対方向へ引っ張られてしまう。アイリの挑発的な態度に、西南は困惑し助けを求めた。ちょうどその時、美兎跳が現れ、西南を救い出したことで、西南はようやく安堵することができた。美兎跳の温かい言葉に励まされ、再び会場へと向かった。

式典会場での出来事と静竜との衝突

会場に入った西南は、新入生代表に選ばれたことを知り、驚きつつも壇上へと向かっていた。その途中で静竜が彼の前に立ちはだかり、挑発的な態度を取った。これに怒りを覚えたアイリが静竜に猛攻撃を仕掛け、静竜は何度も倒れるものの、立ち上がり続けるという奇妙なループが繰り広げられた。

入学式の開会と西南の代表挨拶

GPアカデミーの校長である九羅密美守の挨拶が行われ、式が正式に始まった。美守の言葉は新入生たちに目標と連帯感を与え、西南もその一員として意気揚々と壇上に立った。だが、マイクの不具合でスピーカーから音が出ず、会場は騒然とした。その後、静竜の叫び声がスピーカーに反響し、結果としてスピーカーが爆発するというアクシデントが発生した。

入学式の閉会

こうして様々なハプニングを経た第八六三五回GPアカデミーの入学式は、静竜の騒動を最後に閉会を迎えた。

4「授業と教師と上級生・一日目」

新入生の案内

新入生達は上級生に引率され、講堂から三列で移動していた。西南は入学式での出来事を振り返り、騒ぎを反省していたが、上級生はむしろそれを面白がり、「歴史に残る」とまで語った。行列は、昨年度のミスGPアカデミーである美希・シュタインベックの登場により注目を浴びた。美希は西南を無言で見つめ、周囲の生徒達に不安と嫉妬を抱かせたが、再び行列を誘導して立ち去った。

建物の到着と設備の紹介

新入生達は鈍い銀色のコンテナ建築の教室兼待機ルームに案内された。建物は廃棄されたコンテナを再利用したもので、内部には吹き抜けとパーティションで区切られた施設が並んでいた。生徒達は転送プレートの不具合により、階段で移動することを命じられた。最上階で西南達のデスク端末が反応せず、ネットシステムの障害が原因であると判明した。体術科の授業のみ実施される旨が伝えられ、生徒達は急いで移動することとなった。

校長室でのアイリと美守の対話

校長室ではアイリが美守に徹夜の準備が台無しになったと愚痴をこぼしていた。騒動での被害者は幸い軽傷だったが、数名が意識を失い、アカデミーの医療システムのダウンにより病院艦で診察を受けていた。美守は、アカデミー全体の障害の復旧が進行中であり、アカデミーの運営を再構築する必要性について話した。

静竜の怒りと体力訓練

新入生達は広大なグラウンドに集まり、入学式後すぐに授業が始まることに驚いた。ミイラのように包帯で巻かれた天南静竜が登場し、新入生に対し基礎体力訓練を課した。西南は訓練中、他の生徒に大きく遅れを取ってしまい、周囲から注目を集めることとなった。

システムの障害と霧恋への指示

霧恋は会議室で美守から、アカデミーのメインシステムの復旧の目処が立ったことを知らされた。彼女は天南先生のナノマシン体が爆発の振動によって破損し、さらに新入生の一部が脳改造されていた可能性について説明を受けた。霧恋は新たな危機の中で、まず給食の調理システムの復旧を任されることになった。

倒れる西南と静竜の試練

授業開始から二時間後、西南は体力の限界を迎え、グラウンドで倒れていた。教官の静竜はその様子を嘲るように見下ろし、午後も同じ訓練を行うと宣告した。ケネスが西南の未強化の体を訴えたが、静竜は聞き入れず「使える人材を選別する場である」として一蹴した。最後には足をもつれさせた静竜が転倒し、車に撥ねられるという騒動が起こった。

コンテナ教室での休息と食事

西南はケネスに背負われて控え室に戻り、転送ポートを利用して配布された弁当で昼食を取った。西南は体調不良から食欲を失っていたが、ラジャウが差し出したドリンクを口にして徐々に回復した。三人は午後の授業に備え、わずかな休息を取った。

謎の運転手との出会い

控え室を出た三人は、静竜を撥ねた車の運転手に声をかけられた。彼は静竜の使用人と名乗り、西南達をグラウンドへと送る際、静竜が幼少期からお調子者であることを愚痴り、激しく批判しつつも技術の高さを評価した。運転のスムーズさが印象的であったと三人は感じた。

西南の生体強化に関する会話

グラウンドの土手で、三人は生体強化について話し合った。西南は生体強化をまだ受けておらず、同期生との体力差に不安を抱いていた。ケネスとラジャウは生体強化の負担を和らげるため、時間が解決すると彼を励ました。

美希・シュタインベックの視線

美希と友人達は、グラウンドの土手で休む西南に興味を抱いていた。美希は友人のからかいにも動じず、西南に対する謎の好奇心を隠しきれなかった。美希の友人は、彼女の興味を軽く茶化しつつもその理由に関心を寄せた。

午後の授業再開と西南の奮起

午後の授業が始まると、静竜は再び厳しい訓練メニューを課し、西南に特に厳しい視線を向けた。倒れながらも西南は、自身が生体強化に頼ろうとする甘えに気付き、強い意志を持って立ち上がった。この様子を見守る霧恋は、自分の信念を曲げることなく彼の成長を静かに見守る決意を固めていた。

霧恋と雨音の対話

雨音は霧恋に、西南が生体強化を受けることを勧めたが、霧恋は彼の過酷な運命を見据えて「認める気はない」と断言した。彼女は西南の精神的な強靱さに誇りを持ちながらも、その根底に潜む悲しみを隠しきれなかった。

美希の西南への関心

霧恋と雨音は、美希が西南を見つめる姿を発見した。雨音が彼女の行動を茶化しつつも、美希が西南に興味を持つ理由を推測し、霧恋も彼女の視線に微かな疑問を抱いた。

迎えの車と静竜の失態

下校を知らせるチャイムが鳴ると、迎えの車がグラウンドに入った。静竜はそのまま迎えの車へ向かったが、スキップの勢いで車に衝突し、車の防衛システムにより弾き返され気絶した。運転手は静竜を面倒そうに車に投げ込み、西南はその様子を見て深呼吸した。

美希の接近

授業終了後、西南が地面に倒れたまま休んでいると、美希が彼の元に歩み寄った。彼女は彼を労り、顔を拭こうとしたが、西南はその優しさに驚きつつも霧恋と重ねてしまった。西南のチームメイトであるケネスとラジャウも美希に挨拶をし、彼女から西南を寮に連れて帰るよう頼まれた。

霧恋と雨音の対話

雨音は霧恋に、西南に対する思いを問いかけたが、霧恋はあくまで強情を張り続け、彼の訓練への厳しさを保とうとした。霧恋は心の中で葛藤しつつも、西南に期待を抱きつつ見守る姿勢を示した。

西南の通信と水穂の提案

自室で休む西南に、水穂から通信が入った。彼女は西南に生体強化や静竜の交代を提案したが、西南は霧恋に認めてもらうためと断った。この無邪気な姿勢に、水穂は西南の成長を感じた。

霧恋の不安と美希への関心

霧恋は、西南に直接話すことを考えていたが、美希が西南に接近していたことが気にかかっていた。彼女は美希の情報を調べ、少しの不安を覚えつつも、自分の計画を見直そうとした。

瀬戸と月湖の対話

プライベート空間で瀬戸と月湖は会話を交わし、特別な親近感を持つ様子が伺えた。水穂は瀬戸が西南に特別な関心を抱いていることを再認識し、彼を手放さない意志を感じ取った。

点呼と西南の休息

ラジャウとケネスは、美希ファンクラブ員との面倒なインタビューが、点呼のおかげで中断されたことに安堵した。西南は疲れ果てて点呼後すぐに眠りにつき、ラジャウとケネスも就寝した。

夜中の異変とアイリの工房製NB

深夜、部屋の隅に置かれていた紙袋を被せたNBが起動し、微かな光と音声を発した。これは哲学士アイリの工房で作られたもので、寮脱出の際にダミーとして使用され、部屋に放置されていた。NBは短時間の起動後、再び静寂に戻った。

ライレーザの試行錯誤と推測

薄暗い部屋でライレーザは、アイリの工房で作られたS級バイオコンピューターを使用しても、GPアカデミー寮のシステムにアクセスできなかったことに驚きを感じていた。ネットが復旧し、NBが寮のシステムに接続されたことで、うまくいくと思っていたが、試みは失敗した。ライレーザは一息つき、軽く体操をしてから再びモニターに向かった。

アイリの意図とライレーザの仮説

ライレーザは、アイリが特殊な能力を持つ西南を監視している可能性を推測した。彼は補助NBがデータをどこかへ送信していると考え、本体が別に存在するのかもしれないと疑問を持ったが、未起動のNBではこれ以上の調査が無意味と判断した。

警戒プログラムの起動と就寝

ライレーザは軍用犬を模したCGキャラに監視を任せ、簡易ベッドに倒れ込んで就寝した。彼は失敗した場合に備え、直接アイリに交渉することを心に留めつつ眠りについた。

5「授業と教師と上級生・二日目」

朝の目覚めと霧恋からの通信

西南は朝日で目を覚まし、前日の疲労が回復していることに驚いた。すると霧恋から通信が入り、学校の後で話したいことがあると告げられ、指定された場所に来るように頼まれた。通信が切れると、西南は地球へ帰還を告げられるだろうと感じ、少し落胆したが決意を新たにした。

基礎訓練の開始

グラウンドでの授業が始まると、静竜が元気に現れ、生徒に対して前日よりも厳しいメニューを課すと宣言した。西南は万全の体調で訓練に臨むが、ケネスとラジャウが西南を支えながら走り、静竜の目を欺いた。静竜が気づいて追いかけるものの、二人は「負傷者の搬送訓練だ」と言い訳し、静竜も一度は納得した。

霧恋と美希の対峙

美希が霧恋と出会い、西南への接触に対する警告を受ける。美希は礼儀正しく引き下がるが、霧恋が緊張していた様子を見た雨音は、それを面白がって眺めていた。

静竜への生徒たちの反応

静竜が演説をしているうちに生徒たちの走路に入り込み、進路を妨げる形になった。生徒たちは「邪魔だ」と合意し、走り出して静竜を踏み越えて走り去った。静竜は倒れこむが、その後も生徒たちは訓練を続け、笑いを誘う結果となった。

霧恋と雨音の会話

雨音は控え室で教育書を読んでいたが、霧恋がグラウンドを見つめているのを発見し、一緒に西南の様子を見に行った。雨音は霧恋に対し、無意味な訓練をいつまで続けさせるのかと問い、霧恋は話し合いの予定があると答えた。

午前の授業終了

授業が終わり、生徒が整列する中で、ボロボロになった静竜は迎えの運転手に引きずられ、車で連れて行かれた。霧恋と雨音は昼食を外でとる計画を立て、去っていった。その後、グラウンドには医療車が到着した。

アイリの店『ナーシス』での会話

アイリの店『ナーシス』は、観光客で賑わうクレーター湾沿いに位置し、霧恋と雨音はそこで静竜と遭遇した。霧恋はコンピューターのメンテナンスの遅さや、西南の生体強化の進行を疑問視し、それに対して静竜は楽観的に振る舞ったが、雨音から冷静にたしなめられる場面が見られた。

西南のメディカルカプセル移送

午前の授業後、疲労困憊の西南は、美希の手配によってメディカルカプセルに収容され、療養のため救護車で移送された。しかし護衛部隊がその移送に不審を抱き、監視を続ける中、カプセル内にあるはずの西南が不在であることが発覚した。霧恋は即座に指示を出し、美希の行方と救護車の移動記録を追跡し始めた。

地下施設での静竜の苦戦と霧恋の救出指示

霧恋と雨音は、グラウンドに向かうと、そこに西南がいないことに気づき、静竜を押しのけるようにして西南の救出に向かった。生徒たちから避難される静竜の姿は滑稽で、霧恋は西南を探し出すことに意気込んだ。

西南の救出と霧恋の決意

美希の手引きで拉致された西南は、実験の危険から美希に助けられ、事態は収束した。霧恋は生体強化の実施が翌日に決まったことを複雑な心境で受け止めつつ、西南に地球へ戻るように説得する方針を改めて考え始めた。

霧恋の内面の葛藤と決断

霧恋は月湖との会話を通じて、西南の将来をどう守るべきかについて深く悩んだ。地球で安全な未来を築かせるべきか、彼の選択を尊重すべきかで揺れ動き、最終的に自分の自己満足ではなく西南の意志を重んじることを再確認した。

エルマの報告とアイリの冷静な対応

エルマが急ぎアイリのもとに駆け込み、西南のパーソナルAIがアイドルAI「キルシェ」と共に姿を消したことを報告した。アイリはその知らせに驚きつつも、状況を冷静に分析した。

キルシェの家出と駆け落ち疑惑

エルマは、キルシェが「捜さないで下さい」という手紙を残して出て行ったことを示し、家出ではなく駆け落ちの可能性が高いと推測した。キルシェが元のデータに戻っていないことも確認したが、今のところシステム障害の報告がないため、アイリは事態を静観する方針を示した。

アイリの判断:自由意思を尊重する

アイリはキルシェがアストラルを持つAIであり、成長した成人であることから、彼女の意思に任せることが最善と判断した。また、無理に連れ戻せば、西南のパーソナルやエルマたちが関与した事実が露見する恐れがあるため、責任を回避する意図もあった。

アイリの命令とエルマへの責任

最後にアイリは、西南のパーソナルAIの一件についての責任を取るよう、エルマに「命令」という形で指示を出した。

6「教師と姉と、恋人と?」

西南の覚悟と霧恋の警告

西南は普段より早く目覚め、待ちに待った生体強化の日に心を引き締めていた。だが同時に、霧恋との決着をつけるべき日でもあると感じていた。西南は、これまで霧恋に異を唱えず、彼女の思いやりに感謝していたが、今こそ自分の意思を示す時だと感じていた。

友人たちとの朝のひととき

朝食の前、友人のケネスとラジャウが訪れ、西南と戯れ合う。彼らとの何気ない会話や日常のひとコマが、西南にとっての宝物であった。だが、その後ケネスたちは寮官室へ呼び出され、別行動を取ることとなった。

霧恋との再会と海辺での語らい

西南は霧恋と海へ出向き、彼女が地球での生活が不可逆的に変わるリスクについて語り出した。霧恋はGPの生体強化の影響を受け、二度と地球での普通の生活を送れなくなる事実を伝えた。その警告は、西南が地球の家族とも疎遠になることを意味していたが、西南の決意は揺るがなかった。

霧恋の葛藤と決断

霧恋は、西南がどれほどの危険に晒されるかを伝えつつ、彼の安全を願って地球への帰還を勧めた。しかし西南は、自分の不運が宇宙で評価されたことに意義を感じており、あくまでGPになる夢を貫くと答えた。霧恋は西南の揺るぎない意志に打たれ、自分の感情と葛藤しつつも、彼の選択を尊重する決意を固めた。

友人たちの応援と静竜の苦悩

一方、友人たちは西南の覚悟を見守りつつ、彼の生体強化に期待を寄せていた。その中で静竜は自らの任務のため、ひたすら掃除に励んでいた。静竜はその使命感とともに、西南の生体強化に対する思いを抱きながら、自らの運命を全うしようとしていた。

エルマのサポートと西南の強化開始

霧恋とエルマは、西南の生体強化の準備を進め、緊張をほぐすために彼を励ました。西南は不安を抱えつつも、自らの運命に立ち向かう覚悟を固め、ついに強化の過程が始まった。その様子を見守る霧恋は、彼の将来に対する想いを胸に秘めながらも、彼をサポートする姿勢を崩さなかった。

新たな道を歩む西南の決意

西南は、すべての準備が整った中で、彼の夢と現実の間に立ち、GPアカデミーでの未来に向けて歩み出した。霧恋との別れがあったとしても、彼の選択は変わらず、未来へと踏み出す力強い決意に満ちていた。

7「新居」

目覚めと新たな身体の発見

西南は目を覚まし、白い天井を見上げた。雨音が西南を見守り、彼に生体強化が終わったことを告げた。生体強化により、普段と異なる身体の感覚に戸惑いながらも、彼は新たな力を徐々に理解し始めた。

生体強化後の訓練と試練

雨音の指示に従い、西南は歩こうとしたが、筋力が増強されていることにより、予想外の動きが生じ、部屋中を跳ね回った。雨音の助けを借りて少しずつコントロールを学び、今後の訓練の厳しさを覚悟するようになった。

雨音との同居決定と友人たちの反応

西南は雨音としばらく一緒に生活し、訓練を積むことが決まった。ケネスやラジャウなどの友人たちはこの状況に懸念を示し、彼と共に行動を共にしたいと訴えたが、雨音に軽くいなされる形でその場を後にした。

静竜の介入と撃退

道中、突如現れた静竜が雨音と西南の間に割り込もうとするも、雨音は冷静に彼を制圧した。静竜の無謀な行動により、彼は海に落下し、西南と雨音は安全にその場を後にした。

エルマの通信と新たな訓練地への到着

車中、エルマからの通信が入り、彼らは次の訓練場所に向かうこととなった。

豪華な「セカンドハウス」への到着

西南は、雨音のセカンドハウスに到着し、圧倒的な豪華さに圧倒されていた。彼が見上げたのは、クルーザーが並ぶ港と岩山をくり抜いた積層住宅。雨音に導かれ、驚きを隠せないまま内部へと進んでいった。

雨音のバックグラウンドと豪邸見学

エルマから、雨音が銀河連盟有数の高級ブランド「カウナック」の令嬢であると知らされた西南は、その財力の一端を垣間見る。内部の装飾や庭園の設計にも豪華さが溢れ、彼は感嘆を漏らした。

霧恋の登場と同居の始まり

雨音邸での生活に驚く西南だが、さらに霧恋も同居することが判明し、驚きと安堵が入り混じった気持ちになる。彼女たちは、西南が一人で過ごすには監督が必要だとし、彼と一緒に生活する計画を明かした。

新生活への不安と友人たちへの気遣い

西南は新生活の始まりに戸惑いながらも、雨音、エルマ、霧恋との生活に胸を躍らせた。しかし同時に、友人やファンクラブ員たちにどのように説明するか悩み始める。

未来への期待とさらなる波乱の予感

クルーザーでの買い物の話が進む中、西南は今後の訓練や日常生活への期待と不安を抱いた。彼の災難はまだ始まったばかりであり、未来にはさらなる試練が待ち受けていることを示唆し、物語は幕を閉じた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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