どんな本?
物語の概要
本作は、SFとラブコメディを融合させた作品である。主人公・山田西南は、極度の不運体質を持つ少年である。
ある日、彼は墜落した宇宙船に衝突するという出来事をきっかけに、銀河警察組織「ギャラクシーポリス(GXP)」に入隊し、宇宙へと旅立つことになる。
彼の行く先々では、数々の冒険と多くの美女たちとの出会いが待ち受けている。
主要キャラクター
- 山田西南:極度の不運体質を持つ少年で、本作の主人公。ひょんなことからGXPに入隊し、宇宙での冒険を繰り広げる。
- 正木霧恋:西南の幼馴染であり、彼を陰ながら支える存在。GXPの職員としても活躍する。
- 雨音・カウナック:GXPの二級刑事で、西南をGXPにスカウトした張本人。明朗快活な性格で、西南の冒険に深く関わる。
- リョーコ・バルタ:宇宙海賊「ダ・ルマー」の幹部。温和な性格で、西南たちと関わる中で重要な役割を果たす。
- ネージュ・ナ・メルマス:宗教国家メルマスの元最高権力者。幼生固定により外見は少女だが、約2000歳の女性。西南を「お兄ちゃん」と慕う。
物語の特徴
本作は、『天地無用!』シリーズのスピンオフ作品であり、シリーズ10周年を記念して制作された。主人公・山田西南の視点から描かれる物語は、彼の不運体質が引き起こす数々のトラブルや、それを乗り越える成長が魅力である。また、多彩なキャラクターとの交流や、宇宙を舞台にした壮大な冒険が展開される点も特徴的である。
出版情報
- 出版社:KADOKAWA
- レーベル:富士見ファンタジア文庫
- 刊行開始:2003年4月
- 既刊数:17巻(2018年6月現在)
- 関連メディア展開:本作はテレビアニメ『天地無用! GXP』として、2002年4月から9月にかけて日本テレビほかで放送された。
読んだ本のタイトル
真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 5
著者&イラスト:梶島 正樹 氏
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あらすじ・内容
原作者・梶島正樹がお届けする、『天地』ファンへのプレゼント!
GPの研修で戦艦に乗り込んだ宇宙一不運な少年・西南。戦艦にはこれまでの航海で宇宙海賊に未遭遇の『0の女神』、雨音も搭乗していたのだが海賊に襲撃されてしまう。西南の力が招き寄せた海賊は最悪の相手だった!
感想
銀河警察アカデミーに入学した山田西南は、入学式での新入生挨拶から早速トラブルを巻き起こす。
スピーカーを粉砕し、さらに学園のコンピューターまで破壊するという「不運体質」を発揮し、学園中を混乱に陥れてしまう。
しかし、それだけでは収まらず、試練の連続となる学園生活がスタートする。
新しい仲間や年上の美女たちに囲まれながらも、西南は未知の敵や強敵に立ち向かい、自身の成長に繋がる経験を重ねていく。
本巻では、アニメ版では描かれなかった細かな設定やキャラクターの心情描写が加わり、天地無用シリーズらしい壮大な物語がさらに深みを増している。
西南が多くの試練を通じて仲間と絆を深め、成長していく様子が描かれており、ドタバタコメディとシリアスな展開のバランスが絶妙である。
西南を取り巻くのは年上の女性キャラが多いが、彼の素朴な人柄ゆえに自然で嫌味がなく、読者を引き込むハーレム展開も見どころのひとつである。
笑いと緊張感が交錯する中で、壮大な冒険と新たな敵との対決が描かれる『GXP』シリーズ。
西南の成長物語としても楽しめる内容で、天地無用の世界観が詰まった一冊となっている。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
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その他フィクション
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備忘録
1「選択と再会」
別れと平等な不平等
美希との別れから一週間が過ぎた。タラント襲撃事件での犠牲者にGPアカデミーの学生が含まれていることが判明し、霧恋と雨音は緊急招集を受け、GP本部での待機を余儀なくされた。事件の背景に潜む深い不平等について、二人は改めて感じさせられていた。
会議後の緊迫した空気
会議を終えたGPと軍関係の幹部たちは険悪なムードの中、会議室を後にした。霧恋たちを見た一部の軍幹部は、彼女たちに対する侮蔑の視線を隠そうともしなかった。そんな中、霧恋と雨音は、知人である吟鍛からも冷淡な視線を受け取り、動揺したが、美守が励ますように二人を連れ出した。
タラント襲撃の真相とその背景
美守は霧恋と雨音に、タラント・シャンクが今回の事件の背後にいることを明かした。GPにとっても、西南の存在が犯罪を引き寄せる危険要素と見られる側面があるとされ、彼の存在が逆に犯罪誘発に繋がるのではとの疑問も浮上していた。タラントの目的が西南である可能性を踏まえ、対策が急がれていた。
GPと軍の思惑と霧恋の監視任務
軍部は囮部門の強化や西南の監視体制を構築する計画を進め、霧恋がその任に当たることとなった。囮部門を軍に組み込む動きが進む中、軍の高官たちは西南を抑え込むことが戦略的に重要だと考えていた。
美兎跳の登場と軍内部の混乱
吟鍛と美咲生の会話中、美兎跳が現れ、西南の囮部門配属について軽く触れた。美兎跳の神出鬼没な行動に一部のクルーが戸惑うも、二人は慣れた様子で対応した。軍の存在意義が問われる中で、西南の配属が今後の局面を大きく左右することが示唆された。
西南の葛藤と決意
エルマに見送られた西南は、彼の宿命的な不運によって周囲を巻き込んでしまうことを懸念しつつも、GPに残りたいという願望と向き合った。地球に帰るべきという思いと、ここでの新たな居場所を守りたいという気持ちに揺れながら、西南は最終的に「ここに居続ける」という決意を固めた。
芝猪の襲撃と重苦しい寮の空気
西南は寮へ到着し、重苦しい雰囲気が自分に向けられていることを感じ取った。同級生たちは彼を慰めるが、西南は「大丈夫」と返答した。西南の部屋には友人たちが集まっており、悲しみに暮れていたが、西南の冷静な様子に戸惑い、苛立ちを覚えた。
友人たちの怒りと葛藤
ケネスら友人たちは、美希の死に対する怒りを表し、復讐を望む姿勢を見せたが、西南の冷静な反応に不満を抱いた。彼らは西南に行動を求めたが、西南は自分たちに何ができるかを冷静に考えるべきだと主張し、現実的な対策の重要性を強調した。
GPアカデミーでの適性検査と西南の選択
GPアカデミーでは、事件の詳細が伝えられ、学生たちは今後どうするかを問われる適性検査が行われた。多くの学生が退学や帰宅を決意する中で、西南は冷静に帰宅を選択し、友人たちとの違いを見せた。霧恋と雨音は、西南の決意に安堵しつつも、彼の今後の行動を静かに見守ることにした。
博司と月湖の再会
博司は湖畔で月湖と再会し、互いに過去を語り合った。博司は美希との関係が罪悪感から来るものであったことを告白し、彼女を娘のように思っていたことを打ち明けた。月湖は博司の心情を理解し、彼の悩みに寄り添う態度を見せた。
月湖の希望と決意
月湖は、美希の存在が博司にとって束縛の対象ではなくなったことを確認し、新たな可能性を提案する決意を固めた。博司の目の前で、彼にとっての希望を見出し、二人の間に新たな関係性が生まれる可能性を示唆した。
西南と清音との再会
西南は走り、目の前に現れたのが清音であることを確認し、感動の涙を流しながら彼女にしがみついた。清音も再会を喜び、優しく西南を抱きしめ、昔を懐かしむように彼を撫でていた。
清音への疑念
再会の喜びを感じる一方で、西南は清音の死が本当だったのか疑問を抱き始めた。幼い頃に経験した清音の葬儀の様子を思い返し、彼女がなぜアカデミーにいるのか疑問に感じていた。
天女の登場と正体の説明
天女が現れ、清音ではなく彼女の娘であり、天地の姉であることを西南に告げた。天女は時折清音と入れ替わり、西南たちと接していたことを明かし、母の代わりとして天地や西南と絆を築いてきたことを語った。
西南への励まし
天女は、これまで多くの人々との関わりを避けがちだった西南に、「何があってもこの手を離さない」と励まし、彼がここにいて良いのだと伝えた。西南はその言葉に心を動かされ、ここに留まる決意を新たにした。
対岸からの観察と霧恋の感情
対岸から瀬戸たちは双眼鏡で様子を観察し、霧恋と雨音は、西南が天女に見せる表情に対し、複雑な感情を抱いていた。水穂は霧恋に心のエールを送り、西南の心の癒しが進むことを静かに見守った。
浮遊島での反省と会話
選択肢型アドベンチャーテストを終えたケネスとラジャウは、アカデミーを見下ろしながら浮遊島に座っていた。ケネスはテストで謹慎処分を受けたと語り、ラジャウもまたアカデミーから出ることができなかったことを話した。二人は、西南の伝手を頼ろうと試みたが門前払いを受け、未熟さを痛感した。
悲しみと無力感の自覚
ケネスとラジャウは、美希たちが襲撃された現場にもし行けたとしても、自分たちには何もできなかっただろうと認め、悲しみと無力感を抱えた。ケネスは「何かできる」と思い込むことで悲しみを紛らわせていたと気づき、ラジャウも同調した。
西南への謝意と決意
ラジャウは、西南が抱える理不尽な確率の偏りを理解し、彼に言い過ぎたことを謝ろうと提案した。ケネスもその言葉に賛同し、彼に直接謝罪することを決意した。
食事パーティーの計画
会話の中で、翌日から食事管理プログラムが始まることを聞いたケネスは、今日だけ好きなものを食べられることに気付き、ラジャウとともにパーティーを開くことを決めた。二人は勢いよく立ち上がり、転送ポートに向かって駆け出した。
2「希望と平穏」
工房での発見と希望
博司は月湖に連れられ、アイリの工房に到着した。そこで西南のバイオメタル製のNBが女性形態に変化していることを知り、驚きつつも美希の存在を感じ取った。月湖と研究員の珀嶺から、美希のキャラクターデータが強制転送されようとしたこと、その結果、NBにアストラルが宿った可能性があることを聞き、博司は美希がまだ生きているという希望を抱いた。
新たな誓いと仲間たちの再会
寮に戻った西南は、改めて自分の目標を確認し、美希のために努力することを誓った。彼を見つけたケネスとラジャウは、西南の謝罪を受け入れ、急ぎ足で寮の掲示板へ向かわせた。
寮の部屋割り変更と期待
掲示板には一年生の部屋割り変更が表示されており、西南たちの新しい部屋は、寮の主要施設に近い特等地であった。興奮したケネスとラジャウは、西南を伴い寮の裏手の新しい居住区に向かい、研究員たちとの近隣生活に期待を抱いた。
監視体制の厳格化と反発
西南たちの新しい居住区は、女性職員との接触が厳しく制限された監視区域となった。ケネスとラジャウはその制約に苛立ちながらも、接触を試みるための策を模索した。
瀬戸と霧恋の対話と護衛計画
一方、霧恋は瀬戸に対し、西南たちへの護衛員の配置について抗議した。瀬戸は、珀蓮らが自ら志願したことを伝え、彼女たちが西南の支えとなることを示唆した。霧恋はその意図を理解しつつも、西南のために何ができるか悩み続けた。
西南の再強化命令
西南は寮で監視下に置かれながらも、再びケネスたちと研究員への接触方法を模索していた。しかし寮職員からの呼び出しを受け、すぐに控え室へ出頭し、二度目の生体強化を受けることとなった。
キルシュと博司の対話
西南はNBのキルシュのプログラム空間内で深く眠っていた。目覚まし音が響き、キルシュはその場にいる美希の父、博司に向き合った。キルシュは美希のデータが一瞬転送され失敗したこと、自身が無意識にそれを拒絶したことを告白した。博司はキルシュを責めず、感謝の意を示し、キルシュの存在を「一人の人間」として受け入れ、キルシュの涙を誘った。
博司と月湖の会話
意識を戻した博司は、キルシュとの対話を振り返りながら、月湖に軽くからかわれつつも、キルシュを「一人の娘」として励ましたことを思い返した。彼は月湖や珀嶺と共に、次の研究に取り組む準備を始めた。
キルシュの決意
キルシュは博司との対話で自身に自信を持ち、西南を心から支えたいという気持ちが芽生えた。西南のために料理を確認し、彼の寝室に向かって彼を優しく起こした。
霧恋と西南の周囲
翌朝、西南はケネスやラジャウと通信し、自分の居場所を認識し始めた。玉蓮は彼を見守りながら、周囲に集まる霧恋たちは互いに支え合いながら日常を過ごしていた。
アイリの不気味な企て
その頃、アイリは研究室で不気味な計画を進めようとしていたが、無表情の秘書にたしなめられ仕事に戻らざるを得なくなった。
NBの誤作動と玉蓮の焦燥
NBが西南の私室で不審な動きを見せ、周囲を騒がせた後、霧恋や火煉がその修理に携わった。しかしその際、玉蓮が突然、西南に向けて攻撃衝動を覚える状況に陥り、霧恋や周囲のメイドたちが緊張感をもって対処した。
霧恋と玉蓮の対立
玉蓮は自身の内面を霧恋に語り、霧恋も西南にとって重要な人物であることを認識した。だが、玉蓮の存在に挑戦的な笑みが浮かび、霧恋との間で再び対立が生じた。
西南の空腹と日常の幕引き
最終的に、事件の発端であった西南は空腹を抱えながら静かに居間で待ち、日常の温もりに包まれていた。
瀬戸と鷲羽の対話
瀬戸は鷲羽研究所で水穂の報告書を楽しみながら読んでいた。そこにノイケの支えを借りて鷲羽が現れ、アストラルリンクの状況について語った。鷲羽の左肩は、魎皇鬼と同じ結晶化が進み、その内部には小さな生命体が封印されていた。
西南と霧恋に関する報告
瀬戸は鷲羽に西南と玉蓮の関係に関する報告書を見せた。内容を確認した鷲羽は、予想通りの展開だと満足そうに語り、霧恋が抱える苦労にも共感を示した。瀬戸とノイケは、西南の周囲に集まる人々との関係について意見を交わし、玉蓮に好かれた西南の運命を興味深く感じていた。
鷲羽とノイケの協力体制
鷲羽は瀬戸の計画に基づき、新しい船のコアを準備することを決意した。瀬戸の提案を受け入れ、鷲羽は自身の計画を進めるため、コアの開発を趣味全開で行うと語った。
砂沙美との再会
会話中に、柾木家から砂沙美が現れ、鷲羽と瀬戸に挨拶を交わした。砂沙美は鷲羽の結晶化した肩に驚きつつも、そのコアが新たな船の核であると説明を受け納得した。そして砂沙美が鷲羽の食事の席に戻る日を楽しみにしていた。
鷲羽の休息と瀬戸の支援
砂沙美たちが退出した後、鷲羽は立ち上がったが体力が限界に近かった。瀬戸は鷲羽の身体を支えると、そのまま抱き上げて階段を下り、彼女を休息の場所へと送って行った。
3「合同訓練旅行」
西南の日常と合同訓練の準備
美希の事件から二ヶ月後、西南は平穏な日々を過ごしていた。霧恋の提案により、意図的に二人にならないルールが守られ、雨音邸での生活も落ち着いていた。ある夜、合同訓練のパンフレットを眺める西南に、雨音や霧恋、エルマが加わり、訓練の準備と期待が語られた。
訓練への期待と過去のエピソード
合同訓練の話題をきっかけに、霧恋と雨音は過去の訓練時の思い出話を交わした。霧恋が偶然の料理が評価されて悔しがった出来事を思い出し、教官たちの性格が垣間見えた場面であった。西南も仲間たちと共に、修学旅行のような訓練に胸を躍らせた。
訓練艦への出発とクラスメートの交流
翌朝、西南はクラスメートと共に訓練艦へ乗り込んだ。男女混合での訓練に期待を抱く男子生徒達の様子が描かれ、仲間たちは女子生徒との交流を狙って策を練り始めた。しかし、西南は訓練艦に目を奪われ、宇宙に出る喜びに浸っていた。
教官たちの見送りとアイリの密航未遂
出発に際して霧恋やエルマ、美守らが見送りに立ち、霧恋は西南の無事を祈った。また、訓練艦に密航しようとしたアイリが見送りの列に紛れて発見され、秘書たちに強制的に退場させられる一幕があった。
納月での水穂の不安と激励
衛星軌道上の情報収集艦『納月』では、任務に伴うプレッシャーで涙ぐむ水穂がいたが、連島や珀蓮からの励ましを受けて立ち直った。彼女は再び任務に集中し、西南の訓練艦とのランデブーに備えた。
訓練艦の出発準備と静竜の異様な登場
訓練艦では、教員五十名が各チームに分かれ、各部署の指導にあたっていた。艦長役に任命された天南静竜は、自慢げに訓辞を始めたが、彼と共にブリッジ要員となった雨音は不機嫌そうであった。静竜の冗長な挨拶が終わり、雨音が簡潔に副艦長としての挨拶をすると、オペレーターたちは彼女を歓迎し、盛大な拍手で応えた。一方で、静竜には後方に派手ながらも仮設の安っぽい席が用意されていたが、彼はそれを気に入って満足げに座り、場を和ませた。
大型コンテナの接続と訓練の開始
訓練艦は大型コンテナを接続し、外洋宇宙へ向けて出発した。生徒たちは、まず訓練の概要として、自動化施設の監視業務など緊急時に備えた訓練内容について説明を受け、各作業ブロックへと移動した。西南は他の生徒たちと共に荷物仕分けの作業を行ったが、途中でケネスが意気消沈し、仲間が彼を励ます場面が見られた。
昼食と雨音への興味
生徒たちが昼食を取る時間となり、雨音とオペレーターたちも食事をとっていた。オペレーターたちは雨音のプライベートや西南に対する感情について質問したが、雨音は教師としての立場を強調しながらも、西南が抱える「確率の偏り」について話し、彼の悪運を理解しようとする姿勢を見せた。
超空間ジャンプと静竜の転落事故
訓練艦は超空間ジャンプの準備を整え、いざジャンプを開始したが、ブリッジが激しく揺れ、静竜は足元を崩し転落してしまった。これにより雨音が指揮を引き継ぎ、ブリッジのオペレーターたちは迅速に状況確認と対応を行った。
エンジンの不調とアラン達の責任回避策
一方、機関部のオペレーションを担当していたアラン、バリー、コーンはエンジンの異常に気づき、混乱に陥っていた。事態の深刻さに焦ったアラン達は、倒れている静竜に責任を押し付けるため、彼をモニター端末に押し付け、故意に気絶したふりをしてその場をしのごうとした。
訓練艦への海賊襲撃
訓練艦が通常空間に現れると、偶然近くにいた海賊の偵察艇がその動きを察知した。海賊船主コマチ・京は、襲撃の準備を指示し、訓練艦への攻撃を開始することとなった。海賊は直接的な撃沈を避けつつ、訓練生たちに現実を見せつける形での襲撃を試みた。
納月による支援と惑星規模艦の対峙
訓練艦を追尾していた納月は、突然の妨害波により位置が不明となり、また接近する巨大な惑星規模艦による攻撃に晒されていた。珀蓮は安全策をとりながら、巨大艦の正体確認を優先し、戦闘配備を指示した。納月は緊急加速し、接近する巨大艦と速度を合わせていった。
訓練艦内での生徒たちの動揺と西南への疑念
訓練艦の生徒たちは、昼食時にエンジントラブルの影響で片付けを余儀なくされた。静竜が復活し状況を説明したが、生徒たちの間には西南の悪運に対する疑念が広がっていた。しかし、西南自身は周囲の穏やかな反応に安堵した。
ケネスとラジャウの騒動とNBの不審な行動
西南のNBは、ケネスとラジャウの好奇心に応える形で、更衣室や浴室の映像を映し出していたが、突如映像が停止し、二人は不満を漏らした。西南は、NBの不審な行動に疑問を抱きつつも、異常プラグインの影響を感じ取ったが、追及は控えた。
ブリッジでの混乱と静竜の暴走
訓練艦のブリッジでは、海賊襲撃の報告を受け、静竜が興奮して指示を出していたが、実務は雨音が担っていた。雨音は無用な戦闘を避けつつ、生徒たちの安全を最優先とし、防衛策を講じる一方で、静竜の行動に苛立ちを感じていた。
生徒たちの混乱と再度の衝撃
海賊との交戦状態が続く中、ブリッジ内は小型突撃艇の接近による緊張感に包まれた。オペレーターたちは各々職務に専念する中、静竜は再び突撃を叫びながら、戦闘意欲を前面に出し、雨音の苛立ちをさらに募らせる結果となった。
交戦状態とケネスたちの行動
訓練艦が海賊に襲撃され交戦状態に入った中、西南は興奮して鼻血を出していた。ケネスとラジャウはNBと共に廊下へ出て、外の状況を確認しようと行動を開始した。西南も彼らを追い、階段を上って外周通路へ向かった。
静竜による西南への誤攻撃
外周通路で西南は、光剣を構えた静竜に襲われた。静竜は西南を海賊と勘違いし、攻撃を加えたが、西南は必死に避け、逃げ続けた。
雨音の介入と海賊船コマチの動向
艦内監視をしていたオペレーターは、静竜が西南を追い回している映像を雨音に転送した。雨音は苛立ちながらも対応を決意し、ブリッジを飛び出した。一方、海賊船主コマチ・京は、訓練艦の救難信号を樹雷艦に転送しようとする作戦を企て、海賊側の侵略準備が進んでいた。
納月の決断と超空間ジャンプ
納月は、訓練艦を護衛するため、妨害を受けながらも超空間ジャンプの準備を進めた。指揮官珀蓮の指示で、無人小型監視機EGSを射出し、減速して訓練艦へと向かった。
静竜と西南の対峙、突撃艇の侵入
静竜に追い詰められた西南は、貨物室に逃げ込んだが、突撃艇の侵入により状況は一層緊迫した。静竜と海賊主コマチが対峙し、光剣での戦闘が開始された。両者の攻撃が衝突し、ブレード部分が可視化された瞬間、防犯用ジェルが発射され、二人は次々とジェルに包まれて動けなくなった。
NBの不正行為と雨音の制裁
NBは海賊船システムにアクセスし、映像を盗撮していたが、雨音に見つかり厳しく問い詰められた。NBは恐怖に怯え、慌てて訓練艦の状況把握に戻った。
海賊艦内の不和と納月の登場
コマチ艦では、海賊のオペレーターたちが監視映像の誤操作で混乱していた。混乱が続く中、コマチ艦が大きく揺れ、納月がジャンプアウトし前方に姿を現したことで、緊迫した状況がさらに高まった。
ジェルに溺れる危機
排出されるジェルが次第に増え、静竜とコマチは窮地に陥った。静竜は救援が来ないことに不満を抱き、コマチは状況を冷静に見つめつつ、通信の無効を指摘した。樹雷艦の到着も間近に迫り、さらに緊迫感が増した。
西南の脱出試み
西南は手持ちの小型ナイフを使用し、ジェルをゆっくり切ることで脱出を図った。脱出が成功したことで、コマチは西南の機転に驚きつつも、彼の有能さを認識した。
NBとの通信と操作
NBがジェルの流出を停止させる方法を指示し、西南はその手順に従いながら装置を手動で操作し、ジェルの流出を完全に止めた。コマチはその様子を見て西南の実力に感心し、静竜の態度を反面教師のように見ていた。
救援隊の到着と海賊の再侵入
コマチの突撃艇が到着し、海賊たちが再び倉庫内に突入した。コマチの指示で、西南を避けつつジェルを切断する方法を知り、ゆっくりとした作業で脱出の準備を進めた。
海賊艦の盗撮騒動
海賊艦のシステムとNBのシステムが干渉し、盗撮映像が公開されるという騒動が発生。海賊たちはその混乱に乗じて発砲したが、防犯用ジェルの発射により混乱が拡大し、最終的に海賊たちは銃を捨てざるを得なくなった。
救援とコマチの脱出
雨音率いるGPの救援隊が到着し、突入を開始した。コマチたちは時間を稼ぎつつも、ジェルを切断し静竜ごと固まりで担いで脱出を試み、コマチは西南への礼を言い残して立ち去った。
雨音と西南の再会
コマチたちが去った直後、雨音が現れ、西南の無事を確認した。西南は静竜が海賊にさらわれたことを伝え、雨音は内心で喜びつつも、表向きには同情を示した。
4「平穏と狂気の洗礼」
銀河アカデミーの会議と理事長アイリの謝罪
理事長室にて、アイリと美守がモニター越しにキルシュから苦情を受けていた。キルシュは、アイリのネット知り合いが操作したNBの行動により、西南が危険にさらされたと伝えた。最終的に、アイリはキルシュと美守の前で謝罪した。
アイリと美守の戦略的検討
美守は、西南がダ・ルマーギルドの母艦に遭遇した可能性を指摘し、彼の才能を評価した。また、アイリは「守蛇怪」の使用を提案し、その実戦テストの機会として西南を囮部門に配属することを計画した。
霧恋とアイリの対話
夜に霧恋とアイリが面会し、アイリは西南を囮部門の研修に出すことを伝えた。霧恋は、西南が学生生活を楽しむべきだと主張しつつも、彼の才能が求められる状況に理解を示した。さらに、ダ・ルマーギルドの基地母艦との遭遇が西南の能力と深く関わっていると知った。
西南の研修決定
翌日、アカデミーの校長室で、西南は囮部門への研修を命じられた。校長の美守から詳細を伝えられた西南は、熟考の末、この任務を承諾した。美守は西南の覚悟と決意を評価し、そのサポートを約束した。
晩餐会での激励
出発前夜、アイリ主催の晩餐会が開かれ、霧恋や火煉などが参加した。西南の実務研修を祝しながらも、仲間たちはそれぞれ激励と別れの言葉を述べた。和気藹々とした雰囲気の中、会は無事に終了した。
西南の迷子と美兎跳との再会
出発の日、西南はGP基地内で道に迷っていた。困惑する中、美兎跳と再会し、彼女の案内で囮部門へ向かうこととなった。しかし、彼はその時、重要なことを忘れていたことに気付いていなかった。
銀河軍戦艦「リナミクス」の試験航行
銀河軍戦艦『リナミクス』が新型超空間ゲートを通じて、通常空間に現れた。艦内では霧恋とライズ艦長が情報を交換し、西南の任務について話し合っていた。その途中、海賊艦「ダイダロス」が出現し、戦闘態勢に入ることを余儀なくされた。
美兎跳と西南の艦内での迷いと捕獲試み
艦内で掃除中の美兎跳と西南が「リナミクス」に潜入してしまい、食堂でプリンを食べているところを見つけられた。艦長は二人を隔壁で封じ込めようとしたが、逃げられてしまった。
海賊艦「ダイダロス」との交戦
ダイダロスから発射された牽引ビームがリナミクスに命中し、逃走を阻止された。ライズ艦長は全武装で応戦したが、牽引ビームを切断できず、海賊達の突入を許す結果となった。
霧恋の決意と脱出作戦
霧恋は危機に対処すべく、個人の能力を最大限に発揮し脱出作戦を立案した。彼女はブリッジを飛び出し、自ら囮となりながらも戦闘準備を整えた。
タラントの追撃と西南の逃走
タラントは西南を執拗に追い、ガーディアンの力で警備兵を無力化しながら、西南の進路を封じ込めた。西南は必死で逃げるものの、途中で自身の無力さと非力さに悔しさを募らせていた。
霧恋の復讐と対海賊行動
霧恋はダイダロスのブリッジに侵入し、副官を排除した。彼女は徹底的に海賊達への報復を図り、抑えきれない怒りから攻撃を開始した。
西南の憎悪と復讐心の覚醒
タラントに対して西南は初めて強い憎悪を抱き、自身の無力さを痛感した。タラントからの銃撃を避けながら、西南は逃走を続けていたが、最終的に閉じられた隔壁に追い詰められた。
西南の囮作戦と隔壁の操作
美兎跳の保護には成功したが、西南はタラントに追われていた。ライズ艦長は、艦内の隔壁を一部復帰させ、西南を見殺しにせず、敵の行動を抑えることに努めた。
美兎跳のオペレーション能力
ブリッジに現れた美兎跳は、霧恋の席でプログラムを操作し、海賊の動きを完全にコントロールした。美兎跳の巧みなオペレーションによって、警備兵の援護が効率的に行われ、西南への支援が続けられた。
霧恋の怒りと海賊の排除
霧恋は海賊達を次々と撃破しながら進み、驚異的な速度で敵を粉砕した。ダイダロスの内部で霧恋が一人で戦闘を続け、海賊に大きなダメージを与えていった。
西南の窮地とタラントとの対峙
西南はタラントに追い詰められ、負傷しながらも最後の抵抗を見せた。タラントは西南に対して恨みを抱き、彼を執拗に追い詰めたが、霧恋が現れ、西南を守ろうとする場面が展開された。
瀬戸の船「水鏡」の到着と救援
ダイダロスが超空間ジャンプで逃亡する一方、樹雷の鬼姫・瀬戸が乗る『水鏡』が現れ、リナミクスのクルーを救援した。オペレーター達は、瀬戸の船の登場に歓喜し、危機が去ったことに安堵した。
5「迷いと決意」
アカデミー本星衛星上の療養施設と西南の苦悩
高度医療衛星にある療養施設で、雨音は西南を見舞いに訪れた。静寂に包まれた病室で、西南は過去の出来事について語り、罪悪感と恐怖に悩んでいた。彼は自身の弱さと無力感に打ちひしがれていたが、雨音の存在が彼の心を少しずつ暖かくした。そして西南は強くなりたいと願いを抱き、最後にはGPを辞めたくないという決意を示した。
雨音と他の見守る者たち
雨音は西南のそばで支える意志を固めたが、この様子は雨音のペントハウスでアイリや珀蓮たちも見ていた。アイリは嫉妬に駆られたものの、他の者たちは感動し、雨音の行動に賛同した。さらに、美守がアイリに対してアイリの行動を叱責し、理事長室へ連れて行く場面もあった。
ダイダロスとの戦闘後の被害報告と関係者の反応
ダイダロスとの戦闘により多くの被害が発生したが、霧恋による殲滅戦の影響もあり、被害は最小限に抑えられていた。美守とアイリは、被害報告の中で霧恋の行動に触れ、また内部にスパイ容疑がかけられている状況に注意を払っていた。
西南の新しい艦「守蛇怪」の準備と配属計画
アイリは西南が乗る艦「守蛇怪」を整備しており、これは樹雷の新型主力艦としてのテストにも適した艦であった。エルマはこの艦の配備と仕様に驚き、皇家の船に似たメインコンピューターを搭載した意図についても説明を受け、艦の性能と可能性に深く興味を持った。
霧恋の配属決定と西南との関係性の変化
霧恋も西南の補佐として「守蛇怪」に配属されることが決まり、美守からその役目を伝えられた。霧恋は上官となった西南との距離の変化を意識し、自分の心の変化を感じていた。彼女は正式に任務を受け入れ、西南と共に前進する決意を固めた。
アイリとエルマの意図と計画の裏側
アイリはエルマを「守蛇怪」の準備に協力させる意図を持ち、エルマに西南の周囲を支える重要性を説いた。アイリと天女は、西南のために多くの支援を計画しており、エルマもその一環として巻き込まれることとなった。
西南の入院と安定した日々
西南は入院中、精神的な安定を取り戻して平和な日々を過ごしていた。雨音への心の吐露により、迷いが晴れ、霧恋と会えない状況にも冷静に対応していた。病院内での怪我も多かったが、医師や看護師たちから自己判断と応急処置の手際を認められ、修復シールを自分で貼ることを許された。
退院と美守からの任務命令
西南は退院の日、アカデミーの制服に着替え、見舞に来た美守校長から新たな任務地への移動命令を受けた。美守は手続きも済ませ、西南が任務に集中できるよう配慮した。西南は心の中で霧恋への思いを抱きつつも、新たな目標に向けて出発を決意した。
「迷いの通路」での覚悟の確認
西南は転送ゲートへ向かう途中、「迷いの通路」と呼ばれる場所で立ち止まり、自分の覚悟を確認していた。自分の「ここに居たい」というワガママを貫く意志を確かめ、他者への配慮と責任感を抱きつつ、再び前進することを決めた。
新たな任務の始まりと「守蛇怪」への搭乗
移動先で、厳重なセキュリティを通過した後、西南は守蛇怪という新型艦の前で再び仲間と再会した。彼が乗る艦「守蛇怪」は試作品であり、設計製作者はアイリであることが明かされた。艦内で同僚や清掃部のメンバーと再会し、守蛇怪での新たな旅が始まった。
守蛇怪での艦長任命と霧恋との再会
守蛇怪に乗り込んだ西南は驚くべきことに、艦長に任命された。緊張する西南に対して、艦長としての任務が次々と進められた。さらに霧恋と再会し、彼女も情報管理官として着任したことで、西南は彼女と共に新たな航海を始めることになった。
守蛇怪の初出航と仲間たちからの見送り
守蛇怪の出航準備が整い、正式な手続きを経て第一次訓練航行に出発した。アイリや関係者たちがモニター越しに見送り、クルー全員が敬礼を返す中、守蛇怪は新たな任務へと旅立った。
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