どんな本?
物語の概要
本作は、SFとラブコメディを融合させた作品である。主人公・山田西南は、極度の不運体質を持つ少年である。
ある日、彼は墜落した宇宙船に衝突するという出来事をきっかけに、銀河警察組織「ギャラクシーポリス(GXP)」に入隊し、宇宙へと旅立つことになる。
彼の行く先々では、数々の冒険と多くの美女たちとの出会いが待ち受けている。
主要キャラクター
- 山田西南:極度の不運体質を持つ少年で、本作の主人公。ひょんなことからGXPに入隊し、宇宙での冒険を繰り広げる。
- 正木霧恋:西南の幼馴染であり、彼を陰ながら支える存在。GXPの職員としても活躍する。
- 雨音・カウナック:GXPの二級刑事で、西南をGXPにスカウトした張本人。明朗快活な性格で、西南の冒険に深く関わる。
- リョーコ・バルタ:宇宙海賊「ダ・ルマー」の幹部。温和な性格で、西南たちと関わる中で重要な役割を果たす。
- ネージュ・ナ・メルマス:宗教国家メルマスの元最高権力者。幼生固定により外見は少女だが、約2000歳の女性。西南を「お兄ちゃん」と慕う。
物語の特徴
本作は、『天地無用!』シリーズのスピンオフ作品であり、シリーズ10周年を記念して制作された。主人公・山田西南の視点から描かれる物語は、彼の不運体質が引き起こす数々のトラブルや、それを乗り越える成長が魅力である。また、多彩なキャラクターとの交流や、宇宙を舞台にした壮大な冒険が展開される点も特徴的である。
出版情報
- 出版社:KADOKAWA
- レーベル:富士見ファンタジア文庫
- 刊行開始:2003年4月
- 既刊数:17巻(2018年6月現在)
- 関連メディア展開:本作はテレビアニメ『天地無用! GXP』として、2002年4月から9月にかけて日本テレビほかで放送された。
読んだ本のタイトル
真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP 6
著者&イラスト:梶島 正樹 氏
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あらすじ・内容
テスト航海を終えようやくアカデミー本星に帰って来た山田西南。流されるままケネスたちとナンパに出た西南は、突然凄い衝撃を感じ意識を失う。気付くとホテルのベッドに寝かされ、美女が足をからめて来ていて……。
感想
西南はついに初給与を受け取り、宇宙でお世話になった人々へ贈り物をしようと考えた。だがその裏で、彼を暗殺しようとする海賊が動き出し、エルマ(リョーコ)に人質を使って脅迫を仕掛ける。
エルマは危機に直面する中で、自分が最も自然体でいられるのは西南のそばだと気付き、暗殺計画は未遂に終わった。
エルマのこの心の変化は物語に深みを与えていた。
また、地球にいる天才科学者が奇妙な品物を売り歩く場面や、樹雷の琥珀が登場し、それが西南の手に渡るという一幕もユーモアたっぷりに描かれていた。
さらに、しばらく姿を見せなかったリョーコ・バルダのエピソードがアニメでのギャグ要素に深みを加えて描かれ、新たな意味が示されている点も見どころであった。
そして、巻の最後には、西南が届けた「危険な荷物」を巡って新たな脅威が迫り、物語は次巻へと続く緊迫感を残した。
読者として、宇宙で成長を遂げる西南の人間性と仲間たちとの交流、そして危機の中で彼を支える人々の心情に引き込まれた。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
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その他フィクション
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備忘録
1「初体験」
宇宙の広大さと西南の船長としての初仕事
宇宙は人類にとって未開拓の広大な領域であり、銀河連盟ですら全てを把握できていなかった。西南は新たに艦長に任命された「守蛇怪」に乗り込み、解放感とともに宇宙の壮大さに酔いしれていた。この艦は、優れた性能を持ち、銀河連盟圏内での自由な航行が許され、主に海賊対策に利用されることとなった。
守蛇怪のテスト航行と予期せぬ海賊との遭遇
テスト航行中、西南は銀河連盟の勢力図を確認し、未開拓の地域が多いことを再認識していた。順調に航行していた守蛇怪だったが、テスト中に海賊艦と遭遇し、戦闘が発生した。守蛇怪の性能は期待以上であり、海賊に対して圧倒的な戦力を発揮したが、攻撃中の中止命令を迷う西南に対して、周囲は慎重に状況を見守っていた。
西南の葛藤と海賊行為に対する疑問
海賊艦が降伏を口にせず戦闘態勢を崩さなかったため、西南は疑問を抱きつつも攻撃を続けた。海賊行為の根底には、物欲や貧困に由来する問題があると知り、西南は「宇宙の広さに対してなぜ海賊行為を選ぶのか」という根本的な疑問を抱き続けていた。
海賊の声と攻撃中止の決断
赤ん坊の声を聞き、西南は攻撃中止を命令したが、それが海賊による策略であることを後に知り、驚きと戸惑いを覚えた。霧恋や雨音は西南にその手法について説明し、これが新任艦長への試練の一環であると軽く励ました。
艦長としての役割と守蛇怪の存在意義
守蛇怪は、ただ海賊を排除するだけでなく、宇宙の秩序を維持し、経済活性化にも貢献する存在として期待されていることが示唆された。西南は自分の役割の重さを理解し、艦長としての責務に目覚めつつ、宇宙での新たな旅路に対する覚悟を強めた。
アイリの西南に対する評価と関心
アイリは霧恋からの報告を見て、西南の冷静さと成長ぶりにやや驚きつつも、その成熟さが面白みに欠けると感じていた。美守は年長者として西南の心を癒すべきだと考えていたが、アイリの過剰な関心がトラウマになる恐れがあると水穂が指摘し、アイリは少し反発しながらも意見に耳を傾けていた。
美守と水穂の冷静な分析
美守と水穂は、西南の海賊に対する対応がやや稚拙であることを認識しつつも、彼の反応が理性的であることに安心していた。美守は、西南の感情の揺らぎが少ない点について複雑な思いを抱いており、それを水穂と密かに共有した。
守蛇怪のテストデータと実戦データの進展
アイリは守蛇怪のテストデータが順調であることに満足しつつ、より実践的なデータ収集が必要だと考えていた。彼女は予定よりも早く守蛇怪を帰投させ、船体のチェックを行うことを提案した。
アイリの計画実行の提案と美守の承諾
アイリは、予定よりも早めにある計画を実行したいと提案し、子供のようにねだり始めた。美守は水穂と相談し、準備が整っていることを確認した後、アイリの提案を承諾した。そして、すぐに転送ゲートに向かい、計画の準備に取り掛かった。
2「慰霊と慰労と苦労」
帰投と健康チェック
『守蛇怪』は海賊艦の拿捕任務を終え、アカデミーの専用ドックへと帰還した。西南は天女とエルマに迎えられ、医療部屋で健康チェックを受けた。天女とエルマは、任務後の西南の状態が良好であることを確認し、彼に安堵の表情を見せた。
NBとの騒動
医療部屋で天女に変装したNBが西南に接触するも、天女本人に見破られ、天女から強烈な制裁を受けた。天女は不適切なデータの削除を行い、騒動の場面を終えた。
天女の配慮と助言
天女は西南に、同僚の霧恋との関係についてさりげなく問いかけた。西南が答えを渋ると、天女は彼の意思を尊重し、無理に関与しないことを約束した。さらに、友人たちと過ごすために一日休暇を取るよう勧め、彼の疲労回復を促した。
謎の女性の登場
天女の側に突如現れた金髪の女性が、亜空間から実体化して姿を見せた。エルマは彼女に魅了され、天女からはその女性についての説明が後にあることを示唆された。
仲間たちとの再会と都市への小旅行
西南はNBとともにアカデミー本星へ帰還し、友人のケネスやラジャウと再会。彼らの案内で都市773を訪れることとなった。早朝の風景と共に、彼は地上の開放感を楽しんだ。
モノレールの体験
都市内で、ガラス張りのモノレールに乗った西南は、透明な床から見える景色に一瞬恐怖を感じつつも、眺望に感動を覚えた。ケネスとラジャウの説明を聞きながら、彼はその景観を満喫した。
美希への慰霊
頂上部にある白いドームに到着した西南たちは、太陽を墓標とする慰霊の場で、美希のために祈りを捧げた。美希の明るさを思い出しながら、西南は彼女への別れを告げ、これからの決意を胸に誓った。
祈りの後の再会
祈りを終えた西南たちは、庭園でミランダたちと再会し、近況を語り合った。ミランダたちは西南が元気であることを喜び、また美希の父がグラウンド地下の修繕や研究に携わっていることを伝えた。その後、実習訓練の準備があるため、ミランダたちは去り、西南たちは彼女たちを見送った。
魂の概念とアストラル海
西南はラジャウに魂についての質問をした。ラジャウはアカデミーにおける「アストラル海」の概念について説明し、これは魂のように記憶をメモリーする場であり、生物や物質が生まれるとその場が形成されると述べた。さらに、アストラル海は過去の記憶が残る場であり、既視感や前世の記憶がメモリーフィードバックに起因する可能性があるとした。
日常への回帰と仲間との会話
西南と仲間たちは祈りの場での経験を確認し、日常生活へと戻ることを決めた。都市の喫茶店で、仲間たちは西南の艦長就任を祝いながら冗談交じりに会話を楽しんだ。特に、艦長としての給料や今後の生活について話題が続いたが、西南は謙虚に受け止め、家庭の経済事情も含めて慎重な姿勢を示した。
学生生活の楽しみとナンパの失敗
西南と仲間たちは街を歩き回り、学生としての楽しみを満喫した。途中、ナンパにも挑戦したが失敗に終わり、仲間たちは冷菓を食べながら反省した。ケネスとラジャウは、西南の暗いオーラが原因で失敗したのではないかと冗談交じりに話した。
パーソナルデータに関する会話
仲間たちはNBの変形機能について関心を示し、パーソナルデータを使って練習相手として利用する話に発展した。西南は天女たちからパーソナルデータを渡される提案を受けていたが、理解が及ばず断っていた。これに対し、仲間たちは自身の過去の経験やデータへの興味を語った。
制限のあるパーソナルデータと仲間たちの落胆
西南はNBがパーソナルデータにインストール制限がかかっていることを知り、ケネスたちは落胆した。彼らの理想とは異なり、倫理基準に基づく制約が課されていたためである。
突然の衝撃と意識の途切れ
会話が続く中、西南の上方のテラスで物音と叫び声が聞こえた。西南が状況を確認しようとした瞬間、突然の衝撃を受けて意識を失った。
目覚めと謎の女性
西南は目を覚まし、自分がホテルのような部屋のベッドで、見知らぬ女性に覗き込まれていることに気付いた。彼女は西南が混乱する中、自身を「九羅密美守」と名乗り、昨日の出来事について説明した。西南が倒れた原因は、彼女がしつこくナンパしてきた男を軽く殴り、それが西南に衝突したためであった。
翠簾との再会と騒動
美守が部屋を出た後、西南は翠簾と再会したが、驚きのあまりベッドから落ちてしまった。翠簾は西南の制服を洗濯していたことを説明し、その優しさに西南は感謝した。その後、別の部屋では美守が動揺した様子を見せ、そこにアイリの声が響いた。NBに変形していたキルシェも登場し、美守との対話を交わした。
西南の家族への脅威と鷲羽の協力
一方、理事長室で水穂は鷲羽と通信を行い、西南の家族を狙う敵への警護と迎撃を依頼した。鷲羽は了解し、新造艦の準備も整っていることを示唆した。このやり取りの中で、水穂は改めて西南が引き寄せる数々の事件を思い返し、苦労を重ねていることを痛感していた。
キルシェの決意と西南との関係
美守とキルシェの会話では、キルシェが公開メールを見て父親から「自分の道を生きろ」と告げられたことを伝えた。キルシェは西南と日々を共にすることで成長し、自分が西南のために役立てるよう努力を続けたいと語った。
美守の正体と西南の別れ
西南が部屋を出る前に、美守は自らの本当の姿を西南に明かした。彼女は九羅密家の一員であり、年老いた身体から今の姿に戻ったことで解放感を感じていると述べた。美守の飾らない態度に西南は驚きつつも、彼女の自然体に魅了された。
再会と失意
西南が気を失った場所に戻ると、ケネスとラジャウが夕日を見つめていた。二人はナンパに失敗し、疲れ切った表情を浮かべていた。彼らは西南がもっと長く休暇を取っていれば、外泊も認められたとぼやきつつ、やがて寮に戻るため駐車場へと向かった。
贅沢な宿舎
西南は外周リングの宿舎に戻り、豪華な居間に驚いた。艦長としての待遇からか、彼の部屋は広々として豪華な造りであった。景色も素晴らしく、浴室からは外周リングや水路などの風景が見渡せ、思わず長湯してしまった。西南はこの贅沢さに少し酔いながらも、自分の今の待遇に複雑な気持ちを抱いた。
美守校長との再会と若年固定の話
西南は美守校長の若い姿を思い返し、外見が年齢に左右されないことを再認識した。 NBは若年固定の話題を持ち出し、西南もいずれその適齢期に合わせた体に固定することが必要だと説明した。西南はその未来に戸惑いながらも、環境に順応しつつあった。
翠簾との触れ合い
NBは翠簾と抱き合った時の感触について問いかけ、西南はその時の記憶を思い返した。翠簾の存在は普段、ほとんど人間の気配を感じさせなかったが、触れ合った瞬間は生々しく人間らしい感触があり、彼に強い印象を残した。
霧恋からの呼び出し
その後、夕食前に霧恋から通信が入り、何かを尋ねたいと言われた。通信の後ろには困惑した様子で座っている翠簾の姿が見え、西南は観念して霧恋に事情を説明する決意を固めた。
3「憂鬱」
整備中のリョーコの懸念
リョーコ・バルタの海賊艦はアカデミー近くで定期整備中であった。副官との会話の中で、リョーコはアカデミーから情報が入手された新型艦「守蛇怪」に関心を寄せ、技術の応用性や制約について議論した。守蛇怪は性能は高いものの、構造的な制約から独自の艦隊行動に最適化されていると結論付けた。
守蛇怪との遭遇と戦闘の影響
リョーコは他の海賊艦と共にGPの輸送キャラバンを襲撃するも、守蛇怪により奇襲を受け、海賊艦隊は混乱状態に陥った。守蛇怪は正確な射撃で海賊艦のエンジンを次々と破壊し、リョーコの艦も大きな損害を受けた。何とかジャンプして脱出したが、この戦闘で海賊艦隊は大きな打撃を受けた。
守蛇怪の技術と能力についての考察
戦闘後、リョーコは守蛇怪の戦闘能力が単に艦の性能だけではなく、搭乗者の技量に依存していると気づいた。守蛇怪のデータは樹雷側があえて漏洩させた囮情報であり、ギルドがそれに踊らされる可能性を危惧した。リョーコは守蛇怪のデータが、ダ・ルマーギルドにとっては不要な情報であると直感した。
仕事の再開と新たな遭遇
修理が完了したリョーコ艦は再び仕事を再開したが、またもや守蛇怪と遭遇し、戦闘を強いられる。リョーコは次第に守蛇怪の存在に悩まされるようになり、運が尽きたと感じ始めた。修理屋からGPのバイトを勧められる状況にまで追い込まれ、リョーコは自嘲気味にこれを受け入れた。
幹部会議の召集と新たな決断
リョーコは緊急幹部会議の召集を受け、守蛇怪や山田西南に関する動向を話し合う準備を始めた。この状況を見た副長やクルーは驚愕し、リョーコが置かれた複雑な状況に動揺を隠せなかった。
ギルド幹部会議での決定
広大な宇宙空間を模したホログラムの中でギルドの幹部会議が開かれ、総帥ダ・ルマーが西南に関する被害が増大している状況について追及した。幹部たちは山田西南への対処に苦慮しつつも、タラントが直接暗殺を提案。リョーコ・バルタの切り札としてエルマが注目され、総帥ダ・ルマーからの期待を受け、リョーコはその使命を引き受けることを決意した。
リョーコとコマチの会話
幹部会議後、リョーコとコマチはタラントの目的や背景についての会話を交わした。リョーコの副官から、タラントがリョーコの家族や部下たちの家族を人質に取っていることが報告された。コマチは家族の保護を約束し、タラントへの対処を協力する姿勢を示した。
エルマの存在とタラントの計略
タラントがエルマの情報を握っていることが示唆され、リョーコはエルマがもつ技術やその背景について説明した。タラントがリョーコを失脚させようとしている意図や彼の冷酷な手段についても語られ、リョーコは深い疲労感を覚えた。
リョーコの孤独と感情の吐露
寝室に戻ったリョーコは、日々の重圧から解放され、クルーや家族の写真を眺めているうちに、以前山田西南と共に撮った写真に目が留まった。その写真を見ながら、自分が自然な表情をしていることに気付き、リョーコは感情が溢れ出して涙を流した。その涙の意味を、彼女自身も理解できずにいた。
4「初月給」
海賊討伐任務の完了と守蛇怪の退場
守蛇怪は海賊艦三隻を大破させ、戦闘を完了した。戦闘現場にはGP艦レスターが到着し、海賊の投降者の収容と現場調査を引き継いだ。これにより、守蛇怪は通常モードに移行し、任務から解放された。
アランたちの給料問題
アランたちは自分たちの給料が増えたことを喜んでいたが、借金の引き落としにより、手元に残る額が少ないことに気づいた。アランは仲間と共に給料の使い道を変更する方法を模索し、同期で経理課にいるダンに協力を依頼したが、ダンは彼らの計画を厳しく非難した。
アランたちの再教育と霧恋の過去
ダンの要請で、アランたちはライアン率いる軍の再教育プログラムに参加することとなった。霧恋がかつて「鬼の教官」として知られていたことが明かされ、アランたちは彼女の厳格な指導を恐れることとなった。また、霧恋は西南にその事実を秘密にするよう、NBに釘を刺した。
西南の初給料と仕送りの決意
西南は初めての給料を受け取り、実家に仕送りをしようと考えた。彼は霧恋に生活費の目安を相談し、クルーたちは西南の健気な姿勢に感銘を受け、彼のために生活費の積立を提案した。霧恋は実家の経済状況を伝え、西南に自分のために給料を使うよう説得した。
霧恋の懸念と西南の給与額の秘密
霧恋は、西南が持ち慣れない大金を持つことで、困難な状況に巻き込まれる可能性を懸念していた。クルーたちは、彼の給与額が一般隊員の三倍に相当することを理解し、霧恋の配慮の意図を察した。
守蛇怪の改修とエルマの休暇提案
西南は帰還後、天女から守蛇怪の改修予定について聞かされた。守蛇怪はカスタマイズ可能な設計で、今回の改修により多様な装備のテストが実施される予定であった。天女はエルマにも休暇を提案し、彼女が疲れている様子を気遣ったが、エルマは休暇を渋る姿勢を見せた。
初月給の贈り物選び
宿舎に戻った西南は、初月給でお世話になった人々にプレゼントを贈ることを考え始めた。家族への仕送りに加え、霧恋や天地の家、月湖、霧恋、雨音、エルマ、珀蓮たちへの贈り物を計画した。しかし、各人との関係や贈る品の選定に迷い、NBの助言を受けつつ、贈り物リストを構築した。
アイリとのユーモラスなやり取り
リスト作成中、アイリとNBが西南の様子をモニター越しに見ており、アイリは自分が贈り物リストに入っていないことに不満を感じた。最終的に西南は、アイリをリストに追加し、彼女にも贈り物をすることを決意した。アイリは安堵したが、西南のユーモラスな発言により、場は笑いに包まれた。
初月給を巡る夕食会の会話
西南と霧恋、アイリたちは食堂で夕食を取りながら、初月給の使い道について話し合った。霧恋は西南が無駄遣いを避ける姿勢を支持したが、アイリは贅沢を楽しむ重要性を主張した。玉蓮は、西南が破産しても支えると発言し、場が和やかな雰囲気に包まれた。
静竜の状況に関する会話
夕食会の最後、雨音は静竜が身代金交渉に巻き込まれている話題を持ち出した。西南たちは静竜の父親が交渉を引き延ばしていることに驚きつつも、彼の無事を願い、笑いを交えた会話で場を締めくくった。
捕らえられた静竜の観察
静竜はダ・ルマーギルドの本部ダイ・ダルマーのタラント・シャンクの管理下に捕らえられていたが、退屈を紛らわすためにナノマシンを駆使し、施設内部の構造を探り始めた。彼は他の人質の様子を観察し、一部が解放されていると信じ込んでいたが、実際には隠された部屋で無残な姿にされているのを発見し、驚愕した。
タラントの計画と静竜の反応
タラントは新型艦の準備やエルマの監視を進めていた。静竜は彼のだらしない態度を不快に感じつつも、タラントの計画には関心を持たず、退屈な監禁生活に不満を募らせていた。
コマチの動揺と調査
コマチは静竜の報告を受け、タラントの隠し部屋を調査した。そこには静竜の述べた猟奇的な痕跡があったものの、人質たちは無事な状態で独房に戻されていた。これにより、静竜の情報が真実であることが確認されたが、その動機や真意についてコマチは疑念を抱いた。
コマチの判断と今後の対応
コマチはタラントの過剰な行動が問題であると認識しつつも、明確な証拠がないため、タラントへの干渉は保留し、引き続き監視を行うこととした。
5「悲喜交々」
アイリの宴会と西南の逃避行
夕食後、アイリは西南の部屋で宴会を計画していたが、宿舎の規則により未成年の部屋での飲酒が禁止されているため、断念した。代わりに霧恋の部屋で徹夜の宴会が行われた。翌朝、西南は早めに起きて、霧恋たちに気付かれないよう買い物へ出発したが、彼女らに見つかり、問い詰められた。だが、なんとかその場を切り抜け、買い物に向かった。
ランジェリーショップでの購入と雨音たちの尾行
西南は大型商業地区のランジェリーショップでNBに頼まれた商品を受け取りに来た。入店時は戸惑いがあったが、店内の雰囲気や他の客に勇気をもらい、商品を受け取ることができた。その頃、雨音と霧恋は西南を尾行し、彼の行動を見守っていたが、店内の規則により、彼に接近できなかった。
雨音と霧恋の驚きとナナミとの再会
尾行中の霧恋と雨音は、ナナミという店のオーナーと再会し、西南が下着を購入している事実に驚きつつも、ナナミの提案で西南の行動を慎重に見守ることにした。彼女たちは自分たちが下着姿であったことを忘れて飛び出しそうになったが、ナナミにたしなめられ、再びフィッティングルームに戻ることとなった。
西南の購入完了と店員の反応
西南は無事に商品の確認と購入を終え、店員から好意的な対応を受けたが、その過程で大いに照れ、精神的な疲労を感じた。店員は彼の反応を楽しみつつ、丁寧に梱包と手続きを行い、彼に親しみを込めて名刺を渡した。
雨音と霧恋の驚愕とナナミの計画
雨音と霧恋は西南の行動に衝撃を受けながらも、ナナミに促されて店を後にした。ナナミと店員は、西南や彼女たちの様子を微笑ましく思い、映像を上層部に送る計画を立てていた。
西南と大人の玩具店
西南は、大人向けの玩具を扱う店舗に入店した。無邪気に入った彼であったが、目的の商品を受け取る過程で不思議な状況に戸惑いながらも、店員の丁寧な対応により無事に購入を完了した。彼が入った店を追跡していた霧恋と雨音は、店の内容を知って驚愕し、西南の行動に疑念を抱いた。
霧恋と雨音の悩みと尾行
雨音は、周囲の女性陣が無意識に西南に影響を与えていることに触れ、霧恋に対しても自己認識を促した。霧恋は困惑しつつも、改めて西南の立場を考える。二人は西南が店から出てきたのを見て再び尾行を開始した。
風俗店での勘違いと遭遇
次に西南が訪れたのは、会員制の特定施設であった。そこでは、彼が紹介を受けてデータを渡される予定となっており、店員に案内されながら進む。目的のデータを受け取ると、他の来客に間違われそうになるが、無事に退出した。一方で、霧恋と雨音も偶然知り合いの夢乃と出会い、施設内で拘束されるが、結果として自力で切り抜けた。
データ受領の完了と西南の思惑
西南は施設でデータを受け取り、他の客と遭遇しつつも用事を済ませた。その後、広場に腰を下ろし、今回の出来事を振り返り、NBの行動に不審を抱く。そこにエルマが現れ、西南の疲れを癒すかのように問いかけた。
霧恋と雨音の反省と会話
霧恋と雨音は、先程の出来事に疲れ果ててベンチに座った。雨音は霧恋の捕縛術に感心しながらも、それが単なるGPの応用でないことを見抜いていた。恥ずかしがる霧恋をなだめつつ、二人は西南とエルマが楽しそうに歩いているのを発見し、少し疑念を抱いた。
西南とエルマの買い物と推理
西南とエルマは、友人へのプレゼント選びのため、エルマの案内で転送ポッドを使い次の目的地に移動した。エルマは西南にプレゼント選びのアドバイスをし、二人は賑やかなバザーを見回ることにした。霧恋と雨音は、二人の行動を疑い、転送先の追跡を開始した。
バザーでのプレゼント探しと珍品
エルマに連れられ、バザーでさまざまな品を物色する西南は、偶然地球の品々を扱う店を見つけた。エルマが選んだ商品が少し異質であったため、西南は思わず制止するが、品物のユニークさに感心する場面もあった。最終的に、西南は無難なアイテムを選んで購入した。
アイリとの再会とアクセサリー探し
西南とエルマは、偶然アイリと出会い、彼女からアクセサリーの提案を受けた。アイリが選んだ高価なアクセサリーに驚きつつ、エルマのアドバイスもあり、二人はお手頃なジュエリーショップに向かうことにした。エルマの助けを借りてプレゼント候補を選んでいく中で、次第に気持ちが和らぎ始めた。
エルマの謎めいた通信と西南の気遣い
西南と共にアクセサリー選びを続けていたエルマは、突然短距離通信によって監視者からの警告を受けた。通信が途切れた後、エルマは複雑な心境を抱えつつ、西南に心配されながらも店を後にした。
雨音と霧恋の尾行と苦悩
霧恋と雨音は、西南とエルマの行動を尾行しながら次々と転送ゲートを通過し、必死に追跡を続けた。霧恋はデータ収集、雨音は直感で転送先を割り出しながら、二人が次の目的地に到達するのを見届けようとしていた。
公園での静寂とエルマの不安
西南とエルマは、喧噪から離れた静かな公園で食事をとり、風景を眺めて休んでいた。西南が心配してエルマの具合を尋ねると、エルマは軽く微笑みつつも、昨夜の疲れで眠気が出てきたと話し、西南を買い物に送り出した。西南が去った後、エルマはポケットから拳銃を取り出し、悲しげに見つめていた。
霧恋と雨音の追跡
霧恋と雨音は、エルマが公園にいると知り、彼女の居場所を目指して進んでいた。彼女らは西南の目的を掴もうと、周囲の状況を注意深く確認しつつ移動を続けた。
西南のアクセサリー店での出来事
西南は再びアクセサリー店に戻ると、今度は高価な服装をした客が並び、異なる雰囲気が漂っていた。店の執事に誘導され、オーナーの秘書である琥雪に案内されて店内に招かれた。西南は特別な展示スペースで、珍しい琥珀「皇玉」を見せられ、その美しさに感嘆した。
琥雪からの皇玉の解説と贈り物選び
琥雪は皇玉の希少性や、その意匠が皇族に献上される歴史的価値を説明しつつ、西南の贈り物の目的に合うかを考慮して選択を助けた。彼女は高価な素材が用いられていないことを強調し、西南に贈り物の相手について尋ねたうえで、適切な品を提案しようとした。
霧恋と雨音の聞き込みとユニークな商品
霧恋と雨音は、周辺の店で聞き込みを行いながら西南を探し、ある店で不思議な形の溲瓶を見かけた。霧恋は慌ててそれを戻し、西南を探すため先を急ぐが、偶然若いカップルがその溲瓶を購入していた。カップルもまた、同じユニークな用途で使用しようとしており、彼らの文化における地球の物の新奇な扱いが垣間見えた。
転送ゲートでの追跡失敗と再度の追走
霧恋と雨音はようやく西南を目視するが、彼は転送ゲートに入ってしまう。追いかけようとした二人だったが、転送先のゲートが封鎖され、転送ができなかった。最寄りのゲートも使用不可であったため、二人は西南の元へ全速力で走り出した。
エルマの動揺と銃を向ける決意
エルマは静かに拳銃を見つめ、西南が戻ってきた瞬間に銃を向けた。西南は一瞬動揺するも、自分一人が被害者であることに気づき、冷静さを取り戻した。エルマは彼の無抵抗な姿に心を痛め、悲しげに彼を撃つ運命を嘆いた。
リョーコ・バルタへの変身と葛藤
エルマは姿をリョーコ・バルタに変え、西南と共に過ごした日々への未練を語りながらも、彼を撃つ覚悟を決めかけた。しかし、西南の無抵抗な態度に動揺し、監視者からの指示に従えず、最終的に自身に銃を向けた。
霧恋と雨音の救出とGP特殊部隊の介入
霧恋と雨音が西南のもとに駆けつけ、リョーコは彼らに発砲するも、GP特殊部隊が介入。リョーコは激しく抵抗したが、最終的にガーディアンが故障し、エネルギー弾によって消滅する形で倒れた。西南は霧恋に抱きしめられ、リョーコの最期を直視せずに済んだ。
アイリの介入とリョーコ救出作戦の真相
アイリは装甲トレーラーに西南たちを誘導し、リョーコが実際には救出されていたことを明かした。リョーコに成り代わったのはNBで、巧妙な作戦により、リョーコは無事であることが判明した。アイリの説明に霧恋と雨音は不満を抱きつつも、納得した。
西南の初給料での贈り物と誤解
西南はリョーコへの贈り物として買った品を取り出し、彼女に敬意を表しつつ涙を流した。しかし、霧恋と雨音は西南の買い物が大人向けのものであったことを思い出し、アイリに詰め寄った。最終的にアイリは霧恋に問い詰められ、装甲トレーラー内で西南たちに真相を説明せざるを得なくなった。
アイリの逃亡と霧恋の制裁
霧恋と雨音がアイリの真意を問い詰め、アイリが逃亡を試みるも、霧恋に捕らえられた。アイリは霧恋に引きずられ、GP本部の取調室へと連行されていった。
6「序章・その一 バカの壁」
コマチと謎の通信
コマチは西南暗殺計画の前日に、謎の女性から「タラントをダイ・ダルマーに足止めせよ」という伝言を受け取った。フオ・バルタの名前を聞き驚くも、その信憑性を確信し、静竜を足止め要員として利用する決意を固めた。
静竜の暴走と監視システムの破壊
静竜はコマチからの挑発に応じて豪華な独房から脱出し、警報を無視して武器庫を制圧。大量の武器を確保し、施設の監視システムを次々と破壊していった。その行動は予想外ながらも効果的で、コマチを少なからず驚かせた。
タラントの動揺とダ・ルマーの命令
ダ・ルマーは会議室で静竜の行動を興味深げに観察していた。タラントは失態を咎められ、静竜を生け捕りにするよう命じられる。その場を後にしたタラントは怒りを発散しつつ、自らの艦へと戻ったが、予想外の反乱の報告を受け、事態は一層悪化していった。
フオ・バルタの脱走と研究施設の破壊
タラントの研究施設でフオ・バルタ達が反乱を起こし、研究所から脱走した。フオは護衛艦の制御を奪い、宇宙ステーションを爆破しつつ逃亡。研究棟は軌道が逸れて惑星に落下し、地上基地は迎撃による損傷で混乱に陥った。
研究責任者の推測とファントムの謎
研究施設の責任者は、フオ達の脱走と護衛艦の制御方法に疑問を抱き、ファントムが関与している可能性に気づいた。だが、タラントの命令で衛兵が現れ、責任者とその部下は次々と処刑され、最終的に施設も爆破される運命にあった。
研究施設の最期とファントムの残存
爆発直前、研究責任者は地上基地にファントムが潜んでいることを確信し、その言葉を最後に、中央コントロールセンターは閃光に包まれ、全てが消失した。
フオ・バルタの救出と脱出計画
瀬戸と水穂は、薄暗い『水鏡』のブリッジでフオ・バルタ氏の救出成功を確認し、安堵していた。フオは追っ手を振り切り、民間航路を利用して脱出。追撃に遭いながらも、瀬戸の部下によって救出され、無事に確保された。瀬戸はタラント基地の厳重な情報隠蔽に苦笑しつつも、基地位置の特定が進んだことに満足していた。
皇玉の贈り物と水穂・瀬戸の喜び
瀬戸と水穂は、西南から贈られた初月給のプレゼントである皇玉に歓喜していた。瀬戸はイヤリングとして、水穂はブローチとして身に着け、二人はそれを宝物として大切にした。瀬戸は西南の心遣いに驚き、穏やかな笑みを浮かべていた。
守蛇怪のテストと疑念の笑い
オペレーターの報告で、新型艦の守蛇怪のテスト宙域がフオ・バルタ救出エリアと直線上にあることを知った二人は、驚きとともに不安を抱くが、それを打ち消すように笑い合い、考えすぎだと納得した。
湖での安息と西南への感謝
瀬戸は転送ゲートで居住区に戻ると湖へ飛び込み、しばしの休息を楽しんだ。湖に浮かびながら、西南の贈り物であるイヤリングをいじり、喜びに浸りながら湖面を見つめ、穏やかなひと時を過ごした。
鏡の間での瀬戸の独白
沐浴を終えた瀬戸は鏡の間に入り、自身が得た宝物について独白し、幸せを噛みしめていた。彼女は得た喜びと無垢な幸福感を大切にし、微笑みを浮かべながら、充実した気持ちに満たされていた。
7「序章・その二 逃げろや逃げろ」
守蛇怪のテスト航行と皇玉の贈り物
改装を終えた『守蛇怪』は、宇宙空間でのテスト航行を実施していた。艦長の西南が食堂に向かうと、霧恋達が皇玉を慈しみながら会話を楽しんでいた。西南からの初月給のプレゼントである皇玉を贈られた霧恋たちは、その価値と感謝を深く感じていた。皇玉は彼らの特別な宝物として輝いていた。
救難信号と謎の小箱の受け取り
守蛇怪は近隣で救難信号を受信し、被害を受けた脱出艇を収容した。脱出艇に乗っていた男性は、重要な小箱を西南に託し、「一刻も早く瀬戸様に届けるように」と懇願した。瀬戸宛ての小箱を受け取った西南は、これを安全に届ける決意を固めた。
小箱を巡る危機と戦闘態勢
小箱の受け渡し先が樹雷の瀬戸であることが確認された直後、敵の監視が守蛇怪の通信を探知し、艦が戦闘態勢に移行した。西南は警戒レベルを上げ、小箱の安全な配達を優先事項とし、全員に防御を指示した。海賊艦による猛攻に耐えつつ、守蛇怪は超空間ジャンプの準備を整えた。
海賊艦隊との戦闘と巧妙な離脱
守蛇怪は数発の直撃を受けたものの、被害を抑え、海賊艦の包囲から巧妙に離脱した。直撃で付着した謎の物質に不審を抱きつつも、守蛇怪は迅速に超空間ジャンプを完了した。海賊艦の艦長ガズラは、守蛇怪の機敏な反応に驚きつつも、再戦を狙い笑みを浮かべていた。
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