小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP7」感想・ネタバレ

小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP7」感想・ネタバレ

どんな本?

物語の概要

本作は、SFとラブコメディを融合させた作品である。主人公・山田西南は、極度の不運体質を持つ少年である。
ある日、彼は墜落した宇宙船に衝突するという出来事をきっかけに、銀河警察組織「ギャラクシーポリス(GXP)」に入隊し、宇宙へと旅立つことになる。
彼の行く先々では、数々の冒険と多くの美女たちとの出会いが待ち受けている。

主要キャラクター

  • 山田西南:極度の不運体質を持つ少年で、本作の主人公。ひょんなことからGXPに入隊し、宇宙での冒険を繰り広げる。
  • 正木霧恋:西南の幼馴染であり、彼を陰ながら支える存在。GXPの職員としても活躍する。
  • 雨音・カウナック:GXPの二級刑事で、西南をGXPにスカウトした張本人。明朗快活な性格で、西南の冒険に深く関わる。
  • リョーコ・バルタ:宇宙海賊「ダ・ルマー」の幹部。温和な性格で、西南たちと関わる中で重要な役割を果たす。
  • ネージュ・ナ・メルマス:宗教国家メルマスの元最高権力者。幼生固定により外見は少女だが、約2000歳の女性。西南を「お兄ちゃん」と慕う。

物語の特徴

本作は、『天地無用!』シリーズのスピンオフ作品であり、シリーズ10周年を記念して制作された。主人公・山田西南の視点から描かれる物語は、彼の不運体質が引き起こす数々のトラブルや、それを乗り越える成長が魅力である。また、多彩なキャラクターとの交流や、宇宙を舞台にした壮大な冒険が展開される点も特徴的である。

出版情報

  • 出版社KADOKAWA
  • レーベル富士見ファンタジア文庫
  • 刊行開始:2003年4月
  • 既刊数:17巻(2018年6月現在)
  • 関連メディア展開:本作はテレビアニメ『天地無用! GXP』として、2002年4月から9月にかけて日本テレビほかで放送された。

読んだ本のタイトル

真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP  7
著者&イラスト:梶島 正樹 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889458714 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP7」感想・ネタバレBookliveで購入gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP7」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890540720 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP7」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

突如現れた謎の海賊艦から攻撃され、直撃を受けてしまった守蛇怪。海賊たちの追跡を必死でかわし、ようやくGP勢力圏にあるステーション『パン・ドーラ』にたどり着いたが、そこはすでに海賊たちの支配する地だった

真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP7

感想

ある日、突如として海賊艦からの攻撃を受けた守蛇怪は、容赦ない追撃に追い詰められ、逃げ惑う中でようやくGPステーション「パン・ドーラ」にたどり着いた。
しかし、そこもすでに海賊の支配下にあり、予測不能な危機が西南たちを待ち受けていたのである。
守蛇怪のブリッジクルーである3人のクルーメンバーが作戦の足を引っ張り、緊張が高まる一方で、鷲羽からの任務で樹雷を訪れていた魎皇鬼が西南の危機に駆けつけた。
彼を救った後、西南に甘える無邪気な魎皇鬼の様子が和やかさをもたらし、一方で彼を巡る人間関係もさらに複雑なものへと発展していく。

さらに、天地無用シリーズならではのユーモアと重厚な設定が見事に組み合わさり、テンポよく物語が進む。
西南が年上の女性に囲まれたハーレム状態でありながら、真摯に困難に立ち向かう姿は、単なる「モテ主人公」を超えた魅力を見せた。
また、シリーズおなじみのキャラクターであるアラン達が、時には無責任でありながらも、物語に独自のテンションをもたらしており、どこか憎めない存在となっている。

最後に、新たに登場するネージュや、物語全体を彩る天地ワールドの壮大な設定が、西南の成長物語を支え、天地無用の奥深さをさらに引き出している。
本巻も安定した面白さとともに、次巻での展開にますます期待が高まる一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

1「初めてのおつかい」

鷲羽の秘密研究施設と新たな船の完成

柾木家の階段下にある扉は、白眉鷲羽の秘密研究施設と繋がっていた。その広大な空間で、鷲羽は新たな船の製造を完成させていた。船の前に立つ魎皇鬼は慈しみの眼差しを向け、その船が西南の専用艦となることを鷲羽から伝えられると、大いに喜んだ。

西南専用艦の設計と相性の重要性

西南専用艦の依頼は「最高の船」であったため、鷲羽は彼の特性と相性を重視し、ウィドゥーのアストラルコアを用いて設計した。鷲羽は西南の人柄や周囲の評判から判断し、魎皇鬼の直感により西南が適任であると確信を得た。

魎皇鬼の出発と見送る天地家の人々

翌朝、魎皇鬼は西南の船を届けるため、一人で宇宙への旅に出ることとなった。阿重霞や天地らはその決断に不安を抱くも、鷲羽の自信を信じ、送り出すことにした。鷲羽の号令で魎皇鬼は光の筋となり、彼らの視界から消え去った。

魎皇鬼の樹雷訪問と期待される反響

魎皇鬼の樹雷訪問は、七百年前の樹雷襲撃を思い出させるものであり、秘密裏に行われることとなった。だが、愛らしい人型魎皇鬼の姿は樹雷の女官達を熱狂させ、彼女らの騒ぎが巡り巡って西南に災難として降りかかることとなるのであった。

2「逃げろや逃げろ」

守蛇怪の超空間航行の異常事態

守蛇怪が超空間内で航行を始めた直後、艦体が異常な揺れを起こし、クルーたちは通常の航行とは異なる感覚を覚えた。艦体に不明な質量が発生し、このままの航行が危険と判断され、西南は直ちにジャンプアウトを命じた。

海賊艦ガズラの策略と守蛇怪の戦闘能力の発揮

一方、海賊艦のガズラは守蛇怪の出現を待ち伏せ、包囲網を展開していたが、予想を超える守蛇怪の航行距離に驚きつつも追撃を開始した。守蛇怪は接近してきた海賊艦を一撃で撃破し、ガズラはその戦闘能力の高さに驚愕し、守蛇怪の捕獲が容易ではないと感じた。

守蛇怪の消息と瀬戸の対応

樹雷の衛星軌道上に停泊する水鏡では、瀬戸が守蛇怪の最新情報を受け取っていた。瀬戸は、守蛇怪が撃沈された可能性は低いと判断し、敵の妨害兵器による通信と航行の妨害を推測した。また、霧恋の判断ミスが原因で敵を引き寄せたことを理解しつつも、西南が荷物を受け取った事実を確認した。

守蛇怪の被害状況と今後の航行方針

守蛇怪は知的生命が存在しない惑星の深海に潜み、クルーが被害状況を確認した。艦外には海賊による赤い塗料が付着しており、超空間航行時にエネルギーが変換される影響で長距離ジャンプが不可能と判明した。今後の安全な脱出のため、H559超空間を利用した航行を決定した。

クルーの休息と守蛇怪の出発準備

深海から浮上を始めた守蛇怪では、霧恋が待機者に加速空間での休息を指示し、残るクルーは次のジャンプに備えた。クルーたちは疲労を感じつつも、アランたちは食事で体力を養い、次の戦闘に備えることとした。守蛇怪は接近する海賊艦を撃破後、超空間ジャンプに成功し、新たな宙域へと移動した。

3「パン・ドーラ」

守蛇怪の通常航行とステーション到着の準備

守蛇怪は通常空間にジャンプアウト後、最大速度で航行を続け、目標であるステーション「パン・ドーラ」へと向かっていた。敵の追撃を警戒しつつ進行したが、特に敵との遭遇もなく、ステーションのレーザー通信可能域に到達した。霧恋は港湾管制官に事情を説明し、アカデミーとの通信中継を依頼したものの、古い設備が故障しており、直接の通信は困難と判明した。

パン・ドーラ支部長フォスの対応と救護者の移送準備

パン・ドーラのGP支部長フォスが対応し、連絡を代行するほか、守蛇怪を搭載する中型コンテナと牽引船の手配を検討した。現地の資源不足に悩みつつも、フォスは運搬船の情報を調整し、守蛇怪の収容に適した輸送手段を確保した。こうして守蛇怪は、無事にパン・ドーラへ到着し、救護者も安全に運び出された。

フォスの思惑と霧恋たちの認識の変化

フォス支部長は、守蛇怪がパン・ドーラの港で留め置かれる事情を説明し、海賊との交易関係も暗示した。霧恋と西南はその状況を理解しつつ、判断に甘さがあったと反省したが、雨音は気持ちを軽くするため、あえて明るい態度で励ました。霧恋はパン・ドーラの名前に込められた意味を考えつつ、最善策を模索した。

パン・ドーラでの取引と林檎への情報提供

一方、パン・ドーラの取引拠点にいるイアンは、海賊が運ぶ品々の管理に追われていた。部下のクルルカから、守蛇怪が海賊の輸送コンテナで移送されたとの情報を得たイアンは、立木林檎と接触。林檎への情報提供を終えると、クルルカは林檎の表情を面白がり、好意的に話を進めた。イアンはその無邪気さに半ば呆れつつも、状況を静観することとなった。

林檎と穂野火の交流

林檎は通信を終えた後、イアンが困惑する様子を思い出して笑いを浮かべていた。そんな林檎に、穂野火が会話の相手を求めて駆け寄ったが、今回は仕事の話であり断らざるを得なかった。穂野火は寂しげにその場を去り、待機中のクルーに話しかけに行った。

水鏡での瀬戸からの要請

林檎は水鏡のブリッジで瀬戸に呼ばれ、西南の捜索指揮を任されることになった。経理部所属でありながら指揮を任された理由は、瀬戸が次世代を見据えて経験を積ませるためであり、同時に林檎にとっては経費削減の機会とも捉えられた。林檎は瀬戸の意図を見抜き、挑むような笑みを浮かべて指揮を引き受けた。

守蛇怪クルーの食料不足問題

守蛇怪のブリッジでは、食料不足が深刻化していた。霧恋が冷静に食料在庫を報告すると、原因がアランらによる過剰な摂取にあると判明した。クルー全員が困惑しつつも、アランの行動を非難した。アランは何とか言い訳を試みたが、西南は冷静に対処し、今後の行動次第で挽回を図るよう指示した。

守蛇怪の輸送策とアランの提案

アランは艦長を救出するため、コンテナ内の荷物に紛れて脱出する案を提案した。雨音と霧恋は即座に計画を支持し、アランの功績を認めるよう形を整えつつも、実行を急いだ。守蛇怪のクルーたちは一致団結して脱出作戦を進めた。

林檎の指揮による守蛇怪捜索計画

水鏡で指揮を執る林檎は、守蛇怪捜索陣を迅速に組織し、効率的に捜索計画を進めた。瀬戸と水穂は、林檎が合理的に指揮を進める様子を評価しつつも、瀬戸の趣味的要素が排除されてしまうことを惜しんでいた。

リョーコ・バルタとの交渉

林檎はアカデミーに接触し、リョーコ・バルタ(エルマ)の協力を要請した。林檎は西南救出のため、海賊としてのリョーコの協力を求め、樹雷が彼らを支援することを約束した。リョーコは、仲間を裏切る葛藤を抱えつつも、西南との思い出を胸に決意を固め、林檎の要請に応じることとなった。

4「新たな戦場へ」

海賊艦による守蛇怪包囲作戦

輸送艦が目的宙域に到着すると、守蛇怪を積んだコンテナが切り離され、周囲には海賊艦隊が包囲の態勢を取っていた。ガズラは若いオペレーターの提案を制し、輸送艦を安全な地点に移動させるよう指示した。輸送艦が移動する間、守蛇怪は脱出の準備を進めていた。

守蛇怪による脱出と戦闘開始

守蛇怪がコンテナ外壁を分離させ、高エネルギー反応を発生させると、海賊艦は砲撃を開始した。しかし、守蛇怪は外壁をシールドとして利用し、砲撃をかわしながら亜光速度で移動し、戦闘に突入した。ガズラは守蛇怪の本気度を見抜き、各艦に防御を強化しながら追撃するよう命じた。

海賊艦の被害と守蛇怪の戦術

守蛇怪は短距離ジャンプを繰り返し、巧妙に海賊艦隊を翻弄しつつ、複数の艦を撃沈させた。シールドブレイカーで防御を破られた海賊艦は次々と被害を受け、ガズラは冷静に部隊を再編し、守蛇怪の強力な火力に対処しようとした。しかし、守蛇怪の高い戦術により、海賊艦隊は混乱を深めた。

守蛇怪のユニット換装と再戦の準備

守蛇怪は一度敵艦から離脱し、珀蓮たちが準備した武装ユニットを連結するために移動した。珀蓮や火煉らのサポートの下、守蛇怪はユニットを換装し、再度戦闘準備を整えた。これは、敵艦を一か所に集めて殲滅を狙うための戦術的な布石であった。

親衛艦隊との最終決戦

タラントの親衛艦隊が加わり、ガズラ艦隊とともに守蛇怪を追撃した。親衛艦隊は武力を誇示する一方で、守蛇怪の戦術に翻弄される。守蛇怪は巧妙な戦術で攻撃をかわしつつ、親衛艦隊を盾として利用し、次々と敵艦を撃破した。

ガズラ艦の奮闘と守蛇怪の離脱

ガズラは守蛇怪の脱出を阻止すべく、ユニットへの攻撃を命じたが、守蛇怪は見事に包囲網を突破し、超空間へとジャンプして姿を消した。親衛艦隊の残存艦も守蛇怪の攻撃を受け壊滅し、ガズラ艦のクルーたちはその戦闘技術に畏敬の念を抱いた。

5「脱走」

リョーコ・バルタの偽装衛星潜入と守蛇怪追跡

守蛇怪が最後に確認されてから三日後、リョーコ・バルタは偽装衛星に潜入し、守蛇怪の追跡を続けていた。彼女は偽装商人として衛星に物資を提供し、歓迎される一方で、守蛇怪の動きを把握するための情報収集を行っていた。守蛇怪は武装ユニットの装備後、野次馬の海賊たちとの遭遇を増やしながらも、リョーコ達やガズラ達の予測を外し続けていた。

アイリと林檎の情報収集への困惑

リョーコは、協力者のアイリや林檎とともに、守蛇怪の予測を外す動きに困惑していた。大規模な支援は得られないことから、守蛇怪を狙う計画はリョーコ達の手に委ねられる形となり、リョーコは霧恋たちへの負担を案じながらも、守蛇怪の捕捉に向けた地道な作業を繰り返した。

守蛇怪の艦内での休息と戦略

西南は連日の作戦指揮で疲労し、艦長室で休息を取っていた。緊張状態が続く中、艦内のクルーたちは西南の冷静な指示に頼りながら精神を保っていた。また、霧恋や雨音たちの間に、西南への信頼と好意が芽生え、彼を心の支えとしていた。

霧恋と雨音の対立

守蛇怪の艦内で、雨音と霧恋は西南への好意から微妙な対立を見せた。休息中の西南に寄り添おうとする二人の間で一触即発の状況が生まれるも、最終的に雨音は休息に向かい、霧恋は再びブリッジに戻るよう促された。

アランたちの脱走計画

守蛇怪の乗組員であるアランたちは、艦内での窮状から脱出を試み、海賊のガズラと接触した。アランたちは荷物を奪って守蛇怪を脱出し、ガズラとの交渉を図るが、その行動は周囲から軽蔑されていた。

ガズラとの取引と荷物の偽装

アランたちは荷物を手土産に交渉を持ちかけるが、ガズラは荷物が偽物であると判断した。さらに、アランたちが保身に走る姿に嫌悪感を抱き、彼らの価値を見限る。一方、アランたちの提供した情報と、持ち込んだ荷物の真贋についての評価に、ガズラは疑念を抱いた。

キルシェの正体

ガズラがアランたちの偽装と保身を見抜いた後、彼の前に現れたのはキルシェの姿をした者であった。キルシェは、アランたちの脱出行動と、それを支えた人物として、ガズラの関心を引きつける存在であった。

樹雷星の海上都市と瀬戸の出会い

樹雷星の海域に浮かぶ巨大な軍用海上都市にて、瀬戸は初老の男と共に、伝説の海賊艦の出発を見送った。二人は互いに刺々しい会話を交わしつつも、若い人材や娘たちの将来について語り合い、和やかな空気を纏った。瀬戸は男にとって、未来への期待をもたらす存在であった。

ガズラとキルシェの対面

ガズラは、自分の目の前に現れた女性が有名アイドル・キルシェであることに気付いた。キルシェはAIでありながら、圧倒的な魅力を持つ特異な存在であった。オペレーターたちはキルシェに見とれ、ブリッジの緊張感を解しつつも騒然とした。しかし、ガズラは彼女の価値の高さがもたらす危険を直感していた。

キルシェの目的と守蛇怪の状況報告

キルシェは、守蛇怪の危機的な状況をガズラに伝え、通信の遮断と敵意のある勢力の動きを警告した。ガズラはキルシェの交渉能力に感嘆し、彼女の意図を理解しつつも、守蛇怪とその乗組員の助命を考慮するに至った。彼女の艦長への深い思いが、ガズラにとって新たな視点を与えた。

若いオペレーターの内面葛藤

若いオペレーターは、自身の使っていた隠れた通信端末が、キルシェの通信手段であったことに気づいた。彼は密かに彼女の行動を支援することで、かつて仲間を見捨てた罪悪感をわずかに和らげたいと感じていた。キルシェに向けられる彼の視線は、純粋な憧れと救いへの期待に満ちていた。

ガズラとキルシェの賭け

ガズラはキルシェの挑発に応じ、守蛇怪を巡る今後の展開に一種の賭けを打つ決意を固めた。海賊としての矜持を示しつつ、キルシェが守蛇怪のために尽力する姿に一目置き、彼女の行動の価値を認めた。

6「決着」

守蛇怪の危機とクルーの決断

守蛇怪ブリッジで、西南とクルーたちは、海賊に加担したアランたちの脱出映像を見ていた。霧恋と雨音は、西南の責任ではないと慰め、彼らの行動を理解しつつも、守蛇怪のための行動に専念する覚悟を見せた。また、NBが独自の判断で行動した理由を推察し、通信障害に対して対策を講じた。

皇家の樹と緊急対策

守蛇怪の危機に備え、霧恋はアイリのチームが開発した皇家の樹を模した高性能コンピューターユニットを使用することを決定。短期間であれば、艦の動きをサポートできるシステムで、守蛇怪の行動を制御する一方、超空間ジャンプを準備し、クルーたちは休息を取る体制に入った。

守蛇怪と偽装コンテナ艦の連携

偽装コンテナ艦のリョーコ・バルタは、守蛇怪の位置を特定し、彼らとの合流を試みた。厳しい状況下で通信を図るも、守蛇怪の高度な操艦によってついに合流が成功し、緊急ジャンプが実行された。だが、海賊艦の包囲網は密で、守蛇怪は依然として追跡の標的となった。

海賊ガズラの戦略と守蛇怪への追撃

ガズラ艦では、守蛇怪を追い詰めるための戦略が練られ、野次馬の海賊艦をも動員して分断を図る作戦が実施された。激しい攻撃の末、守蛇怪はコンテナ艦へと収容されるが、追撃は続き、守蛇怪は機動力を駆使して逃走を試みるも、海賊の手に落ちる寸前であった。

ガズラの計画とキルシェの苦悩

キルシェは守蛇怪の救助を目指すも、ガズラの手によって拘束される。ガズラの予測と準備が功を奏し、守蛇怪の行動は制限され、キルシェの救出作戦は失敗に終わった。キルシェは無力さを痛感し、彼女を見たガズラも一抹の悲しみを感じながらも、自らの立場を優先させた。

守蛇怪の決意とタラントの到来

捕獲される寸前の守蛇怪で、エルマは艦の自爆を決意し、西南のために犠牲になる覚悟を見せたが、霧恋と雨音はそれを拒否し、全員での生還を目指す意志を示した。タラントの戦艦が出現し、状況は絶望的に見えたが、守蛇怪のクルーたちは希望を捨てず、救援への望みを託して守りを固めた。

捕らわれの守蛇怪とキルシェの策

ガズラ艦のブリッジで、キルシェはダイダロスに捕らわれた守蛇怪を見つめ、悔しさに震えていた。ガズラはコンテナ艦が自爆する可能性に備え、アンカーを解除し守蛇怪を逃さないよう指示したが、ダイダロスの拡散ビームにより守蛇怪は逃走を阻まれ、最終的にトラクタービームで捕獲された。

タラントとの交渉とキルシェの駆け引き

タラントがメインモニターに現れ、上機嫌で指示を出す一方、キルシェは彼に接近し、巧妙に話を引き延ばしながら自らの立場を利用した。彼女は自らのアイドルとしての人気を活かし、タラントの注意を自分に向けさせることで時間を稼ぎ、ガズラとクルーは彼女の策に驚きつつも感心していた。

魎皇鬼の登場と圧倒的な存在感

突如として魎皇鬼が出現し、圧倒的なエネルギーでダイダロスを捕捉。ガズラ艦を含む周囲の海賊艦に恐怖を与えた。魎皇鬼は小型ながら強大な存在であり、その圧力と威圧感でクルーたちは恐怖に震えたが、一部の若いオペレーターは興奮し、伝説の英雄を目の当たりにして驚嘆していた。

ガズラ艦の奪還とキルシェの活躍

魎皇鬼の襲撃による混乱の中で、キルシェは冷静に行動し、ガズラ艦の一部を制御下に置くことに成功。彼女は素早いコンピューター操作でコントロール端末を発見し、クルーに指示を出して指揮権を奪還。結果として、ガズラ艦はタラントの影響から解放された。

守蛇怪の生還と和やかなエピローグ

守蛇怪が無事に戻ったブリッジでは、霧恋やクルーが安堵の表情を浮かべ、緊張が解けたことで笑いが広がった。その後、アイリや林檎は守蛇怪の無事を確認し、次の任務に備える準備を進めた。また、キルシェはガズラの元を去ることになり、ガズラは彼女を送り出しつつ、彼女がタラントの標的から逃れられるよう願った。

7「それぞれの前哨戦」

魎皇鬼の守蛇怪格納と帰路

魎皇鬼はキルシェ達を乗せた守蛇怪を格納し、樹雷へと向かった。周囲の海賊艦は、強大な力を見せつけられた後で魎皇鬼に攻撃を仕掛ける者は一人もおらず、ダイダロスですら逃げ出したためであった。

アラン達の再会と釈明

守蛇怪の格納庫で西南達はアランと再会した。アランは、自分たちは守蛇怪の危機を救うために行動したと釈明し、NBが計画を発案したことにして自らの責任を避けようとした。しかし、西南は彼らを追及せず、彼らが無事であったことを喜びつつ、自室で待機するよう指示した。

NBの独白と安堵

西南らが去った後、NBは誰もいない格納庫で西南の無事を噛み締め、安堵の涙を流した。

魎皇鬼との和やかな食事会

守蛇怪の食堂で、魎皇鬼が西南の膝に乗り、みんなに褒められてご機嫌であった。またリョーコ・バルタは魎皇鬼に感銘を受け、伝説の船魎呼から名をもらったことを明かし、樹雷での戦いについて質問をした。さらに、霧恋は魎皇鬼が再生した二代目であること、地球からの使者であることを説明した。

アラン達の食事と不満

自室待機中のアラン達は珀蓮達が用意した食事を見て文句を言い合ったが、実際に食べてみるとその美味しさに夢中となり、アランの不満も次第に消えた。

アイリとNBの会話と評価

アイリの立体映像が魎皇鬼を通して現れ、キルシェに感謝を伝えた。またアラン達の脱走については咎めず、西南の行動も評価する方針を示した。アイリは西南がクルーの精神的支柱であることを認めたが、通常の艦長には向かないと指摘し、将来の情報収集が必要であると語った。

霧恋達の入浴と西南の困惑

霧恋達女性が艦長室の浴室に入り、結果として西南も一緒に入浴することになった。魎皇鬼の誘いで入浴が始まったものの、西南は女性たちと距離を置き、緊張しつつもその場に留まる形となった。

雑魚寝と西南の安堵

入浴後、霧恋達は寝室で雑魚寝の順番を決め、全員が同じネグリジェで並んだ。西南は魎皇鬼に寄り添われ、女性たちとの和やかな雰囲気に包まれながら、やがて深い眠りへと落ちて行った。

魎皇鬼との別れと敬礼

西南達は樹雷の護衛艦が待つ宙域に到達し、出発前に魎皇鬼へ敬礼をした。魎皇鬼は嬉しそうに鳴き、超空間へと消えていった。その姿に、リョーコは愛らしい伝説の海賊であると感嘆の声を上げた。

護衛艦「穂野火」到着

樹雷の護衛艦「穂野火」が守蛇怪に接近し、守蛇怪を花弁状の構造で迎え入れた。西南が降り立つと、天女が涙を浮かべて抱きつき、無事を確認。天女は守蛇怪の船を「チンケ」と評し、より強力な船を用意すべきだったと主張したが、正木珀嶺とアイリはその提案に困惑していた。

守蛇怪の正体と林檎の登場

林檎が登場し、守蛇怪がデータ収集用のデータロガー艦であることを告げた。西南達は林檎の可憐さに見惚れ、特に西南は彼女に対し特別な感情を抱いた。霧恋もまた、かつての行為に対する罪悪感で戸惑いを隠せず、緊張の色を見せていた。

アランの野望と侍従長東堂の案内

アランは自分を「樹雷の英雄」と称し、林檎と結婚して樹雷皇族の道を切り開こうと野心を抱いていた。彼の前に侍従長の東堂が現れ、案内をするが、アランはその案内が林檎との対面だと勘違いし、喜び勇んでスキップしながら進んだ。

アランの失態とライアンとの再会

転送先で待っていたのは同期のライアンであり、アランの期待とは大きく異なっていた。ライアンはアランの腹の弛みを指摘し、彼の脱走時の無責任な行動や不誠実さを厳しく叱責した。ライアンは、アラン達が守蛇怪での任務から外され、一般訓練生へと降格されることを告げた。

アランの無謀な借金交渉と東堂の警告

アランは借金の肩代わりを求めて東堂に訴えるが、東堂は林檎に借金を依頼することの危険性を真剣に警告した。林檎が「経理の鬼姫」と呼ばれるほどの苛烈な人物であることを知り、アランは恐怖を感じて黙り込み、最終的にライアンに拘束されて訓練艦へ連れて行かれた。

天女とアイリによる守蛇怪の調査

天女やアイリ達はNBと共に守蛇怪の調査に取り掛かった。護衛艦の要人用迎賓フロアへ案内された搭乗員達を見送り、リョーコと守蛇怪クルー達は林檎の手引きで穂野火の迎賓館に向かった。

迎賓館での歓待と林檎の気遣い

穂野火の迎賓館は、白木と淡いパステルの調度品で整えられ、世界樹からの木漏れ日が差し込む優雅な空間であった。林檎は珀蓮達に「西南様の部下として任務を続行している」とし、瀬戸からの配慮で休むよう勧めた。珀蓮達は外に散歩に出かけ、西南の接待役に徹する林檎に感嘆の意を示した。

林檎の挨拶と西南への激励

林檎は西南に改めて挨拶し、彼の努力を称賛。西南は自らの未熟さを感じつつも、林檎から「最善を尽くす事が大切」との励ましを受け、更なる成長を誓った。この場面を見守る雨音とリョーコも、西南に対する林檎の好意を察しつつも、牽制し難い複雑な思いを抱えていた。

霧恋の罪悪感と林檎の慰め

霧恋は、林檎に対する罪悪感から感情が溢れ、涙を流してしまう。林檎は霧恋を個室に誘い、慰めの言葉をかけたが、逆に霧恋は罪悪感を募らせていった。林檎も彼女を慰めながら、自分が相手を泣かせる理由を理解できないまま、辛抱強く霧恋の涙が収まるのを待った。

守蛇怪の正体と西南への励まし

林檎の退室後、リョーコは守蛇怪がデータロガー艦であることを説明した。守蛇怪はデータ収集のための試作艦であり、通常の駆逐艦と異なることが明かされた。天女は西南に、部下を庇う姿勢を称賛しつつも、度が過ぎれば不利益をもたらすこともあると忠告した。

アラン達の降格と再訓練

アラン達は過去の行動が原因でGPアカデミーの基準を下回り、訓練生に降格された。彼らは林檎に借金の肩代わりを依頼したが、断られた上にさらに無謀な要求をし、返り討ちに遭うこととなった。この事態に霧恋達も呆れを隠せなかった。

皇家の樹「穂野火」との邂逅

皇家の樹「穂野火」が天女に会いに来た。穂野火は好奇心旺盛であり、西南達と友好的な交流を交わした。その愛らしい姿に、西南達は親しみを抱いた。

霧恋の心情と林檎の配慮

霧恋は泣き腫らした顔を気にしつつも、林檎からは「自分も霧恋のように可愛らしい」と指摘され、驚きと照れを見せた。林檎は霧恋に「瀬戸の女官達が西南への好意を増幅させている」ことを伝え、樹雷到着に備えた準備を促した。

西南歓迎の総決起集会

樹雷では、瀬戸が西南のために総決起集会を開催し、部下達に西南の功績を称賛するよう檄を飛ばしていた。壇上で瀬戸は西南への恩を強調し、彼を温かく迎えるための意識を共有した。

水穂も加わる西南争奪戦

水穂は阿主沙や船穂から、西南争奪戦への参加を勧められた。最初は困惑したが、彼らの言葉に押されてうやむやのうちに参加を了承。こうして西南を巡る争奪戦に新たな一人が加わることとなった。

穂野火と西南の交流

霧恋と共に部屋に戻ってきた林檎は、穂野火が西南と楽しそうに話している様子に気付いた。普段は林檎が近くに来るとすぐに飛びつく穂野火が、西南との会話に夢中で気付かず、林檎の呼びかけにようやく反応したが、離れることを躊躇する素振りを見せた。林檎はそんな穂野火に微笑みながら近寄り、胸に抱き止め、穂野火も嬉しそうに体を小刻みに揺らしていた。林檎は、経理状況改善のきっかけを作った西南に日頃から言及していたため、穂野火が興味を抱いたことを理解した。

皇家の樹端末体に対するリョーコの疑問

林檎は西南達に穂野火の相手をしてくれた礼を述べた。その際、リョーコは皇家の樹に端末体があること、そして穂野火の水晶体が魎皇鬼の船体に似ていることに疑問を抱き、不躾ながらも質問した。林檎は他言無用を条件に、穂野火が魎皇鬼の生みの親である白眉鷲羽による実験艦であり、端末体は穂野火の感情の流れを観察するために作られたことを明かした。リョーコは驚きつつも、その内容の詳細については遠慮した。

展望室への移動

穂野火との会話が落ち着いたところで、散歩に出かけていた珀蓮達が戻り、時間となったため、一同は展望室への移動を促された。

8「樹雷へ」

穂野火の樹雷星到着と壮大な風景

穂野火が樹雷星に到達した時、朝日が昇り、壮大な自然景観が展開された。樹雷星の全大陸が樹林で覆われたシンプルな地形であり、特に高空から見る森林地帯の巨大樹の姿は圧倒的で、西南もその光景に魅了された。穂野火は特別な飛行ルートを選び、神々しいまでの天樹の姿をゆっくりと見せることで西南を歓迎した。

皇家の支配域と水穂の策謀

水穂は天樹内の柾木家領域で、兼光と秘密裏の会談を行った。西南を守るための警護体制を検討し、対策について意見を交わし合った。瀬戸の影響も計算に入れつつ、候補者のリストを確認し、皇族間の権力争いや西南の周囲に張られる保護網を強化する方針が決定された。

天樹の降下と守蛇怪の着艦

穂野火が皇家の領域に到着すると、守蛇怪は港へと誘導され、見事な着艦を果たした。港には樹雷の屈強な闘士達が整列し、出迎えとして瀬戸直属の「お局部隊」が待機していた。西南達はその荘厳な迎えに一瞬戸惑ったが、霧恋達は場にふさわしい態度で西南の尊厳を保つよう気を配りながら進んだ。

西南と霧恋の再会

西南が進む中、お局部隊の一人である月湖が彼に近寄り、無事を喜んで声をかけた。西南と霧恋は驚き、母である月湖と再会を果たし、心からの安堵と感謝を感じていた。雨音達も月湖の存在を受け入れ、霧恋と西南が無事であることを改めて喜び合った。

瀬戸の歓迎の茶番劇

瀬戸は西南を歓迎するために「団地妻」の設定で登場したが、霧恋達には冷静に受け止められ、むしろ茶番と見なされた。瀬戸の演出はお局部隊からも辛辣に批評され、瀬戸は半ば不満を残しつつ、正装に戻った。だが、霧恋達は瀬戸の奇抜な行動に少々困惑しつつも場を取り繕い、正式な歓迎を続けた。

西南の悪運とコントロールの提案

瀬戸は霧恋に対し、西南の「悪運」をコントロールする必要性を説いた。西南の悪運が利益に繋がると、多くの人々が好意を装って近寄る可能性があるため、霧恋達に対しても西南を守るための責任を強調した。西南の悪運が彼自身の望みや夢を阻害しないために、霧恋は瀬戸の提案を考慮し、その意味を理解し始めた。

西南と月湖の再会と思わぬ告白

西南は月湖に連れられ、和風庭園を模した静かな部屋に案内された。靴を脱ぎ、苔のような柔らかな床に足を置いた西南は、月湖から差し出されたお茶を受け取ろうとしたが、突然、月湖が西南に抱きつき、告白を始めた。驚きつつも、西南はその想いに戸惑いを隠せなかった。月湖が自らの気持ちに揺れつつも、女性として西南を見ていることに気付いた西南の鼓動は速まり、彼女に抱かれる姿に緊張を覚えた。

クイスの正体と霧恋達の乱入

月湖がさらに西南に迫りキスをしようとした瞬間、霧恋と珀蓮達が乱入し、月湖が偽物であることを告げた。その言葉に月湖の姿は変化し、お局部隊の隊長であるクイス・パンタの姿が現れた。霧恋達はその正体に驚愕し、クイスの実力を思い知るが、クイスは冷静に彼らを制し、西南に対して自分の変装が見破られた理由を問いかけた。

クイスの策略と西南の転送

西南が気づいた理由を聞き終えたクイスは、不意に西南を池に突き落とし、彼を転送ゲートに送り込んだ。驚く霧恋は急いで追いかけるも、転送ゲートはすでに閉じていた。クイスは霧恋を挑発し、月湖を応援する意図を示しつつ、悠然と霧恋達を見送った。

瀬戸とお局達の策略

一方、瀬戸はお局達と共に計画を進行させていたが、想定外の事態が発生した。西南の転送が制御不能になり、複数の闘士達が大浴場で突然プロポーズを始める混乱が起こった。瀬戸はお局達の驚きをよそに、状況を把握しようと努め、兼光の策略も見抜いたが、すでに多くの恋愛模様が展開されていた。

樹雷皇宮での西南の保護と新たな計画

西南は天樹の皇宮「天の間」に安全に保護されており、樹雷の王族達と面会することとなった。霧恋と珀蓮達もこの状況を確認し、水穂の助けで昼食会までの時間を確保する策を進めたが、同時に瀬戸も新たな計画を画策していた。

クイスの再登場と水穂への挑発

クイスは水穂達の前に再び現れ、彼女達が乗っていた列車の車両を切り離すという大胆な手段に出た。霧恋や水穂はクイスの挑発に応じながらも、状況を把握しようと努めた。クイスはさらに瀬戸の計画を邪魔するべく水穂達を拘束し、彼女自身の目的を果たす決意を見せた。

瀬戸の最終手段と新たな計画の始動

クイスに妨害され計画が頓挫した瀬戸は、次の手として夕咲を呼ぶよう指示を出し、樹雷皇宮にいる西南に対して再び動きを見せた。お局達と共に西南の周囲をさらに混乱させ、彼の欲望を煽るように計画を立て始め、楽しげに計画の進行を待ち構えていた。

9「決闘」

西南と樹雷皇家の出会い

西南はアカデミー所属の実験艦『守蛇怪』の艦長として、樹雷皇である柾木阿主沙樹雷とその家族、船穂、美砂樹と面会するため、天樹の頂上にある特別な場所へ招かれた。彼らは西南に感謝の意を示し、荷物の護衛を果たした西南の功績に礼を述べた。阿主沙は親しみを込めて西南にアドバイスを送り、さらには家族同然の仲間として歓迎した。

和やかな交流と家族としての受け入れ

美砂樹は西南を自分の隣に座らせ、お茶やお菓子を振る舞いながら、彼を歓迎した。船穂と阿主沙もまた、清音や霧恋との関係を説明し、家族同然の関係を強調した。西南はその温かい歓迎に心を打たれ、樹雷皇家との親しみが増していった。

瀬戸の策略と西南への提案

阿主沙は、天樹が西南を保護する理由が瀬戸の策略に関連していることを示唆し、さらに冗談半分で水穂との縁談を提案した。彼はクイス・パンタが月湖の姿に変装していたことを聞き、その情報を深く理解し、瀬戸の陰謀の奥深さを認識した。

水穂と林檎の誘拐と西南の決意

阿主沙の耳に入った報告により、水穂と林檎が人質に取られ、西南に決闘を求められていることが判明した。阿主沙は客人である西南を守ろうとするが、西南は自らの意志で決闘に臨む決意を示し、彼らのために立ち上がった。

闥亜との会話と決闘の場への移動

西南はエアカーで闥亜と共に決闘の場へと向かい、道中で闥亜から砂沙美や遙照との関係について話を聞いた。闥亜は西南の覚悟を見守りつつも、彼の身の安全を祈りながら案内を続けた。

夕咲との決闘と周囲の緊張

決闘場で西南を待ち構えていた夕咲は、西南に対して武器を選ばせ、二人の決闘が開始された。西南は夕咲の初撃を見事にかわし、彼女の意図を理解しつつ逃げる戦術を選んだ。その動きに、観戦している阿主沙や瀬戸達も驚きと興味を抱いた。

決闘中の崩落と西南の救出劇

決闘中、突然の地震で決闘場が崩壊し始め、西南は周囲に避難を呼びかけた。夕咲の指示で部下たちが避難する中、西南と夕咲は崩壊に巻き込まれるが、救助隊の迅速な対応によって二人は無事に救出された。

阿主沙達の謝罪と西南の包容力

阿主沙は、西南が危険に巻き込まれたことを謝罪し、樹雷皇としての立場から深い礼を示した。西南は家族のような存在であることを再確認し、共に助け合う仲間としての絆が深まった。

夕咲の思いがけない提案

救出後、夕咲は西南に対して自分の娘との縁談を提案し、周囲は驚きの声を上げた。西南は困惑するも、彼の優しさや包容力により、樹雷の人々との絆がさらに深まることとなった。

西南の治療と訪問者

西南は皇族専用の病院で精密検査を受け、怪我の跡が完全に消えた。治療後、看護師から面会の知らせがあり、闥亜の妻である麻真が訪れた。彼女は西南に感謝と安堵の意を示し、砂沙美について西南に尋ねた。西南は砂沙美が元気であることを説明し、麻真の不安を少しずつ解消した。

神木家での昼食会準備

神木家迎賓館では、西南を迎えるための昼食会準備が進んでいた。瀬戸、水穂、林檎が各部門を視察し、特に厨房では金に糸目をつけない料理の準備が進められていた。瀬戸と水穂が林檎に冗談を言う中で、節約料理についての話題が出たが、最終的に林檎は料理長の新作を彼女らに試食させると宣言した。

西南と麻真の会話

西南は麻真と共にテラスで砂沙美についての話を続けた。彼は砂沙美が家族と共に充実した生活を送っている様子を詳しく説明し、麻真の心の平穏を取り戻す手助けをした。彼女は砂沙美の安定した生活に安堵し、闥亜と共に礼を述べて帰って行った。

守蛇怪の廃艦と西南の感謝

闥亜から守蛇怪の廃艦が決定したことを知らされ、西南は守蛇怪への感謝の意を込めて、別れの挨拶をするためドックを訪れた。守蛇怪に向かって「ありがとう」と敬礼した西南の前に、若葉色の髪の少女が現れた。彼女は守蛇怪の擬人化のような存在であり、西南に別れのキスをして消え去った。

別れの後のすっきりとした心

別れを終えた西南は、再会したアイリから、整備された N Bを受け取った。 N Bは改めて西南に案内役を務めることとなり、二人は昼食会の会場へと向かい、再び前に進む決意を新たにした。

10「ランチ・ショー」

入浴と女官たちの騒動

西南が客室に戻ると、月湖とお局達が彼を迎え、入浴を促した。西南は一人で入ると主張したが、女官達は強引に服を脱がせて浴場に案内した。彼が浴場に飛ばされると、霧恋らと衝突し、騒動が巻き起こった。大浴場は怒号と悲鳴で満ち、混乱の渦中で一部の者は負傷する事態となった。

昼食会と気まずい空気

迎賓館で西南を歓迎する昼食会が開かれ、樹雷の豪華な料理が並んだが、参加者の多くが負傷しており、場には気まずい空気が漂っていた。霧恋が神樹の酒を無茶飲みし、不満を表明する場面もあったが、やがて兼光と瀬戸の機転で場が和み、宴が進行した。

皇家の樹の種の秘密

瀬戸が西南が守ってきた荷物の中身を公開し、それが皇家の樹の種であることが明らかとなった。数万年前の戦乱で失われたこの種は、タラントに発見されたが、西南が守り通したことで樹雷と銀河連盟は脅威から免れた。瀬戸は西南の功績を称え、周囲も納得の意を示した。

リョーコの出自の発覚とバルタ総帥の登場

瀬戸の演出により、リョーコ・バルタの曾祖父であるバルタ総帥が登場し、リョーコがバルタの直系の血筋であることが明かされた。感動の場面になるはずが、総帥の軽率な言動やリョーコへの過剰な愛情表現が混乱を招き、場は喜劇的な展開となった。

喜劇的な舞台と次なる任務

バルタ総帥は出席者達にデートを迫るなど奔放な行動を見せ、最後には舞台から退場した。瀬戸は計画通りの感動的な演出が叶わなかったことに落胆するが、参加者たちは冗談交じりにこの出来事を受け入れた。西南達は宴を後にし、新たな任務に向けて次の準備を始めることとなった。

11「産声」

新任務への出発と海上都市の到着

西南たちは小型艇で樹雷の海を進み、新たな任務のために水上都市へ向かっていた。同行していた水穂は、霧恋たち護衛隊の一部は一時的に任務から外されることを告げた。護衛隊は驚きつつも、しばらくの間だけ戻るよう指示され、任務のための準備を進めた。

皇家の船の調整槽と新たな船の発見

水上都市に到着した一行は、いくつかのゲートを通過した後、皇家の船専用の調整槽に辿り着いた。そこで、巨大な円筒形の水槽の中に潜む異形の船と出会う。霧恋たちはこの船が西南への贈り物であることを告げられ、その船の存在に驚きの表情を見せた。

謎の少女ネージュとの再会

水槽の前で待っていたのは、以前守蛇怪のドックで見かけた淡い若葉色の髪を持つ少女ネージュであった。彼女は西南にまっすぐに歩み寄り、守蛇怪は既に消え去り、自分はネージュ・ナ・メルマスであると名乗った。彼女の姿と言葉に、霧恋たちは新たな敵意を感じつつも、西南が彼女に親しみを持つ様子を目の当たりにした。

新造艦守蛇怪の授与と命名

ネージュが指し示したのは、皇家の船に匹敵する性能を持つ新造艦であり、それが今回の贈り物であることが明かされた。西南は驚愕しつつも、この船の維持費や税金について現実的な懸念を示したが、水穂たちはその心配が不要であると説明した。さらに、この船が彼の過去の任務で得た報酬で賄われたものであり、維持も自己修復機能があるため西南の負担は無いことを確認した。

守蛇怪との新たな旅立ち

西南はついに船を受け取る決意を固め、その船に「守蛇怪」という名前をつけた。彼の声に応えるように守蛇怪のクリスタルが光り始め、船が覚醒する様子は新たな生命が生まれるようであった。ネージュの「宇宙へ行きましょう」という誘いに応じ、西南は新たな船と共に新しい冒険の一歩を踏み出した。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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