小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP8」感想・ネタバレ

小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP8」感想・ネタバレ

どんな本?

物語の概要

本作は、SFとラブコメディを融合させた作品である。主人公・山田西南は、極度の不運体質を持つ少年である。
ある日、彼は墜落した宇宙船に衝突するという出来事をきっかけに、銀河警察組織「ギャラクシーポリス(GXP)」に入隊し、宇宙へと旅立つことになる。
彼の行く先々では、数々の冒険と多くの美女たちとの出会いが待ち受けている。

主要キャラクター

  • 山田西南:極度の不運体質を持つ少年で、本作の主人公。ひょんなことからGXPに入隊し、宇宙での冒険を繰り広げる。
  • 正木霧恋:西南の幼馴染であり、彼を陰ながら支える存在。GXPの職員としても活躍する。
  • 雨音・カウナック:GXPの二級刑事で、西南をGXPにスカウトした張本人。明朗快活な性格で、西南の冒険に深く関わる。
  • リョーコ・バルタ:宇宙海賊「ダ・ルマー」の幹部。温和な性格で、西南たちと関わる中で重要な役割を果たす。
  • ネージュ・ナ・メルマス:宗教国家メルマスの元最高権力者。幼生固定により外見は少女だが、約2000歳の女性。西南を「お兄ちゃん」と慕う。

物語の特徴

本作は、『天地無用!』シリーズのスピンオフ作品であり、シリーズ10周年を記念して制作された。主人公・山田西南の視点から描かれる物語は、彼の不運体質が引き起こす数々のトラブルや、それを乗り越える成長が魅力である。また、多彩なキャラクターとの交流や、宇宙を舞台にした壮大な冒険が展開される点も特徴的である。

出版情報

  • 出版社KADOKAWA
  • レーベル富士見ファンタジア文庫
  • 刊行開始:2003年4月
  • 既刊数:17巻(2018年6月現在)
  • 関連メディア展開:本作はテレビアニメ『天地無用! GXP』として、2002年4月から9月にかけて日本テレビほかで放送された。

読んだ本のタイトル

真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP  8
著者&イラスト:梶島 正樹 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889458714 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP8」感想・ネタバレBookliveで購入gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP8」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890540720 小説「真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP8」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

新たなる母船を手に入れた西南たちにまたもや災いが!?

鷲羽が製造した新たなる守蛇怪を受領した西南たち。艦の制御装置が魎皇鬼と同じコンピューターユニットであることに驚きながらも次第に艦の制御を把握していく。そんな時、西南たちは瀬戸からある任務を依頼される。

真・天地無用!魎皇鬼外伝 天地無用!GXP  8

感想

福の爆誕と西南の寄り添い

福という名の有機生命体ユニットが新たに誕生し、その存在が艦の制御に影響を及ぼした。
西南だけが心を寄せ、福の不安を和らげる努力をしていたが、他のクルーたちは操縦が不安定になることに戸惑い、対策を取ることに奔走する。
その様子が描かれ、福が「必要とされない」恐怖を感じることが伝わる場面であった。
また、福がアイリの操作を嫌がる場面もあり、そこには不穏な一面があった。福が単なる機械でなく、感情を抱く存在であることが示された巻であった。

ネージュと瀬戸の存在感

福の内面に焦点が当てられる中で、ネージュの一時的な登場や、瀬戸の影響力が際立った回であった。
ネージュの素顔が垣間見え、思わぬギャップに驚かされるとともに、アニメでの印象との共通点に満足感を覚えた。
また、瀬戸がやつれた様子で登場する場面(イラストあり)は、彼女の持つ威厳と力強さに裏付けされた弱さが垣間見え、印象深かった。

豪華なキャラクターの群像劇

天地ワールドの中心にいる西南は、個性豊かなキャラクターに囲まれ、さまざまな愛情や期待を寄せられる存在である。
この巻では、福やネージュを始めとするキャラクターたちの生き生きとした描写が光り、まさに「豪華絢爛」の一言であった。
複雑でユニークな関係性が展開し、「次は何が起きるのか」と飽きさせない工夫が随所に見られた。
壮大な物語がどう広がるのか楽しみである。

福と西南たちの成長と絆

福の内面が描かれることで、西南たちとの絆が深まっていく様子が伝わった。
クルーたちは福の感情や存在に向き合い、理解しようと努力するが、福にとっての「愛されている実感」が不足していることで葛藤が生まれる。
やがて、地球編へと物語が続く展開に期待感が膨らむとともに、福の成長と新たな試練に挑む姿が描かれることに期待が集まった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

備忘録

1「初めてのおつかい・帰還編」

柾木家の特別な朝

1. そわそわとした朝

柾木家では、いつもと異なる特別な雰囲気の朝を迎えていた。まるでお祭りの前日のように、家族全員が笑顔で朝の準備に励んでいた。鷲羽も普段は研究室に籠もっているが、この日は砂沙美と共に台所に立ち、手際よく朝食の準備をしていた。砂沙美が何気なく鷲羽に魚の出所を尋ねると、鷲羽は普段通りの養殖魚だと答えたが、手元に手術用メスを使っていたため、砂沙美は少し不安を抱いた。鷲羽も気づいて包丁に持ち替え、事なきを得た。

2. 魎皇鬼の帰還を待つ期待

鷲羽や砂沙美、天地たちは、ノイケから「魎皇鬼が太陽系に入った」との知らせを受け、心が弾んでいた。寂しさを感じていたのは魎皇鬼だけでなく、柾木家の者たちも同じであった。皆がそれぞれの役割をこなす中、朝食を整え、魎皇鬼が帰還するのを心待ちにしていた。

3. 待ち遠しい時間

しかし、約束の時間が過ぎても魎皇鬼は戻って来ず、家族の間に不安が広がり始めた。鷲羽がノイケからの通信を受け、家族全員がそのモニターに注目したところ、ノイケの苦笑顔が映り、不安が和らいだ。ノイケは「魎皇鬼が太陽系に入った際に、宇宙の蝶と呼ばれるアモルフォに興味を示し、航路を逸れてしまった」と説明した。そして、土星のリングを崩そうとしたため、緊急で拘束したと報告し、一同は安堵した。

4. 魎皇鬼との再会

予定通り、魎皇鬼を乗せたノイケの船が柾木家の上空に到着した。魎皇鬼は砂沙美の胸に飛び込み、再会の喜びを全身で表現した。家族一人ひとりに愛情を示し、最終的にはすっかりご機嫌な様子となり、懐かしき柾木家の朝食を堪能した。

5. 旅の土産話

魎皇鬼は旅の土産話を語り始め、宇宙での経験や強い使命感の中で迎えた樹雷での歓迎の様子を熱心に話した。その中でも特に西南とのエピソードには熱が入り、家族にとっても微笑ましいひと時となった。彼の冒険は、柾木家にとっても新たな思い出となり、鷲羽も「これからの展開に期待が持てる」とコメントし、皆が同意した。

6. 日常への回帰

楽しい会話が続いた後、家族はそれぞれの日常に戻っていった。天地は畑での仕事に向かう際、魎皇鬼が嬉しそうに肩に乗るのを微笑ましく感じていた。彼は空を見上げながら、西南のことを思い浮かべ、穏やかな日常に感謝していた。魎皇鬼もその視線に共感し、いつもの日常が戻ってきた安堵を共有していた。

2「フリダシに戻る」

守蛇怪の初期調整と新たな出発

1. 西南、守蛇怪のブリッジに到着

西南は、守蛇怪の調整槽から転送され、守蛇怪のブリッジへと到着した。ブリッジは薄暗く、中央には淡く光る卵状のユニットがあるだけだった。西南がそのユニットに手を置くと、ブリッジが明るくなり、霧恋や仲間たちが次々に転送されてきた。霧恋は艦の起動を試みたが、システムには必要なプログラムが全くインストールされておらず、困惑を隠せなかった。

2. プログラムのインストールと守蛇怪の特殊システム

霧恋たちは、守蛇怪のシステムの不完全さに戸惑いながらも、先代の守蛇怪一号機のデータをダウンロードすることを決断した。ダウンロード開始直後、膨大なデータが超高速で処理され、インストールとチェックが短時間で完了するという驚異的な技術が発揮された。霧恋とエルマは、哲学士鷲羽の技術の奥深さに改めて圧倒された。

3. クルー配置と出発準備の完了

システムのインストールが完了すると、霧恋とエルマは各プランを確認し、出発準備に取り掛かった。クルーはそれぞれの席に配置され、守蛇怪は新しい航海に備えた。ネージュが西南を信頼して囮役を引き受ける意向を示したことが一同に衝撃を与えたが、準備は粛々と進行し、いよいよ発進が目前に迫った。

4. 瀬戸への不満と対策

一方、水鏡のブリッジでは、守蛇怪の無事な出発を確認した水穂が安堵する中、瀬戸に対する不満が噴出していた。特に玉蓮たちは、瀬戸が西南に課した無理な任務とクルーへの対応に対し、不満を露わにしていた。瀬戸は、転送ゲートを用いて姿を消そうとしたが、玉蓮たちは追跡を命じ、瀬戸を必ず捕まえようと決意を新たにした。

5. 追跡と決意

水穂やオペレーターたちは、瀬戸の転送先を追跡するための準備に取り掛かり、瀬戸が逃げ場を失うように計画を練り始めた。オペレーターたちの協力体制は万全で、瀬戸の行動パターンを徹底的に分析し、あらゆる手を尽くして追い詰めようとした。

6. 出航の完了と新たな航路

守蛇怪は、樹雷の空を上昇し、ついに新たな航路に乗った。西南たちが無事に任務を遂行できるよう、一同の期待が膨らんでいた。

3「箱入り娘?」

守蛇怪の新たな任務と未知の航路

1. 初ジャンプと守蛇怪の安定性の確認

守蛇怪は樹雷星を離脱後、テストとして短距離ジャンプを実施し、無事に樹雷太陽系の外で実体化した。エルマが「異常なし」と報告し、船体やシステムの安定性が確認されたものの、予想以上の安定ぶりに一同は少し拍子抜けした様子であった。西南は航路を再設定し、守蛇怪は次の任務地へのジャンプを実行する運びとなった。

2. 居住区の確認と守蛇怪の豪華設備

ジャンプの合間に、守蛇怪の内部にある居住区が確認された。 NBは船内の施設を誇らしげに紹介し、各居住区や娯楽施設、リサイクルシステムに至るまで、充実した設備が整っていることが判明した。中規模の豪華客船並みの設備で、ほぼ無補給でも運航が可能なことから、船内での長期滞在も十分に配慮されていることが明らかとなった。

3. 西南とネージュの同室問題

船内の部屋割りにおいて、ネージュは西南と一緒に部屋を使いたいと主張した。霧恋たちはその要望に一抹の不安を感じつつも、西南がその役目を引き受けることとなった。ネージュは自信満々に皆の前で微笑み、一同に軽い挑発ともとれる表情を見せた。

4. ネージュの謎と霧恋たちの疑念

西南とネージュの振る舞いをブリッジのモニターで見守る霧恋たちは、ネージュの正体に疑念を抱き始めた。ネージュ・ナ・メルマスという名は、メルマス星の支配者である謎の巫女と同一であることが判明し、真の目的や意図が不明なままであることが彼女たちを不安にさせた。

5. 情報漏洩と瀬戸の策略

一方、暗い部屋で通信を行っていた男は、守蛇怪の航路に関する情報を相手方へと提供していた。しかし通信終了直後、その男が樹雷の者であることが発覚する。さらに、瀬戸とクイス・パンタが現れ、男が情報をリークしている様子を監視していたことが判明する。瀬戸は、敵を誘導するための「寄せ餌」を撒いた後、次の行動へと移るためにゲートを通過した。その後、玉蓮たちがその部屋へなだれ込んだが、すでに瀬戸とクイスの姿は消えていた。

聖なる少女と守るべき使命

1. 公園での無邪気な戯れ

ネージュは公園で靴を脱ぎ、楽しげに小川へと入っていった。西南は彼女を心配しつつ駆け寄るが、苔に滑って小川に落ちる失敗を犯した。西南は笑って立ち上がり、生態系が整えられたこの居住空間の豊かな自然に感嘆していた。

2. ネージュの独白と聖なる命令

自然に触れ、ネージュは「箱入り娘」だと語り始めた。彼女は物理的な意味で箱の中に閉じ込められており、贅沢品には囲まれているが、普通の生活を体験できなかったと明かした。彼女はその静かな空間を「聖堂」と呼び、神聖な雰囲気の中、西南に「私を守りなさい」と命じた。

3. 妹のような親しみと手をつなぐ約束

ネージュは西南に「家に行きましょう」と誘い、彼の手を取った。西南は妹の吉子に対する思い出を語りながら、ネージュの優しさに触れ、彼女を守るべき存在と改めて決意した。

4. 居住区の探索と艦長用の邸宅

守蛇怪の居住区内にある艦長用の樹雷風の邸宅に到着し、ネージュと西南は庭の眺めを楽しんだ。ネージュは短期間の滞在であることを理解し、シンプルな庭を望んでいた。西南は、まだ小川での泥が残っているため、ネージュに促され入浴することとなった。

5. 霧恋たちの嫉妬と冷静な判断

霧恋はネージュが西南と親密に過ごすことに不安を感じていたが、雨音とエルマの助言により、ネージュが西南を妹としか見ていないことを理解した。また、彼女はエルマの説明で、西南が年上の女性に好意を持つ傾向があることを知り、少し安心した。

6. 瀬戸とバルタの謀略

一方、瀬戸とバルタは樹雷の宇宙港で密談を交わし、守蛇怪の航路を巡る計画について話し合っていた。彼らは守蛇怪を特定の宙域に導くための策略を練り、不敵な笑みを浮かべながら別れを告げた。

7. 守蛇怪内部での様子と監視

瀬戸の策略を警戒し、天女とアイリは守蛇怪内部の様子を観察していた。ネージュと西南が浴室で穏やかに過ごしている姿を見て、アイリは彼らに興味を持ちながらも、天女の忠告を受け流した。彼らの監視は続き、守蛇怪における日常が少しずつ明らかになった。

8. 宇宙食と幻のレシピ

夕食の際、西南とネージュは守蛇怪の調理システムにアクセスし、銀河連盟の失われたレシピを含む多様なメニューに驚いた。特に、ネージュの故郷メルマスの料理が含まれていることに彼女は感激し、西南と共に異星の料理を堪能した。

9. 加速空間での学習と決意

夕食後、西南とネージュは加速空間で休息を取る準備を整えた。ネージュは一人で学習するために別の部屋へと向かい、西南は一緒に過ごす妹のようなネージュを守るという決意を新たにした。

4「福・誕生する」

守蛇怪の試練と新たな仲間

1. 緊急脱出の準備と予想外のトラブル

超空間航行を終えた西南達は、予定座標に誤差なく通常空間へと復帰した。エルマが偵察艦の接近を確認したが、西南の即時指示で守蛇怪は緊急ジャンプを行った。次の通常空間でも海賊に待ち伏せされ、戦闘が勃発。ペイント弾をかわすも、ユニットにヒビが入り艦のコントロールが低下。脱出艇への移動を指示するもブリッジが隔離状態に陥ったため、全員が閉じ込められる事態に見舞われた。

2. 出現した謎の小動物「福」

艦内で制御不能の危機が迫る中、ユニットから突然、魎皇鬼に似た小さな生物が現れ、艦内に光の洪水が巻き起こった。ブリッジに新たな航法ソフトがインストールされ、守蛇怪の機能が強化された。激しい攻撃の中、小動物「おチビ」は艦を守るべく、敵の攻撃をねじ曲げ、瞬間移動のような奇跡的な動きを見せ、戦闘宙域からの離脱を成功させた。

3. 新たな居住空間と皇室の超空間

守蛇怪は「皇家の船」の特権である通信専用超空間を通過し、四季の異なる広大な居住空間が追加された。新しい航法システムは皇室級の性能を備えており、霧恋とエルマもその優れた機能に驚嘆した。西南はこの小さな生物に「福」と名付け、全員が福に対する親近感を抱くようになった。

4. 福の存在が艦の機能に及ぼす影響

その後のチェックで、福がブリッジの中央にいないと艦が正常に稼働しないことが判明。さらに福が西南から離れるとアクセス率が低下し、艦の機能に影響が出ることがわかった。霧恋は福をブリッジに居させるための対策が必要と認識し、福の存在が新たな艦の鍵であると理解した。

5. 航路確認と登録手続きの問題

航路を確認しつつ、船籍の確認作業を進め、申請が受理されていることを確認。霧恋は無事に守蛇怪の航路と手続きが整っていることを確かめ、艦内に安堵の空気が戻ったが、システムの安定化には福の存在が重要であることを再確認した。

5「福・船の中のバカンス」

緊迫の追跡と平穏なひと時

瀬戸とクイス、玉蓮からの逃避

瀬戸とクイスは、追って来る玉蓮に恐怖を覚えながら、水鏡のブリッジに駆け込んだ。乱れた姿と狼狽した表情はその緊迫感を物語っていたが、二人は間一髪で檻の中に逃げ込むことに成功した。玉蓮は格子越しに手を伸ばし、瀬戸に迫ったが、直前で手を止め、冷ややかな笑みを浮かべた。

中継地点での福の成長と船の改善案

同時期、守蛇怪は中継地点の惑星の淡水湖に到着。福は湖に喜んで遊んでいたが、西南達は船のコントロール値の問題に頭を悩ませていた。福がNBを拒絶するため、コントロール機能の最適化が必要であると判断した霧恋とエルマは、機能を分担しながら、状況に応じたカスタマイズ案を模索した。

四季ゾーンでの福との遊び

霧恋達の提案で、西南とネージュは福を連れて、守蛇怪内の四季ゾーンの「夏」にある海へと向かった。波打ち際で福と遊ぶ二人は、砂浜での楽しげなひと時を過ごし、福もまた波に乗る楽しさを覚えた。西南は、ネージュが見せた純粋な笑顔に、かつての妹との思い出を重ね、懐かしさを覚えた。

雨音たちとの再会と暗黙の競争

その後、雨音、エルマ、霧恋が現れ、海辺での水着姿を西南に見せつけながら近づいた。女性陣の美しさと大胆さに西南は赤面したが、ネージュもまた西南の注意を引くために暗黙の競争を繰り広げた。さらに、福をダシにした小競り合いが続き、福が人参に夢中になる姿に一同は和やかな表情を見せた。

夕暮れに向けた準備とネージュの提案

海辺での時間を十分に楽しんだ後、ネージュは福を西南に任せ、女性陣との打ち合わせに向かうことにした。彼女は再度、前夜と同じ家で過ごしたいと告げ、西南もそれを了承した。西南は福を抱きながら、仲間達の助けを得て、静かに夜のひと時へと備えた。

エアシャワールームと福の休息

西南は、エアシャワールームを通過し、福の砂も綺麗に取り除かれたことに驚きながら多目的クロークルームに戻った。福をソファーに寝かせ、ロッカーで手早く着替えを済ませた。

アラン達の脱走

その時、転送ゲートから NBが駆け込んできて、アランらが脱走したことを告げた。アラン達はスクープ記事をネタに資金を集め、訓練生からも金を持ち逃げしたと聞いた西南は愕然とした。彼らが密輸船で脱出したことを知り、心配しつつも今は祈るしかないと結論づけた。

霧恋達の入浴とネージュの告白

霧恋達が浴場に向かい、ネージュが髪を解く際、彼女の頭にメルマスの巫女の文様を発見した。ネージュは霧恋達に、自身が正統なるメルマスの巫女であると明かし、西南の「確率操作の能力」を確認するために派遣されたと告げた。霧恋達はその背景にある瀬戸の意図を悟りつつも、ネージュの調査を受け入れた。

守蛇怪の報告と瀬戸の反応

瀬戸は玉蓮らと守蛇怪の進捗について確認し、報告書に目を通した。彼女は一息ついた後、今後の対策について考えを巡らせた。

福と西南の再会

更衣室から出た西南は、福が目覚めて一人で鳴いているのに気づき、駆け寄って安心させた。福が小さな頃の西南のように感じられ、思わず胸が熱くなった。

ネージュの帰宅とNBと福の対立

ネージュが帰宅すると、福と NBが再び口論している様子を目撃。更衣室では仲良くしていた福が再び NBを警戒している理由に首を傾げたが、ネージュは福が船の頭脳として重要であり、 NBとは異なる存在だと説明した。

福と NBの和解の兆し

最終的に、福が再び NBに親しげに接し、仲直りの兆しを見せた。西南はその様子を見守りつつも、福の存在に対する責任感と共に不安も抱き続けていた。

福と霧恋の料理への興味

福は台所で料理をしている霧恋に興味を示し、霧恋の足元にまとわりついた。西南が福を抱き上げ、霧恋の邪魔にならないように対面式キッチンの反対側に移動した。霧恋は子どもが台所で何かをしていると興味を持つことを微笑みながら話し、西南も吉子との思い出に触れた。

福の特別な席と食事の工夫

霧恋は福がテーブルの上に飛び乗らないよう、テーブルの上に特別な席を用意した。福のために薄味で豪華な食事を並べ、福は自分の席があることに喜びを表した。しかし、みんなが食事を始めるまで待たされる間、料理に手を出そうとする福を霧恋が何度か制止した。

霧恋の料理への評価と会話

食事後、霧恋は自分の故郷の料理を振る舞い、その料理についてネージュが称賛した。霧恋は西南のために少しでも心を安らげてもらいたいと思ってこの料理を作ったと説明した。西南の任務の危険性と彼の将来について、霧恋やネージュが互いに意見を交わした。

福の思いやりと西南への信頼

福は寝る西南にしがみつきたがっていたが、ネージュの言葉を聞き入れ、シークレットウォールの近くで待つことにした。ネージュは福を慰めるために、古今東西の書物が保存されているライブラリーにアクセスし、メルマスに関する書物を調べたところ、母親が制作した幻の絵本に驚かされた。

福とキルシェの絆と共感

キルシェは福を散歩に連れ出し、西南の休息を邪魔しないよう配慮した。福もキルシェとの散歩を楽しみ、二人は共に人工知能であることから、深い共感を感じながら散歩を楽しんだ。

福の甘えと霧恋の愛情

散歩中に霧恋と出会い、福が NBと遊んでいるうちに霧恋に助けられた。霧恋は福を叱りつつも、その愛らしさに心を許し、頭に福を乗せながら西南の家へ戻る道を歩いた。

アイリの怒りと失敗

アイリは怒りにまかせて理事長室の机を蹴ろうとしたが、机が動いて避けたため、バランスを崩して後頭部を強打した。彼女は、またしても自分の計画が見破られたことに悔しがり、怒りをあらわにした。美守はアイリの様子を見て笑いを堪えながら、福がアイリの「下心」を察知していることを指摘した。

福への羨望

アイリは、福が持つ西南への特別な位置に嫉妬し、「ずるい」と子供のように机を叩きながらだだをこねた。美守は冗談交じりに遙照としばらく一緒に暮らしてみてはと提案したが、アイリは過去の遙照の姿を模したバイオマリオネットを使おうとして失敗したことを思い出し、恥ずかしがった。

福と和解する計画

アイリは、「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」と自らに言い聞かせ、まず福と仲良くなることが重要だと認識した。彼女の「ニンジン作戦」による和解の意図が不気味に漂う中、美守はアイリの計画が険しい道のりになると感じた。

6「福・初任務」

守蛇怪の出発と敵の追跡

守蛇怪が湖から静かに上昇を始め、西南たちはブリッジに座っていた。エネルギー質量が高い小型艦が追跡を始めたが、霧恋は待ち伏せに注意するよう促した。彼女の提案で、水面鏡を使用して衛星軌道上からの超空間ジャンプを行うことが決定された。

水面鏡によるジャンプの実施

霧恋の指示で、エネルギーコア三つを発射して水面鏡を形成し、守蛇怪は無事に超空間へ突入した。瀬戸も彼らの動きを監視しており、西南の意識と能力に注目する姿勢を示した。

海賊の襲撃と福の恐怖

ジャンプアウトの際、守蛇怪は多数の海賊艦に囲まれた。福は攻撃に対する恐怖から混乱し、西南にしがみついた。霧恋とネージュのサポートにより緊急ジャンプを行い、海賊から一時的に逃れることができた。

福の限界とさらなる襲撃

福は引き続き恐怖に震えていたが、雨音の迅速な対応により守蛇怪は再び回避行動を取った。守蛇怪は海賊艦の包囲を突破し、再び超空間へと逃れた。しかし、通常空間に戻ると再び敵の襲撃を受け、再び逃げざるを得なかった。

第七聖衛艦隊の援軍

危機が迫る中、第七聖衛艦隊がジャンプアウトし、海賊艦を短時間で制圧した。指揮官の兼光が西南と通信し、福を安心させるための温かい言葉をかけた。西南たちは兼光の助力で再び安全を確保し、目的地へと向かった。

瀬戸との対面と福の歓迎

最終目的地の宇宙港に到着した西南たちは、徹夜続きで疲れ果てた瀬戸と対面した。女官たちが福を歓迎し、福も次第に警戒心を解いて、皆に撫でられることを楽しんだ。だが、玉蓮に対しては本能的な距離を取りつつも、嫌っていない様子を見せた。

瀬戸の任務完了と福への紹介

瀬戸は西南たちの任務完了を認め、福の役割を称賛した。その後、西南に福との挨拶を促し、女官たちは喜んで福を囲んだ。瀬戸は霧恋たちの不安を取り除き、西南との絆を強調した。

ネージュの別れと約束

ネージュは帰途に就く前、西南に「将来お嫁さんにしてほしい」との無邪気な願いを伝えた。西南はその願いに応え、約束を結んだ。霧恋たちはこの状況を密かに受け入れつつ、ネージュとの別れを見守った。

巨大な浴場の発見と使用

守蛇怪内の巨大な居住区には、西南が利用できる大規模な浴場が隠されていた。この浴場はまるで遊園地のプールのような複雑な構造で、数百の浴槽へと分割できる仕組みであった。西南の個人浴室として設計されたものの、全員で使用できることとなった。冬の山岳地帯を浮遊する浴場で、西南と福は入浴を楽しんでいた。

ネージュとの別れと福の不安

ネージュと別れた後、福は彼女を必死で探し回り、姿がないと知ると西南に泣きついた。しかし、ネージュからの通信により、彼女といつでも話せることがわかると、福は落ち着きを取り戻した。

新型守蛇怪の慣熟訓練

守蛇怪の慣熟訓練中に、福は再び敵の襲撃に恐怖を覚え、動けなくなってしまった。偽装が解除され、敵艦が逃走したことで情報が漏れる危険性が生じ、クルーたちは状況の深刻さを再認識した。霧恋はこの件に対処する必要性を感じた。

低ランクの海賊との遭遇

数時間後、低ランクの海賊艦が守蛇怪を襲撃したが、守蛇怪のシールドにほとんどダメージを与えられなかった。西南は福の不安定なリンク状態を見て、海賊の検挙に専念し、守蛇怪は無事に海賊艦を撃退し、GP艦に引き渡した。

アイリと美守の対話

福の不安定な状態を見た美守は、彼の精神的な支援が必要かもしれないと考えたが、アイリはそれに否定的だった。また、アイリが福に「怪しげな首輪」を贈ろうとしたことが発覚し、美守から批判される一幕があった。

マンションへの帰還と福の出迎え

アカデミー本星へ戻った西南たちは、福の情緒を安定させるために通常の生活環境での暮らしを選んだ。福の落ち込んだ様子に、出迎えたメイドたちは明るい雰囲気で彼を包み込み、家の中へと導いた。特に火煉や玉蓮の温かい出迎えが福の気持ちをほぐした。

福と守蛇怪の調整と次の対策

福の恐怖を克服するためには成長が必要だと考えた霧恋たちは、守蛇怪の制御システムをマニュアル操作にするための準備を進めることに決めた。アイリの工房での作業が理想的ではあるが、彼女の意見が障害になる可能性があったため、別の方法を検討することとなった。

8「トラブルメーカーと伝説と」

宇宙海賊の拠点と情報収集

宇宙に住む海賊たちが集まる場所は、水や樹木に囲まれた贅沢な空間であった。そこで、コマチと彼女の部下たちは、居酒屋で守蛇怪に関する情報を確認していた。ある部下が示した映像には、守蛇怪の偽装が剥がれた状態が映し出されており、コマチはその情報に疑念を抱きつつも興味を示していた。

守蛇怪の性能と乗組員の回想

守蛇怪の操艦技術については粗削りな印象が強く、元クルーのアランたちは、船が彼らの支えで成り立っていたと主張した。彼らは守蛇怪の性能が山田西南の「悪運」に支えられていると述べ、彼らがいなければ操艦はままならないだろうと自己評価していたが、コマチは彼らの過大評価に冷ややかな態度を見せた。

魎皇鬼と神我人の関係

アランたちは、魎皇鬼の中枢が幼女の姿で、山田西南と顔見知りであるという情報を伝えた。コマチはこの情報に対し、魎皇鬼と守蛇怪の関係を疑問視し、さらに神我人と白眉鷲羽の関連性について考察を始めた。

朱螺凪耶の存在と哲学士の謎

朱螺凪耶は、かつて白眉鷲羽の同期であり、哲学士としてのパテント収益がアカデミーの4%を占めるほどの影響力を持っていたとされた。彼女と神我人の間には親子関係の可能性があり、アカデミーとの関係を通じて魎皇鬼を生み出したのではないかとの推測が示された。

アランたちの拘束と隔離

アランたちは、コマチの部下によって隔離され、半ば幽閉されたような部屋に案内された。アランは自分たちが守蛇怪のクルーであることを誇り、情報を利用して状況を改善しようとするが、海賊たちは彼らの経歴を知り尽くしており、厳しい扱いを続けた。

アランたちの生き残り戦略

牢屋に閉じ込められたアランたちは、自分たちが山田西南の被害者であると考えを変え、周囲からの同情を引き出そうと画策した。アランは、山田西南のせいで降格されたという論理を使い、バリーとコーンを納得させた。そして、彼らは再び出世して給料を増やし、裕福な生活を手に入れる夢を語り合いながら、笑い合った。

アラン達の情報とタラントの計画

アランが牢獄で笑っている頃、その情報がタラントに報告されていた。タラントは副官に指示し、情報が広がらないよう口の軽い者を処分するよう命じた。タラントは、かつて山田西南に負わされた傷を思い出し、彼への強い憎悪と執着を募らせていたが、怒りを逸らす対象として霧恋の存在も思い浮かべていた。

コマチの疑念と発見

部下との会合を終えたコマチは、初老の幹部からのデータを見つめ、白眉鷲羽と神木瀬戸の映像に驚きを隠せなかった。さらに、朱螺凪耶との共通点を探し出し、ある消滅した惑星が三者の人生に影響を与えていた事実に行き当たった。偶然とも言えない関連性が恐怖を感じさせ、コマチはさらに深い情報を探ろうとした。

瀬戸との不意の接触

コマチが検索に没頭していた時、突然の瀬戸からの通信が入り、コマチは動揺しながらも通信を開いた。瀬戸は、西南に関する情報を提供し、アラン達の情報も既に過去のものとなることを暗示した。さらに、白眉鷲羽と魎皇鬼に関する事実をあっさりと告げ、コマチに対し、今後の立場と対処を誤らないよう警告を与えた。

西南と魎皇鬼の脅威の可能性

瀬戸の情報を受け取った後、コマチは銀河の勢力が山田西南の存在により大きく動き出していると感じ取った。海賊が分散して存在している現状では、全てを排除するのは不可能だが、西南の力によって、海賊の脅威が集中する可能性が浮かび上がった。彼女は、皇家の船と魎皇鬼との遭遇が将来的に大規模な戦闘を引き起こす恐れがあることを認識した。

ギルドの未来と暗殺の決意

コマチは、西南の暗殺が最も確実な対策と考えつつも、今後の対立が避けられない事態を感じ取った。海賊ギルドとしての存続とダイ・ダ・ルマーの守護が脅かされる中、瀬戸が示唆した「逃げ道」を活用することも一つの選択肢として浮上した。コマチは銀河の変化に備えるため、自らの役割を再確認し、深い眠りについた。

9「福・特訓する」

朝の出発準備とNBの処遇

西南は朝、福を抱えて部屋を出たが、後方でNBの気配を感じた。振り向くと、霧恋らがNBを捕獲している様子があった。玉蓮や火煉に促され、珀蓮らと共に食堂へ移動した西南は、NBの処遇について聞かされた。霧恋によれば、福にかかるストレスを軽減するため、NBを一時的に排除したとのことである。西南は驚きつつも、福に配慮した行動に納得した。

転送と守蛇怪での準備

西南と福はエントランスで職員に見送られながら、転送ゲートを通って守蛇怪へ移動した。守蛇怪に到着後、福は生体認証を行い転送キーとなり、西南はこれまでにない静けさを感じつつも、出発準備を整えた。霧恋は、守蛇怪のサブコントロール構築のため、福のデータを収集する意向を説明し、艦内の準備を進めた。

操縦系神経のデータ収集と模擬戦闘

霧恋とエルマは、福にヘルメット状のセンサーを装着し、操作伝達系統のデータを収集する準備を完了させた。西南の指示に従い、守蛇怪は出発、アカデミーの実験用惑星ドームでの模擬戦闘を開始した。霧恋とエルマは実験空間内の設定を確認しながら、福の負担を考慮したデータ収集を進め、時間内に計画を実施した。

データ収集の完了と実験の終了

数時間にわたる実験で操縦系神経の構築値が目標を超えたため、プログラムを終了することにした。霧恋は機材を取り外し、疲れを見せる福を西南の元へ戻した。西南は福を労いながら安堵し、霧恋とエルマは次の検証実験の準備に取り掛かることを決めた。

帰宅と福の気持ちを和らげる準備

西南は、福とともに過ごした円形の公園を抜け、福が少しでも慣れた家へと戻ることにした。夕食後、福の気分をほぐすために遊びながら入浴し、眠気を誘うことで福のリラックスを図った。寝室には福と船を分断するシールドが設置され、西南は福を安心させつつ部屋を後にした。

シールドの影響と福の不安

西南が部屋を出た後、福は違和感を覚え、西南の姿が見えなくなると不安が募り、シールドに体当たりを繰り返したが突破できなかった。独りの寂しさを感じながらも、タオルから西南の匂いを感じ取り、少しだけ安心しながら眠りについた。

検証実験と福の孤独

西南がブリッジで検証実験を行う間、福の寝室の映像が映し出され、安心して眠る福の姿が確認された。その後、実験が終了し、西南は福の元に戻り、安心させながら一夜を共に過ごした。

翌朝の安堵と再びの分離

翌朝、福は再び西南と離れ離れになるが、前夜の安心感から情緒が安定しており、皆の挨拶にも応じて元気な姿を見せた。その後、霧恋からの提案で家の掃除が進められる中、西南はブリッジで再度、実験の準備に向かうことになった。

実験準備とタオルの依存

ブリッジに向かう途中、福はお気に入りのタオルを忘れたことに気づき不安になったが、西南が優しく抱きしめることで、福は徐々に落ち着きを取り戻した。霧恋も福の依存するタオルを清潔に保つことに努め、その後、再び福は実験に臨む準備を整えた。

テスト開始と福の成長

実験が開始され、福は徐々にテストに慣れてきた様子を見せ、依存していたタオルに頼らずに安定したパフォーマンスを発揮した。

魔王NBの復活と勇者たちの応対

NB(アイリ操作)は、家に設置された時間凍結フィールドから脱出し、居間で待機していた珀蓮たちに威勢よく叫び声を上げた。しかし、珀蓮たちは彼の復活を軽くあしらい、NBに対する尊敬の念を示さず、冷淡に応対した。NBは怒りと共に、無視される屈辱に涙し、彼らの返り討ちに遭い、結局は惨敗を喫した。

理事長室でのアイリの嘆き

NBの本体であるアイリは、理事長室で秘書の美守に縋り付き、勇者たちに返り討ちにあった屈辱を嘆いた。美守はその様子を冷静に見つめ、アイリが自らの行動を振り返るよう諭した。アイリは部下たちに追い詰められる状況に陥り、恥ずかしさと悔しさに包まれていたが、最終的には発散を済ませ、仕事に戻ることを促された。

10「福・脱走する」

守蛇怪と雨音の模擬戦闘

守蛇怪は、雨音の操作するシステムと、実戦さながらの戦闘訓練を行った。雨音は多様な戦術を駆使し、激しいスピードとトリッキーな動きで守蛇怪を翻弄し、福は回避と対応を通じて多くを学んだ。長時間の戦闘の末、守蛇怪は航行不能と判定され、福の疲労も限界に達していたが、収集データは非常に有意義なものだった。霧恋とエルマはその成果を喜び、データの整理に取り掛かった。

霧恋の気遣いと福の安堵

データ処理の終盤に差し掛かった頃、霧恋は福のタオルを洗濯していたことを思い出し、急ぎ西南の家へ向かった。タオルを持って寝室へ入ると、福は涙を浮かべて西南に縋り付いていたが、霧恋がタオルを差し出すと福は安堵し、喜んで霧恋に飛び付いた。霧恋は福の感情を察し、優しく撫でて落ち着かせた。

NB(アイリ操作)との対話と福の不安

突如、NBからの大音量の通信が入り、西南は急いで対応に当たった。福を驚かせないよう、霧恋は福を抱えて隠れたが、福の不安を見て、彼を寝室に連れて戻し安心させた。その後、霧恋はエルマと連絡を取り、福の不安が続くことを考慮して検証実験の時間を調整することにした。

霧恋と西南の回顧と福への愛情

西南がNBの対話から解放されて寝室に戻ると、福を見つめる霧恋の姿が幼少期の母親、月湖を想起させた。霧恋もその気配に気付き、西南と共に静かに部屋を離れた。二人は福への深い愛情を語り合い、西南は霧恋の温かい表情に少し動揺した。

新たな中継器の調達計画

霧恋とエルマは、中継器の新たな試作品を受け取る手筈を整えた。試験データを提供する条件で高性能の中継器を受け取る予定が立ち、回収のために霧恋とエルマ、雨音が向かうこととなった。西南は福のもとに帰るよう指示され、残されたブリッジで福が日々感じている孤独を再認識し、早急に福のもとへ戻ることを決意した。

福の夢と記憶

福は自分の生まれる前の記憶を夢に見ていた。卵核で鷲羽と魎皇鬼の声を聞き、彼らの温もりを感じた思い出だった。目を覚ました福は、夢での安心感と現実の孤独さに寂しさを覚え、近くのタオルに身を寄せたが、西南の匂いがしないことに気付き、不安と孤独を感じた。

ブリッジでの冷徹な空気と福の心情

福は西南のブリッジでの役割を理解していたが、霧恋たちがまるで機械のように接するため、彼らといるブリッジの空間が怖かった。戦闘中は特に冷徹な対応を受け、心の支えは西南だけだった。霧恋の言葉に「もう必要ない」と感じた福は、自分の存在意義について思い悩み、悲しみに沈んだ。

鷲羽と魎皇鬼への希望

福は夢の中で感じた鷲羽と魎皇鬼への愛情を思い出し、彼らの助けを得ることで自身の不安や能力の不足を解消できるのではないかと考えた。鷲羽ならば自分を直してくれるかもしれない、魎皇鬼なら船の操縦法を教えてくれるかもしれないという希望を抱き、西南と共に天翔る未来を夢見た。

西南の迷走と福の計画

一方で、西南は転送ゲートの不調により大浴場から出られずにいた。実は福が地球へ向かおうと決意し、誰にも妨害されないようにするため、転送ゲートを操作して西南を閉じ込めたのだった。西南は福の行動に気付かぬまま、大浴場で休息を取るしかなかった。

アイリの叱責と霧恋たちの悔悟

福の行動を知った霧恋たちは、アイリに事情を報告した。アイリは霧恋たちが福を機械的に扱い、愛情を示さなかったことを指摘し、彼女らに悔悟を促した。霧恋たちはアイリの言葉に深く反省し、福への接し方に改めて向き合う必要があると痛感した。

福の行き先の推察と霧恋たちの追跡

美守の助言で、福の目的地が鷲羽のもとであると気付いた霧恋たちは、急いで福を追いかけることにした。緊急対応として霧恋のクルーザーを用い、守蛇怪の軌跡を追って樹雷の秘密基地へ向かうことを決意した。

守蛇怪の危機と西南の奮闘

その頃、海賊たちは守蛇怪を追跡しており、ペイント弾で福を狙っていた。福は西南を守りたい一心で戦おうとしたが、恐怖で動けなくなっていた。西南はブリッジで福を励まし、守蛇怪のコントロールを引き継いで海賊に対抗し始めた。

救援体制の整備とマシスの参戦

霧恋たちは救援の準備を進め、樹雷の軍の支援を取り付けようとした。雨音の要請により、樹雷の戦艦「チョビ丸」が出撃することが決定した。指揮官のマシスも協力を約束し、霧恋たちは迅速に救援に向かった。

11「福・真なる目覚め」

海賊艦への襲来とチョビ丸の登場

突如、ワイトの海賊艦が重量波により軋みを発し、その元が惑星規模艦「チョビ丸」であることが判明した。守蛇怪を狙う海賊たちは、チョビ丸の威圧的な登場にも関わらず逃げず、逆に守蛇怪を盾に取り続けた。チョビ丸のブリッジでは守蛇怪の映像が映し出され、霧恋は緊急通信で西南に助けを求めた。

チョビ丸の乗員たちの怒りと守蛇怪の窮地

福の泣き顔を見たチョビ丸の乗員たちは怒りを抑えられなくなったが、守蛇怪を傷つける恐れから攻撃できずにいた。海賊たちは守蛇怪を挟撃して捕獲しようとするが、西南は懸命に回避行動を試み、霧恋も福に呼びかけることで状況の打開を図った。

守蛇怪と福の覚醒

霧恋たちの声援に応えるように、福は自信を取り戻し、守蛇怪の全システムとシンクロすることに成功した。ペイント弾を分解し、福は驚異的な機動力で海賊たちの包囲網を脱出した。守蛇怪の能力が完全に引き出された瞬間であった。

魎皇鬼の登場と海賊たちの降伏

魎皇鬼が怒りに満ちた重量震を引き起こしつつジャンプアウトし、恐怖に怯える海賊たちは降伏を余儀なくされた。魎皇鬼と守蛇怪は姉妹船として再会を喜び、仲睦まじく飛び回る様子を見せた。

地球への帰還と新たな展開

守蛇怪と福が完全にシンクロしたことで、霧恋たちは一連の事件が無事に解決したことをアイリに報告し、西南も休暇として地球に戻ることを許された。霧恋は地球での再会に期待を込め、西南は故郷への思いを馳せ、感慨深げに宇宙の景色を眺めた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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