小説【転スラ】「転生したらスライムだった件 12」感想・ネタバレ

小説【転スラ】「転生したらスライムだった件 12」感想・ネタバレ

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どんな本?

転生したらスライムだった件”とは、伏瀬 氏による日本のライトノベルで、異世界転生とファンタジーのジャンルに属す。

主人公は、通り魔に刺されて死んだ後、スライムとして異世界に転生。
そこで様々な出会いと冒険を繰り広げながら、魔物や人間との交流を深めていく。

小説は2014年からGCノベルズから刊行されており、現在は21巻まで発売されている。

また、小説を原作とした漫画やアニメ、ゲームなどのメディアミックスも展開されており。

小説のタイトルは「転生したらスライムだった件」だが、略称として「転スラ」と呼ばれることもある。

読んだ本のタイトル

転生したらスライムだった件12
著者:伏瀬 氏
イラスト:みっつばー 氏

gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説【転スラ】「転生したらスライムだった件 12」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入gifbanner?sid=3589474&pid=890337545 小説【転スラ】「転生したらスライムだった件 12」感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

スライムが魔王に成り上がる!?話題のモンスター転生ファンタジー!!

順調に勢力拡大を続けるテンペストに向け、ついに『東の帝国』が動き出した。 未来を知る少女“勇者クロエ”の話では、とある時間軸で、その帝国によってリムルが討たれ、テンペストが崩壊したという。 今はその時とは違った運命線にいるとはいえ、可能性が消えたわけではない。 警戒を強めるリムルであったが、そんな折、帝国の密偵がテンペストに潜入する――。 シリーズ累計450万部突破! 大人気モンスター転生ファンタジー、最新刊が登場!

転生したらスライムだった件 12

感想

テンペストがさらに勢力を広げていくなかで、ついに「東の帝国」との対立が浮き彫りになる物語である。
未来を知る少女「勇者クロエ」の予言によれば、ある時間軸ではリムルが帝国によって倒され、テンペストが滅びるという。

現在はその運命から逸れているものの、危機は完全には去っていない。
この危機感を背に、リムルは帝国の動きに警戒を強める。

物語は、帝国のスパイがテンペストに潜入し、情報を探る場面から始まる。
一方で、帝国ではギィから逃れたユウキが暗躍し、さらには異世界から来た者たちがテンペストの迷宮を攻略しようとするが、60階層で大きな壁に阻まれる。

迷宮の守護者たちの圧倒的な力と、テンペストの住民が享受する豊かな生活に心が動かされ、彼らは迷宮の研究職へと転向する。

一方、帝国側では強力な存在が明らかになり、その中にはヴェルドラの姉である竜種ヴェルグリンドや、帝国を統べる皇帝ルドラの姿もあった。
帝国の脅威はリムルたちにとって無視できないものだが、彼らは冷静に対策を練り、テンペストと帝国との間で緊張が高まっていく。

最後は、帝国とテンペストとの間で戦争が始まる直前で物語は終わる。
リムルとその仲間たちは、帝国との戦いに向けて力を合わせ、未来を切り開こうとする決意を新たにする。
この巻では、戦争前夜の緊迫した雰囲気と、リムルたちの団結力が描かれる。

本は、テンペストと帝国との対立が徐々に明らかになり、互いに警戒を深める様子を描く。
リムルと仲間たちがどのようにして危機を乗り越えるのか、続きが待ち遠しい結末で締めくくられる。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

序章

神楽坂優樹は元の世界で特別な力、観念動力を持っていたが、その力を見せびらかすことには興味がなかった。日常生活は平凡だが満足していたが、中学生の時に両親が事故で亡くなり、彼の人生は大きく変わる。社会の理不尽さに直面し、自分の無力さを痛感する中で、復讐の方法を模索するが、自暴自棄になることは選ばなかった。政治家になって社会を改善することを考えるが、その前に魔王カザリームの怨念によって異世界へ召喚される。この世界でユウキは自由自在に力を操る「創造者」というユニークスキルを手に入れ、カザリームの計画を破り、彼に勝利する。この新たな世界でユウキは自分の存在意義を見出し、不完全なこの世界を自らが支配し、正しく導くことを目指すことに決める。
ユウキはラプラス、フットマン、ティアの3人と共に大聖堂から脱出し、神聖法皇国ルベリオスから逃亡を図る。暴走状態にある勇者クロノアの制御は不可能であり、共闘を持ちかけたグランベルにも嵌められたと感じていた。しかし、ユウキは自分の直感を信じて逃亡を選択する。途中、最強の魔王ギィ・クリムゾンとその部下たちに遭遇し、ユウキはギィに対峙する。ギィはユウキと手を組む意志はなく、敵対することを明言する。ユウキはギィとの戦いを避けられないと判断し、全力で挑むことを決める。敗北を想像せず、ユウキは最強の魔王ギィと向かい合った。
ユウキは、自身がどんな相手にも勝てるという自信を持っていたが、暴走するクロノアやリムルと敵対することになった魔王たちとの戦いは避けようとしていた。しかし、ギィ・クリムゾンとの遭遇により、避けられない戦いに挑むことを決意する。ギィはユウキの挑戦を楽しみ、ユウキが勝てば全員を見逃すと宣言するが、実際にはギィを倒せるほどの力があれば、見逃される必要はない。ラプラスはユウキの勝利を祈りながら、戦いを見守ることになる。ギィは絶対的な支配者であり、レインやミザリーも彼に従う。ラプラスは逃亡を試みるが、ギィの前ではその力の差を痛感し、ユウキの勝利をただ祈るのみであった。
ユウキが自信を持ってギィに挑むが、その攻撃はギィにとっては痒い程度で、彼の肉体はダイヤモンドより硬かった。ギィは炎の魔法でユウキを攻撃し、ユウキはそれを避けるが、ギィはユウキの能力の秘密に気付いていた。ユウキの能力は魔法やスキルを打ち消せるが、魔法とスキルを融合した技術に対しては有効ではないという弱点を持っている。ユウキは人間の弱点、特に酸素なしでは生きられないという事実に直面し、不利を認識する。ギィは全てが計算ずくであり、ユウキを完全に分析していた。ユウキは再びギィに挑むが、ギィはユウキの全力を見せてもらうことを期待しており、ユウキは自らの限界を超えるために肉体を改造し、精神生命体に近い存在になる。しかし、ギィは動じず、ユウキの全力であっても彼に勝つことは不可能だと断言する。戦いが再び始まり、ユウキはギィが最強である理由を実感することになる。
ユウキはギィの前に敗北し、攻撃が全く通用しなかった。ラプラスはユウキの力とギィの強さを目の当たりにし、絶望を感じる。ユウキの特異な能力もギィには効果がなく、ギィは『能力殺封』を突破してユウキに挑む。ユウキは自身の不甲斐なさに怒り、絶望的な状況の中で声が聞こえるが、それを拒絶する。ユウキは立ち上がり、ギィに交渉を持ち掛ける。彼はギィを挑発し、世界征服の野望について語り、ギィとの取引を提案する。ユウキは帝国との協力を認めるが、最終的にはギィに挑戦すると宣言する。ギィはユウキの提案に興味を示し、今回はユウキ達を見逃すことを決定する。ユウキ達はギィの決定により、無事にその場を脱することができた。
ギィとの戦いを生き延びたユウキ一行は、カガリたちとの待ち合わせ場所へ向かった。ラプラスはユウキの行動に驚きを隠せず、その大胆さを称賛する。一方、ユウキは精神的な疲労を感じていたが、成功した今、文句を言われたくなかった。カガリは彼らの無事を喜び、ユウキは生きていることに感謝しながら、戦いで聞こえた謎の声の正体について考えた。彼はユニークスキル『強欲者』の進化可能性に思いを馳せ、より強大な力を求めた。ギィには通用しなかった『強欲者』の限界を超えるため、ユウキは自らの心と向き合い、スキル『強欲者』を『強欲之王』へと進化させることに成功した。ユウキの内なる強さと、彼の野望を叶えるための決意が、新たな力の誕生を促したのである。

第一章

その日、音楽交流会を終えた一行は帰国した。ヴェノムやタクト一行は無事で、ディアブロに守られた子供たちは一週間の休みを与えられた。ルミナス、レオンとの会談は後日、魔国連邦の首都「リムル」で行われることに決定した。会談に参加するのは関係者のみで、情報の取り纏め後にクロエについての情報公開を検討することとなった。参加者にはシオン、ディアブロ、ヴェルドラが含まれ、ヴェルドラの参加はやむを得ず認められた。ヒナタとルイ、ギュンター、レオンの後ろにはアルロスとクロードが立ち、会談の主役であるクロエも幼い姿で参加した。魔王同士の会談は、特別な応接室で行われ、各自の背後には支持者が立っていた。そして、この臨時の魔王会談が始まった。
クロエが、ヒナタとリムルの助けを借りて「無限の輪廻」から抜け出せた経緯を説明した。その話は信じがたい内容だったが、リムルはそれを受け入れた。ヴェルドラが口火を切り、ヒナタが自身がヴェルドラを封じた「勇者」であることを語り、両者の間で軽い口論が起きる。リムルは話を仲裁し、帝国によるリムルの暗殺とヒナタの死についての疑問を提起する。クロエの説明により、帝国の強力な実力者による行動が示唆される。ヴェルドラの暴走や帝国に対する警戒心が話題に上がり、帝国に関する危機感が共有される。その後、クロエとクロノアの関係や、リムルとクロノアの過去の関係が明らかにされる。未来での出来事を通じて、リムルはクロノアを助けたことが判明し、クロノアの好意の原因が説明される。帝国の脅威とダグリュールの動向について議論が交わされ、ダグリュールの息子たちがテンペストで訓練していることが話題になる。ギィの「調停者」としての役割が説明され、未来でのクロノアの死やその背景について話し合われる。未来での出来事や帝国、ダグリュール、ギィに関する話し合いが行われ、各キャラクターの立場や関係性が再確認される。レオンがクロエに対して抱く感情や、クロエの無邪気な反応など、複雑な人間関係が描かれ、リムルがレオンに対する理解を示すシーンで終わる。
魔王二人からの協力が得られ、警戒対象が帝国に絞られた会談は成功に終わりそうだったが、ギィの登場で状況が一変する。ディアブロとギィの間の短いやり取り後、ギィは会談に加わることになる。レオンやルミナスはディアブロが原初の黒であることに驚愕し、彼の正体とその影響力について議論が交わされる。ディアブロがリムルとの出会いや過去の経緯を語り、その中で彼が原初の一柱であることが明かされる。ギィの参加が決まり、ディーノとラミリスも合流して、会議が再開されることになる。ディアブロとシオンの行動や態度に対するリムルの反応が描かれ、会談の再開へ向けて皆が準備を整える様子が描かれる。
会議の最初の議題は原初の悪魔についてであり、ギィがディーノに言い訳を求める場面から始まる。ディーノはギィの問いに対してナチュラルに反応し、ギィはリムルが三柱の原初の悪魔に名前を与えたことに対して怒りを示す。リムルはディーノやギィにも責任があると反論し、ヴェルドラやルミナスもこのやり取りに加わるが、話は次第に混乱していく。ディアブロが原初の一柱であることが語られ、リムルはディアブロの正体に気づいていなかったことに驚きを隠せない。ギィはリムルに対して世界の勢力バランスを崩壊させた責任を問うが、リムルはそれを受け入れ、会議はそのようなやり取りの中で進められる。
ギィは災害を起こして人類を一つにまとめる役割を担っており、人間同士の争いを避けるために恐怖を植え付けることで統制していた。しかし、ルミナスに対する総力戦が始まったことでそのバランスが崩れ、ギィはミザリーに人類を恐怖で一つにまとめる作戦を命じるが、テスタロッサの出現により中断される。この結果、西側諸国の権力闘争が激化すると予測し、リムルに責任を問う。ディアブロは経済の再分配と安全保障の提供を通じて人々を結束させる提案をし、ギィはその計画を承認する。しかし、原初の悪魔たちの管理に関して、レオンとルミナスから警告を受ける。特にカレラの核撃魔法の使用、原初の紫の陰湿な性格、テスタロッサの更なる厄介さについて指摘される。リムルはこれらの管理が自身に任されたことに憂鬱になり、深く溜息を吐く。
ギィの説明が終わると、ラミリス、ディーノ、ヴェルドラが部屋を去る。ディーノに対するギィの苦言に、ラミリスがディーノの助手としての活動を証言し、ギィを驚かせる。リムルは、自国の働かざる者食うべからずのルールを説明し、魔法の使用を否定する。その後、ギィは自身の役割として人類を滅ぼさないよう管理することを目的とし、リムルに西側諸国の管理を委ねる。リムルは、帝国の動向について議論し、ドワーフ王国を通じた帝国の侵攻可能性を検討する。ヒナタとルミナスは、それぞれができる協力を申し出る。ユウキとの関係については、リムルが彼の動向を見守ることに決め、シオンはユウキに対する態度を明確にする。最終的に、リムルたちはユウキの動向を探ることにし、共闘の可能性は今後の状況によるものとする。
ギィの訪問の主要な目的は、クロエに関するものであった。ギィは、グランベルがルミナスが隠している何かを解放しようとしていることを知り、それを監視していた。ディアブロの提案により、その責任がリムルに移された経緯がある。クロエに関する話し合いの中で、リムルはクロエの時間跳躍やループする力については触れず、クロノアを封じたことで事件が解決したと説明する。ギィの疑問に対して、レオンやルミナスはクロエを保護するための役割を強調し、クロエが封印の器として最適だったと主張する。ギィはクロエが「勇者」であることに対する疑問を呈し、リムルたちはクロエの特殊な体質が封印に役立ったと説明する。ギィがクロエに対する攻撃を試みるも、クロエはそれを軽々と防ぐ。この一件で、クロエが強大な力を持っていることが明らかになる。クロエが「勇者」の力を持つ経緯については、即席で作られた説明がギィに提供される。ギィはクロエに危害を加えないことを約束し、クロエの安全が確保される。レオンとルミナスはクロエを守るためにギィに対して強く出るが、ギィは彼らの要求を受け入れる。クロエの真の力については謎が残るが、彼女が極めて強力であることは疑いようがない。
会談が終わり、夕暮れ時に晩餐会が始まった。メニューは豚の角煮に似た魔物の肉、焼きナス、餡かけ豆腐、味噌汁、そして魔黒米を含む。参加者はこの料理を楽しんだ。ギィは料理をまあまあと評価し、レオンは及第点を与えた。ルミナスとヒナタは特に満足していたようだ。ヒナタにとって、食事ができること自体が感無量だった。晩餐会後、レオンはクロエが必要とあればいつでも連絡するよう促し、彼女を大切に思う気持ちを表明した。クロエはリムルのところが好きだと返答し、成長した姿を見せてレオンを安心させた。レオンはクロエへの気持ちに変わりはないと強調したが、リムルへの警戒心を隠そうともしなかった。ルミナスもクロエに対して友情と支援を約束した。最後に残ったギィはディアブロに絡まれるが、彼の話に興味を示さずに退散した。これにより、クロエが「勇者」であることが問題なく受け入れられ、大きな問題が解決した。残る課題はユウキの動向と、彼が逃亡した東の帝国の思惑である。戦争の可能性にリムルは憂鬱な気持ちになったが、平和への願いを抱いていた。
口約束ではあるが、魔王二人との協力関係を築けたことは、戦争が起きる可能性がある中で頼もしい。支援や避難民の受け入れも期待できるが、最も望ましいのは戦争が起こらないことである。しかし、戦争の発生は相手次第であり、愚痴を言っていても始まらない。そのため、帝国と対峙しても問題ないように足場を整え、万全の態勢を構築することを密かに決意した。

第二章

魔王二人との協力関係を確保したことは、戦争が起きる可能性がある中で大きな意味を持つ。支援や避難民の受け入れの可能性があるが、戦争が起こらないことが最良である。しかし、戦争の発生は相手次第で、対策を講じることが必要である。魔国連邦では、帝国との戦争が近づくにつれて入国審査が厳格化された。スパイ防止と能力に応じた入国管理を目的とし、ドワーフ王国を模範とした教育を入国時に実施するようになった。また、高級宿泊施設への案内や高品質な武具や工芸品の販売を通じて、国の評判を高める取り組みが行われた。戦争の危機の中でも、日常生活を大切にし、積極的に国の発展を目指している。
魔王二人の協力により、魔国連邦と周辺国との間の交通網の整備が進んでいる。モミジや長鼻族の協力もあり、トンネルや街道の開通、魔導王朝サリオン間の直通街道の開通が間近に迫っている。ファルメナス王国やイングラシア王国への線路敷設も進行中であり、魔導列車の試験運用が始まっている。この魔導列車は平均時速50キロメートルで運行し、物流の効率化を大幅に向上させる。また、交通網の整備は夜間の移動にも配慮され、安全性や利便性が向上している。帝国との戦争が懸念される中、国力強化には物流の合理化が欠かせず、魔国連邦はその準備を着実に進めている。
ジュラの大森林を通るルートの防衛について、主は様々な可能性を考えている。帝国の最大の障害はヴェルドラであり、帝国が正面からの攻撃ではなく囮部隊を用いてヴェルドラを翻弄しようとすることを予測している。防衛策として、ヴェルドラを一方のルートに配置し、残りのルートには全軍を配備する戦略を考えるが、帝国が単純な作戦に出るとは思えず、正攻法以外の戦術に出る可能性を懸念している。特に、ゲリラ作戦や精鋭部隊の小分けによる侵攻の可能性があり、これに対しては全ての侵攻ルートを網羅する兵力が足りないと感じている。主は、攻める側が主導権を握ると考え、攻めることの合理性を認めつつも、最終的には臨機応変に対応することを選択している。その後、ベニマルとの日常的な打ち合わせが始まり、ディアブロがウルティマとカレラの仲裁から戻ってくる場面が描かれている。
移民の増加に伴い、就職率の管理が重要となっている。雇用創出は国家の生産性向上に直結し、景気向上や犯罪率の低減に寄与する。特に、能力差のある移民に適切な仕事を割り振ることが課題となっていた。解決策として、教育施設の設立が行われ、移民や冒険者を軍への志願者として受け入れている。現状、軍備増強は進んでいるが、帝国との戦争の可能性に備え、部隊の再編成が必要となっている。新しい組織表の提出がベニマルに命じられ、彼は大胆な人事案を提案している。指揮権はベニマルにあり、統帥権は主にある。特に、ゴブタを第一軍団長に任命する案には賛否両論があったが、彼の部下からの信頼と特訓の努力が評価され、最終的には任命が決定した。ゴブタの就任には、テスタロッサが監察官としてサポートすることも決定されている。
ゴブタを含むベニマル麾下の軍団は三つ存在する。第一軍団にはゴブタが軍団長として、ハクロウが軍事顧問として配置されており、その傘下には狼鬼兵部隊や緑色軍団が含まれている。第二軍団の軍団長はゲルドで、黄色軍団と橙色軍団が傘下にある。第三軍団はガビルが軍団長で、〝飛竜衆〟と青色兵団が所属している。さらに、ベニマルの親衛隊〝紅炎衆〟、ソウエイ率いる情報部隊〝藍闇衆〟、シオン配下の〝紫克衆〟が存在し、それぞれが特定の役割を持つ精鋭部隊として機能している。これらの部隊は国家の防衛や戦力の核となっており、新たに提案された組織表には、これらの部隊の増減や配置の変更が記されているが、基本的にはベニマルの指揮下にある。また、シオンには公然の秘密となっているファンクラブのような直属部隊が存在する。ベニマルと話し合い、既存の部隊に関しては変更を加えず、それぞれの責任者が自部隊を管理する形を取ることが決定された。
組織表には、魔国連邦の右翼と左翼の戦力配置が記載されていた。右翼は既存の軍団で、総兵力は約五万二千名であり、この兵力を維持する国力があることが強調された。左翼には新たに編成された西方配備軍、魔人混成軍、義勇兵団が含まれており、総兵力は十五万以上にのぼる。これらは評議会所属の軍隊であり、魔国連邦が直接雇用している。特に西方配備軍は、評議会の軍事的出動がほぼない中で大量雇用により急激に増員された。魔人混成軍は、クレイマンの元配下で構成され、戦闘を得意とする魔人たちが主で、ゲルドが工事から転用した。義勇兵団は、魔国連邦に在住する者や近隣諸国からの志願者で、冒険者や傭兵が多い。これらの兵力は、東の帝国に備えるため、または魔国連邦の防衛のために急速に組織された。左翼の兵士たちは、魔国連邦やリムルへの忠誠心に基づいて選ばれておらず、各々の思惑で集まったものとされ、右翼とはその点で異なる。この新しい組織構成は、魔国連邦の軍備拡張と国力の増強を示しており、各軍団の指揮官選定が今後の課題とされている。
西方配備軍は、評議会傘下で最大規模の軍団であり、十五万の兵力を現地で運用する計画が立てられていた。この軍団の指揮は、外交武官であるテスタロッサが兼任することになり、戦争が始まった場合の連絡体制の確立が検討されている。魔人混成軍、後に赤色軍団と命名された部隊については、ベニマルが軍団長を務め、〝紅炎衆〟から千人長を選任して部隊を統括することになった。義勇兵団に関しては、人間中心の軍団であり、魔物を軍団長にすることによる不満の発生が懸念されていた。イメージ戦略を重視し、適任者を探す中で、聖騎士団への協力提案やジラードの名前が挙がったが、最終的にはマサユキが義勇兵団の軍団長に選ばれることになった。マサユキの選出は、シオンの提案によるもので、これが即座に受け入れられた。
マサユキが義勇兵団の軍団長に任命されたが、本人はこの決定に唯一納得していなかった。しかし、ユニークスキル『英雄覇道』を使いこなすことができると自称し、過去にも階層守護者との戦いで支援を受けて成功している。義勇兵団二万名はマサユキの指揮の下、彼を旗印として戦うことになった。この人事はマサユキにとっては不本意だったが、彼の影響力と人気を考慮して決定され、義勇兵たちはこの決定に喜んでいた。
修正された組織表には右翼が五万二千、左翼が五万と記され、総数が十万を超える軍勢となっている。頂点にベニマルがおり、各軍団の軍団長がその下に並ぶ。予備兵力として、西方配備軍が十五万おり、西方連合軍として二十万の防衛線が組織される予定である。この力は帝国軍に対抗できるか不確かだが、地の利やヴェルドラをはじめとする魔王達からの協力が期待できる。ディアブロ麾下の黒色軍団はベニマルの指揮下になく、独立した軍団として存在している。一方で、東の帝国ではさらに長い時間をかけて大攻勢の準備が進められており、その暴威が解き放たれるまでには残りわずかな時間しかなかった。

幕間

ナスカ・ナムリウム・ウルメリア東方連合統一帝国、通称「東の帝国」は二千年の長い歴史を持つ。この帝国は、強大な軍事力を背景に、絶対支配者による統治国家群としての権勢を誇っている。帝国の政治体制には、皇帝の両翼として政治部と軍事部が存在し、皇帝個人が政治の主権と軍事統帥権を有している。帝国軍は大きく分けて三つの主力軍団(機甲軍団、魔獣軍団、混成軍団)を持ち、帝国皇帝近衛騎士団が最高戦力となっている。この軍団には、異世界人も多く在籍し、異界の技術や特殊能力を取り込んで帝国の軍事力は他の追随を許さないレベルまで発展している。

帝国の混成軍団に異変が生じ、歴史上例のない速度で軍団長の代替わりが起きた。その中心には神楽坂優樹という少年がおり、彼の台頭とともに物語は加速していく。

第三章

豪華な部屋で、秘密結社〝三巨頭〟の三人が新たに軍団長に就任したユウキを待っていた。ユウキが部屋に入ると、ダムラダ、ミーシャ、ヴェガの三人は祝辞を述べるが、ヴェガは不満げな様子を見せた。ユウキとダムラダは互いの力量を信頼している様子であった。カガリは魔王リムルの動向について報告し、リムルが西側諸国を支配し、軍団を組織して帝国からの侵略に備えていることを説明した。ユウキは、リムルの国が技術革新を進めていることを指摘し、帝国だけが異世界の技術を持つわけではないと考えた。カガリは、リムルの首都で防災訓練が行われ、町が忽然と姿を消し、大きな門が残されたことを報告した。これが地下迷宮への入口である可能性が高いとユウキは推測した。ユウキはリムルが都市防衛を手厚くしていることを評価し、帝国軍も予想外の対策に驚くだろうと述べた。戦略的には、帝国軍と西方連合軍との消耗戦を利用し、首都での本命戦を遂行することが可能だと考えている。ユウキの戦略を聞いた他の三人は、リムルと敵対する場合の困難さを改めて認識した。しかし、帝国軍とリムルの戦いの行方を楽しみにする様子であった。
ミーシャがユウキに今後の計画を問う中、ユウキは帝国と西側諸国を利用して自分たちの理想を叶える計画を語る。帝国内でのクーデターを計画し、帝国と西側諸国を戦わせながら、その隙に帝国の頭を潰すことを目指している。ユウキは、帝国三大将の一人として帝国軍の内情を把握し、西側諸国の抵抗を利用して帝国の隙をつく戦略を立てている。ユウキとカガリは、帝国情報局局長の近藤達也や帝国皇帝近衛騎士団の序列上位者など、帝国内で警戒すべき人物を特定し、その情報を基に行動を計画する。彼らは帝国と西側諸国を争わせ、その混乱を利用して自身の覚醒を狙うという野心的な計画を立てており、帝国を煽り、戦争を長引かせることで世界を混乱に陥れることを目論んでいる。ダムラダ、ミーシャ、ヴェガにそれぞれの任務を割り当て、計画の実行に向けて動き出す。ユウキとカガリは、計画の成功を期待しつつも、慎重に行動を進めるよう促す。彼らは地下迷宮についてはそれほど重要視しておらず、攻略の糸口を見出すための調査くらいの認識であったが、地下迷宮攻略班からの思わぬ報告を受けることになる。
ガドラ老師は、ユウキからの情報を得た後、難しい顔をして考え込んでいた。彼は西側からルミナス教を駆逐し、親友を殺した〝七曜の老師〟への復讐を目的としている。帝国内では、〝暴風竜〟ヴェルドラの復活により計画の見直しが必要となっていた。ガドラは、〝暴風竜〟を無視し西側への攻め込みを望んでいたが、それが困難であることを理解していた。ガドラは、〝暴風竜〟と魔王リムルが手を組んだ現状では、ジュラの大森林を攻めることは愚かな行為であると考えている。彼は新兵器の開発に協力し、理論構築を行っていたが、〝暴風竜〟を支配することの困難さを理解していた。ガドラは、地下迷宮に関する情報に興味を示し、そこでの異界の兵器開発の可能性を探ることを決意する。彼は、三割以下の被害でヴェルドラとリムルを倒せる可能性を考え、それが可能であれば西側諸国との決戦に勝利することができると考えている。しかし、彼は警戒すべきは魔国連邦ではなく、ルミナス教であるという勘違いをしており、この勘違いが今後の彼の運命を左右することになる。
ユウキの命により、ガドラ老師とも面識がある三名の異世界人が選出された。彼らは混成軍団に所属し、個性豊かで特殊な能力を持つ戦士たちである。谷村真治は元大学生で、マーク・ローレンは健康的な肉体の持ち主、シン・リュウセイは無口で中華風の服を着用し、様々な暗器を所持している。シンジたち三人は、ユウキにより混成軍団の中でも一線級の上位者として、ある迷宮の調査任務に選ばれた。この任務は、帝国がジュラの大森林に侵攻した場合、軍事的反乱を起こす準備の一環として、迷宮内部の調査が必要とされた。ユウキは、迷宮内部に何らかの秘密が隠されている可能性が高いと考え、その調査をシンジたちに依頼した。ガドラ老師は、この計画に同意し、共同戦線を張ることになった。シンジたちは、ユウキとガドラの間で交わされる重大な計画を聞き、任務の重要性を改めて認識する。迷宮に関しては、魔王リムルと〝迷宮妖精〟ラミリスが共闘関係にあることが示唆された。ラミリスは古き魔王の一柱であり、彼女が生み出した迷宮が、魔王リムルの国で公開されたとされる。この事実により、調査の難易度は高まり、シンジたちはその準備と警戒を怠らないようにと指示された。
ユウキの命令を受けたシンジたち三人は、ユウキの秘書カガリに案内されて魔国連邦近郊まで送られた。その十日後、ガドラは旧ファルムス王国を目指して一人で出発した。ガドラは、シンジたちに調査を任せ、彼らが困った時は助けるつもりだった。ガドラの目的地は、古い弟子であるラーゼンがいる旧ファルムス王都マリスだった。ラーゼンは、ガドラの到着を感じ取り、ガドラの意向が不明であることに不安を感じた。ラーゼンは、新たに弟子となった二人、サーレとグレゴリーを呼び出し、ガドラの迎えに行くことにした。サーレとグレゴリーは、元神聖法皇国ルベリオスの法皇庁に所属する強者であった。ラーゼンは、ガドラに対抗するためには、自分とサーレ、グレゴリー、そしてもう一人の強者が必要だと考えていた。ファルメナス王国は、英雄級の人材が不足しており、ガドラのような個人の強さには対応できないとラーゼンは再認識した。城門で、サーレたちはガドラを止めようとしたが、ラーゼンがガドラを通すよう命じた。ラーゼンはガドラに対して敬意を表し、ガドラとの敵対を避けたいという意向を示した。ガドラは、ラーゼンに対して敵意はないことを明かし、質問があるために訪れたことを伝えた。その後、会談の場が用意され、緊張状態は緩和されたが、ラーゼンたちは油断せずに対応することにした。
城内の一室で、ヨウム、グルーシス、ラーゼンの三人と、サーレとグレゴリーが警護として待機する中、ガドラとの会談が行われた。ガドラはまず、サーレ、グルーシス、ヨウム、そしてラーゼンの各人の欠点を指摘し、それぞれに対して厳しい助言を行った。特に、ラーゼンに対しては、彼が開発した大秘術:憑依転生について評価しつつも、肉体の性能を十分に引き出せていない点を指摘した。会談の前の軽い運動として、ガドラはサーレとグレゴリーの挑戦を受けることになり、訓練場での戦いではガドラが圧勝した。この戦いでガドラは自身の力を誇示し、サーレとグレゴリーからはその強さを認められたが、彼らはガドラの強さに驚くことなく、以前戦った悪魔の方が強かったとコメントした。この反応にガドラは戸惑いを隠せず、サーレたちの言葉に真実味があることに気付くが、質問をする前にラーゼンによって話が遮られた。この会談と戦いを通じて、ガドラはサーレとグレゴリーの実力を試し、彼らの過去の経験と自身の強さを再確認することになった。また、ラーゼンの力と彼が開発した秘術に対する評価を行う一方で、彼らが以前遭遇した悪魔の存在についての言及があり、ガドラの関心を引いたが、その話は後回しにされた。
ガドラは魔王リムルの脅威について考え直す必要があると感じ、復讐相手である「七曜の老師」が全員死亡していることから、西側を滅ぼす熱心さが減少する。しかし、魔王ルミナスへの復讐心は残り、戦争の続行を決めかける。この時、ラーゼンはガドラに魔王リムルとその配下ディアブロに対する忠誠を告げ、ガドラが行動を起こすと自分は敵に回ると宣言する。ディアブロが「悪魔公」であること、そして可能性として「原初」であることが示唆される。ガドラはこの新たな情報に驚き、戦争計画の大幅な見直しを余儀なくされる。ディアブロが原初である可能性に直面し、それが真実であるかどうかを考えるが、結局、ラーゼン達の言葉を信じることになる。そして、ディアブロが魔王リムルの執事であり、外交武官として活動していることも明らかになる。この事実はガドラにとって受け入れがたい現実であり、シンジ達が既に行動を起こしていることを思い出し、焦りを感じる。

魔国連邦の首都リムルは、異世界出身のシンジ達にとっても発展した驚くべき都市であった。彼らは、カガリによってリムルに送り届けられ、元素魔法:拠点移動で移動し、ガドラと合流する計画だった。シンジ達は魔王リムルに関する調査任務を受け、リムルの発展ぶりや食文化に驚きながらも、帝国に戻る決意を固める。しかし、迷宮攻略の過程で、この国の文化や生活の良さに魅了され、一時はここに留まりたいと考えるが、戦争が近づいている現実を前に未練を断ち切る。迷宮攻略では、魔物や宝箱から出たアイテムを売り、大きな収入を得る。特にマークが手に入れたミスリル製の特質級の武器は、彼らにとって破格の報酬であった。迷宮内の宿屋や商人の存在、復活の腕輪など、至れり尽くせりの環境に、シンジ達は異常さを感じる。攻略が進むにつれ、魔物の強さが増していくが、彼らはそれをも楽しむ余裕を見せる。五十九階層に到達し、地下六十階層への階段を発見したとき、シンジ達は遂に最下層に近づいていることを実感する。地下六十階層のボス戦に向けて、全力で挑む覚悟を決める。彼らの任務は、迷宮の最下層にある研究施設の有無を確かめることにあるが、その過程で得た経験や知識は彼ら自身にとっても貴重なものとなっていた。
主人公は、自室で監視態勢の構築について検討していた。彼の諜報員はジュラの大森林やファルメナス王国からイングラシア北部に至る海岸沿い、山頂にまで配置されていたが、情報収集に不安を感じていた。そのため、遠見系の魔法と呪術系統の魔法の使用を検討したが、使い勝手が悪いことがわかった。そこで、物理魔法の「神之怒」の理論を流用して監視魔法を作ることを考え、智慧之王に具体化を依頼した。この魔法が完成すれば、情報を集めることが容易になり、国家存続のために非常に重要だと考えていた。しかし、この重要な時に、地下迷宮で二人目の五十階層攻略者が現れたという緊急報告が入る。最初の攻略者はマサユキ達で、彼らは五十九階層に到達していたが、新たな攻略者はユニークスキルを持つ三名で、新参者だった。戦争前夜のこの時期にスパイの可能性が高いと考え、監視魔法の練習を中止し、迷宮の司令室に向かった。この新たな攻略者に関する情報収集が、今後の行動に重要な影響を及ぼすことになる。
中に入ると、ラミリスとヴェルドラがいたが、ディーノとベスターは休暇中だった。ラミリスとヴェルドラは元気で、疲れ知らずのようだ。大画面には、特異な戦い方をする三人の若者が映し出されており、その中の一人は異常な投擲力を持っていた。残りの二人は、一人が全身黒ローブで隠しており、もう一人は白衣を着た青年で、どちらも「異世界人」らしい出で立ちをしていた。三人は迷宮の五十階層以下で罠や死霊狼と戦っていたが、特に茶髪の若者が牛頭魔人の戦斧を使い、死霊狼を一掃している様子が映されていた。この戦斧は特質級の魔法武器であり、死霊系に大ダメージを与えることができる。三人の中で、茶髪の若者が主に戦闘を担当し、黒ローブの男が罠を回避し、白衣の青年が治療や指示を出していた。登録情報によると、三人は帝国側の小国出身で、迷宮の噂を聞いて腕試しに来たとされていたが、実際は三人ともユニークスキルを持つ強者であった。この情報はあまりにも正直すぎるため、彼らがスパイである可能性を疑っていた。しかし、部屋にいたディアブロは、彼らが堂々と身分を明かしていることに疑問を投げかけた。その後、リムルはヴェルドラとラミリスに、迷宮攻略者たちが実はスパイである可能性があることを説明し、戦争時に町を隔離する作戦の一環として彼らを監視していることを明かした。しかし、ヴェルドラとラミリスはこの事態をあまり深刻に受け止めず、リムルは彼らの能天気さにやや羨望の念を抱いた。そして、迷宮攻略者たちが六十階層の階層守護者に挑戦しようとしていることに注目が集まり、リムルたちはその結果を見守ることにした。
「不死王」アダルマンは、自分の領域に侵入者が出たことを知り、満足げな様子であった。彼の腹心であるアルベルトも、アダルマンがリムルの配下となった後、骸骨剣士から数段階進化した「死霊聖騎士」へと成長していた。アルベルトは生前の姿に思い入れがあり、魔素で肉体を構築できるようになっていた。アダルマンとアルベルトは、リムルに対する忠誠心を共有しており、今回の侵入者を迎え撃つことでその忠誠の証を示そうとしていた。アダルマンは、かつての敗北から数ヶ月で全盛期を上回る力を取り戻していたが、リムルは彼らに勝利の見込みはないと考え、既に次の守護者に期待していた。それにもかかわらず、アダルマンたちはやる気に満ち、侵入者に対して慎重な対策を講じ始めた。
激しいと思われた戦闘は、アダルマンの圧勝で一瞬で終わった。挑戦者たちは強力なスキルを持つAランクオーバーの戦士であったにも関わらず、アダルマンとその仲間たちはさらに上を行く力を見せつけた。特にアダルマンは、数ヶ月の間に大きく成長し、自我のない魔物としては異例の進化を遂げていた。アダルマンの左手には邪悪な竜が鎮座し、アルベルトと共に戦い、挑戦者たちを圧倒した。挑戦者たちのユニークスキルは、医療師、投擲者、観察者といった非常に高度で有用な能力であったが、アダルマンたちの前では無力であった。特にアルベルトは、エクストラスキル『聖魔反転』の効果で聖属性への耐性を持ち、挑戦者たちの攻撃を無効化した。これにより、挑戦者たちは敗北し、光の粒子となって消え去った。アダルマンたちの勝利は、リムルが提供した装備と彼ら自身の成長の結果であり、リムルも彼らの進化に驚かされた。
アダルマンとその仲間たちは、リムルの前で自らの勝利を神に捧げるように喜びを表現した。リムルは、アダルマンたちの強さに驚き、彼らを六十階層の守護者としては過剰な力を持っていると感じた。アダルマンたちは、リムルの指示に従い、数的優位を持たない戦い方で勝利を収めたが、その力は特A級に匹敵するレベルに達していた。アダルマンとアルベルトはリムルの司令室を訪れ、彼らの進化と成長を称えられた。アダルマンは死霊の王に進化し、アルベルトは死霊聖騎士になっていた。特にアルベルトは、魔素で肉体を構築する能力を得ていた。また、アダルマンが開発したエクストラスキル『聖魔反転』により、聖属性の攻撃を無効化する能力を持っていた。この技術の開発には、ベレッタとルミナスも関与していたことが明かされた。リムルは、アダルマンたちの強さを再評価し、彼らを七十階層の守護者に昇格させることを決定した。これは、迷宮内のゴーレムゾーンとの入れ替えを意味していた。アダルマンとアルベルトは、この新たな役割に感謝し、リムルの期待に応えるために更なる努力を誓った。この決定により、迷宮内の配置変更が行われることになった。
アダルマンたちが退出しようとした時、ディアブロが重要な報告を始めた。ラーゼンからの魔法通話を介して、リムルに会いたいと願い出ているガドラという人物の話が持ち上がった。ガドラはラーゼンの師匠で、古い魔導書に名を残す有名な大魔法使いであるという。しかし、シオンはこのタイミングでの面会を疑問視し、ディアブロも面倒を避けようとした。そこで、アダルマンがガドラと親友だったかもしれないと発言し、話は一転した。ガドラはアダルマンを救った人物であり、ラーゼンの名前にも心当たりがあるという。この話を聞き、リムルはガドラとの面会を決め、ディアブロに会談の準備を指示した。アダルマンの反応から、ガドラが本人である可能性が高いと判断されたためである。
シンジたち三人は、迷宮の六十階層で敗北し、死に戻りを経験した。彼らの戦いは独占中継されており、様々な反応を受け取る。放映料の受け取りと、有名になることでの安全保障を理由に放映契約を結ぶことに決めた。敗北後、彼らは宿に戻り、疲労から回復するために休息を取った。その後、彼らは今後の行動について話し合い、スパイ活動の継続が困難であることを認識しつつも、迷宮に関する情報を集め、報告することを決めた。夜には、気分転換として街へ出かけることにした。
シンジたちは郊外で報告を開始し、ユウキに転送した後、魔法通話でやり取りを行った。ユウキは六十階層のボスの強さについて尋ね、シンジはそのボスが帝国皇帝近衛騎士団の上位五十位以内に相当すると回答した。また、以前参加した「紅に染まる湖畔事変」において、死霊の王と同じくらいの魔素量を持つ上位魔将を見たことがあるとも述べた。ユウキはこれらの情報を参考にし、ガドラ老師との合流までゆっくり過ごすようシンジたちに伝えた。「紅に染まる湖畔事変」は帝国領土内で起きた事件で、悪魔召喚によって小国が滅びた。この事件は帝国の歴史においても最悪の一つとされており、その解決には機甲軍団が名を借りたが、実際は少数の強力な兵士が上位魔将を倒した。シンジはこの事件での生存率が低かったこと、および戦闘での役立たず感を感じていた。シンジたちはこの経験から、迷宮の六十階層にいた死霊の王には勝てないと感じ、今後の行動を話し合った。結局、彼らはのんびり過ごすことにし、悪魔の強さについて考えを巡らせた。
シンジたちは資材課に「魔晶石」や使わない装備を売却し、組合員から喜ばれる。彼らの目的は潜入調査であり、収入面では充実していた。軍属としての収入もあり、特にシンジは少佐として優遇されているが、迷宮都市での収益はそれを大きく上回っていた。彼らは迷宮都市での生活を考え始め、帝国での安定した生活と比べ、死ぬ心配がなく楽しく暮らせることに魅力を感じている。しかし、戦争が近づいており、その影響で移住を決断できないでいる。彼らはこの町が消えることや、迷宮のボスのように強力な国の強者との戦いを避けたいと考えており、その実力から見て帝国の常識では戦争に勝てないと感じていた。その中でガドラからの「魔法通話」が入る。
一人の老人であるガドラが、リムルの前で平伏している。ガドラは大魔法使いで、彼の部下であるシンジーたち三人も同様にひれ伏していた。ガドラはリムルに面会を求め、彼らの背景や目的について語った後、リムルはガドラとシンジーたちに対して寛大な態度を取る。ガドラはかつての親友であるアダルマンへの復讐のために帝国を扇動し、西方聖教会への復讐を計画していたことを明かす。彼は自身が転生者であり、何度も転生を繰り返し大魔導を極めようとしていたこと、そしてアダルマンの無実を証明しようとしていたことを語る。ガドラはリムルの配下に加わりたいと申し出、リムルはこれを受け入れ、ガドラに帝国に戻って行動するよう命じる。一方で、シンジーたち三人組はリムルの国に移住することを決め、今後の身の振り方を考えることにする。ガドラは帝国に戻り、リムルの指示に従って帝国内で反戦活動を行う予定であり、リムルはガドラを信じつつも、二の策を講じておくことを考えている。

第四章

帝国において重要な役割を担う異世界人、近藤達也(中尉)は、帝都の闇の中で活動する人物である。彼は帝国情報局局長として、帝国の裏を知り尽くし、各軍団長さえも無視できない存在である。外見は若々しく見えるが、実際は70年前に特別攻撃作戦に従事した経験を持つ冷徹な男であり、その命を皇帝へ捧げている。情報統括本部で帝国の影として活動し、帝国の安全を守るために、ユウキやガドラといった帝国外の脅威に対しても警戒を怠らない。近藤中尉は、帝国への忠誠心から異世界人や裏切り者に対する調査や監視を徹底し、必要に応じて冷酷な措置を取る覚悟を持っている。
カリギュリオは帝国内で最大の勢力を誇る機甲軍団の軍団長であり、左目を眼帯で隠した四十代ほどの痩せぎすの男である。彼の前に置かれた高品質な魔晶石は、ユウキがもたらした技術により精製され、魔石が生産されるようになったものである。カリギュリオは、この魔晶石を産出する場所の確保が帝国のエネルギー事情改善につながると考えている。彼は、ガドラが採取場所を発見し、その情報を彼から隠していたことに憤りを感じている。また、ガドラが持ち帰った宝物、特に高品質な剣に関心を持ち、その剣が魔法の発動装置であることを知る。カリギュリオは迷宮を掌握し、魔晶石だけでなく、剣のような宝物も手に入れる価値があると判断し、高位貴族を味方につける決心をする。彼は、自軍が利権を奪う計画を立て、帝国が動き出す事態を引き起こす。
御前会議が開かれ、緊張が走っている状況の中、皇帝ルドラ・ナム・ウル・ナスカのもと、二百名近い将兵や文官が集まり、大遠征の是非について討論が行われた。開戦の名目や方法について、慎重派と主戦派が意見を交わし、特にジュラの大森林を通るかどうかが焦点となった。帝国の大魔法使いガドラは、皇帝に直接反対の意見を具申し、特に〝暴風竜〟ヴェルドラと新たな魔王リムルの存在を理由に戦争回避を主張した。しかし、機甲軍団長カリギュリオや魔獣軍団長グラディムなど、好戦派からは、帝国の軍事力や新兵器の有効性を理由に、ガドラの意見が非難された。ガドラは内心、魔国連邦やリムルを知り、帝国の勝利を疑問視していたが、同時に帝国のために戦争回避を試みていた。しかし、会議の流れから、その進言が無意味であることを悟り、リムル陛下の命令に従って、帝国軍の関心を地下迷宮へと集める方向で行動することを決意する。ガドラの視線は、計画を進めるユウキへと向けられていた。
御前会議での討論の中、カリギュリオは、ガドラが沈黙したことをもって自分の勝利と感じた。帝国の新時代を象徴するような新生三大軍団が、それぞれ異界の技術や魔法技術の融合により強大な力を持つようになっていた。機甲軍団は異界の科学技術と魔法技術が融合し、二百万を超える兵力を持つ。魔獣軍団はDNA解析により魔獣の培養育成が可能となり、Aランク以上の魔獣を騎獣として用いる。混成軍団は異世界人を含む潜在能力の高い兵士で構成され、未知数の力を持つ。カリギュリオは、帝国軍が西側諸国の総戦力を圧倒することを自信に思い、特に機甲軍団がその中核を成していることに誇りを感じていた。しかし、御前会議にてユウキが口を開き、ジュラの大森林を抜けるためには魔王リムルの支配地域を通る必要があると指摘し、地下迷宮の調査を提案した。これに対し、カリギュリオは自分がこの任務に最適であることを皇帝に直接訴え、出陣を願い出た。この場面で、他の軍団長も名乗りを上げ、激しい議論の中で、最高指導者である元帥が立ち上がり、皇帝ルドラの御前での秩序を呼びかけた。
元帥は帝国最強の存在とされ、その正体を知る者は極めて少ない。元帥の発言により御前会議の場は静まり、皇帝の御前での議論が進む。元帥はユウキやガドラの態度を批判し、帝国がヴェルドラに対して行動を起こさなかった真の理由は準備不足ではなく、過去の恐怖に囚われていたからだと指摘する。また、ドワーフ王ガゼルとの交渉に固執するガドラへの疑問を呈し、帝国の覇道を邪魔するわけではないかと追及する。カリギュリオは自軍の戦力と計画に自信を持っていたが、元帥からの質問に対して答えに窮する。元帥はヴェルドラを滅ぼすのではなく、支配することで帝国の勝利を完全なものとするべきだと説く。これに対し、ガドラは元帥の真の目的と能力に対する恐怖を感じる。元帥の精神支配能力の可能性に疑念を抱き、その実力を畏怖する。会議場の雰囲気は、元帥の圧倒的な支配下にあり、参加者たちは元帥の意図と計画の前に自らの無力さを痛感する。
会議場での緊迫した空気の中、ユウキが作戦提案を行う。彼の提案は、ドワーフ王国を攻めることに焦点を当てており、ジュラの大森林を抜けてアメルド大河沿いの宿場町を目指すというものである。カリギュリオは森を抜けることによってドワーフ王国と魔王リムルの間で挟撃される危険を指摘するが、ユウキはそれを逆手に取り、ドワーフ王国が交渉に応じない場合は友好国とは呼べないと主張する。ユウキの案によって、ドワーフ王国を攻める計画が進むことになり、カリギュリオとグラディムもそれぞれの軍団での作戦を立案する。元帥はカリギュリオにはジュラの大森林侵攻を、グラディムには北進してイングラシア王都を攻める作戦をそれぞれ割り当てる。さらに、カリギュリオが開発した飛空船を利用して魔獣軍団を輸送する計画も明らかになる。この飛空船を使用することで、カリギュリオとグラディムは戦略的な利点を得ることができ、同時に西側諸国に対する驚異となる。会議の結果、帝国による三方面同時侵攻作戦が決定され、皇帝ルドラの名で開戦の詔勅が発される。この決定により、帝国は再び武威を示す機会を得ることとなった。
御前会議後、ユウキは安堵の溜息を吐き、自らの計画について考える。元帥の積極的な干渉により計画を多少変更する必要があったが、大筋では問題ないと判断している。カリギュリオを踊らせることに成功し、ユウキの部隊は帝都近隣に展開できる見込みである。一方で、ガドラは元帥の行動について懸念を持っており、その理由を問うが、ユウキはそれを気に留めない。ガドラはユウキに対して、戦争を回避したいとの意向を示すが、ユウキはそんな願いが通じるわけがないと一蹴する。ガドラは魔王リムルの国と敵対することの愚かさを確信し、戦争で帝国が敗北すると予想している。会話の中で、ガドラは帝国への最後の奉公として戦争回避を主張したが、計画は変更された。ユウキとガドラは、それぞれの道を歩むことになり、ガドラは自分の信念に従って行動することを決意する。ガドラは帝国が誤った道を進むのを防ぎたいと思いながらも、自分のしたいように生きることを選ぶ。二人は最後に握手し、ガドラは去っていく。ユウキは派手にクーデターを起こすことを宣言するが、皇帝を害することだけは許されないとのガドラの忠告を受け入れる。そして、二人は別れ、それぞれの道を進むことになる。
ガドラは、長年仕えた皇帝への最後の奉公として面会を要請し、その要請が受理される。面会の場で、ガドラは緊張しつつも、帝国の将来を案じる気持ちを抱えていた。通された廊下で、ガドラは日本から来た人々が桜について語った「侘び寂び」や「滅びの美学」について思いを馳せる。しかし、面会途中で、ガドラは近藤中尉と思われる人物に遭遇し、その場で命を狙われる。近藤中尉の手には南部式大型自動拳銃が握られていたが、ガドラが倒れたのは銃弾ではなく、背後から刺されたナイフによるものだった。ガドラは、この襲撃が裏切りへの罰であると感じながらも、生き延びるための最後の賭けとして、事前に仕込んでおいた魔法を発動させようとする。しかし、その試みが成功したのかは不明で、ガドラの意識はそこで途絶える。面会を通して、ガドラが抱える帝国への思いや、最後に起こった衝撃的な出来事が描かれている。

第五章

ガドラが帝国に送り出された後、主人公は尋問を開始するが、その相手はシンジたちではなく、ラミリスであった。ラミリスは明らかに何かを隠している様子で、ケーキを禁止すると脅すと、彼女は多くの情報を話し始めた。主人公は、アダルマンが予想以上に強くなっていたこと、アルベルトがシンジたちを撃退したこと、死霊竜の存在など、多くの驚きの事実を知る。特に、アルベルトとアダルマンが、それぞれ特A級の身体能力と卓越した技量を持ち、強化されていたことが判明する。アルノーたち聖騎士団は、地下迷宮で再挑戦し、新たな守護者たちに破れるが、この経験を通じて成長する。地下迷宮の守護者であるゼギオンが人型に進化し、アルノーたちはゼギオンやアピトに敗北するも、その後アルベルトのもとで訓練を受ける。ラミリスとヴェルドラが主人公に隠していた地下迷宮の変化や、新たな守護者たちの強化、聖騎士団の訓練など、多くの情報が明らかになり、主人公はこれらの事実を受け入れつつ、地下迷宮の記録を後で楽しむことにする。
地下迷宮内では、迷宮十傑と呼ばれる強力な存在が誕生していた。アダルマンやゼギオン、アルベルトを含むこれらの強者たちは、地下迷宮のさまざまな階層を守護している。特にゼギオンは、十傑の中でも最上位に位置づけられている。加えて、四体の属性龍が竜王へと進化し、迷宮の力をさらに強化していた。ラミリスは、これらの勢力の最新状況を発表し、地下迷宮の管理と運営についての詳細を提供した。それによると、多くの守護者たちは、リムルに忠誠を誓っている。特に、クマラやゼギオン、アピトはリムルを主君と仰ぎ、彼に仕えることを望んでいた。また、アダルマンはリムルを「神」と崇め、アルベルトもその忠誠をリムルに捧げていた。ゴズールやメズールもリムルの下で働くことを選んだ。この事態に対し、リムルは地下迷宮の強化を歓迎しつつも、挑戦者たちに対しては適度に手加減するよう指示した。百階層を守り切ることを目標にしつつ、その他の階層では、より多くの人に迷宮の凄さを体験してほしいと願っている。
迷宮の守護者たちの進化を確認した後、リムルは監視魔法の実験を行い、成功を収めた。この魔法は、レンズ状の水玉を利用して、遠くの場所を観察することができる。結果として、地上の様々な場所を迷宮の新設された管制室から監視できるようになった。さらに、このシステムを利用して「神之怒」を遠隔地に発動させることも可能になり、夜間でも使用できるように改良された。この技術により、リムルは大戦力を持つ迷宮が帝国の脅威に対しても安心していると感じた。また、監視システムは戦争準備の一環として開発されたが、リムルはこれが無駄に終わることを望んでいる。
実験の成功を確認し、執務室に戻ったリムルは、シュナからお客様の訪問を知らされた。訪れたのは、亡命してきたシンジたちで、今後の身の振り方を決めるためにリムルに会いに来た。彼らは、迷宮内で冒険者を続けるか、リムルの国で働くかを悩んでいたが、最終的にリムルの国で働くことを選択した。リムルはこの決定を歓迎し、シンジたちもリムルの国の一員となった。リムルは、シンジたちが戦争に参加したくないことを考慮し、ラミリスに紹介し、迷宮内で研究者として働いてもらうことを提案した。
リムルはラミリスの研究所にシンジたちを助手として紹介する。ラミリスは助手を探しており、シンジたちがちょうど良い人材であった。シンジたちはラミリスの提案を受け入れ、研究所で働くことになった。数日後、ガドラが帝国から迷宮に帰還するが、何者かに襲われたことを明かす。ガドラはリムルから渡された「復活の腕輪」のおかげで命を取り留め、迷宮内で緊急帰還することができた。リムルとディアブロはガドラからの報告を受け、帝国には油断できない相手がいることを再認識する。ガドラは帝国に戻り、更なる情報収集を行うことになる。
ガドラからの報告によると、帝国は開戦に向けて動き出している。帝国は他国に戦争を仕掛ける際、宣戦布告ではなく一度だけ降伏勧告を行う。この行為は帝国の傲慢な姿勢を象徴しており、国際社会からは恐れられている。リムルは帝国の動向を確認し、戦時対応へと切り替えることを決定した。管制室内に作戦統合本部を設置し、情報収集の精度を高めた。帝国との国境付近の監視を強化し、戦争の準備を進める。リムルは戦争における唯一のルールとして「民間人には手出し禁止」と定め、我が国の幹部たちと作戦会議を行う。会議にはリムルの部下や協力者が集まり、帝国に対抗するための意見を交わした。
帝国軍が近代兵器の開発を進めており、特に戦車の開発が進んでいることが判明した。これらの戦車は魔素を燃料に利用し、高い汎用性と性能を持っている。さらに、飛行船の存在も確認され、帝国軍の輸送手段としての利便性が高まっていることが明らかになった。これらの情報を踏まえ、リムル達は戦争対応のための作戦会議を開催し、帝国軍の動向と戦力を分析した。帝国軍の進軍速度は異常に速く、一日に80キロを進む可能性があるため、迅速な対応が求められる状況である。リムルは軍団長たちに指示を出し、悪魔三人娘には各軍団のサポートを命じた。会議では、帝国軍の陽動作戦を見破り、正面から迎え撃つ戦略が立てられた。また、帝国軍が本命とする地下迷宮に対する誘い込み作戦も計画された。リムルとその部下たちは、帝国軍に対する自信を持ちつつも、万全の準備を進めている。
リムル達は戦争対応のための作戦会議を開催し、帝国軍の動きに臨機応変に対応する準備を整えた。ガゼル王との連携や各軍団長への指示が確認された後、マサユキが自身の役割について質問した。リムルはマサユキに、町の住民の心を落ち着かせる役割を担って欲しいと説明し、マサユキはそれに納得した。その他、ヴェルドラとラミリスの協力による迷宮内への都市隔離計画が再確認され、戦時下の安全措置が講じられた。会議では、帝国軍にはリムルを殺せる強者がいる可能性が指摘されたが、迷宮十傑を配置することで対策を講じていることも明らかになった。リムルは仲間達を守る覚悟を新たにし、戦争における自身の決意を確認しながら会議を終了した。
マサユキが住民を説得し、『魔王に町を守るよう確約させた』とされ、彼の評価が高まった。しかし、その表情は複雑であったにも関わらず、住民からは勇者としての信頼を集め、彼の苦悩に気づく者はいなかった。その平和な日々は突如終わりを告げ、帝国軍の侵攻と共に戦争が始まった。

終章

ルドラ皇帝とヴェルグリンドが、大遠征の決定について話し合った。ルドラは世界の王として自身の覇道を示すため、ギィとの約定に基づき大遠征を進めることを決意。ヴェルグリンドはその勝利を確信し、新参の魔王とドワーフ、そして自身の弟であるヴェルドラを打ち砕くことを目論む。二人はギィとのゲーム、すなわち世界の支配権を賭けたゲームを有利に進めるため、魔物や人類を駒として使い、相手の陣地を制圧することを目指している。このゲームにおいては、直接対決しない限り何をしても構わず、ルドラが〝天使之軍勢〟という究極の力を持つ。しかし、ルドラの力は限界に達しつつあり、精神的疲労が極限に達している状態であり、皇子に力を譲渡することなく、自身が倒れることなく世界の支配が完了するまで戦うと語る。ヴェルグリンドはルドラの覇道を支持し、共に戦う決意を固める。そして、帝国からは歴史上でも例のない大軍勢が出撃した。

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転生したらスライムだった件 12巻
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転生したらスライムだった件 13巻
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転生したらスライムだった件 14巻
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転生したらスライムだった件 15巻
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転生したらスライムだった件 16巻
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転生したらスライムだった件 17巻
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転生したらスライムだった件 18巻
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転生したらスライムだった件 19巻
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転生したらスライムだった件 20巻
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転生したらスライムだった件 21巻
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転生したらスライムだった件 10th ANNIVERSARY BOOK

漫画版

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転生したらスライムだった件 22巻
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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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