どんな本?
本作は、学園都市の暗部で活動する少女たちを描いたライトノベルシリーズの第3巻である。夏の終わり、アジトを失い家出少女となった「アイテム」のメンバーたちが、新たな仕事に挑むも、「正義の味方」を名乗る競合相手に手柄を奪われる。そんな中、リーダーの麦野沈利のもとに「表の学校」の友人から連絡が入り、物語は新たな展開を迎える。
主要キャラクター
• 麦野沈利:「アイテム」のリーダーで、学園都市のレベル5能力者。
• フレンダ:「アイテム」の一員で、爆弾のスペシャリスト。 
• 絹旗最愛:「アイテム」のメンバーで、高度な防御能力を持つ少女。
• 滝壺理后:「アイテム」の一員で、能力者の能力を追跡する特殊能力を持つ。
物語の特徴
本作は、学園都市の裏側で繰り広げられる「暗部」の活動を中心に描かれており、正義と悪の境界が曖昧な世界観が特徴である。特に、「正義の味方」を名乗る組織との対立を通じて、登場人物たちの信念や葛藤が深く掘り下げられている。また、前作からのキャラクターの成長や関係性の変化も見どころの一つである。
出版情報
• 著者:鎌池和馬
• イラスト:ニリツ
• 出版社:KADOKAWA
• レーベル:電撃文庫
• 発売日:2024年6月7日
• 判型:文庫判
• ページ数:360ページ
• ISBN:9784049156997
さらに、本作はTVアニメ化が決定しており、今後のメディア展開にも注目が集まっている。
読んだ本のタイトル
とある暗部の少女共棲(3)
著者:鎌池和馬 氏
キャラクターデザイン・イラスト:ニリツ 氏
キャラクターデザイン:はいむら きよたか 氏
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あらすじ・内容
「正義」を名乗る暗部組織との抗争。一方、麦野にある人物から連絡が――。
夏の終わり、アジトを爆破されて家出少女となったアイテム。新たな仕事を受けるも「正義の味方」を名乗る競合相手に手柄を奪われてしまう。そんな中、麦野のもとに「表の学校」の友人から連絡が……。
主な出来事
アイテムの潜入作戦と教団との遭遇
- フレンダ、絹旗、滝壺は第四学区の超高層農業ビル「クローンコンプレックス」へ潜入した。犯罪AIを利用し防犯カメラを無効化し、各自の役割を遂行した。
- 施設内部では「機甲シスター」と呼ばれる重装備の少女兵を発見し、巡回パターンを分析した。
- 麦野を含む「アイテム」の四人は教祖ディケ=ゴッデス=サルベーションが率いる悪徳カルト教団を発見したが、既に何者かによって殲滅されていた。
- ガールズバンド風の殺し屋集団「サディスティックドールズ」が現れ、施設を破壊して去ったため、麦野は激怒した。
観察者の評価と分析
- 観察者は「アイテム」四人の評価を実施し、各人の特異性とリスクを分析した。
- 麦野の「原子崩し」は破壊力が強力であるが制御困難であり、滝壺の「能力追跡」は暴走時に脅威となる。
- フレンダの戦闘技術とコミュニケーション力、絹旗の「窒素装甲」を攻撃に応用する能力が評価された。
- 物理接触を含む追加評価テストの実施が決定された。
サディスティックドールズとの対立
- 麦野は、報酬を奪った「サディスティックドールズ」に対し敵意を抱き、徹底排除を宣言した。
- メイド喫茶で偶然メグと遭遇し、挑発を受けつつ対決姿勢を取った。
- 戦闘が勃発し、麦野の「原子崩し」やフレンダの爆弾で次々とメンバーを撃破したが、ギター担当のメグが戦場から姿を消した。
- エレベーターシャフトに向かった麦野は、既に死亡しているメグを発見し、他の勢力が関与していることを察知した。
風紀委員第〇〇〇支部との戦闘
- 麦野たちは風紀委員特別例外処理班の奇襲を受け、冷凍倉庫に逃げ込んだ。
- 「小惑星迎撃想定戦略防衛レーザー攻撃」などの強力な攻撃を受けながらも、麦野と絹旗は決死の反撃を続けた。
- 麦野は力を振り絞り、「アイテム」としての誇りを守るために戦い抜いた。
白鳥熾媚との対決と正義の探求
- 探偵を名乗る白鳥熾媚は、麦野たちを「悪」と断じ、心理戦を仕掛けた。
- 麦野たちは「白鳥」の背後にある組織を探りつつ対策を練った。
- 最終的に白鳥を撃破するが、その過程で「ナンバー000」や風紀委員処刑チームの存在が明らかとなり、新たな危機が迫った。
第六位との邂逅と麦野の決意
- 麦野は学園都市第六位と遭遇し、その力に圧倒された。
- 第六位は「正義」として麦野の行動を非難し、暗部としての在り方を揺さぶった。
- 麦野は自身の信念を確認し、「アイテム」を守り抜くことを誓った。
感想
正義と悪の対立とその限界
本書は、表の世界とは異なる「暗部」という特殊な世界で活動する少女たちの葛藤と戦いを描いた物語である。
特に本作では「正義」と「悪」という概念の対立が顕著であり、その境界線が曖昧になる様子が印象的であった。
家出少女たちの新たな戦いと運命
本作では、麦野沈利率いる『アイテム』のメンバーたちがアジトを爆破され、家出少女として放浪する状況から物語が始まる。
このような不安定な状況にもかかわらず、彼女たちは時折楽しげに過ごす姿を見せるが、その裏には常に緊張感が漂っていた。
特に、麦野が「表の学校」の友人を失うという出来事は、彼女の内面に深刻な影響を与えた。
これにより、物語全体に重苦しい雰囲気が漂うこととなった。
正義とは何かという問いかけ
『アイテム』のメンバーたちが戦う相手である「正義の味方」を名乗る組織や人物との対立が、本巻における主要なテーマとなっている。
特に、麦野が放つ「人を殺している時点で、正義でも何でもないだろ!」という言葉は、この物語における「正義とは何か」という問いかけを象徴していた。
正義と悪の対立は単純なものではなく、それぞれの価値観や立場によって定義が異なることが示されていた。
哲学的な要素の導入と考察
本作では、単なる戦闘や陰謀の描写にとどまらず、「正義」と「悪」という抽象的な概念を掘り下げようとする姿勢が見られた。
ラノベという娯楽性の強いジャンルにおいて、このようなテーマを扱うことは一見すると不釣り合いに思えるかもしれない。
しかし、物語の根幹をなす問題提起として重要な役割を果たしていた。特に、麦野が敵対者に対して放つ言葉には、彼女自身の信念や過去の経験が色濃く反映されていることが感じられた。
総評と感想
『とある暗部の少女共棲(3)』は、表向きの世界とは異なる「暗部」という舞台で繰り広げられる戦いと葛藤を描いた作品である。
物語全体を通じて、「正義とは何か?」という問いが何度も投げかけられ、単純な善悪の二元論では捉えられない複雑な問題を提示していた。
麦野の言葉に象徴されるように、殺人や暴力をもってして「正義」を掲げることの矛盾が示され、深く考えさせられる内容であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
序 章 科学の街にカミサマはいない
作戦の開始と『アイテム』の活動
フレンダと絹旗、滝壺は第四学区のトライタワー型超高層農業ビル『クローンコンプレックス』へ潜入した。三人はそれぞれの役割を果たし、防犯カメラやセンサーを犯罪AIを用いて無効化した。滝壺は人間の移動パターンを把握し、フレンダは物理的な障害を破壊して進入経路を確保した。絹旗は独立通報装置を操作し、施設全体のセキュリティに干渉するための窓口を用意した。
施設内部の探索と機甲シスターの発見
施設内部を進む中で、フレンダ、絹旗、滝壺は防犯システムを避けながら慎重に行動した。機甲シスターと呼ばれる修道服を纏った少女たちが、巡回兵として活動していることを確認した。彼女らは重装備であり、携行式焼夷兵器などを装備していた。機甲シスターは二人一組で巡回するほか、監視役が不規則に見回りを行っていた。
ビル内の探索と不意打ちの接触
施設内での探索中に、フレンダは監督要員と思われる修道女と遭遇した。滝壺の助言で直前に回避し、大きな被害を出すことなくやり過ごした。犯罪AIの干渉により、自分たちの姿が見えない状態にすることに成功したが、機甲シスターの監視が非常に厳重であることを確認した。
悪徳カルト教団の発見と戦闘準備
施設内部をさらに進むと、麦野を含めた『アイテム』の四人は教祖とその信者たちの本拠地に到達した。教祖ディケ=ゴッデス=サルベーションと八人の弟子を含むAIが信者たちを統率していた。彼らの教義はテクノロジーの危機を訴えるもので、科学技術への依存を否定することを謳っていた。
サディスティックドールズとの遭遇と戦闘開始
『アイテム』が到着した時、既に教祖とAIの弟子たちは何者かによって焼き尽くされていた。そこに現れたのは『サディスティックドールズ』というガールズバンドのような姿をした少女たちであった。彼女たちは特殊な楽器を武器として操り、施設内で大規模な破壊を行った後、ビルから脱出した。
麦野の激怒と施設の崩壊
『サディスティックドールズ』によって仕事を横取りされたことに激怒した麦野は、全方位に『原子崩し』を放ち、施設全体を内側から破壊した。『アイテム』は本来学園都市の治安を保つために行動する集団であるが、この状況ではその任務を果たせないままに終わった。
行間 一
観察者の評価と接触開始
麦野沈利、滝壺理后、フレンダ=セイヴェルン、絹旗最愛という『アイテム』のメンバーに対し、観察者がサンプリング評価を実施した。これは、敵味方の相関図を参考にしつつ、『暗部』全体の動向や趨勢を把握するための試みであった。観察者は中立的な立場を取り、観察者としての役割を忘れないことを強調していた。
麦野沈利の評価
麦野沈利は『原子崩し』の能力者であり、電子を撃ち出すことで圧倒的な破壊力を発揮する力を持つ。しかし、その破壊力の加減が難しいという欠点が存在した。また、彼女の家庭環境には同情すべき点があるとされたが、それによって犯した罪や暴力を無視することはできないと評価された。学園都市で七人しかいない超能力者である以上、自らの力を強く自覚するべきであると指摘された。
滝壺理后の評価
滝壺理后は『アイテム』の中ではブレーキ役と見なされることが多かったが、暴力による問題解決の思考は他のメンバーと共通していた。彼女の『能力追跡』は意図的な暴走状態で他人のAIM拡散力場を正確に記録・検索するという特異な力であるが、その本質にはまだ多くの謎が残されている。接触する際には細心の注意を払うべきであるとされた。
フレンダ=セイヴェルンの評価
フレンダ=セイヴェルンは無能力者であるため、能力に振り回されることがない分、その犯罪行為は全て自身の意志によるものであった。彼女は爆発物と格闘のエキスパートであり、特に注目されたのは『誰とでも仲良くなれる』という優れたコミュニケーション能力であった。これが『アイテム』全体への大きな貢献となっていた。
絹旗最愛の評価
絹旗最愛は『窒素装甲』を用いて攻撃的な戦闘スタイルを確立していた。本来であれば防御向けの能力であるが、それを戦闘に応用する技術を身につけていた。『アイテム』への加入は最近であり、それ以前の経歴が抹消されていることから、間違ったモラルやマナーを学習している可能性が高いと判断された。ただし、改善の余地が最もある人物と評価された。
全体評価と接触の開始
『アイテム』としての合計得点は一定の水準を超えており、物理接触を伴う追加評価テストの実行が決定された。特に、リーダーである麦野沈利に対して集中的な調査を行うことが決定され、現時刻より接触が開始された。
第一章 表と裏
カラオケボックスでのアイテムの状況
アイテムのメンバーたちはカラオケボックスを仮眠用の拠点として利用していた。これは「黒い不動産」からの圧力により宿泊施設を利用できなくなったためである。彼女たちは不安定な生活を続けながらも、新しい仕事を待っていた。
新たな依頼と『サディスティックドールズ』の存在
『電話の声』から依頼を受けた麦野たちは、悪徳科学カルトの教祖を狙った仕事を終えたが、競合する組織『サディスティックドールズ』の介入で報酬を得られなかった。『サディスティックドールズ』は新たに登場した殺し屋集団で、麦野は彼女たちの存在を初めて認識した。
『サディスティックドールズ』のメンバー構成
『サディスティックドールズ』は五人で構成されていた。
• サキ:ボーカル担当で内気な性格。歌詞の作成も担っていたが、戦闘での使用武器は不明である。
• メグ:ギター担当でリーダー。超高圧電流を発射するエレキギターを使用。
• スズラン:ベース担当でウェブ担当者でもあり、火炎放射ベースを武器としていた。
• ユアミ:シンセサイザー担当でバンド全体の裏方を担っている。使用武器は不明。
• アマモ:ドラム担当で、ライブハウスの用心棒からスカウトされた。使用武器は不明である。
未解決事件と『サディスティックドールズ』の関与
『サディスティックドールズ』は過去にいくつかの事件に関与していたと推測されている。
• 報復屋と名乗る集団が火炎放射器によって焼き尽くされ死亡。
• 悪徳企業の経営陣が廃車のトランクに詰め込まれて死亡。目撃者も殺害された。
• ロンダラーと呼ばれる資金洗浄者が不審死し、妻も人質に取られ死亡した。
滝壺はこれらの事件を調査し、『サディスティックドールズ』が関与している可能性を指摘した。
『サディスティックドールズ』の行動パターン
『サディスティックドールズ』は自ら事件を大きく見せることで、一般人だけでなく『暗部』側の視線も引き寄せる戦術を取っていた。また、ネットを主な活動範囲として利用し、情報を意図的に操作することで痕跡を隠していた。
アイテムの行動方針決定
麦野たちは『サディスティックドールズ』を敵とみなし、抹殺する方針を固めた。アイテムのメンバーたちは他者を容赦なく排除することで、自らの勢力を守ろうとした。
『きずな屋』の調査と襲撃
麦野たちは『サディスティックドールズ』が結束を高めるために利用していた『きずな屋』を特定し、襲撃を行った。防弾仕様のドアを爆破して突入し、きずな屋の関係者を拘束して情報を引き出した。
『サディスティックドールズ』の情報収集と次の計画
麦野はきずな屋のスマホを使って、『サディスティックドールズ』に関する情報を収集した。『サディスティックドールズ』が利用した施設や行動パターンを把握し、次の行動を決めた。
メイド喫茶での出会いと対立
麦野たち『アイテム』は、第二一学区を離れて別の学区へ移動し、飲食店を探し始めた。辿り着いたのは美術や工芸特化の第九学区にある高層ビル「萌えベルズ」であった。ビル内はアニメやゲーム関係で埋め尽くされ、メイド喫茶やイベントが行われていた。フレンダが選んだメイド喫茶に入ったが、そこで『サディスティックドールズ』のメンバーであるギター担当のメグと遭遇した。
メグは麦野に挑発的な言葉をかけつつ、裏へ案内する。通路を進むと、他のバンドメンバーたちも現れ、『アイテム』と対立する構図が明確になった。メグの仲間であるサキ、ユアミ、スズラン、アマモが次々と姿を現し、対話を通じて緊張感が高まっていった。
戦闘の始まりと罠
メグが仕掛けた高圧電流の不意打ちが放たれるが、麦野はそれを『原子崩し』でかわした。『アイテム』と『サディスティックドールズ』の戦闘が始まり、双方が相手を打倒しようと試みた。
麦野たちは『サディスティックドールズ』の構成を観察し、全員が高位能力者ではないことを推測した。また、バンド内で派閥が分かれていることを察し、連携の脆さを突く戦略を取った。麦野はスズランを冷蔵庫に閉じ込め、さらに『原子崩し』を放って仕留めた。絹旗もドラム担当のアマモを倒し、フレンダはロケット花火で敵を牽制した。
戦況の変化と敵の分裂
『アイテム』の攻撃により、サディスティックドールズ側の二人が倒され、彼女たちの戦線は崩壊し始めた。ユアミはストロボとレーザーを使って攪乱を試みたが、麦野に通じず圧倒された。フレンダのロケット花火と麦野の『原子崩し』の連携攻撃で、敵の大半は倒れた。
しかし、麦野は最後の確認で一人が欠けていることに気づいた。ギター担当のメグだけが戦場から姿を消していた。
エレベーターシャフトへの追跡と異変の発見
麦野沈利はエレベーターシャフトへ向かう敵の逃走を予測し、追跡を開始した。エレベーターの緊急停止を知らせるブザーが鳴り響く中、彼女は混雑する通路を突き進み、目的のエレベーターホールへ到達した。しかし、その場で発見したのはエレベーター付近に倒れていた人間の死体であった。
殺人事件の痕跡
倒れていた死体はギター担当のメグであった。彼女の上半身には複数の深い刺し傷があり、鋭利な刃物による攻撃で即座に命を奪われたと判断された。一般人によるパニックではなく、明確な殺意を持って攻撃されたことが明らかであった。
脱出の痕跡と犯人の逃走
ビルの窓ガラスには一辺一メートルの正確な正方形に切り取られた跡が残されていた。犯人はそこから外へ脱出したと推測された。おそらくウィングスーツや貨物ドローンのような特殊な機材を用いて逃げたと考えられた。
『電話の声』からの連絡と新たな情報
麦野の携帯電話に『電話の声』から連絡が入った。『電話の声』は、今回のターゲットである『サディスティックドールズ』について調査した結果、「アイテム」が手を出す必要はないと判断したと告げた。その理由は「正義」と呼ばれる存在が既に動き始め、対象を抹消する段取りが整っていたためであった。
血文字のメッセージ
麦野は『電話の声』に対し、事態の進行がすでに遅れていると告げた。足元には血文字で「ふみこんだな」という言葉が書かれており、それが何を意味するのか不明であったが、状況が更に複雑化していることを示していた。
第二章 第四権力
フリーズの活動と証拠隠滅
フリーズのメンバーである鉤山佐助は、アバター店員アプリを利用しながら情報のやり取りを行い、証拠を隠滅する作業を進めていた。彼は生分解性プラスチック製のナイフを用いて犯行を行い、その証拠を分解されるまで土の中に埋めた。フリーズの活動方針は、決定的な写真を撮影し、社会の悪を暴くことに重きを置いていたが、必要に応じて殺害によって問題を解決する「例外の処置」も許容していた。
冴谷メリュジーヌとアイテムの監視
鉤山佐助の仲間である冴谷メリュジーヌは、指向性の高いガンマイクを用いて『アイテム』の動向を監視していた。『アイテム』のメンバーはコンビニに集まっており、その動きを捉えるために中華街の東屋で張り込みを行っていた。彼らは『アイテム』が一箇所に固まっていることを確認しつつ、動きを伺っていた。
フリーズの信念と報道の正義
フリーズは、加害者だけでなく被害者側も徹底的に調査する方針を持っていた。彼らは復讐の依頼を受け、被害者遺族の代わりに問題を解決することを目的としていた。感謝や名声を求めることはなく、ただ正義を貫くことに意義を見出していた。
麦野沈利との接触
フリーズの二人が張り込む中、偶然にも麦野沈利が同じ東屋に現れた。鉤山と冴谷は至近距離で緊張しながらも、麦野が彼らを認識していないことを確認し、何とかやり過ごそうとした。
アイテムの捜索と警戒心
麦野は、自分たちの仕事を妨害した存在を追い詰めるため、全員を動員して捜索するよう命じていた。麦野本家との関係も複雑であり、彼女自身も周囲からの支援を拒絶する態度を見せていた。滝壺理后も登場し、麦野と共に行動を共にする様子が描かれた。
鉤山と冴谷の苦境
鉤山と冴谷は、自分たちが麦野に目をつけられている可能性に怯えていた。彼らは自らの能力で状況を打開しようとするも、『アイテム』の存在感に圧倒され、身動きが取れなくなっていた。
アイテムの策略とフリーズの行動
麦野と滝壺は、フリーズを利用するために接触を図っていた。彼らの意図を探りながらも、鉤山と冴谷は状況を打開する方法を模索していた。彼らの能力を使って『アイテム』の情報を得ることで、優位に立とうと考えていた。
フリーズの能力と限界
鉤山の能力『呪縛激写』は、相手に気づかれずに撮影する必要があるという制約があった。さらに、相手が重大なスキャンダルの瞬間を捉えられる状況でなければ、能力を発揮できないという欠点も抱えていた。
麦野と滝壺の行動
麦野と滝壺は、『フリーズ』の存在を察知しつつも、その正体を掴むために行動を続けていた。麦野は冴谷や鉤山の存在を利用しようとしつつ、彼らを脅し、状況を優位に運ぼうと試みていた。
『アイテム』との対立と策略
冴谷と鉤山は、『アイテム』の存在をどう対処するかを考えながら、情報を集めつつ逃れる方法を模索していた。しかし、麦野たちの狙いは明確であり、彼らにとって状況はますます悪化していた。
第三章 古典に回帰すれば『暗部』のオモチャは増える
麦野と白鳥熾媚の出会い
麦野沈利は学校にほとんど通わず、学生寮にも帰らない生活を送っていた。そんな中、クラス委員である白鳥熾媚が頻繁に話しかけてきた。白鳥は探偵のような活動をしており、人の生活に深入りすることに警戒する麦野とは対照的な存在であった。白鳥は麦野を「友人」と見なしていたが、麦野にとっては「暗部」でしか知り合いを持たない中、表の世界で唯一のつながりといえた。
第四学区での遭遇
早朝の中華街で、血まみれの東屋を挟み『アイテム』と白鳥熾媚が対峙した。白鳥は『暗部』での探偵としての役割を語り、麦野達の動きを把握している様子を見せた。白鳥は自身を「正義」と称し、その立場から麦野たちを分析していた。麦野は白鳥の挑発に動揺を見せながらも、相手を警戒しつつ言葉を交わした。
『探偵』白鳥熾媚の分析と挑発
白鳥は麦野たち『アイテム』の行動を把握し、『サディスティックドールズ』や『フリーズ』の存在についても認識していた。彼女は自らの立場を「正義」と定義し、麦野達を「悪」として位置づけることで心理的に揺さぶりをかけていた。探偵としての能力は高度であり、状況を整理しながら麦野達を挑発する余裕を見せた。
炎の壁と『窒素装甲』の防御
白鳥熾媚の挑発が続く中、突然巨大な炎の壁が『アイテム』の四人に襲いかかった。『窒素装甲』を使う絹旗最愛がとっさに東屋の柱を破壊し、屋根を盾にして攻撃を防いだが、周囲の『下部組織』には被害が及んだ。白鳥は自らの能力を隠しつつも、麦野たちをさらに追い詰める意図を見せた。
『アイテム』の休息と新たな謎
戦闘を終えた『アイテム』の四人は第七学区のコインランドリーに移動し、疲労した体を休めた。麦野は過去の出来事を思い返しながらも、白鳥熾媚の意図や行動について考察を重ねた。しかし、彼女はその答えを得ることなく眠りについた。
フレンダと妹の夏休みの宿題
フレンダは妹の夏休みの宿題を手伝うために第一三学区の学生寮を訪れた。妹は夏休みの宿題をほとんど手を付けていなかったため、フレンダが一緒に取り組むこととなった。妹は様々な課題に苦戦しながらも、フレンダの助けを借りて進めていった。宿題を通じて、フレンダと妹の関係性や日常の一面が描かれた。
探偵と暗部の対立
白鳥熾媚は『アイテム』を挑発しながらも、自らの立場を「正義」と定義し続けた。その過程で、彼女は麦野たちの行動や意図を巧みに分析し、心理的な揺さぶりをかけ続けた。麦野は白鳥との対立を通じて、自らの立ち位置や『アイテム』としての役割について再考する機会を得た。
麦野沈利たち『アイテム』の新たな戦略と対策
麦野沈利たち『アイテム』は、再び敵対者である『探偵』白鳥熾媚との対決に挑んでいた。フレンダが帰還したコインランドリーにて、彼女たちは今後の対策を話し合った。敵が予測不能な行動を取ることを警戒しつつ、相手の情報を探り出す必要があった。白鳥熾媚が新たな能力を隠していた可能性が浮上し、その危険性に気付いた麦野はさらなる調査を決意した。
探索屋との接触と情報提供
麦野たちは第九学区の動画捜索屋を訪れ、白鳥熾媚に関するデータ解析を依頼した。動画捜索屋は撮影機材を使い、白鳥熾媚の行動パターンを解析するも、相手の骨格や特徴が頻繁に変わっているという事実を突き止めた。この事実から、白鳥熾媚は自らの身体構造を意図的に改造し、追跡を回避していることが明らかになった。
お作法教室での調査と符牒の解析
麦野たちは次に、お作法教室を訪問した。和服美人の指導者が提供した情報により、白鳥熾媚の符牒や隠されたメッセージを解析することができた。相手が闇バイトの『斡旋』業者と関わりを持ち、暗部の世界での動きを巧みに操っていることが示唆された。麦野はこの情報を基に、白鳥熾媚の拠点を探ることを決意した。
歓楽街での捜査と白鳥熾媚の探偵事務所
麦野たちは第一六学区の歓楽街に向かい、白鳥熾媚の探偵事務所を発見した。壁一面に貼られたメモや写真、糸で繋がれた関係図が部屋中を覆っていた。白鳥熾媚が学園都市の各勢力を監視し、全体を把握しようとする姿勢が見て取れた。また、探偵の助手としてニホンオオカミのロウゼキが活躍し、捜査の中で重要な役割を果たしていた。
白鳥熾媚の探偵業と正義の定義
白鳥熾媚は、暗部の世界での調査を進める中で、自分なりの正義を追求していた。彼女は警備員が取りこぼす案件を独自に解決し、悪党たちを狙い撃ちするというスタイルを貫いていた。彼女の目指すものは純粋な正義ではなく、欠けたピースを埋めるための『帳尻合わせ』であった。しかし、その行動が暗部の勢力を巻き込む可能性を秘めていることに気付きながらも、白鳥熾媚は自分の信念を貫こうとしていた。
白鳥熾媚の探偵事務所での生活と助手ロウゼキの役割
探偵事務所での日常は、白鳥熾媚にとっての拠点であり、ロウゼキとの関係が重要な支えであった。ロウゼキは時折トラブルを起こすものの、探偵助手としての適性を発揮し、様々な事件を解決に導いていた。白鳥熾媚は自らの仕事をこなすだけでなく、ロウゼキとの絆を深めることで、自分の居場所を見出そうとしていた。
今後の展開への伏線
麦野沈利と白鳥熾媚の対立は続き、相手を倒すための準備が進められていた。九月一日を意識した麦野は、タイムリミットまでに白鳥熾媚を仕留めることを目標とし、情報を集める作業を続けていた。一方で白鳥熾媚もまた、自らの計画を遂行するために暗部の勢力を利用しようと試みていた。
歓楽街の異変とアイテムの行動
第一六学区の歓楽街では大手ビール会社のイベントによって真っ白な銀世界が広がっていた。人工降雪マシンによって雪が積もり、ビールの販売促進イベントが行われていた。アイテムのメンバーたちは、この異様な光景を観察しながら探索を続けていた。街の様子は賑やかで猥雑な雰囲気に満ちており、バルガールが新商品の缶ビールを配っていた。
管理人室への突入と調査
アイテムのメンバーたちは目的地となる雑居ビルへ到着し、正面から管理人室に侵入した。フレンダが防犯カメラやエアコン AI のチェックを行い、無人の直線を確認することで敵の動きを把握する作戦を展開した。滝壺も感覚的な補正を加え、作戦をサポートした。
麦野沈利の攻撃とビル内部の調査
麦野は『原子崩し』を用いて雑居ビルを縦に貫通させ、建物内部へと侵入した。絹旗は『窒素装甲』を使い、ビル内に潜む敵の排除に成功した。彼女たちは建物全体を調査し、敵の存在を確認する手筈を整えた。
探偵との待ち合わせと白鳥熾媚の出現
第一六学区にある氷の宮殿、バルワイザーアイシクルシアターにて『探偵』白鳥熾媚と待ち合わせを行った。白鳥は異常に強力な能力を持ち、周囲に氷の柱を作り出すなどの戦闘力を見せた。アイテムのメンバーたちは周囲を探索し、トラップや伏兵の有無を確認していたが、不意に全ての明かりが消え、白鳥が現れた。
白鳥熾媚の能力とアイテムの分析
白鳥熾媚は様々な現象を引き起こす能力を持つように見えたが、実際には精神系の能力であり、錯覚を見せるだけであった。滝壺はこの点に気づき、他のメンバーへと情報を伝えた。また、白鳥はニホンオオカミを従えていたが、その動物には能力の影響が及んでいなかった。
ニホンオオカミとドローンの襲撃
白鳥熾媚の指示により、ニホンオオカミが攻撃を仕掛け、さらに陸戦ドローンの群れが出現した。ドローンは白鳥によって操作され、アイテムのメンバーたちを包囲する形で襲いかかった。絹旗は『窒素装甲』を用いて攻撃を防いだが、高圧電流によって戦闘不能となった。滝壺も足がつって動けなくなり、絶体絶命の危機に陥った。
謎の救援と撤退
突如として謎の人物が現れ、プラズマカッターを用いてドローンを破壊し、ニホンオオカミを撃退した。この人物は麦野沈利のように見えたが、実際には別人であった。滝壺は混乱しつつも救援者によって助けられ、なんとか危機を脱することができた。
再び訪れる闇
白鳥熾媚はドローンを操り続け、アイテムのメンバーたちを追い詰めようとした。滝壺は必死に絹旗を守りながらも、限界が近づいていた。しかし、最後の瞬間に助けが入り、滝壺と絹旗は命を救われた。
探偵の挑発と犯行接続の発動
白鳥熾媚は「犯行接続」という精神系能力を用い、場にいる全員を共通の認識で縛った。殺人トリックを世界に支配させることで、自由自在に攻撃を繰り出し、麦野たちを追い詰めていった。麦野はそれに応じ、敵の仕組みを暴きながらも、受けたダメージの深刻さに気づいていた。
トリックの応酬と探偵の戦術
探偵は様々な小道具を駆使し、トリックを絶え間なく展開した。鏡を用いた誤認や糸による物体の操作など、複雑な手法を次々と見せつけた。また、敵味方を巻き込みながら、状況を有利に進めるための工夫も怠らなかった。
フレンダの爆弾による反撃
フレンダは爆弾を用いて氷の宮殿の柱を破壊し、壁を抜くことで前提となるロケーションを崩した。この行動によって探偵のトリックは次々と無効化され、最終的に探偵は致命傷を負った。探偵の白鳥熾媚は、最期の瞬間まで己の論理を貫いた。
白鳥熾媚の告白と最期の言葉
致命傷を負った白鳥熾媚は、自身の「正義」について語った。探偵として正義を貫いてきた彼女だが、同時に悪への憧れを抱いていた。麦野のように自由に生きる存在に対する羨望を明かしつつ、探偵としての役割を全うする意志を示した。
ナンバー000と風紀委員処刑チームの存在
白鳥熾媚の残したフラッシュメモリには「ナンバー000」という符牒に関する情報が含まれていた。ナンバー000は風紀委員の死亡を意味し、発令されると専用の風紀委員処刑チームが全ての関係者を抹殺するまで任務を遂行することが求められるとされていた。今回の一連の事件により、アイテムも標的として設定されたことが明かされた。
クローンコンプレックスと科学カルトの真相
科学カルトの総本山であるクローンコンプレックスで行われた生け贄の儀式により、風紀委員・南沖鎖流鎖が死亡していた事実が判明した。アイテムとサディスティックドールズの両者が関与していたため、ナンバー000の標的に含まれることになった。白鳥熾媚はこの真相を麦野に伝えるために自身の命を懸けた。
アイテムの決断と今後の展開
麦野たちはフラッシュメモリを確認し、風紀委員処刑チームの存在と自分たちが標的にされた事実を知った。白鳥熾媚の犠牲によって真実を知ることができたが、それに対する対処を迫られることとなった。麦野は心の底で自身の邪悪さに嫌気を感じながらも、行動を続ける決意を固めた。
行間 二
クローンコンプレックスの調査と風紀委員の活動
鎖流鎖と絵里名は第四学区のクローンコンプレックスに潜入調査を行った。鎖流鎖は風紀委員として問題を解決しようとする意欲を見せ、既に学校内にも影響を及ぼしている悪徳科学カルトの存在を疑っていた。絵里名は危険を感じながらも、鎖流鎖の行動を止められず同行することになった。
予知能力の信頼と葛藤
絵里名は予知能力を持っており、過去のカジノ潜入捜査ではその能力によって危険を回避していた。しかし、絵里名自身は予知の信頼性に疑問を持っており、予知が万能ではないと理解していた。鎖流鎖は絵里名の予知を信じて行動したが、その過信がのちに思わぬ結果を招いた。
予知能力の限界と後悔
鎖流鎖の積極的な行動とは裏腹に、絵里名は自分の予知能力が完全ではないことを痛感していた。潜入調査の結果、彼女は自分の能力が他者を守ることができないことを痛感し、無力感に苛まれることとなった。
第四章 正義という名の凶暴な歯車
風紀委員第〇〇〇支部の登場と任務
風紀委員第〇〇〇支部・特別例外処理班は四人で構成されるチームであった。彼女達は、学園都市の風紀委員の中でも特別な任務を担い、表向きには存在しない部隊として知られていた。リーダーであるイノウエフォックスを中心に、ヤマダコヨーテ、サトウリカオン、タナカジャッカルが所属していた。彼女達は、犯罪者に対する厳格な制裁を行い、風紀委員の威信を保つために戦っていた。
対ドローン戦車『ヒナワヅツ』の使用と学園都市での戦闘
彼女達は対ドローン戦車『ヒナワヅツ』を操り、学園都市の各地を巡回していた。この戦車はサーモバリック砲弾を用いて敵を制圧するために設計されており、広範囲にわたる爆発で対象を一掃する能力を持っていた。学園都市のエリート進学校である長点上機学園を拠点に、彼女達は任務を遂行していた。
アイテムとの対立とサーモバリック砲弾による襲撃
風紀委員第〇〇〇支部は、『アイテム』と呼ばれる四人のメンバーを標的とした。麦野沈利、滝壺理后、フレンダ=セイヴェルン、絹旗最愛が『アイテム』の主要メンバーであり、彼女達は対ドローン戦車からの砲撃を受けていた。突然の襲撃に対し、アイテムのメンバーは地下へ逃れたものの、爆発による衝撃波と炎の影響を受け続けた。
冷凍倉庫への逃避と戦略的防御
アイテムのメンバーは、敵の砲撃を避けるために第一学区にある巨大な冷凍倉庫へと避難した。この倉庫は学園都市の災害時用食糧備蓄保管庫であり、『リザーブミール』と呼ばれていた。内部は氷点下四十度という極端な環境であり、アイテムのメンバーはその寒さに苦しみながらも防御を整えた。
風紀委員第〇〇〇支部の追撃と対峙
冷凍倉庫内に潜伏したアイテムに対し、風紀委員第〇〇〇支部は追撃を開始した。イノウエフォックスを筆頭とする四人の少女たちは、特殊な能力や戦術を駆使してアイテムを追い詰めていった。彼女達は自らを『正義』と称し、その任務に絶対的な信念を持っていた。
正義と悪の対立と戦闘の激化
麦野沈利は、風紀委員第〇〇〇支部の行動を単なる暴力装置と評し、彼女達の正義の理念を痛烈に批判した。一方で、風紀委員第〇〇〇支部のメンバーは自らの行動を正当化し、組織を守るために必要な行為であると主張した。両者の間に生まれた思想の違いは、戦闘の激化を招いた。
決戦への突入
麦野沈利とアイテムのメンバーは、風紀委員第〇〇〇支部の攻撃に対抗するために全力で戦い続けた。彼女達は敵の攻撃を避けつつ、反撃の機会を伺いながら冷凍倉庫内での戦いを繰り広げた。戦闘の行方は未だ定まらず、両者の意地と信念が激しくぶつかり合う状況にあった。
戦闘の始まりとアイテムの迎撃
アイテムのメンバーである絹旗最愛は、冷凍倉庫内で奇襲を受け、コンテナの山の陰に身を隠そうとしたが、壁が爆発し吹き飛ばされた。フレンダは火力で応戦するが、タナカジャッカルの防御能力『正面突破』に阻まれた。滝壺理后は高所から状況を観察しつつ、敵の能力を分析した。ヤマダコヨーテの『電波照準』によって狙いを定められるが、即座に対処した。
サトウリカオンの攻撃と対策
サトウリカオンは電子機器を爆弾化させる能力で攻撃を仕掛け、絹旗を追い詰めた。フレンダも連携を図り、サトウリカオンへの攻撃を仕掛けたが、無人搬送台車の爆発により大きな被害を受けた。さらにサトウリカオンは電子機器を操り続け、次々と爆発を引き起こした。
滝壺理后の情報共有とフレンダの戦術
滝壺はグループ通話を用いて情報を共有し、敵の能力を把握するよう指示した。フレンダは冷凍倉庫内の液体窒素を利用し、爆発によって敵の防御を崩す戦術を取った。この攻撃により、サトウリカオンは一時的に戦力を削がれた。
処刑チームの反撃とアイテムの危機
イノウエフォックス率いる処刑チームは、総合火力でアイテムを圧倒した。『小惑星迎撃想定戦略防衛レーザー攻撃』によって冷凍倉庫は大破し、麦野沈利は大きなダメージを受けた。絹旗とフレンダは残された仲間を救おうとしたが、敵の連携によって追い詰められていった。
絹旗最愛の葛藤と決意
絹旗最愛は、自分の選択によって誰かを見捨てることができないという葛藤に苦しんだ。彼女は『アイテム』の仲間を裏切ることを拒絶し、全員を守る決意を固めた。この決意によって、絹旗は自分自身を奮い立たせ、再び戦いに挑んだ。
滝壺理后の機転と麦野沈利の復活
滝壺理后は冷静に敵の弱点を見極め、仲間と情報を共有することで状況を打開しようとした。最後の瞬間、意識を取り戻した麦野沈利が立ち上がり、アイテムの反撃が始まった。
対立と衝突
麦野沈利と絹旗最愛は、風紀委員処刑チームとの対決に臨んでいた。小惑星迎撃想定戦略防衛レーザー攻撃と『原子崩し』が激しく衝突し、爆音と閃光が現場を覆った。絹旗は暴走する麦野の力に恐怖を覚えながらも戦いに挑んでいた。麦野は自身の能力が自らを傷つけるほどの威力に達していたが、それでも戦いを止めなかった。
麦野の葛藤と決意
麦野は過去に交わした言葉を思い出していた。かつてクラス委員として、誰かの悩みを解決しようとする純粋な想いを抱いていた時代があった。しかし、暗部に関わる中で次第にその想いは捻じ曲げられていった。麦野は自らの力を使って敵を滅ぼそうと決意していたが、それは同時に自らをも蝕む結果を生んでいた。
戦場の混乱と破壊
戦場では小惑星迎撃想定戦略防衛レーザー攻撃が暴走し、周囲のコンテナや建物を貫通していった。滝壺理后は衝撃波を避けようと必死に伏せていたが、周囲は破壊の連鎖に巻き込まれていた。麦野の『原子崩し』の威力は圧倒的であり、敵を撃退するために全力を尽くしていた。
滝壺理后とフレンダの行動
滝壺理后は凍った床に伏せていたが、フレンダ=セイヴェルンはボロボロの状態でも立ち上がり、仲間たちと合流を試みていた。戦場の混乱の中で自らの足で立ち続ける意志を示していた。彼女は笑いを浮かべながらも、絹旗と共に戦い続けていた。
戦いの終焉と反省
最終的に麦野は、過去の言葉や出来事を思い出しながらも戦いを終わらせる決断を下した。彼女は自身の行動に対して苛立ちを覚えつつも、敵を倒す理由を見つけられずにいた。正義と悪の狭間で揺れ動きながらも、彼女は自分の道を模索し続けていた。
行間 三
襲撃事件と風紀委員の動揺
風紀委員支部で活動する山上絵里名や柳迫碧美、二人の先輩は深夜に専用無線によって叩き起こされ、撃破の通知が伝えられた。彼女たちは公的には優等生の風紀委員として扱われているが、実際には特別例外処理班として存在が隠されていた。犯人の存在が明確であるにもかかわらず、その正体は全く不明であった。
柳迫碧美は、悪徳科学カルトによって友人が無残に殺され、夜の街へ出動した同僚たちも次々と倒されるという惨劇に直面していた。彼女はこれまでの普通の学校生活では知ることのなかった現実を突きつけられ、自分たちの『正義』がどこにあるのか疑問を抱くようになった。
碧美は怯えた様子で「風紀委員という仕事が報われないものなのか」と呟いた。その結果、彼女は精神的に追い詰められ、この仕事を続けることができないと決意し、手を引くことを宣言した。
終 章 真なる悪、その叫び
暗部での会話と行動
華野超美は真夜中の第二三学区を歩いていた。滑走路では清掃車や作業員が活動していたが、彼女はそれらに気を留めず進んだ。傍らには人語を話すゴールデンレトリバー・木原脳幹がいた。木原脳幹は木原一族の一員であり、統括理事長の懐刀とも噂される存在であった。彼が動く時、暗部の構造全体に大きな変化が生じることを意味していた。
二人はプライベートジェットやチャーター機が並ぶ駐機場へ向かい、その中で唯一照明が点いている超小型戦略AWACS機に辿り着いた。華野は木原の助言を拒否し、慎重に中へ足を踏み入れた。
機内の発見と考察
華野が機内で発見したのは、鮮血に汚れた豪華な内装と首を切断された青年の死体であった。死体は『電話の声』の一人であり、つい最近も会話を交わした相手であった。彼が調査していたのは暗殺ガールズバンド『サディスティックドールズ』に関するものであったが、情報封鎖により突破できずに終わったことが判明した。
華野は短くなった煙草を捨て、再び新しい煙草に火をつけた。木原脳幹はこの殺戮が『正義』の集団によるものだと語り、迎撃も正体の炙り出しもできずに殺されたことを指摘した。
暗部と正義の対立
華野は『サディスティックドールズ』や『探偵』、『特別例外処理班』といった『正義』の後始末チームについて語った。これらの集団は『暗部』とは正反対の属性で固められており、競合関係にあった。しかし、木原脳幹の目的はこれらではなく、さらに別の存在を狙っていることが明かされた。
木原脳幹の狙いは、この街の最奥に棲む本当の『正義』の象徴であり、『暗部』の天敵である第六位であった。この事実に直面し、華野は状況の深刻さを理解したが、それでも前へ進むことを決意した。
暗部との対峙
麦野沈利と第六位の出会いは、突然であった。深夜の第一学区にて、麦野と彼女の仲間たちが新しい隠れ家の手配を進めていた最中、突如として彼女の膝から力が抜け、倒れ込んだ。原因不明の異常に動揺しつつも周囲を確認すると、黒い闇のような存在が現れていた。影の姿は不定形で、どれだけ凝視しても正体を掴むことはできなかった。
第六位の能力と脅威
第六位と名乗る存在は、麦野を挑発するように語りかけた。その言葉から察するに、第六位は麦野の力を完全に無力化できる能力を持つだけでなく、精神的にも相手を追い詰める力を有していた。麦野の攻撃『原子崩し』は全く効かず、逆に無効化されてしまった。第六位は麦野に対し、彼女の存在と力の本質を冷徹に分析し、組織『アイテム』が内部から崩壊する可能性を指摘した。
正義と悪の葛藤
第六位は自らを「正義」と称し、麦野を一方的に批判した。その言葉に対して麦野は強く反発し、自身の立場を悪と認めつつも、第六位の価値観に従うことを拒絶した。麦野の放つ閃光は強大であったが、第六位の影には届かず、無力感を味わう結果となった。
第六位の忠告と去り際
第六位は、麦野の内に潜むわずかな可能性を示唆しつつも、その存在自体が危険であると判断し、組織『アイテム』全体を排除すべきと告げた。さらに、第六位は麦野の力が無駄にされていることを指摘し、彼女が何かを変える可能性があると伝えた後、姿を消した。
麦野の決意と誓い
第六位の存在に圧倒された麦野であったが、彼女は最後まで諦めなかった。自身の力と『アイテム』を守るために戦い続けることを誓い、再び立ち上がる決意を示した。第六位の言葉によって一時は揺らいだが、それでも麦野は己の信念を貫こうとした。
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