どんなラノベ?
薄幸系男子の異世界成り上がりファンタジー!
え?
そうだっけ?
薄幸系男子は頷けるけど、成り上がってるか?
そんな彼に惚れ込んだ人(?)達が織りなす異世界道中。
彼は穏便に事を運びたいのに、全てが大袈裟になってしまう。
そこが笑いどころ。
読んだ本のタイトル
#月が導く異世界道中 7
著者:#あずみ圭 氏
イラスト:#マツモトミツアキ 氏
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1巻から7巻までの流れ
普通に生活して寝たら。
いきなり両親の都合で異世界の女神に呼び出されて、顔がブサイクだから要らないと言われて見知らぬ土地にポイ捨てされた主人公。
荒野を彷徨っていたら、オーク(♀)と出会い、彼女を生贄に求めた上位竜を覚えたての魔法で倒して従者にする。
上位竜を配下にした結果、亜空と呼ばれる異空間を手に入れた主人公。
荒野で出会ったオーク達を亜空に移住させて彼等も配下に置く。
その直後、空腹で正気を失ってる災厄の黒蜘蛛がエルダードワーフを追って襲ってきたので撃退。
その結果、黒蜘蛛が正気を取り戻して従者になる。
上位龍を巴、黒蜘蛛を澪と名付けて、亜空の住民の投票結果で主人公は【若】と呼ばれる事になる。
その後にエルダードワーフ、巴の眷属ミスティオリザード、澪の眷属アルケーが合流して街を造る。
それでも人に会いたい主人公はベースキャンプ絶野に行くが、、
魔王のような魔力が駄々洩れのせいで魔獣と間違われて総攻撃されてしまう。
1ヶ月文字と魔力を抑える術を手に入れてベースキャンプ絶野に行くが、、、
ヒューマンは色々と悪どかった。
巴と澪が悪乗りしてベースキャンプ絶野は壊滅する。(1巻)
遂に大きなヒューマンのツイーゲの街に着いた一行。
そこで、呪病に苦しむレンブランドの依頼を目にして、彼の妻、娘2人を癒す。
そして、暗躍していたライムを懲らしめて配下に加える。(2巻)
レンブランドの家族を癒した薬の原料アンブロシアを手に入れるため、群生地に行ったらアンブロシアを守護している森鬼が襲って来た。
それらをアッサリと捕獲して、森鬼の村に潜伏していたリッチを秒殺で押さえ込んで、主人公の魔力を蓄積した指輪13個を彼に装備させ、下駄を履かせて3人目の従者にして終わる。
かなりイケメンの 主人公待望の同性の従者登場!(3巻)
そんな同性の従者と学園都市に行く途中で、主人公が転移魔法の使用中に突然戦場に拉致られた。
目の前には、大剣を振りかぶってる、王都攻略を目論むヒューマン最強のソフィア。
2人の勇者は連合軍を率いてステラ砦に進攻していたが、魔族の罠にハマってほぼ壊滅。
主人公、勇者達はそれぞれの戦場で何とか生き残る。(4巻)
突然戦争に巻き込まれ負傷してやっとたどり着いたのに、入学試験ではなく、臨時教員の試験だった。
その試験に主人公だけが合格して教職に就く。
週に1枠の授業を設けると、あまりのハイレベルな授業に上昇志向の強い数名しか残らなかった。
授業以外の日は店を開く準備をして、従業員を亜空から呼んで、、
来たのはアクエリアスコンビ。
波乱の予感しかないw(5巻)
ライムがとある組織に捕まった。
そこに図書館の書士であるエヴァも居た。
その原因は、冒険者ギルドのマスタールトの横槍。
そうなった原因は、かつての勇者の嫁であり、冒険者ギルドのギルドマスターなルト。
巴の知己で、主人公の事には興味津々。
それを威嚇する澪。
そして、店の名前で異世界人を保護する国。
ローレルに目を付けられる。
あらすじ・内容
021年TVアニメ化決定!
本業である商人活動を気にかけつつ、ロッツガルドでの教師生活を満喫している真。
いよいよ始まった学園祭、そしてメインイベントである闘技大会を前に、彼の教え子達のテンションも最高潮に達していた。
ところが、そんな空気に水を差すかのように、真とその生徒達に次々と災難が降りかかる――。
残念風雲児・深澄真が押し寄せる厄介事に立ち向かう!!
月が導く異世界道中7
感想
前の巻から葛の葉商会の存在感が増し、安価な薬品の秘密を知りたがる連中があの手この手で主人公に迫って来る。
そして、商人ギルド長からは輸送手段の技術を公表しろと高圧的に迫られ、金銭で解決しようとしたら売り上げの9割を寄越せと凄まれる。
そんな世間の荒波に打ちのめされた主人公を他所に。
学園の教え子達は主人公を怨む大国の貴族の妨害に遭いながら、実力で喰い破り快進撃をする。
快進撃の裏には主人公の講義があり全ての国から注目されているのだが、精神的に追い詰められた主人公はまだ認識してない。
本編で帝国の勇者が巴にご執心な理由がエクストラエピソードでわかる。
澪と王国の勇者の響のエピソードもなかなかに面白い。
裏話
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備忘録
1(アニメ第二幕14話)
ローレル連邦の重鎮とグリトニア皇女の接触
彩律の貴賓室への帰還
ローレル連邦の重鎮である彩律は、クズノハ商会の代表・真との対話を終え、貴賓室へ戻った。護衛たちを部屋の外に待機させ、各国の来賓が歓談する室内へ足を踏み入れた。
貴賓としての立場上、多くのヒューマンが話しかけてきたが、彼女は手慣れた様子で応対していた。その最中、バルコニーから強い視線を感じ、そちらへ目を向けた。そこにいたのは、グリトニア帝国の第二皇女、リリ・フロント・グリトニアであった。かつて女帝を目指していた彼女が、現在は勇者の支援に徹していることに、彩律は違和感を覚えた。
バルコニーでの対峙
彩律は挨拶を終え、バルコニーにいるリリへと歩み寄った。リリもまた彼女の接近を察していたが、意識を向けることなくホールにいる真の様子を観察していた。クズノハ商会の動向は無視できない問題であり、特に巴の存在が勇者・智樹に影響を与えていることを懸念していた。
彩律が穏やかに話しかけると、リリは皇女としての振る舞いを見せながら応じた。しかし、互いの笑顔の裏には明確な探り合いがあった。やがて、リリは真に対する興味を露わにし、彩律が彼と接触した理由を問うた。
真への関心と情報戦
彩律は個人的な興味から真に会いに行ったと説明し、彼の店について耳にしたことを語った。これに対し、リリはクズノハ商会の従業員が亜人中心であることや、真が学園の臨時講師であることを指摘した。
彩律がその事実を知らなかった様子を見せたことで、リリはローレルとクズノハ商会の関係が浅い可能性を推測した。話題を変えたリリは、クズノハ商会の薬に興味があると告げる。彩律はそれを了承し、彼女のために用意すると申し出た。リリはこれを受け入れ、彩律の意図を見極めつつ、さらなる質問を投げかけた。
火薬技術を巡る駆け引き
リリは、グリトニア帝国における新技術の開発について語り、勇者・智樹の提案による火薬の研究が難航していることを明かした。そして、ローレル連邦の技術力を頼りたいと持ちかけた。
彩律は、火薬に関心を持つ帝国の意図に警戒しながらも、当たり障りのない情報を提供すると応じた。互いに既知の事実を織り交ぜながらのやり取りは、表面上は穏やかでありながら、内心では情報の探り合いが続いた。
レンブラントと将軍の対話
将軍の接触と探り合い
学園祭の会場では、アイオンの将軍がレンブラント夫妻に声をかけた。彼はステラ砦への行軍の途中で学園都市に立ち寄り、偶然レンブラントを見かけたのだという。
将軍は、レンブラントがクズノハ商会を「飼い慣らしている」かどうかを確認しに来たようであった。レンブラントは、真を手下のように扱っているかのように語り、商会の本店が学園都市にあることを利用してアイオンとの関係を曖昧にしていることを説明した。将軍はそれを納得しつつも、クズノハ商会の存在を快く思っていない様子を見せた。
将軍を遠ざける策略
レンブラントは話を逸らし、酒の話題を持ち出して将軍を誘導した。彼の本当の狙いは、娘たちに対して不適切な関心を示す将軍を遠ざけることであった。
リサもまた夫の意図を理解し、笑顔の裏で将軍の存在を嫌悪していた。かつて、将軍の息子がリサの娘シフに求婚した際、父親である将軍自身も彼女を狙うという醜悪な事態があった。リサはその記憶を思い返しながら、将軍が完全に視界から消えたことに安堵の息を漏らした。
レンブラント家の娘たち
シフとユーノの登場
将軍が去った後、リサのもとに娘のユーノとシフが現れた。彼女は二人に学園での評判について言及し、過去の行動が悪評を招いていることを指摘した。
かつて派手に遊んでいた二人は、母の言葉に怯え、真に報告されることを恐れた。彼の厳しい指導を知る二人にとって、それは何よりの罰であった。リサは悪評を卒業までに覆すよう厳しく命じ、二人はすぐにホールへと戻った。
真の姿を見つめるリサ
ホールの隅では、真が居心地悪そうにしていた。華やかな場には不似合いなその姿を見つめながら、リサはふと微笑んだ。彼は自覚なく、多くの者に影響を与えながら、この場に存在していた。
2(アニメ第二幕14話)
レンブラント夫妻との対話
帰り道、レンブラントは真に感謝を伝えた。娘たちの晴れ姿を堪能できたことを喜び、リサもまた、娘たちがドレス選びに真剣であったことを語った。真は、普段の講義とは異なる彼女たちの姿に驚き、その美しさに新たな印象を受けたと述べた。
将軍の話題と警告
レンブラントは、アイオン王国の将軍が学園都市を訪れていることを真に告げた。将軍は真に関心を抱いており、レンブラントは彼に対し、「上手く飼い慣らしている」と伝えたという。アイオンがこのまま黙っているはずがないと警告し、足元にも気をつけるよう忠告した。
リサもまた、真には巴や澪、識がいるため安心であるとフォローした。しかし、その言葉の裏には、彼の身に迫る危険を危惧する気持ちが滲んでいた。
学生との対峙
レンブラント夫妻を護衛していた最中、真は学生服を着た数人の若者が敵意を向けていることに気づいた。彼は立ち止まり、静かに相手の動向を見極めた。
やがて、学生の一人が真に話しかけ、自分が殺されかけたと非難した。しかし、真にはまったく覚えがなかった。学生は、自分が真の講義に参加していないことを明かし、現在の受講者が少ないのは、自らの圧力によるものだと主張した。真はその言葉に困惑しながらも、レンブラント夫妻に危害が及ばぬよう、冷静に説得を試みた。
闘技大会への脅迫
学生は、翌日の闘技大会で真の講義を受ける生徒たちを潰し、真の無能さを広めると宣言した。
それに対し、真は「好きにしろ」とだけ返し、背を向けたまま歩き出した。夫妻を宿まで送り届けることを優先したのである。レンブラントは不安を抱いていたが、真は静かに彼らを安心させるよう努めた。
事件の真相と対応
商会に戻った真は、識を呼び出し、学生たちの件について相談した。識は、真がかつてルリアを助けた際に制裁を加えた学生の一人が、その事件を引きずっている可能性を指摘した。
当時、学生たちは浮遊術を使えぬまま、高所から落とされかけた恐怖を味わい、それを「殺されかけた」と解釈していたのだ。
翌日の闘技大会に向け、真は受講生たちへの忠告を計画した。彼らが自力で障害を乗り越え、次のステップへ進めるようにと考えたのである。
一日の終わり
真は、巴と澪、ルトが待つ商会へと向かった。長い一日の出来事を振り返りながら、今夜の報告を終えた後、改めて気合を入れ直すことを決意した。
3(アニメ第二幕14話)
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闘技大会の抽選会場へ
巴、澪、ルトと共に、闘技大会の抽選会場へ向かった。彼らと行動を共にすると目立つのは当然であり、道行く人々の視線が集まった。特にルトがぴったりと隣にいることで妙な誤解を生んでいた。澪はそれが気に入らないらしく、静かに怒りを滲ませていた。
学園祭の人出は予想以上で、通りは人で溢れかえっていた。闘技大会の抽選がこれほどの関心を集めるとは思わなかった。屋台の出店競争も激しく、場所取りが難しいことも納得できた。
道中、ルトとの会話は異世界の言語についてだった。ローレルには「賢人文字」と呼ばれる漢字が伝わっており、日本語も多少残っているらしい。ただし、地球の日本語とは異なり、俗ラテン語のように変化しているという。日本語が理解できるのは異世界人のみであり、ローレルでは特別な念話を用いて異世界の客人と対話しているため、現地人が正確に理解することはないらしい。
途中、澪が屋台で見つけた揚げ物を勧めてくれた。肉は淡泊でササミに似ており、香ばしい衣と絶妙な塩加減が美味だった。レモン汁が欲しいと思っていたが、澪はすでにそれを見抜いていたようで、「レモン塩か柚子を使って香りをつける」と笑顔で答えた。その様子に、ルトはどこか懐かしげな表情を浮かべ、かつて恋人にササミフライを作った時の話を語った。
抽選会場が近づくと、ルトは突然「大切な用事を忘れていた」と言って姿を消した。彼には何か目的があるようだったが、問い詰めても答えないだろうと考え、気にしないことにした。
闘技大会に向けた生徒との会話
控え室で生徒たちと合流すると、巴がレンブラント姉妹に声をかけた。二人は礼儀正しく挨拶し、巴と澪の名を知っていることを伝えた。レンブラント家から聞かされていたのだろう。他の生徒たちも巴と澪の存在を意識しつつ、緊張した様子を見せていた。
巴は生徒たちに「レベルは強さの指標ではない」と説き、極端な例として「レベル1のヒューマンがレベル1000超えの相手を軽くあしらうこともある」と述べた。その言葉に生徒たちは動揺したが、「強さとは単なる数値ではなく、経験や戦術が重要である」と続けた。
その後、真は生徒たちに「本選では制約を設ける」と告げた。ジンには二刀流禁止、アベリアには弓の使用制限、ダエナには二段階攻撃の禁止、イズモには機動詠唱の封印、ユーノには武器使用の一種限定、シフには合成魔術の禁止が課された。生徒たちは困惑したが、これは「制限の中で工夫し、より深く戦術を考えるための試練」であった。
識は、真がこの試練をクリアできれば「新たな生徒を迎え、講義を次の段階に進めるつもり」であることを明かした。それは彼らが認められた証でもあった。生徒たちは驚きつつも、闘志を燃やしていた。
闘技大会への期待と緊張
真たちが去った後、生徒たちはそれぞれの制約について話し合った。ジンは二刀流禁止、アベリアは弓の制約、ダエナは二段階攻撃の封印と、各々の得意技を封じられていた。それでも、識の言葉により、彼らは次の段階へ進むための試練であると理解した。
シフとユーノは、真の側近である巴と澪について語った。彼女たちのレベルは1500を超えており、ツィーゲでは知らない者がいないほどの有名人だった。その事実に生徒たちは絶句し、真の周囲にいる者たちの規格外の強さを改めて実感した。
リリ皇女とルトの対話
その頃、ルトはグリトニアのリリ皇女と接触していた。彼女は、ルトが真と関わる理由を問いただした。ルトは「冒険者ギルドはどの国にも肩入れしない」と述べつつ、クズノハ商会の脅威についても匂わせた。
リリは、勇者が巴を手に入れたがっていることを告げたが、彼女自身が拒否したため不可能だったと語った。そして、クズノハ商会を潰せるかどうかを尋ねたが、ルトは「魔族と全面戦争をするようなもの」として否定した。
さらに、リリはルトの真意を探ろうとしたが、彼は「僕の目的は君とは別の道にある」とだけ答えた。そして、「冒険者を肯定しギルドを受け入れる者には協力する」と述べ、立ち去った。
リリはその言葉の真意を考え、「ルトはヒューマンの味方ではなく、冒険者を肯定する勢力の支援者である」と結論づけた。そして、彼の情報を利用しながら、ステラ砦の陥落を目指すことを決意した。
4(アニメ第二幕15話)
貴族の妨害と識の対処
真の生徒たちが大会に参加することを阻止しようとする貴族たちの妨害は、予想以上に徹底していた。夕食には平衡感覚を狂わせる毒が混入され、寮の水には下痢を引き起こす毒が仕込まれていた。さらには夜間に刺客を送り込むという手段まで講じられていた。しかし、識の迅速な対応により、すべて未然に防がれ、被害は出なかった。
大会当日の異変とレンブラント夫妻の不在
大会当日、レンブラントから急な連絡が入り、真の代理として商人ギルドへ出向くことになったと知らされた。夫人も同行しており、大会には姿を見せていなかった。これが貴族による妨害の一環ではないかと真は推測し、権力を利用した姑息な手法に改めて呆れた。
操作されたトーナメント表
大会のパンフレットを確認すると、前日とは異なるトーナメント表が掲載されていた。真の生徒たちは一回戦から同士討ちを強いられる組み合わせとなっており、戦士部門ではジン対ミスラ、ダエナ対ユーノ、術師部門ではアベリア対シフという対戦が組まれていた。これは明らかに貴族による操作であり、学園が公明正大な場ではないことを如実に示していた。
来賓席に並ぶ要人たち
遠く離れた来賓席には、学園長の近くに四大国の関係者と思われる顔ぶれが並んでいた。冒険者ギルドの長・ルトや神殿関係者、ローレルの彩律の姿も見えた。その中にはホープレイズ家の者もいた可能性があり、生徒への妨害に関与しているのではないかと真は疑念を抱いた。
嘘と隠し事の積み重ね
異世界に来てからの自身の立場を振り返るうち、真は多くの嘘や隠し事を積み重ねてきたことを自覚した。レンブラント夫妻にすら本当のことを伝えていない事実に気づき、負担が限界に達しつつあると感じた。その思いを巴に打ち明けようとしたが、突然の真面目な態度に彼女は驚いた様子を見せた。
澪の気遣いと試合の開幕
澪が屋台で買った食べ物を差し出し、場の空気を変えたことで、真の思考は中断された。感謝を述べながら食事を受け取り、試合の行方を見守ることにした。その直後、闘技大会の開幕を告げるアナウンスが響き渡った。
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日頃の特訓の成果を見せようと張り切っていたジンたち。
しかし、貴族の策略により同門対決を強いられてしまい❓
📺放送情報
TOKYO MXほか
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ジンとミスラの試合
戦士部門の最初の試合は、ジンとミスラの対決であった。ジンは速攻を仕掛け、連続攻撃を繰り出したが、ミスラはそのすべてを防ぎ、鉄壁の守備を見せた。試合は互いの技術を確認し合うかのような展開となり、観客の期待する激しい打ち合いとは異なったが、剣技の巧みさが際立つものとなった。判定の結果、ジンが勝利したが、実際にはミスラの防御戦術が高く評価される試合であった。
ダエナとユーノの戦い
次の試合では、短剣を扱うダエナと槍を持つユーノが激しくぶつかり合った。ダエナは手数の多さで圧倒しようとし、ユーノは槍の長さを活かして距離を維持した。最終的にユーノが槍を囮に使って格闘戦を挑もうとしたものの、ダエナの的確なカウンターにより敗北した。この試合は観客を大いに魅了した。
術師部門の低調な試合
術師部門では、ほとんどの生徒が障壁を展開し、詠唱を終えた後に魔法を撃ち合うだけの単調な戦いが繰り返されていた。動きのない試合展開に巴と澪は呆れ、巴は「あの子供たちの方がまだマシ」とまで言い放った。真もまた、これが優れた術師を育成する学園の実力なのかと疑問を抱いた。
アベリアとシフの戦い
アベリアとシフの試合は、これまでの術師部門の戦いとは一線を画していた。アベリアは突進し、接近戦を仕掛けることで詠唱の隙を突こうとしたが、シフは驚異的な速さで魔術を完成させ、誘導する火矢を放った。アベリアは機動詠唱を駆使して応戦したが、最後はシフの精霊魔術によって捕らえられ、敗北を認めた。この試合は観客の歓声を浴び、大きな盛り上がりを見せた。
来賓席での反応と王族の発言
試合が終わった後、来賓席ではリミア貴族たちが真の生徒たちの戦い方を批判し始めた。しかし、グリトニアのリリ皇女とリミア王がこれを制し、彼らの技術と新しい戦法を称賛した。リリ皇女は「伝統に固執することが敗北を招く」と断じ、王もまた、ヒューマンの未来を考えれば戦術の進化は必要だと述べた。この発言により、貴族たちは沈黙した。
ルトの視点と真の生徒たちへの評価
冒険者ギルドの長・ルトもまた、真の生徒たちの戦いを高く評価していた。彼らの戦い方は軍の術師とは異なり、実戦向きの応用力を備えていた。彼は、これを機に学園の意識改革が進むことを期待しつつ、次の試合にも大きな期待を寄せていた。
5(アニメ第二幕15話)
個人戦の佳境と生徒たちの成長
学園祭の午後の部が進み、個人戦は佳境を迎えていた。戦士部門ではジンが二回戦でダエナを下し、その後も余裕をもって勝ち進んだ。木剣を用いながら独自の身体強化魔術を駆使し、相手の武器を弾き飛ばした後、ドールを粉砕する一撃を放った。その戦いぶりから、戦士部門はジン、術師部門はシフが優勝すると見られていた。
術師部門の決勝戦では、シフが土の精霊術を駆使して戦場を完全に掌握した。対戦相手のイズモは善戦したものの、シフの作り出した石壁を突破できず敗北。巴や澪も、その結果を確信していた。
戦士部門決勝とホープレイズ家の思惑
戦士部門の決勝戦で、ジンの相手はホープレイズ家の次男だった。彼は貴族としての誇りを背負い、家の宝剣を持ち出して戦いに挑んだ。しかし、その技術はジンにとって脅威とはならず、冷静に相手の攻撃を見極め、適切なタイミングで武器を弾き飛ばした。
ジンは仲間たちがホープレイズ家の介入により一回戦で敗れたことに怒りを覚えていた。だが、その怒りを抑えつつ試合に臨み、戦場での優位を確実なものとしていった。ホープレイズは装備と魔術を駆使して対抗しようとしたが、ジンの圧倒的な戦闘センスの前に翻弄されていく。
試合が進むにつれ、ホープレイズは追い詰められ、最終的にはジンの一撃で決着がついた。審判が勝敗を宣言する頃には、ホープレイズは地に倒れ込み、試合の流れを変える余地すらなかった。
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覇者決定戦とシフの勝利
総合優勝を決める覇者決定戦では、ジンとシフが対峙した。シフは試合開始と同時に地面をセメント状に変え、機動力を奪う戦術を展開した。ジンは剣技で応戦したが、戦場全体を支配するシフの戦術には及ばず、最終的に彼女が勝利を収めた。
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📺第十六夜放送情報
4/22(月)23時00分~
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巴や澪もこの試合を興味深く観戦していたが、ジンの戦いぶりには一定の評価を与えていた。特に、シフの術の軌跡を変えてみせたアベリアの技術には、驚きを隠せなかった。
ホープレイズ家の怒りと復讐の予兆
試合後、敗北したホープレイズは部屋で一人、苛立ちを募らせていた。額の傷は痛々しく、室内は荒れ果てていた。敗北を受け入れられず、何度も独り言を呟きながら、自尊心を傷つけられた怒りを抑えきれない様子であった。
学園祭の喧騒の中、彼の復讐心は静かに燃え上がっていた。
6(アニメ第二幕15話)
商人ギルドの動向と国々の関心
真が商会に戻ると、レンブラントが待っていた。商人ギルドからの呼び出しは真に関するものであり、結果が思わしくなかったことを謝罪した。真個人、そしてクズノハ商会は、一商人や一組織の枠を超え、複数の国から関心を持たれる存在となっていた。その影響が商人ギルドにも及び、真への警戒が強まっているという。
真自身は目立った妨害を受けた覚えはなかったが、レンブラントは「関心を持たれるだけで十分だ」と指摘した。国が商人を情報源として利用し、その情報が商人間で広がることで、真の存在は各国の注目を集めることになった。
商人の思惑と情報の操作
レンブラントは、国の動きが商人の間でどのように広がるのかを説明した。例えば、リミア王国の役人が真について尋ねれば、商人たちはそれを機会と捉える。自らの既得権益を守るために情報を意図的に歪め、「国が真を不審視している」と広めることもある。
これにより、商人ギルドは特定の国から危険視される可能性のある商会を放置できなくなり、真への圧力が強まる。レンブラント自身もかつて同様の手法を用いたことがあり、今後真に対する妨害がさらに強まる可能性を示唆した。また、ツィーゲの商人たちの間でもクズノハ商会は必ずしも歓迎されておらず、一部の勢力が敵意を抱いていることを伝えた。
クズノハ商会の立場と商人ギルドの追及
真は商人との共存を望んでいたが、競争が激化する以上、それは容易ではなかった。レンブラントは、早い段階で決着をつけることが再起の機会を得る上で有利だと助言し、クズノハ商会が負ける側に回ることは考えにくいとも付け加えた。
さらに、商人ギルドではクズノハ商会の流通経路について厳しく追及される可能性があると警告した。特に、魔族との関係を疑われており、何らかの証拠を示すか、罰則金を支払って問題を収める必要があるという。真は、必要であればレンブラント商会の名を使っても構わないと言われたが、根本的な解決策を講じるべきだと考えた。
クズノハ商会の流通経路は、一般的な街道を使わず、亜空を経由した完全な転移輸送であった。その成功率は100%であり、それが露見すれば、転移魔術の技術公開を求められるのは避けられない。国が動くのも必然だった。
レンブラントの帰宅と警戒体制の強化
真はレンブラントの忠告に感謝しつつ、これ以上の手助けは不要だと断った。レンブラントは娘であるシフの勝利を称えつつ、ユーノを慰めるために帰宅した。
彼の帰宅後、真はライムに彼の安全を確認するよう指示を出した。不穏な気配があれば、誰かと交代しながら警護を続けるよう命じた。識とアクアには生徒の安全を頼んでおり、真自身も商業とは別の問題に対処しなければならない状況にあった。
7(アニメ第二幕15話)
商人ギルド代表との対面
真は待たされることなく、「代表室」と書かれた部屋へ案内された。部屋には代表らしき男と護衛の二人がいた。商人ギルドの上層部と会うのは初めてであり、普段は受付で手続きが完結するため、奥のエリアに足を踏み入れる機会はなかった。
代表は真に席を勧め、自己紹介をした。名はザラ・ハーディス。初対面であるにもかかわらず、開口一番に「残念な話をしなければならない」と告げた。その言葉に、真は緊張を覚えながら話を聞いた。
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商人ギルドの代表・ザラに呼び出された真。
この会談の場で、真は商人・クズノハとして最大の危機に陥る💦
📺放送情報
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ギルドとの関係と不興
ザラはまず、真がこれまでギルドの代表に挨拶をしてこなかったことを指摘した。ギルドに所属する商人であれば、店を構える際に代表へ挨拶するのが当然だというのだ。
真は何度か面会を考えたが、ギルドの代表陣は多忙で、予約を取るには一月以上待たなければならなかったと説明した。しかし、この答えにザラは不満げな表情を浮かべた。
さらに、クズノハ商会の定例会不参加も問題視された。真自身はほとんど出席せず、従業員の識に任せていたことがギルド内で不評を買っていた。また、近隣商会との交流を避けていたことが、真の立場を悪化させる要因となった。寄り合いが談合めいた場であり、参加する意義を感じなかったため避けていたのだが、それがギルドの代表には受け入れられなかった。
商会への疑惑と流通経路の追及
ザラは本題に入った。クズノハ商会に対し、四大国のうちリミアとローレル、さらには他の諸国からも調査要求が出されているという。その中には、「クズノハ商会は魔族と手を組んでいる」との疑惑も含まれていた。
真はこれを否定し、商売はヒューマン社会の原則に則って行っていると主張した。するとザラは、品物の品質については神殿から保証を得ていると伝えたが、問題は流通経路にあると言い出した。
クズノハ商会の仕入れ用の荷車や馬車の通行記録がどの街道にも存在しないため、不自然だというのだ。真は、レンブラント商会の荷車や馬車を借りているため、自社の名義での通行記録がないのだと説明した。しかし、ザラはさらに疑念を深め、商会が市場で購入した原材料と実際に販売している商品の原材料リストを比較した調査結果を突きつけた。そこには、市場で購入した記録のない希少な材料が含まれていた。
交渉の失敗と侮蔑
ザラは、ギルドとしてこの疑惑を無視できないと述べ、真に流通手段の開示を求めた。真は金銭での解決を提案したが、それが失策だった。
ザラは「商人に向いていない」と嘲笑し、真の判断力の欠如を厳しく指摘した。金で解決を申し出たことで、真はギルドに対し自らの立場の弱さをさらけ出したと断じた。さらに、この提案は資金力のある大商会には通用しないものであり、クズノハ商会が特別な手段で商売をしていることを裏付ける結果になったと語った。
その上で、ザラは真に対し、商会の売上の九割を毎月差し出すよう要求した。真はこの条件を受け入れられないと反論したが、ザラは「商会同士の交渉事であり、ギルドは関知しない」と突き放した。
撤退の勧告と流通手段の開示
ザラは真に対し、ロッツガルドから撤退し、ツィーゲに戻るよう勧めた。ギルドはクズノハ商会を守るつもりはなく、もし力に頼れば「魔族の協力者」として断罪されるだろうと警告した。
最終的に、真はギルドの圧力に屈し、流通手段として転移魔術を用いていることを説明した。ただし、亜空の存在については伏せ、あくまで長距離転移を繰り返すことで輸送を行っていると述べた。そして、交渉が終わると、次の会合で苦情を申し立てた商会の代表たちと直接会うことが決まった。
真は、レンブラントに迷惑をかけることを自覚しながら、店へと戻った。問題は山積みであり、彼一人では解決できそうになかった。仲間たちと相談し、今後の対策を考えねばならなかった。
8(アニメ第二幕16話)
団体戦初日の波乱
選手控え室では、アベリアがルール変更の可能性をジンたちに問いかけた。ダエナは個人戦での策略を踏まえ、「間違いなく変更がある」と冷静に答えた。ユーノは「団体戦は縛りが少ない」と楽観視していたが、シフは警戒を促した。
五人が談笑しているところへジンとミスラが戻り、予想通りルール変更があったことを報告した。変更点は「パーティ全体のレベル制限を365以内に設定する」というものだった。この制限により、クズノハ商会のチームは実質三人でしか出場できなくなった。一方、ホープレイズのパーティは七人全員が制限内に収まり、この改変が彼らに有利なものであることは明白だった。しかし、ジンたちは冷静に受け止め、特に動揺することもなかった。
巴からの稽古の申し出
ルール変更以上に、ミスラが青ざめる理由があった。真の側近である巴から「学園祭後に稽古をつけてやる」と告げられていたのだ。しかも、「手加減はするが、死ぬなよ」と真顔で言われたことが、彼を震え上がらせた。
レンブラント姉妹やイズモは驚きつつも、その申し出を称賛した。ツィーゲでも巴から個人的に稽古を受けた者はほとんどいないため、特別な扱いであることは明らかだった。しかし、ミスラにとっては栄誉よりも恐怖の方が勝っていた。
試合への出場を巡り、アベリアはミスラを外そうとしたが、本人が強く主張し、結局参加することになった。試合前から、団体戦とは関係のないやり取りが白熱していた。
圧倒的な実力差
グリトニア帝国の皇女リリは、試合を観戦しながら舌打ちをした。三対七の試合では、通常ならば七人側が有利になるはずだった。しかし、現実は真逆であり、三人の方が七人を翻弄していた。
ジン、ユーノ、アベリアの三人は、連携と技術を駆使し、対戦相手を圧倒した。ジンが前衛を崩し、ユーノが槍で畳みかけ、アベリアが弓と魔術で後衛を封じる。この戦い方は、ヒューマンと魔族の戦争初期における魔族の戦術を彷彿とさせた。
リリは、彼らがただの学生ではないことを確信した。そして、その強さの源が真の指導によるものだと察し、クズノハ商会との関係を模索し始めた。巴との約束を考慮しつつも、真を帝国に引き込む可能性を探っていた。
各国の反応と真への関心
リミア王国の王と第二王子ヨシュアも、ジンたちの試合を目の当たりにし、驚きを隠せなかった。彼らの才能は明らかだったが、王が注目したのは、その能力を引き出した講師の存在だった。
王子は、ジンたちの講義履修状況を調査し、共通して受講している講義の担当者が「真」であることを突き止めた。さらに、ホープレイズ家がすでに真を調査していたため、その資料の提供を命じた。一方、ホープレイズ家の次男イルムガンドの変貌にも疑問が浮かんだ。
かつて彼は貴族の在り方に疑問を抱き、学園で実力を磨いていたはずだった。しかし、今では学園の闘技大会を不正に操作するなど、悪しき貴族そのものになっていた。この変貌の原因を探るべきか、王は判断を迷っていた。
クズノハ商会への注目の高まり
団体戦を通じて、クズノハ商会の学生たちはもはや無名ではなくなった。各国の王族、神殿の高位聖職者、学園のエリート講師までもが、彼らの動向を注視し始めた。そして、次第に「彼らを育てた講師である真」に対する関心が高まっていった。
リミア王は、真と接触を図るよう命じ、ヨシュアはその段取りを進めることになった。もはやクズノハ商会は、単なる新興商会ではなく、各国の勢力図に影響を与える存在になりつつあった。
9(アニメ第二幕16話)
団体戦の観戦と退屈な試合
巴と澪は、商人ギルドに召喚された真に代わり、客席からジンたちの団体戦を観戦していた。ホープレイズ家の策略によって、三対七という不利な状況で戦う彼らの様子を眺めながら、二人は退屈そうに嘆息した。巴は「戦いではなくショーだ」と評し、澪も「若が関わっていなければ興味はない」と同意した。
澪は試合そっちのけで、露店で買い込んだ大量の食べ物を楽しんでいた。巴が「その量は異常だ」と指摘したが、澪は「帰るまでに食べるから問題ない」と言い切った。試合よりも澪の食事の話題が中心となり、戦いは圧倒的な実力差のもと、あっさりと終わった。
巴と澪は、主からの念話を受け取り、真が落ち込んでいることを察知した。二人は不安を覚えながら、途中で識と合流し、急ぎ商会へ向かった。
商人ギルドでの屈辱と澪の怒り
商会に集まった巴、澪、識に、真は商人ギルドでの出来事を説明した。ギルド代表からの侮辱的な言葉を語り始めた途端、澪は「その代表を殺してくればよろしいのですわね」と静かに呟いた。巴は即座に制止したが、澪は「やるべきことは明確」と言い放ち、怒りを隠そうとしなかった。
巴が「話を最後まで聞け」と宥めても、澪は「若に暴言を吐くとは許せない」と憤りを募らせた。識は「誰かが同行していれば違う結果になった」と沈痛な表情で述べた。真は、自分の慢心を認めた。ツィーゲとロッツガルドで商会が順調だったことが、油断を生んだのだ。
商人たちの悪意を見極めようという浅はかな好奇心や、ヒューマンを見下す気持ちがあったことも自覚していた。真が「一人で行きたかった」と詫びると、巴は「もし同行していたら、ギルドは血の海になっていたかもしれない」と皮肉を込めて慰めた。
澪は「若は何も悪くない」と言い切り、識は「商売に慣れた者を紹介してもらうべきだった」と指摘した。澪は涙ながらに、「若は善意で商売をしているのに、どうしてこんな仕打ちを受けねばならないのか」と訴えた。
巴は「商売は利益が関わる以上、こういうこともある」と諭し、識も「我々の準備不足も原因」と認めた。しかし、澪は「若が絶対なのに!」と強く反発した。
商会の今後と魔族との関係
巴は「ヒューマン相手の商売をやめ、亜人や魔族を相手にする商会にするのも手ではないか」と提案した。識も「魔族は亜人に寛容だから、クズノハ商会には合っている」と賛同した。澪は「難しいことはわからないが、ヒューマンの欲に振り回されるべきではない」と同意した。
真は決意を固め、自分の計画を三人に話した。「魔王と会い、亜空に四季を与える土地を確保するつもりだ」と告げると、巴は希望を湛え、識は納得し、澪は満面の笑みを浮かべた。三人は何も疑うことなく、真の決断を受け入れた。
クズノハ商会の新たな道
真は、巴が以前示した地図を広げ、ある場所を指し示した。そこは「元エリュシオン傘下ケリュネオン国」、日本地図に重ねると山形県月山に相当する場所だった。真は「ケリュネオンは、僕の両親の生国らしい」と明かした。
識は驚きつつも、「ケリュネオンと言えば、司書のエヴァとルリアの出身地」と思い出した。真は「二人に決断を求めるつもりだ」と語った。その内容を聞いた巴、識、澪は、それぞれ納得し、巴は「面白いではないですか」、識は「今抱える問題の解決策になる」、澪は「力を使わずに悩むのは馬鹿げている」と満足げに微笑んだ。
こうして、クズノハ商会の新たな道が示された。
真は、自らを「この世界に降りた三人目の異世界人」と認識し、考えを改めた。「勇者はすでに二人ヒューマン側についている。ならば、三人目が魔族側に肩入れしても問題はないだろう」
彼は、女神に向けてそう心の中で呟いた。
10(アニメ第二幕16話)
イルムガンドの理想と使命感
イルムガンド・ホープレイズは、大国リミアの名門貴族の次男であった。長兄は戦場に立ち、彼は学園でエリート教育を受ける立場にあった。貴族社会の常識に従い、その運命を受け入れていたが、内心では腐敗した貴族制度を憎み、改革を志していた。
彼の理想は、高貴なる者が民の剣となり盾となること。王への忠誠を果たし、領地を正しく治め、民に慕われる存在であるべきと信じていた。その考えを育んだのは、幼少期に出会ったある少女と、勇者・音無響の二人であった。
幼き日に理想を肯定し、心からの拍手を送ってくれた少女の笑顔は、今も鮮明に心に刻まれていた。そして、王国に降臨した響の自由な発言と行動が、漠然とした理想に具体的な形を与えた。
響と剣を交えながら彼女の思想を学び、いずれ共に戦うことを決意した。しかし、家の意向もあり、学園を卒業するまでは身を引くことを選んだ。この決断が、彼の運命を大きく変えることになった。
運命の再会と衝撃の事実
響が戦場に赴いた年の春、イルムガンドは学園都市で運命的な再会を果たした。彼の前を通り過ぎた女性は、かつての少女ルリア・アーンスランドだった。黒のチョーカーに付けられた鈴は、昔と変わらぬものであった。しかし、彼女の瞳にはかつての輝きがなく、冷めきった色をしていた。
「ルリア?」と声をかけると、彼女は無言で振り返った。
「誰、ですか?」
彼女は、まるで知らないかのように振る舞った。イルムガンドは信じられず、必死に過去の記憶を語りかけた。
「昔、ケリュネオンのアーンスランド領に行ったじゃないか。覚えていないか?」
その言葉に、ルリアは身を強張らせた。ケリュネオンという名が、何か深い傷を抉るものであったことを示していた。
彼女が生きていたことに安堵しつつも、かつて誇り高き貴族として語り合った彼女が、給仕として生きている現実に衝撃を受けた。さらに、取り巻きの一人が「ケリュネオンは魔族に滅ぼされた国ではなかったか?」と問いかけると、ルリアはますます動揺した。
理想との乖離と拒絶
イルムガンドは再会の喜びと混乱の中、取り巻きたちの反応を止められずにいた。彼らは「貴族ならば民を守るために戦うべきだ」と口々に非難し、ルリアを「貴族の恥」と断じた。
彼自身も、理想と現実の間で揺れ動いていた。彼女は本当にあの誇り高き少女なのか。
「……ヒューマンの恥だ。アーンスランド家も、君も」
思わず口にした言葉は、かつての友への侮辱であり、彼自身の迷いの現れでもあった。
ルリアはわずかに眉を震わせ、「何も知らないくせに」と小さく反論した。
イルムガンドは取り巻きたちの勢いに押され、最後まで本心を伝えられなかった。そのとき、突然割って入った二人の男によって、事態は大きく変わった。
真との遭遇と屈辱
突如として現れた男たちのうち、一人は酷く醜悪な容姿をしていた。学園の生徒たちは、その風貌を見て侮蔑の視線を向けた。しかし、彼らはただ者ではなかった。
イルムガンドとその取り巻きは、瞬く間に圧倒された。抵抗する間もなくねじ伏せられ、なす術なく撤退を余儀なくされた。
その後、イルムガンドはルリアの勤め先を突き止めようとしたが、ことごとくクズノハ商会の手によって阻まれた。彼女に近づくたびに、策と力によって排除される。
屈辱と苛立ちが彼を支配し、次第にクズノハ商会への憎しみが募っていった。
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闇への誘い
焦燥感に駆られ、何度もルリアに会おうと試みるイルムガンドだったが、そのたびに妨害され続けた。苛立ちは頂点に達し、ついにある男が接触してきた。
「イルムガンド・ホープレイズ様ですね」
見知らぬ学生が、静かに語りかけた。
「力が欲しくありませんか?」
その一言は、イルムガンドの心を大きく揺さぶった。
男は、学園で開発されているという魔法薬の話を持ちかけた。「身体能力と魔力を底上げする」と謳われたその薬は、すでに何人かの学生に試されていたという。
「貴方様なら、さらに大きな効果が得られるでしょう」
その言葉は、イルムガンドの中に生じた迷いと欲望を鋭く突いた。
今のままでは響の力になれない。今のままでは、自らの理想を実現できない。
彼は瓶を手に取り、ゆっくりと頷いた。
こうして、イルムガンドは闇へと足を踏み入れた。
11(アニメ第二幕16話)
イルムガンドの焦燥と憎悪
イルムガンドは薬の服用を続け、すでにレベル70に達しようとしていた。しかし、苛立ちは一向に収まらなかった。ルリアとの再会は叶わず、ゴテツでは真や識が彼女と親しげに過ごしていた。さらに、学園では真が講師として講義を始め、その影響力が増していた。自分が得るはずのものを奪われたかのような感覚が、彼の心を蝕んでいた。
屈辱の敗北と怒りの爆発
イルムガンドは、真の講義を受ける学生の一人に敗北した。それだけならまだしも、相手は年下でレベルも下回る少女、アベリア・ホープレイズだった。
戦闘訓練の場で彼女の一撃を受け、膝をついた瞬間、アベリアは「しまった、加減を間違えちゃった」と呟いた。無意識の独り言だったが、イルムガンドには耐え難い屈辱となった。
「真の生徒に……手加減されて負けた……?」
怒りに震え、往来で大声を上げた。もはやかつての冷静な貴族の姿はなかった。少しずつ、彼の心は制御不能な方向へと進んでいた。
壊れていく精神と念話の影
学園内でのイルムガンドの振る舞いは日に日に異様になっていった。取り巻きの数は減り、部屋では家具を破壊する音や怒鳴り声が響くようになった。
ある日、苛立ちを抑えられず、念話の相手に声を荒げた。応じたのは、薬を提供する女の落ち着いた声だった。彼女は学園が秘密裏に進める計画の責任者であり、イルムガンドの苛立ちを巧みに煽りながら、彼をさらに深みへと誘導していった。
イルムガンドは、すべての原因は真の存在にあると決めつけ、「あの男も貴様らの計画の一環なのか」と怒鳴った。しかし、女は冷静にそれを否定し、逆にライドウの名に興味を示した。
「もう少し体を慣らしてからと思っていましたが、次の薬を処方しましょう」
その一言に、イルムガンドは飛びついた。
女は「次の薬には軽い副作用がある」と忠告したが、彼は構わないと叫び、さらなる力を求めた。
魔将ロナの策謀
イルムガンドが念話を切った後、ロナと名乗る女は静かに歪んだ笑みを浮かべた。
「感情の自制ができる、か。笑わせるお坊ちゃんねえ……」
彼が想定よりも早く崩れ始めたことを確認しつつ、進行の速さに一抹の懸念を抱いていた。真という講師の存在が、この計画に予想外の影響を与えている可能性があった。
そこで、ロナは学園に直接赴くことを決意した。カレン・フォルスと名を偽り、数日後に学園都市へと足を踏み入れることとなった。
計画の最終段階と真の脅威
ロナの計画は順調に進んでいた。リミア王国とグリトニアの高官を巻き込み、魔族側の勝利に向けた布石を打っていた。しかし、真の存在が彼女にとって不確定要素となっていた。
「真、魔王様への謁見を了承したんだから、それなりに私達に興味はあるんでしょう? それなら今回は大人しく見逃しなさいよ……」
ロナは学園へ向かい、真の動向を探るつもりだった。しかし、彼女の計画が真によって覆される可能性は、すでに高まりつつあった。
その時、もう一人の魔将、巨人イオの声が響いた。
「ロナ!」
ついに、計画が結実の時を迎えようとしていた。ロナは不敵な笑みを浮かべながら、静かに動き出した。
12(アニメ第二幕16話)
闘技大会決勝とイルムガンドの異変
闘技大会団体戦の決勝戦が始まろうとしていた。真は観客席から試合を見守る中、イルムガンドの異変に気づいていた。準決勝での彼の様子は、まるで正気を失ったかのようであった。
巴は「魔術か薬物による能力強化の副作用」と推測し、澪も「ヒューマンとは異質な混ざり物のような存在」と評した。識も同意し、「正気を失いかけている」と指摘した。さらに、イルムガンドが身につける首飾りには、魔術抵抗向上の効果が偽装されており、何かを集積する作用があるのではないかと識は警戒していた。
試合開始と生徒たちの奮闘
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決勝戦が開始されると、ジン、ユーノ、イズモの三人は作戦通りに動いた。ユーノとイズモは敵陣を分断し、術師たちを次々と制圧していった。ユーノは圧倒的な体術で術師を無力化し、イズモは氷の魔法と風の刃で敵を翻弄した。
一方、ジンはイルムガンドと対峙し、激しい戦いを繰り広げた。イルムガンドは尋常ではない力を発揮し、ジンの攻撃を何度も受けながらも倒れなかった。その異様な耐久力と狂気じみた戦いぶりは、観客を戦慄させた。
イルムガンドの異常な変化
ジンの攻撃を受け続けたイルムガンドは、次第に通常のヒューマンでは考えられない動きを見せ始めた。彼の口からは「ライドウ……邪魔をするな」という怨嗟の言葉が漏れ、身体はさらに力強さを増していった。
イルムガンドの異様な耐久力に疑問を抱いたジンとユーノは、審判に戦闘の継続の可否を確認した。しかし、「ドールの損傷が見られないため問題なし」と判断され、戦闘続行を命じられた。ジンは決着をつけるべく攻勢を強めた。
決定的な一撃と試合の結末
ジンの渾身の突きがイルムガンドの下顎を狙ったが、彼は驚くべきことにそれを歯で受け止めた。異常な反応を見せるイルムガンドに対し、ジンは即座に対処し、力を込めて突きを押し込んだ。その衝撃で彼の体が浮き上がる。
ここでイズモの魔法が発動し、イルムガンドは空中へと舞い上がった。その隙を突いてユーノが空中戦を展開し、槍の連続攻撃で彼を滅多打ちにした。最後にユーノが全力で投擲した槍がイルムガンドの額を撃ち抜き、ドールに決定的なダメージを与えた。
地面に叩きつけられたイルムガンドのドールが砕け、試合の勝敗が決した。
「勝者、ジン・ロアン、イズモ・イクサベ、ユーノ・レンブラント!」
審判の声が響いた。しかし、この年の闘技大会は、まだ終わりではなかった。
EXTRAエピソード巴と星湖と英雄と(アニメ2期6話、7話)
巴と星湖の調査
巴は、主である真と別行動をとり、メイリス湖を訪れた。しかし、湖の主であるはずの上位竜リュカの姿はなかった。結界はそのままであったが、住処を変えた形跡があり、巴は村で情報を集めることにした。同行するライムに周辺の村を回るよう命じると、彼の実力を試すかのように無造作に森へ放った。ライムは負傷しながらも湖に到達し、実力を示したものの、巴にとっては当然の結果であった。
ライムの任務と湖の水
巴の指示を受け、ライムはメイリス湖の周辺調査に向かった。巴は湖の水に治癒魔術をかけると、その効果が倍増することを伝えた。ライムが試しに水を飲むと、回復力の高さに驚愕した。傷が瞬く間に癒え、体力も回復した彼は、与えられた任務を完遂すべく、森の奥へと進んだ。
星湖とその由来
星湖は、かつてヒューマンと魔族の戦場であった場所に突如として現れた湖である。巴は湖の近くにある集落を訪れ、かつての戦いに参加していた男から話を聞いた。男は、この湖は罰であり、争いを止めるために女神の眷属が放った一撃の結果であると信じていた。
さらに、戦場で目撃されたという存在を「魔人」と呼び、その力がヒューマンと魔族を等しく裁くものだと語った。巴は、男の精神が戦いの記憶とともに変容し、狂気に近い信仰を持つようになったことを察した。
巴の観察と結界の設置
男の話を聞いた後、巴は集落の様子を確認した。そこではヒューマン、亜人、魔族が共存し、互いに深く干渉することなく生活していた。彼女はこの場所を守るため、独自の結界を張ることを決めた。自身の髪と血を用いて結界を施し、外部からの干渉を防ぐ措置を取った。
その後、湖畔に立った巴は、真が放った一撃が湖を生んでいたことを知り、大笑いした。
ライムとの合流と情報整理
巴はライムと合流し、彼が集めた情報を確認した。メイリス湖周辺では腕利きの戦士が侵入し、その後、危険度が増していた。巴は、それが勇者によるものならば大きな話題になっているはずだと推測し、別の戦士、すなわち竜殺しの存在を疑った。
ライムもその可能性が高いと考えたが、竜殺しがリュカと戦った上で生き延び、その後さらに真とも戦った可能性には納得がいかない様子であった。
謎の気配と新たな接触
ライムが指環や念話に関する情報を探る中、それに関する話題が極端に避けられていることに気づいた。巴は、王国側が魔族の念話技術について調査を進めている可能性を示唆し、軽々しく深入りすべきではないと判断した。しかし、その話を進めるうちに、何者かが二人の会話を探ろうとしていることに気づいた。
巴は即座に結界を張り、その動きを封じた。しばらくすると、三人組の旅人が巴とライムの部屋を訪れ、刀に興味があると申し出た。その際、男の一人が「侍!?」と驚きの声を上げた。その言葉に巴は笑みを浮かべた。
勇者一行との対話
巴はクズノハ商会の護衛兼商人として自己紹介し、ライムも巴の部下として振る舞った。対する三人組の一人、智樹は巴の外見に疑問を抱き、失礼な発言をしたが、巴はそれを意に介さず「小僧」と呼び返した。その言葉に憤る智樹を、同行のリリとモーラがたしなめた。
リリの所作や身なりから、彼女が富豪か貴族の娘であることをライムは察し、慎重に情報を収集した。一方で、巴は智樹らの目的を探りつつ、彼らが帝国の勇者一行である可能性に気づいていた。
勇者一行の正体
智樹が自身の名前を明かすと、リリとモーラもそれに倣った。巴とライムはすぐに、智樹がグリトニア帝国の勇者、リリが皇女であり、モーラが希少なドラゴンサマナーであることを見抜いた。巴が彼らの目的を問うと、智樹は刀に興味があると話題を逸らした。
巴は脇差を見せたが、智樹は意匠に興味を示さず、すぐに抜こうとした。しかし、その刀は巴や真しか扱えない特別なものであり、智樹は力任せに引き抜こうとするも失敗した。
刀の交渉と拒絶
智樹が刀を抜けないことに苛立つ中、リリは巴に刀の譲渡を申し出た。彼女は高額な報酬やグリトニア帝国の支援を約束したが、巴は即座に断った。
さらに、刀を諦める代わりに巴の力を借りたいと智樹が申し出る。しかし、その際、巴に対して魅了の魔眼を使用していたことが判明した。巴はその意図を見抜き、智樹の薄っぺらい理想を嘲笑しながら、申し出をきっぱりと拒否した。
モーラの干渉と巴の怒り
モーラは巴を竜だと見抜き、勇者の仲間に引き入れようと試みた。しかし、巴はその言葉に冷笑し、モーラの竜の使役の未熟さを指摘した。そして、モーラの放った竜への命令を一喝でかき消し、同時に智樹の魅了の魔眼の力も無効化した。
これにより、魅了されていたライムも正気を取り戻し、己の軽率な発言を後悔した。
勇者の暴走
巴の圧倒的な威圧感に三人は沈黙したが、智樹は巴の態度に苛立ち、ついに神槍を召喚した。彼は巴ではなく、まずライムを攻撃し、その肩を貫いて窓の外へ投げ捨てた。
さらに、勢いのまま巴を突き刺したが、彼女には一切のダメージがなかった。巴は智樹を冷ややかに見下ろし、その浅はかな行動を哀れんだ。
巴の警告と撤退
巴は幻術を用いてその場を離れ、智樹たちを霧の中に閉じ込めた。そして、リリに対し、今回の接触をなかったことにするよう警告した。
リリは冷静に状況を分析し、巴がただの人間ではないと確信した。智樹はライムを仕留めたと思い込んでいたが、その震える手が彼の動揺を示していた。三人はしばらく動けず、その場に立ち尽くしていた。
ライムの後悔と識の諭し
夜の森にて、左腕を負傷したライムは巴と識の前で泣き崩れていた。勇者の魔眼にかかり、巴や真から授かった刀を軽々しく手放そうとした自分を恥じていたのだ。
識は冷静な声で語りかけた。「本当に死ぬつもりなら、刀で喉を裂けばいい。だが、お前はただ悔しいだけだ」と。ライムが自分自身への怒りを死への願望にすり替えていることを見抜いた識は、「このことは若様には伝えない。その代わり、お前の人生に刻み、己を戒めろ」と助言した。
巴もまた、真がすべてを知る必要はなく、有用な報告だけをすればよいと語った。二人の言葉にライムは涙を拭い、覚悟を決めた。
巴の正体とライムの決断
巴はライムに問いかけた。「儂の正体をどう思う?」と。ライムは即座に、彼女が上位竜・蜃であると見抜いた。巴はその答えを肯定し、さらに問いを重ねた。「変わってみる気はないか?」と。
巴の眷属となることで、ライムは力を得ることができるが、人間としての在り方を捨てることにもなる。識はその決断の重さを伝えたが、ライムはためらわずに受け入れた。「もう後悔はしたくない」と。
巴は彼の覚悟を認め、眷属化の儀式を執り行った。苦痛も抵抗もなく、ライムは静かにその種族を変えた。
真との対話と脇差の誤解
儀式を終えた巴は、真の屋敷を訪れた。脇差を抜いたことを見抜かれた巴は、その理由を説明した。だが、真は脇差が単なる副武器ではなく、侍にとって重要な意味を持つことを語った。
巴は自分の誤解を恥じ、激しく落胆した。「なぜ、あの愚かな男に脇差を渡してしまったのか……!」と。真は彼女を諭し、今後は大刀を見せるよう助言した。
巴への罰と弓の修練
巴がリミアの調査について尋ねると、真は逆に彼女の問いの内容に不審を抱いた。「僕が光った? 半裸になった? 老人だった?」と、次々と妙な質問を投げかける巴に、真の表情が険しくなった。そして、弓の修練を提案し、「巴、お前が的な」と告げた。
巴は慌てて逃れようとしたが、真の手は容赦なく彼女の肩を掴んでいた。「陽が昇るまで寝かせない」と言う真に、巴は悲鳴を上げた。その夜、屋敷には轟音と巴の叫び声が響き渡った。
澪と料理と勇者と
港町コランでの市場探索
港町の市場を歩く黒髪の女がいた。黒い長着と赤い帯を身にまとい、整った髪と切れ長の瞳が目を引くその姿は、町の荒々しい雰囲気とは対照的であった。彼女の名は澪。クズノハ商会の最強の従者の一人である。
真の命を受け、この町の調査という名目で訪れていたが、実際には「見物」に近いものであった。町はツィーゲよりも規模が小さく、物流拠点としての価値は低いが、海産物の豊富さでは圧倒的に勝っていた。しかし、澪の目的である昆布や鰹節に似た乾物は見当たらず、彼女は嘆息した。
澪の料理への情熱
かつては何でも喰らう悪食の大蜘蛛であった澪だが、今や食へのこだわりは凄まじいものとなっていた。ツィーゲの食堂を巡り、真に美味しい料理を教えることを喜びとしていたが、いつか紹介する店が尽きることに漠然とした不安を抱いていた。
そんな折、巴の助言により「自ら料理を作る」という発想に至った。最初は料理の手順すら知らず、オークの料理人や食堂の職人に学ぶ日々を過ごした。その結果、基本的な料理は再現できるようになったものの、和食の再現には決定的な食材が不足していた。特に昆布と鰹節は必要不可欠であり、澪はそれを求めて港町へと足を運んだ。
市場での情報収集と失望
市場を巡るも、乾物の種類は乏しかった。住民に尋ねても、「干物は作るが、魚は氷漬けで運ぶため、わざわざ乾燥させる文化はない」との答えばかりであった。さらに、昆布の存在すら知られていないことが判明し、澪は大いに落胆した。
市場を一回りした後、彼女は浜辺へと向かい、漁業関係者からさらに情報を得ようとした。しかし、そこで目にしたのは、海草が雑に放置されている光景であった。興味を引かれた澪は、それらを手に取り、食べ比べを始めた。「旨味が強く、乾燥部分はさらに風味が増している」と感想を述べ、持ち帰って検証しようと決めた。
突然の襲撃と銀狼の脅威
海草を選別していた澪に、突然の衝撃が襲った。背後から強い力で噛み付かれ、彼女の身体は海へと投げ出された。手にしていた海草は波にさらわれ、海へと消えた。
冷たい水の中で立ち上がる澪の肩には、銀色の狼が噛み付いたままぶら下がっていた。鋭い牙を突き立てながら、後ろ脚で彼女の体を蹴りつけ続けていた。しかし、澪は無傷であり、着物にもほとんど損傷はなかった。狼を片手で引き剥がすと、勢いよく海面に叩きつけた。
狼は立ち上がれないほどのダメージを受け、弱々しく澪を見つめるしかなかった。「死になさい、畜生」と冷酷な声で澪が扇子を振り上げる。
響の謝罪と澪の興味
扇子が振り下ろされる寸前、黒髪の少女が狼を抱えながら割り込み、転倒しながらも狼を守った。「ごめんなさい!」と叫ぶ少女は、狼が澪に襲いかかったことを詫びた。澪は手を止め、少女の次の言葉を待った。
少女は響と名乗り、「着物の修繕や治療をする」と申し出たが、澪は「怪我はないし、着物も直せるものではない」と冷たく返した。それでも謝罪を続ける響を見つめながら、澪はしばし考え、「私の仕事を手伝い、夕食を振る舞うなら許してあげてもいい」と条件を出した。響は即座に承諾し、取引が成立した。
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昆布との運命的な出会い
響が何気なく「昆布」という単語を口にした瞬間、澪の表情が一変した。「この中に昆布があるの!?」と詰め寄り、興奮しながら海草を握りしめた。響が指し示した海草を見つめ、「まさか……売っているどころか落ちているなんて……!」と驚愕した。
さらに、響が捨てられた方の海草を「ワカメ」と説明すると、澪は再び歓喜し、「これがワカメだったのか!」と叫んだ。そして、興奮のあまり響に勢いよく抱きついた。「澪さん、痛いです、磯臭いです! 離してーーー!!」という響の悲鳴が浜辺に響き渡った。
こうして、リミアの勇者・音無響とクズノハ商会の従者・澪は運命的な再会を果たした。
ツィーゲへの道中と澪の同行
響たち一行は、武器を求めてツィーゲへ向かっていた。本来は黄金街道を利用するはずだったが、事情により、船と転移を併用し、目立たぬルートを進んでいた。
道中、彼女たちは澪と出会い、同行を受け入れることになった。澪は異世界料理に興味を持ち、響から魚介類の調理法を学んでいたが、響が異世界人であることや勇者であることは知らなかった。響の一行はお忍びの旅であり、身分を公にすることは避けねばならなかった。特に、ステラ砦で仲間を喪った響は精神的に疲弊しており、従者たちは彼女が澪との交流を楽しめることを好意的に見ていた。
澪の正体への疑問
街道を進む中、響と澪は料理の話で盛り上がっていたが、魔術師ウーディが話に割り込んだ。彼は澪に「貴女は何者なのか」と問い、澪は冒険者であり商会の一員であり、料理に最も惹かれていると答えた。しかし、その経歴には不可解な点が多く、ウーディは違和感を抱いた。
さらにベルダが澪にパーティの有無を尋ねたが、彼女は自身のレベルと合う者がほとんどいないと説明した。唯一近いのは巴だったが、それでも組めるほどの差ではないという。そして、澪のレベルについて尋ねられると、「若様から他人にみだりにレベルを教えるなと命じられている」と答え、詳細を明かさなかった。
接近する魔物と戦闘の決断
街道を進む最中、澪は遠方の異変に気づいた。山脈の麓の森が揺れ、木々が舞い上がる光景を指し示し、何かがこちらに向かってきていると告げた。しかし、ウーディやチヤの感知魔法にはまだ反応がなかった。
澪は「変異した昆虫系の魔物が山を越えたのだろう」と推測し、響たちは戦う準備を整えた。響は「この魔物は災害の黒蜘蛛より強いか」と澪に尋ねたが、「蜘蛛の方が強いが、比較する意味はない」と返された。しかし、響はこの返答を誤解し、自ら戦うことを決断した。
勇者一行の苦戦と澪の介入
巨大な蟷螂のような魔物は、身の丈三メートルを超え、両手の大鎌を振るいながら響たちに襲いかかった。ベルダは一撃目を剣で受け流したが、武器が大きく傷み、次の攻撃に対応できなかった。
澪は即座に危険を察知し、「避けなさい!」と叫んだが、ベルダはその意味を理解せず、次の一撃で剣を真っ二つにされ、鎧ごと裂かれた。致命傷を負ったベルダをチヤが回復する間、響は「澪さん、お願いします!」と助けを求めた。
この時点で戦闘はまだ続行可能であったが、響は仲間を失う恐怖から撤退を決意していた。澪は失望しながらも素早く介入し、扇子で魔物の鎌を弾き返し、一閃でその体を両断した。
魔物の執念と澪の怒り
倒れたはずの魔物は、羽を使って再び襲いかかってきた。澪は背後から何度も攻撃を受けながらも、表情を変えず、「着物、ほつれてないかしら?」と響に尋ねた。
響とチヤは驚きながら「ズタズタ」と答えた。怒りを爆発させた澪は魔物の鎌を素手で受け止め、その腕を根元から引きちぎった。さらに闇の力を操り、魔物の両腕を奪い、最終的にはその体を完全に消滅させた。
戦闘が終わると、澪は「私が油断していたばかりに」と呟きながら、着物の損傷を嘆いた。
ツィーゲへの帰還と新たな計画
澪は響たちの意識を奪い、ツィーゲへ連れ帰った。その後、響たちは宿でベルダの回復に専念し、数日後、澪の待つクズノハ商会出張所を訪れた。
そこで澪は「響、もうお仲間の具合は良いようだけど、時間は取れます?」と問いかけた。響は「魔物との戦いの件でしょうか?」と不安げに尋ねたが、澪は「別にそれは構いません」と一蹴し、「私が貴女に用があったのは料理の話。海の物や乾物から出汁を取る方法を聞いていませんもの」と述べた。
この返答に響は愕然とし、「それだけなんですか?」と問い返したが、澪は「優れた料理法を知っているなら死なせるに惜しい。ただそれだけ」と冷静に答えた。
響たちの修行計画
ウーディは「ここに来た目的は修行と武具の調達。無駄な時間は使えない」と反論したが、澪は「レベルが高いだけでは荒野では生き延びられない」と一蹴した。
響は「私たちは強くならないと!」と訴えたが、澪は「急ぐ理由でもあるの?」と疑問を呈した。このままでは響たちが危険だと判断したエルダードワーフの職人ベレンが提案を出した。
響が澪に料理を教える代わりに、商会が武具を都合し、代金は後払いで良いというものだった。さらに、武具が完成する三日間は修行期間とし、その後も夜は料理を教える時間を確保する案であった。
響たちはこの提案を受け入れ、こうして、リミアの勇者は辺境で再始動することとなった。
冒険者としての成長
響は数ヶ月にわたり、澪の紹介でトアの冒険者パーティと共に行動し、実戦経験を積んだ。トアはスピードを武器とする冒険者で、響とは異なり虚を突く戦法を得意としていた。手合わせでは響が惨敗し、これまでヒューマンに負けたことがなかった彼女にとって衝撃的な経験となった。
さらに、澪との手合わせでも全く歯が立たなかった。加えて、夜更けに結界をすり抜けて侵入した澪に捕らえられ、無理やり料理を教えさせられるという出来事もあった。響がうろ覚えながらも煮干や昆布から出汁を取る方法を教えると、澪は子供のように瞳を輝かせた。響は次第にトラウマを克服し、澪に依存しつつあった。
ツィーゲでの最後の夜
リミアから帰還命令が届き、響たちにとってツィーゲで過ごす最後の夜が訪れた。最初こそクズノハ商会に優遇されていることで白眼視されていたが、トアたちとの交流や荒野での経験、響の持つ生来の人を惹きつける気質が影響し、次第に辺境の冒険者たちにも受け入れられていった。そのため、響たちの送別会は盛大に催され、多くの冒険者が別れを惜しんだ。一部の者は響たちと共にリミアへ向かい、戦う意志を示した。
ベルダとウーディは酔い潰れ、どこかへ姿を消した。チヤはトアの妹であるリノンと意気投合し、宴会後は仲良く同じベッドで休んでいた。一方、響は宴会の喧騒を離れ、街の外壁に登っていた。
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澪への感謝と別れの言葉
外壁の上で響は澪を呼び出し、感謝を伝えた。「コランで貴女に出会えなければ、私たちは生きていなかった」と深く頭を下げた。澪は淡々と「私にも目的があったのだから、お礼を言われるほどのことでもない」と答えた。
また、響はエルダードワーフのベレンによって仕上げられた剣についても感謝を述べた。当初、工房で見た刀に心惹かれたが、ベレンに「お前には合わない」と一蹴された。その言葉を受け入れ、最終的に自分の剣技に適した特注の剣を手に入れた。しかし、その性能を完全に引き出せておらず、課題を残したままツィーゲを去ることに悔しさを覚えていた。
澪は「今の貴女なら、ここに留まらずとも十分な修練ができる」とし、「その程度の玩具、さっさと使いこなしてみせること」と鼓舞した。
響の誘いと澪の拒絶
響は意を決し、澪に「私たちと一緒に来てくれませんか?」と問いかけた。彼女の願いは、澪の力が必要だからというものだった。しかし、澪は即答で拒否し、「私は若様がいますから」と断った。響は「若様も一緒に来てくれればいい」と譲歩を試みたが、「それも駄目です」と返された。
最後に響は「たとえば、私の願いが世界に関わることで、澪さんの大事な若様も巻き込まれるかもしれない状況だったとしても、貴女の力を貸してくれませんか?」と問うた。しかし、澪は「私は世界などどうでもいいのです」と一蹴し、「若様がどうにかできない事態などありえません」と述べた。
響は澪の答えを聞き、彼女を説得するのは不可能だと悟った。「澪さんがここまで惚れ込んでいる若様って一体……?」と疑問を抱きつつも、「絶対」と言い切った澪に対し、「見事に振られちゃいましたね」と苦笑した。
最後の約束
響は澪に「いつかリミアにも来てください」と告げ、「そのときはもう少しレシピを思い出しておきます」と付け加えた。澪は「今夜初めての魅力的なお話」と応じ、その場での会話を終えた。
響は深く一礼し、夜の闇へと消えた。こうして、響と澪の奇妙な再会は幕を閉じた。
アニメ
PV
OP
ED
同シリーズ
小説版 月が導く異世界道中 シリーズ
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漫画版 月が導く異世界道中 シリーズ
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その他フィクション
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