どんな本?
『わたしの幸せな結婚』は、顎木あくみ 氏による日本の小説で、富士見L文庫(KADOKAWA)から2019年1月から刊行されている。
物語は大正時代を舞台に、名家に生まれながらも継母と義母妹に虐げられて育った主人公・美世が、冷酷無慈悲と噂の若き軍人・清霞との婚約者となり、彼との生活を通じて少しずつ心を通わせていく様子を描いている。
この物語は、美世が愛されて幸せになるまでの過程を描いており、美世が清霞との関係を深めていく中で、自身の立場や感情について考え直す機会を得る。
また、物語は美世の視点から描かれ、彼女の内面的な変化や成長が詳細に描写されている。
なお、この作品はメディアミックスとして展開されており、高坂りと 氏によるコミカライズがガンガンONLINEで連載され、映画化やアニメ化もされている。
読むきっかけは、2023年7月にアニメ化することは知っていたが、、
タイトルでは全く興味を持っていなかったが、当時読んだ「「若者の読書離れ」というウソ」という本を読み。
人気の作品であり、異能の力がある大正ロマンスだと知り購入して読んでみた。
毒親に育児放棄され虐待されていた美世が、異能最強と呼ばれる久堂清霞の妻となるシンデレラストリー。
美世の母、澄美の誕生から始まる帝の陰謀。 そのせいで不幸になった澄美と美世母子。
澄美が早逝したので元恋人と再婚して、美世を放置した父親。 亡くなった前妻の遺児の美世を疎んじて虐待した継母。 そんな親を見て姉の美世を虐待していた異母妹。 美世の血筋だけに興味を持ち、彼女を手に入れようとした辰石の当主。 そして今巻では美世を家族として可愛がる、淑女教育を担当する義姉が出て来て、美世も幸せになるかと思ったら、、
美世の夢見の異能が暴走して美世は寝不足となってしまい、無理に淑女教育もしていたせいでドンドン痩せ細ってしまった。
清霞もオクツキの霊が暴れているせいで多忙を極めており、2人はすれ違ってしまう。
そして、鶴木新が現れ美世を賭けて清霞と決闘して美世を奪って行ってしまう。
そしてそれを企画したのも帝だった。
そんな帝もザマァされる。 因果応報な第二巻。 堪能させていただきました。
読んだ本のタイトル
#わたしの幸せな結婚 2
著者:#顎木あくみ 氏
イラスト:#月岡月穂 氏
あらすじ・内容
ただ居場所が欲しいんじゃない。旦那さまのそばだけがいい――。
清霞の婚約者として勉強もはじめ、穏やかな日常が訪れたかと思った。けれど美世は夜ごと悪夢に襲われ、だんだん衰弱していく。それがきっかけで、美世と清霞はすれ違い、美世は家を出ることに――。
わたしの幸せな結婚 二
小説 PV
アニメ PV
映画 PV
新キャラ
新キャラは久堂清霞の姉。
久堂葉月。 顔は清霞と似ているが、雰囲気は女性らしく女性らしい。 一度、大海家に嫁いだらしいが離婚して久堂家に戻って来た。 令嬢として全く教育されていなかった美世に、上流階級の淑女としての教育係となる。
自身とは真逆な性格の義妹を溺愛する。
鶴木新 美世の母方の従兄弟。 表の役職は鶴木貿易の相談役。 裏では薄刃家の当主。 帝から美世を清霞から奪えと命じられ、清霞と決闘して勝利し美世を薄刃家に連れ帰る。
感想
帝から恐れられた薄刃の一族。 母の澄美が精神堪能能力を持っていたことで、次世代には帝が恐れている異能「夢見」が発現する可能性が出てきた。
それを潰すため、帝は薄刃家の生活基盤を権力で壊し、彼らを貧困に追い込む。 そして、強い異能能力が発現しなくなって没落している斎森家に金を渡し、資金援助と交換に澄美を嫁がせろと言わせて、澄美を不遇に追い込み、美世が産まれて2年後に早逝させてしまう。
その後、父親は元恋人と再婚して妹の香耶が誕生。 そして、澄美の遺児である美世を継母は虐待し、父親と使用人は見て見ぬふりをする。
虐待の原因は、薄刃の「夢見」を恐れた帝が、夢見の異能を発現する前の精神感応の力を持つ澄美から「夢見」の異能を持つ者を産ませないため。 しかし、美世は「夢見」の異能を持って産まれてしまった。
娘の異能を危険視した澄美は、美世の異能を封印してしまった。 そのおかげで帝は美世から興味を失ったが、、 異能者が産まれることを期待していた父親は、澄美を責め早死にさせ、美世には無関心になってしまった。
斎森家は辰石前当主の暴走で没落し、辰石家は家督を長男に譲って久堂家の傘下に入る。
そして、美世は久堂家に戻る。 それから淑女となる勉強をしたいと言う美世に清霞は、家で暇をしている葉月を呼び寄せて美世の淑女教育の教師にする。
そして、自身の義妹になる美世と会ったら思いっきり気に入り、美世を溺愛する。
そうして淑女教育を頑張る美世だったが、彼女の夢見の能力が彼女に悪夢を見せる。
おかげで美世は睡眠不足となり、淑女教育を受けながら段々とやつれていってしまった。 そして、街で淑女としての実習をしていたら暑さにフラついてしまい。
偶然通りかかった鶴木新に支えられてしまう。
そんな美世はその後もどんどん体調を崩していたが、清霞もオクツキの霊が暴れ周り色々と世間を騒がせており、多忙を極めていた。
さらに後日、鶴木新が清霞を訪ねて久堂家に訪問してきたが、その時の美世は限界に近かった。
それを見た新は、屯所にいる清霞を訪問し彼に婚約者の扱いがひどいと言う。
そして疲労困憊になった状態で帰ってきた清霞は、痩せ細り目の下に隈があることを発見して彼女になぜこんな体調不良になってまで我慢すると言う。
こんなになってしまうなら淑女教育をさせなければ良かったと言ってしまう。
それを聞いた美世は、あまりな物言いに愕然とし、「酷い」と言った後に体調不良が祟って気絶してしまった。
その後、ギクシャクした関係になった2人は鶴木貿易へ訪問して新と面談し、判明する鶴木=薄刃家という事実。
美世の異能が暴走しており、美世を苦しませているらしく、彼女を苦しめる異能のコントロールを聞こうとしたのだが、新は美世を薄刃家に残して帰れと言う。
それを拒否したら決闘だと言われ、清霞は新に負けてしまった。
そして負けて帰ってきた清霞は呆然としていたら姉の葉月が来て、清霞に美世を迎えに行けと発破をかける。
しかし、清霞の前に屯所の五道から緊急事態だと連絡が来る。
清霞は苦虫を噛み潰すように任務を優先するが、葉月はサッサと仕事を終わらせて美世を迎えに行けと言って清霞を送り出す。
そして、美世は薄刃家の結界の中で夢見の暴走が治り、普通に生活できるようになったが、何もやることがない。
そんな美世に新は薄刃の力の話をする。
薄刃家は異能者を殺す異能を持ち、異形の者を相手にするような異能ではない。
つまり、美世が無能だと言われていたのは、異形を相手とする斎森家にとっての話であって、異能者を殺す薄刃家には当たり前のことだった。
そんな異能だと調べようともせずにいた斎森家の連中の至らなさが浮き上がる。
そして、このままだと新は美世の伴侶になるとも言ってくる。
それでも薄刃家に馴染めない美世だったが、そんな彼女に清霞が異形にやられて昏睡していると知らされる。
そして、新に懇願して美世は清霞の所に行き、清霞を救い彼の元へ戻る。
そして淑女教育の本番、パーティーへの出席。
美世は清霞の幼馴染であり、帝の2番目の子の堯人から事の真相を知らされる。
美世の血筋をめぐる騒動は、帝の軟禁という結果で決着がつく。
最後までお読み頂きありがとうございます。
同シリーズ
その他フィクション
備忘録
序章
陰謀と決意の炎
炎天下での出会いと新の心情
夏の厳しい日差しの下、帝都の舗装道に立つ新は、目の前に現れた斎森美世を見ていた。美世は、白い日傘を差し、青ざめた顔をしている若い女性で、新の目的の人物であった。彼女が倒れそうになった瞬間、新は本能的に彼女を支えた。彼女の弱々しい姿に、微かな同情と共に、守るべき存在としての価値を感じていた。
帝国の老いた王の葛藤
一方、帝国の王は、豪奢な装飾が施された部屋で孤独に横たわっていた。かつて周囲に人が溢れていた彼は、今では孤独であり、状況を嘆いていた。そのとき、部屋に一人の青年が訪れ、例の許可を求めた。王はその青年に対し、慎重に言葉を選ぶように忠告しつつも、行動の許可を与えた。
王の不屈の決意
王は、自身の血統を守るための行動を決して諦めなかった。彼の血が脅かされることなく受け継がれるために、そして脅威を排除するため、王は冷徹な決意を固めていた。侍従を呼び出し、「オクツキ」の霊たちを里へ誘導し、美世の異能を消し去る計画を命じた。彼は、息子が治める未来にその異能が不要であると信じ、深い眠りへと沈んでいった。
一章 悪夢と不穏な影と
夏の日の訪問者と新たな学び
暑さの中での二人の時間
夏の暑さが増す中、斎森美世は洗濯を終えて、ひと息ついた。婚約者・久堂清霞と暮らすこの家は、郊外の自然に囲まれた庶民的な住まいである。日陰で休む美世は、庭先で素振りをする清霞を見て、彼の凛々しさに見惚れていたが、すぐに気を引き締めて水と手ぬぐいを持っていった。清霞が彼女の体調を気にするたび、美世は胸が高鳴る自分に戸惑いつつも、互いの気遣いに心を温めていた。
突然の来訪者
数分後、玄関に現れたのは清霞の姉・久堂葉月であった。葉月は美世の名前を聞くなり近づき、親しげに自己紹介をした。美世が戸惑いながらも挨拶すると、葉月は快活な笑顔を浮かべ、妹のように彼女に接した。葉月は、清霞から頼まれて美世に淑女教育を施すことを伝え、美世は思いがけない展開に驚きながらも期待を抱いた。
美世の決意と清霞の応援
騒動を経て平穏な生活が戻ったが、平穏な日々に満足する一方で、美世は自らの未熟さに焦りを感じていた。久堂家の妻としてふさわしい存在になりたいという思いから、淑女としての教育を受けたいと清霞に申し出た。彼は美世の負担を気遣い悩んだものの、最終的に姉・葉月を呼ぶことを決めた。
葉月との勉強の開始
葉月は、美世を立派な貴婦人にするという意気込みで教育を始めた。彼女はまず、努力を続けるための目標を定める必要があるとし、二か月後のパーティーに参加することを提案した。初めての経験に緊張する美世であったが、清霞の励ましもあり、思い切って参加する決意を固めた。
新たな家族との距離
葉月との会話の中で、美世は彼女から「お義姉さん」と呼ぶことを提案されたが、過去の記憶が重なり、呼び名を口にすることを躊躇った。それでも、葉月の配慮に心を温め、少しずつ彼女との距離を縮めていった。
悪夢と清霞の優しさ
夜になると、美世は実家での辛い経験を思い出させる悪夢に悩まされ続けていた。その度に清霞は彼女の元に訪れ、そっと手を握り、安らぎを与え続けた。美世は彼の存在に支えられながらも、再び前へ進むため、学びの道を歩み始めていた。
異能者たちの集う場での警告と対策
大海渡少将の訪問と禁域の異変
帝都の対異特務小隊の屯所で、久堂清霞は書類処理に追われていた。そこへ腹心の部下である五道が、大海渡少将の来訪を告げる。清霞は応接室で少将と対面し、予想外の報告を受けた。異能者の魂を封じた「オクツキ」が何者かに荒らされたのだ。異能者の霊が封印を逃れた場合、甚大な被害が発生する可能性があり、清霞は部隊に警戒を指示する決意を固めた。
帝宮への訪問と辰石家当主・一志の同行
清霞は大海渡少将と共に、皇居である宮城へ向かった。途中、大海渡は清霞の婚約について触れるが、清霞は適切な相手と結ばれただけと冷静に答えた。その後、二人は新当主の辰石一志と合流するが、派手な服装で現れた彼に清霞は困惑しつつも、最低限の礼儀を保つよう叱責した。三人は厳かな雰囲気の中、宮殿の最奥部にいる堯人皇子との謁見に臨んだ。
皇子・堯人からの警告
堯人皇子は、辰石家が再び帝に仕えることを許し、清霞と大海渡に今回の禁域での事件について忠告した。天啓によれば、これから危険な戦いが待ち受けており、清霞たちは厳しい試練に備える必要がある。堯人は清霞の婚約にも触れ、「これから大変なことが待っている」と述べつつ、清霞ならば乗り越えられるだろうと信頼を示した。
対応の決意
堯人からの言葉を受け、清霞たちは謁見を終えた。異能者の霊が目覚めたことで危機が迫っている今、清霞とその仲間たちは、未来に起こり得る災難に備え、決意を新たに宮を後にした。
二章 栗色の髪の彼
厳しい指導と美世の悪夢
葉月による厳格な指導と姿勢矯正
葉月は定期的に美世に礼儀作法を指導し、背筋を伸ばすようにと姿勢矯正を厳しく教えた。美世は家の廊下で歩き方を練習し、特に他者と会話する際に自信を持つことが求められていた。葉月の助言を忠実に守り、自己確認のために姿見も導入し、日々の努力を重ねた。
会話術と食事のマナー
葉月は美世に対し、社交場での会話術や食事の基本的なマナーも指導した。軽食でのグラスやカトラリーの扱い方に関する注意点や、他人と話す際の笑顔の作り方まで、細かい指導が行われた。美世は帳面に指導内容を記し、夜間の復習でその内容を頭に刻んでいったが、悪夢の影響で睡眠時間はさらに減少していった。
街での実践と体調不良
ある日、葉月とゆり江と共に美世は街で実習を行い、外での挨拶や礼儀を試す機会を得た。しかし、悪夢による睡眠不足のために体調が悪化しており、移動中にも意識が遠のきかけた。最終的に美世は転倒しかけ、通りがかった青年に助けられた。葉月とゆり江は美世の無理を心配し、彼女の体調を気遣った。
宮内省からの特務小隊派遣とオクツキ事件
宮内省からの特務派遣とオクツキの状況
清霞の元には宮内省から派遣された鶴木新が訪れ、異能者の墓地「オクツキ」が荒らされ、霊魂が解放された件について伝えられた。宮内省では回収を試みたが、霊魂の一部が未回収であり、事態は深刻であった。清霞は対処のために異能の使用許可を得て、対応に臨む決意を示した。
鶴木新の立場と微妙な態度
鶴木は宮内省の職員ではなく、貿易会社の御曹司で交渉人として派遣された。清霞は新の言動に微妙な不信感を抱きつつも、対オクツキ任務への協力を了承した。新は去り際に含みのある言葉を残し、清霞にさらなる疑念を抱かせた。
薄刃家の調査と鶴木家の関連性
薄刃家の情報調査と新たな繋がり
美世の悪夢に苦しむ様子を見かねた清霞は、彼女の母・薄刃澄美に関する調査を依頼し、薄刃家との接触を目指した。しかし調査は難航し、有力な手がかりは得られなかった。そんな中、鶴木家との間に薄刃家との関係がある可能性を見出した清霞は、偶然なのか意図的なのかを確かめるため、更なる調査を決意した。
美世の体調悪化と葉月の指導
体調管理への叱責と指導の緩和
街中で倒れかけた日以降、美世の体調悪化が続いた。悪夢に悩まされる日々が続き、睡眠不足の影響で集中力を欠くことも多くなった。葉月の指導は少し緩められたが、美世の疲労は増していた。
料理のひとときと葉月の家庭事情
昼食には美世が作った茶漬けを共にし、葉月とゆり江が美世の料理の腕前を称賛した。葉月は料理が得意ではないと語り、自身の過去についても触れた。彼女は若くして政略結婚を経験し、失敗した経緯を美世に話した。家事の重要性と、自らの過去の後悔を述べ、美世に対し尊敬の念を表した。
自分の将来についての不安
葉月の話を聞いた美世は、自分にとって「家族」とは何かを考え始めた。美世には実体験が乏しく、家族としての役割や理想的な妻像について理解が追いついていなかった。この会話を通じて、自分の将来と家庭生活に対する漠然とした不安を抱くようになった。
清霞との心の交流
清霞への思いやり
夜、清霞が外で疲れた様子でいるのを見て、美世は麦茶と漬物を準備し、彼のそばに座った。彼の忙しさに対し、「自分は大丈夫」と励まそうとしたが、清霞は「困っていることはないか」と尋ね、寂しさを隠さず本心を打ち明けるよう促した。
初めての本音
清霞の励ましにより、美世はついに「寂しい」と素直に言葉にした。清霞はそんな美世をやさしく受け止め、彼女の本心を尊重する姿勢を示した。美世は彼に寄りかかるように求められ、わずかな安心を得た。
鶴木新の訪問とその提案
鶴木新との再会
数日後、清霞不在の家に街で美世を助けた青年、鶴木新が訪ねてきた。新は清霞の婚約者である美世の体調を気遣い、清霞への不満を口にしたが、美世はそれに対して反発した。彼の言葉に対し、家事の修得を自分の意思で行っていると美世は主張した。
新からの謎の提案
美世が新を見送ろうとすると、新は美世に「あなたにだけの役割を与えられる」と耳元で囁き、意味深な言葉を残して立ち去った。この発言に美世は困惑し、しばらくその意図を考え続けることとなった。
清霞との再確認
清霞の帰宅と対峙
新が去った後、美世は彼の言葉に影響されつつも、清霞や周囲の人々にとって役立つ存在でありたいと改めて感じた。その思いを胸に、美世は家族や愛情の温もりを求めつつも、自分にとって何が本当に大切なのかを少しずつ見つめ直し始めた。
三章 薄刃家へ
清霞と鶴木新の対話
清霞と新の遅刻に関する対話
清霞は、打ち合わせに遅れてきた鶴木新を叱責したが、新は悪びれず、自宅に伺ったため遅れたと説明した。清霞は、美世が新と過去に会っていたことや、美世の体調の悪さについて聞き、不安を抱くようになった。
美世の体調悪化への指摘
新は美世がひどく体調を崩していることを指摘し、婚約者として清霞が彼女を支えるべきだと主張した。清霞はこれを聞き、仕事にかまけて美世の不調に気付けなかったことを自覚し、自責の念を抱いた。
清霞と美世の対話
疲労と苛立ちによる口論
帰宅後、清霞は台所で働く美世に対し、彼女の体調悪化の原因を問うた。美世は清霞に負担をかけたくないと答えるが、清霞は「勉強の機会を与えるべきではなかった」と口走ってしまい、美世を傷つけた。
美世の失神と清霞の後悔
清霞の言葉により、美世はショックで失神し、清霞は自分の失言を深く後悔した。美世を傷つけたと気づいた清霞は、彼女のために行動することを決意した。
鶴木貿易での真実の発覚
薄刃家との再会と真実の告白
清霞と美世は鶴木貿易に赴き、薄刃家の当主・義浪と対面した。彼は美世が薄刃家の異能「夢見の力」を持つことを明かし、薄刃家に引き渡すよう清霞に要求した。清霞は美世の意思を尊重しつつ、彼女を渡すことを拒んだ。
清霞と新の対決
美世を巡る勝負
新は美世を巡る清霞との決闘を提案し、清霞はこれを受け入れた。決闘は異能と武器を使った激しい戦いとなり、新の強力な異能により清霞は負傷した。美世は清霞の苦しむ姿に責任を感じ、後悔の念に駆られた。
美世の引き渡し
薄刃家による美世の引き取り
最終的に、新は清霞に勝利し、美世を薄刃家が保護することが決まった。美世は涙ながらに清霞に別れを告げ、清霞の呼びかけにも答えられず、薄刃家に連れ去られていった。
清霞の敗北と孤独
薄刃家から追い出された清霞
薄刃家の結界によって強制的に追い出された清霞は、ほとんど放心状態で帰宅した。人の気配がなく冷たく感じる家で、過去の戦いの光景が何度も頭に浮かび、自らの敗北を悔やんだ。彼は美世を守れなかった自分を責め、深い後悔に包まれた。
葉月との対話
その後、勉強のために訪れた姉・葉月が清霞の状態を目にし、彼を叱責した。清霞は葉月に淡々と事実だけを話したが、彼女は清霞を強く非難し、すぐに美世を迎えに行くよう命じた。清霞は勝負に負けたため、美世を連れ戻す資格がないと語ったが、葉月は美世の気持ちを理解しない愚かな弟を非難し、再び迎えに行くよう促した。
五道からの緊急連絡
そのとき、五道からの緊急の連絡が入り、清霞は緊急事態に対応するため出動を決意した。彼は仕事を優先せざるを得ない自分を「冷たい」と思いつつも、仕事を全うしてから再び美世を取り戻すと決意し、葉月に見送られて出発した。
美世の薄刃家での日々
薄刃家での孤独な生活
薄刃家での生活は美世にとって馴染みのないもので、与えられた洋室や食事、巫女装束に慣れることができなかった。家事をすることも許されず、ただ時が過ぎるまま、静かに生活していた。新が美世の世話を焼くが、美世は彼の親切に違和感を抱きつつも、清霞への後悔の念を募らせていた。
新との対話
ある日、新は美世と薄刃家の「役目」について語った。彼は美世に、自分が美世を守り、支えることを望んでいると伝え、結婚を前提とした伴侶として一緒に薄刃家の役割を果たすように求めた。美世はその提案に驚きつつも、清霞と再び会ってやり直したいと強く願っていた。
美世の後悔と自嘲
美世は清霞に対して「どちらでも構わない」と返事をした自分の言葉を悔やんでいた。彼女は自らの選択の愚かさを痛感し、自業自得だと自嘲したものの、清霞と再び会う望みを捨てきれずに胸の中で葛藤していた。
新の葛藤と薄刃家の虚無感
新の役割への渇望
新は、美世の部屋を去り、薄刃家の異能者としての役割を果たしたいという強い願望を改めて感じていた。虚無感に包まれたこの家は、自分のように空っぽだと彼は感じており、その空虚さを埋めるために美世の存在にすがろうとした。彼女が自分にとって「役割」と「満たされる未来」をもたらす可能性があることを実感し、冷静さを取り戻しながらも心に熱を抱え、会社へ向かった。
美世と義浪の対話
義浪との初対面と家族の定義
義浪は、美世の部屋を訪れ、彼女に家族として頼ってほしいと語った。美世はこれまで家族とは無縁で育ち、斎森家で虐げられていた経験から、本当の家族の意味を理解できずにいた。義浪の「家族はお互いの重荷を分け合うものだ」という言葉に触れ、彼女は家族の温かさを少しずつ理解し始め、涙を流して感謝の気持ちを伝えた。
清霞の危機と美世の決意
清霞の負傷と美世の衝撃
新と義浪の会話を偶然耳にした美世は、清霞が任務中に負傷し、意識不明となったことを知った。美世はその場で絶望に打ちひしがれつつも、悪夢から覚めることを願い、彼が無事であると信じた。意を決して、清霞のもとへ駆けつけようと家を飛び出す決意を固めた。
美世と新の決断
新の助けと薄刃家の掟
新は、美世が清霞のもとへ行くことを懇願する様子に心を動かされ、自らも共に行くことを決意した。帝との取引によって美世を薄刃家に留め置く命令があったが、新はそれを破り、美世と共に清霞のもとへ向かう覚悟を固めた。義浪も二人の決断を支持し、家族として美世と新の行動を応援することを伝えた。こうして二人は、互いに支え合いながら薄刃家を後にし、清霞のもとへ向かって駆け出した。
四章 暗闇の中の光
美世と新の急行
清霞の容態を確かめるための急行
清霞の意識不明を知り、焦る美世は新の運転する鶴木貿易の自動車で清霞の家へ向かった。新は美世を励まし、清霞の強さを信じるように諭した。車内で祈る美世は、清霞が無事であることを切に願い続けた。
清霞の部下との遭遇と状況の混乱
五道と辰石の争い
家に着くと、中から大きな音が聞こえ、五道と辰石が激しく言い争っていた。辰石は清霞の回復に無力であることを冷静に伝えたが、五道は怒りを爆発させて彼を詰め寄った。美世と新は二人を避けて清霞の部屋へ向かった。
清霞の生存確認と葉月との再会
清霞との再会と葉月の慰め
美世は清霞の冷たい手を握り、微かに脈を感じることで生存を確認した。安堵し涙を流す美世を、葉月が優しく抱きしめ、信じていたと励ました。美世は自分を信じなかった過ちを悔いながら、再び彼への愛情を深めた。
新の提案と夢見の異能
新による異能の使用提案
新は美世に清霞を目覚めさせる可能性を提案した。そのためには、美世が夢見の異能を発揮する必要があると説明し、従兄として彼女を支える意思を示した。美世は新の助けを受け、清霞を救うために異能を試みることを決意した。
夢見の異能と清霞の夢の中
美世の魂が清霞の中へ
美世は新の指導のもと、夢見の異能で清霞の中に入り、彼を探し出すことに成功した。異形たちに囲まれ、戦い続ける清霞に再会した美世は、彼の孤独を癒し、共に元の世界へ戻る方法を模索した。
清霞との戦いの終息
美世の異能による霊たちの消滅
美世は清霞の手を握り、「消えて」と強く念じることで霊たちを一瞬で消し去った。彼女の夢見の異能が発動し、清霞は驚きながらも美世の成長を実感した。清霞もまた、美世の存在が自身の救いであることを再認識し、二人は互いの想いを再確認した。
再会の喜びと謝罪
清霞と美世の再会と謝罪
美世は清霞と再び会えた安堵を胸に、彼に向き合った。二人で手を繋いで静かな夜道を歩き、過去の出来事を振り返りながら謝罪を交わした。美世は清霞に「許されるなら共にいたい」と心から願いを打ち明けた。清霞もまた「戻ってきてほしい」と答え、二人は再び強い絆で結ばれた。
現実世界への帰還と仲直り
美世の目覚めと清霞との安堵の抱擁
目を覚ました美世は、清霞がまだ完全に回復していないながらも無事であることを知り、涙を流して喜んだ。清霞はそんな美世を優しく抱きしめ、安心させた。二人の絆が深まり、寄り添う姿に葉月やゆり江も温かく見守った。
新との別れ
新の役目の終わりと別れの言葉
新は役目を終えたことを告げ、静かに美世たちのもとを去ろうとした。美世は感謝を述べ、罰を受けることになった場合は知らせてほしいと約束した。清霞も新に「再戦を申し込む」と声をかけ、新は笑顔で応じながら、薄刃家を後にした。
五章 真実を知るパーティー
秋のパーティーへの準備
美世の着付けと周囲の称賛
八月が終わり、九月の残暑の中、久堂家では美世の準備が進んでいた。美世は紅色の振袖を纏い、葉月や桂子、ゆり江の手を借りて着付けを完了した。周囲の年上女性たちは美世の美しさを称賛し、成人としての凛々しさと華やかさに感嘆の声を上げた。
清霞との再会と出発
準備が整った美世は、軍服姿で待つ清霞のもとに向かった。清霞は美世の美しさに息を吞み、彼女を称賛した。さらに清霞の手を取って立ち去る際、美世は清霞の格好良さを素直に褒めた。照れながらも二人は自動車に乗り込み、会場へと向かった。
パーティー会場での緊張
会場到着と葉月の励まし
到着した会場の豪華さに圧倒されつつも、葉月からの励ましを受けて美世は気持ちを落ち着かせた。葉月から「義姉さん」と呼ばれた葉月は微笑み、嬉しそうな様子を見せた。
五道との再会
五道が現れ、美世の美しさを称賛しつつ清霞をからかった。五道との軽口のやり取りを経て、美世は緊張を解きほぐし、大海渡少将に挨拶する準備を整えた。
大海渡少将との出会い
大海渡少将との初対面
大海渡少将に紹介された美世は、丁寧に挨拶をし、彼からも親しみのある言葉をかけられた。さらに息子である旭も紹介され、美世は子供らしい旭の姿に和んだ。
葉月と旭の関係の発覚
旭と葉月の再会
旭が「母さま」と呼び、葉月に駆け寄る姿を見て、美世は彼女が旭の母であることを理解した。葉月と大海渡少将が元夫婦であると知りつつも、彼らが良好な家族関係を築いている様子を目の当たりにし、美世は家族の絆の強さに感銘を受けた。
家族の絆の大切さ
家族の形と絆の深さに感動
大海渡少将、葉月、旭の三人が特別な家族の形を築いている姿を見て、美世は家族の絆が簡単には壊れないものであることを実感した。その温かな絆を目の当たりにした美世は、胸に温かい感情が込み上げ、幸せを感じた。
パーティーの盛況と美世の適応
パーティーの楽しみと雰囲気への順応
パーティーが盛り上がりを見せ、招待客が陽気に談笑する中で、美世も葉月や清霞と共に場の雰囲気に徐々に馴染んでいった。慣れるにつれ、会話を楽しむ余裕も生まれたものの、知らない男性から声をかけられることが多く、対応に戸惑う場面もあった。
清霞との再会と移動
清霞が再び美世の元に戻り、二人は葉月からの許可を得て会場を後にした。清霞は「詳しい話を知っている人物に会いに行く」と美世に告げ、二人は建物の裏手のテラスへと進んだ。
堯人皇子との邂逅
堯人皇子との初対面
テラスには、堯人皇子が待っていた。清霞に「帝の二番目のご子息で、天啓の能力を持つ堯人皇子である」と紹介され、驚きと緊張の中で美世は初対面の挨拶をした。堯人皇子は、形式ばらないようにと美世に安心感を与えようとした。
帝の恐怖と薄刃家への干渉
堯人皇子は、父である帝が「夢見の異能」を恐れ、薄刃家を抑え込もうとしていたことを語った。帝は薄刃家の異能が脅威と感じ、澄美を斎森家に嫁がせるために資金を斎森家に提供し、薄刃家の力を弱めようと画策していたのだという。
薄刃家と斎森家への影響
斎森家と帝の関係
堯人皇子は、帝が斎森家を利用し、薄刃家の力を削ごうとしていたことを明らかにした。斎森家はこの計画を受け入れ、澄美を取り込み、資金を得ることで斎森家の財政を強化した。帝の思惑により、美世は無能と誤解され、薄刃家と斎森家の複雑な運命が交差することとなった。
美世と清霞への影響
帝が計画したオクツキの解放は、清霞を危険に晒し、薄刃家と久堂家の対立を煽ろうとするものであった。しかし、美世と清霞の努力により、帝の計画は崩れ去ることとなった。
堯人皇子の告白と未来への示唆
天啓の喪失と堯人皇子の決意
堯人皇子は、帝が天啓を失い、病に伏していることを告白し、今後は堯人がその役割を引き継ぐことを明かした。彼は帝の私利私欲に対する怒りをあらわにし、薄刃家や久堂家に対する不当な干渉を終わらせる決意を固めていた。
美世への約束と堯人皇子の退場
美世が薄刃家や従兄への罰を心配する中、堯人皇子は彼らを罪に問わないことを約束した。彼は帝に代わり、今後の安定を守る役割を果たすと述べ、会話を終えてテラスを去った。堯人皇子の離別の挨拶に、美世と清霞は深く礼をして別れを告げた。
終章
日常の朝食と美世の成長
朝の準備と清霞への気配り
美世は、焼きたての鯖や炊きたての白米、味噌汁と共に朝食を用意し、居間へ運んだ。ゆり江が休みの日であり、美世が一人で準備をすることが増えていた。清霞は新聞を読みながら、朝食の準備を喜び、美世も清霞の反応に心地よい緊張感を覚えた。
朝食を共にする時間と日常の安定
二人で朝食を楽しみながら、他愛ない会話が交わされ、久堂家の平穏な日常が描かれた。清霞は、美世が葉月との勉強を続けていることに関心を持ち、無理をしないようにと注意を促した。美世は、この穏やかな日常を大切に感じており、清霞の隣にいることへの感謝を心に抱いた。
清霞の出勤前の見送りと小さな気遣い
清霞が出勤する際、美世は清霞の髪紐が緩んでいることに気づき、結び直した。その際、ふと互いの顔が近づき、緊張が走るが、二人は沈黙のまま見つめ合った。新たな絆と信頼感が生まれつつある瞬間であった。
薄刃新の訪問と護衛の提案
新の突然の来訪と清霞の反応
美世の従兄である新が現れ、清霞と美世は驚く。清霞は彼に冷ややかな視線を送り、新が来た目的を尋ねた。新は、美世の護衛として雇う提案を持ちかけ、美世が夢見の異能を扱うための保護が必要だと説明した。清霞は提案を保留とし、考慮を約束した。
葉月との再会と清霞への励まし
葉月との再会と穏やかな会話
葉月が到着し、新に気軽に声をかけ、会話が始まった。美世は葉月と新の柔らかいやり取りを見守りながら、清霞が少し疲れている様子に気づいた。清霞の疲れを癒そうと、美世は頭を撫でるという行動を試みるが、それが彼を驚かせ、戸惑わせた。
清霞との心の交流と出発
清霞は美世の気遣いに元気づけられ、彼女の額に優しく触れることで感謝の意を示した。清霞は微笑みを浮かべ、清々しい気持ちで出勤していった。その姿を見送る美世に、葉月と新も微笑みながら見守っていた。
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