小説【わた婚】「わたしの幸せな結婚 3」感想・ネタバレ

小説【わた婚】「わたしの幸せな結婚 3」感想・ネタバレ

どんな本?

わたしの幸せな結婚』は、顎木あくみ 氏による日本の小説で、富士見L文庫(KADOKAWA)から2019年1月から刊行されている。

物語は大正時代を舞台に、名家に生まれながらも継母と義母妹に虐げられて育った主人公・美世が、冷酷無慈悲と噂の若き軍人・清霞との婚約者となり、彼との生活を通じて少しずつ心を通わせていく様子を描いている。

この物語は、美世が愛されて幸せになるまでの過程を描いており、美世が清霞との関係を深めていく中で、自身の立場や感情について考え直す機会を得る。
また、物語は美世の視点から描かれ、彼女の内面的な変化や成長が詳細に描写されている。

なお、この作品はメディアミックスとして展開されており、高坂りと 氏によるコミカライズがガンガンONLINEで連載され、映画化アニメ化もされている。

読むきっかけは、2023年7月にアニメ化することは知っていたが、、
タイトルでは全く興味を持っていなかったが、当時読んだ「「若者の読書離れ」というウソ」という本を読み。
人気の作品であり、異能の力がある大正ロマンスだと知り購入して読んでみた。

毒親に育児放棄され虐待されていた美世が、異能最強と呼ばれる久堂清霞の妻となるシンデレラストリー。

毒親達は駆逐されたが、永年傷付けられていた美世の心は痛みに鈍感になっていた。
それが発覚する第3巻。

読んだ本のタイトル

#わたしの幸せな結婚 3
著者:#顎木あくみ 氏
イラスト:#月岡月穂  氏

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あらすじ・内容

旦那さまのご両親に、はじめてのご挨拶。

清霞を信じると決めて、少しだけ強くなった美世。清霞の父から誘われて彼の両親が暮らす別荘を訪ねる。けれど義母となる芙由は、激しく美世を拒絶する。心配する清霞に、美世は一人で頑張りたいと伝えるけれど――?

わたしの幸せな結婚 三

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感想

新キャラは、清霞と葉月の父親と母親が登場。

能力が強すぎて身体が追いつかず虚弱体質で享楽的な父親の正清と、貴婦人でツンデレな母親の芙由。

家督を清霞に譲ってから帝都から離れ。

別邸に住んでいる正清は、清霞に美世を婚約者として帝都の本宅に呼んだことが気になり、帝都に出て来たが体調を崩して倒れたら、、

たまたま倒れた処を見た美世と葉月が駆け付けて親子は再会する。

その後、屯所へ赴き清霞とも再会。

帝都の本宅で美世の様子を見に来たと言いながら、清霞と美世を別邸に招待したいと言って来た。

普段なら清霞は断るのだが、たまたま別邸の近くで怪異の調査の仕事が出来たので別邸へ向かうこととなる。

そして、別邸に行くと、、

芙由が出会い頭に美世を貶す。

挨拶する美世を無視して清霞に”みすぼらしい付人”醜女”村娘”と言い。

その言動にキレた清霞と口喧嘩をしていたら、美世が諌めようとしたら、、

“卑しい捨て子のくせに!わたくしの息子に気安く触れないでちょうだい!”と怒鳴られ。

確かに自身は捨て子と変わらないと思い傷ついてしまう美世。

それに対して言い返せない美世をさらに貶そうとした芙由を正清が止める。

そして、清霞は”次に美世に何か言ったら殺す”と宣言してしまう。

そんな最悪な出会いをした芙由と美世だったが、このままではいけないと思った美世が積極的に芙由と会話しようとするが、、

美世を追い出したい芙由は、美世を使用人のように扱ってプライドを挫こうとするが、、

何をしても暴力を振るわれたりと、それ以上に過酷な環境に置かれていた美世は平然と使用人の仕事をこなしてしまう。

暖簾に腕押しな感じに釈然としない芙由は、美世では久堂家に何ら利益をよこさず不利益なだけだと罵り、

久堂家から出て行けと罵倒すると、正清が止めに入る。

最初は抵抗していた芙由だったが、正清が冷徹に諭すと突然おとなしくなる。

だが、美世に異能力がないと思っている芙由は、美世を全く認めない。

嫁姑の争いは一時的に小康状態となる。

そして、別邸の近くの村で怪異騒動の調査をしていた清霞は鬼を見たと言う男性から話を聞く。

彼の証言を元に小屋を調査していたら、マントを発見し、そのマントに刺繍されていた”名無しの教団”のマークを見つける。

その帰り道に教団の者を拘束しようとしたら、、

その者は異能らしきものを使って来たが、その人物の異能ではなかった。

そんな不思議な状態に戸惑う清霞

は拘束した者を別邸の地下に拘束して尋問する。

そして、名無しの教団は異能心教と呼ばれていると知る。

そうしたことを中央に報告したら堯人皇子から薄刃新に久堂家の別邸に行けと命じられる。

しかも行く日を指定されて、、

そして、新が別邸に着く日に騒動が起こる。

異能心教のアジトになっている小屋を村人達が取り壊すために襲撃したら、鬼に襲われたと言って別邸に転がり込んで来た。

その男は鬼に傷つけられたせいで昏倒してしまい、意識が戻らないと危険な状態になってしまった。

そんな男を看病していた美世が自身の異能”夢見“を使って男の意識を戻そうとしたら、新が現れて彼女をサポートして男の意識を戻すことに成功。

襲撃現場に行った清霞は、村人達を襲った鬼と対峙して撃退する。

鬼だった者を尋問して異能心教の祖師の名前が甘水直だと判り、甘水が薄刃の者だと新から告げられる。

その甘水は美世の母、澄美の婚約者候補だったと言う。

甘水は、澄美に執着しており、澄美が斎森家に嫁いだ直後に離反して行方をくらましてしまった人物。

そんな人物が異能心教という教団の祖師として出て来た。
その人物が今度の敵役となる。

そして、帝都に帰る日となり。

異能を芙由に見せた美世は、芙由からリボンを貰う。

一応、芙由は美世を嫁と認めたようだった。

新キャラ

久堂正清
先代の久堂家当主。
異能力が強くて身体が付いて来れないせいで虚弱体質。
清霞が大学を卒業したと同時に家督を譲り別荘へと隠居している。
戦闘力は高く襲撃されても軽く撃退出来るほど強く、政治的にも名家の当主だっただけあり。
隠居してもそこそこ政治力がある。

久堂芙由
気位が高い貴婦人。
地位が高いことに誇りを持ち、人を見下す事が当たり前。
浪費癖があるが久堂家の財力では全く問題ないが、、
そんな彼女を子供の葉月と清霞は嫌悪しているらしい。
でも、彼女は夫の正清には弱い。
他人にはただキツいだけだが、身内には素直では無いが優しい。
俗に言うツンデレな人。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション ( Novel ) あいうえお順

備忘録

序章

山中の奇妙な人影と男の不安

帰路の不安と噂の黒ずくめの人影

男は秋の夜風が吹く山道を急ぎ足で下りながら、村に戻ることを急いでいた。村では黒ずくめの人影を目撃する噂が広がっており、直接の被害こそないものの不気味な印象を抱かせていた。男もまた、不安を覚えつつも、急いで村へ戻ろうとした。

怪しい物音と人影の発見

山中で物音が聞こえたため、男は立ち止まり注意を払った。そこで、動物ではなく二足歩行の人影が見え、その姿が噂の黒ずくめの人影に一致していると気づく。村の安全を案じた男は、意を決してその影を追うことにした。

黒ずくめの集団と廃小屋での怪しい集まり

廃小屋への疑念と男の決意

黒ずくめの人影を追うと、その人影は村はずれにある廃れた小屋に向かっている様子だった。男は、小屋が無法者たちの溜まり場になっているのではと疑念を抱き、村の一員として、放置するわけにはいかないと決意を固めて様子を見守った。

小屋内の複数人の存在と退却の決断

男が小屋の前で様子を伺うと、扉を開けた人影の奥に、もう一人の黒ずくめの人影が見えた。複数人が小屋内にいることを確認し、男は一人で立ち向かうには危険すぎると判断し、一度村に戻って報告することを決意した。

謎の巨大な影との遭遇と男の恐怖

迫り来る異形の影

村へ戻ろうと踵を返した男の目の前に、音もなく佇む巨大な影が現れた。七尺を超える大きな体躯と不気味な歯軋り音、頭部には二本の角が生え、明らかに人間ではない異形の存在であることが直感的に理解できた。

男の恐怖と意識の消失

冷たい恐怖に駆られた男は後退りして尻もちをつき、異形の影が近づく中で意識が途絶える直前、悲鳴を上げた。

秋の帝都と姉妹のデート

秋の帝都と姉妹の散策

秋の風が涼しげな帝都を、斎森美世と将来の義姉である久堂葉月が共に歩いていた。二人はデパートで洋服を購入し、買い物を楽しんだ。美世は清霞を少し驚かせたい思いも抱いて洋服に挑戦したのだった。葉月は美世の洋服姿に満足し、次はドレスにも挑戦しようと提案した。

謎の男性との出会い

貧血気味の男性との遭遇

帰り道、美世と葉月は道端でふらつく着物姿の男性を発見した。美世がその男性に声をかけると、男性は貧血気味で苦しそうにしていた。葉月がその姿に見覚えがあると言い、近づいて確認すると、その男性は久堂家の先代当主であり、清霞と葉月の父、久堂正清であると判明した。

清霞の職場での再会

体調の悪い正清を一時的に休ませるため、葉月の提案で美世たちは清霞の職場である対異特務小隊の屯所を訪れた。正清は清霞との再会を喜んでいたが、勤務中の清霞は父の来訪に戸惑いを隠せなかった。美世も突然の訪問に対して申し訳なく思い、清霞に謝罪した。

正清との会話と美世の疑問

正清との面会と美世の葛藤

正清との面会の場で、美世は自分が久堂家に相応しいのか疑問を抱き、正清にその思いを打ち明けた。正清は、美世が清霞を変える存在であり、自分の判断は正しかったと断言した。その言葉に、美世は少し自信を取り戻し、久堂家への不安が和らいだ。

久堂家本邸での食事と家族の会話

久堂家本邸での晩餐

久堂家の本邸に移動し、葉月や正清と共に食事を取ることとなった。美世は豪華な洋風の屋敷に圧倒されながらも、義父と義姉の温かい歓迎に安堵した。清霞も合流し、正清が持ちかけた久堂家の別邸への招待について議論が始まった。

久堂家別邸への招待と美世の決意

別邸への訪問決定

正清は清霞と美世を久堂家の別邸へ招待したいと申し出た。当初は断ろうとした清霞だが、軍の仕事もあり招待を受けることに決定した。美世もまた、清霞と共に義父の元を訪れることで、久堂家との関係を深めたいと心に決めたのだった。

父との会話と決意

複雑な父子関係の再確認

食事を終えた清霞は、帰り際に父・正清から声をかけられた。正清の呼びかけに対し、清霞は少しぶっきらぼうに返答した。清霞は幼い頃から母を放任していた正清に対し、内心で不信感を抱いており、複雑な感情を抱え続けていた。正清が自分の結婚を心配していたことも知っていたが、母を止めなかった彼に対する複雑な思いから、その心配をどこかで冷ややかに受け止めていたのだ。

別邸周辺の不審者と任務

正清は、別邸周辺で最近不審者が現れることを清霞に告げた。別邸には結界が施されているため大きな被害はないものの、気になる事態ではあると述べた。また、この不審者の出現が清霞の任務と関係がある可能性も指摘した。清霞が今回担当することとなった任務は、農村周辺で発生する怪奇現象の調査であり、その農村が正清たちの別邸の近くに位置していたため、偶然ではないと察したのである。

任務への思惑と向き合う決意

清霞は「時間があれば考える」と返しつつも、内心では面倒だと感じていた。しかし、隣にいる婚約者・美世の真剣な眼差しが「向き合うべきだ」と語りかけてくるように感じ、これまでならば断っていた依頼にも向き合うことを決めた。清霞は、美世との出会いによって、自分に親子の対話の機会があることを幸運に感じるようになっており、複雑な思いを抱える母とももう一度向き合おうと決意した。

二章  揺れて、照れて

温泉地への旅と初対面の母

列車の旅と美世の緊張

美世、清霞、正清の三人は、帝都から汽車で半日かかる温泉地へ向かった。鉄道初体験の美世は、列車の揺れや豪華な内装に終始緊張しきりで、落ち着かない様子であった。旅路で軽食を摂り、正清の気配りもありながら、葉月が同行できなかったことを惜しみつつ美世は感謝の気持ちを抱きながら列車での時間を過ごした。

別邸での出迎えと「若奥様」への驚き

温泉地に到着後、笹木という久堂家の別邸の管理人兼執事が出迎え、一同を別邸まで案内した。笹木から「若奥さま」と呼ばれた美世は驚きと照れを感じつつ、清霞と共に広大な別邸へと足を踏み入れた。別邸は山に囲まれた静かな場所にあり、建物も可愛らしい洋風の造りであった。

初対面の義母・芙由との緊迫した対話

玄関で出迎えたのは、清霞の母・芙由であった。冷たい態度で「薄情な息子」と清霞を非難する芙由に対し、清霞は淡々と「親不孝とは思わない」と返答し、二人の間には冷たい緊張が漂った。緊張の中で美世が自己紹介を試みたが、芙由から「みすぼらしい付き人」と侮辱され、ついには「捨て子」とまで非難された。この侮辱に対し、清霞は怒りを爆発させ、母親である芙由に対して激しい言葉を浴びせた。

清霞と美世の安らぎと決意

清霞は怒りを抑えきれず芙由に対し厳しい態度を示したが、正清の制止を受け、清霞は美世を二階の部屋へと連れて行った。清霞は美世に謝罪し、彼女を優しく抱きしめて慰めた。美世も清霞の温もりに包まれ、過去の自分の立場を再認識しながらも、今では家族と向き合う決意を新たにした。そして美世は清霞に「しばらく見守ってほしい」と頼み、義母・芙由との関係を改善しようと努めることを決意した。

清霞の提案

その後、清霞は少し村の様子を見に行くと言い出し、美世に「疲れていなければ一緒に来るか?」と誘いかけた。初めて仕事に関わる外出に誘われた美世は、緊張しつつも清霞に従い、共に行動する覚悟を決めた。

清霞と美世の村での調査と心の動揺

農村での調査任務の開始

清霞と美世は、別邸から徒歩で15分ほどの農村に向かい、今回の調査任務を開始した。清霞は、農村で報告されている「角の生えた鬼のような影」という怪奇現象の調査を主目的としていた。美世は、伝承にない異形の出現に対する恐怖心や対策方法について聞きながらも、清霞の仕事への理解と信頼を感じて喜んでいた。

村での聞き込みとお土産選び

村に到着した二人は、土産物も扱う商店に立ち寄り、店員の老婦人から村での物騒な噂について聞き出した。特に「おんぼろ小屋に怪しい人物が出入りしている」という情報に清霞は興味を持ち、翌日調査する意向を固めた。また、美世は村の手作り木彫りの置物を購入し、清霞と一緒に土産選びを楽しんだ。商店の老婦人に「新婚」と見られたことで美世は照れ、心の中で清霞への愛情がさらに膨らんだ。

別邸での夕食と芙由の不在

別邸に戻った美世と清霞は、夕食の準備が整った頃に使用人のナエから歓迎を受けたが、清霞の母である芙由は夕食の席には姿を現さなかった。食事は終始穏やかな雰囲気で進んだが、清霞は母親への嫌悪感を隠せず、時折険しい表情を見せていた。

夜のベッドを巡る葛藤と美世の動揺

夕食後、清霞と共に用意された寝室に戻った美世は、ベッドが一つしかないことに気づき、動揺を隠せなかった。婚約者とはいえ、まだ正式な夫婦ではない二人が同じベッドで寝ることに不安を感じた美世は、一人で別の部屋を用意してもらおうと考えた。しかし、内心で清霞への愛情が募っていることにも気づき、緊張と羞恥で頭が混乱していた。

清霞が部屋に戻り、普通に寝ればよいと言ったが、美世は心の準備ができておらず、結局部屋を飛び出してしまった。

三章  義母と直面

芙由との対話と美世の決意

芙由からの呼び出し

翌朝、朝食を終えた美世は、使用人のナエに呼び止められ、芙由から呼び出されていることを告げられた。芙由と二人きりで会うことへの不安を抱きつつも、美世は勇気を出して会う決意をした。清霞に頼らず、自身で関係を築くべきだと考えたのである。

芙由の辛辣な言葉

美世は芙由の部屋へと向かい、その豪奢な内装に驚いた。部屋の中心で優雅に座る芙由は、清霞の婚約者として美世を不相応だと見なしているようで、「薹が立った貧相な娘」「異能もない無価値な存在」と、辛辣な言葉を投げかけた。美世は否定する術もなく、ただ黙って受け止めるしかなかった。

使用人の服への着替え指示

芙由は、ナエを通して美世に久堂家の使用人と同じ紺色の着物を渡し、「これに着替えるように」と指示した。清霞に贈られた着物を大切に思う美世であったが、芙由の意図を察し、反発することなくその要求を受け入れ、使用人の服に着替えることで自分の覚悟を示した。

掃除の試練と芙由の監視

美世は芙由の命令に従い、女中のナエや他の使用人とともに屋敷の掃除に従事した。芙由は美世の掃除の仕方を厳しく監視し、曇りが残っていると非難しつつも、罵声や平手打ちには至らなかった。美世はこの環境が、実家の斎森家と比べてどこか温かさを感じるものだと気づき、心の支えを得た。

使用人たちの協力と美世への敬意

一緒に働く使用人たちは、芙由の厳しい態度にもかかわらず美世に親しみをもって接し、清掃を手伝ってくれた。特にナエや夏代は、美世が掃除をこなす姿に感心し、若奥さまとして尊敬の意を示した。美世は、彼らの誠実な態度に励まされ、ここでも決してひとりではないことを再確認した。

芙由の再呼び出し

昼食の時間が近づいた頃、ナエが美世に再び芙由からの呼び出しを伝えに来た。美世は緊張しながらも、再度芙由の部屋に向かい、どんな言葉を投げかけられても受け入れる覚悟を固めていた。

芙由の苛立ちと美世への挑発

芙由の怒りと不満

芙由は、自慢の息子・清霞が婚約者として美世を選んだことに納得がいかず、激しい怒りを抱えていた。自らが選んできた名家の令嬢たちを次々と拒み続けた清霞の態度にも、不満を募らせていた。そんな中、名家の格を下げるような存在とみなしている美世の存在を認めることができなかった。

美世への侮蔑と挑発

芙由は、美世に使用人の仕着せを着せ、侮辱的な言葉を投げかけ続けた。彼女は、美世が清霞の優しさに甘えているだけの厚かましい女性だと決めつけ、清霞にふさわしい妻ではないと見下していた。しかし、美世は侮蔑にも怯まず、「久堂家の使用人の衣服がこれほど立派なことに感動した」と答えるだけで、芙由の意図を汲み取らない姿勢を見せた。

芙由の暴走と正清の介入

美世の反応に苛立ちを募らせた芙由は、ついに手をあげようとするが、その瞬間、正清が現れ、芙由を制止した。正清は芙由を静かにたしなめつつ、芙由の感情的な行動を「人間としての理性を失うもの」と批判した。その冷徹な言葉に、芙由は思わず息を吞んだ。

正清の威厳と美世の恐怖

正清が見せた冷たい表情に、場の空気が凍りついた。美世は正清の前当主としての威厳と厳しさを感じ取り、恐怖と緊張で震えた。清霞にも似た一面があるのかもしれないと考えながらも、彼への信頼は揺るがない自分の気持ちを再確認した。そして、冷えた指先を温めるように、清霞のぬくもりを恋しく思うのだった。

清霞の苦悩と調査

美世とのやり取りによる心の葛藤

清霞は朝食後すぐに村へ向かう途中で、昨夜の美世とのやり取りについて考え悩んでいた。彼は、美世が自分から逃げるように立ち去った場面を思い出し、ため息をついた。深く考えずに軽々しく発言してしまった自分に対して反省し、土を踏みしめる音が無意識に荒々しくなっていた。

調査のための村人との対話

清霞は村に着くと、商店の女性の協力を得て、鬼の目撃証言について詳しい若者に会うことができた。彼は、鬼のような影を目撃し、強い恐怖を抱いていた。男性の証言から、角のある大柄な影が現れ、不快な音を立てるという異様な体験が語られた。清霞はその証言を受け、廃屋を一人で調べることを決意した。

廃屋での探索と発見

清霞は廃屋を調査し、誰かが寝泊まりした形跡を発見するが、当初期待していた手がかりは掴めなかった。しかし、黒いマントの内側に施された奇妙な刺繍が彼の注意を引いた。この刺繍は、最近密かに政府が警戒している新興の宗教団体「名無しの教団」に関するものであった。清霞は、教団との関連性を疑いつつも、手がかりを残して小屋を後にした。

不審者との遭遇と対決

不審な影の追跡と確保

別邸に向かう途中、清霞は不審な気配を感じ、その影を追跡した。彼は素早く相手に接近し、黒いマントを身にまとった男を捕まえ、膝をつかせた。男の顔は無表情で、ぼんやりとした印象で特徴が少ないが、清霞は男の鈍い目に違和感を覚えた。

謎の異能と清霞の対処

男が突如無表情で異能を使い始め、枯れ葉を清霞に向かって飛ばしてきたが、清霞はその攻撃を難なく防いだ。男の動作は機械的で、生気を失った人形のようであった。清霞は男を制圧し、異能封じの護符を貼り付けると、男は全身を痙攣させて動きを止めた。この現象に清霞は困惑し、異能と教団の関係性についてさらに疑念を抱いた。

四章  巡る想い

清霞の帰宅と美世の気遣い

清霞の帰宅と温かな出迎え

夕方近く、清霞が帰宅したとの知らせを受け、美世は急いで玄関に向かった。彼女が笑顔で出迎えると、清霞は安堵の表情を浮かべ、優しく彼女の頭に手を置いた。その手が冷たく、美世は心配して彼を暖かい部屋で休ませるよう勧め、強引に導いた。清霞は美世の強引さに少し驚きながらも、素直に彼女に従った。

美世の甲斐甲斐しい世話

清霞の部屋に着くと、美世は毛布や温かいお茶、薪を追加し、甲斐甲斐しく世話を焼いた。清霞は彼女を窘め、隣に座るよう促した。清霞は彼女を毛布に包み込み、互いの体温が感じられるほどに近くにいた。美世はその温もりに心地良さを感じ、心が高鳴るのを抑えられなかった。

清霞の美世への心配と美世の決意

清霞は、美世に日中の出来事について尋ねた。美世は正直に、芙由とのやり取りや正清の介入について語り、隠し事をせずに清霞へ伝えた。清霞は芙由の美世への扱いに激しい怒りを覚え、彼女の尊厳が傷つけられたことに強い憤りを感じたが、美世は清霞の助けを借りずに芙由と向き合う決意を示し、彼に見守ってほしいと願った。

清霞と正清の対話

父子の対話と清霞の苛立ち

夕食後、清霞はシガールームに向かい、正清と共に酒を酌み交わした。清霞は正清の家族への無関心さを非難しつつ、捕らえた男の尋問結果について報告した。男は「異能心教」という名の団体に洗脳されている可能性が高く、教団は久堂家を警戒している様子であった。清霞は教団の動向に注意しつつ、中央との連携を図るべきと考えた。

正清の指摘と清霞の驚き

正清は、清霞が美世を守りたいという強い意志を感じ取り、「君は美世を本当に愛しているのだな」と告げた。清霞はその言葉に驚き、これまで意識していなかった感情に困惑しつつも、次第にその言葉がしっくりと心に響くのを感じ始めた。

堯人皇子の命と薄刃新の出発準備

薄刃新の呼び出しと複雑な心境

帝都にある宮城で、対異特務小隊隊長の久堂清霞からもたらされた「異能心教」に関する情報が政府や軍部に伝達され、中央は慌ただしく動いていた。この情報によって、新は堯人皇子から呼び出される。彼は職場から宮城へ直行し、従妹の婚約者である清霞への複雑な感情を抱きつつ、異形調査の任務がなぜ帝への反逆を図る教団の問題に発展したのか、理解に苦しんでいた。

堯人皇子の指示と新の任務

新が堯人皇子のもとに到着すると、堯人は挨拶もそこそこに本題に入った。彼は新に久堂家別邸へ至急向かうよう命じた。新は驚きつつも、この任務には薄刃家の異能が関係していると感じ取った。堯人は、新が適任であると確信を持っており、明後日までに出発の準備をするようにと具体的な指示を与えた。

天啓を持つ堯人皇子への忠誠

堯人の言葉は抽象的であったが、天啓の異能を持つ彼の指示は新にとって絶対であり、逆らう理由はなかった。薄刃家が堯人の意向により自由になることは、新と家にとっても喜ばしい変化であった。彼は堯人に忠誠を誓い、命令に従う決意を固めた。

新の覚悟と薄刃家の未来への予感

堯人皇子に忠誠を誓った新は、どこかで自分の任務が薄刃家の未来に関わる重大な局面であることを予感していた。

五章  迫るものは

芙由との対話に挑む美世の決意と試練

美世の決意と清霞との別れ

朝食を終えた美世は、清霞と正清を見送り、清霞に「無理はしないように」と念を押して別れを告げた。清霞もまた美世に「決して無理はするな」と伝え、二人は互いの安全を願いつつ別れた。清霞が去った後、美世は気合いを入れて芙由との対話に向かう決意を固めた。

芙由の部屋での対話

美世が芙由の部屋を訪れると、意外にも部屋に入ることが許された。しかし、芙由は体調が悪そうで、目には力がなく、表情も沈んでいた。美世が心配して問いかけても、芙由は冷たい言葉で「おかげで気分が悪い」と応え、美世を拒絶する態度を崩さなかった。美世は、芙由が何かを誤解していると感じたが、どうしたら誤解を解けるか悩んでいた。

芙由の拒絶と美世の苦悩

芙由は、美世に対して「あなたが私に何をしようと認めるつもりはない」と告げ、自分が美世を嫌っている理由を強調した。美世は芙由からの強い拒絶に胸を痛め、自分の存在が清霞と芙由の関係を悪化させてしまっているのではないかと悩んだ。芙由の否定的な言葉は美世の心に深く刺さり、美世は自分の努力が無意味であるのではないかと自問する。

美世の覚悟と清霞の支え

芙由から離れた美世は、仕事に打ち込むことで気持ちを紛らわそうとした。しかし、帰宅した清霞に気持ちが伝わり、美世は芙由とのやり取りについて打ち明ける。清霞は美世の決意を尊重し、「もう少し頑張りたい」という美世の願いを受け入れて支えることを誓った。美世は清霞の支えを得て、再び芙由と向き合う決意を新たにした。

朝食の席での芙由との対面

翌朝、久堂家の朝食の席に芙由が姿を現す。美世は勇気を出して挨拶をするが、芙由は冷たく返答し、美世の存在を拒む態度を続けた。美世はなんとか芙由との対話を試みようとするが、芙由は正清の仲裁も拒否し、朝食を中断して席を立った。その直後、焦った様子の笹木が食堂に飛び込んできたところで場面が途切れる。

異形の襲撃と美世の覚悟

村での異常事態発生

朝、久堂家の屋敷に緊迫した空気が漂った。笹木からの急報で、村で鬼が暴れ、村人たちが襲われているとのことだった。清霞と正清はすぐに行動を決意し、清霞は村の調査へ向かうことにした。

村人からの証言

玄関ホールには助けを求める村人がいた。彼は「鬼が現れ、仲間が次々と襲われた」と話し、異常な力で男たちが暴れ始めたことを告げた。清霞は村人を慰めたが、鬼の恐怖が深まる中、すぐに村へ向かうことを決めた。

美世の決意と清霞の信頼

清霞は美世に「ここを任せる」と告げて村へ出発した。美世は清霞の信頼に応えようと決意し、村人を助けるために奮起した。清霞を見送る美世は、自らの役割を自覚しつつ、村人の看護を引き受けた。

芙由との対立と美世の覚悟

美世が村人の世話をしようとすると、芙由が強く反対した。しかし、美世は「清霞を支えるのが自分の役目」として譲らなかった。芙由の反対を受け流し、美世は自分の使命を果たす決意を新たにした。

美世の異能への挑戦

村人の状態が悪化する中、美世は自らの異能で彼を救おうと決意した。だが、異能を使うには未熟で、危険が伴うことを理解しつつも、彼女は覚悟を固めた。新からの忠告が脳裏をよぎる中、リスクを承知で異能を発動しようとした。

新の登場と異能の使用中止

美世が異能を使おうとした瞬間、新が突然現れて彼女を制止した。新は堯人からの指示で急遽ここへ派遣され、美世が無断で異能を使うことを止めに入った。新は美世の行動をたしなめつつ、彼女の覚悟を理解し、再び協力を申し出た。

芙由への思いと清霞への誓い

美世は、自分の存在が清霞と芙由の関係を良くする可能性を信じ、清霞を支えるためなら命をかける覚悟があると告げた。芙由は驚きつつも、彼女の強い決意に対して微かに理解を示した。新とともに美世は異能を使う準備を整え、村人の命を救おうと再び意気込んだ。

異能発動の危機と心の成長

美世は自らの力で大切な人々を守りたいと願い、異能者としての成長を決意した。

鬼の異形と異能心教の陰謀

村での異常事態と清霞の推測

清霞は廃屋に向かう道中で、村の混乱を目の当たりにした。村人たちは鬼に「食われた」というより「憑かれた」状態にあると推測した。これは、鬼の一部を人間に埋め込んで小規模な憑依状態を作り出したものであり、異能心教の手による実験だと考えた。

異能心教の統率者との対峙

清霞は廃屋の近くで異能心教の統率者と出会った。異能者である彼は、地面を沼のように変え、清霞を妨害しようとした。しかし清霞は異能でそれを封じ、統率者に対し久堂家の力を誇示した。異能心教の祖師の目的が「すべての人間が異能を持てる世界の創造」であると聞かされ、清霞はその理想に不信感を抱いた。

鬼の憑依者との戦闘

統率者が召喚した鬼の憑依者が襲いかかる。清霞は異能で対抗し、念動力を駆使して鬼を制御。最後に憑依者を倒し、鬼の力を封じ込めるため魔封じの札を貼りつけ、異能心教の男が逃亡したことを確認した。

正清と異能心教の信徒たち

正清と異能心教信徒の遭遇

久堂家別邸を守る正清は、別邸に迫る異能心教の信徒3人と対峙した。人工的に異能を与えられた信徒たちは、異能の力で攻撃を試みるも、正清は冷静に応戦し、その攻撃をすべて封じた。

異能心教の信徒の捕縛と物的証拠

正清は信徒3人を制圧し、そのうちの1人から「鬼の血」の入った小瓶を発見した。これは異能心教が異形の力を悪用している証拠であり、今後の行動の足掛かりになる可能性があると感じた。正清は証拠を確保し、清霞に後を託すことを決意した。

六章  春になったら

美世と清霞の再会と異能心教の謎

清霞の帰還と美世の安堵

美世は清霞の帰りを玄関で不安そうに待っていた。村での異変に巻き込まれている清霞を心配していたが、やがて彼が無事に戻り、美世は喜びと安堵の涙を流した。清霞は彼女を抱きしめて「心配をかけた」と謝罪し、美世の安堵の涙を受け止めた。

異能心教の捕虜と美世の異能

清霞が村で捕らえた異能心教の信徒の巨体を引き連れて戻る姿に、美世は驚愕した。また、美世が村人の男性を助けるために異能を使用したことを清霞に報告すると、清霞は驚きつつも美世を抱きしめて感謝の言葉を伝えた。

家族の和やかなひととき

一連の出来事で外で盛り上がる清霞と美世の姿を見て、正清が「風邪をひく」とからかい、和やかな雰囲気に包まれた。四人は別邸へ戻り、騒動がひと段落したことを感じ取ってそれぞれの居場所に戻った。

清霞と新の対話と異能心教の真相

異能心教の目的

夜も更けた頃、清霞と新は一息ついて事件の詳細について語り合った。清霞は異能心教が異形の憑依を利用し、人に異能を目覚めさせる実験を行っていたことを新に伝えた。新は異能心教の信徒が関与していることに関心を示し、今後の調査が進むことを期待した。

甘水直の存在と異能心教の祖師

清霞は異能心教の祖師と名乗る「甘水直」という人物について新に話す。すると新は驚愕し、甘水直が美世の母である薄刃澄美の元婚約者であり、薄刃家の分家であることを告げた。この告白により、清霞と新は異能心教と薄刃家の因縁を知ることとなった。

甘水直の動機と新の苦悩

新は甘水直が薄刃家を恨んでいる可能性を示唆し、彼の存在が薄刃家の存続に影響を及ぼすことを懸念した。新は自分の立場や薄刃家の未来に思いを巡らせ、清霞と美世に今回の事件が薄刃家にとっても大きな問題であることを伝えた。

新の去り際と未来への思索

新は美世と清霞に別れを告げ、彼の苦悩が心に残るまま、二人を後にしてバルコニーを去った。その背は普段の彼とは異なり、どこか小さく、疲れた姿であった。

美世と清霞の思い

清霞の励まし

美世は清霞と共にバルコニーで過ごし、薄刃家や母のことに対する自分の気持ちを複雑に感じていた。自分が力になれていないと悩む美世に対し、清霞は彼女を慰め、自分と共に肩を並べて歩むことを提案した。この清霞の言葉に美世は励まされ、自分も支え合いながら前に進む決意を新たにした。

清霞からの告白

清霞は美世に静かに近づき、彼女に「春になったら、妻になってほしい」と告白した。その言葉に感激した美世は、清霞の気持ちを受け入れ、彼に感謝の気持ちを伝えた。美世は、清霞の温かな笑顔が一生忘れられないと思い、心に強く刻んだ。

翌朝の美世の悩みと家族の朝食

清霞への思いと新との再会

翌朝、清霞からの口づけに戸惑いと喜びを覚えた美世は、どう接すればよいか悩んでいた。食堂で新と出会い、彼に異能心教の甘水直について注意を促されたが、新に自分の力で助けになりたいと告げることができず、少しのもどかしさを感じた。

清霞との朝食と心温まる時間

朝食の席で清霞が現れ、美世に対して「来年の春に結婚する」と言及する。その場面に居合わせた正清と芙由も含め、家族の暖かな雰囲気が漂い、美世は照れくささと喜びで顔を赤らめた。

芙由との心の交流とリボンの贈り物

芙由からの意外な贈り物

美世が別邸を去る支度をしていたところ、芙由が現れ、美世に自分の昔のリボンを「ごみ」として手渡した。ナエの助言により、このリボンが実は芙由の認める心意気の証であることを悟った美世は、その贈り物に感謝し、少しずつ芙由との関係が変わりつつあることを感じた。

別邸での別れと家族の見送り

洋装にリボンをつけて現れた美世に、清霞は「可愛い」と称賛し、周囲も温かな空気に包まれた。正清と芙由の見送りを受け、美世、清霞、新は帝都へと帰る車に乗り込み、旅の思い出を胸に別邸を後にした。

終章

帝都での任務と異能心教の捜査

五道による廃寺制圧作戦

対異特務小隊の五道は部下とともに異能心教の拠点とされる帝都郊外の廃寺へ向かい、制圧の指令に従い、四方を囲み堂内に突入した。しかし、堂内は無人であった。周囲を再確認するも、異変に気づかぬまま進んでいくと、突如として爆発物が現れ、彼らに危険が迫った。五道は即座に結界を張る指示を出すも、廃寺は巨大な爆発に包まれた。

帝都への帰還と新たな決意

清霞、新、美世の帝都帰還

数日ぶりに帝都に戻った清霞、新、美世は、帝都の喧騒に安堵を覚えた。異能心教や薄刃家の問題が山積する中で、これからの日々がさらに多忙になることを悟りつつ、三人は互いに支え合い、特に美世は異能の修行に励む決意を固めた。

異変と新たな出会い

不気味な異能の気配と災いの影

三人が駅の雑踏の中を歩く最中、不意に清霞が異変を察知し、美世も本能的な恐怖を感じた。周囲の雑踏が遠ざかり、異様な空気に包まれる中、薄刃家の異能の気配を感じ取った清霞と新は警戒を強めた。そして、その異能の気配と共に、一人の人影が現れ、「久堂家当主、薄刃家次期当主、それから──我が娘よ」と語りかけ、美世たちの前に立ちはだかった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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