どんな本?
『わたしの幸せな結婚』は、顎木あくみ 氏による日本の小説で、富士見L文庫(KADOKAWA)から2019年1月から刊行されている。
物語は大正時代を舞台に、名家に生まれながらも継母と義母妹に虐げられて育った主人公・美世が、冷酷無慈悲と噂の若き軍人・清霞との婚約者となり、彼との生活を通じて少しずつ心を通わせていく様子を描いている。
この物語は、美世が愛されて幸せになるまでの過程を描いており、美世が清霞との関係を深めていく中で、自身の立場や感情について考え直す機会を得る。
また、物語は美世の視点から描かれ、彼女の内面的な変化や成長が詳細に描写されている。
なお、この作品はメディアミックスとして展開されており、高坂りと 氏によるコミカライズがガンガンONLINEで連載され、映画化やアニメ化もされている。
読むきっかけは、2023年7月にアニメ化することは知っていたが、、
タイトルでは全く興味を持っていなかったが、当時読んだ「「若者の読書離れ」というウソ」という本を読み。
人気の作品であり、異能の力がある大正ロマンスだと知り購入して読んでみた。
毒親に育児放棄され虐待されていた美世が、異能最強と呼ばれる久堂清霞の妻となるシンデレラストリー。
読んだ本のタイトル
#わたしの幸せな結婚 7
著者:#顎木あくみ 氏
イラスト:#月岡月穂 氏
あらすじ・内容
美世と清霞、ついに祝言――
様々な困難を乗り越えて、ついに迎えた祝言の日。
わたしの幸せな結婚 七
美世は朝から気が気ではなかった。
前日に緊急の呼び出しがあり仕事に向かった清霞が、婚礼のはじまる時刻が近づいても帰ってこないのだ。
花嫁衣装に身を包み、
「誰よりも私が、明日を心待ちにしている」
という清霞の言葉を信じて待つ美世。
けれどその裏では、五道と深い因縁のある強力な異形の影が動いていた。
少女があいされて幸せになるまでの物語は、婚礼を迎え、幸せな「家族」の物語へ――。
小説 PV
感想
色々あったけど。
やっと結婚式を挙げると思いきや、、
プロローグからして不安な空気。。
式の前に緊急出動した新郎さん(清霞)が徹夜で仕事して手が離せなくて結婚式に来れねぇぇぇ!!
式場で待つ花嫁(美世)に知らせる事も出来ないほど切迫していた。
2度目のプロポーズ、秒読みの結婚式で浮かれている美世。
清霞を何て呼ぶのかで悩んでいたりした。
葉月の誘いで塩瀬家での料理教室に行ったら、小学校の同級生だった君緒と再会したが、、
君緒は呪われて暴れる義母から折檻を受けており、夫は母の抑え役を君緒に押し付けられていた。
同類だと思っていた美世が清霞に良くされていると知ると、美世に呪いをかけた。
生命には関わらない弱い呪いだが、言動が捻じ曲げられる呪いだった。
そして、清霞との会話で呪いが炸裂するが、、
自身を責めてくる美世を見て清霞は可愛いと思ってしまう始末ww
でも、居た堪れなくなって屯所へ戻り仕事をしていたが、、
部下たちには痴話喧嘩で清霞が、屯所に撤退して来たとバレて笑われてしまう。
そんな美世の呪いを清霞の父親、正清が美世に”呪われてるよ”と教えてくれた。
常に美世の側にいた清霞が気が付かないのが不思議だと正清に言ったら。
結婚直前で浮かれていて見逃したのだろうと言って、何かツボにハマったらしく咳き込みながら爆笑する。
そして、清霞に自身は呪われており言動がおかしくなってるのはそのせいだと教えると、、
美世をマジマジと見た清霞は呪いに気が付いて落ち込んでしまう。
それを慰める美世。
もう犬も食わんww
そして、ある日。
清霞は長場夫婦から君緒からしたら義母が異形に取り憑かれていると相談される。
それを秘密裏に祓ってほしいと言う。
君緒の夫はかなり高圧的な男性らしく。
何かしら失敗したら清霞達、対異特務小隊をただでは済まさないと脅しつけて来る始末。
そんな旦那にDVされていると言う君緒は、清霞に保護を求めるが、清霞の立場からしたら上層部との繋がりのある長場家と揉めるわけにもいかない。
そもそも、清霞に君緒を助ける義理も謂れも無い。
ただ、美世の小学校の同級生というだけで助けるわけにも行かない。
一応、そう言う相談する場所もあるので其処に行くようにと言うが、、
君緒は清霞に縋り付いて来る。
それをかつての婚約者候補だった令嬢にしたように冷たくあしらう清霞。
そうしてこの件が、清霞が自身の結婚式を欠席してしまうかもしれないほどの騒動になるとはこの時には思ってもいなかった。
その清霞は、寿退社で対異特務小隊を辞め、美世の異能”夢見”の件でトラブルが起こったら対処するつもりだった。
元々は五道の父親が隊長をしていたが、清霞でないと倒せない強い異能に殺され殉職してしまった。
その跡を大学を卒業したばかりの清霞が勤め維持していたが、結婚を機に隊を辞めて一般の協力者となることになっていた。
結婚式の前日。
家に帰っていた清霞の下に緊急連絡が来た。
長場の家で対処が難しい異形が発見された。
五道の親父を殺した土蜘蛛の脚が発見され、コレを長場家に持ち込んだ僧とは、、
清霞と五道は冷静にいようとしていたが、お互いが監視していないと暴走してしまいそうになる。
その対処は一晩が経ち結婚式直前にも終わらなかったが、、
そこに旧都から第二小隊が救援に駆けつけて清霞は結婚式に出席する事が出来た。
無事に式が終わり披露宴となり小隊の人達も現場から参加して来た。
そして、その中に旧都から救援に来た薫子と幸次が現れた。
彼等が来てくれたから結婚式に間に合ったと言う。
そして、幸次から”美世へ”という手紙を手渡される。
異母妹の香耶からの手紙だった。
なかなかに性格の出た手紙だった、、
美世か曰く”刺々しいけど、やけに楽しそうな手紙だった”らしい。
こうやって清霞と出会って一年経ち。
美世は清霞の妻となった。
エピローグで屯所に差し入れに来た美世が、取り調べか、苦情を言いに来た君緒に刺される事件が起きたが、、
清霞が美世に渡していた御守りのお陰で刃物が美世の身体に刺さらずに終わる。
次は新婚旅行か?
それとも五道が何かやらかすのか?
次巻が待ち遠しい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
アニメ PV
映画 PV
同シリーズ
その他フィクション
備忘録
序章
待ち焦がれた祝言の日
春の訪れと美世の不安
薄紅の桜が舞う中、祝言の日の朝が訪れた。美世は清霞との結婚を心待ちにしながらも、彼の姿がないことに不安を抱いていた。義姉の葉月や使用人のゆり江は美世の美しさを褒め称え、励ましの言葉をかけたが、美世の表情は沈みがちであった。義母の芙由も、厳しいながらも気遣う態度で美世を叱咤し、緊張した空気が支度部屋を包んでいた。
清霞への信頼と決意
美世は清霞を信じたいと思いながら、彼が贈ったお守りを握りしめた。彼女にとって清霞は、最も信頼できる存在であり、彼がこの大切な日に現れないはずがないと心の中で何度も自分に言い聞かせた。葉月とゆり江の温かい励ましが、美世の胸に希望の光を灯した。
式の開始と覚悟
時間が迫り、係の者が美世に式を始める準備を促した。清霞の到着を待ちたかった美世であったが、周囲への迷惑を考え、気持ちを切り替えた。芙由のぶっきらぼうな励ましに応える形で、美世は背筋を伸ばし、久堂家の名に恥じない振る舞いをしようと決意を固めた。
春風に乗せた希望
支度部屋を出た美世は、柔らかな春風に頬を撫でられながら歩き始めた。清霞への信頼を胸に、彼が自分の期待を裏切らないと確信しながら、未来に向けて一歩を踏み出したのである。
一章 おまじない
春の朝と美世の弁当作り
美世は春のぬくもりを感じる朝に、菜の花やふきのとうを使った弁当を用意し、清霞に手渡した。清霞は美世の気持ちが込められた弁当を宝物のように受け取り、微笑みながら出勤していった。その後、美世は清霞の新しい組紐を見つめながら、婚礼を間近に控えた自分の心の変化に思いを馳せていた。
美世の過去と現在の心境
美世は、清霞に「愛しています」と伝えた過去の自分の勇気に驚きながらも、現在の幸せを噛みしめていた。過去のつらい記憶がよぎることもあったが、それ以上に清霞との日々が彼女の心を満たしていた。彼との未来を想像する中で、美世はさらに良い関係を築きたいと願っていた。
葉月の訪問と新聞記事の切り抜き
美世の家に訪れた葉月は、清霞と美世の結婚に関する新聞や雑誌の記事の切り抜きを持参した。記事の多くは甘水の事件後の清霞の活躍や二人の結婚を祝福する内容であったが、中にはゴシップ記事も含まれていた。葉月の明るい態度に励まされながら、美世はこれらの記事が良い記念になると感じていた。
呼び方の練習の提案
葉月は、美世が清霞を「旦那さま」と呼び続けていることを指摘し、名前で呼ぶ練習を提案した。美世は戸惑いながらも、葉月の言葉に頷いた。練習の難しさを感じつつも、婚礼の日までに清霞の名前を自然に呼べるようになる決意を固めた。
引き継ぎの葛藤と対異特務小隊の未来
五道の不満と清霞の退職準備
清霞の執務室には、彼と五道の机が並んでいた。退職を決めた清霞に対し、次期隊長となる五道は不満を露わにしていた。彼は「引き継ぎなんてしたくない」とぼやきつつ、清霞の静かな指示に従って仕事を進めていた。清霞は五道の態度を受け流しながら、隊長職を辞する決意を再確認していた。
過去の記憶と決意
清霞は五道の父、壱斗が対異特務小隊の任務中に命を落とした際の言葉を思い出していた。「お前に背負わせる」という壱斗の遺言が、清霞に隊長職を引き受けさせた理由であった。しかし今、清霞は美世との生活を守るため、その地位を手放そうと考えていた。
五道の感情と清霞の思い
五道は清霞の退職を表向きには反対していたが、内心では受け入れている自分に苛立っていた。かつて「清兄」と呼んで慕っていた幼い頃の記憶を振り返りながら、彼は新たな責任を背負う覚悟を固めていた。
清霞の軍人としての限界
清霞は、甘水の事件で学んだ通り、美世の「夢見の異能」を巡る問題が今後も続くと予測していた。軍人としての立場が、美世を守る上で足枷となることを痛感し、軍人を辞める決意を強めた。彼は、美世の傍で彼女を守り支えることが自分の使命だと考えていた。
五道のぼやきと清霞の怒り
五道は「隊長職を引き継いだら結婚なんて無理だ」と不平を漏らし、さらに清霞の家庭生活について詮索した。清霞はこれを冷静に否定し、五道の軽口に呆れながらも真剣に叱責した。五道の無邪気な態度に苦笑しつつ、清霞は最後まで彼の成長を見届ける決意を新たにした。
夕食後の安らぎと気まずさ
清霞と共に夕食を終えた美世は、食事中に言いそびれていた葉月との外出予定を伝えた。清霞は少し驚きながらも、葉月との関係や外出先の塩瀬家に納得し、了承した。しかし、美世の不自然な呼びかけに気づいた清霞が軽く怪訝そうな表情を見せたため、美世は自分の挙動不審さを心の中で反省していた。
葉月の料理の苦手さへの不安
外出の目的が料理の勉強会だと知った清霞は、葉月が料理が苦手であることを思い出し、懸念を示した。かつて葉月が素麺を茹でようとして粉々にした出来事を回想しながらも、美世は今回の勉強会では参加者が実際に調理する場面が少ないことを伝え、清霞を安心させた。
新聞記事への対応
葉月が持ってきた記事の切り抜きを清霞が読んでいるのを見た美世は、清霞が不快に感じていないかと心配した。しかし清霞は、「真実を知っているのは周囲とお前だけで十分だ」と美世を安心させた。その言葉に美世は感動しつつ、茶を注ぐ手が震え、緊張で茶をこぼしてしまった。
名で呼ぶ提案と動揺
清霞は、美世に名で呼んでほしいと告げたが、美世は突然の提案に驚き、動揺して涙をこぼした。清霞は彼女を傷つけたと誤解し、謝罪するが、美世は自分の混乱が彼を不安にさせたことに対して申し訳なく感じていた。
不器用な愛の告白
涙を流しながら部屋を出た美世は、「旦那さまが好き」とだけ言い残し、台所へ向かった。その晩、美世は清霞と顔を合わせられず、後悔と動揺の中で一睡もできなかった。
月夜の縁側と清霞の訪問
夜、美世は縁側で月を眺めていた。肌寒い春の夜空には、明るい月と瞬く星が広がっていた。そこへ清霞が現れ、昨晩の出来事を気にかけるような様子で彼女に近づいた。清霞は美世の「好きです」という言葉を信じていると告げ、彼女の気持ちが伝わっていると静かに話した。
予期せぬ言葉と美世の動揺
清霞が手を握りたいと申し出た瞬間、美世の口から予想外の言葉が飛び出した。「好きです」は噓だと、さらには「嫌いです」とまで口走ってしまった。美世自身が信じられない言葉で清霞を傷つけ、彼女の口は自分の意思と関係なく動き続けた。
清霞への誤解を深める発言
美世の言葉は次第に過激さを増し、「助平」や「破廉恥」といった、清霞を非難する内容になっていった。清霞は驚きと落胆を隠せず、美世の言葉に肩を落とした。一方、美世自身は発言を止められず、恐怖と混乱に陥っていた。
混乱の末の逃避
言葉を制御できない状況に美世は耐えられず、自らの手で口を塞ぎ、その場から逃げ出した。清霞に対する想いとは正反対の言葉を発してしまった自分に、彼女は強い罪悪感と絶望を感じていた。
二章 心ときめく
清霞の苦悩と反省
清霞は、美世からの拒絶に打ちのめされ、その場から逃げるように自室へ戻った。昨晩の失敗が頭を離れず、反省しながら軍服に着替え、家を後にした。彼の行動は、婚約者との関係を壊してしまったという後悔に満ちていた。
五道と一志による冷やかし
屯所に到着した清霞は、部下の五道と辰石一志に事情を察され、大笑いされる羽目となった。彼らは「痴話喧嘩」とからかいつつも、清霞の真剣さを見抜き、微妙に的を射た助言を口にした。清霞は苛立ちながらも反論する気力を失い、彼らの言葉を受け流すしかなかった。
美世への思いと謝罪の決意
清霞は、美世の怒りを「可愛らしい」と感じてしまう自分に呆れつつ、彼女を傷つけたことに深い後悔を抱いていた。彼は五道と一志に恥を忍んで「女性に効果的な謝罪の方法」を尋ね、婚約者との関係修復のために最善を尽くそうと決意した。
清霞と美世のぎくしゃくした日々
美世は、清霞に対して心にもない暴言を吐いてしまってから、二日間ぎくしゃくしたままであった。清霞と話すたびに本心とは違う言葉が出てしまうため、美世は会話を避けるしかなかった。一方、清霞も様子をうかがうばかりで、二人の距離は縮まらなかった。
正清の告白と呪いの発覚
清霞の両親である正清と芙由が家を訪れた際、正清が美世に「呪い」がかかっていることを指摘した。軽微なもので身体への害はないが、美世の言動に不都合をもたらす呪いであるという。美世は心当たりを探り、料理の勉強会で聞いた「おまじない」が原因ではないかと考える。
清霞との向き合い
美世は清霞に呪いのことを告げ、二人はようやく本音を交わす機会を得た。清霞は、美世への愛情から浮かれ、自身が呪いに気づけなかったことを認めた。美世は清霞が自分との結婚を喜んでいることに胸を熱くし、彼に対する想いを再確認した。
二人の関係の修復
清霞は、呪いによる美世の怒りさえも「可愛らしい」と感じていたことを告げ、美世はその告白に困惑しつつも、心の暗雲が晴れていくのを感じた。美世は呪いが解けたら再び清霞に想いを伝えると決意し、二人は新たな一歩を踏み出した。
急な相談への対処
清霞は直属の上司である大海渡征と対面し、急な依頼を受けた。相談内容は、長場家の夫婦からのもので、家人に異形が憑いているらしいという件であった。軍上層部との関係悪化を避けるため、清霞は五道と共に相談を引き受け、調査には隊員を派遣することを決めた。
長場家の相談内容
長場家の夫婦が屯所を訪れ、母親に憑いていると思われる異形の除去を依頼した。母親は奇怪な行動を繰り返しており、家族生活が困難な状況であった。五道の提案により、隊員が調査を行い、現地での対処を検討することとなった。長場は清霞たちが直接出向くことを求めたが、清霞は部下に任せる方針を貫いた。
君緒からの個人的な相談
夫の君緒が清霞に個人的な相談を持ちかけた。彼女は夫からの暴力や義母の理不尽な扱いに苦しんでおり、助けを求めた。君緒は清霞が優しい人物であると美世から聞き、頼るべきだと判断したという。しかし、清霞は冷静に拒絶し、自分の役割外の問題には関与しない方針を明確にした。
清霞の毅然とした態度
清霞は美世の同級生であることを理由に助けを求める君緒に対し、毅然と対応した。彼は君緒の事情を他の適切な機関に伝えると約束したが、それ以上の支援を拒否した。最後に君緒は涙を流しながら立ち去り、清霞は自分の決断に揺るぎない自信を持ち続けた。
三章 桜に見守られて
母の墓参りへの道中
春の森の中、美世は清霞に手を引かれながら、薄刃義浪、新と共に母・澄美の墓参りに向かっていた。道中、美世があまり話さない理由について新が問いかけたが、呪いの影響を伏せるため、美世は簡単に事情を説明した。新が清霞の浮気を疑う場面もあったが、清霞はそれを即座に否定した。
母の墓前での感謝
墓所オクツキに到着し、澄美の墓前に立った美世は、これまでの思いを胸に花を供え、手を合わせた。澄美が生前も、そして今も、美世を見守り支えてくれたことへの感謝を捧げる美世に、清霞は寄り添い続けた。義浪も澄美が美世の幸せを喜ぶだろうと語り、静かな祈りの時間が続いた。
宴の準備と再会
墓参りを終えた後、一行は花見の宴が行われる薄刃邸へ向かった。新が主催するこの宴は、美世と清霞の結婚前祝いを兼ねており、薄刃家の桜を楽しむためのものでもあった。庭に咲く見事な桜を目にした美世は感嘆しつつ、訪れた招待客たちと再会した。正清、芙由、葉月、大海渡も次々に到着し、宴の席は賑やかさを増していった。
宴の開始と和やかな時間
堯人皇子の登場により、宴の格がさらに高まった。堯人の穏やかな態度に一同は安心し、宴が始まる前に辰石一志も合流した。堯人が乾杯の音頭を取り、宴が正式に開始されると、美世が持参した手料理も含め、用意された料理や酒が大いに振る舞われた。参加者たちは皆、花見を心から楽しみ、美世もまた、この宴の暖かい雰囲気に包まれて充実感を覚えた。
堯人の笑顔と祝辞
堯人は宴席で盃を傾けながら、明るく楽しむ参加者たちの様子を見守っていた。堯人の幼なじみである清霞が声をかけ、二人は会話を交わした。堯人は久しぶりに笑顔を見せ、清霞へ結婚の祝辞を述べた。二人は杯を交わし、穏やかな空気の中、友情を確かめ合った。
清霞と新の対話
宴がたけなわとなった頃、清霞は庭の塀にもたれ、静かに桜を眺めていた。そこに新が現れ、美世が従兄を案じていると伝えた。新は清霞に、美世にかけられた呪いの原因が「おまじない」であった可能性を確認しつつ、清霞がそれをどう受け止めているか問いただした。清霞は不安を吐露しつつも、守るべき者を守る決意を新たにしていた。
夜桜の下での清霞と美世
美世が桜の花の下に現れると、清霞は自然と彼女の元へ向かい、二人で夜桜を楽しんだ。美世が呪いの影響が薄れたことを報告し、清霞は安堵した。美世の姿を見つめる清霞は、彼女への愛情がますます深まるのを感じていた。
美世への約束
清霞は、美世の「結婚するまでは待ってほしい」という願いを当然のこととして受け入れた。彼は、美世への気持ちを自覚しながらも、自分自身を律し、彼女を守り抜く決意を新たにした。夜桜の下で交わされた約束は、二人の絆をさらに強くするものとなった。
祝言前夜の胸騒ぎ
美世は、結婚式前夜の落ち着かない心境を抱えながら家事に没頭していた。夕食の準備をしようと清霞に声をかけたところ、彼も心ここにあらずの様子だった。二人は平静を装いながら夕食について話したが、美世の中には漠然とした不安が拭いきれなかった。
緊急事態の報告
清霞のもとに小隊から緊急の報告が届いた。危険な呪物が発見され、対応を要するとのことである。清霞は迷うことなく出勤の準備を整え、美世に謝罪の言葉を告げた。美世は慌ただしく弁当を用意して清霞に手渡し、彼の無事を祈りつつ送り出した。
一人の夕食準備
清霞を見送った後、美世は不安を抱えながらも夕食の準備に没頭した。食卓には煮物や揚げ物、豚汁など、多くの料理が並べられた。しかし、その料理を目の前にしても、美世は一人で食事をとる気になれず、外の夜空を眺めながら気持ちを落ち着けようとした。
孤独な結婚前夜
最終的に、美世は一人で食事をとり、翌日の結婚式に備えて体を休めることにした。だが、清霞が帰宅しないまま夜が更け、朝を迎えた。彼の不在は不安を増幅させたが、それでも美世は清霞を信じ、結婚式の朝を迎える準備を進めていた。
四章 夫婦の契り
長場家での修羅場
清霞は長場家の庭先で、呪物「土蜘蛛の脚」をめぐる騒動に直面していた。長場家の土蔵から溢れる妖気に緊張が漂い、夫婦の争いが状況をさらに複雑にしていた。長場君緒は恐怖に怯えながらも、自身の無実を主張したが、夫の怒りと清霞の追及に抗えなかった。
呪物発見と隊員たちの緊張
長場家に送られた調査隊が発見した呪物は、強大な妖気を放つ「土蜘蛛の脚」であった。隊員たちは慎重に封印作業を進め、緊迫した空気の中、次々と指示が飛び交った。五道も冷静さを欠き、通常の態度を保てずにいた。
君緒の告白と僧侶の謎
清霞の問い詰めにより、君緒はついに呪物を持ち込んだ経緯を語り始めた。旅の僧侶から渡された木箱が「願いを叶える」とされていたこと、その力を義母への復讐に利用しようとしたことが明らかになった。だが、僧侶の行方は掴めず、情報は途絶えた。
清霞の苦悩と職務への責任感
清霞は式が迫る中、封印作業を優先する決断を迫られていた。美世を不安にさせることを心苦しく思いながらも、危険な呪物を放置することはできなかった。五道の進言にも耳を貸さず、自ら任務を全うする意思を示した。
救援の到着と新たな展開
緊張が極限に達する中、対異特務第二小隊の救援部隊が到着した。清霞の記憶にある顔が含まれており、彼らの登場が状況に変化をもたらす兆しを見せた。
長場家での修羅場
清霞は長場家の庭先で、呪物「土蜘蛛の脚」をめぐる騒動に直面していた。長場家の土蔵から溢れる妖気に緊張が漂い、夫婦の争いが状況をさらに複雑にしていた。長場君緒は恐怖に怯えながらも、自身の無実を主張したが、夫の怒りと清霞の追及に抗えなかった。
呪物発見と隊員たちの緊張
長場家に送られた調査隊が発見した呪物は、強大な妖気を放つ「土蜘蛛の脚」であった。隊員たちは慎重に封印作業を進め、緊迫した空気の中、次々と指示が飛び交った。五道も冷静さを欠き、通常の態度を保てずにいた。
君緒の告白と僧侶の謎
清霞の問い詰めにより、君緒はついに呪物を持ち込んだ経緯を語り始めた。旅の僧侶から渡された木箱が「願いを叶える」とされていたこと、その力を義母への復讐に利用しようとしたことが明らかになった。だが、僧侶の行方は掴めず、情報は途絶えた。
清霞の苦悩と職務への責任感
清霞は式が迫る中、封印作業を優先する決断を迫られていた。美世を不安にさせることを心苦しく思いながらも、危険な呪物を放置することはできなかった。五道の進言にも耳を貸さず、自ら任務を全うする意思を示した。
救援の到着と新たな展開
緊張が極限に達する中、対異特務第二小隊の救援部隊が到着した。清霞の記憶にある顔が含まれており、彼らの登場が状況に変化をもたらす兆しを見せた。
奇妙な夢と予兆
美世は眠りの中で不思議な夢を見ていた。僧侶から木箱を受け取る女性、その女性が山道を歩き続ける光景がぼんやりと浮かび、夢見の異能が働いていると感じた。しかし、その夢が何を意味しているのかは掴めなかった。
結婚式の朝と清霞の不在
結婚式の朝を迎えた美世は、支度を終え、新郎の清霞を待っていた。しかし、清霞は現れず、予定時間を過ぎても到着しない状況に周囲の不安が広がった。葉月や芙由らの励ましを受けながらも、美世の胸中には次第に不安と恐怖が膨らんでいた。
媒酌人との出会い
媒酌人である光明院夫妻が式直前に到着した。光明院は対異特務第二小隊の隊長であり、清霞の元上司であると語った。その際、第二小隊から援軍を送ったことを告げられ、美世はわずかな希望を感じたが、清霞が間に合わない可能性への恐れは拭えなかった。
清霞の到着と再会の安堵
予定時刻を過ぎた後、美世は清霞の到着を知らせる声を聞き、控室を飛び出した。廊下で息を切らして立つ清霞の姿を目にした美世は、安堵から涙をこぼしそうになりながらも、彼の無事を喜んだ。清霞もまた、信じて待っていてくれた美世の姿に安堵と感謝の微笑みを浮かべた。
式への準備と新たな希望
清霞は急いで支度を整えるために去り、美世は晴れやかな気持ちで彼を見送った。不安から解放された美世は、外で舞う桜の花びらを見つめながら、希望と幸福感に包まれていた。
結婚式の始まりと葉月の感慨
晴れ渡る空の下、雅楽が流れる中、花嫁行列が進んだ。葉月は清霞と美世の背中を見つめながら、一年にわたる二人の試練と成長を思い起こした。困難を乗り越えた二人の姿に、葉月の胸には感慨深い思いが込み上げていた。舞い落ちる桜の花びらが、まるで二人の結びつきを祝福しているように感じられた。
厳粛な儀式と美世の心情
本殿内では厳かな雰囲気の中、婚礼の儀が進められた。美世は緊張と感情の高ぶりから、白無垢に包まれた自分を俯きながら見つめていた。儀式中、隣に座る清霞が手を握ると、その温かさに美世は安心感を覚えた。三三九度の儀で夫婦の契りが交わされ、美世は清霞との固い絆を改めて実感した。
祝宴の慌ただしさと出席者との交流
婚礼後、祝宴が始まると、美世と清霞は挨拶に追われた。招待客には政府や軍の要人が多く含まれ、美世にとって緊張の連続であった。しかし、知り合いの顔を見るたびに心が和らぎ、大海渡や対異特務小隊の隊員たちとの交流で、親しみを感じられるひとときが訪れた。
救援を担った薫子と幸次との再会
祝宴には対異特務第二小隊の薫子と幸次も出席していた。彼らが清霞の任務を引き継いだことで、清霞は式に間に合ったと知らされた美世は感謝の言葉を述べた。久しぶりに再会した幸次の変化した姿に美世は驚きながらも、互いの成長を感じた。
幸次からの贈り物
会話の中、幸次は美世に「預かっていたもの」を手渡した。その贈り物は、この日をさらに特別なものにする予感を漂わせていた。
五章 幸せということ
疲労の中の静かな夜
婚礼と祝宴を終えた美世は、風呂上がりの余韻と疲れを感じつつ居間へ向かった。彼女の胸中を占めていたのは、幸次から渡された手紙のことだった。香耶からの封書であると聞いたとき、彼女は驚きと不安を抱いたが、清霞に寄り添われながら封を開けることを決意した。
香耶からの手紙
手紙には香耶の皮肉と率直な感情が綴られていた。美世はかつての香耶の態度を思い出しながらも、手紙の内容を受け止めることで、彼女自身の成長を実感した。香耶が送ったのは、憎しみではなく、ある種の解放感を含む言葉であり、美世の心に不思議な安堵を与えた。
突如の襲撃
翌日、美世は清霞への差し入れを届けるため屯所を訪れた。その場で旧友の君緒と再会するも、彼女から突然の襲撃を受けた。君緒の手に握られていた小刀が美世に向けられたが、清霞が改良したお守りの力によって美世は無傷で済んだ。
君緒の叫びと涙
君緒は涙ながらに自らの不満と孤独を訴えた。彼女の言葉には深い痛みと絶望が込められていたが、美世はそれを冷静に受け止め、優しく言葉をかけた。君緒の心の闇は深かったが、美世の姿勢は彼女に少しの救いをもたらしたようであった。
清霞の心配と愛
襲撃の後、清霞は美世を強く抱きしめ、彼女の無事を喜んだ。清霞は美世の命が危険にさらされることに耐えられないと告白し、美世は彼の深い愛情を改めて感じた。二人の間には、試練を乗り越えた強い絆が確かに存在していた。
五道の観察と隊長の変化
五道は君緒を警察に引き渡した後、屯所に戻りながら清霞が美世を門まで送り届ける姿を目撃した。二人の間に漂う幸せな雰囲気は、誰にも邪魔できそうになかった。五道は、清霞が美世と出会うことで、以前の冷酷で険のある印象から優しく穏やかな人物へと変わったことを改めて感じた。特に、美世への慈しみが込められた表情と言葉遣いは、清霞の愛情の深さを物語っていた。
五道の思いと土蜘蛛への決意
五道は清霞の変化を喜びながらも、自分自身の未来を思い描いた。しかし、土蜘蛛という異形の存在が彼の心に暗い影を落としていた。それは彼の父を死に追いやった存在であり、彼にとって長く消えない復讐の対象であった。清霞を恨んだ過去を振り返りつつ、彼は今、自らの手でその異形を討つ決意を固めていた。
新婚の清霞への配慮
五道は新婚の清霞に余計な負担をかけまいと、自らの任務に慎重に向き合う覚悟を新たにした。清霞と美世の幸福そうな姿を見ながら、彼は静かに微笑み、心の中で決意を強くした。
終章
公園での夫婦のひととき
美世は日傘を差し、ベンチに座りながら膝枕をする清霞を見つめていた。清霞は対異特務小隊の忙しい日々に追われており、その疲労が顔に現れていた。二人は昼休みに公園で弁当を共にし、穏やかな時間を過ごしていたが、清霞はそのまま微睡み、膝の上で静かに眠りについた。美世は優しく彼の髪を撫で、幸せそうな彼の寝顔を見守った。
目覚めと甘い会話
美世の呼びかけに応じ、清霞は目を覚ました。寝起きの声で挨拶を交わす二人には、深い信頼と愛情が感じられた。清霞は短い眠りながらもリフレッシュした様子で、美世に感謝を伝えた。立ち上がった清霞は、美世を立たせるために手を差し出し、二人の距離を近づけた後、ふと唇に軽い口づけを落とした。
新婚旅行の提案と未来への約束
照れる美世とは対照的に、清霞は上機嫌で手を繫ぎながら歩き出した。彼は美世に新婚旅行の提案をし、どこに行きたいか考えておくよう伝えた。美世はその言葉に応じ、心からの喜びを感じて微笑んだ。二人は穏やかな風に吹かれながら、互いの愛を確かめ合い、未来への期待を胸に歩み続けていた。
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