小説「魔女と傭兵 5」ジグとシアーシャ、教会へカチコム 感想・ネタバレ

小説「魔女と傭兵 5」ジグとシアーシャ、教会へカチコム 感想・ネタバレ

どんな本?

『魔女と傭兵 5』は、超法規的かえる氏が執筆し、叶世べんち氏がイラストを担当するライトノベルシリーズの第5巻である。本作は、2024年11月20日にマイクロマガジン社のGCN文庫より刊行された。

物語は、人間以外の種族を「亜人」として差別する宗教組織「澄人教」が暗躍する世界を舞台とする。主人公の傭兵ジグは、魔女シアーシャの護衛を務めつつ、澄人教との対立に巻き込まれていく。本巻では、ジグとシアーシャが澄人教の免罪官ヤサエルと対峙し、激しい戦闘が繰り広げられる。

本作は、ウェブ小説から発展し、圧倒的な支持を受ける本格ファンタジー作品である。既刊全巻が重版されるなど、高い評価を得ている。

読んだ本のタイトル

魔女と傭兵 5
著者:超法規的かえる 氏
イラスト:叶世べんち  氏

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あらすじ・内容

双刃、奔る。
歪な二人が交わるとき、物語は始まる


澄人教。
人間以外の種族を人間以下の亜人と定義する、社会の奥底に暗く澱んだ悪意。

人ならざる「魔女」を護衛するジグは、彼らに対する情報を集めながらも極力不干渉を貫いていた。
だが、鱗人・ウルバスと食事を共にした直後、ジグはギルドで澄人教徒の襲撃を受ける。

向こうから実力行使に出てきた以上、もはや不干渉ではいられない。
この街で作り上げてきた人脈を足掛かりに、教会へと乗り込むジグとシアーシャ。
二人はそこで澄人教免罪官・ヤサエルと対峙する。

魔女と傭兵 5

マイクロマガジン社MICRO MAGAZINE, INC.

感想

武器を失ったジグと猿狗討伐

ジグは愛用していた剣を失い、馴染みの鍛冶屋に新たな武器を依頼していたが、完成には時間が必要であった。
その間、シアーシャの護衛を続けながら、猿狗という特殊な魔獣の討伐依頼に同行した。猿狗は他の魔獣と共生する特異な存在であり、駆逐するには熟練した技術が必要であった。
ジグは長剣や斧、さらにハルバートを駆使し、シアーシャの魔術と連携して大きな戦果を挙げた。

シグとシアーシャの強烈な戦力を周りの冒険者に知らしめたが、犠牲も多く出てしまう。その負債を回収しようと冒険者達は必死に報酬の上乗せを獲得しようとしたが。

最も活躍したシグとシアーシャは、報酬の分配では謙虚な姿勢を見せ、金銭に余裕のある一面も垣間見えた。

あ、シグは毎回武器を壊すから余裕が無かった。

澄人教との因縁

ジグが鱗人・ウルバスと交流を深めたことが、澄人教の怒りを招いた。
彼らは人間以外の種族を下等な亜人と見下し、その存在を否定していた。
冒険者ギルドでジグは澄人教徒に襲われるが、圧倒的な戦闘力でこれを退けた。
しかしその結果、ギルドからの立ち入り禁止処分を受け、シアーシャの活動にも支障をきたすこととなった。
事態を打開するため、ジグとシアーシャは澄人教の本部へ向かい、直接対決を挑む決意を固めた。

免罪官ヤサエルとの戦闘

澄人教の本部で待ち受けていたのは、教団最強の免罪官・ヤサエルであった。彼は強大な力を持ち、ジグを圧倒するほどの戦闘能力を誇っていた。
しかし、ジグは多彩な戦術と体力で対抗し、熾烈な戦いの末に辛くも勝利を収めた。
シアーシャもまた、魔術の力を駆使してジグを支え、その連携の強さが際立った場面であった。

ジグとシアーシャの絆

本作では、ジグとシアーシャの関係性がより深く描かれている。
特に澄人教との戦いを通じて、二人が互いを信頼し合いながら困難に立ち向かう姿が印象的であった。
物語の終盤、危機を乗り越えた二人の絆が一層強固なものとなり、ジグが何故治癒魔法が効きやすいのかも判明。
次作への期待を抱かせる展開であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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その他フィクション

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フィクション ( Novel ) あいうえお順

備忘録

一章  異音を発する歯車

危険な依頼とジグの葛藤
ジグは危険な依頼に対し躊躇したが、契約上拒否できず、依頼人に説得されて運搬を引き受けた。その後、危険な物品を慎重に運ぶ間、失敗の恐れに苛まれたが、無事に依頼を完了させた。運んでいたのは牛乳であり、その過酷な運搬条件にジグは強い不満を抱えた。

街の朝とジグの鍛錬
朝霧に包まれた静かな街で、住民たちは徐々に活動を始めていた。ジグはその中で日課の走り込みを行い、過去の失敗を反省しつつ新しい武器の扱いを鍛錬した。彼の装備は実戦に即応できるものだったが、背中にあったブリキ缶(牛乳)に関わる不安は消えず、注意深く行動した。

謎の老人との邂逅
日課中、ジグは街中で一人の老人と目が合った。その老人の不自然な行動はジグに不安を抱かせたが、すぐに立ち去られたため、詳細は掴めなかった。ジグは異様な気配を感じつつも、日課を終えた。

魔女シアーシャとの再会
鍛錬を終えたジグは、同伴者であるシアーシャを迎えに行った。彼女の魅力に困惑しながらも、冒険者としての彼女の行動に信頼を寄せ、依頼準備を進める。シアーシャはジグに対し、自身の依頼選びの意図や新たな冒険計画を語った。

ギルドでの対立と協力の申し出
ギルドにて、ジグは冒険者ベイツやエルシアと遭遇した。彼らとの軽い衝突の後、猿狗という魔獣討伐に関する協力の提案を受ける。ジグは曖昧な「口約束」について疑問を抱いたが、彼らの説明を受け入れ、状況に応じた行動を考えることにした。

猿狗の討伐計画
猿狗は他の魔獣と共生する特殊な性質を持つ厄介な魔獣であり、その討伐依頼は慎重な準備を要した。シアーシャはその特性を説明しつつ、討伐の計画を進めた。ジグはその危険性を理解しつつも、依頼を受ける方向で動き出した。

冒険者同士の交流とジグの決意
協力を申し出たベイツとのやり取りの中で、ジグは曖昧な約束を受け入れる難しさを知ったが、最終的に彼らの意思を尊重する形を取った。シアーシャと共に新たな冒険に挑む準備を整え、期待と不安を胸に一歩を踏み出した。

二章  鬼の威を借る犬猿

浮遊荷台の導入と冒険者の羨望
シアーシャは魔力で浮かせることができる浮遊荷台を購入し、これに携帯食料や野営道具を積み込んでいた。この荷台は二人の活動を大幅に効率化するもので、初心者冒険者たちから羨望の眼差しを受けていた。中でも自走型という高価なモデルを選んだシアーシャの判断は、冒険者としての成熟を示していた。ジグはその高額な価格に驚きつつも、この投資が今後の活動に役立つことを理解していた。

猿狗討伐の準備と他冒険者との距離
ジグとシアーシャは猿狗の群れが現れた森へと向かった。そこには同じ依頼を受けた冒険者たちの姿が見られたが、二人とは一定の距離を保つような様子であった。これはジグとシアーシャが「危険な存在」として知られていたためである。それでもワダツミの冒険者であるケインやセツが接触し、情報を共有する形で協力を進めていった。

猿狗との戦闘と巧みな連携
森の奥で猿狗の姿が確認され、戦闘が開始された。ジグとシアーシャはそれぞれの得意分野を活かし、攻撃を仕掛けた。シアーシャは強力な魔術で猿狗の動きを制し、ジグは長剣と手斧を駆使して個別に仕留めていった。猿狗の投石や機敏な動きに苦戦しつつも、二人は連携を保ち、次々と敵を倒していった。

戦闘後の反省と次の動き
戦闘が終わった後、ジグとシアーシャは戦況を確認し合った。ジグは猿狗の動きに対する対策を考えつつも、シアーシャの冗談めいた発言に苦笑する場面もあった。その時、遠くから新たな戦闘の気配が感じられた。シアーシャは興奮気味に次の行動を促し、ジグもそれに応じて進む準備を整えた。

三面鬼との遭遇と初戦闘
ハインツは猿狗を次々と倒し、自信を見せていたが、リザの警戒する声で新たな魔獣「三面鬼」の襲来を知った。その異形は巨大な棍棒と異様な顔を持ち、威圧感を漂わせていた。リザは射撃で注意を引き、ハインツが接近戦で対応したが、三面鬼の力は凄まじく、攻撃をかわしつつも満足なダメージを与えることはできなかった。

二体目の三面鬼と混戦の激化
ハインツが三面鬼と対峙している間に、二体目の三面鬼が出現し、戦況はさらに悪化した。リザの攻撃は幾分か効果を上げたが、強敵を相手に彼らの戦闘は次第に厳しさを増していった。一方で、他の冒険者たちも襲撃を受けており、状況は混乱を極めた。

ハインツの負傷とリザの決断
二体目の三面鬼の攻撃を受け、ハインツは重傷を負った。右腕の骨折と胸部への深刻なダメージにより、戦闘能力を大きく損なった彼に対し、リザは脱出を提案したが、ハインツはリザ一人を逃がす判断を下した。

リザの脱出とハインツの奮闘
リザはハインツの言葉に従い、最後の一瞬まで猶予を稼ぐために戦い続けた。最後のボルトで三面鬼を一瞬ひるませ、その間に逃走を図る。背後で響くハインツの魔術の音を聞きながら、彼女は振り返らずに走り続けた。

三面鬼の出現と救援の決定
戦場に新たな魔獣が現れたことを知らせる笛の音が響いた。ジグとシアーシャはワダツミのパーティーと合流し、三面鬼の襲来について情報を共有した。ケインの指示のもと、彼らは救援と魔獣討伐の役割を分担することを決定した。シアーシャは魔獣の殲滅を優先目標とし、ケインたちは負傷者の救出を担当することとなった。

三面鬼との交戦と戦況の悪化
戦場では冒険者たちが三面鬼の群れに苦戦していた。ジグは孤立した冒険者を救うべく駆け出し、シアーシャは周囲を援護するために魔術を展開した。三面鬼はその圧倒的な力と魔術で冒険者たちを翻弄しており、戦況は拮抗していた。

シアーシャの魔術と戦局の転換
シアーシャは圧縮した魔力を込めた黒い岩槍を生成し、一匹の三面鬼を一撃で仕留めた。その圧倒的な力に三面鬼たちは怯み、冒険者たちは彼女の気配に驚愕しながらも撤退を開始した。シアーシャは残る三面鬼を挑発し、新たな魔術を準備しながら戦いに臨んだ。

セツとワダツミの奮闘
シアーシャの圧倒的な威圧感に動揺する冒険者たちをセツが奮い立たせ、負傷者の退避を指揮した。一方でセツたちは連携して三面鬼を引きつけ、巧みな攻撃でその動きを封じていった。蒼双兜や魔繰蟲との戦闘経験を活かした戦術は、三面鬼を確実に追い詰めていく効果的なものであった。

三面鬼と猿狗の襲撃への応戦
ジグは三面鬼と猿狗に追い詰められていた冒険者リザを救援するため、迅速に動いた。猿狗の包囲を突破し、その首を刎ねてリザの退路を確保した。ジグは残る猿狗を巧みに翻弄しつつ、三面鬼との対峙へと進んだ。猿狗の攻撃をかわしながら、三面鬼の腕に傷をつけ、その防御力と反応の速さを見極めた。

シアーシャの攻撃と戦局の転換
シアーシャが放った黒い岩槍が三面鬼を仕留め、戦場の流れを大きく変えた。仲間の絶叫を聞いた三面鬼たちは注意を逸らしたが、ジグはその隙を見逃さず攻撃を継続した。武器の不足を補うため、ジグは倒れていた斧槍を拾い上げ、状況を打開する手段として活用した。

ハルバードを用いた反撃
斧槍を得たジグは、そのリーチと威力を活かし猿狗を次々と仕留めた。圧倒的な力と巧みな動きで敵を翻弄しながら、三面鬼の攻撃を受け流しつつ反撃の機会を狙った。ジグの渾身の一撃が三面鬼の棍棒を粉砕し、戦闘の主導権を完全に奪い取った。

三面鬼の親子との決着
重傷を負った三面鬼を守ろうとする子供の三面鬼が最後の抵抗を試みたが、ジグの容赦ない攻撃の前に力尽きた。親三面鬼もまたその力を振り絞って戦おうとしたが、ジグの冷静かつ強力な攻撃により命を落とした。親子の絆を感じさせる魔獣たちの最後は、ジグのハルバードによって終止符を打たれた。

シアーシャによる三面鬼の撃破
シアーシャは土の腕を操り、二匹の三面鬼を拘束して圧倒した。三面鬼は抵抗を試みたが、徐々にその動きを失い、最後には圧迫により絶命した。彼女の圧倒的な魔術の前に、敵対する三面鬼は成すすべがなかった。

猿狗への攻撃と挑発
シアーシャは残る猿狗を狙い岩槍を放ったが、猿狗は巧みに避け続け、逆に彼女を挑発するような行動を見せた。糞を投げつけられたことで怒りを爆発させたシアーシャはさらなる強力な魔術を発動し、地震を引き起こして猿狗の動きを封じた。冒険者たちがその隙を利用して猿狗を撃破し、戦闘は終息に向かった。

リザとの会話と救援要請
ジグは戦闘の中で拾ったハルバードの持ち主をリザに尋ねたが、その持ち主ハインツが重傷を負って木に引っ掛かっていることが判明した。リザとジグは協力してハインツを救助し、応急処置を施したが、彼の容態は深刻であった。ジグはシアーシャの力を借りるべく、彼女を呼びに行くことを決意した。

ジグとシアーシャの連携
ジグは急ぎシアーシャを伴い現場に戻るため、彼女を抱えたまま駆け出した。彼の迅速かつ的確な動きにより、短時間で目的地に向かうことができた。シアーシャはその行動の中で彼の温かさや人間味を感じ、無言でその存在に心を寄せた。彼らの間には微妙な感情の変化が見え隠れした。

猿狗討伐後の冒険者たちの混乱
猿狗討伐を終えた冒険者たちは撤収準備を進めていたが、討伐の成功とは裏腹に多大な被害が出ていた。死者や重傷者が続出し、三面鬼の素材分配を巡る争いが激化した。特にシアーシャやジグの圧倒的な活躍が目立ち、他のパーティーとの貢献度の差が溝を深めていた。

三面鬼の素材を巡る調整
冒険者たちの間で素材分配がまとまらない中、ジグはシアーシャの許可を得て、自分たちが討伐した三面鬼の素材を提供することで争いを収めた。ジグは「恩を売る」という名目でこの調整を引き受け、冒険者たちの不満を沈めた。結果として険悪な雰囲気は和らぎ、冒険者たちは協力して解体作業を進めることができた。

ハインツの救護とリザの困難
重傷を負ったハインツを背負うリザは、魔獣素材やハルバードを運ぶのに苦慮していた。ジグはリザを助けるため、ハルバードを一時的に預かり、リザの負担を軽減した。この行動にリザは感謝しつつも、自分たちの困難な状況を理解している様子を見せた。

異常な状況への懸念
ジグは今回の討伐や過去の依頼での「想定外」の多発を指摘し、シアーシャとリザに意見を求めた。リザはギルドが注意喚起を行っていることを説明したが、異常の原因については確定的な答えを出せなかった。彼女は魔獣の生息域の変化が異常の一因ではないかと推測したが、それ以上の確信は持てなかった。

ギルドへの帰還
討伐後、ジグたちはハインツを治療のためにギルドへと送り届けた。リザは必ず礼をすると約束し、ハインツの治療を急いだ。一方でジグとシアーシャは特に感慨を示さず、普段通りにギルドの受付へ向かった。

三章  澄み人の教え

受付での報告と手続き
シアーシャはギルド受付のシアンに討伐の経過を報告した。猿狗が三面鬼の群れを引き連れていたことや、討伐中の犠牲者数を伝えたが、その無頓着な態度にシアンは表情を強ばらせた。ジグが手短に被害状況を補足し、受付業務を迅速に進めた後、彼らはハインツの武器を預けてその場を後にした。

蜥蜴族の友人ウルバスとの再会
二人はギルドを出たところで、蜥蜴族の友人ウルバスと再会した。彼の提案で、三人は近くの冒険者向けの食事処へ向かった。ウルバスは鱗人という亜人種でありながら、差別を受ける状況に耐えつつも柔和な態度を保ち、ジグとシアーシャをもてなした。

澄人教の話題と宗教観の違い
食事の席でジグはウルバスに澄人教について尋ねた。この宗教は人間至上主義を唱え、亜人を原罪の象徴として差別する教義を持つ。ウルバスはその影響が地域や冒険者の間にも潜在的に広がっていることを説明した。一方、ジグとシアーシャは澄人教に対して興味を示しつつも、個人的な関心は薄いと語った。

種族間の微妙な関係
店内では人間と亜人の座席が自然と分かれている状況があり、ジグはその違和感を感じ取った。ウルバスは、冒険者の世界が実力主義である一方で、種族差別が依然として根強く残っている現実を語った。

食事を終えての別れ
ウルバスの奢りで食事を終えた三人は別れを告げた。ジグとシアーシャは彼の厚意に感謝しつつ店を後にした。ウルバスは彼らの率直な反応に安堵し、対等な関係を保ち続けることに満足した様子であった。

新しい武器の引き取り
ジグはエルネスタ工房を訪れ、完成した新しい武器を引き取った。その武器は血晶纏竜の頭角を加工して作られており、赤黒い刀身が特徴的であった。ガントから素材の特性や武器の性能について詳細な説明を受けたジグは、その魔術を散らす能力に驚きながらも納得して受け取った。支払いは事前の予算通りで済み、ジグは工房を後にした。

尾行者との遭遇
武器を受け取った後、ジグは誰かに尾けられている気配を察知した。露店の硝子細工で背後を確認し、怪しい気配を確かめたジグは、わざと高級な店に入り尾行者を誘き出した。現れたのはカティアという女性であり、彼女は尾行が見破られたことに不満げながらも店員にケーキを注文し、ジグと対面した。

カティアとの会話
カティアはジグの仕事について探りを入れ、どのような依頼を受けるのかを尋ねた。ジグは詳細を語らず、依頼人の情報を守る姿勢を示したが、必要に応じて話せる範囲で答えるとした。カティアの軽い挑発に乗ることなく、ジグは冷静に対応し、話の主導権を握りつつ状況を観察した。

情報の駆け引き
カティアはジグの過去や依頼内容を探るために接触してきたようであった。ジグは彼女の意図を見抜きながら、晒しても問題ない情報を小出しにする戦略を取った。一方で、カティアはジグの金欠を揶揄しつつ、会話の中で少しでも情報を引き出そうとしていた。二人の間には微妙な駆け引きが続いたが、ジグは冷静さを崩さず、カティアの挑発に乗らなかった。

ギルドでの不穏な視線
ジグとシアーシャはギルドを訪れ、新たな仕事を選んでいた。シアーシャが依頼を探す間、ジグはいつもの丸テーブルで待機していたが、周囲から異様な視線を感じた。その視線は普段の好奇の目とは異なり、重く粘着質であった。ジグは背後に潜む危険を察知し、警戒を強めた。

襲撃者との交戦
ギルドの扉が開くと同時に、ジグを狙ったクロスボウのボルトが放たれた。ジグは咄嗟に身を反らして攻撃を回避し、テーブルを盾に身を隠した。さらに続く襲撃に対し、ジグは瞬時に判断を下し、投げナイフと双刃剣を駆使して反撃した。激しい戦闘の末、ジグは6人の襲撃者を全て制圧した。

ギルド職員カークとの対話
戦闘後、ギルドの副頭取カークが現れ、襲撃の状況を確認した。ジグはカークから、襲撃者が澄人教と関係がある可能性を聞かされる。また、ギルドはこの事件に表立って介入せず、ジグにギルドへの立ち入り禁止を命じた。この対応に不満を抱いたシアーシャは激昂し、魔力を放ちつつ抗議したが、ジグが冷静に仲裁した。

澄人教の狙いと対処
カークの説明によれば、澄人教は異種族の名前を消し去ろうと画策しており、ジグが「鱗人」という呼称を使ったことで目を付けられた可能性が高いとされた。カークは直接的な指示は避けつつも、澄人教に対するジグの行動を黙認する姿勢を示した。これを受け、ジグとシアーシャは澄人教への対策を開始することを決意した。

ウルバスとの会話
ギルドを後にする際、鱗人のウルバスがジグに謝罪した。彼は自分たちの存在がジグを巻き込んだことを悔いていたが、ジグは「敵対の原因は相手側にある」と断言し、ウルバスを安心させた。そして、ジグとシアーシャは準備を整えるべく宿へ向かった。

反撃への準備
宿での装備調整と情報収集を進める中で、ジグは澄人教への反撃を決意した。シアーシャは楽しげな様子でその行動を支え、二人は澄人教への行動に向けて歩みを進めた。

四章  免罪官

宗教の基本理念と教会の到達

宗教は国や地域によって様々であるが、大きな特徴は「奇跡を起こすこと」と「仲間意識の形成」である。奇跡による利益や、信仰を通じて強化される結束が宗教の中心となる要素である。ジグとシアーシャは準備を整えた後、目的の教会へと到着した。白を基調とした建物は荘厳さを漂わせており、周囲からは一際目立つ存在であった。

教会への挨拶と防御術の突破

ジグとシアーシャは教会の扉に向かって堂々と接近し、交渉を始めるとして岩槍を準備した。シアーシャが放った岩槍は、三重の防御術をいとも簡単に突破し、扉を粉砕した。ジグはその穴をさらに広げるように蹴り飛ばし、二人は教会内部へ進入した。

免罪官ヤサエルとの対峙

教会内部では免罪官ヤサエルが信徒に教えを説いていたが、ジグとシアーシャの登場によってその静寂が破られた。ジグはギルドでの襲撃について抗議し、ヤサエルはそれに対し平然とした態度で弁明を試みた。彼は澄人教の信仰理念や「免罪官」としての役割を説明しつつ、襲撃者と教会の関係を否定した。

交渉の決裂と戦闘の勃発

シアーシャはヤサエルの弁明を「くだらない建前」と切り捨て、澄人教の隠された意図を暴いた。これにより、ヤサエルは信徒たちへ攻撃命令を下し、教会内で激しい戦闘が繰り広げられることとなった。シアーシャは魔術で防御と攻撃を駆使し、ジグは双刃剣で次々と信徒たちを倒していった。

冒険者たちとの激闘

ジグの前には熟練の冒険者たちが立ちはだかり、連携の取れた攻撃で彼を追い詰めた。ジグは彼らの高い戦闘技術に驚きつつも、的確な判断と圧倒的な膂力で反撃を続けた。激戦の末、槍使いとその仲間たちを全滅させ、最後に残った冒険者をも倒した。

ヤサエルへの接近

全ての敵を撃破したジグは、壇上で祈りを終えたヤサエルに向き直った。ヤサエルはジグの戦いを目にしながらも落ち着いた態度を崩さず、新たな展開を迎える準備を整えていた。

信徒たちの抗戦と混乱

信徒たちは一人の敵に対し散開して戦うことを選んだ。熟練者を中心に防御と攻撃を分担し、混乱の中でも秩序を保っていた。その様子にシアーシャは感心しつつも、彼らの忠誠心が宗教の強さを物語ると考えた。信徒たちが飛ばす魔術や攻撃を防ぎながら、シアーシャは次々と敵を間引いていった。

石の杭と奇襲への対処

シアーシャの足元から放たれる石の杭が敵を容赦なく貫いた。突如として繰り出されたこの攻撃により、信徒たちは防御を下方向にも向けざるを得なくなった。混乱が生じる中、一人の男がシアーシャへ奇襲を仕掛けたが、石の杭に阻まれ失敗した。その後、男は石で拘束され、圧死させられた。

脱出口の封鎖と恐怖の拡大

シアーシャは教会内の全ての出口を岩で封鎖した。これにより外の光が遮られ、室内は薄暗くなった。この行動により、信徒たちは逃げ場がない状況に追い込まれ、初めて恐怖を露わにした。彼女の微笑みと軽快な仕草は、敵にさらなる不安を与えた。

ヤサエルとの対峙

壇上から降りてきたヤサエルは、錫杖を手にジグと対峙した。祈りを終えたヤサエルは、ジグの罪が赦されるべきだと告げた。ジグは自分の名前を名乗り、二人は互いに構えを取った。傭兵と免罪官の戦いが苛烈に繰り広げられることとなった。

冒険者ギルドでの相談と動揺

ウルバスはジグたちが去った後、澄人教とのいざこざにどう対応すべきか迷い、ギルド内を落ち着きなく動き回っていた。そんな彼に声を掛けたのは、面倒見の良さで知られるベイツである。ウルバスが事情を説明すると、ベイツは事の重大さに頭を抱えつつも、慎重に策を考え始めた。

イサナの登場と協力の申し出

相談の途中、突如現れたのは「白雷姫」ことイサナ =ゲイホーンである。彼女はジグとの個人的な借りを理由に、自ら澄人教との戦いに協力を申し出た。その好戦的な態度と確かな実力がベイツを一瞬驚かせたが、強力な戦力の追加として歓迎された。

エルシアの参入と過去の告白

さらに、ベイツが呼び寄せたのは銀髪の法衣を纏う女エルシアである。彼女はかつて澄人教の一員であった過去を明かしつつも、ジグへの恩返しのために協力することを承諾した。その経験を活かし、澄人教の戦力や僧兵の特徴について詳細な情報を提供した。

僧兵と免罪官の脅威

エルシアは澄人教の戦闘要員である僧兵について語り、その中でも特に優秀な者にのみ与えられる役職「免罪官」の存在を警告した。僧兵は少数精鋭で育成されており、豊富な戦闘経験と対人技術を持つ危険な存在である。さらに、免罪官はその中でも突出した実力を持つ者だけが名乗ることを許される存在であると説明された。

激戦の教会内での対決

激しい剣戟が教会内に響き渡り、ジグとヤサエルの戦いが繰り広げられた。両者は互いに圧倒的な力と技をぶつけ合い、攻防を繰り返したが、次第にジグが押され始めた。ヤサエルは一対一の戦闘に持ち込み、ジグの乱戦での強さを封じ込めようとした。その策略は的中し、技術と体術で上回るヤサエルが次第に優勢に立った。

ジグの反撃と勝利への執念

劣勢に立たされたジグであったが、彼の戦闘本能と経験は健在であった。攻撃の隙間をつきながら、ヤサエルの防御を崩していった。最終的に両者が全力を注ぎ込んだ最後の一撃で、ジグがヤサエルを切り伏せた。ヤサエルの錫杖はジグの腹部を貫いたものの、彼はそれを耐え抜き、辛くも勝利を収めた。

現れたイサナと戦闘の余波

戦闘後、教会の外でイサナがジグたちを待ち受けていた。彼女はジグの危険を察知して駆けつけ、既に外で増援の教徒たちを一掃していた。イサナの参戦はジグの負担を軽減する結果となり、彼女の実力と忠誠心が改めて示された。

ヤサエルとの戦いの影響

ジグの傷は深刻であったが、シアーシャの回復術により一命を取り留めた。戦いを通じてジグは、ヤサエルの強さを認め、彼が自分よりも強いと評価した。しかし、勝利したことによりジグは自らの経験と執念が相手を凌駕したことを実感した。

次なる行動への準備

ジグたちは教会の跡地をバザルタとの契約に基づき引き渡す準備を進めた。この結果、ジグたちの戦闘は単なる戦いに留まらず、政治的な駆け引きと利益を生むものとなった。満身創痍ながらも次の目的地に向かうジグの背中には、戦士としての覚悟と依頼主への忠誠心が垣間見えた。

五章  後始末

ジグの緊急治療

ジグは二人に支えられ、ベイツが手配した医院へ運び込まれた。院長のドレアは診療時間を過ぎていたにもかかわらず、快く彼を受け入れた。治療が進む中、ジグの回復力の高さが再確認された。ドレアが用意した特製の病人食を黙々と食べるジグの様子は、傭兵としての耐性を物語っていた。

イサナの去り際

治療を終えたジグの元を去る際、イサナは彼に「養生するように」と言い残した。彼女の背を見送りながら、ジグはその助力に感謝しつつも、すぐに冒険者業へ復帰する準備を進める必要性を感じていた。

回復力と異世界の違い

ジグはシアーシャから回復術の効き目に関する話を聞いた。こちらの大陸の人々は魔力に依存しすぎているため、自然治癒能力が衰えているのだと知った。彼は自らの身体の頑強さと異世界の進化の違いを改めて理解しつつも、それ以上深く考えないことにした。

ヤサエルとの戦いの回想

シアーシャがヤサエルとの戦闘を振り返るジグに問いかけた際、彼はヤサエルが自分と同じく厳しい環境で戦い抜いてきた存在だと語った。ヤサエルの死に顔が晴れやかだったことを思い出し、ジグは自らの死が同じように満足のいくものになるのかと自問した。

シアーシャの決意

ジグの弱気な発言を聞いたシアーシャは、彼を死なせないと強く宣言した。その言葉と触れた手の温もりにより、ジグは感傷的な思考から抜け出し、再び冷静さを取り戻した。彼女の想いを受け止め、ジグは護衛対象としての彼女を安心させるべく、再び任務に集中する決意を新たにした。

再出発への準備

最後にジグは、退院後すぐに冒険者業を再開することをシアーシャに告げた。彼女もそれを了承し、次なる冒険の準備が始まった。

深夜の襲撃

病院を囲む複数の影は、ヤサエルの死を受け入れられない澄人教の生き残りであった。彼らはジグの命を狙い襲撃を試みたが、張り込んでいた冒険者ベイツとエルシアに阻まれた。教徒たちは二人の挑発と圧倒的な威圧感に動きを封じられ、最後には敗走を余儀なくされた。

ジグの異常な食欲

入院三日目、ジグの食欲は病院中に知れ渡るほど凄まじいものであった。近隣の食品店から買い占めた食材を次々に平らげ、空腹を満たしていった。大量の食事により、彼の回復は驚異的な速度を見せ、大きな傷もほとんど塞がっていた。

バザルタの訪問

バザルタの幹部ヴァンノとカティアが病室を訪れた。彼らはジグにヤサエルの死と信徒の壊滅を報告し、教会跡地を利用する計画を伝えた。しかし、ヴァンノはシアーシャに興味を持ち、その瞳に秘められた恐るべき何かを目にして動揺した。ジグの忠告に従い、彼女には関わらないと決めて病室を後にした。

シアーシャの優しさと秘密

ジグが深い眠りについた後、シアーシャは彼の頬に触れ、その傷を愛おしむように撫でた。普段は目を覚ますはずの彼が眠り続けている様子に、彼女は特別な信頼を感じ取った。静かに病室を後にする彼女の表情には、何か含むような笑みが浮かんでいた。

番外編  魔女と傭兵たち

シュヴァイゲンの静寂

シュヴァイゲンは山脈に囲まれた天然の要害であり、平穏な田舎国であった。しかし、傭兵や隣国の派兵による脅威は常に存在し、常備軍の代わりに傭兵の需要が高まっていた。その一方で、沈黙の森と呼ばれる危険な地帯には、かつて魔女討伐隊が壊滅したという伝説が残されていた。

酒場での噂話

薄汚れた酒場では、無精ひげを生やした情報屋が百鬼兵団の団員と見られる傭兵へ沈黙の森の情報を売った。客が去った後、他の傭兵が百鬼兵団の評判を語った。彼らは王国の正規兵を凌駕する精鋭揃いだが、魔女には敵わないという噂が広まっていた。

沈黙の森の探索

百翼兵団の団長ディバルトスと副団長ヴィクトールは、沈黙の森を進軍するように進んでいた。魔女の異質さを経験しているヴィクトールは、その存在の危険性を語りつつも、目的地である魔女の住処へ向かった。そこには討伐隊の残骸と荒れ果てた地形が広がっていた。

紅蓮の魔女との遭遇

突如現れた紅い髪の魔女は、優雅ながらも獰猛な態度で二人に接触した。魔女の威圧感と異常な存在感に圧倒されつつも、ディバルトスとヴィクトールは冷静に応じた。魔女が本気の力を見せつける中、二人はそれを回避し戦闘態勢に入った。

魔女との対決

紅蓮の魔女は二人を「身の程知らず」と嘲笑し、炎を自在に操る圧倒的な力を見せた。一方、百翼兵団の二人もその実力を発揮し、魔女に挑む覚悟を固めた。こうして、人知れず森の中で激闘が繰り広げられることとなった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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