どんな本?
学校の屋上で弁当を食べようとしていたらいきなり異世界に召喚された高校生の御子柴亮真。
ただ彼はマトモじゃ無かった。
召喚した魔術師を殺し。
逃亡途中で双子姉妹を仲間にして大国の帝国から逃亡。
読んだ本のタイトル
#ウォルテニア戦記 II (Record of Wortenia War: Volume 2)
著者:保利亮太 氏
イラスト:bob 氏
あらすじ・内容
異世界の軍事大国・オルトメア帝国に召喚された高校生・御子柴亮真。
帝国に大打撃を与えながら脱出した彼は、双子の姉妹ローラ・サーラとともに元の世界へ還る方法を探しながら旅を続けていた。
しかし彼らは偶然が導くまま、赤髪の女傭兵リオネ率いる「紅獅子」傭兵団と共にローゼリア王国の内紛に巻き込まれてしまう。
そこで国家とギルドと言う巨大な権力に挟まれた亮真は、己の戦才をこの世界で活かすためある決断を下す。「必ず取り返す――俺の奪われた運命を」
The Empire of O’ltormea, a militaristic country, summoned Ryoma Mikoshiba, a high schooler from another world. Dealing a major blow to the empire, Ryoma escapes their clutches. With the twin sisters Laura and Sara at his side, Ryoma meets a mercenary group called the Crimson Lion.
In the middle of mercenary work, Ryoma accidentally becomes involved in the inner workings of the Kingdom of Rhoadseria. Now forced to employ his wit and cunning in this world, Ryoma makes a pledge.
“I’ll take it back, no matter what – the fate that’s been stolen from me!”
The Rhoadseria Civil War arc, which marks Ryoma’s first progress towards supreme ruler, begins!
感想
帝国から逃げて、双子達と冒険者をしながら旅をしていたら。。
After escaping from the empire, Ryoma was traveling with the twins as an adventurer.
ギルドとローゼリア王国の貴族派にハメられて王女派の騎士に襲われてしまう。
They are framed by the Guild and the noble faction of the Kingdom of Roselia and attacked by the knights of the princess faction.
それで、王国の王位継承の内紛に巻き込まれることに、、
So they got caught up in the infighting over the succession to the throne of the kingdom.
その後は、王女派の人材が枯渇してるせいで合流してすぐに派閥の中核となってしまう。
After that, due to the depletion of talent in the princess faction, they join up and quickly become the core of the faction.
それを面白く思わない、脳筋な側近と騎士達。
The brainy aides and knights are not amused by this.
それにしても、普通の高校生だよね?
何でそんなに策略に強いの??
But then again, you’re just a normal high school student, right?
Why are you so good at scheming?
そんなこと高校では教えてくれないよ?
ということは、、
They don’t teach that in high school, do they?
So that means…
主人公の爺さんか?
The main character’s old man?
そして派閥を拡大さるために亮真は、貴族派で冷遇されてる元中立派の貴族を切り崩す事である程度結果は出せたが。。
In order to expand the faction, Ryoma was able to get some results by cutting down the former neutral nobles who were being treated poorly by the nobility.
相手の策略に素直にハマる脳筋な女王派の騎士達では貴族派とは張り合えないので、かつて将軍だったエレナを味方に引き入れる。。
The knights of the Queen’s faction, who are brainless and fall for the enemy’s schemes, can’t compete with the noble faction, so they bring Elena, who used to be a general, to their side.
そのエレナの最大の目的は家族の仇。
現将軍を殺す事、、
Elena’s main goal is to avenge her family.
To kill the current general.
うわ、、
怖いよ!
この人マジで怖いー!
Oh, my God.
I’m scared!
He’s really scary!
でも、エレナの名声のおかげで騎士達の離脱防止もある程度成功する。
But thanks to Elena’s fame, the prevention of the knights’ desertion is also somewhat successful.
そして主人公の亮真自身も仲間になった傭兵の紅獅子団のツテを使って自身の戦力を増強する。
And Ryoma himself uses the contacts of the Red Lion Gang of mercenaries he has joined to increase his own strength.
だんだん戦記モノらしくなって来たぞ!!
It’s getting more and more like a war story!
でも、タイトルのウォルテニア半島はまだ出てこないwww
But the Wortenia peninsula in the title still doesn’t appear.
そして、、
最後に出て来た御子柴浩一郎は孫の亮真が異世界に召喚されたと知っていた。。
And.
The last person to come out, Koichiro Mikoshiba, knew that his grandson Ryoma had been summoned to another world.
異世界に召喚されてしまう原因がこの爺さんだったとは。
後になってわかるんだよな。。
I didn’t know that this old man was the reason why I was summoned to another world.
We’ll find out later, won’t we?
ちなみにこの爺さんと従姉妹の飛鳥は商業版のオリジナル。
WEB版には出て来て無い。
By the way, this old man and Ryoma’s cousin, Asuka, are original to the commercial version.
They do not appear in the web version.
多分、メイビー、プロバブリー?
昔読んだキリだから覚えてないです🙇♂️
Maybe Maybee, Probably?
I read Kili a long time ago, so I don’t remember him
同シリーズ
ウォルテニア戦記シリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ
夜の帝都での報告と裏の上司・須藤との対話
斉藤は夜の帝都で、表の上司である皇帝への報告を終え、裏の上司・須藤への報告に向かった。歓楽街を抜け、須藤と顔を合わせると、須藤からは亮真の逃走について私情が絡んだのではないかと探られるが、最終的には許容された。須藤は、亮真を組織の脅威と認識しつつも様子見を決断し、直接的な処罰を避ける意向を示した。
亮真の逃走と新たな情報収集の旅
シャルディナの追跡を逃れた亮真は、地球へ戻る方法を求め、法術の専門家たちを訪ね歩いた。多くの術者から「異世界へ帰る方法はない」と言われるも、再挑戦のためアナマリアという術者に辿り着いた。しかし、アナマリアから「裏大地への帰還にはこの世界で知られる神の名を用いても無力である」と無情な宣告を受ける。彼女は、戻れない理由として「時空の狭間を漂う危険性」を指摘した。
帰還への希望と新たな絶望
アナマリアは、帰還には「裏大地の結界を超える神の名」が必要だと説明し、それを知らなければ地球へ戻れないことを告げた。亮真は返還可能な神の名を必死で探そうとするも、過去に帰還を試みて失敗した異世界人の記録を見せられ、絶望感に苛まれた。
神々の名を頼りにした亮真の執念
亮真は、帰還の希望を失わないために、アナマリアから借りた書物をもとに、神々の名を記載した数多のページを丹念に調べ続けた。彼は、自分が知る限りの神名を書き出し、すべての名前を無数に確認する作業を繰り返した。しかし、確認するたびに失望が重なり、ついに彼は「帰れない」という結論に至り、絶望に沈んでいった。
マルフィスト姉妹の支えと亮真の心の葛藤
亮真の絶望を察したマルフィスト姉妹は、彼の部屋の扉を破り、亮真の元に駆けつけた。亮真は荒んだ表情で沈黙しており、彼の周りには無数の紙が散乱していた。姉妹は彼を優しく抱き寄せ、絶望から救い出すために寄り添った。この温かな支えにより、亮真の心に安らぎがもたらされ、彼は深い眠りに落ちていった。
亮真の心の暗闇と内なる声
亮真は夢の中で、自身の深層心理と対話する機会を得た。心の中の無機質な声は、彼の望みと内なる怒りを刺激し、この世界の歪みを認識させた。亮真は内なる声に煽られる中、怒りと憎しみを解き放つ選択肢を迫られたが、マルフィスト姉妹の温かな言葉が彼を現実へと引き戻した。
亮真の目覚めと彼の感謝
亮真が目覚めた時、宿の主人と女将から、亮真が食事を取らなかったことでマルフィスト姉妹も食を断っていたことを知らされた。主人と女将の助言によって、亮真は自分が一人ではなく、支えられていたことに気づき、感謝の念を抱いた。そして、亮真はマルフィスト姉妹に食事を持って部屋を訪れ、一緒に食事をとることで、彼らとの絆を再確認した。この食事は亮真にとって、異世界で得た初めての温かいひとときであった。
第一章 襲撃者
森林での斥候作戦と戦闘準備
亮真とマルフィスト姉妹は、フルザード北方の森林地帯の奥へと進み、亮真は祖父から学んだ古武術を活かしながら気配を消して斥候任務にあたった。自然の中での戦闘技術が現代では無用とされる一方、大地世界での生存には必須の技術として輝きを取り戻していた。
大蟷螂との戦闘とチームワーク
亮真はマルフィスト姉妹と連携し、巨体の大蟷螂と対峙した。亮真が囮となって敵の注意を引き、姉妹が左右から挟撃する戦法をとった。戦闘は激しく、亮真の号令とともに姉妹が敵の四肢を斬り落とし、最後に亮真がとどめを刺して討伐を成功させた。
帰還と新たな覚悟
亮真は大蟷螂の討伐後、フルザードへ戻り、アナマリアから得た情報により日本への帰還の希望がほぼ絶望的であることを悟った。それにより、彼はこの世界で生きることを受け入れ、目的を模索しながら生きていく決意を新たにした。
交易都市フルザードでの依頼処理とギルドの役割
フルザードで、亮真達は狩猟や採取で得た素材を換金するために行動し、同時にギルドへ依頼の達成報告を行った。交易都市として栄えるフルザードは怪物の素材が重要な資源であり、ギルドは依頼の仲介と共に街の安全を支えていた。
ローラのギルド訪問とウォルスとの接触
依頼の達成報告を行ったローラは、ギルドマスターであるウォルス・ハイネケルから突然呼び止められ、時間を取ってほしいと話を持ちかけられた。彼女は、これまで交流のなかったウォルスの意図を測りかねながらも、応じざるを得なかった。
ウォルスと黒髪の騎士の策謀
ウォルスは自らの執務室で、黒髪の騎士とローラを利用する計画について話し合った。騎士はローラの銀髪と年齢が条件に合うと認めつつも、引き受けさせる方法をウォルスに委ねた。ウォルスはギルド規約の知識が浅いローラを説得する自信を示し、騎士は失敗しないよう忠告しつつも彼に圧力をかけた。
強制依頼の受諾に向けた亮真の疑念
亮真と仲間たちはウォルスからの強制依頼について話し合い、不安を感じた。亮真は、通常は高ランクの者にのみ課される強制依頼に疑問を抱きながらも、登録抹消の脅しがあったため、渋々受け入れることにした。
ギルド訪問とウォルスとの対面
翌日、亮真たちはギルドに赴き、豪華な執務室でウォルスと対面した。ウォルスの表向きは礼儀正しい態度であったが、亮真は彼の態度に警戒しながらも、依頼内容を聞く準備を整えた。
謎めいた商隊の護衛任務
ウォルスから課された依頼は、ローゼリア王国へ向かう商隊の護衛であったが、依頼の内容に数々の不審点が含まれていた。商隊の荷馬車が空である点や、商人たちが武装している様子から、亮真たちはこの任務に何らかの陰謀が潜んでいることを確信し、慎重に行動を始めた。
傭兵たちとの会合と緊張感
依頼に対する疑念を共有するため、亮真は傭兵たちと会合を開いた。紅獅子のリオネとその参謀ボルツも依頼の不審さに同意したが、一部の傭兵が警戒心を持たず油断していることにリオネと亮真は失望し、会合は緊張した空気の中で終了した。
襲撃の予兆と準備
旅の途中、亮真は何も起きない平穏な道中に逆に不安を抱き、何かが起こる予兆として警戒を強めた。そして、フルザードを出発して七日目の昼、ついに亮真の予感が現実となり、襲撃が始まった。
森林地帯での奇襲と襲撃者の狙い
ローゼリア王国の国境付近の森林地帯において、亮真たちが護衛する商隊が突如として襲撃を受けた。矢が飛び交い、傭兵や商人がそれぞれの役割を果たしつつ必死に応戦する。亮真は、この襲撃が自分たちを狙ったものであると即座に見抜き、事前に話し合っていた策を実行に移した。
隊列を乱しての撤退とリオネの決断
亮真と紅獅子のリオネは、敵の奇襲が周到な計画に基づくものであると見抜き、隊列を整えつつ道を確保する作戦を取った。リオネの指示により、商人や傭兵たちの中でも従わない者には見捨てる覚悟を見せ、道を塞いでいた馬車を爆破して退路を開く決断を下した。
追手の誘導と罠の発動
亮真たちは、追手を引きつけるために敢えて速度を落としながら逃走し、策の発動地点へと誘導した。ローラたちが森に隠れて唱えた法術により、追手たちが次々と石の槍に貫かれる。生き残りがいることを警戒しつつ、リオネやボルツが部下に指示を出し、残党を徹底的に掃討した。
指揮者ミハイルの拘束と尋問
奇襲の指揮者であったミハイル・バナーシュは捕らえられ、亮真たちの前で拘束された状態で尋問を受けた。彼はローラを王家の庶子と見誤り、今回の襲撃を指揮した理由が王位継承争いにあることを否定せず、冷静に追及する亮真の言葉に徐々に追い詰められていった。
貴族派と騎士派の策謀と亮真の推理
亮真は、今回の襲撃が貴族派の策略であり、ウォルスが関与していると推測した。貴族派は偽情報を用いて騎士派を誘導し、ローラを庶子と誤解させて襲撃させたと考えた。亮真の冷静な推理により、襲撃の真相が徐々に明らかにされ、ミハイルは騎士派が貴族派に嵌められたことを悟った。
新たな同盟の提案と今後の展望
亮真はミハイルに対し、共にウォルスと貴族派に対抗するための同盟を提案した。ミハイルは自分たちが利用された現実に直面し、亮真との協力に意義を見出す。リオネやボルツも亮真の提案に期待を抱き、この日を境にしてローゼリア王国の運命が大きく動くことが示唆された。
第二章 入り乱れる思惑
王都ピレウスへの到着
亮真はミハイルの案内でローゼリア王国の王都ピレウスに到着した。都市は壮大な規模で、中世ヨーロッパとは異なる異世界の特色が見られた。ミハイルは都市を誇らしげに紹介し、襲撃の懸念がある状況にもかかわらず、亮真は無事到着できたことに安堵した。
ミハイルの誇りと亮真の対話
亮真とミハイルは王都への移動中に対話を交わした。亮真は、騎士としての誇りを強調するミハイルに対し、現実的な手段を重視する考えを示した。ミハイルは亮真の冷静な視点に対し不満を抱きつつも、自らの選択について迷い始める。
王女ルピスとの謁見とミハイルの助命
ルピス王女は、襲撃失敗の責任を問うためにミハイルを謁見したが、彼の忠誠心と武勇を評価し、戦功次第で罪を相殺するという裁定を下した。この結果により、王女は騎士団内の士気を保つことを狙った。
亮真の提案と王女の反応
亮真は王女へ協力を申し出たが、王女とその側近は難色を示した。亮真は、貴族派との政争において助力できることを強調し、王国の安定のために有用な存在であると説得を試みた。
謁見の間での議論
亮真の挑発的な発言に対して、謁見の間の将軍や騎士たちは憤慨し、処刑を提案する者も現れた。しかし、王女は場を収め、冷静な態度で亮真の話を聞く姿勢を見せた。
亮真の決意と王女の評価
亮真は、王女の国民を守るという信念に応える覚悟を示し、最終的に王女は亮真の提案を検討することを決意した。亮真はこの状況での勝利に向けた計画に希望を抱き、さらに意気を高めた。
亮真とベルグストン伯爵の会見
亮真は王女ルピスの使者として、ベルグストン伯爵のもとを訪れた。伯爵は当初、冷静かつ傲慢な態度で亮真の話を聞き流していたが、亮真は巧妙に伯爵が貴族派の中でどのように扱われるかを示唆し、伯爵の自尊心に揺さぶりをかけた。
貴族派との契約と亮真の指摘
亮真は貴族派からの好条件が実現不可能であることを指摘し、伯爵が騙されている可能性を示した。伯爵は亮真の説明に動揺し、自らの判断を見直す必要に迫られた。
伯爵の苦悩と亮真の説得
伯爵は中立の立場から転じて貴族派に加担する決断を後悔し、王女派への助力を再考し始めた。しかし、亮真の策謀を疑う気持ちも捨てきれず、亮真に一晩の猶予を願い出て、その間に答えを出す決意を固めた。
夫人の助言と伯爵の覚醒
伯爵は妻に悩みを打ち明け、彼女から「王女を勝たせるために自ら動くべき」との助言を受けた。この言葉で、かつての自信を取り戻した伯爵は、自らの手で王女派に貢献する決意を固めた。
決断と行動
ベルグストン伯爵は即座に行動に移し、中立派の盟友であるエルナン・ゼレーフ伯爵を王女派に引き込むため、夜間にもかかわらず出発した。妻に亮真を引き留めるよう頼み、伯爵は新たな目的に向けた行動を開始した。
ゲルハルト公爵の動揺と危機意識
ゲルハルト公爵は、寝返り始めた中立派貴族の報告を受け、執務室で激昂した。彼は豊かな領地を持つ中立派貴族たちを密約で取り込み、有利な条件をちらつかせて貴族派に加担させていたが、突如、王女派に忠誠を誓う動きが広がったため、状況が不安定になっていた。
王都への軍勢の進出
側近から、中立派貴族たちが自領の兵を王都に進出させているという報告を受け、ゲルハルト公爵は驚愕した。これまで中立派貴族は自領に籠もり、形だけ王女派に従うだけと見込んでいたが、彼らが実際に兵を動かし王都での活動を始めたことで、事態が深刻化した。
王女派と騎士派の違いと懸念
ゲルハルト公爵は、貴族派から寝返った貴族が騎士派ではなく王女派に属したことに違和感を抱いた。彼は王女が独自に実権を取り戻そうとするのではと疑ったが、王女には実力も側近も足りず、実際に支配能力があるか懐疑的だった。
ラディーネ王女の正体と利用
ゲルハルト公爵は、アーレベルク将軍に対抗するため、玉座を狙う正当な王族としてラディーネ王女を擁立したが、彼女の出自に対する疑念が残っていた。それでも、名分が必要だったため、仮に彼女が偽者でも利用価値があると判断した。
王女派の暗躍に対する調査と対策
ゲルハルト公爵は、王女派の急な動きに対して間者を派遣し、王女の側近に知恵者がいれば排除するよう命じた。彼は、徹底的に敵対者を排除することで権力の確保を図ろうとしていた。
亮真への刺客の計画
ゲルハルト公爵の命令により、亮真は王女派に潜入する刺客に目をつけられていた。若い女と中年の男の刺客が亮真を追跡し、彼の行動を監視しながら機をうかがっていた。
ラディーネ王女の葛藤と運命
ラディーネ王女は、自らが王族として生きる意味に疑問を抱き、権力闘争に巻き込まれる恐怖と葛藤していた。彼女は、ゲルハルト公爵に利用され、逃れられない運命に縛られていることを理解しつつも、どうすればよいか分からず苦悩していた。
忠誠を示す中立派貴族の集結
ルピス王女のもとに、徴兵した兵や物資を携えた中立派貴族が集結し、彼女に対して忠誠を誓った。通常は日和見的な態度を取る彼らだったが、今回は家族を伴って王都に来訪しており、本気で王女派に与する姿勢を示していた。この光景は、王国の新たな夜明けを予感させるものであった。
若き策士亮真と中立派貴族の協力
謁見の後、亮真は中立派貴族であるベルグストン伯爵とゼレーフ伯爵と共に戦略を練った。彼らはルピス王女への忠誠を固め、中立派貴族の引き入れを進めていた。二人の貴族は自信満々で、これまでの成果を自慢しつつ、亮真への信頼を表明した。
騎士派との交渉の難航
中立派貴族の取り込みが順調な一方で、騎士派の取り込みには苦戦していた。ベルグストン伯爵とゼレーフ伯爵は、ルピス王女の王権確立には騎士派の協力が不可欠だと主張し、亮真の対応を批判した。亮真も騎士派の重要性を理解していたが、適任者の不足が問題で、事態の打開策を模索していた。
エレナ・シュタイナーの登場
亮真は、ゼレーフ伯爵の提案で、かつての将軍エレナ・シュタイナーと会談した。エレナはかつて「ローゼリアの白き軍神」として名を馳せた伝説の人物であった。亮真はエレナに再び将軍職に就いてもらい、ルピス王女を支援するよう求めたが、エレナは即答を避け、慎重な姿勢を示した。
エレナの秘められた復讐心
亮真はエレナの心の奥にホドラム・アーレベルク将軍への復讐心が潜んでいると見抜き、それを指摘した。エレナは、亮真の洞察力に感嘆しつつも、冷静な態度で亮真の仮説を肯定した。彼女は、ホドラムに対する強烈な憎しみを抱えており、その理由として彼が自分の家族を狙った過去を語り始めた。
エレナの家族への悲劇
エレナは地方反乱の鎮圧から戻った自宅で、夫の無残な遺体を発見した。二ヶ月ぶりの帰宅でありながら、出迎えもなく家中が静まり返っていた。居間に進むと、夫の首がテーブルに置かれており、拷問の跡が残されていた。エレナはその場で正気を失い、彼女を発見した副官の家で目を覚ますことになった。
娘を失ったエレナの苦悩
事件後、エレナは家族を襲撃した犯人からの手紙を発見した。そこには「娘は預かった」と記されており、彼女に騎士を引退することを要求していた。騎士としてのキャリアを捨てるのは辛い決断であったが、エレナは娘を救うために引退を選んだ。しかし、その後も娘は帰らず、五年間の月日が過ぎ去った。
ホドラム・アーレベルクへの疑念
エレナは引退後も、娘が戻らない不安を抱え続けた。やがて、ホドラム・アーレベルクが後任の将軍に就任し、権勢を強めていく。しかし、エレナは証拠がないためホドラムを糾弾することができず、心の中に疑念を抱えたまま時が流れた。
奴隷商人の告白と真相の発覚
五年後、違法な奴隷商人が処刑されることとなり、その商人がエレナの家族襲撃に関わっていたことが発覚する。拷問の結果、その商人はホドラムが黒幕であると証言した。エレナは真相を知り、再び騎士としての復讐心に火を灯した。
エレナの復讐心と亮真の決断
亮真はエレナの強烈な復讐心を見抜き、彼女の復讐を支援することを決断した。亮真はルピス王女に相談せず、エレナの要求を了承した。エレナは亮真に感謝し、ホドラムへの復讐計画に全面的に協力することを誓った。
娘の最期を告白するエレナ
亮真の問いに、エレナは娘の悲惨な最期について語った。奴隷商人に囚われた娘は心を病み、やがて殺されたという。その事実に亮真は言葉を失い、エレナの復讐心が深く揺るぎないものであることを改めて理解した。
第四章 力の証明
ゴランとリオネの再会
ローゼリア王国の首都ピレウスの貧民街にある酒場「森緑亭」で、リオネは昔馴染みの傭兵ゴランを呼び出し、内乱に関する相談を持ちかけた。リオネが率いる紅獅子の傭兵団と、ゴランの北風の旅団は戦場で幾度も顔を合わせた間柄であるが、リオネからの直接的な依頼は初めてであった。
内乱への誘いとゴランの懸念
リオネはギルドを通さない依頼のために信頼できる傭兵を集めていると告げ、ゴランに協力を求めた。しかし、ゴランはギルドマスターの一件に加え、ローゼリアの内乱が絡む話に荷が重いと考え、慎重な姿勢を示した。ゴランにとって、ギルドと敵対する可能性があるこの依頼はあまりに危険であった。
ゴランの渋りとリオネの提案
リオネはゴランに対し、昔の借りを理由に協力を求め、少なくとも話を聞くだけで一つの借りを帳消しにすると提案した。ゴランは悩んだ末に、この提案を受け入れ、リオネの若い仲間である御子柴亮真と会う決意を固めた。
リオネの策略とゴランの危機感
リオネはゴランを酒場に呼び出した事実が、フルザードのギルドマスターであるウォルスに伝わるように仕向け、ゴランに危機感を抱かせる計画であった。ゴランは、ウォルスがリオネ達を裏切り者とみなしている可能性があると察し、仲間の命を守るために協力せざるを得なくなった。
傭兵達の集合とリオネの人望
リオネは短期間で四百名もの歴戦の傭兵を集め、内乱への参加を促した。その中には異名を持つ実力者も多く、リオネの人望の広さが示されていた。ゴランもまた、リオネの計画に巻き込まれる形で参戦を決意せざるを得なかった。
亮真との出会いとゴランの判断
ゴランはリオネの紹介で御子柴亮真と出会い、彼の知略と冷静さを目の当たりにする。亮真が緻密な計画を持っていることを理解したゴランは、戦場経験がないにも関わらず、亮真が率いるこの危険な計画に協力する道を選んだ。
黒蜘蛛ボランゾとの対決の可能性
ゴランは亮真の計画の中に、悪名高い暗殺者「黒蜘蛛のボランゾ」が絡む可能性を察した。ボランゾの強大な実力に対し、亮真がどれほどの勝算を持っているかは不明だが、ゴランは亮真が何らかの策を練っていると信じ、協力を続ける決意を固めた。
読書に没頭する亮真と召喚の謎
亮真は大地世界に召喚された際に、現地の言語に適応したことで、地球から持ち込んだ古い中国の兵法書「李衛公問対」を原文で読むことができた。彼はこの知識が戦略に役立つと考えながら、戦いに備えた。
挑発的な登場とボランゾの怒り
亮真は双子の姉妹ローラとサーラに見守られながら登場したが、その悠然とした態度にボランゾは怒りを露わにした。約束の刻限には遅れておらず、亮真は余裕を持って準備を進め、挑発的に笑みを浮かべた。
実力の誇示とボランゾの軽視
亮真の堂々とした態度に、ボランゾは挑発と感じつつも、彼の未熟さを見下した。体格と筋力で優位に立つボランゾは、亮真を侮り、無謀な挑戦として捉えた。
激突の開始と圧倒的な技
リオネの合図で戦いが始まり、ボランゾは亮真に全力で襲いかかった。しかし、亮真は冷静にボランゾの動きを見切り、巧みに関節技で彼を投げ飛ばし、急所を正確に狙った。ボランゾは圧倒的な技の前に力尽き、その場で絶命した。
傭兵達の称賛と信頼の獲得
亮真の見事な勝利に、周囲の傭兵達は歓声を上げ、彼の実力を認めた。リオネは亮真の計画の巧妙さに感嘆し、これにより彼が信頼を得る目的が達成されたことを確信した。
リオネと亮真の会話と次なる計画
戦いの後、リオネは亮真に今後の動きについて尋ね、亮真はルピス王女を王にするための戦略を明かした。傭兵達の支援を求め、戦力を集めるための計画が進行していることを示唆した。亮真は、自分の計画の確実性を確信しながら、冷静な笑みを浮かべた。
エピローグ
老人の鍛錬と飛鳥の訪問
夕刻、御子柴浩一郎は自宅の庭で木刀を用い、敵の殺害を目的とした鍛錬に励んでいた。そこへ、孫娘のような存在である飛鳥が夕食の準備を終えて訪れ、浩一郎は彼女の気遣いに感謝した。
飛鳥の提案と浩一郎の拒否
飛鳥は、浩一郎に自分たちと同居する提案を再び持ちかけたが、彼は頷くことができなかった。その提案が純粋な好意に基づくものだと理解していたが、巻き込まれる危険を避けるために遠慮せざるを得なかった。
飛鳥の不安と亮真の失踪
飛鳥は、浩一郎が孫の亮真と同じように突然消えてしまうのではないかと不安を抱いていた。亮真が通学中の高校で姿を消してから半年が経過しており、警察も事件性を認めない状況に、飛鳥は心の不安を募らせていた。
浩一郎の隠された真実と後悔
浩一郎は亮真が異世界に召喚された事実を知っていたが、それを告げることができなかった。武人として育てた亮真が、自分の教えた技術と心を頼りに異世界で生き抜いていると信じつつも、自分の過去の行いが原因で彼に重い代償を強いていることに深い後悔の念を抱いていた。
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