小説「ウォルテニア戦記 XX(20)」女王軍の補給を圧迫させ 感想・ネタバレ

小説「ウォルテニア戦記 XX(20)」女王軍の補給を圧迫させ 感想・ネタバレ

どんなラノベ?

学校の屋上で弁当を食べようとしていたらいきなり異世界に召喚された高校生の御子柴亮真。
ただ彼はマトモじゃ無かった。

召喚した魔術師を殺し。
逃亡途中で双子姉妹を仲間にして大国の帝国から逃亡。

帝国から逃げれたと思ったら、ローゼリア王国の跡目争いに巻き込まれてしまう。
それにも勝利させて女王ルピスを誕生させ。
そのまま解放されると思ったら。
住民は皆無で、沿岸部に海賊がおり、強力な魔物が跋扈するウォルテニア半島を領地に与えられ貴族にされてしまう。

少年少女の奴隷を買って、彼等に武法術を教えて兵士として育成し、半島の希少な魔獣を狩って資金を稼ぐ。
邪魔な海賊のアジトを攻め滅ぼし。
その時に、奴隷にされていたダークエルフと知己を得て貿易を始め。

そして彼等特有の技術で魔剣、魔法防具を量産してもらい兵士の装備をより強固にして、重傷を負ってもダークエルフ特性の薬で快癒させて損耗率下げる事に成功。

そんな兵士達を率いてザルーダ王国への援軍に行き、オルトメア帝国の侵攻を止め。

辺境伯と北部十家との戦争にも勝利。

それを貴族院で審問されるが、死刑が始まる前から決まっているので亮真は貴族院のメンバーを全て殺して自領へ逃亡。

反乱を討伐するためルピス女王が率いる20万の大軍がウォルテニア半島へ攻めて来たが、、

読んだ本のタイトル

#ウォルテニア戦記  XX
著者:保利亮太 氏
イラスト:bob 氏

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あらすじ・内容

ルピス女王ひきいる20万の軍の包囲を受ける、亮真軍の拠点・ティルト砦。しかし亮真の策謀によって兵糧が不足した北部征伐軍の戦意は低下し、ティルト砦を攻めあぐねていた。

いっぽう、ローゼリア王国の後方ではかつてルピス女王に敗れた勢

力が反乱を企てていた……。

危機を好機に変える青年君主・亮真の活躍を描く異世界召喚戦記、

待望の新刊!

ウォルテニア戦記 XX

感想

御子柴家に反抗的なイピロスの住民を押し付けられ、食糧を圧迫され、強固な砦でウォルテニア半島にすら侵入出来ない女王軍。

そんな女王軍を横目に御子柴軍の別動隊は、女王軍の補給地を荒らして女王軍の食糧はより一層困窮してしまう。

そんな女王軍はイピロスへ撤退すると見せ掛けて、御子柴軍を砦から釣り出して決戦を挑む。

無論、御子柴軍は承知の上で砦から打って出る。

女王軍15万vs御子柴軍5万の正面決戦。

女王軍は徴兵された農民兵が大半。
御子柴軍は全兵士が武法術を使え、精霊術が使えるダークエルフ達も参戦しており。

先制の弓攻撃、サーラの部隊が危機に陥った時に救援に向かったりと獅子奮迅の活躍をする。

勿論、兵士達も武法術で相手を圧倒するが、、

やはり数の暴力の圧は凄く戦線は膠着状態になった時。

女王軍に長い間潜入していた伊賀崎衆達が「本陣の女王が逃げた」と流言飛語を振り撒き。

食糧不足と苦戦で厭戦気分が蔓延していた女王軍の農民兵達は逃亡してしまう。

そして、膠着していた戦線が崩壊して女王軍は瓦解。
そこに、御子柴軍は予備兵力の騎馬隊を出し追撃戦を始まり本陣の女王を視認したが、、

御子柴軍の前に、白き軍神の副官が立ち塞がり先頭に居た御子柴亮真と一騎打ちを初めてしまい、女王を逃してしまうが副官を配下に入れる事に成功する。

白き軍神はどうなるのだろうか、、
女王?
ありゃもうダメだろ。
元近衛騎士の2人も含めて、、

それよりも、白き軍神だろ。

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備忘録

プロローグ

北部征伐軍の苦境とアダムの任務

ティルト砦を巡る攻防戦は三週間に及び、北部征伐軍は御子柴軍の堅牢な防衛に苦戦していた。アダム・フューラーは近衛騎士団の一員として、戦傷者の実態を調査する任務を与えられ、腐臭漂う天幕に足を踏み入れる。そこはもはや治療所ではなく、見捨てられた兵士たちの生き地獄であった。アダムは表向きの上官には忠誠心を抱いておらず、裏でゲルハルト子爵に従っていた。

負傷兵の悲惨な現実と貴族階級の冷酷さ

戦場で重傷を負った平民兵士たちは、まともな医療もなく放置され、死を待つばかりの状況にあった。治療どころか、清潔な布すら与えられず、配給された食事も自力で摂れぬまま放置されていた。アダムは、この光景を目の当たりにし、貴族たちがいかに平民兵を使い捨てているかを痛感した。前線では兵士の不満が高まり、指揮の乱れも顕著であった。

配膳係と兵士たちの苛立ちと恐怖

天幕に食事を届けに来た配膳係の男たちも、臭気と惨状に不満を漏らしながら任務に当たっていた。彼らはこの仕事を賭けで負けて押し付けられた者も多く、不満を抱えつつも命令には逆らえず、黙々と配膳をこなしていた。兵糧不足もあり、食料の扱いにも緊張が走るなか、アダムはこの情報をもって天幕を去った。

ゲルハルト子爵との密会と報告

夜陰に紛れ、アダムはゲルハルト子爵の野営地を訪れ、密かに情報を報告した。子爵の陣営は今なお大勢力を誇り、兵装や規模でも王国本隊と肩を並べるほどであった。ゲルハルトはかつて公爵であり、現在は子爵に降格されたが、依然として王国最大級の影響力を保持していた。

ゲルハルト子爵の決断と内面の葛藤

アダムの報告を受けたゲルハルト子爵は、ティルト砦の戦況と北部征伐軍の補給問題から、ルピス女王陣営の危うさを見抜いた。彼は王女派のメルティナ・レクターとルピス女王に強い嫌悪を抱いており、かつての敗北を招いた御子柴亮真の手腕を評価していた。子爵は自らの復権のため、どちらに与するかを見極めていたが、アダムの報告により心は固まった。

過去の失敗と冷徹な戦略

かつて裏切られた部下ケイルへの対応を省みた子爵は、自らの過ちを認め、今後は感情を抑えた冷静な判断を下す決意を固めていた。御子柴亮真の戦略眼に注目し、兵站を断つ作戦や民心操作の巧妙さに対し、子爵はもはや単なる平民上がりと侮ることなく、その器量を認めていた。

最終決断と復権への布石

ゲルハルト子爵は、御子柴亮真との水面下の取引に賭けることを選んだ。表向きはルピス女王に忠誠を誓う姿勢を保ちつつも、密かに御子柴と連絡を取り合い、最終的にどちらが勝者となるかを見極め、自らの利益を最大化しようとしていた。彼は書状を手に取り、復権への決定的な一歩を踏み出す覚悟を固めた。

第一章  覇王の優しさ

ティルト砦攻防戦と咲夜の葛藤

穏やかな日常と緊張の裏側
御子柴亮真は快晴の空を眺めながら戦中とは思えぬ穏やかな一時を過ごしていた。中庭で読書をしたいという欲求がよぎるも、現状の立場と戦況を思い慎む様子が描かれた。砦の防衛状況は極めて優位であり、設計段階からの準備と地の利、優秀な部下達の存在が功を奏していた。リオネ率いる多能な部隊や、ロベルトとシグニスによる騎馬隊の突破力が要となっており、咲夜や傭兵団の経験が砦を鉄壁にしていた。

兵士の士気と戦術的優位
籠城戦において最も重要なのは士気であり、死体という戦果が兵に自信と安全を感じさせていた。兵の士気が戦の勝敗に直結するという認識を亮真は深く理解しており、そのための準備と心理的効果を計算していた。一万人を超える北部征伐軍の損耗は見られるものの、依然として敵の兵力は大きく、貴族の面子が退却を許さない状況であった。

敵指揮系統の綻びと推察
エレナ・シュタイナーの名将としての実力は認められつつも、実質的に指揮権を持たない状態にあり、貴族たちの横槍が戦術的愚行を招いていた。亮真は、敵方の内部における意図的な「掃除」の可能性を見抜いていた。メルティナが意図的に無能な貴族を前線に送り込み、消耗を図ったのではと分析していた。

亮真の内省と慎重な対応
敵の出方を伺う静かな時期に、亮真は負傷した咲夜の部屋を訪れた。自分の身だしなみに気を配るその姿から、彼が単なる戦の指揮者でなく、一人の若者としての側面も見せていた。家臣たちとの信頼関係や立場への自覚が、丁寧な言動に表れていた。

咲夜の葛藤と自責
咲夜は、亮真からの信頼を裏切ったと感じ、療養を命じられたことに戸惑っていた。火計の成功にもかかわらず、戦術上の要であった道具の喪失を悔いていた。亮真は咲夜の過剰な自責を見抜き、優しく接することで彼女の心を解きほぐそうとしていた。

祖父との対話と真意の理解
その夜、咲夜は祖父である厳翁を迎えた。彼は咲夜に向けて、亮真がただの見舞いではなく、咲夜の心の乱れを案じた上で療養を命じたと語った。マカロンに込められた心遣いからも、主君の思慮深さと信頼の深さが明かされ、咲夜はようやく亮真の意図を理解し始めた。

咲夜の未熟さと成長の兆し
房中術などを身に付けていない咲夜は、主君との関係に戸惑いながらも、亮真の優しさに触れ、自らの未熟さと向き合った。厳翁との対話を通して、咲夜は任務の失敗ではなく、心の乱れこそが亮真にとっての懸念だったと理解した。

主君の眼と家臣の覚悟
亮真の対応は、ただの甘やかしではなく、戦の大局を見据えた上での人材管理であった。戦場ではわずかな心の揺らぎが命取りとなる。咲夜への療養命令は、その予兆を未然に防ぐための手段であり、亮真の戦略眼と人心掌握の才が如実に現れていた。

第二章  南の戦場

テルミス陥落と補給線破壊作戦

テルミスの悲劇とシグニスの襲撃

テルミスの街は突然の襲撃を受け、炎に包まれた。夜半過ぎ、城門が破られ、騎兵隊が油の入った陶器を投げ込んで街を焼き払った。住民は驚愕と絶望の中、逃げ惑うが、騎馬の兵たちは圧倒的な武力でそれを制した。

騎兵隊を率いる金髪の男シグニス・ガルベイラは住民に対し、北門から逃げるよう警告を発した。しかし一部の住民は抗戦を選び、結果として殺される。中でも一人の男が突撃するも、鉄棍の一撃で命を落とす。住民たちは恐怖に打ちひしがれ、抵抗を断念した。

防衛隊の壊滅とロマーヌ家の混乱

テルミス集積所では騎士たちが全滅しており、ただ一人生き残った指揮官は燃える倉庫を前に呆然としていた。彼の脳裏には、襲撃者が掲げた双頭の蛇の紋章が浮かび、御子柴男爵家の軍であることを確信する。彼らは王都から遠く離れた南部に出現したはずがなく、その現実に理解が追いつかず、ついに瓦礫に埋もれ命を落とした。

監視者たちの分析と謎の女の存在

テルミスから離れた丘では、監視役の男たちが騎兵の動向を観察していた。彼らはシグニスの圧倒的な戦力と存在感に驚き、御子柴家の後ろ盾に関する噂を語り合う。噂の中には次元の狭間から帰還した幹部の存在や、その身内に御子柴亮真がいるという推測も含まれていた。また、彼らは軍馬の提供と軍勢の監視という任務の中で、指令外の謎の女の正体にも関心を寄せていた。

補給物資輸送と罠の完成

数日後、北部征伐軍への補給物資を載せた輸送部隊が出発する。隊長は物見を配し、最大限の警戒をしていた。イラクリオン周辺で街が焼かれたことにより、敵は南部に集中していると誤認していたが、それは敵の陽動であった。

輸送隊はテーベ河に到達したが、船が出ようとした瞬間、森から無数の火矢が放たれた。燃える船に混乱が広がる中、シグニスとロベルト率いる騎馬隊が突入。その圧倒的な破壊力で兵士たちを蹂躙し、物資を焼き尽くした。

作戦完遂と撤収行動

戦いが終わると、エクレシア・マリネールが戦果を確認する。彼女は傭兵としてこの作戦を指揮し、冷静かつ効率的に命令を下していた。彼女は御子柴軍の兵士たちの高い素養と統率力に驚嘆しており、それこそがこの作戦成功の鍵であった。

補給線を断った後、エクレシアはシグニスとロベルトと共に北へ向かう。その背後には、炎に焼かれた荷車と死体、沈黙を取り戻した河畔が残され、北部征伐軍にとって新たな苦境の幕開けを告げていた。

第三章  罠と罠

決戦前夜の策謀と覚悟

ミハイルの衝撃と回想

王都ピレウスに届いた急報により、ミハイル・バナーシュの執務室は緊迫に包まれた。彼は南部イラクリオンの補給拠点が御子柴軍の奇襲で壊滅状態にあると知らされ、激しく動揺した。かつての失態で捕虜となった過去を悔い、書類仕事に尽力していた彼にとって、この報告はあまりにも重い打撃であった。

御子柴軍の兵糧戦と補給路遮断

御子柴亮真は正面からの戦いを避け、兵糧攻めによって北部征伐軍を疲弊させていた。補給部隊の行動範囲を読まれたミハイルは、裏をかかれる形で補給拠点を奪われ、軍の士気と戦力維持が困難になる危機に直面した。彼は御子柴軍の行動に何者かの協力を疑いながらも、それを追及する時間的余裕がないと判断した。

ミハイルの決断と賭け

絶望的な補給状況を覆すため、ミハイルは王都近郊の貴族領から強引に兵を徴発する決断を下した。これは越権行為であったが、すべての責任を自ら負う覚悟の上での行動である。彼はルピス女王に御子柴を罠にかける策を提案し、そのための兵力を王都に集結させた。

女王陣営の動揺と覚悟

夜、北部征伐軍の指揮官たち—ルピス女王、メルティナ、エレナ—はミハイルの書状に驚愕しつつも、現状打破の手段を検討した。撤退を装って御子柴軍を砦から誘い出し、野戦で決着を狙うというミハイルの策を実行するか、撤退して再起を図るかで意見が分かれた。だが、撤退すれば次の征伐は困難になることから、最終的にミハイルの案に賭ける決意が固まった。

エレナの現実的な分析

エレナは御子柴軍の経済的な苦境を指摘し、彼らも決着を望んでいると分析した。イピロス焼失や流通網の断絶による損失は大きく、講和では問題の解決にならないと見ていた。よって、敵が戦に乗る可能性は十分にあると結論づけた。

貴族への対応と策の実行準備

ミハイルの策を実現するには、面子を重んじる貴族たちの協力が不可欠であった。エレナは敵を砦から引き出すための罠として撤退を正当化し、戦果として誇張することで貴族たちの支持を得ようとした。これにより、彼らの反発を最小限に抑えつつ作戦を進行する土台が整えられた。

メルティナの葛藤と怒り

一方で、ルピス女王を敬愛するメルティナは、女王を危険に晒す策に苦悩し、御子柴亮真への強い怒りと憎悪を募らせた。理屈では策の有効性を理解していたが、感情の面ではその決断を受け入れることが難しかった。

撤退開始と御子柴の反応

数日後、北部征伐軍は整然と撤退を開始した。その様子をティルト砦から見つめていた御子柴亮真は、自らの策が実を結びつつあることを悟り、勝利を確信した冷笑を浮かべた。彼にとって、長き因縁に終止符を打つ時が近づいていたのである。

第四章  北部征伐の終わり

ルノーク平原の決戦

決戦前の布陣と戦場選定

北部征伐軍の撤退が進む中、御子柴亮真の追撃によりルノーク平原での決戦が始まった。広大な平原と地理的条件により、決戦地として最適であるとメルティナは判断し、準備を整えた。ルピス女王も想定どおりの展開に安心を見せたが、緊張から体を震わせていた。

布陣と開戦の構え

北部征伐軍十五万は鶴翼の陣で包囲殲滅を狙い、対する御子柴軍五万は横陣で対抗した。戦端が開かれ、北部征伐軍が優位な兵数で進軍するが、亮真は法具「ウェザリエの囁き」によって密かに通信を行い、計画的に戦術を実行していた。

黒エルフの矢雨による奇襲

亮真の命令により、ネルシオス率いる黒エルフ五千が特製の弓で遠距離から矢を放つ。常識を覆す射程と威力により、北部征伐軍に甚大な被害を与えた。粗末な盾や鎧では防ぎきれず、多数の兵が命を落とした。

重装歩兵の前進とリオネの指揮

リオネ率いる三万の重装歩兵が進軍を開始。斧槍と強化鎧を装備し、北部征伐軍と激突した。兵の練度と指揮系統の優秀さにより、戦線は維持されていたが、敵の数による圧力も大きく、次第に戦況は流動的となった。

陣形変化と戦線の乱れ

御子柴軍は横陣から魚鱗の陣へと転換を試み、リオネを要とした布陣で対応。サーラ率いる部隊が突出したことで敵の猛攻を受け、危機に陥る。亮真は躊躇なくネルシオスに命じ、右翼支援へ派遣した。

ネルシオスと黒エルフの突撃

ネルシオスと五千の黒エルフは敵の片翼に猛突撃を敢行。圧倒的な戦闘力により敵陣を切り裂き、騎士を討ち取りながら突破を続けた。ディルフィーナも【黒蛇】を率いて敵中を蹂躙し、敵軍に壊滅的な打撃を与えた。

伊賀崎衆による撹乱と心理戦

戦場に潜伏していた伊賀崎衆が流言飛語を広め、北部征伐軍に動揺と混乱を誘発。味方同士の誤解による同士討ちや、貴族の撤退命令により軍の統制が崩壊した。亮真はその様子を確認し、勝利の機を見極める。

偃月の陣による本陣突撃

亮真は魚鱗の陣を開かせ、偃月の陣で五千騎の騎馬を率い敵本陣に突入。ルピス女王を目指し猛進し、多くの敵兵を撃破した。メルティナの迅速な判断により女王は退却を開始するが、亮真の進撃は止まらなかった。

亮真とクリスの一騎打ち

亮真の前にクリスが立ちはだかる。両者は騎馬のまま激しく槍を交え、互いの技量を試す。互角の戦いが続いたが、最終的に亮真の一撃がクリスの兜を弾き飛ばし、地に伏せさせた。しかし、亮真の勝利の原因は、クリスが飛来した矢から亮真をかばったことにあった。

戦の終息と新たな幕開け

戦場は亮真とクリスの一騎打ちに見惚れた兵達の目の前で決着がつき、戦闘は終息に向かう。北部征伐軍の敗北により、ローゼリア王国の支配構造は大きく揺らぎ、これが新たな時代の到来を告げる戦いの終幕であった。

エピローグ

光神教団と第十八聖堂騎士団の布陣と思惑

カンナート平原での決戦はすでに勝敗が決し、ルピス女王率いる北部征伐軍は敗走し始めていた。御子柴男爵軍はこれを追撃するが、戦場に残された負傷兵らには救済の手は差し伸べられなかった。唯一手を差し伸べる可能性があった第十八聖堂騎士団は、狂信的な信条から異教徒に慈悲を示すことを拒んでいた。

彼らは光神教団に仕える傭兵的な非正規騎士団であり、厳しい信仰心を持つ一方で、他宗派には容赦しない姿勢を持っていた。その戦闘力は極めて高く、ロドニーと立花もその実力に驚愕した。特に団長ディック・マクガールは、鉄製の強弓を使いこなす規格外の弓兵であり、遠距離から御子柴亮真に向けて放った矢は神業の域に達していた。

騎士団の構成と教団内の序列

聖堂騎士団は元来十個のみ存在する建前であったが、教団の勢力拡大に伴い増設され、今や第二十五まで存在していた。第十一以降の騎士団は平民出身者が多く、信仰心を証明するため狂信的に教義を守る者が多かった。

教団内では正規の騎士団と非正規騎士団の間に序列があり、ロドニーは実戦経験の多い第十一以降の騎士団の実力を評価していた。

御子柴亮真への狙撃と評価

戦場にて御子柴亮真を狙撃したのは、ローランド枢機卿の指示による情報収集の一環であった。矢は亮真に届かなかったが、彼がそれを槍で打ち払ったことから、ディックはその実力を高く評価した。副官クリス・モーガンの存在も話題に上り、祖父譲りの槍技を持つ若き精鋭であることが語られた。

ローランド枢機卿は亮真の文武両道ぶりに驚嘆しつつも、味方にすれば心強いが敵になれば危険すぎると判断し、警戒を強めた。

排除の決意と軍事的対処の可能性

もし亮真が教団に敵対する組織と関係していると判明した場合、教皇の命令で必ず排除する方針が示された。その際は第十八聖堂騎士団のみならず、教団最強の第一聖堂騎士団を動かす可能性にも言及された。

総長は教団最強の剣の象徴であり、その出動は教団の非常事態を意味する。ロドニーやディックもこの可能性に動揺し、御子柴亮真がそれほどの脅威と見なされ始めている現実に危機感を抱いていた。

飛鳥との関係と立花の行動

ロドニーは御子柴亮真が桐生飛鳥の探し求める兄であり、裏大地世界の来訪者であると立花を通じて確信した。これにより、飛鳥が教団に利用される危険性を憂い、彼女を亮真のもとへ逃がす準備を進めた。

立花は封書と通行許可を受け取り、密命を帯びて出立した。彼はロドニーたちの恩義に深く感謝し、今生の別れになるかもしれない覚悟を胸に、天幕を後にした。

教団の目的と飛鳥の保護

ロドニーは亮真の力量を測ることが任務であり、教団は敵対組織への対抗手段として彼を観察していた。だが、もし彼が組織の一員であると認定されれば、教団は排除に動くと明言していた。

その動きが飛鳥に及ぶことを危惧したロドニーは、メネアを敢えて同席させず、最も信頼する立花に飛鳥の保護を託した。立花は自身の過去や倫理観と向き合いながらも、ただ飛鳥を守るために行動を開始した。

同シリーズ

ウォルテニア戦記シリーズ

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その他フィクション

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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