どんな本?
学校の屋上で弁当を食べようとしていたら、いきなり異世界に召喚された高校生の御子柴亮真。
ただ彼はマトモじゃ無かった。
召喚した魔術師を殺し。
逃亡途中で双子姉妹を仲間にして大国の帝国から逃亡。
帝国から逃げれたと思い、傭兵をしていたらローゼリア王国の跡目争いに巻き込まれてしまう。
それにも勝利させて女王ルピスを誕生させ。
そのまま解放されると思ったら。
住民は皆無で、沿岸部に海賊がおり、強力な魔物が跋扈するウォルテニア半島を領地に与えられ貴族にされてしまう。
それでも少年少女の奴隷を買って、彼等に武法術を教えて兵士として育成し、半島の希少な魔獣を狩って資金を稼ぐ。
邪魔な海賊のアジトを攻め滅ぼし。
その時に、奴隷にされていたダークエルフと知己を得て貿易を始め。
そして彼等特有の技術で魔剣、魔法防具を量産してもらい兵士の装備をより強固にして、重傷を負ってもダークエルフ特性の薬で快癒させて損耗率下げる事に成功。
そんな兵士達を率いてザルーダ王国への援軍に行き、オルトメア帝国の侵攻を止め。
辺境伯と北部十家との戦争にも勝利。
それを貴族院で審問されるが、死刑が始まる前から決まっているので亮真は貴族院のメンバーを全て殺して自領へ逃亡。
反乱を討伐するためルピス女王が率いる20万の大軍がウォルテニア半島へ攻めて来たが、軍を派遣している貴族の領地を別動隊で荒らして後方を撹乱して20万の軍を瓦解させ、退却し始めたルピス女王軍を追撃して王都を包囲。
王都内の反乱を誘導して首脳陣を殺して王都を陥落させて、新女王ラディーネを王にして亮真は大公となり国の実権は握らずウォルテニア半島を開拓しようとしていたのだが、、
読んだ本のタイトル
#ウォルテニア戦記 XXⅣ
著者:保利亮太 氏
イラスト:bob 氏
あらすじ・内容
ローゼリア王国の東西で起きた大事件――。新たな戦乱に亮真が立ち向かう!!
ローゼリア王国の実権を握った御子柴亮真は、有力貴族・ロマーヌ子爵家と自分との紛争を利用して新生・ローゼリア王国の中央集権化を急ぐ。
ウォルテニア戦記 XXIV
いっぽう、国王が危篤の状態でオルトメア帝国に攻め込まれたザルーダ王国はかつて助けてくれた亮真に再び援軍を求めていた。
だが、今度はローゼリアの東・ミスト王国でも異変が起こり――。
大陸に広がる戦火を前に、台風の目となった亮真はどう動く!?
感想
敵だ!戦争だ!兵士を率いてヒャッハー!!撃破!敵だ!な戦記物より良いと思うこの作品。
戦場に着く前に色々な人々の都合、策謀で暗闘した後に戦場での決着。
なかなか戦闘が始まらない?
そういう話なんだから楽しみなよ。
慣れると面白いぜ!
何回も読めるしw
新章に突入して2巻目の今巻。
御子柴亮真は大公となり、ローゼリア王国では絶大な権威を手に入れた。
このままウォルテニア半島を開拓し地盤を固めてオルトメア帝国の侵攻に備えようとしていた矢先。
ザルーダ王国こ国王が倒れて危篤状態になり、それとも同時にオルトメア帝国が停戦条約を一方的に破って侵攻して来た。
プロローグではその知らせが亮真に来た処から始まる。
前の巻で食堂で無銭飲食をし、支払いを求めた店主を部下と共に暴行し、店主の妻を強姦しようとしたロマーヌ子爵家嫡子のマリオ・ロマーヌは、評判の店に食べに来た御子柴大公から制裁され殺されてしまった。
その一件で御子柴亮真は、暗愚なローゼリア王国の貴族は切り捨てると判る者には判るように振る舞った。
それを認識出来た者は生き残りを賭けて、御子柴大公へ擦り寄りを見せた。
露骨に擦り寄るのでは無く、自身の有能さをアピールしながら御子柴大公へ擦り寄る。
それを女王の側仕えである、ベティーナとシャーロットが試みる。
家という枠組みからしたら、2人の前当主は御子柴大公を貴族院で死刑確定の弾劾をした側の家であり派閥からしたら粛清される側の立場でもあった。
それから逃れるためにベティーナとシャーロットは御子柴大公とのお茶会に招待され自身の有能さを御子柴大公にアピールするチャンスを貰う。
そんなお茶会に呼ばれたのは、他派閥ながらも陰に日向に御子柴大公の援護をしていた独身の才媛10人。
そんな御子柴大公とのお茶会で10人は家の存続を許され、オルトメア帝国の侵略に呼応しそうな国内の不穏分子の貴族を炙り出し、騒動を起こす前に鎮圧する事を依頼される。
そして始まる、不穏分子の筆頭のロマーヌ子爵を嵌める御子柴大公への貴族院の審問という茶番が始まる。
それがロマーヌ子爵家取り潰しの布石とは知らずに子爵家は、転がって来た幸運に浮かれながら審問に向かう。
そこで女王ラディーネによるオルトメア帝国のザルーダ王国への再侵攻が発表される。
その援軍に御子柴大公に全ての権限を与えると女王ラディーネは宣言する。
中央集権に柏していた前女王のルピスでは絶対に出来ない芸当のザルーダ王国援軍への全権譲渡だった。
そんなザルーダ王国への援軍宣言の後にロマーヌ子爵は御子柴大公を平民に暴行していた息子を誅殺されたと弾劾しなければいけない。
そう理解した瞬間、ロマーヌ子爵は嵌められたと自覚する。
結果、ロマーヌ子爵家は取り潰し。
子爵自身も罪人として牢に入れられる事となる。
そして、御子柴大公によるザルーダ王国への援軍の準備をしていたら、、
ミスト王国の南部でブリタニア王国とタルージャ王国の連合軍が侵略して来た。
其方への援軍も必要となると、、
いったい誰がこの戦略を組んだのか?
亮真は悩む。
どう情勢が動くのか、地球人の組織はどう動くのか?
教会は?
目が離せない。
次巻はよ!!
最後までお読み頂きありがとうございます。
同シリーズ
ウォルテニア戦記シリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ
荒い息を漏らしながら森を東へと駆け抜ける男が描かれている。
夜の闇を避け、灯りを使わずに、動物や怪物が徘徊する森の中を移動する男は、ザルーダ王国の諜報員として名を馳せている。
彼の懐には国の命運を左右する密書があり、その内容は国王ユリアヌス一世の危篤とオルトメア帝国の侵攻を伝えるものだった。
男はこの密書を届けるために、夜目を頼りに危险を冒している。
彼は自分が持つ情報が他国にも知られている可能性を認識しつつも、情報を迅速に届けることによりザルーダ王国の運命が良い方向に変わるかもしれないと信じ、走り続けている。
ザルーダ王国から送り込まれた密偵が、第三国の間者である可能性は低いが、完全には否定できない。
亮真は以前、ジョシュアから渡されたペーパーナイフを用いてこの疑惑を否定しており、情報管理には特に注意を払っている。
ジョシュアからの手紙には、オルトメア帝国がザルーダ国境に集結し、ジョシュアが前線に赴いたこと、そして国王ユリアヌス一世が突然倒れたことなどが記されている。
この情報により、オルトメア帝国が停戦協定を破棄し、ザルーダ王国に侵攻したことが明らかになる。
亮真はユリアヌス一世の危篤が急であることに疑問を持っている。
密偵によると、ユリアヌス一世は以前から健康問題を抱えていたが、急死するほどの病ではなかったという。
このような急な病気にもかかわらず、オルトメア帝国の行動があまりにも的確すぎるため、亮真は何か他の計画があるのではないかと疑っている。
しかし、現時点では確かな証拠がなく、具体的な行動を取ることは難しい。
そのため、亮真はジョシュアの手紙に記された情報に基づいて今後の方向性を決めなければならない。
これには、ザルーダ王国への援軍を送るかどうかという重大な選択が含まれている。
ウォルテニア半島と城塞都市イピロスの拡張や復興は、御子柴大公家にとって極めて重要であり、迅速かつ確実な対応が求められる。
亮真はこの重要な任務に適任者が限られると考えている。
鮫島菊菜や鄭、ヴェロニカは能力はあるが、料理人としての仕事や個人的な忠誠から、大規模プロジェクトのリーダーには向かないと見ている。
特に鮫島には疑念を抱いており、完全に信用するには至らない。
結局、浩一郎以外に適切な人材が見当たらず、彼を前線に出すのは惜しいが、現状他に選択肢がない。
さらに、ローゼリア王国の内政問題も同時に扱わなければならず、複雑な状況の中で亮真は慎重に次の行動を計画している。
御子柴大公家の兵士は、解放奴隷で構成されており、非常に高い訓練度と忠誠心を有している。
亮真は、敵からのブラフや真実の可能性を含むさまざまなシナリオに悩まされている。
全ては仮定に過ぎないが、無視するには危険すぎるものもある。
亮真は対応策を考える際、事前にリスクを把握することを重視しているが、全ての可能性に対応することは現実的に不可能であるため、危険度の高いものを優先して考慮している。
そして、浩一郎は時間をかけすぎることも問題だと指摘し、相談できる人間に話をしてみることを提案している。
この国の貴族から情報を得ることが最適であるとし、有能な人材を利用することを勧めている。
第一章 集いし毒花
太陽が西に傾き、午後三時を少し過ぎた頃、背丈約170センチでスラリとした体型を持つ豊かな胸のある女性が、砂利道を歩いていた。
彼女は自身の魅力を理解し、胸元の開いた若草色のレースドレスと高価な装身具を身につけていた。
その装いから彼女が王族または上級貴族の令嬢であることが伺える。
彼女が目指すのは白水館と呼ばれる白い大理石で造られた二階建ての建物で、その庭園は国王によって人妻との密会場所として設計されたものだった。
この場所は王城の庭にありながら、その存在を知る者は少なく、人目を避けるには最適な場所である。建物に向かう女の表情には微かな嫌悪が浮かんでいる。
かつてこの場所で起きた国王による不道徳な行動が、彼女の表情を曇らせているのだ。
その国王は家臣の妻を強引に従わせることに快楽を見出し、最終的には家臣たちによって粛清された。
この事件はローゼリア王国の歴史から消された恥部であり、王家の権威を低下させ、貴族の専横を助長する原因となった。
女は現代のローゼリア貴族も同様の過ちを繰り返していると感じており、それが国の未来にとって何とも言えない影響を及ぼしていると考えている。
夕暮れ時に、ベティーナ・アイゼンバッハが茶会の会場である森の中の建物、白水館へ到着した。
彼女はメイドに挨拶し、他の出席者の有無を尋ねたが、自分が最後に到着したことを知り、内心で戸惑いを隠せなかった。約束の時間よりも早く到着していたが、それが意図的な行動であるかのように感じた。
実際、彼女が最後に到着したことで、立場が上の人物としての体面を保つのに苦心している。
このような茶会では、しばしば社交界の戦場となり、出席者たちは身なりや立ち居振る舞いで互いを競い合う。
今回の茶会は、名目上はシャーロット・ハルシオンが主催者だが、実際には御子柴亮真が背後で動いていると認識されている。
ベティーナは、この茶会を利用して御子柴大公家の関心を引き、アイゼンバッハ伯爵家の立場を改善しようと考えている。
しかし、彼女が最後に到着したことが、計画にとって不利な影響を及ぼす可能性がある。
ベティーナ・アイゼンバッハは、ある茶会に参加していた。
そこで彼女は、金髪のメイドから、御子柴大公家の当主が礼儀を重んじる人物であると聞かされる。
このメイドが実は御子柴大公家の側近であるマルフィスト姉妹の一人であることを、ベティーナは後に気づく。
茶会は御子柴大公家の提案で外で行われ、メイドはベティーナを会場である小島へと案内する。
茶会の場は、密談をするには理想的な場所である。
参加者はベティーナが到着すると注目を集めるが、明らかに友好的とは言えない視線で迎えられる。
ベティーナは、この状況が家門の存続にかかわる重要な場であることを理解し、慎重な対応を心がける。
彼女は内心の不安を隠しながら、他の参加者と交流を試みるが、場の雰囲気は依然として緊張感に満ちていた。
茶会に集まった女性たちは、最新の流行を反映したドレスで着飾り、装飾品もそれに相応しいものを身に着けていた。
彼女たちの装いは、家門の存続にかける覚悟としての武器を身につけているかのようであった。
茶会の開幕は、主催者シャーロットへの感謝の言葉から始まり、その後は紅茶と様々な菓子が振る舞われた。
特に、紅茶は東方大陸天華帝国から輸入されたもので、参加者には新鮮な驚きを与えた。
提供された菓子には、地元産の素材が使われており、その品質の高さが称賛された。
この茶会は、表面上は和やかな交流の場であるが、実際には御子柴亮真が彼女たちの対応を試す場となっていた。
ゴンドラーナから運んで来た果物の鮮度が良好だったため、参加者たちは感嘆し、その保存技術について賞賛した。
亮真は参加者たちの領地で作られる特産品を用いてお菓子を作り、それを茶会で振る舞った。
これは、彼が彼らと同じ道を歩む人々を支援したいという意向を表している。
亮真のこの行動は、彼が参加者たちの家を存続させる意志があることを示唆しており、参加者たちはこれを家門の存続の保証として受け止めた。
茶会で提供されたお菓子は、各領地の名産品を活かしたもので、参加者たちはそれに対して深い感謝の意を表した。
彼らは亮真からのこの厚遇を家門に対する免罪符として捉え、彼と同じ目標を持つ者として繁栄を共にすることを期待した。
亮真はこれに満足し、参加者たちに彼が直面している問題についての意見を求めた。
この問題は国家の存続に関わる重大な内容であり、参加者たちもこれに真剣に取り組む構えを見せた。
最終的に、茶会は亮真がローゼリア王国の貴族社会の一端を担う才女たちの能力と意向を探る場となり、彼らが国の重要事項に対して有効な対策を提案できるかを見極めるテストの場となった。
亮真がシャーロット達に最も重要な任務を依頼した。
それは、ロマーヌ子爵家とその関連者たちの処遇に関するもので、貴族の反発を最小限に抑えつつ、迅速に問題を解決することが求められている。
シャーロットは、すでに対応策を準備しており、その内容について亮真と相談を持ちかけた。
亮真は彼女たちの自信に満ちた態度と理解に、満足の表情を見せた。
第二章 煽る者と煽られる者
天空を覆う灰色の雲が、王都の貴族街に位置するロマーヌ子爵家の屋敷に不穏な影を落としている。
マリオ・ロマーヌの死後半月が経過したが、ロマーヌ子爵は未だに激怒しており、部屋に響く怒声と酒瓶の破壊音が日常となっている。
ロマーヌ子爵は自らの悲しみと怒りを酒で紛らわせようとしているが、その怒りは消えることがない。
息子の死を、御子柴亮真の所業とし、憤怒を燃やしている。
彼の言動は、自らの権力と位置を盾にしており、使用人に対する暴力も日常的である。
その態度は、貴族としての選民意識と見下しに満ち、平民に対する軽蔑を露わにしている。
部屋に入った中年のメイドは、恐怖で震えながら酒を運ぶが、ロマーヌ子爵の怒りは一向に収まることがない。
彼女の立場は、ロマーヌ子爵の激情を前にして極めて危ういものである。
ロマーヌ子爵は机の上に置かれた酒瓶を睨みつけ、理不尽な怒りを爆発させた。
主からの命令は単に「酒を持って来い」というものだったが、彼はつまみがないことに対して怒りをぶつけた。
彼は自らを尊敬されるべき主人と自認しているが、実際はそういった配慮を受けるに値する人物ではない。
そのため、屋敷の使用人からは心からの尊敬を受けていない。
メイドは怒り狂うロマーヌ子爵に対して、何か食べ物を探してくると謝罪し、怒りをさらに引き出してしまった。
ロマーヌ子爵は、乗馬鞭を取り出し、メイドに向かって振るった。
彼の本意はメイドを傷つけて憂さを晴らすことにあった。
メイドが気を失うと、彼は再び酒を求め、屋敷の執事が深夜に珍しい客人の訪問を伝えた。この訪問者はオルグレン子爵であり、ロマーヌ子爵はその訪問に驚きを隠せなかった。
ロマーヌ子爵がローゼリア王国の王族教育を担った経験があり、貴族の中でも特に評価が高いオルグレン子爵家のレナードが、深夜にロマーヌ子爵邸を訪れる。
非礼な時間に訪問したにも関わらず、レナードは一時間ほど待たされ、ロマーヌ子爵は豪華な装いで現れる。
レナードはその間、応接室の芸術品を見て時間を潰していたが、芸街品の配置が品性に欠けると感じていた。
レナードとロマーヌ子爵の間で、マリオ・ロマーヌの死とそれに関連する噂について話が持ち上がる。
レナードはこの話題を持ち出し、ロマーヌ子爵の怒りを誘う。
さらに、ロマーヌ子爵領のテルミスの街が戦で大きな被害を受けたことを指摘し、これがロマーヌ子爵の経済に打撃を与えていることを指摘する。
レナードはロマーヌ子爵が自身とマリオの名誉を侮辱するために訪れたのではないかと疑い、ロマーヌ子爵はレナードの挑発に反応する。
ロマーヌ子爵は息子マリオを守るために大きな犠牲を払ったが、そのマリオは無残な死を遂げ、経済的にも心理的にもロマーヌ子爵は追い詰められた。
レナードはこれに対し、助け舟を出すことを提案する。彼はロマーヌ子爵の苦境を理解し、王国の秩序維持のためにもその名誉を守る必要があると述べる。
ロマーヌ子爵は自分の立場を悔やみつつも、レナードの提案に対して言葉に詰まる。レナードはロマーヌ子爵の心の揺れを感じ取り、彼が本心では息子マリオに良い父親でありたかったと考える。
しかし、その教育方針は最悪であり、適切な親としての振る舞いから遠ざかっていた。
レナードはロマーヌ子爵に、今の状況をどう考えているのかと問い詰め、ロマーヌ子爵はレナードの問いかけに対して否定しつつも、その内心には自信がないことが明らかだった。
レナードは御伽噺の英雄が卑怯な行動を取る設定に違和感を感じていた。
それは正義を果たすためであっても非道な手段を使ってはならないというものだった。
しかし、現実の王都では英雄譚が美化され、不都合な事実が削除されていた。
民衆は絶対悪と見なされるロマーヌ子爵家を倒すためなら、英雄御子柴亮真がどのような手段を使っても喝采を送るだろう。
ロマーヌ子爵はこの現実を理解しており、レナードに対して具体的な報復ができない状況を訴える。
レナードは貴族院全体を動かすことを提案し、ロマーヌ子爵はそれに対して反応する。
レナードは上位貴族の支持を得ていると述べ、ロマーヌ子爵はこの提案に疑念を抱くが、レナードは布石が打たれていると説明する。
最終的に、ロマーヌ子爵はレナードの計画に同意し、王国の未来が約束されたかのように信じ込むが、レナードの視線は冷たく、計算されたものであった。
第三章 王国の旗の下に
数日前にレナード・オルグレンがロマーヌ子爵邸を訪れた後、天気の良い正午に王都の広場で、騎士たちが大勢の人々の前で宣言を行った。
彼らは7日後に御子柴大公家当主に対して行われる、マリオ・ロマーヌの死に関する審問を公表した。
この審問は国王の命により行われ、その結果に異議を唱えることは許されないとされた。
ロマーヌ子爵は近くの路地に馬車を停めており、この宣言を聞いて内心喜んでいた。
彼は審問が開催されることで自分の勝利が確定したと感じ、これをローゼリア王国全体への宣言と解釈していた。
彼は以前のオルグレン子爵との会話を思い出し、オルグレン子爵に対する自身の感情が変化していたことを認めていた。
ロマーヌ子爵は、貴族院での審問が間違いなく行われると確信しており、これを取りやめることはありえないと見ていた。
彼は、政治的な動きが御子柴大公家に不利に働くと予想しており、彼自身の権力の回復と、北部地域の回復も可能であると期待していた。
七日後の審問が始まる日、天気は悪化し、普段ならば人々が外出を避けるような雨の日となっていた。
この雨天が、ロマーヌ子爵の計画にどのような影響を与えるのかは不明だが、彼は自分の計画が成功することを強く信じていた。
レナード・オルグレンがロマーヌ子爵邸を訪れてから数日後、天気が良い正午に王都の広場で騎士たちが大勢の人々の前で宣言を行う。
彼らは7日後に御子柴大公家当主に対して行われる、マリオ・ロマーヌの死に関する審問を公表し、この審問は国王の命により行われることを述べた。
ロマーヌ子爵はこの宣言を聞き、自らの勝利が確定したと感じた。
彼はオルグレン子爵との会話を思い返し、その人物に対する感情が変化していることを認識していた。
ロマーヌ子爵は、審問が実際に開催されることを確信しており、これを取り消すことはありえないと見ていた。
彼は、政治的な動きが御子柴大公家に不利に働くと予想し、自身の権力の回復と北部地域の取り戻しも可能であると期待していた。
七日後の審問が始まる日、雨が降る中、ロマーヌ子爵はこの計画が成功することを強く信じていた。
エレナが議事堂内での混乱を鎮めた後、ラディーネはザルーダ王国への支援が不可欠であると強調する。
しかし、彼女は経験不足を理由にエレナやマクマスター子爵の助けを必要としていると説明し、エレナを援軍として派遣できないと貴族たちに納得させる。
続いてラディーネは、ザルーダ王国への全権を御子柴大公に委ねると宣言し、この驚きの決定に議事堂内は沸き起こる。
貴族たちはこの発表に感動し、亮真に対する支持を表明する。
ロマーヌ子爵はこの状況に戸惑い、彼の計画が完全に狂ってしまったことを悟る。
審問が始まると、ラディーネはロマーヌ子爵に向けて発言の機会を与えるが、彼は最終的に自分の非を認め、「勘違いだった」と述べる。
しかし、マクマスター子爵はこれを容易く受け入れず、正式な審問として責任を問うべきだと指摘する。
エレナもまた、御子柴大公を貶めようとしたのかと追及する。
結果的に、ロマーヌ子爵は国王の前で完全に立場を失い、彼の言葉や行動はすべて無駄となり、彼は完全に孤立する。この状況は、彼にとってまさに地獄のような体験であった。
エレナの断固たる言葉によって議事堂内の混乱が収まり、ロマーヌ子爵の審問が進行する。
その際、貴族たちはロマーヌ子爵を切り捨て、自らの保身を選ぶ道を選び、ロマーヌ子爵を非難する声が高まる。
これにはシャーロットが仕込んだサクラが関与していたことが示唆され、亮真はシャーロット達の手際の良さを認める。
議事堂がロマーヌ子爵への非難で満ちる中、亮真はその場の空気に流されず沈黙を守る貴族たちを評価する。
最終的にロマーヌ子爵は自らの非を認めるが、マクマスター子爵はそれを容易く受け入れず、ロマーヌ子爵が故意に御子柴大公を貶めようとした疑いを問う。
エレナもロマーヌ子爵に対して厳しく追及し、ロマーヌ子爵は議事堂での審問において圧倒的な孤立を味わう。
議事堂を後にするロマーヌ子爵の姿は、彼が自らの過ちとその代償を深く理解していることを物語っている。
亮真は貴賓室に戻り、リオネとともに現状を振り返り、今後の援軍編制について話し合う。
亮真はリオネと共に過去を振り返りながらも、彼らが担う重責を自覚しており、王国の命運を背負う覚悟を新たにする。
亮真とリオネは、達成された成果に一息つくものの、まだ解決すべき問題が残っていることを認識している。
リオネは、亮真が対応することを信じており、亮真もリオネの期待に応えようとしている。
しかし、亮真はロマーヌ子爵がもっと抵抗することを予想していたが、予想に反して大人しく対応されたことに驚いている。
一方で、リオネは、ラディーネの決断力を評価し、御子柴亮真に与えられた権限の大きさを指摘している。
亮真は、この権限がルピスにはないものであると感じ、ラディーネの器量を高く評価している。
最後に、亮真とリオネは、ザルーダ王国への援軍派遣が次の課題であると話し合うが、状況は予測よりも複雑であることを認識している。
半月後には更なる悪化がローゼリア王国に訪れるが、その詳細は明かされていない。
亮真とリオネは、今後も解決すべき多くの課題に直面することになる。
第四章 齎された凶報
ミスト王国は西方大陸東部三ヶ国の一つで、貿易国家として栄え、その地政学的利点を生かして海軍を強化している。
王都エンデシアの王城で、エクレシア・マリネール将軍は御子柴大公家からの書状を読んでいた。
書状には、御子柴がローゼリア王国の貴族を掌握したこと、ユリアヌス一世の危篤、およびジョシュア・ベルハレスがオルトメア帝国の再侵攻に備えていることが記されていた。
エクレシアはジョシュアの才能を評価しているが、オルトメア帝国の圧倒的な物量に対してザルーダ王国単独では防ぎきれないと認識している。
彼女はエルネスグーラ王国とキルタンティア皇国の動向に懸念を抱き、キルタンティアがオルトメア帝国と和解する可能性が低いと考えている。
ミスト王国の将軍、エクレシアは、オルトメア帝国との戦闘に関する懸念と共に、ユリアヌス一世からの警告として伝えられた謎の組織の存在を疑問視している。
光神教団が持つ広範な影響力と経済力により、西方大陸全土において重要な力となっているが、その内部は権力闘争に満ちている。
エクレシアは光神教団が単なる宗教団体ではなく、軍事力も有することから、その真の動機が不透明であると感じている。
彼女はミスト王国だけではなく、他の大国とも連携が必要であると考えているが、その実現は困難であることを理解している。
西方大陸の城塞都市ジェルムクで、トニーは先輩兵士からブリタニア王国の恐ろしさを聞かされるが、矢が飛来し先輩兵士が死亡する。
トニーは現実の戦場の残酷さを目の当たりにし、自身も矢に撃たれる。
彼は死を前にして、もっと警戒すべきだったと後悔する。
その後、ブリタニア王国軍の襲撃が確認され、トニーはブリタニアと思われる部隊が攻めて来たことを知る。
しかしその部隊の紋章は、隣国タルージャ王国のものであったことから、彼は更なる恐怖と混乱を覚える。
この事実が示すのは、西方大陸の戦局が新たな局面に入っていることを意味している。
亮真はミスト王国との国境付近で起きた事態について対応を考えていた。
城塞都市ジェルムクに配置された国境守備隊が防衛しているとの報告があるものの、使者からの情報によれば、ブリタニアとタルージャの兵が集結している可能性が高いという。
亮真はこれを受け、状況の確認と対策を練る必要があると感じ、使者に退室を命じた。
その後、一人で状況の悪化を考え、特にタルージャ王国の参戦が問題であると判断する。
ミスト王国とタルージャ王国は国境を接しておらず、そのためブリタニア王国との間で何らかの同盟がある可能性を亮真は疑っていた。
亮真は自分が育てた御子柴家の兵士達の力量に自信を持っているが、オルトメア帝国軍が二十万の兵力を持つことを考えると、勝利は難しいと考えている。
亮真は、オルトメア帝国に増援がないことを前提に、ザルーダ王国とミスト王国の援軍との合流によって現状でも勝算がないわけではないとしているが、オルトメア帝国に他国からの増援が来ないとは限らないため、状況は不確かだ。
そのため、乾坤一擲の戦術に全てを賭ける以外に選択肢がないと感じている。
さらに、亮真は四ヶ国連盟の安全保障条約に基づき、ザルーダ王国が自国を守るために援軍を要請するのは当然であり、他の三ヶ国もその要請に応える義務があると考えている。
しかし、その義務が果たされない場合、ザルーダ王国がオルトメア帝国に降伏する可能性が出てくる。
亮真は、ザルーダ王国への支援を優先し、可能であれば兵士、物資、軍資金の提供を行うと考えている。
また、シモーヌが稼いだ資金や、ローゼリア中から集めた物資を活用する計画を立てている。
最終的には、ブリタニアとタルージャの連合軍を壊滅させた後、返す刀でザルーダ王国に向かう戦略を考えているが、それは非常にリスクが高い。
そのため、ジョシュアをはじめとするザルーダ王国軍の将たちをローゼリア王国に亡命させることも考慮している。
最後に、亮真は信頼する仲間とともに新たな戦場に赴く準備を進める。
エピローグ
亮真の下にミスト王国からの知らせが届いて数日後、王都ピレウスの旧ザルツベルグ伯爵邸での出来事が描かれる。
飛鳥はこの邸宅で一時的に過ごしているが、ローゼリア王国の最高位の貴族である亮真がまだ自己の屋敷を持っていないことに疑問を感じている。
亮真が高位にありながら、質素な住まいを選んでいるのは外聞が良くないと考えられるが、経費削減の観点からは理解できるとしている。
飛鳥はこの豪華な待遇に違和感を感じつつも、同時に居心地の悪さを覚えている。
また、自由に一人で入浴することに対しても制約があるため、亮真が自分の屋敷を持つことを望んでいる。
飛鳥はこの大地世界での生活になじみきれずにいるが、恩人たちの訪問を心待ちにしている。
飛鳥がロドニーに彼の職務内容について尋ねた場面である。
ロドニーは自らを「駐在大使」とは異なる「雑用係兼何でも屋」と形容しており、これに対して飛鳥は不安を覚え、彼が左遷されたのではないかと心配する。
ロドニーは教団内での正式な役職は持っておらず、元聖堂騎士団の団長である彼には多くの自由裁量権が与えられている。
彼の現職は駐在大使よりも広範な役割を担っていると説明し、主に教団の管理と御子柴大公家との関係構築、情報収集が役割であると述べている。
飛鳥はこの説明に心を落ち着かせつつも、内心では彼の立場が本当に良いものか疑念を持ち続けている。
飛鳥の心理状態を表現している箇所である。
彼女は日本での生活背景から、多宗教の習慣に慣れ親しみつつも、大地世界の厳格な宗教観に対する違和感を感じている。
光神教団の教えが絶対視されている大地世界において、彼女のような自由な宗教観を持つことは異端と見なされる可能性が高い。
しかし、飛鳥はその宗教観から発生する可能性のある衝突に対して警戒心を持っており、御子柴家が光神教団に撤退を求めたことを理解している。
その結果、彼女はロドニーとメネアが不利な立場に置かれたことに対して責任を感じ、謝罪する。
しかし、メネアはその状況を肯定し、実際には教団内の対立や疎まれる上層部から離れられるメリットを享受していると語る。
飛鳥はその話を聞いて、自分の影響が彼らにとって完全に負でないことを知り、少し安心する。
ロドニーは御子柴浩一郎が銃器などの特殊な武器を使用していることから、彼が何らかの組織と繋がりを持っていると考えている。
証拠はないが、ロドニーはその推測にほぼ確信を持っている。
しかし、浩一郎に直接問い詰めることは避けており、浩一郎の行動を静観する方針を取っている。
理由は、直接問い詰めた場合、状況が悪化し国外退去に至るリスクがあるからである。
一方で、メネアとロドニーは、浩一郎が何らかの動きを見せるのを待ち、それが確認できれば、自らの悲願を達成する日も近いと考えている。
それは極めて重要な手掛かりであり、他に手掛かりがないため、非常に慎重に進める必要があるとしている。
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